「Man」と一致するもの

Fishmans - ele-king

 先日、mouse on the keysのライヴのために来日したロレイン・ジェイムスもフィッシュマンズのCDをタワレコで購入していました。人気ですね〜。来年、2025年2月19日には、未発表音源を集めたボックスが出ます。1987年のバンド結成初ライヴほか貴重なライヴ音源、未発表曲、デモ、ZAKによる最新ミックス音源など、フィッシュマンズの軌跡を音で辿るドキュメンタリー。3CD+Blu-ray+36PブックレットをLPサイズに収めたBOX仕様。

商品概要
フィッシュマンズ
HISTORY Of Fishmans
2025 年2月19日(水)発売
仕様:LP サイズ BOX 仕様 (Audio 3CD + Blu-ray + 36P ブックレット)
品番:UICZ-9246
価格(税込):13,200 (税抜:12,000)
発売元:ユニバーサル ミューシック合同会社

企画・監修_ 茂木欣一
Mix & Sound Restoration_ ZAK
アートワーク & デザイン_ 伊藤桂司
〈収録予定内容〉
Disc1 : CD [1987-1991] 結成初期/貴重なライヴや未発表曲、デモ音源などを収録
Disc2 : CD [1992-1995] メジャー・デビューから移籍前の貴重なライヴ音源、バンドデモを収録 Disc3 : CD [1997-1998] ポリドール移籍/未発表ライヴ音源を収録
Disc4 : Blu-ray(映像) ※内容未定

〈解説〉
奇跡のバンド、フィッシュマンズ。
 フィッシュマンズは1991年、バンド・ブームの最中「ヴァージン・ジャパン」(ポニーキャニン)の第一号アーティストとしてメジャーデビュー。レゲエやロックステディ、ダブに影響を受けたロックバンドとして多くの名曲を残した。なかでも“いかれた Baby”は昨今、ラヴァーズ・ロック界隈はもとより、アンセム・ソングとして有名無名に関わらず多くのアーティストにカヴァーされている。その後、「ポリドール・レコード」に移籍。東京/世田谷にあった〈ワイキキビーチハワイスタジオ〉と称したプライベート・スタジオで製作された、“世田谷3部作”と呼ばれる3枚のアルバムで独自のサウンドを確立。なかでも約35分/1曲収録という『LONG SEASON』は、サブスク解禁とともに世界中で評価されることになった。1998年12月28日の赤坂 BLITZでの公演が実質最後のライウとなり、後にその音源と映像は商品化され(『男たちの別れ』)、『LONG SEASON』とともに世界中で圧倒的評価を得る。
 1999年のボーカル佐藤伸治の逝去とともに活動を停止していたが、2005年の"RISING SUN ROCK FESTIVAL"で再始動。メイン・ヴォーカルをドラムの茂木欣一の他、ゲスト・ヴォーカルを迎えて断続的にライブ活動を行っている。『映画:フィッシュマンズ』映像関係者有志の発案で、クラウドファンディングにより制作。歴代メンバー、関係者へのインタビューを交え、当時の貴重な映像、2019年リハーサル~ライブ映像を収録したドキュメンタリー映画として制作。約3時間の⻑編かつコロナ禍での公開ながら口コミで評判を呼び、全国展開され動員1万5千人超、ミニシアターランキング1位を記録した。
 本作 『History OfFishmans』は、『映画:フィッシュマンズ』がバンドの軌跡を映像で追った作品であるならば、バンドの軌跡を“音”で追った作品となる。茂木欣一による企画・監修の元、デビュー前の貴重な音源からラジオ出演時の同録、未発表ライウや゙デモテープを、カセットテープやDAT、マルチテープなどから2年をかけてデジタル・アーカイヴ化、茂木自身のインタビューによる全曲解説も付属した渾身のBOXである。

ライヴ情報 フィッシュマンズ史上最大規模のワンマンライヴ Fishmans "Uchu Nippon Tokyo"
2025年2月18日(火) 会場:東京ガーデンシアター
Open/18:00 Start/19:00

[チケット]
前売 :8,800(tax in)イープラス・ローソンチケット・チケットぴあにて発売中!
Ticket sales for OVERSEAS fans https://ib.eplus.jp/fishmans
[info]
SOGO TOKYO 03-3405-9999 https://sogotokyo.com/
東京ガーデンシアター

FISHMANS are
茂木欣一(Dr,Vo) / 柏原譲(Ba) / HAKASE-SUN(Keyb)/ 木暮晋也(Gt) / 関口“dARTs”道生(Gt)/ 原田郁子(Vo)


フィッシュマンズ 公式サイト http://www.fishmans.jp/
フィッシュマンズ X @FISHMANS_JAPAN
フィッシュマンズ insta @fishmans_official
フィッシュマンズ Fb @thefishmans
ユニバーサル 公式サイト https://www.universal-music.co.jp/fishmans/

 2024年のアメリカについて日本の方々に知ってもらいたいことがひとつあるとしたら、今回の選挙における選択肢に、私たち多くのアメリカ人が熱狂していたわけではなかったという点だ。
 まず一方には、近年でもっとも忌み嫌われた政治家、ドナルド・J・トランプがいた。彼はかつて、2004年にスタートしたリアリティ番組『アプレンティス』(※参加者が「見習い」として働き、最後に採決される)において「お前はクビだ!」と叫ぶ役を演じ、それで一躍、アメリカで有名人になった、億万長者のペテン師である。2024年に早送りすると、後期資本主義の典型であるこの人物は、なぜか労働者階級からの支持を得て現状に至っている。支持層の多くは白人の地方住民——おそらくは私たちの社会では一括りにしても問題のない唯一のグループ、無学で人種差別的な「田舎者」たち——で、2024年の選挙ではラテン系や黒人層にも右傾化が顕著に見られた。結果、トランプは国民投票と議論の的となる選挙人団の両方で勝利を収めたわけで、多くのアメリカ人の心に彼のポピュリスト的メッセージが響いたことは否定できない。
 もうひとりの候補者は、2020年の大統領選で民主党予備選挙において支持を得られなかったカマラ・ハリスだった。アメリカ史上初の女性副大統領であるが、しかし、女性である私としては、黒人女性を副大統領に起用したバイデンの人選が「フェミニズムの勝利」などという幻想を抱くようなものではないことを承知している。また、ハリス氏が女性であるからといって、彼女が女性の利益を代弁するなどとは一瞬たりとも考えたこともなかった(事実、民主党はオバマ政権時から妊娠中絶に関する法改正の機会を持っていながら優先事項とせず、最初の任期中に却下した)。もしその女性が優れたアイデアと能力を認められて当選したのであれば、アメリカ社会は真の男女平等を達成したと言えただろう。悪名高いことに、彼女は電撃的な選挙キャンペーン中、ほとんどインタヴューに応じなかった。数少ないそのなかには、ニュース番組『60ミニッツ』も含まれていたが、番組では、彼女の当初の極めて親イスラエル的な立場を隠すように編集されていた。また、彼女の具体的な政策に関心のあるインタヴュアーに対しては、「ウェブサイトを見てください」と答えるのみだった。
 トランプは、過去10年間の大半を大統領選に費やしてきたと言えるような、誇大妄想的なおしゃべり屋だ。彼を打ち負かすのは難しくないはずだった。が、“政策(ポリシー)”ではなく“権力(ポリティクス)”に頼ってアメリカ人の半分を味方につけようとするのは、明らかに勝利のための戦略とは言えない。

 理由はふたつある。第一に、民主党が(アメリカ)国民に対して誠実でなかったこと、そしてそれが私たち(私のような真の左派を自認する人びとを含む)の多くを遠ざけてしまったことだ。アメリカの民主党は決して「左派」ではないことをここに明確にしておきたい。実際には、経済政策に関しては穏健中道、あるいはやや右派だ。しかも、アメリカの主流メディアは民主党に支配され、バイデンや民主党への批判を「保守派の陰謀」に過ぎないとした。また、バイデンの明らかな認知機能の衰え、米国(およびその他の国々)におけるインフレの蔓延、犯罪の増加、そして不法な人権侵害の国境問題は「陰謀説」であって、それも右派によるものとした。現在の平均的な民主党員によれば、右翼であることはナチスであることを意味する。

 そのようなレッテルを貼られるのを避けるために、自分の信念を検閲した人はたくさんいると思う。私もそのひとりだ。なぜなら、私の食料品代は2020年以来ほぼ2倍になっているのに、アメリカは無意味な代理戦争にふたつも関わっている(そればかりか大量虐殺に積極的に資金を提供)。2022年には、私が利用するニューヨーク市の地下鉄駅で起きた集団銃撃事件で10人が撃たれ29人が負傷した、私は何ヶ月も電車に乗るのが怖かった。アメリカの“信頼できる”メディア、たとえば『ニューヨーク・タイムズ』などによると、これらの懸念はすべて私が「右派の白人至上主義者だから」ということになるらしい。
 私が、民主党がトランプを打ち負かすことができなかった理由としてふたつ目に挙げるのは、あからさまな偽善だ。私はドナルド・トランプの内閣や気候に対する態度、最高裁の保守的な人選、1月6日の議会襲撃事件など、数え上げればきりがないが、これらすべてに深い不快感を抱いている。しかし、民主党がヒステリックに主張する「自分たちに投票すれば、ファシズムからアメリカを何とかして救うことができる」という主張は疑わしい。なぜなら、真の左派の候補者たち(とくにコーネル・ウェストやロバート・F・ケネディ・ジュニア、ただしイスラエルに対する姿勢を除いて)は、討論会はおろか、予備選挙にも参加させてもらえなかったからだ。ハリス自身も民主党候補として選出されたわけではない。今年6月のトランプとの討論会の惨憺たる結果によってバイデンの老いがもはやアメリカ国民に隠しきれなくなった後、ようやく戴冠されたに過ぎない。
 トランプは厳密には有罪判決を受けた犯罪者だが、それは捜査を受けたからだ。それに対して、バイデン一家が関わっていると想像される違法な不正行為には驚かされるばかりだ。とくに彼の息子ハンターのノートパソコンにウクライナや中国との家族ビジネスに関するメッセージが含まれていたという噂が事実だったことを考えると——もっとも、その話はアメリカの主流メディアによって大幅に検閲されていたが。
 民主党が自らの権力を脅かす人物を攻撃しようとしたのは今回が初めてではない。民主党と共和党が同じコーポラティズムの硬貨の表裏であることは、何年も前から明らかであった。例えば、バーニー・サンダースの階級意識を意識したキャンペーンは、2016年と2020年の両方で民主党に支配されたメディアによって組織的に破壊された。そして2024年には、ロバート・F・ケネディ・ジュニアの型破りながらも力強いキャンペーン・メッセージ、すなわちアメリカ政治に蔓延する腐敗と取り組むというメッセージも、ナチス(すなわち民主党員と認めない者)からの言論の自由を守ることを主張する「左翼」メディアによって同様に粉砕された。バーニーの選挙運動と同様に、ケネディ・ジュニアの政策も検閲され、ワクチン反対派の気違いじみた戯言にすぎないものに貶められた。なぜなら、彼もバーニー同様、“アイデンティティ”ポリティクスではなく“階級”ポリティクスによって、実際にアメリカの分裂を埋めようとしていたからだ。
 結局のところ、真の左翼であれば、抑圧の本質的な交差点は「階級」だと教えるだろう。カマラ・ハリスの集会でビヨンセやトゥワークをするミーガン・ジー・スタリオンを登場させても、生活費が手頃になるわけでも、パレスチナの戦争が終わるわけでもない。

 注目すべきは、選挙運動が失敗に終わっていた際に、この国を悩ませている政治的分裂の解消を模索して、ケネディ・ジュニアが民主党と共和党に接触したことである。民主党は彼を無視したが、トランプは最終的に彼に閣僚への参加を要請した。

 民主党は過去8年間、自分たちに反対する人びとの知性や人間性を侮辱してきたという不名誉な実績がある。ヒラリー・クリントンは、自分たちに投票しない人たちを「憐れむべき人びとの巣窟(the basket of deplorables)」と呼び、バイデンは先月、彼らを「ゴミ(garbage)」と呼んだ。私の友人でさえ「トランプに投票する人は悪だ」と宣言している。私が貧しい田舎の白人アメリカで育ち、そこで暮らす大多数の人たちは、ただ生活を営み、そっとしておいてほしいと願う善良で勤勉な人たちであることを知っているからかもしれないが、私は民主党が「蜂を捕まえるには酢よりも蜜を使った方がよい」(*)という古い諺を聞いたことがないのではないかと思わずにはいられない。

 私はふたつの出来事を決して忘れないだろう。どちらも私の政治的信条に影響を与えた出来事だ(私は環境問題に関心があり、所得の平等、中産階級および労働者階級の生活の質に維持、女性の権利に関心があり、アメリカの海外における植民地主義的な存在を排除することに関心があり、性的暴行容疑のある人物には投票しない。民主党がその事実を隠そうとしても、ジョー・バイデンもその対象だ)。
 最初の出来事は2016年、いまは亡き祖父に「なぜトランプに投票するのか」と尋ねた。
 「私は実はバーニーのほうが好きなんだ。でも、トランプには勢いがあるし、ワシントンDCには変化が必要なんだ。民主党の連中は自分たちがみんなにとっていちばん良いことをわかっているつもりだが、そんなことはない。政府は小さく保つべきなんだ」
 「なぜ小さく保つ必要があるの?」と私は尋ねた。「国民皆保険(ユニバーサル・ヘルスケア)制度は必要ないの?」
 「それはいいな」と祖父は言いました。「でも、郵便物を確実に送ってもらいたいなら、米国郵便公社ではなくフェデックスのようなサービスを利用しなければならない。政府のウェブサイトにアクセスしても、動きが遅すぎて使えない。それに政府の電話番号にかけても、何時間も保留音が鳴りっぱなしだ」
 彼の言うとおりだ、と私は思った……
 「では、もし政府が医療を提供したら?  まあ、おそらく世界最悪の医療だろうね」
 オバマが 全国民向け医療制度を試みた際、健康保険に加入できない人には700ドル以上の罰金を科されることを考えると、私も同意せざるを得ないかもしれない。

 ふたつ目の出来事は、私が日本の音楽の博士号を取得するために在籍していたコーネル大学の大学院の仲間たちと、2016年の選挙後のパーティで過ごしたときのことだった。 大学院生たちは、トランプに投票した人たちは無学で愚かで、——そしてまたあの言葉が出てきたわけだが——、邪悪(evil)だ、などと不満を漏らしていた。
 「トランプに投票した人と話したことがある人はいる?」と私は尋ねた。
 「いるわけないだろ!」と彼らは声を張り上げ、誇らしげに言った。「なぜそんなことをする?」
 「まあ、もしそうしたら」と私は言った。「みんなあなたたちをエリート気取りのろくでなしの集まりだと思うだろうね」そして私はその場を去った。
 過去最悪のパーティでの出来事。

 私としては、これは希望の持てる出来事だと考えている。民主党がなぜ負けたのかについて、引き続きよく考えてほしいと願っている。共和党は、相手候補があまりにもひどかったからこそ自分たちが勝てたのだということを知ってほしいと願っている。そして、私は米国が最終的に現実的な第三政党を誕生させることを願っている。私はこれまで3回の大統領選挙でそうした政党に投票してきた。なぜなら、今年のアメリカ大統領選挙の茶番劇が示すように、民主党と共和党は同様に堕落しているからだ。
 おそらくほとんどのアメリカ人が私の意見に賛成してくれると思う。

(*)物事をうまく進めたり人を惹きつけたりしたいなら、批判や冷たさよりも、親切や優しさで接するほうが効果的だという意味のことわざ。

American Politics: There Are No Good Guys in 2024

Written by Jillian Marshall

If there’s one thing I wish Japanese people could know about Americans in 2024, it’s that most of us were not excited about the choices in this election.
On the one hand was the most reviled politician and public figure in recent memory. Yes, Donald J. Trump: the billionaire grifter who cemented his fame in America on a reality TV show called The Apprentice, where he screamed “you’re fired!” at contestants. Fast forward to 2024, and this poster child of late-stage capitalism somehow found his political base in working class America: the very people exploited by the system that rewarded him. And while that base was largely white and rural — perhaps the only group in our society it’s OK to make sweeping judgements about (uneducated, racist rubes, they are!) — this year’s election saw significant rightward movement in Latino and Black populations as well. Having won both the popular vote and the somewhat controversial electoral college, it’s undeniable that Trump’s populist messaging evidently spoke to the majority of American voters.
On the other hand was a candidate so unpopular during her 2020 presidential bid that she received zero votes in the Democratic primary: Kamala Harris, the first woman vice president in American history. But as a woman, I’m under no illusions that Biden’s explicitly tokenistic appointing of a Black, female vice president was any kind of “feminist victory”— nor did I believe for a second that Harris would serve women’s interests simply because she herself is one (Democrats have had the chance to codify pro-abortion legislation into our constitution since the Obama administration, which Obama himself dismissed as a “non-priority” during his first term). If anything, I’d believe that American society achieved true gender equality if a woman got elected by recognition for her good ideas and competency— neither of which Harris demonstrated. Infamously, she gave very few interviews during her blitzkrieg campaign — including one with news program 60 Minutes that was actually edited to redact her original, highly pro-Israel stance— and dismissed interviewers interested in her specific policies to “go to her website.”
Trump is a megalomaniacal blowhard who has spent most of the past decade vying for presidency. It shouldn’t be hard to outwit him, but banking on politics instead of policy to win over half of America is, evidently, not the winning strategy.
The reason why is twofold. First is the Democratic Party’s inability to be honest with the (American) public, and how this has alienated many of us— including people, like me, who identify as true leftists. Let me first clarify that the American Democratic Party is not truly “left”; it’s actually moderate-center or even slightly right on economic policies. At the same time, mainstream media in the US — overwhelmingly controlled by the Democratic Party — have claimed that any critiques about Biden or the party in general were nothing but conservative nonsense. Biden’s obvious cognitive impairment, the rampant inflation in the US (and elsewhere), increased crime, and illegal, inhumane border crossings were not only conspiracies, but right wing ones at that. And according to the average Democrat today, being right wing means you’re a Nazi.
To a certain extent, I’d say that there are many of us who censored our beliefs to avoid being branded as such— myself included. Because, even though my grocery bill has nearly doubled since 2020, the US is in two ridiculous new proxy wars (while actively funding a genocide) and, after twenty-two people got shot at my subway station in New York City in 2022, I was scared to ride the train for months, my concerns — according to America’s “reputable media” sources like the New York Times — must be because I’m a right wing white supremacist.
The second reason I think the Democratic Party failed to defeat Trump is because of its blatant hypocrisy. I am deeply uncomfortable with Donald Trump’s cabinet, his misogyny, his stance on climate, his conservative stacking of the Supreme Court, what happened on January 6th of 2021 — the list goes on. But the Democrats' hysterical claims that voting for them will somehow save America from fascism is suspicious when other candidates running on truly leftist tickets — notably Cornel West and RFK Jr (save for his stance on Israel) — weren’t even allowed a debate, much less a primary election. Harris herself wasn’t even elected as the Democratic candidate; she was essentially coronated only after Biden’s senility was no longer able to be hidden from the American public following a disastrous debate with Trump in June of this year. And while Trump is technically a convicted felon, that’s only because he was investigated. I can only imagine the illegal shenanigans in the Biden family, particularly since rumors about his son Hunter’s laptop (with its messages about family business deals with Ukraine and China) turned out to be real— though that story was heavily censored by American mainstream media.
This isn’t the first time the Democrats have sought to destroy anyone who threatens their power. It’s been obvious for years that the Democrats and Republicans are two sides of the same corporatist coin; Bernie Sanders’ class-conscious campaign, for instance, was systematically destroyed by the Democrat-captured media in both 2016 and 2020. And in 2024, RFK Jr’s unconventional, but powerful campaign message of tackling the rampant corruption in American politics was similarly dismantled by the “left wing” media outlets claiming to preserve freedom of speech from the Nazis (i.e. anyone who doesn’t identify as a Democrat). Like Bernie’s campaign before him, RFK Jr’s platform was censored, reduced to nothing but an anti-vaxxer’s kooky ramblings, because he— like Bernie— threatened to actually bridge the divide in America through class politics instead of identity politics.
After all, a real leftist will tell you that class is the true intersection point of oppression. Trouncing out Beyonce or a twerking Megan Thee Stallion at a Kamala Harris rally does jack shit to make the cost of living more affordable, or end the war with Palestine.
Worth noting, too, is that RFK Jr reached out to the Democrats and the Republicans when his campaign was failing, seeking to bridge the political divide plaguing this country. The Democrats ignored him, while Trump ending up asking him to join his cabinet.
What’s more, Democrats have a nasty track record these past eight years of disparaging the intelligence and even humanity of whomever disagrees with them. Hillary Clinton called people who don’t vote for them “the basket of deplorables”; Biden called them “garbage” just last month. Even my own friends have declared on several occasions that “anyone who votes for Trump is evil.” Maybe it’s because I grew up in impoverished, rural white America and know for a fact that the majority of people there are decent, hardworking folks who just want to make a
living and be left alone, but I can’t help but think the Democrats never heard the old adage: “You catch more bees with honey than with vinegar.”
I’ll never forget two moments, both of which informed my personal politics (I care about the environment, I care about eliminating America’s colonialist foreign presence overseas, and I won’t vote for anyone with a sexual assault allegation — which includes Joe Biden, as much as Democrats try to hide that fact). The first was in 2016, when I asked my now-deceased Grandpa why he was voting for Trump.
“I actually like Bernie,” he said. “But Trump has the momentum, and we need change down in Washington DC. And those Democrats think that they know what’s best for everyone, but they don’t. We need to keep the government small.”
“Why small, though?” I asked. “Don’t you want universal health care?”
“That’d be nice,” my Grandpa said. “But if you want something mailed on time, you have to use a service like FedEx instead of the United States Postal Service. If you go to a government website, it’s too slow to use. And if you call any government phone number, you’re on hold for hours.”
He’s right about that, I thought...
“So if the government offered health care? Well, it’d probably be the worst health care in the world.”
Given that Obama’s attempt at universal health care penalized people upwards of $700 if they couldn’t obtain health insurance otherwise, I might have to agree.
The second moment was during a post-2016 election party with my fellow graduate students at Cornell University, where I was finishing my PhD in Japanese music. Grad students there were sharing their grievances, like how everyone who voted for Trump is uneducated, stupid, and— here’s that word again — evil.
“Have any of you ever talked to anyone who voted for Trump?” I asked.
“Of course not!” they remarked, with something close to pride in their voices. “Why would we?”
“Well, if you did,” I said, “You’d know they’d think you’re all a bunch of elitist assholes.” And I left.
It was the worst party I ever went to, by the way.
So I, for one, see this as a time of hope: I hope that the Democrats keep taking a look in the mirror about why they lost. I hope the Republicans know they only won because the other candidate was so awful. And I hope the US can finally produce a viable third party — which is how I’ve voted for three presidential elections now — because the Democrats and the
Republicans are, as evidenced by the farce that was this year’s American presidential election, equally captured.
And I dare say most Americans would agree with me.

interview with Coppé - ele-king

 だれもかれも、自分がどう見られるかばかり気にしている。ヴィジュアル主体のインスタだろうがテキスト主体のツイッターだろうがそれはおなじで、スマホとSNSの普及はむしろどう見られるかを意識していないほうが変わり者であるかのような時代を生み出してしまった。一見自分史をテーマにした昨年のOPN『Again』は、じつはそういう自分だらけの現代を鋭くえぐったものだとぼくは解釈しているけれど、これはもう不可逆の流れなのかもしれない。
 その点、みずからを火星人だと呼称するコッペは完全にアウトサイダーだ。独創的なファッションに身を包み、「キョイーン」「でぴゅ」「うれぴー」といった語を駆使する彼女が周囲の目やらトレンドやらに振りまわされていないことは明白である。一度会ったら忘れられないこの強烈な個性の持ち主は、90年代をアリゾナとLAで過ごし、ZトリップやQバートといったヒップホップDJらと交流したり、ドラムンベースを生演奏するバンドをやったりするなかで音楽家としてのキャリアを(再)スタートさせている。1995年に送り出されたファースト・アルバムこそトリップホップという時流とリンクする側面を有していたものの、近年のリリースを振り返ってみると、モジュラー・シンセでオペラに挑戦した『Na Na Me Na Opera』(2019年)、モダン・クラシカルなソロ・ピアノ曲集『蜜 Mitsu (25rpm)』(2021年)、スタンダードも多く含まれたジャズ・ヴォーカル作品『*(Un-)tweaked』(2022年)とやはり独自路線で、だれがなにをいおうが好きなことをやるという気概がビシバシ伝わってくる。

 そんなコッペの最新作『*( -)tweaked』は、上述のジャズ・アルバム『*(Un-)tweaked』のリミックス盤だ。どのリミキサーも「とりあえずぶっ壊して!」とのオーダーを遵守、オリジナルの上品なジャズはみごと解体され、一筋縄ではいかないトラックが並んでいる。招集されているのはコッペと親交のある面々なのだけれど、これがまたそうそうたる顔ぶれで、アトムTMにプラッドにニカコイにルーク・ヴァイバートにDJ KENSEIに……きっとみんな、型にはまらない彼女の気質に引き寄せられるのだろう。
 いったいコッペとはいったい何者なのか? じつはファースト・アルバム以前にも長いキャリアをもつ彼女。取材には流通担当の猪股恭哉も同席し、このユニークな音楽家の歩みを深掘りしてくれた。

お謡からはじまった

長いキャリアをお持ちですので、まずはバイオグラフィからお伺いできればと思います。

Coppé(以下C):死んだことになっていることもあるしね(笑)。いろいろお仕事してたのに、ある時期に急に日本からいなくなったひとなので。「長谷川コッペ」で検索すると出てくるけど。

かなり幼いころから音楽にはご関心があったのですよね。ご家庭の影響でしょうか?

C:生まれながらの音楽ジャンキーだと思う。オギャーッと生まれたときからほぼ曲つくってるようなもので。コッペのパパとママも、おじいちゃんとおばあちゃんも、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんも、全員、観世流〔※能の流派のひとつ〕のお謡(うたい)をやってたので、家ではもうずーっと、年がら年中、お謡が聞こえてきて。当然コッペもママから仕込まれたので、そういうのが知らず知らずのうちに出てきているのかな。今日、そのお謡の本を持ってきたんです。



Coppéが持参したお謡いの教科書

初めて目にしました。すごいですね。まったく読めないです。これはどう読むんですか?

C:読めないところもちゃんと振りがあって。上がるとか、下がるとか。最初、教科書に書きこむことも怒られたんですけど、でも覚えられないから、いっぱい書きこんでます。
 コッペの曲にはオリエンタルなフレーヴァーが出てるよねってよく言われるんですけど、たぶんお謡がその由来かなと。お謡って口伝だから、キーが存在しないんですよ。お師匠さまが出したその音に合わせてついていかなきゃいけない。でもコッペはキーのひとなので、「キーがないってどういうことなの?」っていっぱいママに文句言って。でももともとそういうものだから。歌い方、フレーズもぜんぶ口伝で、ようするに先生の真似をするわけなんですけど、そのやり方が叩きこまれてるから、インプロしているときもジャズを歌っているときも、自然と出てきちゃうんですよね。それでオリエンタルだねって言われるのかな。

猪股:ルーツはポピュラー・ミュージックでもクラシック音楽でもなかった、ということでしょうか。

C:いえ、小学生のとき、藤家虹二(ふじかこうじ)先生っていうクラリネット奏者の方に出会って、そこからコッペの人生はギョイーンといまのような感じになっていくんです。『日清ちびっこのどじまん』という番組〔※フジテレビ、1965~69年放送〕で優勝しちゃって、そのときの審査員のひとりが藤家先生でした。コッペが小学4年生とか5年生のころ。そのころからもう、他人の曲には見向きもせず、自分で歌って曲を書いてばかりで。それで藤家先生から「お前は歌はそれほどうまくないけど作曲のセンスがいいから、俺のところに週一で来て楽典とか和声とかハーモニーの勉強をしなさい」って言われて。
 毎週かならず宿題が出るんですよ。「どんな長さでもどんなキーでもいいから、3曲完結させて仕上げてくるように」と。どんなものでも5分でできたけどね。それで、そのうちの1曲を藤家先生が気に入ってくれて、ストリングスを入れてアレンジしてくれて、ある日突然「プロのスタジオ入るぞ」って。それがキング・レコードだった。宿題の楽曲にため息が出るくらい素敵な先生のアレンジがついて、それを歌ってドーナツ盤にしたらレコード大賞の童謡賞をいただいちゃった。小学生だからよくわからないんだけど、親はピーピー泣いていて(笑)。そこからですね、コッペの人生が3分の1くらい芸能人みたいになっちゃったのは。そのあと「Let's Enjoy English」というレギュラー番組もやりましたね〔※NHK、1972~1982年放送、長谷川コッペ出演は1975年度〕

『*(Un-)tweaked』(2022年)はジャズ・アルバムですが、ジャズからの影響も大きかったのでしょうか?

C:藤家先生がクラシックだけじゃなくて、ベニー・グッドマンのコピーもやっていらして。それでどんどんジャズのほうにも行きました。あと当時、水島早苗先生というジャズ・ヴォーカリストの先生もおられて。だから小学生のころからジャズも歌っていたんですけど、歌詞なんてわかるわけないんですよ。でもジュリー・ロンドンとかを丸コピして歌っていました。

その後70年代はどのようなことをされていましたか?

C:『オールナイトニッポン』のレギュラー番組がはじまって、タモリさんと出会って、「なんだこのヘンテコリンなおじさんは?」って(笑)。イグアナの真似とか、四ヶ国語麻雀とか激・面白かったですよ。1時から3時までの1部がタモリさんで、3時から5時までの2部がコッペでした。コッペの好きな英語の曲をがんがん流しまくってたら、当時そういう番組はあまりなかったので需要も上がって1部に昇格させていただいて。そこでタモリさんとはバイバイで、今度は近田春夫さんと一緒にやることに〔※1977~79年放送〕
 近田さんのことはチカちゃんと呼んでいたんですが、すごくかわいがってもらって。ザ・スーパーマーケットというバンドも一緒にやっていたので、たぶん番組を面白くするためとは思うんですけど、コッペとチカちゃんがバトルさせられるんです。それで「なんだお前!」とか怒られながら毎週スタジオに生で入ってました。コッペは洋楽一辺倒だったから、チカちゃんはオンエア中に「お前そんなくだらないもんばっかり聴いてないで、日本人だったら都はるみを聴いてみろ! お前こぶしまわしなんかできないだろう!」とか(笑)。それで急に歌わされる(笑)。


photo by paul ward
clothes by disorder boutique

レジェンドたちとの思い出

ジェイムズ・ブラウンって「ウンッ!」「アッ!」とかシャウトがすごいじゃないですか。その出し方を30分とか40分、ずっと踊りながらレクチャーしてもらってた(笑)。

Coppé名義でのファースト・アルバムが1995年ですので、そこへ行き着くまでにまだありますね。80年代はどのように過ごされていましたか?

C:80年代は、『ザ・ポッパーズMTV』っていう番組〔※TBS、1984~87年放送〕をピーター・バラカンさんとやっていました。それまではどんな番組も自分で選曲してたんですけど、『ポッパーズ』は唯一、自分で選曲してなかったテレビ番組。来日アーティストを片っ端からインタヴューするっていうお仕事で。超楽しかった! なにを訊いてもOKだったし、ジェイムズ・ブラウンからシンディ・ローパー、マイケル・フランクスからスティーヴィー・ワンダーまで。マドンナのインターナショナルなものとしては最初のインタヴューもコッペだった。
 ジェイムズ・ブラウンのときがいちばん大変で。伝達ミスで、クルーが40分とか45分とか遅れて来たんですよ。それでしばらくコッペとジェイムズ・ブラウンのふたりっきり。「クルー来てないの? じゃあ帰る」って言われてもおかしくない状況で、でもそうなったらインタヴューがなくなっちゃうから、コッペも怖いもの知らずで、「いろいろ教えて!」みたいな感じで話して。ジェイムズ・ブラウンって「ウンッ!」「アッ!」とかシャウトがすごいじゃないですか。その出し方を30分とか40分、ずっと踊りながらレクチャーしてもらってた(笑)。その場面を撮ってくれてるひとがいたら、インタヴューよりぜんぜん面白かったと思う(笑)。

すさまじい面々とお会いされてきているんですね。ちなみに、ファンクはお好きだったんですか?

C:いや、当時はぜんぜんジェイムズ・ブラウンはわからなかったです。インタヴューするときはかならず事前にそのアーティストの音源をしっかり聴くんですけど、ジェイムズ・ブラウンはまったくピンとこなかった。なんでだろう? たぶんミーのなかではあのころ、「ンワッ!」とかそういうフレーズのスウィングの仕方にしか興味がなかったのかもしれない。

渡米されたのはその後ですか?

C:えっとね、『ポッパーズ』をやってたときに、コッペじつは一度結婚してるんです。アリゾナの方と。コッペはマイケル・フランクスが大好きだったんですけど、ハワイでヴァケイションしてるときに、マイケル・フランクスと瓜ふたつのひとがニコニコしながら歩いてきたんですよ。「ヤバい! マイケル・フランクスだ!」と思って。ぜんぜんちがったんですけど(笑)。でもそのひとと結婚しました(笑)。ハワイで「イエス!」って言っちゃった。
 その彼、メルくんというんですが、メルくんのパパが急に病気になっちゃったことがあって、そのタイミングでUSAに戻らなきゃならないことになって、いったん番組を全部降ろさせていただいたんです。ラジオのレギュラーが3本くらい、テレビも2~3本あったし、雑誌も『POPEYE』とか『Olive』とかあったんですけど、もしメルくんのパパが仮に亡くなっちゃったりしたら一生恨まれるだろうなと思って、全部お休みさせてもらってアリゾナに渡って。そしたら超居心地がよくて。パパとママには2年くらいの約束でアリゾナに行ってたのに、20年くらいになった(笑)。


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トリップホップとリンクしたファースト・アルバム

まわりにいたのが、Zトリップとかロック・レイダとか、インヴィジブル・スクラッチ・ピクルズのDJ Qバートとか、アリゾナとLAでつるんでたのがヒップホップ系の方々で。

ファースト・アルバム『Coppé』(1995年)にはトリップホップとリンクするフィーリングがありますが、あのアルバムがリリースされたときはアメリカにいらっしゃったのですか?

C:そうです。アリゾナでレーベル〈Mango & Sweet Rice〉を立ちあげて、日本からもってきていたオープンリールを使ってひとりでつくりました。ただ8チャンネルしかなかったので大変で。ひとりじゃダメだなと思って、2枚目の『O Of M』(1998年)からはアリゾナのお友だちとコラボするようになりました。

80年代後半から90年代前半にかけてはエレクトロニック・ミュージック、ダンス・ミュージックの勢いがすさまじかった時代ですが、やはりそうしたものから影響を受けたのでしょうか?

C:まわりがみんなDJだったし、音づくりもやっていたから自然と。まわりにいたのが、Zトリップとかロック・レイダとか、インヴィジブル・スクラッチ・ピクルズのDJ Qバートとか、アリゾナとLAでつるんでたのがヒップホップ系の方々で。彼らとoToっていう名前の、ドラムンベースを生でやるバンドをやっていたんですよ。ほぼ毎日コッペの家でリハしてて。「もったいなから、このままライヴはじめよう」って、家賃が払えなくなりそうになるとちょっとライヴをやって稼いで……とか。ドラマーのステファン・ポンドはドラムンベース好き、いちばんよくつるんでたテリー・ドリーシャーはアンビエント・ダブのひとで、そのころに受けた影響はすごく大きかったと思う。3枚目の『Peppermint』(2000年)からはアリゾナやLA勢だけじゃなくて、出会いが広がって、プラッドとかも入ってくるんです。『Peppermint』のときがいちばんコラボしていたかな。

ちなみにファーストには “He Didn't Know...Brian Eno...” という曲が入っていますよね。このタイトルはどういう意味なのですか?

C:コッペ、ブライアン・イーノが大好きで。そのころ親しかったoToのメンバーでめっちゃくちゃいいギターを弾くひとがいて、コッペの曲づくりにもとってもインスピレイションをくれたひとりなんですけど、イーノの話をしたら「え、だれそれ?」って。ブライアン・イーノのこと彼はぜんぜん知らなかったんです。だからそのまんまの曲!

ファーストでいちばんお気に入りの曲はなんでしょう?

C:難しいー。こないだリリース・パーティがあってDJ KENSEIと話してて、彼は “Floatin’” を気に入ってくれてるみたいで。30周年だからリメイクするのもいいんじゃないなんて話になったけど。でも毎日聴きたい音って変わるから、自分で選ぶのは難しい。猪股さんに聞いてみようよ!

猪股:いま現在の感覚で選ぶと、初期の作品に惹かれます。さきほどちらっとダブっていうキーワードが出ましたけど、スモーキーな具合、浮遊感、重さみたいなところが当時のアブストラクト・ヒップホップとかエレクトロニカの流れにあって、それがちょうどいま聴くと気持ちいいですね。

C:2枚目とか、3枚目とか?

猪股:それこそファーストですね。

C:えー嬉しー! もうアホみたいに嬉しいですよ。だってコッペが全部自力でプロデュースして全部自力で曲書いたのってファーストだけだもん。そういえばポーティスヘッドは大好きなグループのひとつだった。アリゾナの家で掃除機かけてたときにラジオから “Dummy” が流れてきて、「やばっ、なんだこれ」って。コッペの耳にはアイザック・ヘイズがビリー・ホリデイとコラボしたように聞こえて、もう鳥肌もので。でもポーティスヘッドは最初の1枚だけだったな。

マッシヴ・アタックはいかがですか?

C:マッシヴは大好きですね。マッド・プロフェッサーがやった『No Protection』ってあるでしょ。今回のリミックス盤も、『No Protection』みたいにぶっ壊せばいいかと思って出す決心をして。

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近年の2作『*(Un-)tweaked』と『蜜』をめぐって

亡くなってしまった方々って、エネルギーとしてふわふわ飛んでるじゃないですか。だから、コッペみたいな頭が空っぽな火星人に、チョウチョみたいに降りてくるんです。

『*(Un-)tweaked』(2022年)は落ち着いた雰囲気の、聴きやすいジャズ・アルバムですね。デューク・エリントンの “Satin Doll” のようなスタンダードのカヴァーも多くあります。これを出す時点で、リミックス盤の『*( -)tweaked』をつくることは決まっていたのですか?

C:はい。もう絶対ぶっ壊そうと思ってました(笑)。〈Mango + Sweetrice〉ってコッペのほぼすべてなので、絶対に嘘ついちゃいけないんですよ。自分が出したくないものは出してはいけない。でも唯一、『*(Un-)tweaked』で初めて、ヒロくん〔※コッペの弟〕をハッピーにするために出すっていう動機からはじまって。だから自分のなかですごく葛藤があった。でも、マッシヴの『No Protection』があったから、あとでぶっ壊せば大丈夫だっていうことで踏ん切りがついたという。
 もともとの録音は、ジェイキー(Richard ‘Jakey’ Slater)のコンピュータから出てきたんです。お蔵入り音源が。おくある状況ですけど、録音してたってことさえコッペは憶えていなくて。『蜜』(2021年)をつくり終わったあとに、ジェイキーが「じつは、昔のコンピュータからジャズの音源が出てきて、めちゃくちゃいいかわ、使わないのはもったいないよ」って。聴いてみたらまあたしかにいいかなって内容で、そこに何曲か足して。

では、だいぶ前の録音が使われているんですね。

C:もう10年とか、15年くらい前。たしかジェイキーが新しいスタジオで仕事をはじめたときで、「ちょっとテストしたいからなにかやってみて」みたいな感じで、当時よくライヴを一緒にやっていたメンバーと集まって。それを彼が録っていたんだと思う。

録られていたことに気づかず。

C:そういうのばかりですよ! ピーナッツ・バター・ウルフの “PBWolf vs. Mothra (feat. Cappe)” もそう。ずいぶん昔、彼のスタジオに遊びに行ったときにレコーディングされてたことをコッペはまるでわかってなくて、レコードが出たこともぜんぜん知らなかった。ひどいやつらですよ(笑)。でも、それはUSのヒップホップだと普通みたいで。「そうなんだ、いいよべつに」みたいな。

ほかにも知らないうちに出ている作品もあるかもしれませんね。

C:いっぱいあると思いますよ。昔はドラムンベースでも歌いまくってたし、ロンドンの〈No U-Turn〉のスタジオとかでも、行くたびにインプロで歌いまくってたので。オービタルの最近の “Moon Princess (feat. Coppe)” も、「ちゃんとクレジットしてくれるのかな?」って不安だったけど、彼らはやっぱりプロフェッショナルなのでちゃんとやってくれた。でも「Coppé」の最後のチョン〔※アクサンテギュ〕はつけてくれなかった(笑)。

先ほど少しお話に出た、もうひとつ前のアルバム『蜜 Mitsu (25rpm)』はピアノ・アルバムでしたね。

C:あれはもうずいぶん昔みたいな感覚……ロックダウン中につくったやつです。生まれて初めて経験して、でもコッペにとってはかけがえのない時間でもあったんですよ。くだらないミーティングとかで外に出ていかなくてよくなって、棚からぼたもちのような、自由になる時間ができて。もうスタジオに缶詰めになるしかないですよ。それで。コッペが持ってる楽器でいちばん古い、コロンビアのエレピがあって、ピノコっていう名前をつけているんですけど、スタジオの奥でほこりをかぶっていたそれをジェイキーきれいに掃除して、「ピノコごめんね」って言ってぽろぽろ弾きながら、ピノコとの会話をスタートさせました。そしたらジェイキーが「レコーディングしてもいい?」って言ってくれて、そこからサクッと3~4日くらいでできたのがあのアルバムです。だから、ぜんぶインプロなんです。たぶん、バッハが降りてきたと思う(笑)。
 こういうこというと「コッペさん、イっちゃってる」とか思われるかもしれないけど、亡くなってしまった方々って、エネルギーとしてふわふわ飛んでるじゃないですか。バッハにしてもジム・モリスンにしても、みんな、もっともっといい曲を書きつづけていたかったと思う。でも病気とかいろんな理由があって、先に逝っちゃって。でも、みんなスピリットとして元気にやっていて、曲を書きつづけてるんですよ、絶対。でも地上にいないと形にはできない。だから、コッペみたいな頭が空っぽな火星人に、チョウチョみたいに降りてくるんです。コッペはいつも頭を空っぽにしてるので、チョウチョが来るとすぐに指が動いたり声になって出てくる。だから、けっしてコッペが書いているんではない。頭で考えてとか、そういう暇はまるでないので。小学生のころは「ここまでAマイナーだったから次はメジャーにしよう」とかいろいろ考えていたんですが、この『蜜』にかんしてはそれはまったくなかった。自然とできあがってしまったという。

憑依されているというのはシュルレアリスムっぽいところもあっておもしろいですね。自分の意識の外からやってくるもの、コントロールできないものによって作品ができてしまうという。

C:コッペの作品はもう80パーセント以上、もしかしたら90パーセント以上そうだと思います。歌詞もほぼ夢からできているし。そもそも地に足が着いていないですしね。だいたい毎日ふわふわしているので。

「ぶっ壊して!」とオファーした最新リミックス盤


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「とりあえずぶっ壊して!」っていうのだけ。やっぱり嫌じゃないですか、「ビョークみたいなのをやってください」とか「エンヤみたいに」とか、だったらビョークに頼みなさいよって思いますし。

さて、あらかじめつくることが決まっていたという今回のリミックス盤『*( -)tweaked』ですが、人選にはどのような狙いが?

C:いや、なにもないですね。ただコッペのまわりにいる仲良しなひとたちにお願いするっていう(笑)。ただみんなそれぞれスケジュールがあるから、そこはタイミングを見て。プラッドがいちばん時間がかかったかな。

個人的には今回のリミックス盤では、このプラッドの “Satin Doll (Plaid Remix)” がいちばん好きでした。

C:プラッドだとコッペは、“Atlantis Is Kushti (Plaid mix)” (『Peppermint』2000年、収録)がいちばん好きかな。あれはプラッドのふたりが日本にツアーに来たとき、そのころコッペはまだアリゾナに住んでたんですけど、同行して一緒に沖縄の座間味島っていうところまで泳ぎに行って、そのときできた曲で。1998年だったかな。元ジ・オーブのクリス・ウェストンやミックスマスター・モリスも一緒にいました。みんなプラッドとつながってて。座間味島ってほんとうに海がきれいで、みんなで潜ってレインボー・フィッシュを追いかけたり。サンゴって死ぬと真っ白になるんですけど、そのうえをはだしで歩くとしゃりしゃりして、痛いんだけど気持ちいいんです。その音が大好きで、当時MDのレコーダーでレコーディングしていたので、それを持ってその音を録りに潜ったんですよ。でもぜんぜんダメで、MDが壊れちゃって。みんなから「そういう電子機器は水中では使えないんだよ」って教えてもらいました(笑)。そしたら数年後にプラッドのエド(・ハンドリー)が、海の中にも持っていけて、クジラの声まで録音できるコンタクト・マイクをプレゼントしてくれて。

猪股:「エド」で思い出しましたが、ドラムンベースのエド・ラッシュ&ニコのニコが、2002年ころの作品にはよくクレジットされていましたよね。

C:ニコとはすごく仲良くなってます。ニコのスタジオがいちばんレコーディングしてる場所だと思う。ニコは当時あのあたり、エド・ラッシュとかオプティカルとかを仕切っていたひとで、でもなんか悪いことをされて音楽業界が嫌になっちゃったみたいで。自分が書いたのにクレジットしてもらえなくて、大ヒットしてとか。向こうってそういう大事なところが抜けてるんですよ。でもいまでもロンドンに行ったらつるんでますよ。たしか父親がBBCの偉い方で、ボブ・ディランとかにインタヴューしてる方で。でもニコは不良(笑)。

今回のリミックス盤でいちばん気に入っているのはだれのリミックスですか?

C:難しいなあ。もうあんまり憶えてない(笑)。いつも次につくってるもののことを考えてるから。来年ファーストの『Coppé』が30周年なので、いまはレーベル〈Mango & Sweet Rice〉30周年記念盤をつくってます。ルークと一緒に。

(今回のリミックス盤にも参加している)ルーク・ヴァイバートですか?

C:そう。ヒップホップ。じつは、今回の “My Funky Valentine (Luke Vibert Remix)” をお願いしたあと、いろいろあって、30周年記念盤でも一緒にやろうということになりました。それ(30周年記念盤の曲)はもう鳥肌が立つくらい、めちゃくちゃいい曲になっています。目玉の1曲。

それは楽しみです。今回のリミックス盤で、予想外のものが来たなというのはありましたか?

C:コッペはニカコイが好きなんですけど、彼とのコンビネーションってすごいと思うんですよね。以前『Milk』(2017年)というアルバムをつくったときに、当初ニカコイには1曲だけお願いしていたのに、3曲もやってくれて。相性がいいんです。『Rays』(2012年)のときも、最初はとりあえず1曲って感じでスタートしたんだけど、あれよあれよという間に1枚まるごと共作になって。今回のリミックスについてはノー・コメントですが、ずっと近くにいてほしいひとです。

猪股:いろんな方にリミックスをオファーする際、方向性など注文を出したりはしましたか?

C:「とりあえずぶっ壊して!」っていうのだけ。やっぱり嫌じゃないですか、「ビョークみたいなのをやってください」とか「エンヤみたいに」とか、だったらビョークに頼みなさいよって思いますし。そういうことをみんなにはさせたくないので、好きなようにぶっ壊してくれって。クリエイティヴのフリーダムはかならずみんなに与えます。そういうオーダーですね。

猪股:DJ KENSEIさんについてもお尋ねしたいです。今回の面子のなかでKENSEIさんはいちばんスタイルの幅が広い方で、いろんなことができる方ですよね。

C:KENSEIは達人ですよね。KENSEIは「そのままバッキング・トラック流して」って言っても絶対やりたがらないようなひとなので、いろいろやりとりしながら、「好きなようにぶっ壊して」と。2023年のフジロックのピラミッド・ガーデンにCoppé feat. Kensei & Hatakenとして出演したんですけど、キャンドルの火に囲まれて、すばらしいライヴだったんです。コッペたちのアンビエントな感じの音と、そよ風で炎が揺れる感じが化学反応を起こして。みんな芝生に座って聴いてくださっているんですけど、その吐息まで伝わってくるような、ハッピーなライヴでした。

困っちゃうぐらい火星人


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あなたはこうで、あなたはこう、って区別するの、ぜんぜんわかんないんですよね。音楽もいろんなものを混ぜるし、お料理も混ぜるし、友だちも混ぜるし。そんな感じの、困っちゃうぐらい火星人って感じ。

最近の音楽で気に入っているものはなにかありますか?

C:フローティング・ポインツ。ミックスマスター・モリスは日本に来るといつもかならずうちに来るんですけど、フローティング・ポインツは神経科学の博士号を持っているのにこんないい曲をつくってるんだよって教えてくれて。あと、サム・ゲンデル。彼が “Satin Doll” を使った曲があって、それは超キョイーンってきましたね。

アートワークについてもお伺いさせてください。デザイナーズ・リパブリックのイアン・アンダーソンが手がけていて、オリジナルがピンク、リミックス盤が淡いブルーないしグリーンのセットですが、なにかコンセプトがあったのですか?

C:イアンはエレクトロニカが好きなひとなので、ジャズ・アルバムのデザインやってくれるかな、断られるかなと思ってました。でもオッケーしてくれました。彼は、もしジャズの音源のデザインの依頼が来たら、ボビー・ハッチャーソンのジャケットみたいなアイディアでやりたい、っていうのをずっと考えていたみたいで。「その路線で進めてもいい?」って確認されて、でもミーはいつものようにボビー・ハッチャーソンのことはぜんぜん知らなかったから、「いいよ、好きなようにやって」と伝えて、こうなりました。

イアン・アンダーソンとはいつごろからお知り合いなんですか?

C:『Coppe' In A Pill』(2010年)っていうUSBメモリー・スティックのコンピレーションを出したときだから……いや、『20rpm』(2015年)のころだから、10年くらいかな。デザインも音も、「キョイーン」ってくるものだから、イアンのデザインは最初から「キョイーン」ってきて好きでしたね。あの、バットを持っている女の子のキャラ、「Sissy」が大好きです。『蜜』のときは「蜜」という漢字で遊んでみて、ってお願いしました。

ちなみに、こんにちでは電子音楽をやっている女性はたくさんいますが、コッペさんがエレクトロニック・ミュージックをされはじめたころは、少なくともいまよりはぜんぜん少なかったと思うんです、とくに日本では。そういうことを意識したことはありますか?

C:まるでない。自分がどういうところにいるのかとか、自分でまるでわかってないひとで。

猪股:男性よりもアタリが強かったりとか、あるいはその逆だったりとか、そういうことはなかったんでしょうか。

C:いい質問をくれました! いや、女性とか男性っていうのはいまいちわかんなくて。コッペ、火星人なもんで(笑)。あんまりそういうの意識してなくて、まわりはゲイばっかりだったし。あなたはこうで、あなたはこう、って区別するの、ぜんぜんわかんないんですよね。音楽もいろんなものを混ぜるし、お料理も混ぜるし、友だちも混ぜるし。そんな感じの、困っちゃうぐらい火星人って感じ。

TESTSET - ele-king

 身も心もテクノに侵された人間なら理解してもらえると思うのだが、打ち込み系のライヴにいくとがっかりしてしまうことが多い。いや、多かったと過去形にするべきか。初期のYMOのように生演奏にこだわると、ミュージシャンの技巧に依存して、最終的には人間的な揺れの多いリズムや、レコードにはないギターやキーボードの陶酔系ソロなんかを延々聞かされる羽目になる。逆に凝った作りのレコードの再現にこだわった場合は、演奏の主要な部分はテープ等にあらかじめ録っておいたものを流すだけで面白みに欠けたり、追加される手弾きや歌部分の残念さが目立ってしまったりする結果になった。
 機材がシンセやドラムマシンといったハードウェアからPCをメインに据えるようになって、この様相もだいぶ変わった。例えば2001年の『LOVEBEAT』発売後にときどきおこなわれるようになった砂原良徳のソロ・ライヴは、テクノ系ステージの理想的な有り様をひとつ提示してくれたと感じた。非常に緻密に組み上げられ、完成されたレコードの音を丁寧に再現しながらも、“その場で演奏される生の要素” も組み込んで、原曲と乖離しない範囲でアレンジも加え、家庭用オーディオでは望むべくもない音の迫力やクリアさも伴った贅沢なリスニング体験に仕上げていたからだ。さらに砂原自身もかなり制作にコミットした映像表現によって、引き算の美学で作られたサウンドに、別の側面から足し算を試みていた。タイポグラフィやモーション・グラフィックをモチーフにしたシンプルなものが多かったが、いわゆるVJ的なアブストラクトで昂揚感や陶酔感を演出するヴィジュアルとは異なるアプローチで、音楽体験の向上に寄与していた。
 しかし、砂原自身は電気グルーヴの時代からずっと、あまりライヴをやることに対して積極的ではなかった。それが、ここのところのインタヴューでは、どこでも「レコードよりも体験が重要」「ライヴが最終形だ」ということを言っている。METAFIVEという大所帯のスーパーバンドを経て、TESTSETという4ピースのコンパクトなバンドをやることになった後で、このような価値観や発想の転換が生まれ、バンドのポリシーになってきているのはとても興味深い(彼がソロ作の寡作さとは真逆のペースでエンジニアやプロデューサーという他人のレコードをより良くする仕事に邁進してきたこともあわせて考えると、余計に!)。


砂原良徳(キーボード)

 国内では2024年最後のパフォーマンスだという、10月20日のZepp ShinjukuでのTESTSETソロ・ライヴへ足を運んできた。昨年のデビュー・アルバム『1STST』発売時には基盤となったメンバーの砂原とLEO今井に話を聞いて、恵比寿LIQUIDROOMでのライヴも見に行ったが、今回のステージは自分にとってはそれ以来の久々の再会となる。歌舞伎町の新しいランドマーク、東急歌舞伎町タワーの奥底にある真新しく巨大なハコは、ステージ上だけでなく360度ぐるりとフロアを取り囲むLEDスクリーンが特徴で、ZERO TOKYOと名を変えおこなわれている深夜のクラブ・イヴェントにDJとして出演し、何度もその素晴らしさを味わった砂原の提案でチョイスされた会場だ。
 曼荼羅、もしくは万華鏡的なサイケなヴィジュアルを伴った新曲 “Interface” で幕を開けたステージは、以前とは違い、中心にメインのヴォーカルを担当するLEO今井とギターの永井聖一が陣取っている。横を向いて黙々とシンセ・ベースを手弾きする砂原と、タイトで小気味よいドラミングの白根賢一のリズム隊がその脇を固める格好だ。当初は、やはりゲストというかサポートというか、元々の文化部的な佇まいも手伝って隅の方で少し遠慮気味にギターを弾いている印象だった永井が、野性的に動き回る今井と時折向かいあって絡みを見せる。オレたちはポストMETAFIVEでも、砂原&LEOグループでも、すぐにやめる時限ユニットでもないぞ、というバンドのリボーンの宣言*であるように感じた。

*今井、永井をフロントに据えるフォーメーションは今回が初ではなく、7月19日のLIQUIDROOMの20周年記念ライヴから導入された。


永井聖一(ギター)

 札幌のしゃけ音楽祭、SONICMANIAやLIQUIDROOMワンマンでも、今年のステージでは少しずつ演奏されていた新曲だが、今回のライヴ直前に発表されたEP「EP2 TSTST」でその全貌が明かされた。メインとなるのは、初めてフルに日本語で歌われたリード曲 “Sing City” だ。LEO今井がメインを張ることで、これまであまり前面に出てこなかったタイプの、高橋幸宏のメロウでセンチメンタルな面が受け継がれたようなとても印象的な曲。振り返ると、TESTSETの持ちネタとして、METAFIVEのナンバーのうち当時からずっと継続してやっているのは、“Full Metallisch” や “The Paramedics” だ。これらには、インダストリアルだったりアグレッシヴだったりするテイストを持った、今井の色が強く感じられる。当初は、やっぱり違うバンドを名乗る意義だとか、再出発を強調する意味でもあまりユキヒロっぽさを出さないようにしているのかなとも思っていた。しかし、今井自身が「このバンドはMETAFIVEのスピンオフ」と言っているように、前身とまったく断絶しているわけでもなく、後から参加したメンバー2名に関しても高橋幸宏との関わりがあったところから誘われた部分もあるという。なにより、この曲が今井から「ちょっとTESTSET向きじゃないけど」と提示されたデモが元になっているというのが興味深い。今回はアンコールの1曲目に名残を惜しむように歌われた “Sing City”、今後きっとバンドの要所を締める代表曲に育っていくだろう。


白根賢一(ドラムス)

 過去3作からバランス良く曲が披露されていく中、特に今回は映像の高精細さや迫力とも相まって、バンドの内包する物語性やテーマ性が見えやすいライヴになったと感じた。以前今井に英語の歌詞について質問したら、やはり母国語は英語だからその方がやりやすいし、今後も日本語の曲を書くことはあまり考えられないと言っていたので、今回のアプローチはバンドの伝えたいことをより明確にするという意味で、非常に効果的だった。以前からMVやライヴ用映像のあった曲、例えば鳥の群像とアップを交互に見せつつ、最後に骸と雛という対極的なショットを入れる “Carrion” や、美しい自然の空撮からスタートして徐々に建築物や人の営みに推移していく “A Natural Life” といった曲の具象的描写が、いままでよりもハッとさせられるものに感じたし、砂原ソロ時代からの延長線上にあるようなグラフィカルな表現との相乗効果もあがっていた。
 また、初めて聞いた頃は、ちょっと毛色が違いすぎて浮いている?とも感じた永井のヴォーカル曲。今回のEPで “Yume No Ato” というレパートリーが増えたことで、確実にTESTSETの世界の一翼を担うところへ成長した。ライヴでのこの新曲はまだこれからという感じもあったが、かなり場数をこなしてきた “Stranger” では、時計/時間をモチーフにした映像との絡みや、音源より確実に進化したバックトラック、そしてコーラスで入る今井の声とのハモり具合の気持ちよさが渾然一体となって、今回のライヴのハイライトのひとつと言える、鳥肌ものの素晴らしさだった。


LEO今井(ヴォーカル)

 そして、最後に記しておきたい、中盤のラストのトリビュートについて。前述の永井コーナーに移る前に突如演奏されたユキヒロさんのカヴァー曲、“Glass” がとても良かった。実は昨年の恵比寿ガーデンホールでもやったのだが、見逃していて、もう二度とやることはないかもしれないと悔やんでいたので感激もひとしおだ。そもそも、2014年に高橋幸宏&METAFIVEとして、往年のユキヒロ関係の曲を当時のテクノポップの流儀で再現した「テクノリサイタル」がこのバンドの一番はじめの出発点。でも、そのときですらやってなかったちょっと捻りの入った名曲 “Glass” がほぼ完コピでまた聴けるとは。82年の「What Me Worry Tour」でのスティーヴ・ジャンセンのドラムや土屋昌巳のギター、そしてユキヒロさんの歌が憑依したような恐ろしいほど気合の入ったトラック、ドラミング、歌&コーラス。さらには、歌詞の世界をうまく捉えた雨の水滴や割れるガラスの映像……。このバンドのファンはよく曲を知っていて、人気曲が演奏されるとイントロの少しのフレーズだけでわっと歓声が上がるのが嬉しい。METAFIVEからのファンも多いと言っても、さすがに81年リリースの曲をリアルタイムで愛聴していたひとはそんなにいなそうだが、この日一番くらいの反応があって、ロートルは涙しそうになった。

 MCで今井が紹介していたが、年内残ったライヴの予定は中国のフェスへの出演だという。METAFIVEからの遺産や、高橋幸宏のメモリーという背景情報の一切ないところで積む4人のライヴ経験が、今後どのようなかたちでバンドをドライヴしていくのか、とても楽しみだ。

Fennesz - ele-king

 今年5月に新曲 “Sognato di Domani” を発表し、ニュー・アルバム『Mosaic』の予告をしていたオーストリアのギタリスト、フェネス。前作『Agora』以来5年半ぶりとなるその新作がついにリリースされることになった(件の “Sognato di Domani” は未収録)。どうやらこれまででもっとも内省的な作品に仕上がっている模様。CD盤は12月4日に日本先行発売、日本独自リリースとなるLPは来年2月19日の発売を予定している。ちなみに、今回プレスショットを撮影しているのはアルヴァ・ノトことカールステン・ニコライです。

ギターとコンピューターで無二のエレクトロニック・サウンドを創出するフェネスことクリスチャン・フェネス、約5年半ぶりのニュー・アルバム。おそろしいほど精緻に構築された音像が途方もなく美しい無比の傑作。LPは日本独自リリース

これはフェネスのこれまででもっとも内省的なアルバムである。2023年末に作曲・録音され、2024年夏に完成した。フェネスはこの4年間で3つ目となる新しいスタジオ・スペースを開設した。さしあたっての構想はなく、今回は厳格な作業ルーティーンでゼロからスタートした。朝早く起きて正午まで作業をし、ひと休みしてまた夕方まで仕事をした。最初はアイデアを集め、実験し、即興で演奏するだけ。その後、作曲、ミキシング、修正。しかし、タイトルは早くから決まっていた。『モザイク』だ。それは、要素をひとつずつ配置して全体像を構築するという、ピクセルが一瞬でそれを行うようになる以前の、旧式の画像作成技術を反映したものだった。

『モザイク』は、その名前が示す通り、繊細かつ複雑なアルバムで、音の断片をつなぎ合わせて広大で没入感のあるものにしている。まるで忘れられた記憶を復元するかのように、あるいは、音のモニュメントを構築するかのように、フェネスは細心の注意を払い、ほとんど瞑想のようなプロセスでこの作品を一層一層、組み立てた。

『モザイク』は、多様な影響と、リスナーによって探求される複数の可能性を備えた、映画的で非常に魅力的で美しいスコアである。

『モザイク』でフェネスは、彼が単なるミュージシャンではなく、音の建築家であることをふたたび証明した。たとえ一瞬であっても、エーテルに溶け込む前に、われわれが生息するための世界を作り上げている。科学と夢が出会い、精密さと詩が出会い、音そのものがわれわれを再発見へと誘う古代の言語となるアルバムだ。まさに珠玉だ!

https://www.fennesz.com

《リリース情報》
ARTIST: FENNESZ
アーティスト:フェネス
Title: Mosaic
タイトル:モザイク
【CD】
商品番号:PCD-25436
価格:定価:¥2,750(税抜¥¥2,500)
発売日:2024年12月4日(水)
解説付
日本盤のみのボーナス・トラック1曲収録
日本先行発売
【LP】
商品番号:PLP-7516
価格:定価:¥4,500(税抜¥4,091)
発売日:2025年2月19日(水)
日本独自企画
初回生産限定盤

収録曲
1. Heliconia
2. Love and the Framed Insects
3. Personare
4. A Man Outside
5. Patterning Heart
6. Goniorizon
7. Reversio*
*Bonus Track for CD Only

Rai Tateishi - ele-king

 先月のスティル・ハウス・プランツとのツーマン公演でも強力なアンアンブルを響かせていたgoat。日野浩志郎率いるこのバンドのメンバーであり、太鼓集団「鼓童」に属していたこともある篠笛奏者の立石雷が、初めてのアルバムを発表する。篠笛以外にも尺八、ケーン、アイリッシュ・フルートなどが用いられているそうだ。リリース元は日野のレーベル〈NAKID〉で、日野はプロデュースも担当している。
 また発売記念ツアーも決定。11月に四国~中国~関西~北海道~九州の計11か所をめぐる。注目しましょう。

goatのメンバーとして活動する笛奏者の立石雷のデビューアルバム「Presence」の発売が決定。そのアルバムを記念した国内11公演のリリースツアーを開催する。
アルバムはgoat/YPYとして活動する音楽家 日野浩志郎によるプロデュースとなり、日野のレーベル「NAKID」から発売される。

<Tour schedule>
11/5 岡山(ソロ) w/THE NOUP
11/9 高松ルクス(ソロ)
11/10 広島福山NOQUOI (ソロ)
11/11 広島ONDO(ソロ)
11/18 京都UrBANGUILD(デュオ) w/Phew, Bing+YPY
11/19 大阪CONPASS(デュオ) w/Phew, YPY
11/20 神戸BAPPLE(デュオ)
11/23 当別 大成寺(ソロ)
11/24 札幌PROVO(デュオ)
11/28 福岡九州大学(デュオ)
11/29 熊本tsukimi(デュオ)

※上記日程のデュオと記載の公演は日野もライブに参加しエフェクト処理を行う。ツアーに合わせてCD先行発売し、遅れてLPも発売予定。

元鼓童、日野浩志郎率いるgoatの現メンバーとしても活躍する篠笛奏者・立石雷による初ソロ・アルバムが完成!

太鼓芸能集団「鼓童」の元メンバーであり、現在は多⺠族芸能集団「WATARA」やパフォーマンス集団「ANTIBODIES Collective」、リズム・アンサンブル「goat」などのメンバーとして活動するほか、関西を拠点にジャンルを跨いだ即興セッションも精力的にこなす篠笛奏者・立石雷による初のソロ・アルバム『Presence』が完成した。リリース元は日野浩志郎が2020年に設立したレーベル〈NAKID〉。録音/編集/ミックス/プロデュースは日野が務め、マスタリングは名匠ラシャド・ベッカーが手掛けた。

今作では、メイン楽器である篠笛のほか、我流で奏法を開拓したという尺八、ケーン、アイリッシュ・フルートなど複数の管楽器も使用し、全編インプロヴィゼーションによる演奏を収録。多重録音や加工/編集は基本的には施しておらず、使用したエフェクターはかけっ放しのリングモジュレーターとディレイのみ、スタジオでの演奏が一発録りでそのまま収められている。(細田成嗣によるインタビューを兼ねたレビュー記事より)


“Presence” カバーアート(写真家:Yuichiro Noda)

<アルバム情報>
Rai Tateishi - Presence

A1. Presence Ⅰ
A2. Presence Ⅱ
A3. Presence Ⅲ

B1. Presence Ⅳ
B2. Presence Ⅴ
B3. Presence Ⅵ

NKD10
Produced, Recorded, Mixed by Koshiro Hino
Mastered and Lacquer Cut by Rashad Becker
Artwork by Yuichiro Noda
Art direction by Yusuke Nakano
Designed by Junpei Inoue

立石雷 RAI TATEISHI(篠笛,打楽器奏者)
日本伝統楽器篠笛奏者。
太鼓芸能集団「鼓童」に入団。
篠笛を山口幹文氏に師事。
歌舞伎役者人間国宝坂東玉三郎、市川團十郎、片岡愛之助、振付家ダンサーSidi Larbi Cherkaouiらと共演。
これまでに世界30か国、1000回を越える公演に参加。
チベット・韓国・日本人音楽家からなる多民族伝統音楽団「WATARA」青森県八太郎えんぶり組と民族芸能をテーマにした活動と、前衛的な表現を行うリズムアンサンブル「goat」パフォーマンス集団「ANTIBODIES Collective」にも参加する。


NAKID
goat/YPYとして活動する音楽家 日野浩志郎による音楽レーベル。世界的な電子音楽家であるMark FellやKeith Fullerton Whitoman、Tobias Freund & Max LoderbauerのデュオNSI.などのリリースの他、日野によるプロジェクトであるgoatやKAKUHANの作品をリリース。それらのリリースはUKの流通会社兼オンラインレコードショップであるBoomkatでは軒並み年間ベストに挙げられてきた。不定期でNAKID showcaseとしてイベントを行っており、これまでMark Fell & Rian Treanor、Bendik Giske、Valentina Magaletti等を招聘した。

SNS
Rai Tateishi(Instagram)
Koshiro Hino(Instagram)
Koshiro Hino(X)

Marcellus Pittman - ele-king

 ムーディマンセオ・パリッシュリック・ウィルハイトから成る3チェアーズ、その第4のメンバーとしても知られるマーセラス・ピットマンの来日がアナウンスされている。11月1日(金)@大阪NOON、11月2日(土)@名古屋CLUB MAGO、11月8日(金)@東京VENTの3か所をツアー。次はいつ体験できるかわからない、デトロイト・ハウスの至宝によるDJセット──なにごとも速すぎる現代、ビートダウンしてダンスを楽しみたい。

Marcellus Pittman Japan Tour 2024


◆11/1 (Fri) 大阪 @NOON

DJ: Marcellus Pittman, MITSUKI (Mole Music), YOSHIMI (HIGH TIDE)
PA: Kabamix

Open 22:00

Advance Ticket 3,000yen + 1 Drink
U-23 3,000yen + 1 Drink
Door 4,000yen + 1 Drink

Info: NOON + CAFE http://noon-cafe.com
大阪市北区中崎西3-3-8 TEL 06-6373-4919
AHB Production http://ahbproduction.com


◆11/2 (Sat) 名古屋 @CLUB MAGO

DJ: Marcellus Pittman, TAIHEI, CAN TEE, SBT

Open/Start 22:00

Advance Ticket 3,000yen + 1 Drink
Ticket Information
https://club-mago.zaiko.io/item/366967

Door 4,000yen + 1Drink

Info: Club Mago http://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F TEL 052-243-1818


◆11/8 (Fri) 東京 @VENT

=ROOM1=
Marcelus Pittman
Midori Aoyama
SUZU

Open 23:00

Door ¥4000
Advance Ticket 2,500yen (priority entry) https://t.livepocket.jp/e/vent_20241108
※The purchase of ADV will be available until 23:59 on the day before the event.
※前売券の販売はイベント開催の前日23:59までです。
Before 24:00 2,000yen
SNS DISCOUNT: 3,000yen

Info: VENT http://vent-tokyo.net
東京都港区南青山3-18-19 フェスタ表参道ビルB1 TEL 03-6804-6652

[プロフィール]

Marcellus Pittman | Boiler Room x Beacon Festival

Marcellus Pittman (Unirhythm, 3Chairs / from Detroit)

マーセラス・ピットマンは、デトロイトに生まれ育ち、自身のレーベルUnirhythmを主宰する。
10代初めにはローカルのラジオステーションWJZZの熱心なリスナーになり多くを学び、Larry “Doc” Elliott や “the Rose” Rosetta Hinesの番組を聞いていたという。
ディスコがフェイドアウトし、よりプログレッシブな音楽が出始めた頃(当時デトロイトではハウスやテクノ、またそのプロトタイプ的なものは”Progressive"と呼ばれていた)、The Wizardと名乗っていたJeff MillsやElectrifying Mojoがラジオ電波上で新しいアーティストをプッシュし続け、世界中からの音楽をリスナーに提供していた。ヒップホップ、エレクトロ、テクノ、ハウス、ディスコをミックスするそのフリーなスタイルに大きく影響されたという。
Home Grownというヒップホップグループでトラックメイカーとして活動していたが、Theo Parrishに出会い、『Essential Selections』Vol.1、Vol.2をSound Signatureからリリース。Rick Wilhite、Kenny Dixon Jr. aka Moodymann、Theo Parrishで構成されていた3Chairsに、4番目のメンバーとしてDJツアーやプロダクションに参加している。また、Theo、Omar-S、Marcellusのプロジェクト、T.O.M Projectにも参加し、Omar Sのレーベル、FXHEからはM.Pittmanとして『M.Pittman EP』と『#2』をリリースしている。
デトロイトの新興レーベル/ディストリビューター、FITからリリースされた12”レコード、M.PITTMAN『Erase The Pain』は、某大御所DJ達の間でカルト的賞賛を得た。Hungry Ghost (International Feel), Ackin’ (Internasjonal), Madteo, Nina Kraviz, Erika (Interdimensional Transmissions), Motor City Drum Ensemble, Funkadelicらにリミックスを提供している。

IG https://www.instagram.com/marcelluspittman
RA https://jp.residentadvisor.net/dj/marcelluspittman

アフタートーク - ele-king

水谷:昔はダーティーな感じって、今よりもっとカッコ良かったですよ。ぶっきらぼうで悪そうなんだけれど、真っ直ぐで不器用っていう人が「かっこいい男」の象徴だった気がします。

山崎:確かにそうですね。若者の憧れの姿としてそういう人の方が味わい深くてかっこいい時代って確かにありました。・・・というかまた今回も「昔は」から入りましたね。この連載のお決まりになってきましたよ。

水谷:僕らもやっぱり毎晩のようにお酒が入ると「昔は」になるじゃないですか? ザ・老害ですが、老化の始まりの50’sとかってそんな年齢なんでしょうかね?

山崎:自分が若い頃は、「昔は良かった」って言う、おっさんに嫌気が差していましたが、いざおっさんになるとこれは避けて通れないですね。昔話って楽しいですから。で、話を戻すとこれは完全に時代が変わったことへの妬みですが(笑)、今はダーティーな人よりも小洒落ている人の方が優っている気がします。身なりも生き方も少しダーティーな方がカッコよく感じたのは00年代くらいまでかもしれません。今はすぐに悪い意味で『ヤバイ奴』っていうレッテルを貼られてしまいますからね。

水谷:昔はそのヤバさがカッコよかったと思います。そんな世の中だからか?最近、コアなソウルのレコードが他と比べてとても売りづらいんですよ。ブルースもしかりで。もう時代についていけないですよ。心地の良い爽やかでクリーンなものしか世の中の人たちは求めていないのでしょうか。

山崎:でもいま人気の日本のヒップホップの人たちはめちゃくちゃダーティーじゃないですか?

水谷:ダーティーというかサグというか?そっちはびっくりするくらいの不良っぷりをアピールしていて(笑)。この感じは昔とはずいぶん違います。うまく言えませんが両軸を持った絶妙な味わい深いものがあまりウケない。例えば厳つい輩の作品の中にインテリジェンスを感じたり、時にはそんな漢が女々しく歌ったり、ヒップホップなんかもあれは黒人特有のセンスで、素でやっていたと思いますが、そんなゴリラみたいな男が、繊細で気の利いたサンプリングをしたり。そんなのがよかったのですが・・僕は造詣があまりないですがパンクとかもそうでしょ?その衝動と時に見せる計算高いセンスの良さに“上がる”というか。あんまりそういう感覚って今の若者は無いんですかね?最近のJ-POP的なのは大丈夫なんでしょうか。そのような観点で音楽を聴いてきた僕のようなジジィにはとても受け入れ難いのですが。

山崎:なんだか血の通っている生々しさや人間らしさを避けている傾向もありますね。アートでもアニメでもアイドルでも綺麗でわかりやすい偶像をみんな求めていて、リアルなものから目を背けている気がします。たとえば白土三平とか寺山修司のようなものは今、流行らないかもしれません。

水谷:そういうのを『サブカルチャー』って言っていましたが、そんな言葉も今はあまり使われませんね。なんでこういう話をしたかと言うと、Groove-Diggersのコンピレーションの選曲をする中で今の時代を意識する必要があったんです。

山崎:今回のコンピレーション、『Groove-Diggers presents - "Rare Groove" Goes Around : Lesson 1』とても良かったですね。飽きずに最後まで聴ける流れと選曲で、ハズレ曲というか、無駄な曲がなかったです。

水谷:僕にとってその『ハズレ曲』や『無駄な曲』って、存在意義としてとても重要なんですよ。そういう曲で周りを固めるとキラー曲が、より栄えますので。ただ、全部が最高のタイパ、プレイリストの時代にそぐわない気がしましたので、あえて入れませんでした。リック・メイソンとかも候補にはあったんですけど(笑)。

RICK MASON AND RARE FEELINGS / Dream Of Love

山崎:リック・メイソンの「Dream Of Love」はヘタウマ系の最高峰ですね(笑)。とてもいい曲です。収録アルバムのオリジナル盤も人気で10万超えの高額盤ですが、一部のコアなファンにしかウケないんですよね。
前談が長くなりましたが、今回のコラムは『Groove-Diggers presents - "Rare Groove" Goes Around : Lesson 1』についてです。

水谷:今回、僭越ながら選曲をさせていただきました。そしてこんな選曲なので、 ジャケットは僕らのMOMOYAMA RADIOスタジオからの風景を山崎さんが撮影してくれて、すなわち、僕らVINYL GOES AROUNDメムバーによる合作となりました。

山崎:自画自賛ですがいい写真ですよね。でも僕の腕ではなくてテクノロジーの進化のおかげです。
さて、選曲はこれまでGroove-Diggersでリリースしたアルバムからのピックアップですが、特に思い入れのある曲はなんですか?

水谷:音楽的じゃない話しになってしまうのですが、マシュー・ラーキン・カッセルをリリースしたときの話なんですけれど、原盤の所有者にたどり着くのがすごく大変でした。本当に全然見つからなくて。いろいろな方法と角度から辿っていったのですが、そしたらアメリカのローカルのラジオ局にマシュー本人が出演したという情報を得ることができたんです。それでそのラジオ局に連絡したら局員の方がマシューに繋いでくれたんですよ。

山崎:2008年の話ですよね。その頃、レアグルーヴ界隈でもマシュー・ラーキン・カッセルの再評価なんて誰もしていない時代でしたよ。今ではオリジナル盤は高すぎてすごいことになっていますが。

MATTHEW LARKIN CASSELL - Fly Away

水谷:連絡したら「なんで日本人のお前が俺のレコードなんて知っているんだ?」ってびっくりしていました。当時は大して売れもしなかったレコードが数十年以上経てマニアに人気が出ているなんてことを本人は知らないんですよ。だから連絡すると驚く人は多いです。継続してミュージシャンをやっている人なんてほとんどいませんから。マシューは学校の先生をやっていました。リリースのオファーを快く受け入れてくれてとても歓迎されましたよ。

山崎:本人は当時、想いを込めて作った作品でしょうから「よくぞ見つけてくれた」っていう喜びは大きいでしょうね。こういうところもレコード・ディギングの素晴らしいところかもしれません。

水谷:あとはやっぱりイハラ・カンタロウの「つむぐように(Twiny)」ですね。70年代〜80年代に制作された楽曲とは40年以上の時間差がある中、それらの曲に影響されて同じマナーで音楽制作をしている彼へのリスペクトもあって、この選曲の中に入れたかったんです。なので一番人気のウェルドン・アーヴィンのカバー曲「I Love You」ではなくて彼のオリジナル楽曲を収録しました。

CANTARO IHARA – つむぐように(Twiny)

山崎:これはイハラくんにとって、すごく良いことですね。

水谷:彼もAORとかライトメロウな曲に詳しいので「こんな素晴らしい楽曲たちの中に自分の曲を並べていただいて嬉しいです」と言っていました。はじめからイハラくんでコンピレーションを締めくくることを考えていたので最後の曲にしたのですが、「つむぐように(Twiny)」の美しい旋律は、今回の「締め」に相応しかったと思っています。

山崎:このコンピレーションをどういう人に届けたいと思っていますか?

水谷:入門編として聴き心地の良い曲を並べたとても聴きやすいアルバムなので、若い人たちにとって、古き良き時代の音楽“にも”触れるきっかけになればいいと思っています。
この世界(レアグルーヴなど)ってレコードが高額なイメージが強いので、自省も込めて言いますと、オリジナル盤にこだわるマニアたちが敷居を高くしてしまっていると思うんです。すると若い人たちは入りづらい。レアだからすごいってことではないが、もちろんプレス数による現存云々はありますが、基本内容の良くないモノは高くはなりませんので、こういうコンピレーションで、レア・エクスペンシヴ盤の世界への間口を広げることができれば良いです。

山崎:本作には通して聴くからこそ良く聴こえてくる化学変化みたいなものがあると思います。そこがこのアルバムの良さですね。いままでこれらの曲に出会わなかった人たちが出会える盤になるといいですね。

水谷:今はレコードブームの中で、レコードをBGMとしてかけるカフェやバーも多いので、そういうところでかけてもらえたら嬉しいです。店内で流しても誰も傷つかない選曲をしていますので。昔はカフェとかでよくかかっていた、『ホテル〇〇』とか、そういうお洒落系CDコンピレーションがたくさんあって、個人的には好きではなかったけれど、でも今、そういうのは全然ないじゃないですか。当時はそのようなコンピレーションはすごく意味があって、一般的に聴かれるはずのない曲たちが日の目を見ることにもつながっていました。そういえば最近の僕らの流行の新語SJ(以前の『情熱が人の心を動かす』の回、参照)の話しを友達にしたら、クラブでプレイしないDJをDJ-Bar DJって云うらしいですよ。

山崎:それはもう体力の低下でクラブのテンションにはついていけてない僕のことですね(笑)

水谷:あとは、ここに収録の曲はいわゆるAORベストみたいなチャートには入らない曲ですが、そういう大物ミュージシャンがやっている王道系もいいんですけど、こういうオルタナティヴな側面を一般的なAORファンにも是非聴いてほしいです。

山崎:レアグルーヴなんてローカルな低予算レコーディングの自主制作に近い盤ばかりですから、世の中の音楽シーン全体で考えたらB級作品なんですけど、でもB級作品の美学ってありますからね。

水谷:それこそ『サブカルチャー』ですよ。昔は『サブカルチャー』を掘っていくと、誰も知らないところで自分だけが知っているみたいな嬉しさがありました。でも今はネットでほとんどの情報がすぐに手に入るから、見え方として『サブカルチャー』というカテゴライズが必要無いのかもしれません。でもマスメディアやネットに流されないで自分が何を取捨選択するかをちゃんと考えて、自分の趣向に合いそうならこういう世界も覗いてほしいと思います。

山崎:僕らはひねくれ者なのかもしれませんが、若かりし頃は「王道ソウルはあいつ聴いているし、俺はいいや」って思って深掘りしていましたね。

水谷:ヒップホップにおけるサンプリングの表現も一緒ですよ。だれも知らないものをディグる精神は重要だと思います。

山崎:新しいカルチャーもこういうところから生まれますしね。

水谷:だからってこのコンピレーションを買って欲しいと言っているわけではなくて、どこかで聴いて、シャザムしてスポティファイで聴いてもらってもいいです。おかげさまで、レコードはまもなくPヴァインのメーカー在庫も売り切れますが、本連載冒頭にもリンクがありますのでYouTubeのMOMOYAMA RADIOで聴いてみてください。全編通してアップしていますので。気に入った曲があったらそこからその曲が収録されているアルバムまで辿ってもらえると嬉しいですね。
他にもいい曲あったりしますし、文化ってこういうことで次世代に継承されていくと思いますので。

山崎:そんな次世代の仲間募集中!ご連絡は履歴書や自己紹介文を添えてこちらまで。
vinylgoesaround@p-vine.jp


Groove-Diggers presents
"Rare Groove" Goes Around : Lesson 1

A1. ERIK TAGG - Got To Be Lovin You
A2. LUI - Oh, Oh (I Think I'm Fallin' In Love)
A3. CHOCOLATECLAY - The Cream Is Rising To The Top
A4. TED COLEMAN BAND - If We Took The Time (Where Do We Go From Here)
A5. BABADU! - All I've Got To Give
A6. DANNY DEE - My Girl Friday
B1. POSITIVE FORCE - Everything You Do
B2. JIM SCHMIDT - Love Has Taken It All Away
B3. MATTHEW LARKIN CASSELL - Fly Away
B4. MOONPIE - Sunshine Of My Life
B5. CANTARO IHARA – つむぐように(Twiny)

Belong - ele-king

 脈打つように規則的に刻まれるシンプルなリズム/ビート。その規則性から逸脱するように刻まれるノイズ。マイケル・ジョーンズとターク・ディートリックによるUSはニューオリンズ出身のビロング、その13年ぶりの新作アルバム『Realistic IX』は、00年代に華開いたネオ・シューゲイザーの極限、いや極北とでもいうべきか。じつにソリッドなサウンドを全編に渡って展開しているのだ。かといって大袈裟な作風ではない。サウンドはソリッドにしてシンプル。そこがたまらないのだ。リリースは〈Kranky〉。マスタリングはステファン・マシューが手がけている。

 ビロングはこれまでアルバムを二作リリースしている。まず2006年に〈Carpark〉からリリースした『October Language』。同アルバムは2018年に元エメラルズのジョン・エリオットが主宰する〈Spectrum Spools〉からリイシューされた。セカンド・アルバムは、2011年に〈Kranky〉からリリースされた『Common Era』。
 この二作はシューゲイザーのサウンドをアンビエント/ドローン化したような仕上がりで、アンビエント/ドローン・マニアやシューゲイズ・マニアから高く評価された。ちなみにメンバーのターク・ディートリックはインダストリアル・ユニットのセカンド・ウーマンのメンバーでもあり、2016年に『Second Woman』、2019年に『S/W』を〈Spectrum Spools〉からリリースしている(この二作のアートワークをマイケル・ジョーンズが手掛けている)。

 新作『Realistic IX』では、前二作において全面的に展開されていたアンビエント/ドローン的な要素は控えめであり、対してソリッドなリズム/ビートが導入されている。そうすることによって何をあぶり出しているかといえば、シューゲイザーがロックであること、そしてパンク、ポスト・パンクの継承であることを全面化させているように思える。いわば、シューゲイズとポスト・パンクの「交錯点」がここにあるのだ。
 この新作でマイケル・ジョーンズとターク・ディートリックのふたりが実現したかったことは、(おそらくだが)シューゲイザーのもうひとつの側面である「ロック」を全面化することだったのではないか。00年代以降、エレクトロニカ/アンビエントの系譜として再評価されることが多かったシューゲイザーから「ロックとしてのシューゲイズ」を再獲得すること。簡単にいえば、ざっくりとしたギターのノイズとリズムによって生まれる中毒性の再獲得とでもいうべきか。
 とはいえ13年ぶりのアルバムで、しかも〈Kranky〉からのリリースである。聴き手も前二作と同様のシューゲイザー風味のアンビエントを期待するはず。そこでソリッドなポスト・パンク/オルタナティヴ風味の音を鳴らすというのはなかなか挑戦的な試みだ。たとえるなら「シューゲイザー・パンク」とでもいうべきか。私は彼らの果敢な挑戦を断固支持したい。
 とはいえ音を聴き込んでいくと、ミニマムなリズムのむこうにマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン『Loveless』直系の甘美なノイズやコーラス(声)が鳴っていることにも気が付くはず。いわばアンビエント/アンビエンスのエレメントは消失したわけではなく、全面化していないだけであり、サウンドの色彩のように、アンビエンスは鳴り響いているのだ。いっけんラフなロック・サウンドでありながらも、じつに繊細な音響も構築されているのである。

 ビートとシューゲイズ・ノイズで始まる1曲目 “Realistic (I'm Still Waiting)” でアルバムのトーンが明確に提示される。ギター・ノイズと霧のような声と性急なリズムの交錯は、彼らがマイブラの後継者であることを示しもする。切り刻むような鋭いギターリフもリズムからわかるようにロック・サイドのマイブラの後継というわけだ。いわばアンビエント/ドローンではないビロングのはじまりというわけである。2曲目 “Difficult Boy” も同様の曲だ。
 3曲目 “Crucial Years” では彼らのアンビエント・サイドを聴かせる。破壊された音響のアンビエント化とでもいうべきサウンドである。4曲目 “Souvenir” ではリズムが復活し、軽快にビートを刻む。一方ノイズは控えめになり、全体に軽やかな印象のシューゲイザーを展開する。
 5曲目 “Image of Love” ではインダストリアル・ミーツ・シューゲイザーのようなサウンドを展開する。続く6曲目 “Bleach” はブラックゲイズ的な硬質かつ激しいノイズと簡素なリズムが折り重なり、これも新機軸といってもいいサウンドである。
 7曲目 “Jealousy” はシューゲイザーらしいギターの刻みと声のレイヤーが新時代のシューゲイザーとでもいうべき音を作り上げている。そしてアルバム最終曲にして8曲目 “AM / PM” ではアンビエント・ノイズを展開する。カチカチと小さな音で刻まれるハットのような音がリズムを奏でてはいるが、サウンド全体はアルバム中もっともアンビエント/ドローンを思わせるものである。それもかつてのような薄暗いアンビエンスではく、まるで光の中に吸い込まれていくような、どこか煌びやかなアンビエントなのだ。

 全8曲、計37分。比較的コンパクトなアルバムである。一気に聴き通せることができる尺でもある。アルバム一枚を通してリズムとノイズを一気に堪能できるように考えられた構成ではないかと思う。
 何より重要なのは「過去」を反復していない点だ。彼らはかつてシューゲイズなアンビエント/ドローンの名作を作り上げたわけだが、しかし本作では同じことを繰り返していない。シューゲイザーというフォームに敬意を表し探求しつつも、ネクストを目指し、新たな音楽と音響を探求しているのである。シューゲイザー・リスナー、アンビエント・リスナーの両方に加えて、(
シューゲイザー以外の)ロックのリスナーですらも納得させるにアルバムといえよう。

Senyawa - ele-king

 サウンドは物語を創造し、物語はサウンドを創造する。物語は本質的に音響的だ。進化の始まりにおいて、テクノロジーを持たない人類は、土の影響から直接、地球上でもっとも壮大ないくつもの物語を創造した。インターネット・ミームや陰謀論、拒食症やビタミンD不足を秘めたK-POPスターへの依存に縛られ、ほとんどの人間が太陽や月を見つめることを拒否しているいま、自然界と人間との間の溝は広がり、信念に基づく音楽でのストーリーテリングは脇役に追いやられている。
 インドネシアのデュオ、Senyawaが、2010年に最初の作品をリリースしてから、東京で何度か見かけたことがある。すでにインドネシアでは高い評価を得ていた彼らの音楽は、次なるものを求める日本人DJや音楽愛好家にも大いに受け入れられていたが、ヴォーカルのRully Shabaraと自家製楽器を操るWukir Suryadiという、あまりにもベーシックなデュオの背後にあるパワーをどう解釈すればいいのか完全に理解していたわけではなかった。私が最後にSenyawaのライヴを見たのは、代官山ユニットでのニューイヤーズ・カウントダウン・ライヴだった。ヴォーカリストと楽器奏者だけが中央に立つ広いステージは、ステージがそのエネルギーを処理しきれなくなるほど催眠術のようなパルスに完全に包まれていた。彼らの磁力だ。彼らの特異なライヴ・パフォーマンスは、静かな方に傾きがちな初期のレコーディングと対照的に、ヘヴィなのだ。しかし、それは大きく変わりはじめている。
 大きな話題となった『Alkisah 』(2021年)以来の最新作『Vajranala 』(2024年)は、彼らの集合的なサウンドが、運動性のあるフォーク・ソングから、より多人数のオーケストラへと拡大し、大きな進化を遂げている。
 ある物語がサウンドにインスピレーションを与えることもあれば、その逆もある。Senyawaの場合、どちらが先かはわからない。というのも、彼らがそれぞれのプロジェクトに取り入れる哲学的、神話的なテーマは、最終的に彼らが選ぶ音楽へのアプローチと密接に結びついているからだ。『Vajranala』では 、権力、権力の知識、知識の力という選ばれたテーマが、SlayerやSunn O))) と同じように、部屋を満たすようなよりドラスティックな音のアプローチを要求していることは間違いない。Senyawaの最近のリリースはどれも、ヘヴィ・メタルの新しいヴァージョンのように感じられ、ハードなクラッシュダウン・ビートのパワーとハーモニーと不協和音の海は、紛れもなく美しい。『Vajranala』という タイトルが、「vajra」を「thunderbolt」、「anala」を「flame」と訳しているのは間違いではない。このLPを聴いても、インドネシア語で歌われていることを(言葉の重要性にもかかわらず)口頭では理解できないファンが大半だろうが、間接的に理解できるほど、音楽にはアイデアが十分に込められている。そのようなスピリチュアルなチャージが、彼らから引き出されるのだ。

 これまでの録音とは異なり、『Vajranala』は 語られることなくともコンセプト・レコーディングのように感じられる。しかし、このアルバムにコンセプト・アルバムというレッテルを貼るのは恐れ多い。ときには人びとが、深い音楽の録音と同じことを目的とした書籍の価値を分けて考えていることに唖然とする。400ページの大著と同じように、私はこのようなアルバムにも敬意を払うような表現ができればいいと思う。

 『Vajranala』は 救世主的だ。彼らのライナーノートに記されているように、ここにはインドネシア、ジャワ島中部のブロジョルダン寺院(パウォン寺院)を取り巻く神話への熱烈な情熱と献身的な働きかけがある。神話を表現方法として取り入れることは、いまの時代ではユニークなことと言えるが、Senyawaはさらに進んで、インドネシアにヴァジュラナラ・モニュメント(『Vajranala』のジャケットをチェック)を建設した。火を放ち、高さ3.5メートル、幅2.8メートルもあると言われているが、信仰の信憑性を重視するそれを私には冗談だとは思えない。サン・ラーやラメルジーが自分たちの音楽を信じ、自分たちの作品が自分たちの生活のなかに重要な意味を与えていたということを思い出す。

 Senyawaは信念を貫いて生きている。彼らの音楽は真空のなかに存在するのではなく、彼らの環境、地域の歴史、個人的な歴史、そして強烈なイマジネーションから、彼ら自身とその周囲から紡ぎ出されたアイデアと物語から生まれる。すべてのサウンドとヴォーカルには、それらが由来し、引用された本の1ページがあるように感じる。この作品はから、レコード店とも図書館とも繋がりを見つけることができる。
 活気のある埃っぽいレコード店でこのレコードを発見し、壁沿いにあるレコードプレーヤーでほんの少し聴き、窓拭きで得た小遣いで即座に購入し、レコードをリュックに放り込み、夏の昼下がり、両親が仕事に行っているあいだに急いで家に帰り、家族のレコードプレーヤーにこのレコードをかける。10代の若き日の自分がSenyawaの生み出すダイナミクスの大きさに惚れ込んだとしたら、いったいどんな反応をしただろうか。それを思うと私は胸が痛む。これは過去にも、レコードやCDで何度も経験したことだが、こんにちの哀れな音楽クリエイターの経済では、私のこの文章それ自体が神話のようなもの。いまの時代、この神話のような存在を体験する子供はいないだろう。だとしたらとても残念なことだ。Senyawaは新しい世代にとって、このような象徴的な地位に値する。
 そのような磁力を、彼らは引き出しているのだ。


Some sounds create stories and some stories create sounds. Some stories are inherently sonorific. In the beginning of evolution, humans without technology created the greatest stories on earth based directly from earthen influence. Now as most humans refuse to stare into the sun or the moon bound by addiction to internet memes, conspiracy theories and kpop stars secretly anorexia and deficient in vitamin D, the chasm between the natural world and human beings widens and storytelling in music based on belief is relegated to a side note status.

I`ve seen the Indonesian duo Senyawa a few times in Tokyo ever since they released their first music in 2010. Already well regarded in Indonesia, their music was greatly embraced by local Japanese djs and music aficionados looking for the next thing and not knowing fully what to make of the power behind a duo so basic in their set up, Rully Shabara on vocals and Wukir Suryadi on homemade instruments . The last time I saw Senyawa live was at Daikanyama Unit for a New Years Countdown concert. The massive stage where only a vocalist and a instrumentalist stood center became so fully enveloped by hypnotic pulses to the point the stage couldn`t handle the energy they created. Such is the magnetic charge they elicit. In comparision, their singular distinctive live performances are heavy when contrasted to several of their early recordings which tended to lean on the quiet side. That though is starting to change greatly.

Vajranala (2024) , their newest release since the highly publicized Alkisah (2021) is a large evolution as their collective sound has expanded from kinetic folk songs to now more of a multi- member orchestra.

Some stories inspire sounds and vice versa. With Senyawa, I am unsure which comes first as the philosophic and mythical themes they embrace for each project are tightly intertwined with the approach to music they ultimately choose. With Vajranala there is no doubt that the chosen theme of power, the knowledge of power and the power of knowledge demands a more drastic sonic approach that fills a room in the same way maybe Slayer or Sunn O would. Each recent release by Senyawa feels like more like a new version of heavy metal, unmistakenable in the power of hard crushing downbeats and the beauty of oceans of harmonies and dissonance. It is by no mistake that the title Vajranala translates to `thunderbolt` for `vajra` and `flame` for `anala.` The majority of fans will not understand anything verbally (despite the importance of the words) sung in Bahasa Indonesian listening to this LP but the ideas are tucked sufficiently in the music enough to be understood indirectly. Such is the spiritual charge they elicit.

Unlike previous recordings, Vajranala feels like a concept recording even without being told. But I fear labeling this a concept album as that idea can be quite cliche and can produce more groans than excitement. I wish we could adopt wording that would give albums like these more respect in the same vain as 400 page books are. It dumbfounds me that the general public separates the value of deep musical recordings from books which aim to do the same thing.

Vajranala is messianic. Dually fervently passionate and a devotion work toward the mythology surrounding Brojonalan temple (Pawon Temple) of Central Java, Indonesia notated in their album notes. Embracing mythology as a form of expression is unique in today`s age but Senyawa go way way further having constructed the Vajranala Monument (check the cover of Vajranala) in Indonesia, a real shrine-like object “in the form of a stone relief that is placed on the ground where it was created, serving as an artifact for the future.” Said to emit fire and stand 3.5 meters tall and 2.8 meters wide, there is no underlying joke detected in the focus on belief authenticity. Only Sun Ra and Rammellzee come to mind believing so much in their music that their work becomes a significant outpouring into their lives.

Senyawa live in a commitment to belief. Their music doesn`t exist in a vacuum but usher out from ideas and stories they have woven from themselves and around themselves from their environment, their regional history, their personal history and their intense imagination. It feels that for every sound and vocal utterance there is a page in a book from which they are derived and taken from. I should be able to find this record in both a record store and library. It pains me to think how my younger teenage self would have reacted having discovered this in a vibrant, dusty record store, listened to only a brief snippet on the record player along the walls, instantly bought it with the allowance I got from washing windows, thrown the record in my backpack, raced home to put this on my family record player in the afternoon during summer while my parents would be at work and ultimately fall in love with the shear size of the dynamics Senyawa create. This happened to me many times with past records and cds but with today`s pathetic musical creator economy, my own paragraph is itself a myth. No child in today`s age will ever experience this now mythic existence and that is such a grand shame. Senyawa deserve this kind of iconic status with new generations.

Such is the magnetic charge they elicit.

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