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interview with Zola Jesus

interview with Zola Jesus

音楽は傷つきやすい人のために

――ゾラ・ジーザス、インタヴュー

野田 努    Feb 03,2012 UP

Zola Jesus
Conatus

Pヴァイン

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 エミール・ゾラは19世紀末のパリを生きた作家で、日本でも『居酒屋』や『ナナ』といった小説で広く知られる。下層階級出身の美しい娼婦ナナがブルジョワ階級を破滅してきたさまを描いた『ナナ』という物語に、ゾラ・ジーザスがどのような共感を抱いているのかまでは話してもらえなかったが、噂に聞こえる彼女の博学、そして理知的な側面はかいま見れたかもしれない。彼女の場合は一風変わった生い立ち、そして飛び級で進学したほどの才女ぶりが、黒く濃いアイラインの音楽よりも語られがちで、作品よりも存在のほうが目立ってしまっている。
 それでもゾラ・ジーザスは、2010年のセカンド・アルバム『ストリドラム ll(Stridulum ll)』とLAヴァインパイアとの共作「LA Vampires & Zola Jesus」が欧米ではすこぶる評判となって、まあ、彼女の望まないトレンドかもしれないが、スージー&ザ・バンシーズからリディア・ランチ、そしてコクトー・ツインズといった暗黒世界の女の系譜、つまり最近で言えばコールド・ケイヴやグライムスに代表される"ダークウェイヴ"の盛り上がりのなかで、それはさらにまた広まった。昨年リリースされた3枚目のアルバム『コナトゥス』は、Discogsを見ても多くの人の2011年のベスト・アルバムのリストに挙げている。
 『コナトゥス』をウィッチ・ハウスのカテゴリーに入れたくなる人もいるかもしれない。恐怖を誘発するかわりに、アルバムにはダンス・ミュージックが多分に含まれている。彼女の鍛えられた声は音程を滑らかに駆け上がり、そして感情的なうねりを走らせる。切なさは際だち、力のこもったバラードは夜にとけ込む。残念ながら「なぜ"ヒキコモリ"という曲を作り、歌ったのか」については答えてくれなかったけれど、22歳の売れっ子は、なかなか面白い話をしてくれた。

音楽は社会に対して神経質な、傷つきやすいような人の観点から作られていると思うの。みんな苦しんでる。経済的にも、社会的にも、感情的にも。人の大きな流れのたったひとりという現実、違う方向に自分を推し進めようとしている大きな「社会」という力に、どう対抗していいのか悩んでる。

■100エーカー以上の森のなかで育っていうのは本当なんですか? 1990年代のアメリカだというのにTVもインターネットもない場所で暮らしていたというのがまず興味深い話ですよね。

ゾラ:田舎で育ったことで、自分の想像力や、実際興味を持ったものに対して、より時間をかけて追求することができたと思っている。

■ソローの『森の生活』のような感じですか?

ゾラ:(笑)。そこまでじゃないわ。もう少しモダンで文明化していたよ。

■7歳でオペラ・トレーニングをはじめたといいますが、どういう経緯であなたがオペラを歌うことになったんですか?

ゾラ:どういう経緯かははっきり覚えてないの。でも歌うことが大好きで、オペラというものはその欲求をいちばん自然に、そして率直に満たしてくれるようなものだと感じたんだと思う。

■しかし、そんなあなたはどうやってニューヨークの〈Sacred Bones Records〉から作品を出すことになるのでしょうか? あなた自身はどうやってポップ・ミュージックやインディ・ミュージックのシーンと出会うのですか? 

ゾラ:音楽はずっと好きだったわ。作るのも、聴くのも。新しい音を探すのも大好きだったし、つねに好奇心旺盛だったと思う。自分の音楽を発表するようになってから〈Sacred Bones Records〉が私を見つけてくれた感じだったわ。

■あなたが自分で音楽制作に向かう際に、あなたを勇気づけた音楽があったら教えてください。たとえばスージー&ザ・バンシーズとかコクトー・ツインズは聴きましたか?

ゾラ:他の音楽からインスピレーションを得ることはないわ。すごく制限されている感じがするの。自分は心のなかから湧き出るものをベースに音楽を作っている。他のアーティストにインスピレーションを求めると、自分独自の声を妥協している気がするの。

■エミール・ゾラのどんなところが好きなんですか? 

ゾラ:リアルに対しての彼の熱心なところ。とても素直な人で、世界をありのままの姿で見つめるのを怖がらなかった人ね。

■やはり作品的には好きなのは『ナナ』でしょうか? だとしたらあの物語のどんなところに惹かれますか?

ゾラ:彼の本でいちばん最初に読んだものね!

■ほかに文学作品であなたに大きな影響を与えたものは何でしょうか?

ゾラ:フィリップ・K・ディック、ジョルジュ・バタイユ、太宰治、アンナ・カヴァン。

■名前になぜジーザスを名乗ったのでしょうか? 神聖なモノへの冒涜のような趣も含まれているのでしょうか?

ゾラ:たんに名前の響きを気に入ったの。ジーザスという言葉に新たな角度を持たせられるかな、と。みんなジーザスという名に恐怖心を持ちすぎていて、もっと気軽に使える名にしたかったという意味もあるかな。

■最初のアルバム『The Spoils』はどのように作られたのですか? 

ゾラ:自分のベッドで、安い、低質な機材を使って、たくさんの好奇心を合わせて4トラックで作ったわ。

■あなたをゴシックというタームで形容する人がいますが、あなた自身としてはそれを受け入れられますか? 

ゾラ:この言葉は何かやすっぽいと思う。自分はその言葉は建築を指すこと以外使わないわ。

■実際、あなたの初期の作品の主題には厭世的な暗闇の世界、"Devil Take You"のような、ある種の暗黒世界のようなものを感じるのですが、いかがでしょうか? あなたのゴシック趣味はどこから来ているのでしょうか?

ゾラ:個人的に人生のなかでも辛い時期で、『The Spoils』を一種のカタルシス(浄化)として利用した部分があるの。いろんなことを乗り越えるために役立ったわ。

取材:野田 努(2012年2月03日)

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