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Colored Mushroom And The Medicine Rocks

Colored Mushroom And The Medicine Rocks

Wagon

野田 努   Nov 30,2010 UP

 このアートワークがすべてを物語っている。マーク・マッガイアーの生真面目さとは裏腹に、エメラルズのメンバーのひとりにこんな冗談のわかる人がいたことが驚き。クローズアップで写っているのはベニテングタケ・キノコで、もちろんメスカリンを含むアレである。日本の山でもよく見かけるキノコだけれど、気をつけてくださいよ、キノコは本当に......(略)。
 いずれにしても素晴らしいアートワークによる、アウター・スペース名義でソロ・アルバムを発表したばかりのジョン・エリオットのカラード・マッシュルーム・アンド・ザ・メディシン・ロックス名義でのアルバムである。カラー・ヴァイナルはお約束通りのサイケデリック模様だが、僕はこういう低俗なデザインがけっこう好きなので嬉しい。エメラルズ内におけるジョン・エリオットは、ヴィンテージ・シンセサイザーの音色を操作することを快感とするある種のオタク......要するにマニアかと思っていたのだけれど、なかなかどうして、彼は飽くなき幻覚の探求者であり、それを自分の楽しみへと変えていることが、三田格から借りているアウター・スペースのアルバムを聴いていてもわかる。カラード・マッシュルーム名義のアルバムのあとには、イマジナリー・ソフトウッズ名義のアルバムも出しているし、CDRやカセットテープを入れるとリリース量もすごい。

 エメラルズの音楽から聴こえるクラウトロックへのリスペクトには大きなものを感じるが、それはカンやノイ!ではない。初期のタンジェリン・ドリーム、エレクトロニクスを導入してからのマニュエル・ゲッチング、あるいはポポル・ヴー......つまりコズミックと形容された音楽だ。ポップの史学よればそれらはおおよそアシッドの彼方に夢を見ていた音楽となるが、エメラルズに限らず、ひと昔前ならガレージ・ロックをやっていたような連中が、どうしてゼロ年代はサイケデリックに向かっているのか興味がある。ホントにどうしてしまったのだろう。エメラルズといいOPNといい、USのこの世代ときたら......。

 アルバムは今年この名義で発表したカセットテープの編集盤で、これはいまひとつのスタイルとなっている。つまり最初に超限定のカセットテープで発表してからあとでヴァイナルに落とす。すべての曲はシンプルなミニマリズムで、空想に耽るにはもってこいの柔らかさを有している。冒頭の"フォロー・ザ・パス(道を進め)"は不吉なアルペジオからはじまるが、カラード・マッシュルームがこれを聴きながら山道を歩いている人を奈落の底に落とすことはない。3曲目の"ブラッド・プドルス"では、エリオットの得意技というか、まあ、ある意味ワン・パターンなのだが、アナログ・シンセサイザーによるアタックの効いたアルペジオと安っぽいドラムマシンがだらだらと続き、そしてB面の"シー・チャンネル"では静かにゆっくりと深いトリップへと歩んでいく。あまり無理せずに、草原を歩いていけば、最後の曲"ラスト・チャプター"のメロウなアンビエントが優しく迎えてくれるだろう。
 騒ぐほどの内容ではないが、アートワークをふくめまずまずの1枚である。

野田 努