「Nothing」と一致するもの

Jeff Parker - ele-king

 前作『The New Breed』の成功でもはやトータスのメンバーとして以上に、むしろソロ・アーティストとして牢固たる地位を確立した感のあるジャズ・ギタリスト、ジェフ・パーカー。その新作が出るというのだから見逃せない。『The New Breed』がジェフの父へのトリビュート作だったのにたいし、今回のタイトルは『Suite for Max Brown』で、彼の母に捧げる作品となっている。日本での発売は1月29日。原盤はマカヤ・マクレイヴンなどで知られる〈International Anthem〉と〈Nonesuch〉の共同リリースとなっており、そのマカヤ・マクレイヴンや盟友ロブ・マズレクらが参加している。収録曲にはコルトレーンやジョー・ヘンダーソンのカヴァーも含まれているようで、もうとにかく楽しみだ。
 なおジェフは、2月9日から11日にかけ、トータスの一員として来日することが決まっている。そちらの情報はこちらから。

Jeff Parker & The New Breed “Suite for Max Brown”
ジェフ・パーカー『スイート・フォー・マックス・ブラウン』

フォーマット:CD
商品番号:IARC-J029 / HEADZ 244 (原盤番号:IARC0029)
価格:¥2,100+税
発売日:2020.1.29 ※オリジナル(US)盤発売日:2019.1.24
原盤レーベル:International Anthem Recording Co. / Nonesuch Records Inc.
バーコード:4582561391378

01. Build a Nest (feat. Ruby Parker) 2:13
 ビルト・ア・ネスト(フィーチャリング・ルビー・パーカー)
02. C'mon Now 0:25
 カモン・ナウ
03. Fusion Swirl 5:32
 フュージョン・スワール
04. After the Rain 4:45
 アフター・ザ・レイン
05. Metamorphoses 1:48
 メタモルフォーゼズ
06. Gnarciss 2:12
 ナールシス
07. Lydian Etc 0:55
 リディアン・エトセトラ
08. Del Rio 1:38
 デル・リオ
09. 3 for L 4:47
 スリー・フォー・L
10. Go Away 4:58
 ゴー・アウェイ
11. Max Brown 10:36
 マックス・ブラウン
12. Blackman 2:56
 ブラックマン

Total Time 42:50
       
※ track 12 … 日本盤のみのボーナス・トラック(from 7" phonograph flexi disc:IARC0021)

All songs composed by Jeff Parker (umjabuglafeesh music, BMI);
except “After The Rain” by John Coltrane, and “Gnarciss” which contains elements of “Black Narcissus” by Joe Henderson.

“C’mon Now” features samples from the Otis Redding recording “The Happy Song (Dum-Dum).” Produced under license from Atlantic Recording Corp. By Arrangement with Rhino Entertainment Company, a Warner Music Group Company.

All arrangements by Jeff Parker.

Engineered and edited by Jeff Parker at Headlands Center For The Arts, Sausalito, California and at home in Altadena, California.
Engineered, edited and mixed by Paul Bryan in Pacific Palisades, California.
Mastered by Dave Cooley at Elysian Masters, Los Angeles, California.

Produced by Paul Bryan and Jeff Parker.

“Build a Nest (feat. Ruby Parker)”
Jeff Parker - drums, vocals, piano, electric guitar, Korg MS20
Ruby Parker - vocals

“C’mon Now”
Jeff Parker - sampling, editing

“Fusion Swirl”
Jeff Parker - electric guitar, bass guitar, samplers, percussion, vocals

“After the Rain”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - electric piano
Jeff Parker - electric guitar and percussion
Jamire Williams - drums

“Metamorphoses”
Jeff Parker - glockenspiel, sequencer, sampler, MS20

“Gnarciss”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - alto saxophone
Katinka Kleijn - cello
Rob Mazurek - piccolo trumpet
Makaya McCraven - drums and sampler
Jeff Parker - electric guitar, JP-08, sampler, midi strings

“Lydian, Etc”
Paul Bryan - bass guitar
Jeff Parker - electric guitar, pandeiro, midi programming, etc.

“Del Rio”
Paul Bryan - bass guitar
Jeff Parker - electric guitar, mbira, sampler, Korg MS20, drums, electric piano

“3 for L”
Jay Bellerose - drums and percussion
Jeff Parker - electric guitar, Korg MS20

“Go Away”
Paul Bryan - bass guitar and vocals
Makaya McCraven - drums
Jeff Parker - electric guitar, vocals and sampler

“Max Brown”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - alto saxophone
Jeff Parker - guitar, Korg MS20, JP-08
Nate Walcott - trumpet
Jamire Williams - drums

“Blackman”
Produced, Performed & Recorded by Jeff Parker.
Vocals by Ruby Parker.
Mixed by Paul Bryan.
Mastered by David Allen.

Graduated studies of sampling, cycles & soulful jazz harmonics mix Monkian miniatures into a fusion-swirled dedication.

2020年2月に1998年の名盤『TNT』の完全再現公演で来日するポストロックの代表バンド、トータスのメンバーであり、平行してジャズ・ギタリストとしても活躍するジェフ・パーカーの名盤の誉れ高き、2016年のリーダー作『The New Breed』(NPR、Observer、New York Times、Los Angeles Times、Jazz Standard、Bandcamp 等にて、2016年の年間ベストに選出。日本盤は2017年リリース)に続く、新作アルバム『Suite for Max Brown』が遂に完成。

ジェフと並ぶ看板アーティストでもあるドラマーのマカヤ・マクレイヴンのリーダー作等で近年日本でも注目されているシカゴの新興ジャズ・レーベル、〈International Anthem〉とあの〈Nonesuch Records〉との共同リリースの第一弾アルバム(第一弾は2019年12月2日にリリースされたジェフのアルバムの先行シングル「Max Brown - Part 1」)となる本作は、『The New Breed』の姉妹作(『The New Breed』はジェフの亡き父親に捧げられたアルバムで、アルバムのアートワークにもフィーチャーされていたが、本作はジェフの母親の19歳の頃の写真がジャケットにフィーチャーされている。まだご存命の母親へ捧げられたアルバムで、アルバム・タイトルも母親の旧姓に因んでいる。)ともいえる作品で、前作同様にジェフがマルチ・インストゥルメンタリストやビートメーカーとして一人で制作した楽曲と The New Breed というグループ名でライブ活動をするまでに発展した前作のレコーディング・メンバーが再び集結して制作された楽曲が違和感なく収録されている。

『The New Breed』と同様プロデュースはジェフ自身と、エイミー・マン、アラン・トゥーサン、ノラ・ジョーンズの作品等で有名なポール・ブライアン(2018年のグラミーでエイミー・マンの2017年のアルバム『Mental Illness』のプロデューサーとして「Best Folk Record」を受賞)が担当(ミックスも担当し、ベースでも参加。ミシェル・ンデゲオチェロやルーファス・ウェインライトのライブにも参加するなどプレイヤーとしても活躍している)。

エスペランサ・スポルディングやミゲル・アトウッド・ファーガソン、カルロス・ニーニョ、キーファー、リオン・ブリッジズとも共演してきたサックス奏者のジョシュ・ジョンソン、ロバート・グラスパー・トリオのメンバーで、先鋭的ジャズ・コレクティヴ、エリマージを率いる新世代ドラマー、ジャマイア・ウィリアムス(モーゼス・サムニーの2017年作『Aromanticism』にはドラマーとして、ソランジュの2019年作『When I Get Home』にはプロデューサーの一人として参加している)が脇を固めている。本作には更に二人のドラマーが参加しており、一人はレーベルメイトで何度も共演していて、日本でも人気上昇中のマカヤ・マクレイヴン(『The New Breed』の日本盤のボーナス・トラックとして収録されたリミックスも担当)、もう一人は『The New Breed』にも参加していたジェイ・ベルローズ(ポール・ブライアン関連作のみならず、ポーラ・コールの作品を中心に、エルトン・ジョン、ロバート・プラントとアリソン・クラウスのグラミー受賞作『Raising Sand』他、ジャンルに関係なく活躍)。

シカゴ・アンダーグラウンド・オーケストラ以降、何度も共演を重ねてきた盟友ロブ・マズレクがピッコロ・トランペット、ブライト・アイズ(コナー・オバーストのソロ作も)やエンジェル・オルセンの2019年作『All Mirrors』にも参加しているネイト・ウォルコットがトランペットで参加している。

また、ジェフのバークリー音楽院時代の同級生で、現在は Chicago Symphony Orchestra に在籍しているチェリスト、Katinka Klejin (2019年末来日したラリー・ウォーカーと共演作をリリースしている)も参加している。

アルバムの冒頭を飾る “Build a Nest” には、前作収録の “Cliche” に引き続き Chicago High School of the Arts の学生でもある17歳のジェフの愛娘、ルビー・パーカーのヴォーカルをフィーチャーしている。

ジェフのオリジナル楽曲とともに、ジョン・コルトレーンの1963年作『インプレッションズ』収録の “After the Rain” のカヴァー、ジョー・ヘンダーソンの “ブラック・ナルシサス” をジェフ流に解釈した “Gnarciss” を収録している。

マスタリングも前作同様、J・ディラ『Donuts』を手掛けたデイヴ・クーリーが担当している。

ヒップホップにインスパイアされた現在進行形のサウンドと、古き良きジャスがバランスよくブレンドされた、ジェフのミュージシャンやコンポーザーとしての懐の深さを感じさせる、『The New Breed』を更新・進化させた正にマスターピース。

日本盤には2018年5月21日に7インチのソノシートのみでフィジカル・リリースされた、Madlib とのコラボでも知られるジョージア・アン・マルドロウ(〈ストーンズ・スロウ〉初の女性アーティストとしてデビューし、現在は〈ブレインフィーダー〉所属)の “Blackman” (1st フル・アルバム『Olesi: Fragments of an Earth』収録曲)のカヴァー曲をボーナス・トラックとして収録(アルバム用にリマスタリングされている)。

ライナーノーツは、Jazz The New Chapter の柳樂光隆が担当。
日本盤のみ歌詞・対訳付。

Daniel Lopatin - ele-king

 ダニエル・ロパティンが劇伴を手がけた映画『アンカット・ダイヤモンド』(原題:『Uncut Gems』)が Netflix にて1月31日より配信開始となる。その布石として、サウンドトラック制作の背景を追ったドキュメンタリーが YouYube にて公開中だ。日本語の字幕付きで視聴できるのはありがたい。予想以上に良い内容のサントラだっただけに、どんなふうに制作が進められていったのか、気になるところです。下記、新たにコメントも到着。いわく、「すべてが美しい叙事詩のよう」。ロパティン本人のインタヴューはこちらから。

アダム・サンドラー主演/サフディ兄弟監督/A24 配給
『UNCUT GEMS』(邦題『アンカット・ダイヤモンド』)
Netflix にて1月31日より独占配信開始!
OPNことダニエル・ロパティンが手がけたサウンドトラックの制作ドキュメンタリーが日本語字幕付きで公開!

サフディ兄弟による本作は、そのストーリーと音楽によって、ニューヨークの喧騒を見事に描き出し、時には映像さえ必要ないのではないかとすら思わせる。 ──The New York Times

サフディ兄弟監督/アダム・サンドラー主演/A24配給の映画『Uncut Gems』(邦題『アンカット・ダイヤモンド』 Netflix にて1/31より独占配信開始)。世界に先駆け公開となったアメリカでは興行収入が A24 史上最高記録を塗り替え、NY映画批評家協会賞とサンディエゴ映画批評家協会賞では監督賞受賞、キャリア史上最高レベルの素晴らしい演技と評判の主演アダム・サンドラーは、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で『JOKER』のホアキン・フェニックスを抑え主演男優賞を受賞するなど、配信開始前からここ日本でも映画ファンを沸かせている本作。

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)ことダニエル・ロパティンが手がけた本作のサウンドトラックの制作背景を追ったドキュメンタリー映像が公開! 日本語字幕付きでの視聴が可能となっている(YouTube 上の設定ボタンより「字幕⇨日本語」で設定)。

ニューヨーク宝石市場を舞台とした一風変わったクライム・サスペンス作品を彩るダニエルが手がけた音楽は、緊迫した物語と絡みながら、ヴァンゲリスやタンジェリン・ドリーム、そして芸能山城組をも彷彿とさせる幻想的な音色や、まるでスティーヴ・ライヒが書き下ろしたオペラのようなミニマルでパーカッシヴな声楽曲までを幅広く表現。映画のシーンに合わせどのように音を構築したのか、そしてサフディ兄弟と互いを刺激し合いながら、いかにしてこのかつてない劇伴を完成まで至らせたのか、貴重な制作の裏側が垣間見られる内容となっている。

Behind the Soundtrack: 'Uncut Gems' with Daniel Lopatin (DOCUMENTARY)
https://www.youtube.com/watch?v=pIAvmtNIx9I&feature=youtu.be

今でもこのサウンドトラックがどういうものか説明出来ない。 なぜならすべてが美しい叙事詩のようでその瞬間その瞬間に意味があるからだ。 ──Daniel Lopatin

予告編
https://youtu.be/vTfJp2Ts9X8

『アンカット・ダイヤモンド』 (原題:『Uncut Gems』)
監督:ジョシュア・サフディ&ベニー・サフディ
脚本:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ、ロナルド・ブロンスタイン
製作:スコット・ルーディン、イーライ・ブッシュ、セバスチャン・ベア・マクラード
出演:アダム・サンドラー、キース・スタンフィールド、ジュリア・フォックス、ケビン・ガーネット、イディナ・メンゼル、エリック・ボゴシアン、ジャド・ハーシュ
音楽:ダニエル・ロパティン
公開:2020年1月31日 Netflix にて全世界配信開始

label: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
artist: Daniel Lopatin
title: Uncut Gems Original Motion Picture Soundtrack
release date: 2019/12/13 FRI ON SALE

国内盤CD
BRC-625 (解説書封入) ¥2,200+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10630
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZR5G8DL

TRACKLISTING
01. The Ballad Of Howie Bling
02. Pure Elation
03. Followed
04. The Bet Hits
05. High Life
06. No Vacation
07. School Play
08. Fuck You Howard
09. Smoothie
10. Back To Roslyn
11. The Fountain
12. Powerade
13. Windows
14. Buzz Me Out
15. The Blade
16. Mohegan Suite
17. Uncut Gems

インタビュー掲載中!
ele-king: https://www.ele-king.net/interviews/007303/
──人間としての自分に近い作品に思えた

BEATINK 年間ベスト「BEATINK BEST OF 2019」キャンペーン実施中!
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10746

MAE.SUN - ele-king

 サキソフォニストにしてヴォーカリストのヘイリー・ニスワンガー率いるバンド、メイサン(MAE.SUN)がセカンド・アルバムを送り出す。彼女は、USのマルチ楽器奏者エスペランサ・スポルディングからもあつい信頼を置かれているプレイヤーで、まだ知らない方は要チェックっす(昨秋のハーヴィー・メイソンの来日公演では、マーク・ド・クライヴ=ロウとも共演)。ジャズと現代ソウルとの蜜月を教えてくれる、素敵な1枚をぜひ。

MAE.SUN
Vol.2 Into The Flow

エスペランサ・スポルディング、テイラー・アイグスティ(ケンドリック・スコット・オラクル)等とも共演を果たす、サックス奏者・ボーカリスト、ヘイリー・ニスワンガーを中心に結成された MAE.SUN (メイサン)。
コンテンポラリー・ジャズの洗練さとネオ・ソウルのフィーリングが融合し、色彩豊かな輝きを増したセカンド・アルバム!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/maesun

ネオソウル以降の音楽シーンに新たな息吹を与える MAE.SUN。率いるのは女性サックス奏者ヘイリー・ニスワンガー。十代でリーダー作を発表してジャズの世界で認められた気鋭のプレイヤーであり、その実力はエスペランサ・スポルディングからも厚い信頼を得ている。だけど、MAE.SUN での彼女はもっと抜きん出てた才能を発揮する。自らヴォーカルも取り、真にグルーヴィーでマインドフルな音楽を追求する姿勢が、このアルバムから伝わるはずだ。 (原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : MAE.SUN (メイサン)
タイトル : Vol. 2: Into The Flow
発売日 : 2020/2/19
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC64)
フォーマット : CD (日本企画限定盤)

Tracklist :
01. Awaken
02. Change
03. Bond (feat. Amber Navran)
04. Cycle
05. Ritual
06. Ascension (feat. Kate K-S)
07. Acceptance
08. Free

Banter × Thomas Fehlmann - ele-king

 大ヴェテラン、トーマス・フェルマンが2月15日に来日する。会場は表参道の VENT。今回のパーティは、Moss と SITH のふたりから成るオーディオ・ヴィジュアル・ユニット Banter による初の作品「THER」のリリース・パーティとして企画されたもので、同作にフェルマンがリミキサーとして参加したことがきっかけになった模様。目も耳も思うぞんぶん楽しめる一夜になりそうだ。

リビング・レジェンド、Thomas Fehlmann が Banter 初作品のリリースパーティーに登場

デトロイト~ベルリンの架け橋としてベルリンのテクノ・シーンの礎を築き上げ、The Orb の長年のコラボ・メンバーとしても活躍してきたリビング・レジェンド、Thomas Fehlmann (トーマス・フェルマン)。Banter の初のリリース作品にリミキサーとして起用された Thomas Fehlmann と共に、リリース・パーティーを2月15日に開催!

Thomas Fehlmann は、79年に Holger Hiller や Moritz Von Oswald と共に伝説のニューウェイヴ・バンド Palais Schaumburg を結成。バンド解散後、ソロ活動を開始してからは、盟友 Moritz Von Oswald とのプロジェクト 2MB、3MB でデトロイト・テクノのオリジネーター Blake Baxter や Eddie Fowlkes や Juan Atkins と邂逅、デトロイトとベルリンの架け橋としてベルリンのテクノ・シーンの礎を築いた人物と言って過言ではないだろう。その後、The Orb の長年のコラボレーション・メンバーとして積極的にリリースに関わる。ソロ作品は〈R&S〉や〈Tresor〉、〈KOMPAKT〉などの名門レーベルからリリースし、多くの映像作品用にも楽曲を提供してきた。

今回のパーティーを仕掛ける Banter は、サウンド・プロデューサーの Moss と VJ の SITH aka So In The House が2017年に結成したミニマルでアシッドなオーディオ・ビジュアル・ユニットだ。Moss が生み出す緻密なサウンドに SITH がビジュアルをシンクロさせ、オーディエンスの聴覚と視覚を揺れ動かしてきた。Banter 初のリリース作品「THER」がこの度リリースされることになり、リミキサーとして Thomas Fehlmann が起用されている。

静逸なアンビエントからミニマル&テクノまでを自在に操り、ドイツのクラブ・シーンに非常に大きな貢献を残した Thomas Fehlmann と、日本発のアップカミングな才能である Banter が、共に創り出した作品のリリースパーティーで相見える一夜は注目に値するだろう!

[イベント概要]
- Thomas Fehlmann at Banter Vol. 7 -
DATE : 02/15 (SAT)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,600 / FB discount : ¥3,100
ADVANCED TICKET : ¥2,750
https://jp.residentadvisor.net/events/1373267

=ROOM1=
Thomas Fehlmann (Kompakt, DE)
Banter - Audio & Visual Live Set (Moss / Sith)
RAHA (Beat In Me)
SAYA SATURN (Banter)
VJ DRAKHMA

=ROOM2=
BLACK NICO (L...deep)
erica
STONEVIBES
MAL

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your cooperation.

Nyantora + Duenn feat. 津田翔平 & 毛利悠子 - ele-king

 2016年にナカコーのプロジェクトのひとつである Nyantora と福岡在住の duenn によって始動し、年数回ペースで開催されている《HardcoreAmbience》。これまでも刺激的な企画を提案してきた同イベントだが、今回は2009年に亡くなったグラフィックデザイナーの粟津潔に焦点を当てた内容になっているようで、ゲストに美術家の毛利悠子と津田翔平が参加する。詳細は下記より。

ENVIRONMENT 粟津潔と環境と音楽 by HardcoreAmbience
(出演:Nyantora、Duenn、津田翔平、毛利悠子)

Koji Nakamura こと Nyantora と、福岡を拠点とするサウンドアーティスト duenn による共同イベント〈HardcoreAmbience〉の開催が決定。2009年にこの世を去ったグラフィックデザイナー粟津潔氏。金沢21世紀美術館に収蔵されている彼のグラフィック作品の中から今回のイベントコンセプトに合わせて作品をセレクトし、それらを図形楽譜に見立て約60分間のサウンドセッションを行う。出演者は、Nyantora+duenn、特別ゲストに美術家毛利悠子、美術家/グラフィックデザイナー津田翔平を招聘。各々が粟津潔作品を再解釈し、一つの “ENVIRONMENT” を生み出すことで、時空を超えたコラボレーションを展開する。

[日時]
2月4日(火)
20:15開場/20:30開演(21:30終演予定)

[会場]
アップリンク渋谷

[料金]
前売¥3,000 / 当日¥3,500(共に1ドリンク付き)

[詳細]
https://shibuya.uplink.co.jp/event/2020/55513

〈HardcoreAmbience〉は2016年から始動。Nyantora と duenn が自分達の出したい音、聴きたい音を追求し、その音に静かに深く向き合う場を作り続けるというコンセプトのもと、幅広い年齢層のアーティストを招聘し、年数回ペースで開催されている。イベント命名者は現代美術家宇川直宏。

Nyantora
ナカコーの多岐にわたる活動の中でキャリア最長を誇るアンビエントプロジェク ト。HARDCORE AMBIENCE を共同主催する Nyantora+duenn のライブ音源が、ベルギーの実験音楽レーベル〈Entr’acte〉からリリースされるなど、海外での評価も高まっている。2018年6月に、7年振りとなるCD『マイオリルヒト』を発表。

duenn
福岡在住のエレクトロニクス・コンポーザー。必要最小限の機材でミニマルな作品を制作。HARDCORE AMBIENCE を共同主催する Nyantora+duenn のライブ音源を、ベルギーの実験音楽レーベル〈Entr’acte〉で発表するなど国内外のレーベルより複数のEP、アルバムをリリース。

津田翔平
1986年東京都生まれ/茨城県在住。現代美術家、実験建築家、グラフィックデザイナー、ノイズレーベル〈UNNOISELESS〉主宰。空間における個人の存在を探究する実験や、既にそこに在る事象を志向/拡張することで意識と無意識を反転させるアーティスト。多次元空間を紡ぎ出すかの様に制作された作品群には、一貫して解体/測量/再構築といわれる建築的要素が含まれている。表現方法は建築・インスタレーション・絵画・彫刻・映像・音楽・ライブパフォーマンス・グラフィックデザイン・ノイズ音源のリリースなど多岐にわたる。
www.shoheitsuda.net

毛利悠子
1980年生まれ。美術家。磁力や重力、光など、目に見えず触れられない力をセンシングするインスタレーションを制作。2015年、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)のグランティとして渡米。2018年に英国カムデン・アーツ・センターでの個展「Voluta」、十和田市現代美術館での個展「毛利悠子:ただし抵抗はあるものとする」が開かれたほか、「第5回ウラル・インダストリアル・ビエンナーレ」(ロシア)、「アジア・パシフィック・トライアニュアル2018」(オーストラリア)、「リヨン・ビエンナーレ2017」(フランス)、「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ2016」(インド)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」(神奈川)など国内外の展覧会に多数参加。2015年に日産アートアワード グランプリ、2016年に神奈川文化賞未来賞、2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。現在、東京芸術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専任講師。
https://www.mohrizm.net/

企画:HardcoreAmbience 
協力:金沢21世紀美術館、粟津ケン

Sefi Zisling - ele-king

 ベーシストとトランペットの両アヴィシャイ・コーエンやシャイ・マエストロ、オメル・アヴィダルなど、現在のコンテンポラリー・ジャズ界ではイスラエル出身のミュージシャンが高い評価を集めている。彼らの多くはニューヨークを拠点に活動し、世界的に有名なプレイヤーとなっているのだが、近年のイスラエルでは新しいミュージシャンもいろいろ出てきており、ジャズに限らず様々な分野の音楽シーンで活躍している。たとえばネオ・ソウルやR&B方面で注目されたJ・ラモッタ・スズメ(彼女はもともとジャズ・トランペッターでビートメイキングもおこなう)、ジャズと民族音楽、ソウルとビート・ミュージックを融合したバターリング・トリオ、そのメンバーのリジョイサーことユヴァル・ハヴキンほか、ピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツ、ドラマーのソル・モンクことアヴィ・コーエンらが結成した新ユニットのタイム・グローヴなどは日本でも話題になったアーティストだ。そのタイム・グローヴにも参加していて、ほかにもいろいろなプロジェクトで多彩な活動を行なうトランペット奏者、セフィ・ジスリングも近年の注目株のひとりである。

 テル・アヴィヴ出身でテルマ・イェリン芸術学校に学んだセフィ・ジスリングは、同校出身のリジョイサーや彼が主宰するレーベルの〈ロウ・テープス〉周辺で活動してきた。昨年デビュー・アルバムをリリースしたリキッド・サルーンもこの周辺から生まれたアフロ・ジャズ・バンドで、セフィとドラマーのアミール・ブレスラー、キーボード奏者/プロデューサーのノモックことノアム・ハヴキンが組んでいる。ほかにもソウル/ファンク・バンドのメン・オブ・ノース・カントリーやファンケンシュタイン、ロックやサイケ、ブルースやカントリーなどのミクスチャー・バンドのラミレス・ブラザーズといろいろなバンドで演奏しているが、彼の音楽の大きな柱となっているのがジャズとファンクとアフロで、リジョイサーをプロデューサーに迎えて〈ロウ・テープス〉からリリースしたファースト・ソロ・アルバム『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』(2017年)は、そんな彼の資質にビート・ミュージック的なエッセンスや抒情性も交えた好作品となっていた。それから2年半ぶりの新作『エクスパンス』はUKの〈トゥルー・ソウツ〉からのリリースということで、彼の注目度が世界的に増していることが伺える。

 演奏メンバーはセフィのほかにノアム・ハヴキン(キーボード)、オムリ・シャニ(ベース)、トム・ボーリング(ドラムス)、イダン・カッペバーグ(パーカッション)、ウジ・ラミレス(ギター)、ヤイル・スラツキ(トロンボーン)、ヤロン・オウザナ(トロンボーン)、ショロミ・アロン(テナー・サックス)、アイヤル・タルムディ(テナー・サックス)、ノアム・ドレムバス(アルト・サックス、パーカッション)、サチャル・ジヴ(フレンチ・ホルン)など、『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』及びリキッド・サルーン、ファンケンシュタイン、ラミレス・ブラザーズなどで共演してきたミュージシャンが参加。またヴォーカルでバターリング・トリオのケレン・ダンや、ジャスミンとライラのモアレム姉妹が参加するほか、イスラエル出身のDJ/マルチ・ミュージシャンとして世界的に有名なクティマンもヴィヴラフォン、パーカッション、キーボードでゲスト演奏をおこなっている。

 『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』に比べて、『エクスパンス』は1960年代のジャズ・ファンクのようなオーガニックな音色が前面に出ていて、より生音らしいアルバム作りがおこなわれている。変拍子のアフロ・キューバン・ジャズの “ハイ・ライド” がその筆頭で、セフィのトランペットはじめホーン・セクションやキーボードなどが作り上げる重厚で迫力のある演奏を楽しめる。最近はこうした1960年代風のサウンドを聴くことが少なくなっていたので、逆に新鮮でもある。ケレン・ダンとジャスミンとライラのモアレム姉妹を配した “ザ・スカイ・シングス” は、アフロの要素の入ったジャズ・ファンクにソフト・サイケとムード音楽が結びついたような妖しいコーラスが異彩を放つ。クティマンの参加した “ハッピー・ソウル・リターン” はもっともアフロビートの色合いが強い曲で、演奏者全員が作り出すグルーヴが素晴らしい。ほかにもスロー・ナンバーの “オンゴーイング・モーニング” での哀愁に満ちた深遠な演奏、“エピローグ” でのフリーフォームなインプロヴィゼイションとさまざまな魅力が詰まったアルバムとなっており、イスラエルの新しいジャズ・シーンを知るのに最適な一枚と言える。


King Krule - ele-king

 きっと今年は音楽の風向きが変わる。キング・クルールことアーチー・マーシャルのニュー・アルバムは、おそらくその最初ののろしになるだろう。たとえばアメリカのフランク・オーシャン同様、時代のアイコンとも呼ぶべき存在、じつにイギリスらしいサウンドにのせて独特のことばを吐き出すこの若き才能は、来るべき3枚目(本名名義を含めると4枚目)のアルバム『Man Alive!』でいったいどんな世界を描き出すのか。発売は2月21日。心して待とう。

[2月6日追記]
 まもなくリリースされる新作からのセカンド・シングル、“Alone, Omen 3” のMVが公開された。「君は独りじゃない」というメッセージがこめられているようで、監督はアーチーの友人であるジョセリン・アンクイーテルが担当、脚本はアーチーとジョセリンのふたりが手がけている。チェック。

[2月19日追記]
 いよいよ明後日に発売となる最新アルバム『Man Alive!』より、新曲 “Cellular” が公開された。MVのアニメを制作したのは、過去にアーチーと “Vidual” でコラボしたことのあるジェイミー・ウルフ。リリースまであと2日!

NYクラブ・ミュージックの新たな波動 - ele-king

 ホームNYのみならず、世界中のダンス・ミュージック・フリークから注目を集める野外レイヴ・パーティ「Sustain-Release」の国外初となるサテライト・イベント「S-R Meets Tokyo」がいよいよ今月25日(土)に開催される。「Sustain-Release」を主宰するDJ/プロデューサーの Aurora Halal をはじめ、前編・中編にわたって紹介してきた DJ Python や Beta Librae、Galcher Lustwerk ら“NYサウンドの新世代”が東京・渋谷「Contact」に一堂に会す。これだけは冒頭でちゃんと述べたいが、もし今のクラブ・シーンを見にNYへ行ったとしてもこれほど旬なラインナップのパーティなんてそうそう出合えない。それほど「S-R Meets Tokyo」は、スペシャルなのである。

 2014年にスタートしてから今では1000人限定の“特別なパーティ”となるまでに大成した「Sustain-Release」は、今年で開催7回目。参加者の友人1人まで招待できる完全招待制という崇高なシステムを導入していながらもチケットは毎度たった10分でソールドアウト、オンラインメディア「Resident Advisor」の月間「Top 10 Festivals」において4年連続で1位を獲得するほど、多くの人々がそのドリームチケットを羨むような新時代のレイヴだ。

©Raul Coto-Batres

 そんなビッグ・パーティを成功させた Aurora Halal は、毎週世界のどこかでプレイする人気DJとしてアメリカとヨーロッパで知られているものの日本ではまだまだミステリアスな存在。だからこそ、今のNYのダンス・ミュージック・シーンにおいてキーパーソンである彼女のバックグラウンドを紹介したい。


Aurora Halal のセルフレーベル〈Mutual Dreaming〉のEP「Liquiddity」。
収録された “Eternal Blue” には Wata Igarashi のリミックス・ヴァージョンも

 Aurora Halal がダンス・ミュージックに打ち込むようになったのは、まだ大学生だった2004年ごろのこと。地元ワシントンD.C.を拠点に00年代後半から活動するDJユニット Beautiful Swimmers の Andrew Field-Pickering がペンシルバニアにあるゲティスバークの森で開いていたハウス・パーティがきっかけだった。そこで流れる「Paradise Garage」のようなクラシックなディスコや、当時「Cybernetic Broadcasting System(CBS)」と呼ばれていたオランダの「Intergalactic FM(IFM)」のようなコズミック・ディスコ、 Newworldaquarium こと Jochem Peteri、Arthur Russell などのジャンルにとらわれないギークでおもしろいサウンド、そして何よりそのパーティでの体験が、のちに「Sustain-Release」となる前身のパーティ「Mutual Dreaming」へと発展させることに。
 大学を卒業してからブルックリンへ移り住んだ Aurora Halal は2010年、かつてイーストウィリアムズバーグにあったクラブハウスのような独特な雰囲気のスペース「Shea Stadium」でパーティをスタート。あえてクラブでなく、これまで一度もダンス・パーティが開催されたことのないようなスペースをその時々で選んでは、借りてきたスピーカーを持ち込んで、ブースを設置。さらに当初は、彼女が集めていた70年代のビデオアートがライティングの代わりに投影された。一から十までくまなく手がかけられた「Mutual Dreaming」は、「自分たちと同世代がやりたいことをやれるような場所が当時のNYには少なかった」と話す、Aurora Halal 自身が行きたいと思うパーティのカタチをDIYで組み立てていったのだ。


Mutual Dreaming 2011 Flyer

 そうやって手探りで始めたパーティはトライアンドエラーを繰り返しながらも、新しいスタイルを求めていたオーディエンスをはじめ、パーティに必要不可欠なサウンドシステムやライティングのチーム、Beautiful Swimmers や〈L.I.E.S. Records(以下、L.I.E.S.)〉のファウンダー Ron Morelli、Traxx、Steve Summers、DJ Sotofett を筆頭とするプレイヤーなど、さらなるレベルへと押し上げる多くの人々の協力を得ることでより新鮮で強いエネルギーを放つコミュニティへ成長。それは、ちょうど「Bossa Nova Civic Club」がオープンしたばかりで、〈L.I.E.S.〉や〈White Material〉などのレーベルが軌道に乗り始めたころと同時期だった。NYのファンジン『Love Injection』のインタヴューで当時のことを Aurora Halal はこう語る。「私のコンセプトは、自分が考えていることの可能性を実行し、リアルなパーティを作ることだった。〈L.I.E.S.〉や〈White Material〉などのアーティストは、それまでにあったNYのダンス・ミュージック・シーンの一部ではなかったし、その一部になりたいと望んでもいなかった。だから、ブルックリンに新しいタイプのカルチャーが生まれたの。それがこのシーンの始まりで、そのころの記憶にある強烈な新鮮味と情熱はいまだに忘れられない」。

©Raul Coto-Batres

 それから2年が過ぎた2014年。「森のなかで、もっと大きな『Mutual Dreaming』をやりたかった」と話す彼女は、ついに「Sustain-Release」を実行する。ここでもう一度言うならば、「Sustain-Release」は、いわゆるヨーロッパの花形“フェス”でなく、 Aurora Halal を初心にかえさせるゲティスバーグの森に強くインスパイアされた“レイヴ”だ。「Freerotation」というイギリスのフェスに何年も通っていた初期のチームメイト Zara Wladawsky と初めて会った2013年から一緒に空き地を探し始め、ようやく見つけたロケーションで、500人限定の最初の「Sustain-Release」をローンチ。2016年にはNY市から車で2時間ほどの場所にある現在のキャンプ場「Kennybrook」に開催地を移し、2017年には Zara Wladawsky から Ital や Relaxer などの名義で知られる Daniel Martin-McCormick が共同ディレクターへ。毎年、回を重ねるごとに少しずつマイナーチェンジを行い、9月の週末を大自然に囲まれたアップステートの野外で快適に過ごすことができる現在の環境を作り上げた。

©Raul Coto-Batres

 これまでの出演者を振り返ると、ヨーロッパからは DJ Sprinkles、Lena Willikens、Optimo、PLO Man、Helena Hauff、LEGOWELT、DJ Stingray、DVS1、Vladimir Ivkovic など、日本からは DJ Nobu、Wata Igarashi、POWDER など、ホームNYからは Aurora Halal をはじめ、Anthony Naples、Huerco S.、 DJ Python、Galcher Lustwerk、Umfang、Beta Librae、Hank Jackson、DJ Healthy などそうそうたるラインナップだ。こうやって出演者を羅列するとめちゃくちゃ豪華に感じるけれど、各年にフォーカスすると一概に「豪華」というにはかなり語弊がある。なぜなら、彼女が本当におもしろいと思えるプレイヤーを「Sustain-Release」ならではの審美眼で選んだユニークなラインナップだといえるからだ。


Sustain-Release YEAR SIX flyer


©Raul Coto-Batres
The Bossa stage

 過去4年間、キャンプ場にある屋内競技場を利用したメインステージはテクノが中心の巨大なレイヴ・パーティのヴェニューに、「Bossa Nova Civic Club」にちなんだ半屋内の「Bossaステージ」はブルックリンのローカルDJを中心にハウスやトリッピーなダンス・ミュージックがかかるワイルドなフロアに変わる。もちろんここにあるのはダンス・フロアだけじゃなくて、野外の森には、落ち葉とウッドチップが重なり合うフカフカの地面に敷いたマットに寝そべりながらアンビエントやエクスペリメンタル、リスニング・ミュージックを聴けるチルな「The Groveステージ」も。

©Raul Coto-Batres
The Grove stage

 さらに敷地内にはバスケットボールコートとプール、小さな湖があって、開催初日の昼はバスケットボールトーナメント、土曜の昼はプールサイドで1日限りの「Saturday Pool Party」を開催。踊り狂うもよし、プールで泳ぐもよし、カヌーに乗るもよし、疲れたら昼寝するもよし、大自然のなかで人々の声欲(しょうよく)を満たすプログラムが62時間にわたってしっかり組み込まれているのだ。

©Raul Coto-Batres


©Raul Coto-Batres
バスケットボールのコートサイドでプレイする DJ Python

 ロケーションやサウンド、プログラムのほかに、「Sustain-Release」においてライティングも重要なパートのひとつ。森の木々を幻想的に照らし出すブルーやパープル、ピンクなどのカラーライト、ダンス・フロアの天井に張り巡らされた光のライン、時折視界に射し込んでくるレーザーの強い光線。「Sustain-Release」での体験をより印象的なものにするライティングには、電気工学を学び、数々のライブパフォーマンスやイベントデザインを手がけてきた Michael Potvin 率いる団体「NITEMIND」と、彼らが輩出したアーティストの Kip Davis が任されている。

©Raul Coto-Batres Instagram: @rl.ct.btrs
The Main stage

 「NY」とか「新しい世代」とか「レイヴ・パーティ」とか、やっぱり日常的になじみの薄い言葉を字詰めするとただの夢物語に感じさせるかもしれない。そして、できることなら現地の「Sustain-Release」に遊びに行ってもらいたいのだが、東京にいながらこのシーンの一部を体験できるのが「S-R Meets Tokyo」だ。いろいろ考えてみても、文化の水準が違う日本で、アメリカと同じように自由なクラブ・シーンは生まれにくいだろう。だけど、少なくとも東京とNYにいる人たちの交流を通じて文化をシェアしていけたら、これから日本やアメリカで始まる新しい何かにつながるかもしれない。

Sustain-Release presents “S-R Meets Tokyo”

2020年1月25日(土)東京・Contact
OPEN 22:00
出演
Aurora Halal (NY)
Galcher Lustwerk (NY)
Wata Igarashi (Midgar | The Bunker NY)

DJ Python (NY)
Beta Librae (NY)
AKIRAM EN
JR Chaparro

Mari Sakurai
Ultrafog
Kotsu (CYK | UNTITLED)
Romy Mats (解体新書)
Celter (Eclipse)

OFFICIAL GOODS
Boot Boyz Biz (NY)×葵産業

NEON ART
Waku

料金
BEFORE 11PM ¥2500 | UNDER 23 ¥2500 | ADVANCE ¥2500 | GH S MEMBERS ¥3500 | W/F ¥3500 | DOOR ¥4000
詳細:https://www.contacttokyo.com/schedule/sustain-release-presents-s-r-meets-tokyo/

Various Artists - ele-king

 コンピレーション・アルバム『tiny pop - here's that tiny days』は、インターネットから生まれた新しいポップ・ミュージックの始まりを告げる大切な記録だ。本作に収録されているアーティストたちの楽曲を聴いていると、リヴァイヴァルの文脈が海外のシティ・ポップ・リヴァイヴァルとはいささか異なっていることに気が付く。海外のマニアの参照地点からは取りこぼされた音楽からの継承を感じるのだ。
 ここで本作と繋がる重要な二作を挙げよう。1982年にリリースされた大貫妙子『Cliché』と1987年にリリースされたピチカート・ファイヴ『カップルズ』である。この二作に共通するのは「小さな宝石箱のようなポップ・ミュージック」という点だ。フランス音楽とアメリカ音楽の上品な香水のよう音楽性と、日本語と旋律の交錯。それはチャートを席巻するような「大袈裟さ」とは無縁の、小さな美しいメロディとハーモニーによる日本のポップ・ミュージックの理想型であった。そして日本が豊かだった(とは何か?)時代に生まれた珠玉のポップ・ミュージックでもあった。
 この「小ささ」と「豊かさ」こそ「tiny pop」へと継承されるものだと思う。提唱者にしてアルトサックス奏者でもある山田光は「tiny pop」を「インターネット上にあるプライベートな音楽の中でも歌謡曲の記憶を聴く者から引き出すような音楽」「DIY歌謡曲」と定義している。むろん若いアーティストばかりであるので、80年代の音楽の援用はほとんど無意識なのかもしれないが大切なものなのだろう。なぜならポップとは無意識の発見と発露でもあるのだから。
 では「豊かさ」とは何か。「豊かさ」はこの時代にあって反転して継承される。つまり微かなアイロニーを含んだ憧れとして、である。たとえばアルバム冒頭に収録された西浦マリのソロ・ユニット mukuchi の “午前十時の映画祭” などは、私にはまさにピチカートの『カップルズ』の楽曲のように聴こえた(特に “七時のニュース” などの鴨宮諒の楽曲群)が、しかしこの曲は、87年に制作されたピチカートの曲とは異なり、現代のムードを濃厚に捉えているのだ。特に「ツタヤでは100円でレンタルできる名画を映画館に観に行くことの贅沢さ」をいささかのアイロニーと共に歌っている点は重要に思えた。80年代・90年代とは違う「この時代特有の捻じれた不景気さ」(その意味でバブルが崩壊直後の状況を歌っていた第三期ピチカート・ファイヴとの繋がりを考えてしまう)。ちなみに西浦マリ= mukuchi は関西の漁村に在住し、これら珠玉の印派的なDIY歌謡曲を制作したという。
 以降、各収録曲の詳細と解説はCDに付属のライナーに書かれているので、ぜひともCDを購入してそちらを読みこんでほしいので、ここでは簡単な楽曲の紹介にとどめたい。まず関西在住のトラックメーカー SNJO による “Ghost” と SNJOとゆnovation “Days” は、80年代AORと90年代渋谷系と00年代ダフト・パンクを交錯されたタイニー・ファンク・AOR(+ラップ)といった楽曲。
 wai wai music resort の “Blue Fish” は、ミニマルなエレクトロニック編成のハイ・ラマズのような趣の箱庭ポップで、メロディの切なさが胸に迫る。wai wai music resort で作詞・作曲・編曲を務めるエブリデのソロ名義 “牛の記憶” はキリンジ直系の捻じれた叙情が堪らない名曲だ。そして「tiny pop」の提唱者であり、コンピレーションの監修者で、サックス奏者にしてインプロヴァイザーである山田光が「しょぼいポップス」を作ろうと天啓を受けて始めた feather shuttles forever の “ウェルウィッチア” は、「ele-king」の野田努氏のアイデアという「ウッドベースとサックスのサンプルとボサノバ的なギター」から始まった楽曲。「ジャズとポップの融合」だが大げさにならず、慎ましやかで、しかしジャズにもボサノヴァにも「似ていない」洗練された演奏と編曲が耳を潤してくれる。アルバムを締めくくるに相応しい名曲だ。ヴォーカルは mukuchi の西浦マリ。

 ここでとんでもない爆弾級のアーティストをひとつ飛ばしていることにお気づきだろう。そう、日本アンダーグラウンド・フォーク音楽の系譜を継ぐ「ゆめであいましょう」というユニットだ。
 ゆめであいましょうは作詞・作曲・編曲の宮嶋隆輔とヴォーカルの蒲原羽純によるユニット。本コンピレーションには “見えるわ”、“シャンマオムーン”、“誰もが誰かに” の3曲が収録されているが、まるで80年代の未発表歌謡曲のような、もしくは売野雅勇と芹澤廣明コンビの知られざる女性アイドルのデモテープのような、というかそもそも過去も未来も関係なく80年代そのものがあるような、要するにここまで書いてきたことをすべてひっくり返すとんでもない劇薬のようなDIY歌謡曲なのである。これは何か?
 時間と空間をゆがめるような言葉の真の意味でサイケデリックとしか言いようがない感覚。じっさい DX-7 のようなシンセの音色と80年代歌謡曲のような歌唱は、作為や天然を超えて「そのもの」という存在感がある。
 そう、ゆめであいましょうにおいては、シティ・ポップ・リヴァイヴァルも失われた過去もすべて吹き飛んでしまうのだ。「本当の過去」を蘇生する力というべきか。これが現在の曲なのか。という疑問は、しかしこれは現在録音された音楽なのだという事実に否定される。心底、驚いた。ゆめであいましょうの3曲を収録したコンピレーションの監修者は本当に素晴らしい仕事をしたと思う。

 ともあれ全11曲、すべて綺羅星のような現在のポップ・ミュージックである。そしてパーソナルな音楽でもある。コンピューターによる作曲・録音環境と、インターネットによる楽曲の発表と配信が整備された時代だからこそ、生まれ、発表され、聴かれ、そして編まれた貴重な作品たちといえるだろう。このCDには「2020年の夜明けに相応しい新しい音楽シーン」が瑞々しく息づいている。20年代の始まりにぜひとも耳を傾けて頂きたい。

DJ HOLIDAY - ele-king

 大好評だった『ARIWA tunes from my girlfriend’s console stereo』の続編『Still listening to Ariwa's tunes~』が昨年のクリスマスにリリースされていて、こちらも評判を呼んでいる。
 ラヴァーズ・ロックとは80年代のUKで生まれたレゲエのサブジャンルで、もともとはジャマイカ移民の子たちのハートにぐさっと突き刺さる胸きゅんなポップ・レゲエを指している。サッチャー政権のど真ん中のポストパンク以降のヒリヒリとした時代において、移民たちのオアシスのような音楽として機能していたわけだが、聴けばわかるように、音楽的な魅力に溢れるこのスタイルが移民コミュニティの外でも大いに愛されることになったのは必然だった。日本でも昔からコンピが編まれたり、中古で人気だったり、地味にずっと愛され続けているジャンルである。で、2018年にSFPの今里くんがDJ HOLIDAY名義でミックスCDを手掛け、またさらにファンを増やしていると。
 2018年には石井“EC”志津男さんが手掛けた『The ROCKSTEADY BOOK』というジャマイカ音楽のメロウ・サイドを紹介するディスクガイドも評判となっているが、なんか最近、じわじわとレゲエ熱が来ているようだ。クラバーの話では、最近はダブステップのDJもハウスもDJも、レゲエやダブをかけることが多くなったそうで、久しぶりにレゲエが盛り上がってくれるかもしれない。このメロウなミックスCDをSFPの今里くんが手掛けていることも大きいですよね。今回も素晴らしい選曲のたまらくメロウな時間が待っています。アートワークもキュートだし、藪下さんのライナーも親切だし、これはもうぜひチェックしましょう。


V.A.
DJ HOLIDAY A.K.A. 今里 FROM STRUGGLE FOR PRIDE
── Still listening to Ariwa's tunes from my girlfriend's console stereo.

ARIWA/OCTAVE-LAB
Amazon

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