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Khruangbin

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野田努   Aug 08,2019 UP

 ただいま人気絶頂のクルアンビン、いまもっとも魅力的なバンドであることは間違いない。まずはギター、リヴァーブをこれでもかと効かせながら、タイ音楽や中東あたり特有のコブシの入ったメロディを弾く。彼のギターがこのバンドの音の目印だ。そしてベース。いちばん目を引くちょっと派手な出で立ちの彼女は、じつにツボを得たベースを弾いている。ドラムも同様。かなり安定している。見た目このバンドは色物っぽいのだが、じつはじつは、かなりしっかりとした演奏力がある。ライヴの動画を見るとエンターテイナーとしての動きもプロフェッショナルだ。いい意味でアメリカのバンドっぽい、おそらく場数も多く踏んだ実力派だ。

 家に客人が来て、酒を飲んで話したりしているとき、そのときどきによってかける音楽を考えてしまうものだが、ここ最近でいえばクルアンビンほど汎用性の高い音楽はない。ありがたいことに、いまのところパーフェクトにみんなが「これイイね」だ。彼らの『Con Todo El Mundo』を再生しながら音楽好きと飲みながら話していると、東南アジアのベンチャーズ? 中東のトミー・ゲレロ? などという談義にもなる。どうでもいいことだが。
 なによりも重要なのは、この暴力的な暑さのなか、ビールを飲みながらクルアンビンを聴いている時間帯は心地良いという事実だ。「いまこれ気に入ってるんだけどさ」と言いながら、ムーディーマンの新譜をかけたり、あるいはココロコの新譜をかけたりしても、クルアンビンをかけたときの解放感の足元にも及ばない。ご機嫌なこの音楽を聴きながら講釈をたれるひともいないだろうし、そもそも猛暑のなかではまったく頭が機能してませーん。

 最近リリースされた2枚は、この夏の贈り物だ。『全てが君に微笑む』というふざけたタイトル(彼らの1st『The Universe Smiles Upon You』に引っ掛けているのだろう)の1枚はシングル曲などの寄せ集めで、クルアンビン中毒者の禁断症状にはうってつけである。あらためてクルアンビンという発明のすごさを思い知るだろう。
 また、もう1枚は驚きのダブ・アルバムで、しかもサイエンティストによるミックスときた。ジャマイカのダブマスターのなかで、もっともユーモアを前面に打ち出すエンターテイメント性の高いプロデューサーである。そして彼のダブ・ミキシングは、クルアンビンのベースとドラムがいかに素晴らしいかを浮き彫りにしている。タイや中東のメロディばかりがこのバンドのすべてではないのだ。

野田努

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