「IR」と一致するもの

Caribou - ele-king

 カリブーとはいえば、ハウス・ミュージックにエレクトニカのセンスを取り入れて、じつに楽しいダンス・ミュージックをつくってきたダン・スナイスの主要プロジェクトである。我々は2010年の『 Swim』を忘れていないし、2014年の『Our Love』だってそう。だから、『Suddenly』以来の新作を楽しみしている。
 また、カリブーは、単独来日(10月14日@Spotify O-EAST)と朝霧JAM(10月12日〜 13日)の出演も決定している。

CARIBOU
Honey

PLANCHA / City Slang
2024年10月04日発売
※解説・歌詞・対訳付き予定


'Honey' cover art. Art direction and photography by JasonEvans. Design by Matthew Cooper

TRACK LIST

01. Broke My Heart
02. Honey
03. Volume
04. Do Without You
05. Come Find Me
06. August 20/24
07. Dear Life
08. Over Now
09. Campfire
10. Climbing
11. Only You
12. Got To Change

CARIBOU – Honey
YouTube

CARIBOU – Broke My Heart (Video)
YouTube
Video directed by Richard Kenworthy of Shynola.

CARIBOU – Volume [Video]
YouTube
Video directed by Richard Kenworthy of Shynola.


CARIBOU

日程:2024年10月14日(月・祝)
会場:Spotify O-EAST
時間:開場 18:00 / 開演 19:00
前売料金(税込):8,500円 *別途1ドリンク代金必要

ARTIST:
CARIBOU

オフィシャル先行受付:受付終了
https://eplus.jp/caribou/

一般:発売中
https://w.pia.jp/t/caribou/
https://l-tike.com/caribou/
https://eplus.jp/caribou/

※お一人様4枚まで
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要

企画・制作:SMASH

お問い合わせ:SMASH
HP smash-jpn.com
TEL 03-3444-6751

Godspeed You! Black Emperor - ele-king

 Godspeed You! Black Emperorが新作『No Title As of 13 February 2024 28,340 Dead』のリリースを発表した。欧米では10月4日に発売。
 また、アルバムのリリース発表に際して、あらたなステイトメントも発表した。

明白な真実
我々はそのなかを漂い、議論した
毎日が新しい戦争犯罪で、
毎日が花を咲かせる
私たちは一緒に座り、
ひとつの部屋でそれを書き、
そして別の部屋に座って録音した

タイトルはない=小さな体が倒れながら、どのようなジェスチャーが意味をなすのか? 
どのような背景があるのか?
どのような壊れたメロディがあるのか?
そして、線上の一点を示すための集計と日付、
負のプロセス
増え続ける山
灰のベッドに沈む太陽

我々が一緒に座って議論しているあいだ
旧世界秩序はかろうじて気にかけるふりをした
新世紀はさらに残酷になるだろう
戦争がはじまる
諦めるな
どちらかを選べ
がんばれ
愛を
GY!BE


“No Title As of 13 February 2024 28,340 Dead”:

01 Sun Is a Hole Sun Is Vapors
02 Hole Sun Is Vapors Babys in a Thundercloud
03 Raindrops Cast in Lead
04 Broken Spires at Dead Kapital
05 Pale Spectator Takes Photographs
06 Grey Rubble – Green Shoots


8月のジャズ - ele-king

 カナダのトロント出身のバッドバッドノットグッドは、純粋なジャズ・バンドということではなく、基本的にインストのジャム・バンドであり、ジャズのほかにもオルタナ・ロックやパンク、ヒップホップやファンクなどのさまざまな要素が混在している。自在な即興演奏が彼らの軸で、活動初期は実際のライヴ・レコーディングを音源としてリリースしていた。ナズからジェイムズ・ブレイクに至る独特のカヴァーやパンクのような縦ノリのライヴが話題を呼び、2010年代初頭から着実にファンを増やしていく。


BADBADNOTGOOD
Mid Spiral

XL Recordings / ビートインク

 基本的にはベース、キーボード、ドラムスのトリオとして出発したが、ゴーストフェイス・キラーとの共演などほかのアーティストとのコラボレーションも増え、メンバー交代やサックス奏者の加入などの変遷を経て、進化を続けている。2016年の『IV』あたりからは、演奏技術だけでなく作曲やアレンジ面での成長が著しく、ミック・ジェンキンスやシャーロット・デイ・ウィルソンといったラッパーやシンガーたちとのコラボにより、単なるインスト・バンドではなくトータルの音楽性で聴かせるバンドへと変貌してきている。そうした成果が表れたのが2021年の『Talk Memory』で、ブラジルのレジェンドであるアルトゥール・ヴェロカイほか、ララージテラス・マーティン、カリーム・リギンズ、ブランディ・ヤンガーら多彩なゲストを招き、特にヴェロカイがアレンジしたストリングス・セクションとの融合による素晴らしい世界を披露していた。

 それから3年ぶりの新作が『Mid Spiral』で、もともと3枚のEPでリリースされた連作を1枚にまとめたアルバムとなっている。今回はシンガーなどが入らず、インスト・バンドとしてのバッドバッドノットグッドに原点回帰したものだ。そして、特徴として挙げられるのはラテンであり、ヴェロカイとの共演が作用したのかどうかはわからないが、中南米的なリズムや音楽構造が随所に表れている。スペイン語のカウントではじまる “Juan’s World” が筆頭で、土着的なフルートやパーカッションをフィーチャーしたラテン・ジャズ/フュージョン調のナンバー。今回はトロントやロサンゼルスのセッション・ミュージシャンもいろいろと録音に参加しているが、パーカッション奏者はラテン系のミュージシャンで、そうした人選からもラテンを意識している点がうかがえる。

 “Sétima Regra” も同様にラテン風味のメロウなジャズ・ファンク/フュージョンで、1970年代のデオダートあたりのアレンジに近いところを感じさせる。“Your Soul & Mine” や “First Love”、“Audacia” も1970年代の〈CTI〉のジャズ・ファンクやフュージョン的だが、隠し味的にラテンのエッセンスが加わっている。ボサノヴァのリズムの“Sunday Afternoon’s Dream” にしても、スローなジャズ・ファンクとシャッフル・ビートを行き来する “Eyes On Me” にしても、もラテン音楽特有のメロウなフィーリングが溢れている。前面にラテン色を打ち出すのではなく、ジャズやファンクなどとミックスさせて洗練した味付けを施した作品が多いようだ。ゆったりとしたスピリチュアル・ジャズ調の “Celestial Hands” にも仄かなラテン・アクセントが加わり、クルアンビンがスピリチュアル・ジャズをやったような作品となっている。


Thandiswa
Sankofa

King Tha Music / Universal Music

 ンドゥドゥゾ・マカティーニマルコム・ジヤネリンダ・シカカネと、ここのところ南アフリカ共和国出身のミュージシャンによる作品を紹介してきているが、キング・ターの異名を持つタンディスワ・マズワイも南アフリカ出身のシンガー・ソングライター。1990年代よりボンゴ・マフィンというグループで活動し、クワイト系のダンス・バンドとして南アフリカのゲットーの若者たちの間で絶大な人気を得て、数々の音楽賞も受賞してきた。アメリカなどワールド・ツアーもおこない、スティーヴィー・ワンダーやチャカ・カーンなどのビッグ・スターとも共演を果たすが、タンディスワは2000年代半ばに脱退。ソロ・シンガーに転向してリリースした最初のアルバム『Zabalaza』(2004年)は、全体的にはネオ・ソウル風のアルバムではあるが、南アフリカに根付くジャズやフォーク・ミュージックの要素を取り入れた自身のルーツを主張するものだった。
 高評価を得た『Zabalaza』に続くセカンド・アルバムの『Ibokwe』も大きなセールスを記録し、この2枚でタンディスワはソロ・シンガーとしても大きな成功を収めることになる。南アフリカはじめ欧米でも高い評価を得ることになった彼女の作品は、ジャズ、ファンク、レゲエなどに、クワイトからムバカンガ、コーサ音楽といった南アフリカ周辺を起源とする音楽の要素を交えたもので、しばしば政治的なメッセージを孕む。1976年のソウェト蜂起の年に反アパルトヘイト運動家でジャーナリストの両親のもとに生まれ、ヨハネスブルグのソウェトで育ってきた彼女は、幼い頃から人種差別、貧富や社会的格差が身近にあり、そうした背景が彼女に政治や社会へ目を向けた歌を作ることへと向かわせた。妹のヌツキィとノムサもシンガーやアーティストとして活動するが、特にヌツキィは詩人/作家として社会活動にも参加するなど、家族全員がアクティヴィストとしての顔を持つ。

 南アフリカの巨星のヒュー・マセケラほか、ミシェル・ンデゲオチェロ、ポール・サイモンら大物アーティストと共演をしてきたタンディスワは、2016年の『Belede』ではビリー・ホリデイを意識したようなジャズ・シンガーへの道を歩きはじめる。そして、この度リリースされた新作『Sankofa』では、ミシェル・ンデゲオチェロと同郷のンドゥドゥゾ・マカティーニを共同プロデューサーに迎え、ヨハネスブルグ、セネガルのダカール、ニューヨークで録音をおこなった。
 反アパルトヘイト活動家のスティーヴ・ビコの演説を引用した “Biko Speaks” はじめ、『Sankofa』には政治的なメッセージに彩られている。“Kunzima: Dark Side Of The Rainbow” の終わりでは南アフリカ議会での嘲笑のような音声がコラージュされ、現在の南アフリカ政府への政治不信を示している。“With Love To Makeba” は南アフリカ出身の偉大なるシンガーであるミリアム・マケバに捧げたものであり、反アパルトヘイト活動に傾倒した彼女が国外追放され、その後ギニア大統領の庇護を受けてギニアに移り、音楽活動を継続していった経緯などについても触れている。ちなみに『Sankofa』とは、西アフリカのガーナの言葉で「過去からの学びを未来へ生かす」というような意味。アフリカ系アメリカ人とアフリカのディアスポラの重要なシンボルである鳥の形を示すものとしても知られる。南アフリカ、セネガル、アメリカと3か所で録音し、ミシェル・ンデゲオチェロというアフリカ系アメリカ人の視点も加え、タンディスワの汎アフリカ主義が主張となって表れたアルバムと言えよう。

 音楽的に『Sankofa』の軸をなすのはジャズとアフリカ民謡で、そこにクワイトやムバカンガといった新しい南アフリカの音楽を融合している。“Emini” はマリ音楽のようなビートを持ち、そこにエレクトリックなアプローチを交えたもの。“Dogon” では西アフリカのコラやンゴニといった固有の楽器が用いられるが、これらセネガルのミュージシャンとのセッションはンドゥドゥゾ・マカティーニによってまとめられている。“Children Of The Soil” はアルバム中でもっともスピリチュアルなナンバーで、ビリー・ホリデイとミリアム・マケバの両者から影響を受けたような歌唱を披露する。アフリカの大地から生まれた子どもたちが、政治や貧困に苦しめられる、そんな苦難を歌にした作品であり、黒人奴隷の悲哀を歌にしたビリー・ホリデイやアパルトヘイトと戦ったミリアム・マケバへと繋がるものだ。タンディ・ントゥリのピアノをフィーチャーした “Xandibina Wena” もディープなジャズ・ヴォーカル作品で、動物的で野性的な甲高い歌声が心に残る。


Kavyesh Kaviraj
Fables

Shifting Paradigm

  カヴィエシュ・カビラジはミネソタ州のツイン・シティーズ(ミネアポリス~セントポール)を拠点とするピアニスト/作曲家で、『Fables』はデビュー・アルバムとなる。オマーンでインド人両親の元に生まれた彼は、2歳のころにはすでにピアノをはじめたという早熟児で、南インドのカルナータカ音楽と北インドのヒンドゥスターニー音楽を学んでいった。音楽家である父からはクラシックと現代音楽に関するレッスンを受け、10代に入るとインドに移り住んでスワルナブーミ音楽アカデミーに入学。2016年にツイン・シティーズへ移住し、アメリカで本格的な音楽教育を受ける。2019年からバークリー大学でジャズ専門コースを選択し、ダニーロ・ペレス、ケニー・ワーナー、ジョアン・ブラッキーンらに師事する。2020年に音楽修士の学位を取って卒業してからは、ジャズを主戦場にしつつもR&Bやヒップホップ、ファンク、ゴスペル方面のセッションにも参加してきた。現在はセント・トーマス大学でピアノ学部の教師を務めるほか、カールトン・カレッジやウォーカー・ウェスト・ミュージック・アカデミーで客員講師を務めるなど、おもに音楽教育家として活動する一方、自身の音楽制作やバンド活動もおこない、そして発表したのが『Fables』である。

 『Fables』のメンバーはカヴィエシュ・カビラジ(ピアノ、キーボード)以下、ジェフ・ベイリー(ベース)、ケヴィン・ワシントン(ドラムス、パーカッション)、ピート・ホイットマン(サックス)、オマー・アブドゥルカリム(トランペット)で、楽曲によってゲスト・シンガーやストリングスが加わる。抒情的なメロディによるモーダルな “Who Am I”、ブラジリアン・リズムを取り入れたジャズ・サンバ調の “Saudade”、ダイナミックなピアノが飛翔感に満ちた演奏を展開する “Rain”、変則的なリズムが躍動する “They Cannot Expel Hope” などが並ぶなか、“Lullabuy” ではインド固有の木管楽器であるバーンスリーをフィーチャーしていて、インド系のカヴィエシュらしい楽器使いと言えよう。ここでのバーンスリーとタブラのようなパーカッション、ストリングスとピアノによるラーガ的な美しいアンサンブルは、幼少からインド音楽を学び、ジャズの世界でも研鑽を積んできたカヴィエシュだから出せるものだろう。


Frank London
Brass Conspiracy

Tzadik

 ニューヨーク出身のフランク・ロンドンはクレズマーのトランペット奏者である。クレズマーは中央~東ヨーロッパで広まったアシュケナージ(ユダヤ人)による音楽で、ギリシャやルーマニアなどの民謡や、バロック音楽、ドイツやスラブ地方の民俗舞踊音楽、ユダヤの宗教音楽などがミックスされた民間音楽として親しまれた。19世紀後半にはアメリカにも広まり、1910~20年代にはジャズと結びついてビッグ・バンドで演奏されるなど、ポピュラー音楽のひとつとして人気を得た。その後、第二次世界大戦中にアメリカにおけるクレズマーは人気の低下を迎えてしまうが、1970年代以降はリヴァイヴァルし、近年はジャズやファンク、ロック、パンクなどと結びついて新たなファン層を拡大している。改革派ユダヤ人の家庭に生まれたフランク・ロンドンは、10歳のころからトランペットをはじめ、1980年にニュー・イングランド音楽院でアフリカ系アメリカ人音楽の学士号を取得。ニューヨーク州立大で音楽講師を務めるほか、クレズマティクスやハシディック・ニューウェイヴなどのクレズマー・バンドで演奏した。デヴィッド・バーンと戯曲家のロバート・ウィルソンによるオペラ『 The Knee Plays』では、指揮者と音楽監督も務めている。そして、自身のバンドであるクレズマー・ブラス・オールスターズを結成し、2000年からアルバム・リリースもおこなう。ほかにもフランク・ロンドン・クレズマー・オーケストラ、フランク・ロンドン・ビッグ・バンド、フランク・ロンドン・アンサンブル、フランク・ロンドン・グラスハウス・オーケストラなどジャズやクレズマー系のバンドを多数率いるなど、ニィーヨークにおけるクレズマー音楽の第一人者的存在と言えるだろう。これまでラ・モンテ・ヤング、アイザック・パールマン、ジョン・ケイル、アレン・ギンズバーグ、ガル・コスタ、レスター・ボウイ、イギー・ポップ、ピンク・フロイド、ジョン・ゾーン、メル・トーメ、ユッスー・ンドゥールなど、さまざまなジャンルの多士多彩な面々と共演してきた。

 レコードも精力的にリリースしているフランク・ロンドンだが、2024年はまずジ・エルダーズというバンドを率いて『Spirit Stronger Than Blood』をリリース。ニューヨークのフリー・ジャズや前衛音楽を代表する老舗レーベルの〈ESPディスク〉からリリースされたというのが興味深いのだが、内容的にはクレズマーよりもジャズ寄りのもので、ゴスペルやスピリチュアル・ジャズ的な要素が濃いものだった。録音時期は2023年の7月と1年ほど前のものだったが、続いてリリースしたのが最新作の『Brass Conspiracy』である。“Engraftamento” はミスティックなムードのラテン・ジャズ作品で、キップ・ハンラハンの作品に近いイメージを持つ。1980年代にフランク・ロンドンはジャック・ブルースなどと共にキップ・ハンラハンのグループで演奏していたこともあり、そうした時代も彷彿とさせる。一方、“Rube G Funk” はジャズ・ファンクで、大衆音楽であるクレズマーと結びついてジャム・バンド的なセッションを繰り広げる。ジャズとクレズマーのわかりやすい魅力が詰まった演奏と言えるだろう。

interview with Creation Rebel(Crucial Tony) - ele-king

 いまやDUBそれ自体がひとつのジャンルのようなものになっている。もちろん、このスタイルが1970年代のジャマイカで発明されたことを忘れてはならない。しかし、DUBを説明するときに、いつまでもそれを「オリジナル」に対する「ヴァージョン」であると繰り返す必要はないだろう。というのも、DUBはひとつの、オーディエンスを惹きつけるための遊び心あるギミックではなく、まあ、良くも悪くも西欧の枠組みのなかの「アート作品」として評価され、ジャマイカとは別の回路で発展している。
 UKは、DUBのそうした創造的転用に関する最初の拠点だった。『DUB入門』のなかのコラム原稿で少し詳しく書いたけれど、2020年にはロンドン博物館で『DUB LONDON』という、いかにUKにおけるDUBがひとつの文化現象として重要であるのかを多角的に展示する展覧会が開催されている。面白いのは、UKでは、とくに女性には、ルーツよりもDUBのほうが好まれたという話だ。人種的アイデンティティを覚醒させてくれた意味では、ルーツに対する尊敬の念は大いにあった。が、その家父長制的な女性観には当時口には出せない抵抗を感じていたと。アレサ・フランクリンなどUSソウルに親しみながらUKの都会で暮らすジャマイカ移民の女性たちがDUBに向かうのは、なるほどたしかに理解できる。また、西欧のサイケデリック文化とそれが接合されたことも、欧米におけるDUBの展開においては大きかった。ジ・オーブもマッシヴ・アタックも、ジャングルもダブステップも、その回路なくして生まれなかったのだから。
 いよいよ来週からはじまる〈DUB SESSIONS 2024〉、名歌手ホレス・アンディとともに今回の目玉であるUKダブ・バンドの大御所……というか生きる伝説……というか、とにかく、来日直前にクリエイション・レベルのリーダー、クルーシャル・トニーことトニー・フィリップに話を聞くことができた。クリエイション・レベルとは(エイドリアン・シャーウッドとのスタジオ作業を通じて)、それこそDUBを「ヴァージョン」ではなく、こっちを「オリジナル」にしてしまったバンドだ。また、クリエイション・レベルは70年代、ザ・クラッシュやザ・スリッツなど、パンクとも共演している。デニス・ボーヴェルやジャー・シャカなどと並ぶ、UKレゲエ史そのもののような存在だ。
 ぼくが推薦するクリエイション・レベルの作品は、まずは『Starship Africa』(1980)、そしてニューエイジ・ステッパーズとの共作『Threat to Creation』(1981)、この2枚は必聴盤として、ほかにも最初期の『Dub From Creation』(1978)、ジョン・ライドンが参加した『Psychotic Jonkanoo』(1982)も大好きだし、クルーシャル・トニーが参加した作品でフェイヴァリットを挙げようものなら、プリンス・ファーライ&ジ・アラブス、ニューエイジ・ステッパーズの全作品、シンガーズ&プレイヤーズの全作品、マーク・スチュワートの初期作品など、もうキリがない。すなわち、トニーさんの話を紹介できることが嬉しい。面白いので読んでください。


そしていま現在もクールなクリエイション・レベル。左から、ランキン・マグー、エスキモー・フォックス、そしてトニー。

来日前のお忙しいとき、時間を作ってくれてありがとうございます。数年前にロンドンでは、「DUB LONDON」という大掛かりな展覧会が開催されて、UKにおいてDUBがいかに重要な文化であり、重要なアートであるのかを多角的に見せていましたよね。DUBはジャマイカで発明された手法/スタイルですが、それがUKではいまではひとつのジャンル/独自の文化として認識されている。1970年代には考えられなかったことだと思いますが、こうした現在の現状に関しての、あなたの感想を聞かせてください。

クルーシャル・トニー:いま、DUBはとてもいいよ。老いも若きも興味を持っている。DUBの昔のアルバムを手に入れて聴いている人もいる。DUBをプレイする機会が多くなっているというのが、いまのDUBの文化だ。DUBに関してはとても良い状況が続いている。アナログ盤もリヴァイヴァルしているし。

70年代のUKではジャマイカ移民が多く、レゲエは故郷の音楽として人気があった。とはいえUKで暮らす黒人がレゲエを演奏することは、たとえば、UKのレゲエは「オーセンティック」ではないということでサウンドマンにはかけてもらえなかったり、いろんな壁があったと聞いています。ジャマイカのルーツ・レゲエの影響を受けながら、UK独自のサウンドがどのように生まれていったのでしょうか?

トニー:最初はジャマイカ出身の人たちは同じスタイルの音楽に興味を持っていたけど、ちまたでいろんな音楽が溢れかえって飽和状態になると、みんなDUBに向かうようになったんだ。みんなが興味を示すようになったんだよ。一流のエンジニアがいたからだ。サイエンティスト、エロル・トンプソンとかがいろいろなことを試していた。ロンドン、もしくはイギリスに住んでいる西インド諸島出身者のなかには、ジャマイカの文化をフォローしている人たちが多かったんだ。

UKにおいてDUBがなぜ重要なのか、「DUB LONDON」のホームページに掲載されたそのひとつの理由に、女性が入りやすかったという話があって、興味深く思いました。ルーツには家父長制的なところがあったから、女性はどこか抵抗があったけれど、DUBはもっと間口が広がったという話なんですが。

トニー:同感だね。

他にも、たとえば現代のジャングルやベース・ミュージックに与えた影響も大きいです。ある意味、ほとんどUK独自のダンス・ミュージックの基礎はDUBの応用によって作られているように思います。

トニー:間違いないね。

というわけで、「UKにおいてDUBがなぜ重要なのか」、あなたの意見を聞かせてください。

トニー:いろんなサウンド・システムがあったなかで、DUBがプレイされていた。みんな、DUBが大好きだったんだ。レコードをプロデュースした人たちの音のミックスの仕方が気に入られたんだな。キング・タビーはかなり人気があった。〈Studio One〉にだってDUBはあった。DUBは、レゲエとともに入ってきた。DUBは、ヴォーカルにも音楽にもリヴァーブといったエフェクトを思いっきりかけていた。クリエイティヴになりたくて、独特の音作り、周波数作りをしていた人たちがいたからだ。いろんなスピーカーを使って、パワー全開でガツンと来る音作りをしていたんだよ。

それがUKのダンス・ミュージックに影響を与えたと?

トニー:ああ、もちろんだとも。

クリエイション・レベルは、もともとはジャマイカの大物歌手がイギリスでライヴをやる際のバックバンドとして結成されたそうですね。

トニー:たしかに彼らのバックでプレイしていたけど、もともとはクリエイション・レベルとしてのアルバムをレコーディングしたんだ。そしてそれがヨーロッパでかなりウケたんで、我々はクリエイション・レベルとしてツアーに出かけていた。その同時期に、プリンス・ファーライやビム・シャーマンといったアーティストと出会って、彼らがプロモーションなり何なりでヨーロッパに来ると彼らとツアーするようになった。

通訳:最初はバックバンドだったのが、その後自身のバンドとしてアルバムを作ることになったのだと思いましたが、まずはアルバムをレコーディングして、それに伴うヨーロッパ・ツアーを行なっていたときにジャマイカのアーティストと出会ったんですね?

トニー:そうだ。

では、クリエイション・レベルを結成したのはいつのことでしたか?

トニー:1977年のことだった。ずいぶん前だな。

そもそもなぜ、DUBを生演奏するバンドを組もうと思ったのですか?

トニー:元々リリースしたアルバム『Dub From Creation』は実験的だったけど、人びとはそれに魅了された。それでずっと続けたんだ。みんなが聞きたかったのが、バンドがプレイするDUBだったんだよ。みんなが楽しんでくれていると思ったし、大いに興味を示されたんで、我々は続けて、どんどん作っていったんだ。ライヴをどんどんやるようになったんだよ。

でも、DUBバンドという発想はジャマイカにはなかったUK独自のハイブリッドなスタイルへと繋がっていったと思います。

トニー:そうだな。

通訳:たとえば、ポスト・パンクの接続という点で言えば、とても大きかったと思いますが、いかがでしょうか?

トニー:あの頃はパンク・バンドがたくさんいたけど、スキンヘッズとか、イギリスのパンク・バンドの多くはレゲエをプレイしていたんだ。彼らはあのビート・サウンドに馴染むようになったんだよ。

通訳:パンク・バンドは、最初からレゲエが好きだったわけですね?

トニー:そう、彼らにとってレゲエは第二の音楽だったんだ。二番目に好きな音楽だったんだよ。

通訳:それはなぜだったと思いますか? パンクとレゲエに何らかの共通点があったとか?

トニー:う〜ん、あったんじゃないかな(笑)。

通訳:たとえばどんな?

トニー:あまり統一されていなかったことかな。我々はザ・クラッシュと共演した。彼らはとっても気に入っていたよ。彼らはレゲエをプレイするのが大好きだった。DUBが大好きだったんだ。それで共演したんだろう。ザ・スリッツとも共演した。彼女たちともよくやったよ。

通訳:PILとも共演しましたよね?

トニー:PILもそうだったな。

通訳:あなたは音楽としてのパンクがお好きでしたか?

トニー:う〜ん、いいや(笑)。

通訳:(笑)

トニー:僕はアヴァンギャルドが好きだからけっこう興味深かったけど、あまり好きとは言えなかったな。

通訳:ではどうして、彼らとコラボしたのですか? 彼らの方があなた方を好きだったからですか?

トニー:そう、彼らが我々の音楽を好きだったし、我々を称賛してくれたんだ。

通訳:なるほど。でも結果的に、パンク・バンドとの共演はあなたにとって楽しい経験でしたか?

トニー:いま振り返ってみれば、そうだね。いろんな人と出会えたし、みんなに評価もされたからね。いい経験だったよ。(※ちなみに「レゲエとパンクは似たもの同士ではない」というコラムを野田が『DUB入門』で書いているので、興味のある方はぜひ)

通訳:『Dub From Creation』をリリースする以前からあなた方はライヴをやったりツアーを行なっていたのですか?

トニー:いやいや。リリースしてからだよ。

通訳:そのアルバムが売れたので、あなた方はツアーに出ることができたわけですか?

トニー:その通り。

通訳:そのツアーでジャマイカのアーティストと出会ったのですか?

トニー:そうだよ。

『Starship Africa』は、レゲエ・ピュアリストからは批判されるような、常識破りの作品でした。あの傑作はどのように生まれたのでしょうか?

トニー:たくさんレコーディングしたものをテープに収めたんだ。あれはエイドリアン・シャーウッドのアイディアだったんだよ。

通訳:あなた方はそのアイディアを気に入ったのですか?

トニー:いいや(笑)。

通訳:(笑)またですか? じゃあ、なぜ受け入れたのですか?

トニー:それでもやっぱりクリエイティヴになりたかったんだ。私自身のまた別の道だったからね。私はプレイするのが大好きだけど、予測できないものが好きなんだ。だから、この手のものをやってみたんだよ。でも君が言ったように、たしかにピュアリストは気に入らなかった。彼らには耐えられなかった。でも、これは我々のアルバム中もっとも売れたものなんだ。いまとなってはクラシックだよ。

通訳:その通りですね。いま振り返ってみると、あのアルバムを作って良かったとあなたも思いますよね?

トニー:思うよ(笑)!

あのアルバムのSF的なアートワークは、Pファンクやサン・ラーなど、70年代のアメリカの黒人音楽には見られた傾向ですが、ラスタの思想を重んじ、アーシーであることに重点を置いたジャマイカのルーツ・レゲエにはなかった発想だと思います。

トニー:我々がDUBを第一線に押し出したんだよ。

先ほどエイドリアン・シャーウッドの名前が出ましたが、18歳の彼はどんな青年でしたか?

トニー:いまと変わらないよ(笑)。彼はレゲエに対してとても熱心で、当時は若者の中心になってレゲエを盛り上げていた。私も若かった。どっちもこの音楽を盛り上げたいと思って一緒にやっていたんだ。

通訳:そしてその関係は今日に至るまで続いていますね。すごいですね。

トニー:そうなんだよ、驚くことにね! 我々はたくさんのプロジェクトを一緒にやってきた。いまのプレイヤーともたくさんやってきたんだ。

先ほど、プリンス・ファーライやビム・シャーマンといった名前を挙げられましたが、彼らとの思い出について聞かせてください。

トニー:プリンス・ファーライと初めて会ったときのことは一生忘れないよ。ロンドンでプリンス・ファーライと出会ったんだ。ライヴの2〜3日前に会ったんだよ。あれは我々にとってエキサイティングなことだった。彼のことは知っていて、その彼と会えたんだからね。彼と一緒に仕事ができて良かったよ。スタイル・スコットもいたな。プリンス・ファーライがジャマイカから連れてきたんだ。スタイルはルーツ・ラディックスのドラマーだったけど、私ちが会ったときの彼はまだラディックスに加入する前だった。彼も若かったんでね、エキサイティングだったよ。プリンス・ファーライとビム・シャーマンは、我々が一緒に仕事をした最初のアーティストだった。

通訳:ビム・シャーマンとも、プリンス・ファーライと同じ頃に出会ったのですか?

トニー:そうだよ、同じ頃だった。

アリ・アップは?

トニー:ザ・スリッツの人だね。彼女たちともツアーで出会ったんだ。ザ・スリッツと一緒にツアーしていたんだよ。もちろん、あれも良かった。

そして昨年は『Hostile Environment』で、ほとんど40年振りにバンドが復活しました。本国ではとても温かく迎えられていましたが、80年代のクリエイション・レベルと比較して、現在のバンドはどこが進化していると思いますか?

トニー:進化したと思う。経験を積んだからね。でも、DUBのやり方は変わっていないな。ただ、いまはもっとうまくなったよ。各楽器の弾き方も経験を積んできたから。大勢のアーティストやミュージシャンと一緒にやって来たからうまくなったんだ。この40年のあいだに、私はいろんなことをやってきた。プロデューサーなんだ。私が1980年にロンドンで共同設立した〈Ruff Cut〉のプロデュースを手がけている。いろいろなものを手がけてきたよ。スタジオワークもたくさんやって、ギターのオーヴァーダブをやってきたし、各種レーベルのためのプロデュースも手がけてきたし、いろんなアーティストと数え切れないほどのライヴをやってきた。250近くのアーティストと一緒にやってきたんだ。ジャマイカのバンドともやってきた。

通訳:それでも去年、クリエイション・レベルを復活させたかったんですね?

トニー:そうなんだ。これは、しばらく前からやりたいと思っていたことだったけど、みんなそれぞれいろんなプロジェクトに関わっていたんで、去年やっと実現したんだ。みんなが死ぬ前に、ぜひともやっておきたかったんだよ(笑)。

日本のファンのために、あらためてDUBの魅力、UK独自のDUB文化の魅力について話してもらえますか? 

トニー:とっても興味深いものだ。ほとんどの場合、我々はただ自分たちの音楽をプレイしているだけだけど、過去じつにいろんなアーティストと共演してきた。一流のレゲエ・シーンでやってきたんだ。デニス・ブラウン、リー・ペリー、大勢いる。ミステリアスで、予測不能で、興味をそそるよ。

今回の日本でのライヴに関しての、あなたの意気込みを聞かせてください。

トニー:とにかくみんなにはありのままの自分を出して音楽を楽しんで欲しい。我々がもうすぐ行って、ディープなルーツ・レゲエとDUBを披露するよ!

ADRIAN SHERWOOD PRESENTS
DUB SESSIONS 2024

HORACE ANDY [live mix by Adrian Sherwood]
CREATION REBEL [live DUB mix by Adrian Sherwood]
Crucial Tony (G)、Charlie Eskimo Fox (Ds)、Ranking Magoo (Perc)、Kenton "Fish" Brown (B)、Cyrus Richards (Keys)
Horns:icchie (Tp), Hashimoto “Kids” Takehide (Sax), Umeken (Tb)
ADRIAN SHERWOOD [DJ Set]

OPENING DJ: MASAmida from audio active [ON-U Set]
OSAKA - 09.12(THU) Umeda CLUB QUATTRO
NAGOYA - 09.13(FRI) ReNY limited
【SOLDOUT】TOKYO - 09.14(SAT) O-EAST

OPEN/START 18:00 前売:8,500円(税込 / 別途1ドリンク代 / オールスタンディング)
※未就学児童入場不可

【TICKETS チケット詳細】
前売¥8,500(税込/別途1ドリンク代 /オールスタンディング) ※整理番号付 ※未就学児童入場不可

[東京] SOLDOUT
INFO: BEATINK www.beatink.com

[大阪]
イープラス
チケットぴあ (P:270-870)
LAWSON TICKET (L:53380)
BEATINK
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569

[名古屋]
イープラス
チケットぴあ (P:270-951)
LAWSON TICKET (L:43138)
BEATINK
INFO: JAILHOUSE 052-936-6041

Undefined meets こだま和文 - ele-king

 まさか“Requiem Dub”を聴けるとは思いも寄らなかった。もしもフランクフルト学派がこの日のこだま和文のライヴを見ていたら、泣いて喜んだことだろう。20世紀前半のもっとも重要な文化研究グループとされる彼らは、アートがこの資本主義社会で果たす役割があるとすれば、それは「耐え難いこの世界を告発することだ」とした。「偉大なる拒絶」の一部になること。2024年8月24日の21時、渋谷のWWWで、いまだにそれをやっているひとがいた。
 ぼくはフランクフルト学派ではないが、泣いた。同じように、たぶんフランクフルト学派ではないマヒトゥ・ザ・ピーポーも「泣いた」と言って、ライヴ終了後に楽屋でこだまさんをハグしていた。ほかにも、多くのひとが泣いたに違いない。ひょっとしたらその涙は、こだまさんが自分の詩を朗読しながら訴えたパレスチナの現実および自分たちが生きているこの悲しい世界に対する憤りの涙で、と同時にそれは、悲しくも美しいダブをバックにそれを表現するひとがいま目の前にいることの嬉しさでもあって、あるいは、まあ、いろいろだろう。個人的には松岡正剛さんのことがあったので、悼みながら聴きいていたが、いつしか無心になって、ただただ聴き入っていた。
 
 その夜ぼくと編集部コバヤシは、河村祐介監修『DUB入門』の先行発売という口実で、渋谷のWWWで開催の、虎子食堂の15周年記念イベント「SUPER TIGER」に混ぜてもらった。天候も不安定だったし、ライヴ・イベント会場だし、多くは売れないだろうなと思っていたら、ありがたいことに完売した(DUBの未来は明るい。いや、河村人気なのかな? とにかく、あのとき購入していただいた方々、どうもありがとうございました。DUBが女性に人気というのはほんとうでした)。そんなわけでぼくとコバヤシは物販スペースで本の売り子をしながら、SOUL FIREのライヴ、1TA&Element、HIKARUらのDJタイムは代わりばんこにフロアに出入りしていたのだけれど、Undefined とこだま和文のライヴ前には売り切っていたので、幸いなことに最初から集中して聴くことができたのである。

 『A Silent Prayer』からは“T-Dub”(“Move”だったかも?)と“One-Two”をやった。この日はUndefinedとのライヴなので、ほとんどのひとがあの素晴らしい『2 Years』の曲を待っていたと思う。しかしこだまさんは、既発作品の再生ではなく、“いま現在のこだまさんの思い”を表現した。
 そんなことをしても変わりっこない、そういうシニシズムがアートを支配しはじめたのは1980年代後半のことだった。メッセージなどダサい、どうせ変わらないのだから受け入れた方がいい、笑えればいい、格好よければいい、それがミュート・ビートが輝いていた1980年代後半に芽生えた新しい表情のひとつだった。美術館の売店でモネのスカーフが5千円で売られても誰も気にすることもなくなった時代、やがてルイ・ヴィトンとタッグを組むジェフ・クーンズが登場した時代、要するにフランクフルト学派みたいなことをいうのはもうダサくなりはじめた時代のムードに、こだまさんが違和感を覚えていたという話はこれまでの取材で知っている。そう、知っているけれど、それをブレることなくずっとやり続けていることは、やはり、すごいことだという思うし、ぼくはこだまさんのいまも変わらない「悲しみを隠さないDUB」をますます愛おしく思う。この国に、こだま和文がいてくれてほんとうに良かった。

 たとえば、以前松島君がreviewしたA. G. Cookの〈PC Music〉は、言うなれば、J-POPもAFXも同じだろうというある種のなかば熱狂的な相対主義をいまの時代に全開した代表的なレーベルだ。ぼくはその考え方も善し悪しだと思っているが、じつはいろんなことがどうでもよくなっていて、楽しさをもとめた挙げ句に不正なゲームのうえで踊らされるのはまっぴらだとも思っている。この夜の、虎子食堂15周年のお祝いに駆けつけたひとたちも同じ思いだろう。アートはそれを失うべきではない。小さなことだけれど、最高に美しい夜だった。

COMPUMA - ele-king

 アンビエント、ダブ、エレクトロニカ、ダウンテンポ、それらが混じり合いながらゆっくりと景色が立ち上がっていく。コンピューマ、2022年の『A View』以来のアルバム、『horizons』を9月20日にリリースする。ヴォコーダー使いの歌もあり、心地よいリズミックなトラックもあり、何気に新境地です。ぜひチェックしてみてください。

COMPUMA
horizons

SOMETHING ABOUT
発売日:9月20日(金)

【COMPUMA】
DJ / 選曲 / レコードバイヤーとして、さらにはスマーフ男組、その前身となったAsteroid Desert Songs、竹久圏(KIRIHITO)とのデュオ作品、DJポッセ、悪魔の沼など、さまざまな活動を続けるCOMPUMAによる、2022年リリースのソロ名義アルバム『A View』以来2年ぶりとなるニュー・アルバム『horizons』。自身のルーツとなる、熊本・江津湖のほとりや、各地の様々な場所を散策時に、その景色や環境にインスピレーションを得て制作されたもので、共同制作者のhacchi(Urban Volcano Sounds/David Soul)と共に作り上げた7曲を収録。マスタリングには中村宗一郎、COMPUMA作品のアートワークでおなじみデザイナー鈴木聖によるジャケットCD(デジパック+4Pブックレット)として自身のレーベル〈Something About〉よりリリースされる。

Andrés - ele-king

 Andrés(アンドレス)、久しぶりの来日です。Moodymannのレーベル〈KDJ〉や〈Mahogani Music〉を中心にリリースを重ね、2023年には5作目のアルバム『Andrés V』をリリース。DJ Dez名義では、デトロイトのヒップホップ・シーンで活躍、Slum VillageのプロダクションやツアーDJとしても参加している。ハウス、ソウルやファンク、ジャズ、そしてキューバをルーツに持つ彼はサルサにも深い知識を持っている。この機会に、彼の深みのあるブラック/ラテンの世界を堪能しよう。

Andrés Japan Tour 2024

9.14(Sat))福島 @NEO Fukushima
K.I.S.S.#84 - 15th Anniversary Party -


Special Guest
Andrés aka DJ Dez

DJ
STILLMOMENT
MONKEY Sequence.19

Dance Session
Outside Elements

FOOD
バン才 - BANZAI -

Open 22:00
ADV 4,500yen with 1Drink
Door 4,500yen
U-23 3,500yen with 1Drink

Info: Club NEO www.neojpn.com
福島市本町5-1 パートナーズビルBF1 TEL 024-522-3125


9.15(Sun))東京 @DJ BAR Bridge Shibuya

DJ: Andrés aka DJ Dez, Kza, DJ MAS aka SENJU-FRESH!

Open 20:00
Door 2,000yen

Info: DJ BAR Bridge Shibuya https://djbar-bridge.com/shibuya/
東京都渋谷区渋谷1丁目25−6 渋谷パークサイド共同ビル10F Tel 03-6427-6568


9.20(Fri))大阪 @Club Joule

< 2F >
Andrés aka DJ Dez
HOOFIT (QUESTA, MASH, DY, KAZIKIYO)
STEW (TUFF DISCO)

VFX: catchpulse
Sound: Kabamix

< 4F >
IKEDA-IKERU
SHUNPURI
ORGTKD
NEGAN
PISAPPLE

THAT'S PIZZA
たこやきしんちゃん
Edenico

Open 22:00
ADV 3,000yen (e+ / Clubberia)
W/F 3,500yen
Door 4,000yen

Info: Club Joule www.club-joule.com
大阪市中央区西心斎橋2-11-7 南炭屋町ビル2F Tel 06-6214-1223


9.21(Sat)名古屋 @Club Mago

DJ: Andrés aka DJ Dez, Sonic Weapon

Open/Start 23:00
ADV 3,500yen
Door 4,500yen

Info: Club Mago http://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F Tel 052-243-1818


最新アルバム『Andrés V』リンク
https://andres.bandcamp.com/album/andr-s-v


Andrés (aka DJ Dez / Mahogani Music, LA VIDA)from Detroit

 Andrés (アンドレス)はMoodymann主宰のレーベルKDJ Recordsから1997年デビュー。DJ Dezというアーティスト名でも活動し、デトロイトのHip HopチームSlum Villageのアルバム『Trinity』、『Dirty District』ではスクラッチを担当し、Slum VillageのツアーDJとしても活動歴あり。Underground Resistance傘下のレーベルHipnotechからも作品を発表しており、その才能は今だ未知数である。
 2012年、主宰レーベルLA VIDAを始動し、第1弾リリース『New For U』はResident Advisor Top 50 tracks of 2012の第1位に選ばれた。
2014年、DJ ButterとのアルバムDJ Dez & DJ Butter‎『A Piece Of The Action』をリリース。
 ラテンジャズパーカッショニストである父、Humberto ”Nengue” Hernandezからアフロ・キューバンリズムを継承し、アンドレス本人もパーカッショニストとしてAmp FiddlerやMoodymannのライヴや、Erykah Badu “Didn’t Cha Know” (produced by Jay Dee)の録音に参加している。地元デトロイトではミュージシャンを交えたジャムセッション・パーティーをSpot Lite Detroitで定期的に開催している。
 2023年、Andrésとして通算5枚目となるアルバム『Andrés V』をMahogani Musicよりリリースする。

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Mahogani Music

Gastr del Sol - ele-king

 ジム・オルークは、かつて自身が‶音楽の中の時間の問題〟と呼ぶものについて語ったことがある。つまり、音楽は構造的には(映画や文学とちがって)本質的に直線状であるため、前のモチーフや形を参照することでしか時間を遡ることができないということだ。
 『We Have Dozens of Titles』は、ジム・オルークを完全に満足させるような形で時間の問題に注意を向けさせることはないかもしれないが、実はこの作品において、時間は演奏される楽器のひとつのように扱われている。これはある意味ではレアな作品、未発売のトラックとライヴ・レコーディングのコレクションだが、一方ではまったく新しいガスター・デル・ソルのアルバムのように感じられる。さらに言えば、これはバンドとリスナー共々、一緒に過ごしたあの落ち着きのない実験に特徴付けられる1990年代という時間に遡る旅なのだ。100分を超えるアルバムのなかで、馴染み深いもの、予期せぬもの、そして不気味なものが互いにこすれ合い、途切れることなくいつの間にかすり抜けるか、正面からぶつかり合う。

 このようなレンズを通してアルバムに目を向けると、冒頭が“The Seasons Reverse(季節が逆戻り)”のライヴ・ヴァージョンというのは、待ちきれない熱心なリスナーが彼らの考えを知ろうと過剰反応するための安易な餌を、バンド自身が与えてからかっているように感じられる。そしてそれは、いくつかの点において時間の問題を浮き彫りにする選択でもある。“The Seasons Reverse”のスタジオ・ヴァージョンは、ガスター・デル・ソルの1998年のアルバム『Camofleur』のオープニング・トラックであり、今回再びこの曲からはじめるというトリックを使うのは、逆転させることよりもこだまさせること、あるいは参照させる行為であって、聴き手に時間の再構築を促すよりもその瞬間を思い起こすように誘っている。だが、それがライヴ・ヴァージョンであることが、コトを少し複雑にする。本質的にライヴ・ヴァージョンを聴くというのは参照する行為であり、慣れ親しんだ時間を呼び起こしてそれを現在に再配置し、前に進む時にも一緒に携えていくものだ。そしてガスター・デル・ソルは常に動き続けるバンドであり、このヴァージョンではヴォーカル、パーカッション、トランペットの華やかさを剥ぎ取るかわりに、アコースティック・ギターとエレクトロニクスにリズムとスペースを見出している。それでもライヴ・ヴァージョンの録音は、このトラックをその瞬間に固定してより明確に過去に位置付けている。曲の最後で、オルークがフランス語を話す子どもたちとの会話に失敗するサンプルは、スタジオ・ヴァージョンの曲の締めくくりで使われたものと同一であることから、ある瞬間の‶エコーのエコーのエコー〟という山びこ現象を創り出している。

 このアルバムでも、時間はさほど混乱せず、解決しにくい方法で流れてはいる。当然ガスター・デル・ソルの7年ほどの活動の瞬間に触れる数々の楽曲は、非線形的ではあるものの、独自の響きと鏡に満ち溢れている。そして時計の針をさらに巻き戻してみると、以前のアーティストのレンズを通してガスター・デル・ソルの音楽を眺めることもできるのだ。

 ガスター・デル・ソルはそのルーツを、ジョン・マッケンタイアを通じてシカゴ・シーンの同世代バンドのトータスと、バンディ・K・ブラウンとは前身バンド、バストロのオリジナル・ラインナップとしての役割を通して共有している。そして彼らがたとえ、本質的には決してポスト・ロックであったことはなかったにしても、アコースティック、エレクトロニック、ミュージック・コンクレートの要素をコラージュのようにミックスしていることから、少なくとも同一の一般的な音楽的生態系には置かれている(マッケンタイアは自身のバンド名を、ガスター・デル・ソルの“The C in Cake”のタイトルにちなんで‶The Sea And Cake〟としたほどだ)。彼らはさらに1980年代のデイヴィッド・グラブスを通じてスリントと、そしてケンタッキーのパンク・バンド、スクイレル・ベイト のブライアン・マクマハンとブリット・ウォルフォードとも関係している。言うまでもなく、スリントと同世代のビッチ・マグネットのメンバーとしても短期間活動していたからだ。ガスター・デル・ソルの旅路は、明らかにこれらのバンドが演奏していたロックの領域を避けて通っていたかもしれないが、静けさから大音量へ、あるいはより深遠な音とテクスチュアの衝突へ、時には厳しく暴力的な変化を求める耳を持つという点で一致していた。

 これはまったく別のバンドであるかのように、それぞれの曲にアプローチをする彼らの折衷主義的な習慣に起因している部分もあるのだが、同時にこのような鋭い転換は、我々をガスター・デル・ソルの音楽における時間の問題に立ち返らせることになる。「The Japanese Room At La Pagode」(1995年のトニー・コンラッドとのスプリット・シングル)ではアンビエントなフィールド・レコーディングが激しい電子音に中断され、曲の始まりに登場したピアノとヴォーカルのモチーフが舞い戻って来る箇所がある。曲の序盤ではその逆の転換があり、全く異なる様相で曲の断片が止まると、背後で鳴るフィールド・レコーディングがまるでずっとそこにあって最初から聴こえていたかのように感じられる。
 これと同じようなことがより拡張された、やはり1995年の曲“The Harp Factory On Lake Street”でもみられ、ここでは静寂からクライマックスへと突然何の警告もなく豹変したり、シークエンスの途中で閉幕するかのような沈黙が訪れたりするが、これは異なるペルソナの間でチャンネル・サーフィンするバンドということではなく、作品自体が時間のなかを行ったり来たりしながら点滅しているようだ。このような伝統的な構造の断絶はアヴァンギャルド・ジャズとも多くの共通点があるが、シュトックハウゼンが提唱した、音楽の形式が伝統の直線的な進行やナラティヴからの脱却を試み、各パートが独自の永遠の‶今〟として捉えられる〝モメント形式〟とも似ている。

 時計の針を再び現在まで進めてみると、ジム・オルークは大部分の激しい転換モード、つまり聴衆にマシンの内部構造の仕組みを披露する喜びを捨て去っている。その代わり、彼はリスナーをある場所から別の場所へと気付かせることなく移動させる方法を探求することを好む。アルバムの18分に及ぶ最終トラック“Onion Orange”は、アルバムを現在へと繋ぐ結合組織の役割を担っており、表面上で繰り返されるグラブスのギター・モチーフをゆっくりと繊細に、だが決定的にリスナーをオルークの電子的な操作で表面下へと運ぶのだ。

 このアルバムに入っている音楽を作った当時のデイヴィッド・グラブスとジム・オルークは若くて、多くの点でいまよりも洗練されたミュージシャンではなかった。しかし、いま私たちが聴くことができるアルバムの完成版を編集し、プロデュースし、シークエンスしたのは、年齢を重ねたこの男たちだ。その意味では、現在が過去の状況を操作し続け、エコー(反響)やレファレンス(参照)という言語で機能しているのだ。
 これほど多様でそれぞれの異なる断片を繋ぎ合わせたものとしては、このアルバムは並外れて理路整然としているが、ガスター・デル・ソルの首尾一貫した一貫性のなさこそが本作の連続性というものを手助けしたに違いない。これはまた、過去の作品を巡る旅でもあり、音楽の中にある繋がりや潮流を探求することで突然の衝撃なしに曲から曲へと移り変われるのに加えて、現在からの導きの手が過去についての物語を一緒に紡いでくれている。
 けれども、過去もまた、『We Have Dozens of Titles』を生み出す交渉における積極的な参加者だった。おそらく、ライヴ録音がその性質上、音楽を過去に定着させると同時に慣れ親しんだ形から記憶を逸脱させるものであるからこそ、過去のライヴの瞬間がアルバム全体に散りばめられて現代のアーキテクト(計画立案者)たちを助け、時間を逆行する旅であるかのようにその手で断片を繋ぎ合わせると同時に、新鮮な創造的衝動とその場にとどまることのない意志を吹き込んだのだ。


by Ian F. Martin

Jim O’Rourke has spoken in the past about what he describes as “the problem of time in music”, meaning that, structurally, music (unlike cinema or literature) is essentially linear and can only travel backwards by referencing earlier motifs and shapes.

“We Have Dozens of Titles” might not address the problem of time in a way that could ever fully satisfy O’Rourke, but it’s a work in which time is very much one of the instruments being played. On one level, it’s a collection of rareties, unreleased tracks and live recordings; on another, it feels like a brand new Gastr del Sol album; on still another, it’s a backwards journey through time, returning both band and listener to the state of restless experimentation that characterised their time together in the 1990s: familiar, unexpected and eerie rubbing up against each other, slipping seamlessly by, or colliding head-on throughout the album’s 100+ minutes.

Looking at the album through this lens, the fact it opens with a live version of “The Seasons Reverse” feels almost too easy a bait not to snatch hungrily at, like the band are teasing the eager listener to make too much of the idea. And it’s a choice that highlights the problem of time in a few ways. The studio version of “The Seasons Reverse” is the song that opened Gastr del Sol’s 1998 album “Camofleur”, so repeating the trick here is an act of echo or reference rather than reversal, inviting the listener to recall the moment rather than restructuring time. Being a live version complicates that a little, though. The nature of a live version is to be an act of reference, calling back to a familiar time and relocating it in the present, bringing it along with you as you move forward. And Gastr del Sol were always a band on the move, the version of the song here stripping away the vocals, percussion and trumpet flourishes, finding its rhythm and space in the acoustic guitar and electronics. Nonetheless, a recording of a live version anchors the track in that moment in time, locating it more explicitly in the past. The sample of O’Rourke failing to communicate with some French speaking kids that closes the track is the same one that ends the studio version, creating an echo of an echo of an echo of a moment.

Time flows through the album in less confusing and irresolvable ways too. Of course through the way the tracks touch on moments throughout Gastr del Sol’s seven or so years of activity, albeit in a nonlinear way, full of its own echoes and mirrors. But wind the clock back even further and you can see Gastr del Sol’s music through the lens of earlier artists still.

Gastr del Sol share roots with Chicago scene contemporaries Tortoise through John McEntire and Bundy K. Brown’s role in the band’s original lineup and precursor band Bastro, and if they were never exactly post-rock per se, the collage-like mix of acoustic, electronic and musique concrète elements that they employ at least places them in the same general musical ecosystem (McEntire even named his band The Sea And Cake after Gastr del Sol’s song “The C in Cake”). They also share a connection with Slint through David Grubbs’ time in the 1980s alongside Brian McMahan and Britt Walford in Kentucky punk band Squirrel Bait, not to mention a brief period as a member of Slint contemporaries Bitch Magnet. Gastr del Sol’s journey may have skirted clear of the rock territory these bands played in, but they shared a similar ear for harsh, sometimes violent transitions, whether from quiet to loud or more esoteric collisions of sounds and textures.

Some of this comes down to the band’s eclectic habit of approaching each song as if they were a different band entirely, but these sorts of sharp transitions also bring us back to the matter of time in Gastr del Sol’s music. There’s a point in “The Japanese Room At La Pagode” (from a 1995 split with Tony Conrad) when a stretch of ambient field recording is interrupted by a harsh, electronic squeal that gives way to a return of the piano and vocal motif that began the track. Earlier in the song, the reverse transition occurs very differently, when the song fragment stops and it feels like the background field recording had always been there and was in fact what you’d always been listening to all along.

There are parallels with this in the more expansive “The Harp Factory On Lake Street”, also from 1995, where transitions from quiet to climactic moments happen suddenly and without warning, or closure-like silences fall midway through a sequence — not like a band channel surfing between different personas but as if the piece itself is blinking back and forth in time. This breakdown in traditional structure shares a lot with avant-garde jazz, but also with Stockhausen’s “moment form”, where the structure of the music tried to break free of traditional linear progression and narrative, rather seeing each part as its own eternal now.

Wind the clock forward again to the present and Jim O’Rourke has largely abandoned this mode of harsh transitions: this glee in showing the audience the inner workings of the machine. Instead, he prefers to explore ways of carrying you from one place into another without you even noticing the transition has occurred. The album’s 18-minute final track “Onion Orange” offers some connective tissue to this present in the way it takes Grubbs’ superficially repetitive guitar motif and slowly, subtly, but irrevocably transports the listener via O’Rourke’s electronic manipulations beneath the surface.

The David Grubbs and Jim O’Rourke who made the music on this album were younger and in many ways less sophisticated musicians than they are now, but it’s those older men who compiled, produced and sequenced the finished work we can now listen to. And in that sense, the present continues to pull the strings of the past, working in the language of echo or reference.

It’s a remarkably coherent album for something pieced together from such diverse fragments, though this sense of continuity was surely helped by how consistent in their inconsistency Gastr del Sol always were. It’s also a trip through pieces of the past that seeks out connections and currents within the music which allow songs to transition from one to another without sudden jolts: guiding hands from the present stringing a narrative about the past together.

However, the past is nonetheless an active participant in the negotiation that created “We Have Dozens of Titles”. Perhaps because of the way live recordings, by their nature, both anchor music in the past but also to deviate from a form memory has rendered familiar, these live moments from the past help the album’s present-day architects, spread throughout the album, their hands holding its pieces together as both a trip backwards through time and something infused with a fresh creative impulse and unwillingness to stay put.

DJ Ramon Sucesso - ele-king

 ラモンは私のレーダーに映った。何の前触れもなく、自然に。2トン爆弾が腰に突き刺さるかのように。ウェブ上に蔓延しているバイラル動画が、ドゥーム・スクロール中の私の注意を引いたのだ。各動画は、TikTokのバイラル・アテンション・スパンにぴったりな短いもので、何の変哲もない室内(おそらく彼の寝室)で撮影され、ラモンがパーソナル・デッキの前で最初からコントローラーを操作し、ヴォーカルと散らばったビートをその場で何段階にもミックスしている。コール・アンド・レスポンスのサウンドスケープは瞬く間に合体し、解決への疑念は消え去り、轟音とどよめきのベースビートが鳴り響くたびにカメラが激しく揺れ、404のエラー・イマジネーションは大きく損なわれる。
 ラモン(ブラジル人、21歳)は、リオデジャネイロにほど近いノバ・イグアスのパルハダで生まれ育った。ファベーラ・ファンクのカリオカに膝まで浸かり、ビート・ボーリャから発せられる火花を屈伸させながら、まるで金属鍋の上で熱々のベーコンをジュージューと焼くような揺れのひとつひとつにアフリカの伝統を見せつける。

 ラモンの動画のテイスト(味)は、緊急に冷やした夏のフルーツに似ている。ラモンは、ほとんど忘れられた一族の末裔だ。DJデッキのまわりで何気なく踊りながら、たまにミキサーのツマミに触れ、自分たちが魔法を生み出し、オーディエンスが天才を目撃していると錯覚させるようなUSBメモリ使いのDJたちとは一線を画しているのだ。いまや多くの場合、DJはAIプレイリスト・セレクターと何ら変わりなく、オリジナル・トラック制作者の手柄を横取りしている。それゆえ、DJのスペクタクルはテクニックや才能ではなく、いかにセクシーに見えるか、エキゾチックに見えるか、いかにイヴェントを楽しく見せるかにある。観客を魅了するDJソーダの魅惑的なポゴ 「ジャンプ 」を思い浮かべてほしい。

 ラモンは、おそらく知らず知らずのうちに、実際にDJをしていた本物のDJたちの弟子であり、エレクトロニック/ダンス・ミュージックを革新してきた黒人の長い系譜に連なる革新的な信念の持ち主だ。ジャマイカのサウンドシステム・ヤーマン・ヴァイヴスや初期のニューヨーク・ラップの黄金期に習得された数々のテクニックのエコーが、彼の若い手に反映されている。
 しかし、彼は使徒でもある。機材を使い、マッシュし、スマッシュし、ミックスし、サノスの存在から新しい何かを振動させる。ラモンはDJ機材を選曲マシーンではなく、楽器のように扱う。ラモンは決して動きを止めず、創作に対する彼の精神的な鋭敏な注意は、絶対的に明瞭で白黒はっきりしている。ネット上の動画はどれも短く、ミキシングはダンスフロアの脳をメルトダウンさせるために振り切れている。

 よって、ブラジル行きの飛行機に乗れない私たちの多くが知りたいのは、芝居がかった動画ではなく、彼の長く録音されたミックスがいったいどんなものなのか、ということ。新たなスターダムを知るにはいいタイミングだろう、私はレーベル〈Lugar Alto〉から2023年末の11月にリリースされたリリースを手に入れた。
 最初に言っておく。ベースが鳴っていない。多くの人が彼のミキシング・スペクトラムの幅広い使い方に慣れているいま、ミックスは期待するほどドラスティックではない。私たちは皆、自分のステレオやiPhoneがそれを扱えることを知っている。『Sexta dos Crias』はふたつの長いミックスで構成されている。完全に楽しめるし、彼のユニークなスキルから期待されるべきものだ。しかし、他のダンス・レコードの中で完全に際立っているわけでもない……トラック2の途中までは。
 “Distorcendo a Realidade"では、急にテンションが上がり、彼の動画にあったダーティな雰囲気にへと変化する。ここまで来るのに時間がかかるのはどうかと思うが、だからといってそれまでの数分間が無駄というわけではない。いや、彼の計り知れない才能を判断するには、別のメディア、別の創作形態、圧縮の幅が必要なだけだ。『Sexta dos Crias』の2曲は、ほとんどのミックスがそうであってほしいようなペースで進んでいく。しかも彼はこれをリアルタイムでやっているわけだ! 私がDJプレイにこれほど興奮したのは、ジェフ・ミルズを見て以来のことだ。踊りたい、興奮もしたいし、絶頂に達するほど刺激されたい。DJが実際にデッキでパフォーマンスするのを見ることで、私の注意を惹きつけてほしい。世界中のDJがこのことに注目し、ベッドルームに戻って自分の能力をスパイスアップすることを願う。DJラモンは他の追随を許さない。

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Ramon came on my radar like any genuine sensation should. Spontaneously and without warning. Randomly and like a two ton bomb to the waist. Videos viral in their pervasiveness across the web caught my attention while doom scrolling. Short and perfect for TikTok viral attention span, each video was simply shot in one non-descript inside location ( possibly his bedroom?) with Ramon in front of his personal decks massaging the controllers from the get go, conjuring a multi level on-the-fly mix of vocals and scattered beats. The call and response soundscape quickly coalesces, all doubt of resolution is killed, and the 404 error imagination is severely damaged by the camera shaking violently with each thunderous, throbbing bass beat.
Ramon, Brazilian, 21 years old born and raised in Palhada, Nova Iguaçu, an area close to Rio de Janeiro, knee deep in favela funk carioca flexing the sparks emanating from beat bolha, shows his
African heritage with each tremor that sizzles hot bacon as if on a metal pan.

The taste of a Ramon video is similar to summer fruit chilled for immediate effect. Ramon follows in a line almost forgotten among 2024 USB stick carrying DJs who casually dance around dj decks only once in a blue moon touching the knobs of their mixers to make the dancing public falsely believe they are creating magic and they, the audience , witnessing genius. Often times djs are no different than AI playlist selectors taking the credit for the original track maker’s creation.
Hence the spectacle of Djing isn’t on technique or talent now but how sexy you look or exotic or how fun you make the event seem.
Ramon, most likely unknowingly, is a disciple of the OG DJs who actually DJed, a innovation believer in a long line of Black people innovating electronic / dance music. Echoes of the many techniques mastered before in Jamaican sound system yah-man vibes and the golden age of early NYC rap are reflected in his young hands.

But he is also an apostle. Using the equipment to mash, smash, mix and vibrate out of Thanos existence something new. Ramon treats DJ equipment like an instrument rather than a track selecting machine. Ramon never stops moving and his mental acute attention to creating is black and white with absolute clarity. Each video online is short and mixing is left in the red for dance floor brain meltdown.

So that brings one to wonder what would a longer recorded mix without the video theatrics sound like since most of us can’t grab a flight to Brazil. Just in time to capitalize on his new stardom, we have been graced with this first release put out in November at the tail end of 2023 by label Lugar Alto. I will disappoint you first. The bass ain’t bass-ing. The mix isn’t as drastic as one would hope especially as many people are now used to his wide use of the mixing spectrum. We all know that our stereos and iPhones can handle it. “Sexta dos Crias” comprises only 2 long mixes. Entirely enjoyable and what we should expect from his unique skills. But it also doesn`t stand out entirely from other dance records..... UNTIL mid way through track 2
“Distorcendo a Realidade” which suddenly turns waaaay up and gets grimy dirty resembling his videos. Too bad we have to wait so long but that doesn’t mean the preceding minutes are a waste. No, just a different medium, a different form of creation and compression range to judge his immense talent. The 2 tracks of “Sexta dos Crias” move at a pace that I wish most mixes moved at. Mind you he does this in real time! I haven’t been so excited about DJ work since I saw Jeff Mills. I want to dance but I want to also be excited and stimulated to the point of climax. I want the DJ to earn my attention in watching him actually perform on the decks. I hope all DJs worldwide take note and go back to their bedrooms to spice up their abilities. DJ Ramon is unmatched.

大好評につき3刷達成!
発売1週間にして重版決定!

ダブとは何か? それはどのように生まれ、いかにして広まり、拡張したのか?
そのすべてを俯瞰する!

ルーツからニューウェイヴ、ディスコ、テクノ、アンビエント、ベース・ミュージックまで
400枚以上の作品を紹介する、ダブ・ディスクガイドの決定版

監修・編集・執筆:河村祐介
執筆:野田努、三田格、鈴木孝弥、飯島直樹、猪股恭哉、草鹿立、大石始、宇都木景一、吉本秀純、Akie、八木皓平
featuring U‐ロイ、エイドリアン・シャーウッド、アンドリュー・ウェザオール、こだま和文、内田直之、1TA & Element、Sahara (Undefined)、Mars89

A5判オールカラー/224ページ

目次

イントロダクション

Chapter 1 ROOTS ダブのルーツ

サウンドシステムを巡るジャマイカ音楽史とダブの誕生譚
キング・タビーとはなにものなのか?(鈴木孝弥)
U-ROY・インタヴュー
人々を「アップセット」するための音響を──リー・ペリーのダブ
その他のジャマイカの重要ダブ・エンジニア/アーティスト
【disc】ROOTS OF DUB IN JAMAICA

Chapter 2 SPREAD 拡散

UKダブ史──いかにしてそれを自分たちの文化にしたのか(野田努)
【disc】UK REGGAE ┃ WACKIE'S
エイドリアン・シャーウッド・インタヴュー
【disc】ON-U SOUND
レゲエとパンクは似たもの同士ではない――UKでのDUB論の展開(野田努)
【disc】POST-PUNK / NEW WAVE ┃ DISCO
レゲエのデジタル化とダブ・アルバムの衰退(鈴木孝弥)
【disc】JAMAICA DIGITAL DANCEHALL DUB ┃ UK DIGITAL NEW ROOTS

Chapter 3 DANCE DJ カルチャーとダブ

UKレイヴ・カルチャーとダブ(三田格)
【disc】UK RAVE CULTURE IN DUB
アンドリュー・ウェザオール・インタヴュー
ブリストル・サウンドとはなにか?(飯島直樹)
【disc】BRISTOL SOUND ┃ DOWNTEMPO, TRIP HOP, TECHNO, JUNGLE ┃ BASIC CHANNEL

Chapter 4 FAR EAST 日本のダブ

こだま和文・インタヴュー
内田直之・インタヴュー
【disc】JAPANESE DUB

Chapter 5 EXPANTION 拡張

【disc】ELECTRONICA ┃ DUB TECHNO / MINIMAL DUB ┃ HOUSE / NEW DISCO ┃ LOCALIZED ┃ DUBSTEP / BASS MUSIC ┃ ROCK, ELECTRONICS, LEFTFIELD

Chapter 6 ADVENTURE モダン・ダブの冒険

国内外を結ぶ、注目の国内ダブ・レーベル主宰者に訊く、現在のダブ・シーン──1TA & Element(Riddim Chango)、Sahara(Newdubhall)、Mars89(Nocturnal Technology)
【disc】THE ADVENTURE OF MODERN DUB

索引
著者紹介

[監修]
河村祐介(かわむら・ゆうすけ)
OTOTOY編集長/ライター
1981年に幡ヶ谷で生まれてそのまま。石野卓球編纂の『テクノ専門学校Vol.3』収録のセイバーズ「Wilmot」でダブの虜仕掛けの明け暮れに。2004年~2009年『remix』編集部、LIQUIDROOM勤務やふらふらとフリーを経て、2013年より、OTOTOY編集部所属からの長。

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