「K Á R Y Y N」と一致するもの

Holly Herndon - ele-king

 人工知能、ほんとうにブームである。書店へ行けば「シンギュラリティ」という言葉を掲げた本をよく見かけるし、私たちも紙エレ最新号で「なぜ音楽はいま人間以外をテーマにするのか?」という特集を組んだけれど、渡辺信一郎の新作アニメの世界で音楽を作っているのはAIということになっているようだし、今月末にリリースされるカーリーンのデビュー作もAIとのコラボだ。そしてホーリー・ハーンダンもその波に乗ると。なんでも、彼女がニュー・アルバムで共作している相手は「Spawn」という名のAIの“赤子”なんだとか。はてさて、いったいどんなアルバムに仕上がっているのやら。発売は5月10日。

HOLLY HERNDON

海外主要メディア大絶賛! エレクトロニック・ミュージックと知性の融合。
ホーリー・ハーンダン、人工知能と共作した挑戦的な最新アルバム『PROTO』を5月10日に発売へ。

エレクトロニック・ミュージックとアヴァンギャルドなポップ・ミュージックを追求し続け、常識を突き崩す作品を世に出してきたホーリー・ハーンダンが、英名門インディーレーベル〈4AD〉から最新アルバム『PROTO』を5月10日にリリースすると発表した。人工知能(AI)とのコラボレーションによって生み出されたという前代未聞の作品となっている。今回発表に合わせて、新曲“Eternal”が公開された。

Holly Herndon – Eternal
https://www.youtube.com/watch?v=r4sROgbaeOs

ホーリー・ハーンダンは、米南部テネシー州出身。幼い頃は合唱団などに参加していたものの、ダンス・ミュージックやテクノの中心地として知られるベルリンへの交換留学プログラムに参加したことを機にベルリンのクラブで演奏経験を積むなど、クラブ・ミュージックに傾倒していった。米国に帰国してからは、カリフォルニア州のミルズカレッジでエレクトロ・ミュージックとレコーディング・メディアの博士号を取得。また The Elizabeth Mills Crothers Prize の最優秀作曲賞を受賞している。2012年にデビュー・アルバム『Movement』をリリースし、2015年には〈4AD〉から 2nd アルバム『Platform』を発表。米音楽メディア Pitchfork で10点中8.5点を獲得するなど各メディアから賞賛された。現在は米名門スタンフォード大学の博士課程に在籍し、Max/MSP などのプログラムを使用してエクスペリメンタル・ミュージックの可能性をさらなる高みへと突き詰めている。

最新アルバムは、「Spawn」と名付けられたホーリー自身のAIの“赤ちゃん”とのコラボレーションの中で生まれた。しかし、決して今作がAIについてが主要のテーマとなっている訳ではないという。テクノロジーの進歩と音楽を結び付けたスタンフォード大に在籍するホーリーならではの知性あふれるアプローチが取られた傑作となっている。

今回公開された新曲“Eternal”は、人間の精神をコンピューターなどの人工物に転送するという“マインド・アップローディング”を通じて転送された“永遠の愛”にインスピレーションを得ている。同時に解禁されたMVは、人間の顔を分析し探しているというAIの視点から映像を加工して作られたという。

最新アルバム『PROTO』は、5月10日(金)にリリース決定! 国内仕様盤には、歌詞対訳、ライナーノーツが封入される。現在 iTunes Store でアルバムを予約すると、公開されている“Eternal”と先にリリースされた“Godmother”がいち早くダウンロードできる。

Holly Herndon & Jlin (feat. Spawn) - Godmother
https://www.youtube.com/watch?v=sc9OjL6Mjqo

「AIの未来を形作っている」 ──CNN
「野心的」 ──FADER
「ハミングしたり、口ごもったりしているそれには、生々しい、新生の性質があり、それはまるでジリジリと音を立てて女王蜂を探している蜂の群のようだ。」 ──NPR(“Godmother”について)
「人間のインプットを、非人間的なタイミングでアウトプットした、多層からなるグリッチなビートボックス」 ──NY Times(“Godmother”について)

label: BEAT RECORDS / 4AD
artist: Holly Herndon
title: Proto
release date: 2019/05/10 FRI ON SALE
国内仕様盤CD 歌詞対訳/解説書封入
4AD0140CDJP ¥2,000+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10174

TRACKLISTING
01. Birth
02. Alienation
03. Canaan (Live Training)
04. Eternal
05. Crawler
06. Extreme Love (with Lily Anna Haynes and Jenna Sutela)
07. Frontier
08. Fear, Uncertainty, Doubt
09. SWIM
10. Evening Shades (Live Training)
11. Bridge (with Martine Syms)
12. Godmother (with Jlin)
13. Last Gasp

Reeko Squeeze - ele-king

 2010年代のシカゴではギャング同士の抗争によってイラクよりも人が死んでいることから「シャイラク」という呼称が定着し、これをミュージカル仕立てでスパイク・リーが映画化したことは『ブラッククランズマン』でも触れた通り。僕がもっとも印象に残っているのは通行人を撃ち殺していたタクシーがその合間に客も乗せながら走り続けたという記事で、フロリダに移住する前のジェフ・ミルズが高速道路でも弾が飛んでくるようになったと言っていたのはかなり生々しいものがあった。こうした抗争のサウンドトラックをなしていたのがドリルと呼ばれるヒップ・ホップのサブジャンルで、これがイギリスに飛び火したものがUKドリルとされ、やはりギャングの抗争とワンセットになっている。イギリスは銃ではなく、主にナイフによる殺傷事件が後をたたず、坂本麻里子さんによればこの二週間で5人が刺し殺されたそう。UKドリルの代表格といえるJ・ハスも一時、警察に拘束されたと伝えられ、ドリルとギャングが完全に重なっているかどうかは定かでないものの、90年代のLAでウエストサイド・ヒップホップの背景にクリップスとブラッズの抗争が横たわっていたことを思い出すなという方が無理だろう。同じく坂本さんによると、UKドリルのミュージシャンがユーチューブにアップする動画が抗争を煽っている要因とされ、かなり多くの動画が削除された上に、今後は新たなヴィデオをアップする際は、警察に内容を見せてからでないとアップできないことになったという。当然のことながら、動画規制に対しては賛否両論があり、そもそもUKドリルに対する様々な規制にも反対の声はある。音楽という表現手段を奪うべきではないし、音楽というはけ口を失った時の方が怖いという判断でもある。

 削除対象となったUKドリルのヴィデオをまとめて観ていると、言葉がわからないので音楽だけに集中することになり、どれも似たり寄ったりで悲壮感に満ちたトラックばかりだなあと思う。サウンドはことさらに暴力的ではない。むしろ冷たい感じが全体を覆っていて、サウンドに煽られて暴力的な言葉を吐き散らすというものでもない。その方が凄みが引き立つのかもしれないけれど……。本サイトで米澤くんが紹介してきたストームジーオクタヴィアンもUKドリルにまとめられるMCだけれど(つーか、ジャンル分けがそんなにはっきりしているとも思えない)、音楽性はまったくといっていいほど異なり、そもそもシカゴのドリルと違って「UKドリル」である以上、グライムやUKガラージから受け継ぐものが多く、言葉以前に音楽で惹かれるところが決定的な差だといえる。好むと好まざるに関わらずワイリーやベースメント・ジャックスの流れで聞くことも可能だし、ここ数年はドリルをモノマネだけで終わらせず、どれだけドメスティックなものに消化できるかという試行錯誤が、いわば聞きものであった。そしてUKガラージからUKファンキーが分岐したり、もっと以前にはラヴァーズ・ロックからラヴァーズ・ヒップ・ホップ(=グラウンド・ビート)が新たな道筋をつけた時と同じことが、いま、アフロビーツを得ることで新たなUKサウンドを編み出しつつあるといえるだろう。大量のクズとひと握りのジェム。クリップスとブラッズの抗争が終わりを告げたところからオッド・フューチャーが出てきたということもあるだろうけれど、UKドリルはまだどうにでもなる状態のように思える(米澤くんの今後のリポートを注視いたしましょう)。

 サウス・ロンドンからリーコ・スクイーズも3枚目となるミックステープで、アフロビーツからゴム(クワイト)を加えたスタイルへと進路を変えた。ブリーピーでソリッドな作風を確立し、3~4年前に立て続けにMOBOアワードを受賞したセクション・ボーイズ(現スモーク・ボーイズ)を脱退し、チャッキー改めリーコ・スクイーズとして2015年に最初のミックステープ『Child’s Play』をリリースし、ほとんどの曲でシンプルなラガ・ベース(バッシュメント?)とひしゃげたハットだけというシンプルな構成にスタイルを刷新し、これはいいと思わせたものの(ヤング・テフロンをフィーチャーした「Lifes A Bitch」はまるでUKガラージ版リニゲイド・サウンドウェイヴ「Biting My Nails」)、続く『Str8 Authentic(ストレート・オーセンティック)』(2016)とファースト・アルバム『#LNS(ライフスタイル・アンド・ストラッグル)』(2017)ではタイトル通り、本物志向を打ち出したがためにやや古典的と感じられたり、トラップやUKドリルのステロタイプに引きずられた感が強く、ヴァリエーションとしての面白さはあるという程度だったものが、ようやく『Child’s Play』の方向性を踏襲してくれたのが『Child’s Play 2』となる。プロデューサー陣に大きな移動はないのでリーコ・スクイーズ自身の意志で作風は変えているのだろう。セクション・ボーイズとしてマイク・ウェル・メイド~イットやドレイクともコラボレーションをする機会があったので、彼なりにアメリカ進出を射程に入れた試行錯誤だったとは思う。しかし、真っ向からロンドンに意識を向けたことで、確実にオリジナリティのある一歩が拓けたことは確か。

Sharon Van Etten - ele-king

 たしか小さな場所が似合うひとだったはずだ。もう8年以上前だが、小さな部屋でアコースティック・ギターを演奏しながら歌っていた彼女の姿をよく覚えている。それから彼女は地道に良いソングライティングの作品を発表し、ザ・ナショナルボン・イヴェールらのフックアップを受けつつ、少しずつ知名度を上げていく。2014年の前作『アー・ウィ・ゼア』もまた、派手さはなくとも滋味深い良いアルバムだったが、その後彼女は大学に通ったり俳優に挑戦したり、それから母親にもなっていたという。久しぶりの新作にして5枚め、『リマインド・ミー・トゥモロー』はひとりのシンガーソングライターとして、もしくはひとりの女性としてのシャロンの転機に当たる作品となった。彼女の魅力である物憂げな声とメロディは変わらない、が、彼女はもはや小さな部屋にいることはない。
 それは単純にビッグになったという話ではなくて、年を重ねることや環境の変化で多面性を獲得したということなのだろう。本作は何よりもまずアレンジの変化で古くからのリスナーを驚かせる。プロデューサーにやり手のジョン・コングルトンを迎え、サポート・ミュージシャンの顔ぶれも一新。これまで軸にしていたインディ・ロックやインディ・フォークという枠組みに限定しない、レンジの広いポップ・アルバムとなった。音色としてはシンセが目立つようになっていて、そのせいかニューウェイヴ調のナンバーが耳につく。先行して発表された“Comeback Kid”は確実にそうだし、ダークでアトモスフェリックな音響で聞かせる“Memorial Day”などはまったくの新機軸だと言っていい。シンセの機材名がタイトルになった“Jupiter 4”ではアナログ・シンセの柔らかく抽象的な響きが彼女のアンニュイな声やメロディに絡みつく。これらの楽曲はこれまでのようにピアノやギターを主体としたシンガーソングライター然としたアレンジでも可能だったはずだから、明らかに意図的にサウンド・テクスチャーの変化を彼女が求めたことの表れだろう。昨年のミツキのアルバムが現行のポップ・サウンドを意識したものとなり、評価されたことと通じているかもしれない。ただシャロンの場合、それはシーンのトレンドを追うことが最たる動機だったのではなく、彼女自身の変化が求めたことのように見受けられる。
 アルバムではそこここにデヴィッド・ボウイの匂いが感じられるのだけど、それがピークに達するのがドラマティックな“Seventeen”だ。素っ気ない8ビートの上でシンセ・サウンドがじょじょにビルドアップし、彼女は10代の自分を思い出す――「わたしは自由だった、わたしは17歳だった」。ボウイを感じているせいなのか、どこかグレタ・ガーウィグの映画のムードを思い出す(『フランシス・ハ』、『レディ・バード』)。何者でもない少女が何者かになろうとして、目的地を持たないまま歩いたり走ったりすること。彼女はやがて、オクターヴを上げて絶唱する――「あなたが何になろうとしてるか知ってる」。かつての自分に向けて。間違いなく、アルバムでももっとも美しい瞬間のひとつだ。

 ジョン・コングルトンはセイント・ヴィンセントのやはり転機に立ち会ったプロデューサーとして知られているけれど、そのセイント・ヴィンセントもまたボウイの強い影響下にいるアーティストだ。いま、少なくない女性ミュージシャンがボウイからの影響を形にしているのは何か示唆的なことのように思う。エキセントリックであることを恐れないこと、自らに固定されつつあるイメージを自分から華麗に打ち破ってみせること。複雑なアイデンティティを持つ多様な女性の表現が注目されている昨今だけれど、『リマインド・ミー・トゥモロー』はひとりの人間のなかにこそ複雑な多層性があることを音の感触とエモーションの幅広さで証明する。
 底を這う低音とノイズが感情の爆発を導く“Hands”はその狂おしさ自体のパワーに圧倒されるナンバーだし、彼女が新たに得た家族について歌ったラストの“Stay”は穏やかさと幾らかの不安の間の感情が解決を見せないまま終わる。自らで自らをラベリングしなくても、ジャケットの散らかった部屋のように混沌とした感情表現がここにはあって、それが彼女の音楽にポジティヴな力を与えている。年を取るということは割り切れない感傷やしがらみを増やしていくことなのかもしれないけれど、そうやってわたしたちは新たな場所へ向かっていくのだと。

空間現代 - ele-king

 昨秋坂本龍一とのコラボLPが話題になった空間現代ですが、そのときから噂になっていたリリースがついに実現! 来る4月26日、〈Editions Mego〉傘下のレーベルで Sunn O))) のスティーヴン・オマリーの主宰する〈Ideologic Organ〉から、じつに7年ぶりとなる空間現代のオリジナル・アルバム、その名も『Palm』が発売されます。同バンドにとっては初の海外リリースです。録音とミックスは goat やテニスコーツなども手がける西川文章、マスタリング&カッティングはラシャド・ベッカー。現在、〈Editions Mego〉の SoundCloud にて新曲“Singou”が公開されています。出だしからもうかっこいい……。

 なお、空間現代はこの3月からアメリカ・ツアーも開催中で、アルヴィン・ルシエやアート・アンサンブル・オブ・シカゴも出演する《Big Ears Festival》への出演も決定しています。詳細は下記よりご確認を。

[Album Information]

空間現代(Kukangendai)
『Palm』

Format: LP / Digital
Label: Ideologic Organ / Editions Mego
Cat no: SOMA032
発売日: 2019年4月26日

1. Singou
2. Mure
3. Menomae
4. Hi-Vision
5. Sougei
6. Chigaukoto wo Kangaeyo

Recorded and mixed by Bunsho Nisikawa
Recorded at Soto, Kyoto JP
Mastered and cut by Rashad Becker at Dubplates & Mastering Berlin
Photographs by Mayumi Hosokura
Graphic design by Shun Ishizuka

https://editionsmego.com/release/SOMA032

[Tour Information]

March 10 Pioneer Works, Brooklyn // SECOND SUNDAYS 4-9PM // Kukangendai 7-8PM
https://pioneerworks.org/programs/second-sundays-march-2019/
https://www.facebook.com/events/413208172757505/

March 17 The Half Moon, Hudson
https://thehalfmoonhudson.com/

March 21 Big Ears Festival, Knoxville
https://bigearsfestival.org/

March 23 The Lab, San Francisco
https://www.thelab.org/projects/2019/3/23/kukangendai
https://www.facebook.com/events/584462182027642/

希望の灯り - ele-king

 ベルリンの壁が崩壊した時にはまだ7歳だったというトーマス・ステューバー監督がドイツ統一直後のライプツィヒ(旧東ドイツ)を舞台に描く『希望の灯り』。フランツ・ロゴフスキ演じる主人公のクリスティアンは研修先のスーパーマーケットでタトゥーを客に見せてはいけないと最初に釘を刺される。永遠に繰り返されるかと思うほど反復される開店の準備や毎日の労働の場面で、何度も何度もタトゥーを隠そうと袖を引っ張るクリスティアンの仕草はそれだけで順応の儀式であり、統一後のドイツに組み込まれようとする覚悟として彼の意志を伝えるものになっている。東ドイツ時代に彼はどうやらヤクザまがいの生活をしていたようなのだけれど、それについて多くは語られない。ショーペンハウアー風にいえば、どこから来たのかはわからないけれど、どこに行くかだけはわかっている。統一後のドイツとはつまり資本主義社会ということである。日本ではいま水道事業が民営化されるだけでオタオタしていたりするのに、東ドイツは統一後に国がまるごと民営化したわけで、『社会契約論』が吹き飛び「万人の万人における闘争」状態に引き戻されたような精神状態に陥ったに違いない。クリスティアンはとにかく仕事を覚えなければいけない。『希望の灯り』の前半はただひたすら夜間労働の場面が繰り返されるだけで、それだけで最後まで押し切ってしまうアート作品にならないことを祈るばかりであった。

 クリスティアンは極端に口数が少ない。何を考えているのかわからない。最初は周囲の人たちと心を通い合わせる気配もなく、彼の視点を通して得られる視界の狭さだけが印象付けられる。この映画の原題は『In den Gängen (In the Aisles)=通路にて』で、それは彼の人生がスーパーマーケットの一部に集約されていることを意味している。彼は商品を積み下ろすためにフォークリフトの操作を覚え、乱暴に運転するぐらいしか楽しみを見出せない。倉庫に置かれた水槽から魚が飛び出そうとするけれど、結局、飛び出せないシーンは彼の心象風景そのままであり、映画で使用されている音楽がスーパーマーケットで流されがちなクラシックとシュラッガー、そして労働の象徴としてのブルースだけというのも世界の狭さを畳み掛けてくる。駐車場の向こうにはアウトバーンがちらちらと映り込む。クリスティアンに仕事を教えてくれるブルーノ(ペーター・クルト)は東ドイツ時代にはトラックの運転手をしていたといい、その言い方には東ドイツ時代には移動の自由があったけれど、資本主義になった現在、彼にはそれに類する自由がないと言わんばかりの含みがある。(以下、ネタバレ)そしてクリスティアンに仕事を教え終えたブルーノは自殺してしまう。考えてみればアウトバーンも「通路」である。「通路」というのはどこかに通じているから「通路」なのに、クリスティアンたちは「通路」にいることが仕事であり、一生出られないかもしれない場所なのである。

 商品棚の向こう側には同じ店で働くマリオン(サンドラ・ヒュラー)がいる。単調な労働の日々が続くなか、彼は彼女に興味を持ち始める。「通路」に閉じ込められている同士が、そして「休憩室」で一緒にコーヒーを飲む。それだけが邦題にある「希望の灯り」となる。しかし、既婚者であり、夫から暴力を受けていると聞いたマリオンが続けて休みを取ると、クリスティアンは「通路」を飛び出して彼女の家へ向かう。この映画では唯一に近いといえるほどスーパーマーケット以外の場所がスクリーンに映し出され、ただの住宅地は別世界のように見える。そして、クリスティアンはコントロールを失ってしまうものの、その時だけが生き生きとしていたことも確かである。「東ドイツは確かにシュタージがいましたが、独裁者がいた国ではありません。いいところもあった、むしろ今よりも女性は解放されていました」とステューバー監督は語る(パンフレットより)。いま、この映画をつくる意味はノスタルジーだけではないだろう。資本主義がかつてなく肥大し、クリスティアンたちが働くスーパーマーケットがこの世界をすべて覆ってしまったとしたら、それとは違う社会システムの下で暮らしていた人たちの思い出はそれだけで現代に対する批判の要素を持つ可能性がある。邦訳はされていないようだけれど、『通路にて』を著し、ここでは脚本も手がけているクレメンス・マイヤーには『おれたちが夢見た頃』という長編小説があり、東独版『トレインスポッティング』と評されているらしい。ブレクジットやイエローヴェストで急速に可視化されつつあるヨーロッパの下層階級を小説という形でマイヤーはすでに先取りしていたのだろう。

 グローバリゼイションの時代に移動の自由を享受できない人々はもはや奴隷と変わらない。一か八かに賭ける難民たちはどっちの範疇に収めればいいのかよくわからないけれど、『希望の灯り』で描かれる人物たちはスーパーマーケットの全景さえ映されることなく、常に「通路」とセットでしか表現されない。クリスティアンとマリオンは最後にフォークリフトを操作しながら油圧装置から漏れる空気の音が「波の音」に聴こえるという。自殺したブルーノが教えてくれた秘技である。アウトバーンというのは都会から一瞬にして自然の中に戻れるようにとヒトラーが建設した高速道路であり、ドイツ人にとって本物の自然と触れ合うことは過剰なまでの意味を持っている。しかし、クリスティアンとマリオンは本物の自然ではなく、フォークリフトに海の音を聴くだけである。『希望の灯り』という邦題は少し残酷すぎるのではないだろうか。

映画『希望の灯り』予告編

DJ Marfox - ele-king

 いやー、待ってました。前回2016年の来日公演を泣く泣く逃してしまったので、喜びもひとしおです。リスボンで独特のアフロ・ポルトギース・サウンドを展開し続けるレーベル〈Príncipe〉(昨年おこなわれたショウケースの模様はこちらから)、その親分たるDJマルフォックスが再来日を果たします。迎え撃つのは speedy lee genesis、Mars89、Mitokon と、熱い夜になるのは間違いなし。3月22日は渋谷 WWWβ へゴーです。

Local X1 World DJ Marfox

リスボン・ゲットーから世界へと切り込む現代アフロ・ダンス・ミュージックの先鋭〈Príncipe〉のボス DJ Marfox を迎え、《Local World》が再始動。ローカルからは speedy lee genesis、Mars89 (南蛮渡来)、Mitokon (TYO GQOM) が出演。

多様化が加速する社会を背景に、WWW にて繰り広げられる新しいローカルとワールドのインタラクティブなパーティ《Local World》が第12回目を迎え、2019年最初の開催が決定。ゲストにはリスボンの都市から隔離された移民のゲットー・コミュニティで1980年代のアンゴラに起源を持つクドゥーロを起点にアフリカ各都市の土着のサウンドと交じり合いながら独自のグルーヴを形成、Nervoso をゴッドファーザーとし、DJ Nigga Fox、Nídia、DJ Lilocox、Niagara 等の若手を次々と排出、〈WARP〉からのコンピレーションのリリースでも注目され、アフロ・ポルトギースによるコンテンポラリーなダンス・ミュージックとして世界へ切り込む草分け的レーベル〈Príncipe〉よりシーンの立役者でもある DJ Marfox が登場。ローカルからの文脈というDJのアートフォームを通じフレッシュな様式美を捉える speedy lee genesis、ブリストルの〈Bokeh Versions〉からのEP「End Of The Death」の高評価を皮切りに、中国デビューやパリコレのデビューなど躍進を続ける Mars89、南アフリカを訪れ、そのサウンドとカルチャーを発信し、KΣITOとの新パーティ《TYO GQOM》でも活躍する Mitokon が出演。近年のベース・ミュージックとの融合からカリブを経由しヒップホップやハウスへも浸透、グローバルな展開を見せ、勢い余る新世代アフロの圧倒的なエナジーとグルーヴを体感してほしい。

Local X1 World DJ Marfox
2019/03/22 fri at WWWβ

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

DJ Marfox [Príncipe / Lisbon]
Mars89 [南蛮渡来]
speedy lee genesis
Mitokon [TYO GQOM]

※You must be 20 or over with Photo ID to enter.

詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/010806.php
前売: https://jp.residentadvisor.net/events/1234468

「この街、そしてその郊外、プロジェクト(低所得者用公営団地)、スラム街から発信される100%リアルなコンテンポラリー・ダンス・ミュージックをリリースする」

リスボンのゲットー・サウンド 特集@RA
https://jp.residentadvisor.net/features/2070

Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Howie Lee & Nídia
Local X1 World DJ Marfox

https://twitter.com/wwwb_shibuya
https://www.facebook.com/WWWBShibuya
https://www.instagram.com/wwwb_shibuya

DJ Marfox [Príncipe / Lisbon]

ポルトガルの首都、リスボンを拠点に活動する DJ Marfox は、近年かの地で盛り上がりを見せているアフロ・ポルトギース・ダンス・ミュージック・シーンの中心人物。元々は DJs Do Ghetto というクルーで活動、その後 Pedro Gomes や Nelson Gomes と出会い、彼らと共にレーベル〈Príncipe〉を始動。自身や DJ Nigga Fox、Nidia などの所属アーティストによる、クドゥーロ、バティーダ、キゾンバといったアフリカ諸国の音楽をルーツに持つ作品を発表する。これまでに〈Lit City Trax〉、〈Warp〉からもリリースされ、TUnE-yArDs や Panda Bear などのリミックス手がけ、2017年のEP「Chapa Quente」〈Príncipe〉は FACT Magazine、Mixmagの「Album Of The Month」として賞賛され、ここ数年はヨーロッパとUKで幅広くツアーをしながら、アメリカ、モスクワ、ブラジルを訪問し、日本、韓国、中国といった東アジア・ツアーも行っている。

https://soundcloud.com/dj-marfox
https://djmarfox.bandcamp.com/releases


speedy lee genesis [Neoplasia]

SPEEDY LEE GENESIS はフレッシュな様式美を捉えるDJです。メインパーティーは NEOPLASIA (東京) です。

https://soundcloud.com/slgene/ethmix


Mars89 [南蛮渡来]

Mars89 は現在東京を拠点に活動している DJ / Composer である。 2016 年にEP「East End Chaos」をリリース。 そして、それを足がかりに 2017 年に「Lucid Dream EP」を Bristol を拠点とするレーベル〈Bokeh Versions〉からダブプレートとカセットテープというフォーマットでリリース。 ダブプレートはリリース後即完売。2018 年にはアジア・ツアーや大型フェスへの出演を経て、〈Bokeh Versions〉から 12インチ「End Of The Death」をリリース。Resident Advisor のレビューでは 4.0 を獲得し、あらゆるラジオで繰り返しプレイされた。Tokyo Fashion Week 2017A/W ではキービジュアルとなった映像の音楽を、2018S/S では Growing Pains の Show の楽曲を担当。Bristol の Noods Radio ではレジデントをつとめている。

https://soundcloud.com/mars89


mitokon

2008年に初めて南部アフリカの地を踏みしめて以来どっぷりとアフリカにのめり込み、南アフリカを中心に毎年アフリカへ通うようになる。その間にアフリカの若者たちが作る洗練された音楽に出会い、その面白さに感動。アフリカで次々と生まれる新しい音楽やカルチャー、希望を日々追いかけ、まだ日本ではあまり知られていない現行アフリカ音楽の情報をSNSや音楽誌、ウェブコラムへの寄稿等で発信し続けている。2017年にDJ活動を開始。Gqom やクワイトなど南アフリカのダンス・ミュージックを中心にプレイし、アフリカの強烈なグルーヴに人々を巻き込み、踊らせている。


Taquwami - ele-king

 トーフビーツやセイホーなどからリスペクトを集め、ジェシー・ルインズのリミックス盤にも参加、ハウ・トゥ・ドレス・ウェルやラパラックスなどの来日公演にも出演してきた日本のプロデューサー、Taquwami が限定盤CDをリリースする。タイトルは『31』で、昨年10月にライアン・ヘムズワースの〈Secret Songs〉から毎日1曲(!!)というペースで発表してきた曲をまとめたもの(新曲も追加収録)。発売日は未定だが、3月21日に決定しているリリース・パーティにて先行発売される。会場は CIRCUS Tokyo で、RLP や荒井優作、新進気鋭のTakao、昨年末に食品まつりによるリミックス入りの7インチを出した NTsKi が出演。春分の日はこれに決まり!

Taquwami “31” Release Party

東京を拠点に活動するプロデューサー /ビートメイカー、Taquwami が昨年10月に Ryan Hemsworth のレーベル〈Secret Songs〉から毎日1曲ずつ、全31曲をリリースするという前代未聞の企画を敢行。
その音源をコンパイルし、未発表の新曲2曲をボーナスに加えた限定盤CDリリースの決定に伴い、リリース・パーティ&CDの会場先行発売が急遽決定。
Taquwami のライヴは2017年の6月以来、実におよそ2年ぶり。是非お観逃しなく。

日程:3/21(木・祝日)
会場:CIRCUS Tokyo
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:ADV ¥2,900 / DOOR ¥3,400(別途1ドリンク代)
TICKET:e+ / RA / Peatix

出演:
Taquwami
RLP
荒井優作
Takao
NTsKi

以下のフォームから前売り受付中↓
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/top/news/taquwami-31/

Artist: Taquwami
Title: 31
Label: PLANCHA / Secret Songs
Cat#: ARTPL-114
Format: 2CD(初回プレス限定盤)
※ボーナス・トラック2曲収録
※各曲のアートワークによる32Pブックレット
※日本のみでCD化

Release Date: TBA ※2019/3/21レコ発にて先行発売
Price (CD): 2,300yen + 税

DISC 1
01. Ag 光
02. Chura
03. YDA
04. 雲凹
05. Ultra Sad
06. Liltra Sad
07. Moon Light, Bamboo
08. White Smoke, Turtle
09. Think
10. Wade
11. Long Kigo I
12. Long Kigo II
13. Long Kigo III
14. Long Kigo IV
15. Long Kigo V
16. Stay

DISC 2
01. 海e6b5b7
02. 空e7a9ba
03. 山e5b1b1
04. 森e6a3ae
05. 風e9a2a8
06. Mikai
07. Unjyo
08. Apple
09. Kyoui
10. Shukufuku
11. Yasuraka
12. Teni Ireru
13. I Can Change / Only In Dreams
14. Happiness / The Bluffer
15. Pierce
16. Drift (Bonus Track)
17. Bye (Bonus Track)


RLP:

東京出身のビートメイカー/DJ。
プロデューサー・コレクティヴ、“COSMOPOLYPHONIC”のCo-founder。


荒井優作 / Yusaku Arai:

1995年生まれ、神奈川県在住。
パキッた自我を解き解すべく活動。


Takao:

92年生まれで東京に住んでいます。主にPCで音楽を製作しています。
楽器を弾くのも好きで、ピアノをときどき弾いています。最近は去年買ったウィンドシンセを弾いたりしています。
作品としては、2018年に初のアルバム『Stealth』を〈EM Records〉からLP / CD / Digital配信 でリリースしました。URL:https://emrecords.bandcamp.com/album/stealth
また、Masahiro Takahashi 主催のコンピレーション・アルバム、『Sound Journal:Do-Nothing』に参加しました。URL:https://soundcloud.com/takaoo/good-timessound-journal-do-nothing
Masahiro Takahashi さんとは今年の1月に Liquid room で行われた蓮沼執太フィル《ニューイヤーコンサート2019》にサポートをお願いして一緒に出演しました。
Taquwami さんの新作『31』のCDリリースおめでとうございます! 二年ぶりとなるライブも非常に楽しみであります。よろしくお願いします!


NTsKi:

京都出身のSSW/プロデューサー。シングル「H S K」「Fig」「真夏のラビリンス」「Tree Song」「1992」をセルフリリース。どこか不気味さの漂うボーカルと多様な音楽性が混在するトラックは唯一無二であり、個人での制作以外にロサンゼルスのレーベル〈TAR〉から食品まつり a.k.a Foodman とのコラボ楽曲を発表した。また blue OG natsuki 名義でラップも行うなど、あらゆる枠を飛び越えシームレスに活動している。


第二回:俗流アンビエント - ele-king

 さて、第一回でも触れたとおり、そんな風にネット上に新たに生まれてきたコミュニティで出会った人びとからの触発も絡み合いながら、その頃私はブックオフの売り場で、ふとシティ・ポップ以外にも視線を向けてみようかなと考えたのでした。折しも渋谷のブックオフ(CLUB QUATTRO階下の大型店舗。R.I.P.)が閉店に向けて売り場整理をはじめている折で、ちょうどその頃Visible Cloaksの活動や彼らの啓蒙、あるいは様々なレーベルから過去作がリイシューされたりというニューエイジ〜アンビエントの復興に興味をいだいていた私は、「もしかしたらブックオフの捨て売りコーナーにもなにか面白いものがあるのでは?」と思い、ヒーリング/ニューエイジコーナーを探ってみたのです。セール開催中だったこともあって、280円の8割引という暴力的な安値で投げ捨てられていたそれらの中には、エンヤやディープ・フォレスト、エニグマといった大御所(そういうモノに用はないのです……)に混じって、正体不明の(とそのときは思っただけど後に調べていくと界隈では名のある作家だったりする)日本人アーティストや、さらには安眠、リラックス、集中力強化、ダイエットなどの効能を謳ったいわゆる〈実用的〉なヒーリングCDなどが相当数あり、何枚か買ってみたのでした。

 さて、自宅に帰ってそれらのCDをなんとなく再生してみると……まさしく前述のようなVaporwave以降に興ってきたニューエイジ・リヴァイヴァルの心性に驚くべきほどにフィットしたのです。思えばこれは当たり前の話というか、EccojamsやUtopian Virtual 、Mallsoftなどの細分ジャンルに顕著なように、Vaporwaveが胚胎する諧謔性(もっといえば反動性といってもよいかもしれないですが)は、このコラム・シリーズの表題にもなっている所謂〈ミューザック〉や〈BGM〉、〈エレヴェーター・ミュージック〉、〈実用音楽〉、のような、ハードなリスニングをすり抜けるものを価値逆転的に音楽要素として取り込もうとするベクトルを持つものでもあったのですから。だから、2018年に、90年前後に量産された日本ドメスティックのヒーリング音楽を消費するという行為自体、この諧謔性の引力に引き寄せられる他ないし、むしろだからこそ、これまで批評的には無価値とされてきたこれらの音楽が、いってみれば〈価値の向こう側〉から亡霊のように復権してきたというわけなのでしょう。あの時代(主にバブルの時代)に夢見られた、輝かしき社会と〈健全〉な精神、それを磨き上げるための夢想的BGM。かつて抱かれ、いまは朽ち果てた夢からは、不思議と甘い香りがするのです。当初こうした音楽に対して私の中にあった嘲笑はいつからか耽溺にとってかわり、そのバランスの間で微妙な緊張感を保ちながら、どんどんと掘り進んでいくことになります。そのころ私は、そうした背反的な感情を反映する名称として、こうした音楽を〈俗流アンビエント〉と呼びはじめるようになりました。(*)
 
 そうやって暇さえ見つけては未踏のブックオフに向かい、ヒーリング/ニューエイジ・コーナーを突っつく日々を続けながら、ちらほらと漁盤報告をツイッターなどに挙げていると、意外にも少なくない人たちから反応があったりしました。半分くらいは旧来の友人たちからの好奇の目でしたが、ここでもやはり前述の台車さんやタイさんなどのディガーたちからのアクションがあったと記憶しています。そんななか、前述の捨てアカウントさんから一通のDMをもらうことになります。曰く、私のディグ活動に興味を持っていること、〈俗流アンビエント〉という概念へのシンパシー、そして、Local Visionsのミックスシリーズで〈俗流アンビエント〉ミックスをアップしませんか、云々……。
 このミックスシリーズでは、それまでも台車さんによるオブスキュアなシティポップのミックス、そしてモ像さんによるゲーム音楽ミックスがアップされており、Vaporwave以後における音楽ディグの注目すべき流れとしてそれらを愛聴してしていた私は、このオファーを一も二もなく快諾したのでした。
 そういう経緯を経て、〈俗流アンビエント〉ディグのそれまでの成果として、昨年秋にアップされたのが、“Music for the Populace:The World of Commercial Ambient Music in Japan 1985-1995”(邦題:「ストレスを解消し、心にLoveとPowerを… 日本の商業アンビエントの世界 1985-1995」)と題された以下のミックスです。

 一概に〈俗流アンビエント〉といっても、その作風はさまざまで、なかには本当に聴くのがツラくなってくる退屈なものもあるのですが、このミックスは導入編と位置づけ、アンビエント音楽としての完成度とともに、うっすらとでもビートがあるもの、あるいはバレアリックな質感を持つもの、フュージョンに片足を突っ込んだもの、より敷衍的にいえばニューエイジ・リヴァイバル以降の感覚で面白く聴けるであろう楽曲を選んでいます。
 大変ありがたいことに、Local Visionsの発信力もあり、このミックスは思いの外様々な方々に楽しんでもらったようで、末にはロック・バンドBase Ball Bearの小出祐介さんの耳にも達し、11月にはTBSラジオの人気番組『アフター6ジャンクション』で特集されるという予想外の展開に至るのでした……。俗流アンビエントという概念の周辺を紹介するにあたり、Vaporwaveにも触れながらVektroid(a.k.a. Macintosh Plus)の「リサフランク420 現代のコンピュー」をオンエアしたこともあり、そういった界隈でも話題にしていただいたようです。

 いま思い返すに、昨年2018年にかけては、サブスクリプション・サービスの本格的浸透と並行的なものとして、例えば、竹内まりや「プラスティック・ラブ」のYouTubeアルゴリズムによるスタンダード化などがあるとおもうのですが、ある種それらへの反射として、ネットでは聴くことのできないものを執拗に追い求めるという行為、それまで個々人の活動としてディープなレベルに点在していたそういうものが、表層にあらわれてきた期間と捉えることも可能かもしれません。その渦中における静かな熱狂を経た2019年のいま、そのような見取りを冷静に置いてみたい気持ちになっています。
 これまで共有されてきた価値、例えば神話的な作家性であったり、既存システム/産業内でいうところの〈クオリティ〉であったり、唯一的なもの、記名的なものの絶対性、そういうものが揺らぎ出してしまって久しいいま、そういった価値の〈向こう側〉から、未体験のものとして、自分でない誰かがかつて夢見た音楽が、大規模に蘇りつつある。私達がかつて夢見てきた〈未来〉が失われていく、その喪失感を癒やすために、〈かつて観られた夢〉は媚薬として、蠱惑として、我々をうっとりさせるのかもしれません。これは一種の逃避なのでしょうか。オピウムなのでしょうか。それともさまよいゆく現代を有効に診断する検査薬でもありうるのでしょうか。

次回へ続く……


 この時期発掘したCDで、従来の批評的価値の向こう側からやってきた究極の盤は、上述のTBS『アトロク』でも紹介し反響があった、100円ショップダイソーが(おそらく2002年前後)にオリジナルで作成して自社店頭で販売していた〈100円アンビエント〉のCD『アンビエント・リラクゼーション VOL.2』です。当時ダイソーは(今でも一部店舗で展開していますが)、クラシック名曲や落語などを手軽に編んだCDを大量にリリースしていたのですが、その一環として、なんとオリジナルのアンビエント・ミュージックも制作していました。(同シリーズではこのvol.2を含め計2枚リリースされていたよう。好事家によると、vol.1の方はアンビエント的にはたいしたことないらしいけれど…)。
 2002年といえば折しもスピリチュアル・ブーム華やかりし頃、いかにも抹香臭い音楽内容を想像しますが、これがなかなかどうして相当に良質なアンビエントなのです。ブライン・イーノから続くアンビエントの正統を押さえながらも、アンビエント・テクノや同時代のエレクトロニカとも共振するこの音楽を制作した作者は不明(クレジット記載なし)。おそらくギャラ一括払いの〈買い取り仕事〉というやつだと思いますが、少なくとも才能のあるミュージシャンがかなりの力量を注いで作ったものであることは間違いないでしょう。
 ちなみに、私はこのCDを渋谷のレコファンにて108円で入手(中古)しました。新品同様価格です。

Lee "Scratch" Perry - ele-king

 ついに御大が動き出す。まもなくコンピレーション『Pay It All Back Volume 7』を発売する〈ON-U〉から、今度はなんとリー・ペリーがニュー・アルバムをリリースするとの情報が飛び込んできた。エイドリアン・シャーウッドも音の面でがっつり関わっているらしい。タイトルは本名の「Rainford Hugh Perry」からとられていて、どうやら彼のパーソナルな側面も打ち出された作品に仕上がっているようだ。現在、『Pay It All Back Volume 7』にも収録される新曲“African Starship”が公開中。

本名を冠した最新アルバム『RAINFORD』を
〈ON-U SOUND〉から日本先行リリース決定!
新曲&トレーラー映像公開! Tシャツ・セットの発売も決定!

伝説の中の伝説、リー・スクラッチ・ペリーが、盟友エイドリアン・シャーウッドと再びタッグを組み、自らの本名を冠した最新アルバム『Rainford』を4月26日(金)にリリースする。発表とともに、新曲“African Starship”が公開された。本作は、エイドリアン・シャーウッドが操縦桿を握り、ジャマイカ、ブラジル、ロンドンで録音された最新音源が収録される。

Lee “Scratch” Perry - African Starship
https://soundcloud.com/on-u-sound-records/lee-scratch-perry-african-starship/s-q6yZV

トレーラー映像はこちら!
https://youtu.be/QCMLNAUsz0s

これは今までリーが作った中で最も私的なアルバムであると同時に、音楽的発想はすごく新鮮で、こういった作品を完成させられたことを非常に誇りに思っている。 ━━エイドリアン・シャーウッド

レゲエ界のみならず、全音楽史を見渡しても、リー・ペリーが、他に類を見ないほどの偉人であることは、もはや説明不要だろう。巨匠ブライアン・イーノが「録音音楽屈指の天才」と称するグラミー賞プロデューサーであり、キース・リチャーズからデヴィッド・リンチ、ザ・コンゴスからザ・クラッシュ、ジュニア・マーヴィン、ビースティ・ボーイズなど、多くのアーティストのコラボレーターであると同時に、80歳を超えた今もなお、その革新的な姿勢で、多くのファンを魅了する伝説の存在だ。

一方エイドリアン・シャーウッドは、80年代から90年代にかけて確立したそのレフトフィールドなサウンドを通して、UKダブを当時最も先進的なサウンドとして世界に広めると同時に、後の音楽史に多大な影響を及ぼしたプロデューサーとして、40年近く第一線で活躍。ナイン・インチ・ネイルズ、プライマル・スクリーム、ブラー、デペッシュ・モード、ザ・フォール、ルーツ・マヌーヴァといった多様なアーティストたちとコラボレートし、自身の武器であるミキシング・デスクを通して、唯一無二のサウンド・サイエンスを提供してきた。

リーとエイドリアンの友情は1980年代半ばまで遡る。ふたりはアンダーグラウンドのラジオ界における伝説的人物スティーヴ・ベイカーの仲介で出会った。この出会いが、『Time Boom X De Devil Dead』や『From The Secret Laboratory』といった〈On-U〉の傑作や、リーが生き生きとしたヴォーカルをダブ・シンジケートのレコードに吹き込むといったことに繋がる。今回完成した『Rainford』は、2年以上に及ぶ制作の成果で、ふたりが信頼を寄せる一流ミュージシャンたちと共に、三つの国でレコーディングされている。後世に残る作品を作ろうという決意で臨んだ今回、シャーウッドはこの作品をリック・ルービンがジョニー・キャッシュと組んで〈American Recordings〉からリリースした一連の作品になぞらえ、アルバムのタイトルに本名が使われていることからも明らかなように、リーにとって、かつてないほどパーソナルな作品であると共に、間違いなくリーのキャリアの中でも最も力強い作品の一つとなっている。

アルバムの1曲目を飾る“Cxricket On The Moon”の雰囲気あるフィールド・レコーディングとワウペダルを使ったギター、ゴシック調のチェロをあしらった“Let It Rain”、“Makumba Rock”の刻まれ圧縮された管楽セクション、そしてアルバム全般に渡って天のコーラスのように響く、レイヤーが重ねられ注意深くアレンジされたバック・ヴォーカル、本作では、すべてのグルーヴとディテールにふたりの音楽愛が注がれている。アルバムを締めくくる“Autobiography Of The Upsetter”では、1930年代の植民地時代のジャマイカの農園で育った子供時代から世界的スーパースターになるまでの人生のストーリーをリー自身がナレーションで語る。なお、国内盤CDにはナレーション訳が封入される。

リー・スクラッチ・ペリーの最新作『Rainford』は、4月26日(金)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Heaven And Hell”が追加収録され、“Autobiography Of The Upsetter”のナレーション訳を含む解説書が封入される。数量限定でオリジナルTシャツとのセット販売も決定。iTunesでアルバムを予約すると、公開中の“African Starship”がいち早くダウンロードできる。また限定輸入盤LPは、争奪戦必至のゴールド・ヴァイナル仕様となっている。

label: On-U Sound / Beat Records
artist: Lee "Scratch" Perry
title: Rainford
release date: 2019.04.26 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-596 ¥2,400+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-596T ¥5,500+税
限定盤LP(ゴールドディスク)ONULP144X ¥OPEN

TRACKLISTING
01. Cricket On The Moon
02. Run Evil Spirit
03. Let It Rain
04. House Of Angels
05. Makumba Rock
06. African Starship
07. Kill Them Dreams Money Worshippers
08. Children Of The Light
09. Heaven And Hell (Bonus Track for Japan)
10. Autobiography Of The Upsetter

JH1.FS3 - ele-king

 2019年に突入しても〈Posh Isolation〉が発表したクロアチアン・アムール 『Isa』、〈Alter〉からリリースされたクリストフ・デ・ババロン『Hectic Shakes』、〈Blackest Ever Black〉から出たブラック・レイン「Computer Soul EP」など、世界の表層と内面に蠢くような同時代的無意識を反映したモダンなノイズ・ミュージックのリリースが相次いでいる。
 これらのオルタナティヴなノイズ音響作品は現代世界特有の先の見えない不安を体現しつつも、「音楽であること」に対してことさらに抵抗していないことが特徴である。むしろ積極的に「音楽」と融合しようとすらしている。これは反動ではない。「抵抗への意志」が変化してきたというべきかもしれない。

 〈Posh Isolation〉、〈PAN〉などの先端的レーベルからのリリースで知られる現代ノイズの象徴存在ピュース・マリー(Puce Mary)=フレドリッケ ・ホフマイヤー(Frederikke Hoffmeier)とUSのハードコア・パンク・バンド HOAX の元メンバーで、リーベストート(Liebestod)のジェシー・セーン(Jesse Sane)によるインダストリアル・ノイズ・デュオ JH1.FS3 の新作『Trials And Tribulations』もそのような「ノイズの同時代性」の中に位置づけられる作品だった。リリースは近年、メルツバウ/ヘキサ、コイル、ソノイオなどのアルバムで知られる〈Dais Records〉からというのも興味深い。

 https://jh1fs3.bandcamp.com/album/trials-tribulations

 彼らは2015年に自主レーベルでカセット『Silence.DOM』を送り出し、2017年にはヨアヒム・ノードウォール(Joachim Nordwall)率いる〈iDEAL Recordings〉からアルバム『Loyalty』をリリースした。どこかソワー・エレクション(Sewer Election)的ともいえる幽玄かつ物質的な音のアトモスフィアに耳が惹きつけられた。

 https://jh1fs3.bandcamp.com/album/loyalty

 2017年には自主レーベルでカセット『Allegiance』、2018年には〈iDEAL Recordings〉の20周年記念コンピレーション・アルバム『The Black Book』にも参加したが、アルバムとしては本作『Trials And Tribulations』が約2年ぶりの作品となる。ピュース・マリーはコペンハーゲンの〈Posh Isolation〉から2016年に発表した『The Spiral』、ベルリンの〈PAN〉から2018年にリリースした『The Drought』などが高評価を受け、加えて〈Warp〉からの話題作イヴ・トゥモア『Safe In The Hands Of Love』(2018)への参加など、彼女への注目度が高まっている時期ということを考慮すると非常に重要なリリースに思えるのだが、本アルバムは当然ながら JH1.FS3 の作品であり、それぞれソロ作品と安易な比較は意味はなさないことは言うまでもない。
 では JH1.FS3 的な音とは何か。先にソワー・エレクションと同質な音と書いたが、つまりはスウェーデン的なノイズ音響のムードなのである。いわば冬のイメージだ。冷たく乾いた空気感。さらにはノイズのコンポジションに構成美があるという点も重要である。これは〈Posh Isolation〉、〈PAN〉などから作品を発表するアーティストに共通の傾向で、現代的ノイズ・ミュージックに共通する意識といえる。ノイズ・ミュージックは紛れもなく反=音楽として生まれたものだが、先に書いたように2010年代のノイズ・アーティストにとって「音楽」であることは、ことさらに抵抗すべきものではなくなったのだろう。ノイズの発生とエモーショナルの結晶体としての音楽の融合を恐れていない。
 私は『Trials And Tribulations』のサウンドを聴いて、同時代のモードにアクセスする感覚を強く持った。1曲め“Far From Spring”などは、まさに2019年の「世界」が軋みを上げ唸っているかのようなトラックである。JH1.FS3 はコラボレーションといっても安易な融合というより異質な存在が異なったまま拮抗・存在するような印象だが、“Far From Spring”はジェシー・セーンの硬いノイズ特性とフレドリッケ ・ホフマイヤーの官能的なノイズが拮抗しつつ存在するような曲に仕上がっており、アルバムのオープニングに相応しいトラックであった。
 物音を変調させたサウンドに、ピュース・マリー=フレドリッケ ・ホフマイヤーのポエトリー・リーディングが重なる2曲め“Every Little Detail”もギシギシと軋むようなジェシー・セーン的なノイズ・ドローンを展開する。冒頭2曲で聴き手をアルバムの荒廃したムードの世界観に引きずり込んでいく。
 3曲め“Aleppo In Headlines”と4曲め“The Chaos Of Illusions”はシンプルにして不安なベースやリズムが入り、ノイズ、ドローン化した瀕死のハードコアといった趣の曲が展開し、音楽的な構造もより明確になる。以降、アルバムはこのトーンを基調としながら展開する。
 同時にふたりのノイズが融解していくような感覚が生まれてくる。7曲め“At The Bottom Of The Night”におけるノイズと環境音とヴォイスの高密度なミックスは、JH1.FS3 というユニットが新しいサウンドを発見したかのような印象を持った。ピュース・マリー=フレドリッケ ・ホフマイヤーの声の透明なカーテンのような響きの存在感が際立つ。続く古いラジオ音声のような音にさまざまなノイズの残骸がレイヤーされ、微かに聴こえる声が生々しくエディットされる8曲め“Pipe Talk”にも注目だ。ヴィデオも制作された本トラックは、亡霊のような声とノイズが音響空間の中を動きまわり、さまざまな環境音がまるで粉々に砕かれるように鳴り続ける。

 “Infinite Emptiness Of A Heavy Heart”と“Nice”のラスト2曲ではノイズのむこうに「旋律」がついに姿があらわす。アルバムの終わりを飾る2曲はサウンドもさらに細やかになり、まるで記憶の逆回転のように展開する。

 『Trials And Tribulations』は、エモーショナルなノイズと精密なサウンド・コンポジションによって世界を高密度にスキャンしていくような印象をもたらすアルバムである。激情と冷静の果てにある荒涼としたアフターモダンな地平のごときサウンドとでもいうべきか。
 「不満と不穏の時代」、音楽家はそれぞれの実存をかけて作品を制作している。となれば聴き手もまた安易な分類の誘惑に抗いながら自身の実存をかけて聴取すべきはず。むろん強靭な同時代性ゆえ、数年後に聴くとまた違った印象を持ってしまう作品かもしれないが、変動の時代の渦中にあって、蠢く世界のムードを摂取するように聴取すべきアルバムであることに違いはない。

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