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interview with Distance & Loefah

interview with Distance & Loefah

20人しかいなかったけど、音楽に共鳴した人たちが集まって、すごい熱気だった。ダブプレートを見ながら「スクリームって誰だよ?」って。ピンチはブリストルから車でやって来た。ハッチャ、ヤングスタ、ベンガ……みんなそこにいた。

――ロンドンからやって来たふたりのダブステッパーに話を訊く

テツジ・タナカ野田 努    May 28,2010 UP

絶対に忘れたくないことなんだ。1981年にサウス・ロンドンのブリクストンで反政府の暴動が起きた。高い失業、低賃金、貧困、粗末な住宅に対するフラストレーションが爆発したのさ。そのときに警察がとった作戦の名前が「スワンプ81」というんだよ。

しかし......アシッド・ハウスを聴いていたキッズがどうやってダブステップに入ったんですか?

ローファー:1998~1999年くらいまではジャングルやドラムンベースにハマっていたんだけど、でもちょっと飽きてしまって、ちょうどその頃は自分たちでも何か作ろうって感じで思っていた。マーラはまだガラージのMCで、ハッチャはガラージのDJだった。で、僕はマーラやハッチャといっしょにいつも車でドライヴしながらクラブに出掛けていたんだよね。で、その道中で、僕は自分の曲をかけていたんだ。それから僕たちはハッチャがまわしていた〈フォワード〉に行くようになった。

ハッチャとはどうして知り合ったの?

ローファー:マーラを通じてだよ。ハッチャはビッグ・アップルという地元のレコ屋で働いていたんだよね。知り合ってから僕もビッグ・アップルに通っていたよ。

じゃあ、ホントに同じ時期に複数の人間がいっしょになったんですね。

ローファー:そうだね。

マーラたちと〈DMZ〉をはじめたときは最初からシリアスだった? それとも遊び的なところもあったんですか?

ローファー:最初から、ものすごくシリアスだった。ただしそれがカネになるとはまったく考えていなかったけどね。

〈DMZ〉はしばらく休止していますよね?

ローファー:〈DMZ〉とは、まさにマーラ、コーキ、そして僕のことなんだ。だから......マーラと他の人との繋がりで〈ディープ・メディ〉(マーラのレーベル)がはじまって、僕と他の人との繋がりで〈スワンプ81〉(ローファーのレーベル)がはじまった。

ローファーの名前で〈スワンプ81〉から出さないのは何故ですか?

ローファー:ローファーは〈DMZ〉だからさ。

〈DMZ〉は終わったわけじゃないんですね。

ローファー:決して(笑)。焦ってリリースするようなことはしたくないんだ。僕たちの素晴らしい音が完成したら出す、でも、決して焦らない。

あなた自身、自分の作品をここ2~3年出してないのは何故ですか?

ローファー:その理由のひとつは、ダブステップが変わってしまったからだ。やたらノイジーになって、「ウワワワワ!」というサブベースのうるさい音がたくさん出てきてしまった。それで僕は、そう、ダブステップに飽きてしまったんだよ。

それがあなたの言う"ポスト・ダブステップ"なんですね。

ローファー:そうなんだ。〈スワンプ81〉はポスト・ダブステップのレーベルなんだよ。

他にはどんなレーベルがある?

ローファー:〈Night Slugs〉、〈Hemlock〉、〈Hessle〉なんかがポスト・ダブステップをやっているね。

あー、〈Hemlock〉はアントールド、〈Hessle〉はラマダンマンのレーベルですよね。ああ、なるほどー。

ローファー:レイヴ・ミュージックではなくクラブ・ミュージックだよね。初期のダブステップがレイヴに変質したものではないんだ。いわば初期の20人の世界だよ。よりグルーヴィーで、ドラムマシンで作られていて、あと128 BPMぐらいのテンポ......よりソウルフルなダンス・ミュージック、それは〈スワンプ81〉のコンセプトでもあるんだよ。

 ここで、神波さんが「〈スワンプ81〉という名前にはブルクストンの暴動が関係しているんだよ」と教えてくれる。

へー、そうなんですか。

ローファー:ああ、絶対に忘れたくないことなんだ。1981年にサウス・ロンドンのブリクストンで反政府の暴動が起きた。高い失業、低賃金、貧困、粗末な住宅に対するフラストレーションが爆発したのさ。そのときに警察がとった作戦の名前が「スワンプ81」というんだよ。
(注:私服警察をブリクストンに送り込み、暴動の関係者などを片っ端から逮捕した)

まったく現代に通じる話ですね。

ローファー:まあ、そういうことだね(笑)。実際、僕の住んでいるエリアでは、その暴動の話はずうっと、いまでも世代を超えて語り継がれているんだよ。

 実はローファーに話を訊いているあいだにディスタンスのプレイ時間がきてしまい、ブリクストンの話を聞いたときにはもうディスタンスのDJがはじまって30分ぐらい経っていた。

 すぐにフロアに戻った。ディスタンスは......彼の作品世界のように、都会のダーク・アンビエントを繰り広げていた。良い感じで埋まったフロアからはときおり叫び声が聞こえた。そしてポスト・ダブステップを指標するローファーは......DJの1曲目にダブ・ポエトリーの伝説、LKJの"Di Great Insohreckshan"(『Making History』収録)をかけた。

 そしてローファーは、取材で話していたように、アントールド以降のポスト・ダブステップをミックスした。それはアシッド・ハウス、テクノ、ジャングル、ガラージ、ダブステップ、それらUKアンダーグラウンド・ミュージックの絶妙なブレンドで、そしてその新しい音はものの見事にフロアをロックしたのだった。

 ちなみに7月の〈DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ〉――メアリー・アン・ホブス(17日)、そしてスクリーム&ベンガ(31日)決定! 


野田 努(通訳協力:神波京平、タナカ・テツジ)(2010年5月28日)

DRUM & BASS SESSIONS 2010 - "HOSPITAL NIGHT"

2010. 06.19 (SAT) @ UNIT

DRUM & BASS SESSIONS 2010 -"HOSPITAL NIGHT"
feat. LONDON ELEKTRICITY
MC WREC with: MAKOTO、 T-AK、 TETSUJI TANAKA
vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: "BASS MANIAC"
---Grime, Dubstep, Funky, Crack House, Bassline, UKG, B-More & more beats---
DOPPELGENGER, ERAGURU, P.O.L.STYLE, PRETTYBWOY

open/start 23:30
adv.¥3500 door¥4000

UNIT 6TH.ANNIVERSARY - "FRESH x MARY ANNE HOBBS"

2010.07.17 (SAT) @ UNIT

DBS presents
DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ "FRESH x MARY ANNE HOBBS"
feat. DJ FRESH (Breakbeat Kaos, UK)、MARY ANNE HOBBS (BBC RADIO1, PLANET-MU)、 GOTH-TRAD
vj: laser: SO IN THE HOUSE
saloon: TBC

open/start 23:30
adv.¥3500 door¥4000
※7/31のDUBSTEP WARZ"SKREAM&BENGA!!!"との特別共通チケット adv.¥6000
info. 03.5459.8630 UNIT

UNIT 6TH.ANNIVERSARY - "SKREAM&BENGA!!!"

2010.07.31(SAT) @ UNIT

DBS presents
DUBSTEP WARZ "SKREAM&BENGA!!!"
feat. SKREAM+BENGA、 and more.
vj: laser: SO IN THE HOUSE
saloon: TBC

open/start 23:30
adv.¥3500 door¥4000
※7/17のDRUM & BASS x DUBSTEP WARZ "FRESH × MARY ANNE HOBBS"
との特別共通チケット adv.¥6000

info. 03.5459.8630 UNIT

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Profile

テツジ・タナカテツジ・タナカ/Tetsuji Tanaka
日本のドラムンベース・シーンを代表するマルチ・トップ・クリエーター/アーティスト。シーンが誇る唯一の3 DECKS VINYL DJ/DRUM&BASS JOURNALIST/WRITER/BUYER/PRODUCER。そのマルチな才能で多岐に渡りシーンのフロントマンとして活躍、現在も各方面でシーンを牽引中!

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