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interview with SBTRKT

interview with SBTRKT

仮面の旅

──サブトラクト、インタヴュー

   通訳:Junko Otsubo   Sep 24,2014 UP

SBTRKT
Wonder Where We Land

Young Turks / ホステス

ElectroUK GarageDubstep

Tower HMV Amazon iTunes

 サブトラクトのライヴが好きだ。ラップ・トップの前に立ってシーケンサーをいじっているだけで「ライヴ」が成立してしまう今日この頃だが、サブトラクトはちがう。モジュラー・シンセを操り、キーボードを弾き、ドラムでグルーヴをする。しかもライヴが中盤にさしかかる頃には、自分自身から自分を「引き算(サブトラクト)」するためのマスクがズレてしまうほどの熱量だ。デジタル機材の助けももちろんあるのだが、やはり人間、体を動かしまくって汗をかいてなんぼのものである。

 2011年のファースト・アルバム『サブトラクト』をリリースしたあと、仮面の主はシンガーのサンファとともに世界を飛び回っていた(日本ではときにサブちゃんと呼ばれた)。ガラージやUKファンキー的な曲だけではなく、ナイーヴに響く“ホールド・オン”や“ネヴァー・ネヴァー”までもがフロアからダンスと歌声を生み出す原動力になるとは、おそらくサブトラクト自身も想像していなかっただろう。本名のアーロン・ジェイムズ名義では綺麗めなアシッド・ジャズを作っていたわけだが、巧妙な引き算と足し算によってそんなキャリアを微塵も感じさせないアーティスト像をサブトラクトは導き出した。

 ミュージシャンからの信望も厚くなり、リル・シルヴァにリミックスをされたり、レディオヘッドをリミックスしたりと人気プロデューサーになった彼だが、それももう2年前のこと。それだけに新作を待ちわびていたファンにとって『ワンダー・ウェアー・ウィ・ランド』のリリースはうれしい知らせだった。ノンビートにベースが放たれる冒頭、ライヴ修行で培われた生ドラムのリズム、ラップがフロウし、歌とピアノのシンプルな曲が差し込まれる──富みに富んだヴァリエーションをともなって、アルバムは展開していく。なにせ、サブトラクトの指揮下でウォーペイントとエイサップ・ファーグがコラボするサプライズまであるのだ。プレイヤーとしても、プロデューサーとしてもサブトラクトは輝かしい「足し算」に成功してしまったようだ(最新のライヴ映像を見たらステージには4人いました)。
 前作から3年経つので、本誌への登場も久しぶり。先日はフジロックで来日し、これからUK、ヨーロッパ、アメリカを巡る予定の忙しいサブちゃん(リスペクトを込めて)に「どこに着地する」のかを訊いてみた。

SBTRKT
UKを拠点に活躍するプロデューサー。
アルバム・デビュー前から、レディオヘッド、ベースメント・ジャックス、M.I.A、アンダーワールド、ゴリラズにリミックスを提供。2011年のデビュー・アルバム『サブトラクト』のヒット後は活躍もワールドワイドに広がり、〈フジロック〉への出演など、数度にわたる来日によって国内においても人気と注目を集めている。


自分の音楽はどこかに属す感じじゃない。それが正にサブトラクトでいることだよ。

2011年に『SBTRKT』をリリースしてから、あなたはツアーにとても力を入れていましたね。日本にも今年のフジロックを含めて4回も来日しています。ツアーを通して音楽的な変化はありましたか?

サブトラクト(SBTRKT 以下、S):変化はあったと思う。いろんな国に行くことで、音楽的な境界線も広がったことはやっぱり否めないね。家にいてずっとPCに向かって作業したり、インターネットでいろいろ調べるっていう環境から、実際に自分の目で違う世界を見るっていう環境は大きな変化だった。それから、いろんな土地でライヴをやって、その場所ごとに曲の尺やアレンジを変えてみたりして、みんなのリアクションを見るのもすごく勉強になった。

2011年にわたしはイギリスであなたのライヴを見ています。フレンドリー・ファイアーズといっしょにヨーロッパを巡っていたのが印象的でした。彼らの活動にはシンパシーを感じますか?

S:おかしなことに、いっしょにツアーに出るまでは彼らのことをじつはあまりよく知らなかったんだ。彼らの音楽を聴いて、ライヴを観て、本当に衝撃だったよ。ライヴに関していうと、すごく自分にとってもインスピレーションを受ける体験だった。とくに彼らは、ライヴ・ミュージックとエレクトロニックが混ざったサウンドだから、ああいう素晴らしいライヴができることにすごく動かされた。自分自身もいつもライヴに関して野心はあったしいろいろ追求していたけど、彼らのライヴを観て自分ももっと実験したくなったよ。いちばん勉強になったのは、ステージに出てただ楽器を鳴らしてるだけじゃダメなんだってこと。ステージに出たらオーディエンスに何かを与えることが大切だってことを教わったね。

あなたの曲は多くのDJたちからサポートされています。ここ日本では、あなたがリトル・ドラゴンのユキミ・ナガノとコラボレーションした“ワイルドファイヤー”がトラップなどのベース・ミュージックのパーティでかかることもあります。自身の曲はどんなジャンルのDJにサポートされていると思いますか?

S:これは、答えるのが難しいね(笑)。僕の曲をかけてくれる人は、これといったジャンルがない人たちな気がするよ。アルバムの中にいろんな曲があるから、幅広く受け入れられている気がする。たとえば、“ワイルドファイヤー”なんかはクラブDJとかヒップホップやダブステップが好きなDJにピックアップされそうだし、“ホールド・オン”はもうちょっとちがうジャンルのDJが、スローモーション・ディスコが流行っているヨーロッパのクラブとかでかかってるイメージ。
 この観点で観ると、今作はさらに幅が広まった気がする。“ワイルドファイヤー”が好きだった層にはど真ん中な作品でもない気がしているんだ。好きな人は好きだろうけど、新しい領域に行ったって感じているよ。ただ、アルバムの中には“ワイルドファイヤー”が好きな層に刺さる曲もある。アルバムの曲ごとに好みのリスナーがいるように、DJに関しても幅広く好みが分かれると思うんだよね。自分の音楽はどこかに属す感じじゃない。それが正にサブトラクトでいることだよ。

2011年の来日時にあなたは〈DOMMUNE〉でDJを披露し、ラップトップでエイブルトンを使ったスタイルは反響を呼びました。自分のDJについてどう思いますか?

S:2012年のツアーが終わった頃はけっこうDJをしてたよ。自分の新しい音源を試してみたりする場にもなるしね。でも生演奏のライヴをやりはじめてから、すごく自分が満たされることに気づいたんだよ。DJをしていた頃は、エイブルトンとかの機材でどこまで追求できるかっていう精神ではやっていたけどやっぱり限界がある。もちろん生演奏のライヴも限界はあるんだけど、領域はDJの可能性よりも10倍ある気がするんだ。観ている人たちのリアクションって自分次第だと思うんだよね。自分が何もやらなければオーディエンスもリアクションしないだろうし、自分が与えれば与えるほど観ている側もそれに返してくれると思うんだよね。もちろんDJでもそれをオーディエンスに与えられると思うんだけど、ライヴだともっといろいろできるから、いまの自分の情熱は確実にライヴにある。そういえば、DJをやっていた頃は、エイブルトンでもう新たなことができなくなってきたら最後の方はトラクターに変えていろいろ冒険してたなぁ。

取材:髙橋勇人(2014年9月24日)

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