ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  2. Robert Del Naja ──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕
  3. Malaria! ——80年代初頭の西ベルリンから、ポスト・パンク/アヴァンギャルド・シーンを象徴する最重要バンド、マラリア!再発
  4. Black Marble - Life in Small Spaces | ブラック・マーブル
  5. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  6. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  7. Columns 9月のジャズ Jazz in September 2026
  8. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  9. Horse Lords - Demand to Be Taken to Heaven Alive!  | ホース・ローズ
  10. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  11. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  12. 食品まつり a.k.a foodman - HIKARIGASASHIKOMU
  13. Arca - XXXXX
  14. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  15. interview with Toshimaru Nakamura 世界を魅了する、類い稀なる電子音響 | ──中村としまる、待望の初期ベスト盤リリースと超ロング・インタヴュー
  16. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  17. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  18. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  19. Stones Taro ──京都のハウス・プロデューサーによる新作
  20. R.I.P. 鷲巣功

Home >  Interviews > interview with Love Me Tender - 君はLove Me Tenderを聴いたか?

interview with Love Me Tender

interview with Love Me Tender

君はLove Me Tenderを聴いたか?

――21世紀の渋谷系、ラヴ・ミー・テンダー

野田 努    写真:小原泰広   Oct 05,2011 UP

結局ラヴ・ミー・テンダーって、マキちゃん親衛隊なんです。騎士なんですよ。つまり俺たちは使い捨てなんです。


LOVE ME TENDER
トワイライト

Pヴァイン

Amazon iTunes

■"シャーマン青春サイケ"がどうやって生まれたのか? っていう話で、そしたらバーカウンターのなかで作られたって。

Maki:みんながよく集まるバーで、私とアラタくんとテッペイの3人でやっていた頃に、ドラムセットを広げて、リハーサルをやっていたんですよ。

■おー、あそこでリハやってたんだ。

Maki:そう。で、自分たちのやっていることを言葉で表すとしたら何になるのかという話になって、「シャーマン・ロック」って誰かが言って。で、「サイケ」も絶対に入ってるし、じゃあ、「シャーマン・サイケ」、でも何かが足りない、「青春じゃん!」って。

■ハハハハ。

Maki:それで"シャーマン青春サイケ"。

■なんで「シャーマン」? 霊と交信しているの?

Sota:それは「ジャーマン」のパロディ。

Maki:言葉遊び。だって「ジャーマン(ドイツ人)」じゃないし。

■でもジャーマン・ロックっていう感じの音でもないでしょう。

Maki:感じないですよね。

■HBには感じるけど。じゃあ、オリジネイターが来たので、もういっかい最初から質問するんですけど、「どうしてはじまったのか?」という質問に、ソウタくんは押し掛けていったと、で、アッキーは誘われていったと。

Maki:スカウトしたから。

■とにかく、ふたりともどうやってラヴ・ミー・テンダーがはじまったのかよくわかってていないんです。

Maki:2007年7月7日に、セッションがあったんですよね。そこにアラタくんとテッペイと3人で集まって、ミルクバーっていうバーで。で、後日、「これ、バンドにしちゃわない?」っていう話になって。ぜんぶバーなんです。話が進んでいく場所がぜんぶバー。

■渋谷のバー。

Maki:三茶にむちゃ狭いバーがあって。

Sota:日本一狭いバーです。狭すぎて、ナンシー関が入れないようなバー。世田谷通りの奥のほうにいる芸大生が集まっていたようなバーでね、みんなジャーマン・ロックとか好きでね。初めて行ったときにはマグマとかかかっていたな。

■もとはジャーマン・ロック好きの集まりだったんだ。

Sota:あとはライフ・フォーサーだね。

Ackky:〈ライフ・フォース〉のお客さんが集まっていた。

■アッキーがなんで〈ライフ・フォース〉のDJになったのかいつか訊きたいけどね。

Ackky:いやもう、「やれ」って言われて。

■まあ、それはそれで長い話になるのでいまは止めておくとして。

Maki:バンドの名前もそのときに決まったのかな。

Ackky:ミユキちゃんね。

■いや、だからミユキちゃんって誰ですか(笑)。DJチェルノブイリだっけ。

Maki:そう、チェルノブイリ。そう言われているんだけど、しかしなんでラヴ・ミー・テンダーになったのかは......わからない(笑)。覚えていない(笑)。

■誰も覚えていない(笑)。

Maki:そのときのいちばん良い名前になった。

■で、どこが気に入ったんですか?

Maki:響きと、そしてまあ、「優しく愛して」という意味も含めて。これで行こうと。「ラヴ」も入っているし。

■いつからそれを名乗っているんですか?

Maki:だから2007年の7月。

■え、じゃあ、さっき言った......。

Maki:バンドが始動して2日後ぐらいです。

■最初はジャム・セッションだったんでしょ?

Maki:そう、ジャム・セッションして、代々木公園なんかでも広げてやったりとか。あとはバーでやっていた。最初は歌も入ってなくて、ホント、ただひとすら3人でセッションする感じで、それが飽きてきて、歌を歌おうって。マイクを3本立ててみたんですけど、最初は誰も歌わなかったんですけど。いちばん最初にできた曲が"マリフレ"なんですよね。歌と言うよりも、ああいう言葉のループですね。

■その頃はシティ・ポップスじゃなかったんだ。

Maki:そんなではなかったですね。

■何がどうしていまのようなシティ・ポップスになったんですかね。

Maki:なんでしょうね。歌モノを意識しはじめて、ソウタくんが入ってきたときに、なんかどんどんゴージャスになっていったんですよね。

Sota:ケレンミなく、青春賛歌を高らかに歌い上げようっていうところです。まさに『けいおん!』ですね。「バンドやろう」、「ここに楽器がある」って。「早くこれを使ってなんかやろう」って。

■それがなんでアシュ・ラ・テンペルやスペースメン3にはならずにシュガーベイブになったんでしょうね。

Sota:血ですね。

Maki:都会派の生き様がでてしまったんですよね。

■じゃあ、それはごく自然に自分たちのなかから出てきたと。

Sota:そうなんじゃないですか。メジャー7thの響きなんじゃないですか。

Ackky:ディジリドゥ持って、フレアパンツ履いてるバンドに誘われても絶対にやらないですからね。

■HBとはかなり距離を感じますけどね。

Maki:HBとは違いますね。同じことやっても仕方ないし。

■音楽的なリーダーみたいな人はいるんですか?

Sota:アラタがそうかな。モチーフ持ってくるのがいちばん多いですね。スタジオ自体がワークショップみたいで、こういうコード進行があるとか、こういうリズムがあるとか、研究しているんです。

■ポップスを目指していることに関しては、やっぱ研究の成果?

Sota:目指してないです。自然にやっているだけで。

Maki:メンバーみんなポップスが好きなんですよ。

■でもホント、自然にやったらアモン・デュールとかマグマとかになりそうなのにね。

Ackky:ハハハハ、たしかに。

Sota:セカンド・アルバムでは逆回転の音から入って、ずっとディレイのウェット音だけで構成されているようなものになっているかもしれないですね。

■しつこいけど、そういうことをやってそうな感じなのに、なんでポップスなんでしょうね。

Sota:俺たちにはポップスができる。演奏できる。そういう自負があるんです。

Ackky:マキちゃんが歌ったのが大きいよね。

■マキちゃんはそれ以前は歌っていたんですか?

Maki:歌っていないですね。ずっとドラムです。

■歌詞もマキちゃんが書いてますよね。

Maki:だいたいそうです。アラタくんが書くこともありますけど。"DIET"なんかはアラタくんです。それを人に言ったら驚かれてしまって。「えー、あの曲、アラタくんの歌詞なの? 気持ち悪ぃー」って。

Ackky:女の子の気持ちになって書いたってね(笑)。

Maki:なので、もうこれからは、私が書いていることにしようと思っています。

■普通に歌詞を読むと、ドラッグ・カルチャーからの影響を感じるんですが、実際はどうなんですか?

Sota:いやー、酷いものですよ。

■ハハハハ。

Sota:ドラッグ・ソングばっかですよね。

Maki:ねぇ。

■ハハハハ。"マリフレ"とか"花と盆"とか、自分の耳を疑うぐらいにびっくりした(笑)。

Sota:みんなその週にあったトピックを歌詞にしたり。珍事件とかね。どうしてもそうなるんですよね。

■欧米にはポップスのなかにドラッグ・ソングがけっこうありますよね。ビートルズなんかもすごく多いでしょ。"アイム・オンリー・スリーピング"とか"シー・セッド・シー・セッド"とか"トゥモロー・ネヴァー・ノウズ"とか。

Sota:まあ、ラヴ・ミー・テンダーはドラッグ・ソングをやっていると受け取ってもらわなくてもいいんですけどね。いくらでも解釈はあるので。

Maki:いろんな意味がね。

■ストーン・ローゼズの"ディス・イズ・ザ・ワン"とか、ハッピー・マンデーズの"ルーズ・フィット"とか、ああいうのって、ある意味すごくメタファーとして楽しんでいるっていうか、ドラッグやるやらないとか、その是非じゃなくて、ある種のユーモアとしてのドラッグ・ソングの面白さってありますよね。

Maki:それはある。歌詞の反応を見るのが面白いっていうは。

Sota:俺の見極め方は、この人は知ってるか知らないかだからね。

■ハハハハ。日本のポップスではそういうのがほとんどないよね。RCサクセションの"うわの空"とか、"つ・き・あ・い・た・い"とか。

Sota:「LとSはDまでいった」(不思議)とか歌ってるしね。

■そうそう。日本ではそれがホントに極端にない。ポップ・カルチャーの重要ないち部なのに、音楽リスナーのなかにさえ偏見が多いというか、すごく抑圧されているよね。最近のインディ・ヒップホップはけっこう表現しているけど、やっぱ日本の不自由さを象徴しているように思うよね。

Ackky:ただ、俺らは力コブシをこめて「リーガライズド・イット」という感じではないんだよね。

■でも、歌のネタとしては面白さを感じているんでしょ。

Sota:日常がそうですからね。

■はははは。

Maki:たしかにそうなんです。"円山町ラプソディ"もreloveというバーが円山町にオープンしたときの話を歌詞にしているんですね。とくに作り込んでいる感じでもないんですよね。

■ドラッグのような危ういモチーフを持ってくるとき、どうしても日本では暗いアングラ臭がついてしまって、シメっぽくなるか、過剰な幻想を抱きがちだったと思うんですけど、ラヴ・ミー・テンダーはそれをもっとドライに、ユーモラスに表現してるし、音も洗練されている。そこがいままでにはないかなって思ったんですよね。

Sota:やっぱもう、そこは行くところまで行って彼岸に着いたらメジャー7thが鳴っていたということでしょう。

■(笑)負の感情がないよね。

Sota:ないですね。『マゴット・ブレイン』的なものもぜんぜんないです。

■『マゴット・ブレイン』は乾いているじゃないですか。

Sota:俺はもっと、(デトロイトではなく)カリフォルニアです。ドロドロしていないんです。

取材:野田 努(2011年10月05日)

1234

INTERVIEWS