ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Gang Gang Dance ギャング・ギャング・ダンス来日直前インタヴュー (interviews)
  2. Big Joanie - Sistahs (review)
  3. STUMM433 ──デペッシュ・モードやニュー・オーダーまで、50組以上のアーティストが「4分33秒」をカヴァー (news)
  4. Allysha Joy - Acadie : Raw (review)
  5. 山口美央子 - トキサカシマ (review)
  6. BOOMBOX&TAPES ──カセットテープ愛好家に送る豪華なジンが創刊 (news)
  7. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  8. Mike - War in My Pen (review)
  9. 彼女は頭が悪いから - 姫野カオルコ (review)
  10. Sho Madjozi - Limpopo Champions League / Batuk - Kasi Royalty (review)
  11. Eartheater - IRISIRI (review)
  12. ZULI - Terminal (review)
  13. The Book of Drexciya ──ドレクシアの神話を描いたグラフィック・ノヴェルが制作 (news)
  14. Mark Stewart ──マーク・スチュワートによるポストパンク時代の傑作が10曲もの未発表音源付きでリイシュー (news)
  15. Anderson .Paak - Oxnard (review)
  16. Mars89 ──たったいま聴こう。東京新世代のプロデューサー、Mars89が新作をリリース (news)
  17. 資本主義リアリズム - マーク・フィッシャー 著 (review)
  18. Binkbeats ──エイフェックス“Windowlicker”のカヴァーで注目を集めた異才、ビンクビーツのCDがリリース (news)
  19. Mansur Brown - Shiroi (review)
  20. interview with How To Dress Well 愛とオルタナティヴ (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Outer Space- II

Outer Space

Outer Space

II

Blast First Petite

Amazon

野田 努   Sep 25,2012 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 〈ミュート〉傘下の〈ブラスト・ファースト〉からアウター・スペースの新作、カセットや編集盤やCDRをのぞけばセカンド・アルバムにあたる『II』がリリースされた。ジョン・エリオットは何よりもまず......、そう、エメラルズのメンバーのひとりであり、マーク・マグワイアと並ぶ多作家であり、ヴィンテージの機材の蒐集とその音色へのこだわりでも知られている。
 そういえば、カリブーことダン・スナイスのレーベル〈ジャイアログ〉が今年エメラルズの「Does It Look Like I'm Here? 」のテクノ・クラブ仕様のリミックス盤を出していたことを最近知った。なので、決してリンドストロームが先ではありませんでした、すいません......
 まあ、でも、ほぼ同時期に交流がはじまっているようだ。先日は日本のレイヴにも呼ばれ、ドミューンにも出たそうだし(あー、見逃した!)、ヨーロッパのレーベルとしては、〈ブラスト・ファースト〉(ファクトリー・フロアのシングルを出しているところ)は、この手の音に敏感だった歴史を持ちながら、いまようやく合流......といったところだろうか。銀色を地にしたアートワークは、グレアム・ランプキンが手がけている。気合いがはいってる。

 繰り返そう。アウター・スペースのひとつの個性は、アナログ・シンセサイザー、メロトロン、アナログ・エフェクターといったアナログ機材の音色への執着にある。『II』でも、彼ら(今作のメンバーはジョン・エリオット+5名)がいかにも気持ちよさそうにオシレイターを操作しながら、フィルターやエンベロープ、LFOのつまみをいじっているような音響が広がっていく。たびたびタンジェリン・ドリームと比較されるが、タンジェリン・ドリームほどクラシック音楽のロマン主義めいた展開(ないしは音色)はなく、現代っ子らしいミニマルなセンスが全体をコントロールしている。2曲目、3曲目などは、ドラムマシンが入っていないだけで、マッガイアと同様にダンサブルなうねりを持っている。下手したらジェフ・ミルズやドレクシアへとも接近しそうだ。
 この音楽がDJカルチャーと親和性が高いのは自明の理だ。いずれは、より両者の流れの交わりは加速していくのだろう(NHKyxによれば、こういうのは、クラブ的なダンスではなくライヴハウス的なダンスだと言えるらしい)。

 アウター・スペース──そのネーミングからして、この音楽がトリップ・ミュージックを志していることがわかる。ジョン・エリオットは、マーク・マッガイアよりもずっと無邪気にそれを追求している感がある。フライング・ロータスのような物語性はなく、ただひたすら夢中に夢想している音楽だ。メッセージはない。本当にどこまでも、どこまでも、そう、どこまでも飛んでいく......

 音楽は聴覚範囲のなかでエクスタシー状態に導かねばならない。──スティーヴ・ライヒ

野田 努