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Interviews

interview with Buffalo Daughter

interview with Buffalo Daughter

ただの雑談

──バッファロー・ドーター、結成20周年記念インタヴュー

取材:野田 努   Aug 12,2013 UP

Buffalo Daughter
ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter

U/M/A/A

Amazon iTunes

 僕が1994年にele-kingを作ろうと思った動機には、テクノやダンス・カルチャーにハマったことも大きいが、それ以上に「こういう音楽もあるんだ」ということを主張したかったというのがある。多くのメディアは売れているものを中心に扱う。しかし、わずか100人しか聴かないような音楽にも賞賛に値する、素晴らしいものはある。少数派の意見にも耳を傾けよ。僕は変わり者が好きだ。そう主張したいだけで、ポップとアンダーグラウンドのどちらが優れているかなどを競いたいわけではない。
 バッファロー・ドーターは20年前から今日にいたるまで、アウトサイダーとして存在し続けている。TR303と「アシッド・トラックス」に寄せる多大な愛情が、変わり者をこよなく愛するというこのバンドの性格を物語っているだろう。つまり、バンドの音楽には、クラウトロックにも似た、ロックに対する独自な解釈が加えられているわけだが、その独自なものとは、コーネリアスやスマーフ男組、インセンスのように、さまざまな音楽に感化された創造中枢によって吐き出される。
 この記事は、バッファロー・ドーターの結成20周年を記念してリリースされるベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』のために企てられたものだが、結局、たんなる雑談のようなものになってしまった。アルバムの内容についてはバンドのホームページ(http://www.buffalodaughter.com)を参照して欲しい。こんな記事を書いておいて恐縮だが、魅力的なリズムと綺麗なハーモニーとユニークなアイデアをもったバッファロー・ドーターの音楽にひとりでも多くの人が興味を抱いてくれたら幸いである。

ライヴをやってたんですけど、まずまったくお客さんの反応がないんですよ。ポカーンとして見てるみたいな。自分たちとしてはすっごく楽しいことをやってるんだけど(笑)、どうしてかなっていうのはずっとあったんだけど。「ウケないね、やっぱり」みたいな。

ベスト盤っていうと、古典的な意味ではシングルの編集盤ですよね。あるいは昨今だと、たとえばオリジナル盤ができなかった場合に契約上出されたりであるとか、時代によってベスト盤の意味合いも違ってきてると思うんですけど、今回バッファロー・ドーターがベスト盤っていうときに何をもってベストとしているのか、まず教えてください。

シュガー吉永:ベスト盤っていうからあれなんですけど、記念盤ですよ、20周年の。わたしたち的には。でもなぜベスト盤っていう話になってたかっていうと、ニックが言い出したんだけど。これの選曲をしてくれたひとが、「俺が選曲するよ」って言ってくれて、で、「ベストな選曲をする」って言ってたからベスト盤って呼んでますけど、最終的なわたしたちの気分的には20周年記念盤。

じゃあ、その選曲の基準っていうのは、そのニックさんに丸投げで。それはそのひとの耳を信用しているっていう?

吉永:そうですね。

それはどういう意味で信用してる?

吉永:信用してるっていうほど大げさなものでもなかったのがひとつあって。だってどんな形でも選ぶひとによって違うから。わたしたちが選んでも違う選曲になったし、とにかくいろんなパターンの選曲があると思ったなかでニックさんがいいなと思ったのは、日本人が選曲するよりも日本人じゃないひとが選曲するのがいいんじゃないかというのがまずひとつあったんだけど。それを誰がやる? っていうときに、ニックさんが「俺がやる」って手を挙げてくれたのが大きい(笑)

なるほど。ニックさんっていうのはどういう方なんですが?

吉永:ニックさんはBBCのレディオ3とかでDJやってるんですけど、選曲家の方で。

レディオ3ってクラシック専門じゃなかったでしたっけ? 

吉永:ニックさんの番組はインターFMでやってますよ。いい感じですよ。

たとえばどんな傾向の方なのかとか......。

吉永:......それはちょっとググっていただいて(笑)。

(笑)

吉永:ニックさんはとにかく音楽の幅が広い。で、元々iTunesの立ち上げのときに関わってるひとだったり。

弘石(U/M/A/A):野田さん、会ったことあると思います。ニック・ラスコムっていう、日本の先端の音楽をUKで紹介する番組やレーベルをやってた方です。

日本の音楽事情に詳しい方なんですね。なるほど。日本人じゃなくて外国人に頼んだっていうのは何か大きい理由があってのことですか?

吉永:それは世界発売したいと思って、日本人観点で選ぶよりは、そういうほうが面白いかなと思って。

なるほど、やはり世界観点というのはこだわりがあるんですね。

吉永:こだわりっていうか、最初のスタートが日本だけだと受けないから、海外でも出せばそれなりの数になるんじゃない、っていうのがあるから。日本だけで大成功できるバンドだなって思ってたらそんな必要はなかったんだけど。っていうことですよね(笑)。

20周年に対してはどんな想いがあるんでしょう? 

吉永:20周年でベスト出そうよって言ったのは、そもそもは大野なんです。

大野由美子:わたしが参加したことのあるほかのバンドで、20周年だからベスト盤出しますよっていうのを聞いて。「あ、20年でベスト盤出すんだ」って思って(笑)。「あー、いい区切りになるんだな」と。そこはゴージャスに3枚組かなんかでやってて。「へー、これ出すの大変だったんだろうな」と思ってて、で、「うちに置き換えたらすっごい大変そう」とか思って(笑)。でも、うちは前のアルバムとかも全然手に入らないものばっかりなので、そう考えたら全部を出すきっかけを作れるかもしれないと思ったんですよね。ベスト盤を出すと言うよりは、揃えて聴ける状況にはしたいなって。それまでちょっとずつ権利のことで動いてたから、余計にそう思ったんだと思いますけどね。

バッファロー・ドーターが20周年っていうのがなんか、妙な違和感があるというか(笑)。あんまり20年経った気がしないような感じがするんですけど。

吉永:それはだから、大野が気がついたんです。みんな気がついてなくて。それも友だちのバンドで20周年を祝っていたひとがいたから、「あ、そう言えばわたしたちも来年そうだわ」と思ったらしい。

大野:それだけなんですよ。たぶん、それがなかったら気づかないで2013年始まってたかもしれない。

山本ムーグ:なんか、バンドのなかにいると台風の目みたいなもんで、中心は無風なんですよ。20周年とか10周年とか、周りがわりと大騒ぎするんですけど、10周年のときなんかはあんまり何も感じてなくて、結局大したことやってないんですよ。で、今回も心から「20年経ったからここで楔を打っとかないと!」っていうのはぜんぜんなくて。たしかに周りの方は「20周年だから何かやっといたほうがいいよー」って感じで。感覚的にはそんな感じだと思います。

なるほどね。ちなみにニックさんの選曲についてはメンバーからは何のリクエストもなかったんですか?

吉永:最初見たときに、「あ、こういう選曲かー」っていうのはあったんですよ、正直。3人ともに。というのは最近自分たちでもあんまり聴いてない曲とか、ライヴではまったくやってない曲ばっかりで。

大野:ばっかりとは言わないけど(笑)。

吉永:ばっかりですよ! "A11 A10ne"とか"Cyclic"とかは最近のアルバムの曲だからまあやってますけど、ほかの曲は全然やってないじゃないですか。やってる曲挙げてくださいよ。

大野:"Dr. Mooooooooog"だけかなあ。

吉永:その3曲以外はやってないわけなんですよね。だからおおーと思って。で、「じゃあ聴いてみるか」って、並べて聴いたら完璧だったんですよ。その選曲術が。さすがと言わざるを得ないんですけど。これは素晴らしいと思って。だからそのまま素直に受け入れたんですけど、そのときは"LI303VE"が入ってなくって。最初のやつ。で、その曲だけ20周年記念という気分のわたしたちとしては、最初にできた曲なのでそれは入れたいなーって話をしたら、「あ、忘れてた忘れてた」って言ってそこに入れてくれたんですけど。

シュガーさんが日本で売れないからパイを集めるために世界で出すしかなかったってさっきおっしゃいましたけど、そのバンドの考え方というか、見切りのつけ方というのは、いまのお話だとすごく早い段階で決まってたってことですよね。20年間やっているなかで、サウンド的な実験をしながら日本語のことはあんまりやってないじゃないですか。

吉永:まあ初期はありますけど。

でも、あまりやってないっていうのはその辺に関係しているのかなって思うんですけど。自分たちのなかで、世界のほうがやりやすいって見通しがあったんですか? それとも、日本では限界があるからっていう?

吉永:いや、自分たちのなかで変な自信があったのが、わたしたちが好きな音楽が......たとえばルシャス・ジャクソンとかすごく好きだったんですけど、そのときに妙な親近感があって。このひとたちと私たちってまったく同じ感覚でやってると思ったんですよ。変な話だけど。そんな風に思う音楽がほかにもいろいろあって、で、そうやって自分たちの音楽を作っていて。ライヴをやってたんですけど、まずまったくお客さんの反応がないんですよ。ポカーンとして見てるみたいな。自分たちとしてはすっごく楽しいことをやってるんだけど(笑)、どうしてかなっていうのはずっとあったんだけど。「ウケないね、やっぱり」みたいな。日本では。でもこんな感覚をルシャスたちも持ってるし、ほかのバンドも持ってるから。それが好きだ! っていうひとは数少ないかもしれないけど、各都市に絶対にいるに違いないと思って。あとは足し算だなと思って。その世界中の少ない人数を合わせれば、10ずつ集めて10都市あれば100なんだから。

(笑)なるほど。

吉永:っていう、変な確信はあった。こういうのが好きなひとは少ないけど絶対にいるんだからと思って。

日本でそういう考え方ができるバンドって当時はまだいなかったですからね。

大野:あとはそう、お客さんに外国人がだんだん多くなってきてたっていうのもあったのね。前やってたバンドは日本人しか来ないし、わたしたちも普通に日本語で日本のロックをやってるみたいな感じでしたけど、行き詰まりを感じてなくなったわけで。で、次新しいことを始めたら、なんか知らないけどやるたびに外国人が増えてる気がすると思って。日本人だけって思わないで全世界のひとってことを考えたら、そんな悩まなくたっていいんじゃないって。

おお、前向きですね。この20年で時代も環境も変わって、音楽だけでなくいろいろ変わったと思うんですけど、この20年間で一番意識している自分たちの変化ってありますか?

大野:それぞれあると思うんだけど、このバンドをやってて思ったのは、好きでやっててアメリカ・ツアーなんかもやるようになったんだけど、じつはすごくつらかったっていうのがあって。あんなにつらい想いをしたのは人生で初めてだったから。あれを乗り越えられたから、いまはわりとどんなことでも大丈夫だなと思えるようになったっていうか。

取材:野田 努(2013年8月12日)

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