Home > Interviews > interview with Shugo Tokumaru - とにかく聴いていました。CDを集めるのも好きだったし、知らないCDやアーティストがいるのがイヤだった。もっと良いものがあるんじゃないか、「何でないんだろう?」って、そう思って
Shugo Tokumaru Port Entropy P- Vine |
なるほど。『ポート・エントロピー』は、ホントに力作だと思ったんですけど、やはり『EXIT』から2年半もかかったと言うことは、本人的にもそれなりの強い気持ちがあったんじゃないかと思います。そのあたり聞かせてください。
トクマル:そうですね、かなりありましたね。自分のなかでスタンダードなものを作って、基盤を固めたかったというのがありましたね。そうしたら次、何をやってもいいかなと、どこにでも行けるというのがありました。
曲はたくさん作るほうですか?
トクマル:あまり作らないほうなんですが、今回は50~60曲ぐらい作りましたね。
そのなかから選んだ?
トクマル:多作じゃないんですけどね。
ひとりで。
トクマル:はい。
完成の瞬間は自分でわかるものなんですか?
トクマル:わかります。
いま目標にしているミュージシャンはいますか?
トクマル:いないですね。好きな人はいますけどね。
若手と言われているミュージシャンで共感がある人はいますか?
トクマル:んー......。音楽的な意味で言えばウリチパン郡。それと倉林哲也さん。
ブルックリンのアニマル・コレクティヴやグリズリー・ベアみたいな連中はどうですか?
トクマル:もちろん。僕のライヴ・バンドも手伝ってくれたベイルートやザ・ナショナルとかもですね。
世代的にも近いでしょう。
トクマル:近いです。グリズリー・ベアは僕のことを見つけてくれてレーベルに紹介してくれたりもして嬉しかったです。たぶん、あの辺の人たちと僕に共通するのが、すごくたくさんの音楽を聞いていて、いろんなところにアンテナを張ってるってことなんですよね。単純に音楽好きというところから出発している。そこにいちばん共感しますね。なんであんな音楽が生まれたのかというと、そこだと思うんですよ。「こういう音楽もあってもいいんだ」という気持ちから生まれている。グリズリー・ベアもアニマル・コレクティヴもダーティ・プロジェクターズも、ああいう人たちはそうだと思うんです。
そう思います。ちなみに『ポート・エントロピー』というタイトルは?
トクマル:とくに意味はないです(笑)。ブルース・ハーク(Bruce Haack)という音楽家がすごく好きで、彼の作品で『キャプテン・エントロピー』というのがあって、そこからの引用です。
ジャケットのアートワークは?
トクマル:幼なじみに頼んだんですよ。曲だけ聴かせて「描いて」って(笑)。何もディレクションはしていない。それで何枚も何枚も描いてくれてそのなかから選びました。
これが音楽に相応しいと。
トクマル:うん、そうですね。
文:野田 努 photo : Hideki Otsuka (2010年4月22日)