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interview with Diamond Version

interview with Diamond Version

ベルリン「テクノ実験室」のパンク宣言

──ダイヤモンド・ヴァージョン、インタヴュー

久保正樹    Sep 22,2014 UP

DVのコンセプトは「アンチ・ラスター・ノートン」だったので、〈ミュート〉は正しい場所かもしれないと感じました。また、私たちには常にアーティストとレーベルオーナーの2つの役割があるんで、この役割を無くし、ただレーベルのアーティストになりたいと思ったんです。

■2009年にふたりにインタヴューさせていただいたとき、カールステンさんが「ポップ・ミュージックを変換させたものが将来的な音楽像になるのでは」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。まさにDVがそれを体現しているように思います。今もその意見は変わらないですか?

DV:はい。私たちはポップとの関わりを除外したくないと思っていました。実際にこのアイデアの変形をペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントとのコラボレーションという選択で提案してみました。

■DVの作品は自身のレーベル〈ラスター・ノートン〉ではなく、エレクトリック・ミュージックの老舗〈ミュート〉からのリリースとなっていますね。その経緯を教えてください。

DV:レコーディングをはじめたとき、ダニエル・ミラーに〈ミュート〉からアルバムをリリースしないかとオファーされました。DVのコンセプトは「アンチ・ラスター・ノートン」だったので、〈ミュート〉は正しい場所かもしれないと感じました。また、私たちには常にアーティストとレーベルオーナーのふたつの役割があるんで、この役割を無くし、ただレーベルのアーティストになりたいと思ったんです。

■若かりし頃に〈ミュート〉に対する思い入れはありましたか?

DV:もちろん! ファド・ガジェッド、 デペッシュ・モード、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン、ライバッハ、スロッビング・グリッスル、ニック・ケイヴなどにはじまり、すべての〈ミュート〉の音楽を聴いています。80年代の中頃は〈ミュート〉をぴったりと追いかけていましたよ。

■あなたたちは旧東ドイツ出身ですが、政府による検閲が厳しかった東ドイツ時代に、西側諸国の音楽を自由に耳にすることはできたのですか?

DV:この時期はとても制限されていましたが、私たちは簡単には手に入らない色々な種類の音楽に興味がありました。アンダーグラウンド・ミュージックを聴くことは、私たちにとってとても重要だったんです。ポップ・ミュージックに興味は無く、いつもとても変な音楽を探していました。それを手に入れるためにテープを作ったりレコード交換をしていましたよ。

■東ドイツ出身のアーティストで、あなたたちに影響を与えた人がいれば教えてください。

DV:ロックやポップ・ミュージックのジャンルではあまり面白いと思うものはありませんでした。私たちは当時のフリー・ジャズやハプニングなどの芸術運動により大きな興味を持っていて、そのシーンをアーティスティックだと感じていました。大きな影響力のあるバンドは東ドイツにはあまりいなかったんで、私たちは外国の音楽により興味を持っていました。

■DVの宣戦布告ともいえる、さまざまな企業の経営理念が次々と無機質に通り過ぎる“Mission Statement”の映像も衝撃的でしたが、女性モデルが登場するコスメティックCMのような“Live Young”、土着的な映像がリズミカルにカットアップされる“Make Believe”など、これまでのあなたたちのイメージを覆す、生身の人間が登場する映像もさらに刺激的でした。DVにおけるヴィジュアル/イメージの取り扱い方について教えてください。

DV:ここではファッション、企業、美、生活様式など、私たちが常にさらされている固定観念──広告のなかの幸福で美しい世界──の上に、トラックの内容を構築するアイデアを見ることができます。あの"Mission Statement"のスローガンがとても過激に聞こえるのは、たんに企業の誇大妄想の結果です。私たちではなく、企業自身がこれらの恐ろしい概念の世界を作り出しているんです。

■〈ラスター・ノートン〉の設立当初は、アーティストがレーベルのコンセプトに合わせている印象が強かったのですが、最近ではアーティストの個性が前に出て、逆にレーベルカラーを更新しているように感じます。〈ラスター・ノートン〉設立から15年経ったいまの心境を教えてください。

DV:何年か前から、それぞれのアーティストの個人的なアイデンティティをより打ち出すようにしています。その結果のひとつとして、現在レーベルはよりアーティスティックな多様性を持つようになりました。これはとても意識的なステップでしたね。

■〈ラスター・ノートン〉は、グリッチ&リズム〜モアレ&ドローンを経て、2008年のアルヴァ・ノト『Unitxt』、バイトーン『Death of a Typographer』あたりから強いメッセージ性が表面に出てきて、ハードでインダストリアルな方向に向かっているような気がしています。最近、電子音楽界に蔓延しているポスト・インダストリアル的なムードについてどう思いますか?

DV:私たちにとってスタイルはあまり重要ではないんで、次にどうなるのかという質問には答えたくありません。私たちはアーティストにホームを与え、現時点での彼らのそれぞれの方法を信じなければいけません。ジャンルの定義ではなく、個々のクオリティがより重要なんです。私たちはふたつの言葉で言い表せる音楽レーベルにはなりたくないですし、過去、現在、そして、未来のエレクトロニック・ミュージックを反映したいと思っています。

取材:久保正樹(2014年9月22日)

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Profile

久保正樹久保 正樹
1975年生まれ。大型CDショップのバイヤーを経て、編集を少しかじり、音楽ライターへ。former_airline名義で細々としぶとく音楽制作。イタリア、イギリス、オーストリアの小さなレーベルからカセットやCDRをリリースしたりしてます。
https://soundcloud.com/former_airline

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