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Home >  Interviews > interview with Paul Randolph - 2012年のノーザン・ソウル

interview with Paul Randolph

interview with Paul Randolph

2012年のノーザン・ソウル

――ポール・ランドルフ、インタヴュー

野田 努    通訳:長谷江利子   写真:小原泰広   Aug 24,2012 UP

Paul Randolph And Zed Bias presents
Chips N Chittlins

Pヴァイン

Amazon

 ゼド・バイアスといえばUKガラージ/ベース・ミュージックを代表する名プロデューサーのひとりで、初期はイングランド中東部に位置する街、ノーザンプトンを拠点とするレーベル〈サイドワインダー〉から作品を出している(さらに初期はディープ・ハウスのレーベル〈ロウズ・オブ・モーション〉からも出している)。ザ・ストリーツのリミックスを手がけているほど母国では名が知れた人物で、ダブステップにも少なからず影響を与えているような先駆者でもある。ドラムンベースの人気レーベル〈ホスピタル〉、クアンティックで知られる〈トゥルー・ソーツ〉からもアルバムを出している。
 いっぽうのポール・ランドルフ、今回の取材の主役は、1999年、カール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラ名義の作品、スタイリスティックスのカヴァー・シングル「ピープル・メイク・ザ・ゴー・ラウンド」において、その美声をもって我々の前に登場した。そのシングルのリミキサーがムーディーマンやスラム・ヴィレッジだったので、ランドルフは、この10年、日本でも多くの人に愛されているデトロイト系のソウルの始動に絡んだひとりとなった。
 ランドルフはそれから、ムーディーマンの〈マホガニー・ミュージック〉から最初のアルバム『This Is... What It Is』(2005年)をリリースして、2007年にはシカゴの〈スティル・ミュージック〉からセカンド・アルバム『ロンリー・エデン』を発表、他方ではアンプ・フィドラーやジャザノヴァでの作品をはじめ、オクタヴ・ワン、アズ・ワンなど、数多くのアーティストの作品に歌、あるいはベース奏者として参加している。職人といえば職人だが、交流関係はアーティスティックである。

 『チップス・アンド・チットリンズ』は、そんな、いかにもUKらしいクラブ・ミュージック道(地方で暮らしながら絶対に自分の好きなことしかやらない、労働者階級的な反骨心)を突き進んでいるベテランと、いかにもデトロイトらしいスキルフルでセクシャルなソウルとのコラボレーション・アルバムである。ハウス(4/4キックドラム)、そしてガラージ/ベース・ミュージックのビート(裏打ちでバウシーなビート)、ランドルフのベースとプリンスのような歌声、ときおり注がれるアシッディな音色、つまり『チップス・アンド・チットリンズ』とはモダン・ノーザン・ソウルなのだ。
 周知のように、ノーザン・ソウルとは60年代のUSソウルをとことん輸入した、UKにおいてふだん汗かいて働いている連中のダンス・ムーヴメントである。チップス=英国人の(どちらかといえばいなたい連中の)日常的な食べ物、チットリンズ=アフリカ系アメリカ人のソウルフード。良いタイトル/プロジェ クト名だ。
 ジャザノヴァでのライヴのために来日したポール・ランドルフに話を聞いた。

デトロイトにダブステップのような音楽が入ってきたのってやっとこの2~3年ほど前で、「そういうものがあるらしい」というような認識しかなかったんですよ。もともとデトロイトはテクノとハウスを中心に発展してきたような町ですから。

ええと、最初の来日って、ムーディーマンのライヴのときでしたっけ?

ポール:いいや、最初の来日は1985年で、そのとき僕は初めてちゃんとしたバンドの一員として来ていて、大阪のボトムラインというところで1日3回くらいショーをやりました。オリジナルもありましたけどカヴァーもあって、もうキャメルからヴァン・ヘイレンくらいまで何でもやるバンドでしたね。

というか、それって高校くらいってことですよね。

ポール:うーん、ひょっとしたら高校くらいだったかな。それからはもう7~8回くらい来日しています。何年かっていうのは、やっぱり言えないな(笑)。

どうしてです?

ポール:年齢がバレるからね(笑)。

なははは。いいじゃないですか(笑)。だって、たぶん我々があなたの名前をいちばん最初に認識したのは、1999年の"ピープル・メイク・ザ・ワールド~"のカヴァーだったんですけれども、それ以前のあなたの歴史というのもそうとう長そうですよね。

ポール:カールに会う前は、URのマイク・バンクスともともと友だちでよく練習していました。彼のお母さんの家の地下で、ドラムマシンやシンセやらをいじっていましたね。あの頃はなにも思っていませんでしたけれども、いま考えてみればURの生まれるもとになったのかもしれない。そのことに僕は気づいていませんでした。80年代に初めて日本に来たときには、ほんとはいっしょに来る予定だったんです。マイクも同じバンドにいたので。でもマイクは自分のプロジェクトを優先してデトロイトに残って、日本には来なかったんだけど、結果的には彼のほうが日本にもよく来てるし、世界を何周もすることになりましたよね。

へえー。それはすっごく面白いつながりですよね。

ポール:マイクに出会う前もいろいろなバンドにいたんです。けど基本的にマイクがデトロイトのアンダーグラウンド・テクノ・シーンを紹介する入り口になってくれた人で、彼からカールも紹介してもらったし、ケヴィン・サンダーソンも紹介してもらったしという感じで......。話が錯綜しちゃうけど、二度目の来日がムーディーマンだったかもしれない。

ああー。

ポール:実は4回目なんですけどね(笑)。

はははは!

ポール:よく考えてみればアンプ・フィドラーと2回来ていて。自分のバンドに最初アンプ・フィドラーが在籍してて、そのあとアンプがソロ作品を出すときに、サポートとしてベースを弾いて、そのバンドで2回ほど日本に来ているんです。そのあと、初めてエレクトロニック・ミュージックのソロ・プロジェクトとして出した作品がムーディーマンのレーベルからのもので、これは友人がムーディーマンにつないでくれたんだけど、それをきっかけに彼と来日しています。

ええと、僕、マイク・バンクスとは1993年12月に東京で会って以来の......なんて言ったらアレですけど、デトロイトが大好きな日本人のひとりです。あなたの地元の音楽を本当に好きなんです。

ポール:ああ、本当に! へえーーー!

取材:野田 努(2012年8月24日)

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