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interview with Analogfish

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俺は忘れない

──下岡晃、インタヴュー

野田 努    写真:小原泰広    Mar 15,2013 UP

911の後とかすごくよく覚えてるんですけど、あの後にテレビが保険のCMをガンガンやりはじめた感じとか。そういうのにかこつけて固まっていく感じっていうか、ああいうのがすごく嫌いなんですよ。

下岡くんは時間があれば、わりとテレビのニュース番組とか見るの?

下岡:僕テレビ持ってなくて、観ないんですけど。地デジになったときにもういいやと思って。それでネットする時間がけっこう長くなってきてて、ネットしてると、テレビ観てるほうがいいなっていう気になってきてて(笑)。これやってるんだったらって、いま思ってるとこです。

ほう、それはなんで?

下岡:NHKとかすごく観たい番組があって。ダイオウイカのやつとかネットで見たんですけど。俺それすげー観たかったなと思って。

何それ?

下岡:深海にいるすごく巨大なイカの番組。世界ではじめて撮ったみたいなやつで。それ観たいなと思ったりとか。あとは、ネットでニュースを検索してて、意見とかコメントとかを見ると、けっこう気が滅入りません?

PCの前に座ると人格変わるひとがいるんだよ(笑)。僕はツイッターは、ele-kingで更新情報を流すぐらいで、個人的にはやらない。ただでさえ情報過多なのに。あれ、得意不得意があるじゃない?

下岡:はい、あります。俺もツイッターやらないですけど、なんかヤフーニュースとか見てると、下のほうにひとが書き込んでたりしてて。で、けっこう「ああー」ってなったり。でもこういうのが見られるっていうか、双方向性が魅力なのかなって思いもするけど。ひとが見るところは、テレビと同じで大きなお金を払っているひとたちのものがそこにあるから。結局どれだけ違うのかなと思ったりして。

僕とか櫻木(景、レーベルのボス)さんみたいなひとはサッカーを観るためだけにテレビがありますけどね。

(一同笑)

下岡:そう、スポーツが観られるっていうのがテレビのいいところですね。

ありがたいね(笑)。

下岡:いやマジで。スポーツとか、あとはNHKの自然ナントカみたいなやつとか。

(笑)たしかに。話を戻しましょう。"Watch Out(サーモスタットはいかれてる)"って曲も、"SuperStructure"と並んで、下岡晃節が出てるクールな曲だと思うんですけれども、この曲についてコメント下さい。

下岡:これは、えっと、資本主義的なことと、最近の中国との関係みたいなこととかレイシズムのことです。でもこれは去年の11月からああいうのが問題になって。なってっていうかずっと問題だったんだろうけど、なるべく浅く書くって言うと変だけど、あんまり掘らずにぱっと書こうと思って書いたから、いま聴いててもちょっとフワフワした気持ちになる自分がいる(笑)。

衝動的に書いたんだね。

下岡:音の感じとか言葉の出し方とか、ヒップホップ的にでなくやるのってどういうやり方があるのかなってずっと思ってたけど、すごく難しいんだなと思って、やってるときに。でももう少しそういうのをやってみたいなって気はしてます。

ヒップホップ的なやり方っていうのは、1曲目もそうだもんね。

下岡:でも音節の割り方がなんか違うんですよね。入れ方が。だからやけ(のはら)さんに聞いて勉強しようと(笑)。

それでやけさんが登場する......わけではないでしょ!?

下岡:(笑)わけじゃないけど。

ははは、今回、やけちゃんを呼んだのはなんでなんですか?

下岡:ちょうど櫻木さん繋がりで飲んだこともあるし、やけのはらさんも『荒野』もこれもいいって言ってくれてるし、僕もやけのはらさんのアルバムもすごく好きだったから。あれはほんと素晴らしい。新しいのもすごくいいけど。なんかシンパシーを感じるんだよな、あのひとの書くことに。

ほう、どういったところに?

下岡:うーん......なんか俺と似たようなことを言うときがあると思う。あとは――。

サンダル履いてるところとか?

下岡:(笑)それも好きです。あと、声と言葉の関係っていうか、やけさんと話してるときに、やけさんはマーシーの歌詞が好きだった言ってて、俺もそれはすごくよくわかって。好きなんだろうなって、なんかピンと来て。で、俺もすごく好きで。そういう美的感覚が、聴いてて安心するし。

さっき僕が「ちょっと無理してるんじゃない」って言った最後の曲は、どうやって作ったの? あらかじめコンセプトを打ち合わせて作った感じなの?

下岡:コンセプトは打ち合わせました。コンセプトは、街を歌うってことと、僕が好きな東京の景色があって。埼玉のほうから川沿いを走って池袋のほうに抜けていく高速を走ってるときの、うっそうと茂った東京がばーっと出てくる、で、日が暮れていく感じがすごく好きで。その気持ちを曲にしたいということを言って、はじめたと思う。

それは面白い話だね。町にプレッシャーを感じるんじゃなく、いつもとは違った眺め方、道順で接することで解放される心理地理学って、フランスの60年代の思想家は定義しているんだけど、その発想に近いかもね。ラッパーが町を描写したがるのもそういうことだと思うだけど、どうして自分の好きな東京を歌おうと思ったの?

下岡:ひとつは、さっき言ったみたいな疎開していく感じから、自分がぐっと東京に住むぞって感じとか、世のなかのひとたちが東京でやっぱりいいのかなって思いだしたタイミングが俺のなかではあって。そう思ったタイミングだったからっていうのと、もうひとつは、元も子もないですけど(笑)、やけさんも俺も小沢健ニさんの〈東京の街が奏でる〉を観に行ってて。

櫻木:元も子もない(笑)。

はははは。

下岡:(笑)で、その話をいっしょに飲んでしてたんですよ。「あれが良かった」とか「あそこは」とか。で、それもわりとそういうテーマだったんです。それもあったと思う。

どういうインスピレーションを与えたの? きっかけになったっていうのは。それはどういう作品なんですか?

櫻木:Tシャツとかも自分の好きな街のスカイラインみたいなのを描いてて。東京の街のペン画みたいなのを。オペラシティで2週間ぐらいやってたんですよね。

下岡:で、往年のヒット・ソングもやるんですけど、合間でポエトリー・リーディングみたいな感じで街のことを話したりして。それを話題にするなかで、俺たちも街のことを歌ってみるみたいな感じもあったんじゃないかな。

取材:野田 努(2013年3月15日)

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