「UR」と一致するもの

Jamael Dean - ele-king

 カマシ・ワシントン『Heaven And Earth』にも参加経験のあるLAの新星ピアニスト、ジャメル・ディーン。〈Stones Throw〉から送り出された『Black Space Tapes』につづいて、今度はソロ・ピアノ・アルバムがリリースされることになった。
 趣向を凝らした前作とは対照的に今回はピアノ1本で勝負、サン・ラーのカヴァーで幕を開けるところもイキだ。カルロス・ニーニョなどからも信頼の厚いジャメル・ディーン、その美しきタッチに耳をすましたい。

JAMAEL DEAN
Ished Tree

Thundercat や Kamasi Washington が信頼を寄せる、ロサンゼルスの天才ピアニスト、プロデューサー Jamael Dean (ジャメル・ディーン)。Mary Lou Williams や Sun Ra のカヴァーも含めて、宇宙と対話するように奏でられた、待望のソロ・ピアノ・アルバムが完成!! ボーナス・トラックを加え、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

Official HP :
https://www.ringstokyo.com/jamaeldeanishedtree

星座と幾何学にインスパイアされた多面的な美しさを持つ楽曲が、リリカルなタッチで演奏されていく。LAジャズのレジェンドであるホレス・タプスコットに捧げてネイト・モーガンが書き、一度も録音されなかった名曲 “Tapscottian Waltz” も大切に取り上げている。そして、目を惹き付けるドローイングとテキストに包まれたパッケージも、深みのある佇まいを見せる。ジャメル・ディーンは、ピュアで特別なピアノ・ソロを作り上げた。(原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : JAMAEL DEAN (ジャメル・ディーン)
タイトル : Ished Tree (イシェド・ツリー)
発売日 : 2021/3/24
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings / The Village (RINC75)
フォーマット : MQACD (日本企画限定盤)

* MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

Jamael Dean - Piano
AK Toney - Vocals on "Soul Of The Griot"
Sharada Shashidhar - Album Art
Mixed and Mastered by Wayne Peet

Tracklist :
01. When There Is No Sun
02. Introspection
03. Journey In The Night Boat
04. Anpu
05. Duat
06. Cancer
07. Black Sheep
08. Tapscottian Waltz
09. Soul Of The Griot ft. AK Toney
10. Ballad For Samuel
&
japan Bonus Track

Arca × Oliver Coates - ele-king

 昨年『KiCk i』を送り出したアルカが新曲を発表、なんと、おなじく昨年アルバム『Skins n Slime』をリリースしたオリヴァー・コーツとコラボしている。

 アルカのスペイン語のヴォーカルとオリヴァー流エフェクトを施されたチェロが、じつに厳かな空間を出来させている。ドラマ用に作られた曲とのことです。同曲を収録した4曲入りEPはこちらから。

ARCA
アルカ4曲入最新マキシ・シングル配信中!
表題曲はオリヴァー・コーツ参加!!

最新アルバム『KiCki』がグラミー賞にノミネートされているアルカが4曲入の最新マキシ・シングル「Madre」をリリースした。タイトル曲はトム・ヨークが自身のツアーのオープニング・アクトに指名し、ジョニー・グリーンウッドやアクトレス、ローレル・ヘイローとも共演するオリヴァー・コーツとのコラボレーションとなっており、アロン・サンチェスが手がけた同作のヴィジュアライザーも公開中。

Arca – Madre feat. Oliver Coates
https://youtu.be/JAS5k0xme8E

本作はHBOの人気ドラマ「EUPHORIA」のためにアルカが書き下ろしたオリジナル・スコアの一部を再構築した作品。数年前にアルカ自らがチェロを弾きながら歌った収録曲「Madreviolo」のレコーディングの際にアウトテイクとなった未加工のヴォーカルにオリヴァー・コーツがチェロを追加して完成させられた。

この「Madre」は私が思い描くことはできても、形にすることができないアレンジを必要としていた。そして、オリヴァーと音源をシェアして楽曲がその全貌を露にして戻ってきた時にはまさに強いケミストリーを感じることができた。 - アルカ

アルカが送ってくれたアカペラに伴奏を書いて送り返したら、彼女がすごく気に入ってくれた。そこから9日間缶詰でこの素晴らしい歌声に合うような繊細な演奏を何度もレコーディングした。まるで大聖堂の奥にあるゴースト・オーケストラのようなハーモニーとリズムが現れたこのヴァージョンに辿り着くまでね。 - オリヴァー・コーツ

シンガー、DJ、パフォーマー、実験音楽家、ビョークやカニエ・ウェスト、FKAツイッグスを筆頭とするプロデュース業、そしてノンバイナリーのラテン系トランスジェンダー・アーティストとしてまさに唯一無二の活動を続けるアルカ。絶賛発売中のKiCkシリーズ第1弾となる『KiCki』にはビョークやソフィー、ロザリア、シャイガールら豪華ゲストが参加し、衝撃的な美しさに満ちたエクスペリメンタル・ポップを展開。また同作は第63回グラミー賞のベスト・ダンス/エレクトロニック・アルバム部門にノミネートされている。

label: BEAT RECORDS / XL RECORDINGS
artist: ARCA
title: Madre (Maxi-Single)
release date: NOW ON SALE

https://arca.ffm.to/madre

label: BEAT RECORDS / XL RECORDINGS
artist: ARCA
title: KiCk i
release date: 2020.07.17 Fri On Sale

国内盤CD
国内盤特典:オリジナルステッカー封入/解説書・歌詞対訳封入
XL997CDJP ¥2,200+tax
LE1488CDJP ¥2,200+税

BEATINK.COM:
https://beatink.com/products/detail.php?product_id=11126

Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B088V97ZMJ
Tower Records: https://tower.jp/item/5056406/
HMV:https://www.hmv.co.jp/product/detail/10933205

DJ Hell - ele-king

 ドイツのヴェテラン、DJヘルが3年ぶりにニュー・アルバムをリリース……するのだが、これがとても興味深いことになっている。
 ジミ・ヘンドリックスにはじまり、ロン・ハーディ、クラフトワーク、エレクトリファイン・モジョ、ギル・スコット=ヘロンと、ハウスやテクノへと至るブラック・ミュージックの歴史を追うような曲名が並んでいるのだ。「過去、現在」のあとに「未来なし」と続くタイトルもなにやら思惑がありそうで気になってくる。これは、2020年という激動の一年を受けて思いついたコンセプトだろうか?
 日本盤は1月20日に〈カレンティート〉から発売されています。

ドイツのテクノを代表する巨匠のオールドスクール回帰な円熟の新作

ヨーロッパを代表するエレクトロニック・プロデューサー、DJヘルによる古き良きハウスやテクノへのオマージュを捧げたニュー・アルバム。
シカゴ、ニューヨーク、デトロイトからクラフトワークまで、さまざまなトピックを編み込んだ、ダンス・ミュージックの教科書のような快心の一枚。
ヘルが新たに立ち上げた新レーベル〈The DJ Hell Experience〉からのリリース。

アーティスト:DJ HELL
アルバム・タイトル:House Music Box (Past, Present, No Future)
商品番号:RTMCD-1468
税抜定価:2,200円
レーベル:The DJ Hell Experience
発売日:2021年1月20日
直輸入盤・帯/日本語解説付国内仕様

収録曲(デジタル版とは曲順が異なります)
1 Jimi Hendrix
2 Hausmusik
3 G.P.S
4 Freakshow
5 Electrifying Mojo
6 Out Of Control
7 The Revolution Will Be Televised
8 Tonstrom

◆ドイツのベテランDJ/プロデューサー、DJヘルの、『Zukunftsmusik』(2017年)以来となる新作アルバム(通算第六作)が完成。

◆前作のエレクトロ路線から一転、今回は、シカゴやニューヨークのハウス・ミュージック、デトロイト・テクノ、それらのルーツであるクラフトワークの電子音楽など、古き良き時代のさまざまなトピックをそこかしこに編み込んだ、ダンス・ミュージックの教科書のような仕上がりに。

◆硬くて冷たい無機質なビートとベース・ラインと鮮やかなコントラストを描く煽りのきいたキラーなシンセ・リフ。フロアの炎上を加速させるEBMマナーの先行シングルの “Out Of Control” は、スパイク・ジョーンズ監督の映画『マルコヴィッチの穴』からインスピレーションを得たというサイボーグなビデオも最高!

◆ジミ・ヘンドリックス生前最後のインタビューを引用した “Jimi Hendrix”、ロン・ハーディーへのオマージュを込めた “Freakshow”、オールドスクールなシカゴ・ハウス&アシッドをヘルの流儀で再構築したタイトルもそのものズバリな “House Music”、クラフトワークの自動車モチーフを取り入れた “G.P.S”、デトロイト・テクノの誕生に大きな影響を及ぼした伝説のラジオDJの名を忍ばせた “Electrifying Mojo”、ギル・スコット・ヘロンを見事にハウス化した “The Revolution Will Be Televised” などなど、いずれのトラックも、懐かしさを含みつつも、現在進行形のダンス&エレクトロニック音楽としてのパワーや機能性も、抜群。

◆ヘルが新たに立ち上げた新レーベル〈The DJ Hell Experience〉からのリリース。

https://www.djhell.de/

R.I.P. Phil Spector - ele-king

 新型コロナウイルス感染による合併症でフィル・スペクターが亡くなった。命日は2021年1月16日、享年81、女優ラナ・クラークスン殺人容疑で有罪となり、キャーフォーニャ州立刑務所の薬物中毒治療施設に収監されていた(*1)
 合掌。……お直り下さい。

 前世紀末1980年代半ばのある晩、行きつけの呑み屋でザ・ルーベッツの “シュガー・ベイビー・ラヴ” が有線放送から流れた。それを聞きながら「フィル・スペクターの流儀は時代を超えて続いているのだな」と、わたしはひとり納得していた。ところが同曲は1973年のイギリス人たちによる録音作品であり、彼の遺産は20年以上の歳月だけでなく、大西洋も超えていたのだ。
 永遠の循環進行で「シュバッシュバリバリ」とスキャットを繰り返す男声ハーモニー多重層、前面には「アハー」と高音域のファルセトーが出て来る。他愛のない、しかし永遠に揺るがない愛の真実が唄われ、後半には低音の語りで「そこのアンタ、よく聞けよ。人を愛す事を躊躇するな」と不滅の教訓を諭す。これらが全て分厚い音の壁の上で展開するのだ。フィル・スペクター的でなくてなんであろうか。
 ルーベッツというのはスタジオ演奏家の集まりだったらしい。“シュガー・ベイビー・ラヴ” がヒットして、間に合わせで揃えたような惡趣味の白スーツ姿で人前に出ていた。いつの間にかそれが制服になり、今も懐メロ歌合戦にはこの格好で出ている。あのスペクター的な壁音カラオケがいつも一緒だ。
 わたしがフィル・スペクターのヲール・サウンドを初めて聞いたのは、ロネッツの “ビー・マイ・ベイビー” だったと思う。小島正雄が担当していたラジオ番組「9500万人のポピュラー・リクエスト」だ。ただそれはオリヂナルがアメリカ本国でヒットした1963年ではなく、65年だったような気がする。それ以前に出ていたとされる弘田三枝子、伊東ゆかりのカヴァは今日まで聞いた事がない。
 そのころ持っていた小型のトランジスタ・ラジオでも音の厚さは印象的だった。ひとりひとりがどんな楽器をどのように鳴らしているのかよりも、大編成による伴奏が通奏低音のように「ゴー」と響いていた。特別なパタンを刻むドラムズは、ビートルズの “涙の乗車券” と似ていた。それからだいぶ後にジューク・ボクス下がりの中古で手に入れて聞いたキング盤B面の “ヲーキング・イン・ザ・レイン” は、「壁」の印象がそれより強かった。

 「会った途端にひとめぼれ」という素敵な邦題を持つフィル・スペクターの第一作 “トゥ・ノウ・ヒム・イズ・トゥ・ラーヴ・ヒム” は、彼が十代の時に結成したヴォーカル・トリオ、テディ・ベアーズの作品で、1959年に全米1位を獲得した。彼自身は人前で唄ったり踊ったりするよりも制作に徹する裏方を志し、2年後に業界の先輩レスター・シルと組んで、自身のレイベルを立ち上げる。フィルとシルで「フィレス」だ。当初ここから発売されたシングル盤のB面は常に器楽曲だったという。それは唄入りのイチ推しA面曲がラジオで必ず流されるための配慮だったというから、恐れ入る。
 “会った途端にひとめぼれ” では、フィル・スペクターの録音手法はまだ発揮されていない。それまでの歌物と同じような響きだ。全米1位を獲得出来たのは、詞と曲、そして表現の素直さがウケたからだろう。フィレス設立以降はフィルがステューディオ作業を仕切る立場になれたから、思う存分に録音を追及できた。
 ただスペクター即ち、アクースティク・ギター20人、パーカッション10人とまで大げさに揶揄された「ヲール・サウンド」では、決してない。空間で鳴るカスタネットを聞けば分かるだろう。何よりも、まず惹句を持った可愛らしい詞曲があり、要所要所に仕掛けを潜ばせたアレンヂ、ヴォーカル・ハーモニー、そして圧倒的なリズムで個性的な声の節を聞かせるのである。これらは大衆音楽に必要な不変の要素で、フィル・スペクターはこの真髄を体で分かっていた。作品を重ねるに連れて雰囲気が類似してしまうのは仕方ない。それは「作風」であり、「特徴」や「個性」でもある。
 フィルの録音制作過程は世界中で特異とされて来た。だが彼以前に、録音過程で音楽を作って行く手法を試みた人間がいただろうか(*2)。それまでのレコード音楽は、「原音再生」論を金貨玉条的に振りかざし、録音電気技術を邪道と考える保守的な制作者や技術者たちの作った退屈な響きばかりだった。
 フィルはそこに大衆音楽に必要不可欠な楽曲固有の響きを求めたのだ。まだ多重録音機が生まれる前だから、演奏は全員揃って同時に行わなければならない。それほど広くないロス・エインジェルズのゴールド・スター・ステューディオに押し込められた大勢が、今と違い実際に楽器を鳴らすのだから、必然的に音圧は高くなり余韻が回ってずっと音が鳴っているような響きが生まれる。そうすれば様々な音の魔術も仕掛け易くなる。更に何回も同じ演奏を重ねて「壁」となる。ヲール・サウンドは最初からフィル・スペクターの概念にあったのではなく、彼が要求した追加録音を重ねて出来た結果だ、とわたしは見ている。フィルのセッションは録音拘束時間が長過ぎると演奏家組合から目を付けられたのも、オーヴァ・ダブが多かったからだ。そして録音を重ねていくうちにテイプ上で変化して行く音色も彼を惹きつけた。モノーラルにこだわっていたのも納得が行く。彼にとって音はドッカーンと真ん中から飛び出す物で、ステレオ左右スピーカーの分離などあってはならないのだ。
 たぶんフィルはこういう響きに酔って行き、狂ってしまったのだろう。しかしこのやり方は、確実に全世界の大衆音楽を変えた。ビーチ・ボーイズはもちろん、カーペンターズやブルース・スプリングスティーンだって、スペクターなしには存在しない。ビートルズですらそうだ。
 現在のデジタル技術ならボタン操作一回で出来る事を、フィル・スペクターは時間をかけ人間たちを使ってエンヤコラと録音した。ヲール・サウンドをアナログで聞くと、バズビー・バークリーの群舞実写映画が蘇る。

 フィル・スペクターの遺作は、1980年発表のラモーンズと作った『エンド・オヴ・ザ・センチュリー』になる(*3)。作業はあまり順調に進まなかったとされるが、出来はそんなに悪くない。ロンドンのパンク・ロックの動きを肌で感じたフィルは、自分なりの流儀でこのアメリカのロック・グループのレコードを制作したのだ。仕上がった音は厚く、音圧感が高い。安定したビートが効いている。充分にポップで、茶目っ気もある。紛れもないスペクターの音であるし、彼にとっての音楽はそもそもロックンロールなのだ。ただ形骸したパンクに付き物の、いい加減な薄っぺらさと、破綻に至る暴力感がないところがダメだったのかもしれない。更に1980年には、レコードの音がこの程度で普通になってしまっていたから、謹製スペクター・サウンドの商標も付けられなかった。

 彼は狂人である。鬼才と言えば聞こえはいいけれど、一般的な常識には欠けていたようだ。薬物への依存も相当だったらしく、チャック・ベリーが初めてジョン・レノンと会ったのはフィルの家で、ふたりともメロメロにラリっていたという。場面は想像に難くない。また何かにつけてピストルをブッ放したらしい。ジョンも、ラモーンズのディー・ディーも被害に遭っている。
 ジョンはグループ最後のアルバム『レト・イト・ビ』の最終仕上げをスペクターに一任した。四人の演奏はリヴァーブ漬けとなり、勝手なピッチの変更やストリングス追加などでポール・マカートニを怒らせた。レナード・コーエンは本人承諾のないところでデモ録音を勝手にいじられ、市販レコードにされてしまった。
 そもそもフィレス・レコーズ最初の全米1位曲 “ヒーザ・レボー” は「ザ・クリスタルズ」名義になっているが、実際にはダーレン・ラーヴのザ・ブロッサムズが唄っていたのだ。このような当事者を無視した強引な制作進行は、若くして掴んだ成功の後遺症だろう。また初期に彼の使った唄い手たちの殆どが若い黒人女性だったという状況も影響している。60年代初頭、彼女たちは白人の元締めに文句が言えなかったのだ。一方で黒人の音楽感覚、特にヴォーカル表現には一目置いていたようで、その昔に出ていたレイザー・ディスクの「ガール・グループズ」編では、ステューディオ内で煮詰まったクリスタルズに「もっと普段のゴスペル調に唄ってよ」と促す場面が収録されていた。それを観てわたしは「そうか」と、とても新鮮な気持ちになえたのを覚えている。
 こんな問題の多いフィルに、ジョージ・ハリスンは三枚組ソロ作品『オール・シングズ・マスト・パース』のプロデュースをフィルに依頼した。ジョン・レノンは『ロックンロール』の制作も委ねた。この作業の途中では、録音済みのマルチ・トラック・テイプ紛失というあり得ない事故すら起きた。
 彼はロシア系のアメリカ人でいつも母親と一緒に行動し、制作現場にも立ち会わせていたという。これもちょっと信じられない。録音セッションは父兄参観会ではない。母親同伴だなんて全くおかしな話だ。スナップ写真でそのオフクロの姿を見た事があったような……。本人がいつも濃い色のサングラスをかけていたのも不気味だった。死亡記事の写真でようやく素顔を確かめられた。

 フィル・スペクターについてわたしには、どうしても忘れられない余話がある。蛇足ながら以下に記す。
 1965年のスポーツカー世界一を決める国際マニファクチャラーズ選手権を制した優勝車はコブラ・フォードだ。これは元ドライヴァのキャロル・シェルビーが、英国ブリストル製軽量車体に米フォードの丈夫で長持ち大排気量原動機を載せた混血車で、イタリアの名門フェラーリと一騎打ちの末に覇権を勝ち取った。シェルビーはその時に高速仕様として屋根付きを6台だけ製造した。これが有名なコブラ・フォード・デイトナ・クーペだ。その最初に作られた車台番号CX2287をフィル・スペクターが1967年から町で5年間も使っていたという。彼自身の存在が世界的に知られて行く頃と重なる時期だ。車は純粋な競争用だから日常には全く向かない。フィルもその扱いには手を焼きながら、まだ空いていたロス・エインジェルズで爆音を振り撒いて、ステューディオに乗り付けていたのだろうか。狂人に相応しい振る舞いだ。現車CX2287は彼の手許を離れてから数奇な運命を経た後に発見、復元され、2018年にアメリカの歴史遺産に指定された。フィル・スペクターの所有した履歴が大きく影響しているのは、間違いない。わたしはこの知らせに喝采を送った。

 今世紀初頭、わたしが初めて自分のラジオ番組を持った時、最初に回した第一曲は、“アイ・キャン・ヒア・ミュージック” だった。これはその何年か前に裏方を担当していた萩原健太の番組からインスピレイションを貰ったのだが、健太がビーチ・ボーイズを使ったのに対して、わたしはフィル・スペクター絡みのロネッツを選んだ。これも「9500万人のポピュラー・リクエスト」で聞いたのが最初だ。
 「最初にお断りしておくと、わたしは大滝詠一およびその周辺の人たちのようなスペクター信奉者ではなく、そもそも彼をよく知らないのだ」、この追悼文はこんな風に始めようとした。確かにそれは事実だが、リーバー・アンド・ストーラーに弟子入りした時の話や、1964年ザ・ローリング・ストーンズの録音に立ち会った事、ライチャス・ブラザーズに関してなど、まだまだ知りたい事は沢山あった。今はもう本人に聞く事は出来ない。しかしそれ以前に、彼にまつわるこれほどにも沢山の出来事がわたしの身辺にもあり、今回、その偉大さを改めて思い知ったのである。
 フィル・スペクターの音楽は永遠だ。

(編註:2021年1月25~26日追記)

*1 2009年6月24日付のCNNの報道によれば、彼はカリフォルニア州立刑務所の薬物中毒治療施設には収監されず、有名人や元ギャングなど、注意を要する受刑者向けの特別な場所に収容されていた模様。カリフォルニアの監獄を運営するカリフォルニア矯正リハビリ局(California Department of Corrections and Rehabilitation)による公式発表はこちら(1月17日付)。また、同局が管理するカリフォルニア健康管理施設(California Health Care Facility)のウィキペディアにも彼の名が挙げられているが(1月26日閲覧)、ソースは辿れず。

*2 フィル・スペクターの少しまえに、ジョー・ミークが近いことをやっていたのではないかと、読者の方よりご指摘いただきました。

*3 アルバム単位での遺作。曲単位では2003年に手がけたスターセイラーの2曲が遺作となる。

Telex - ele-king

 もやもやしていらいらしてすっきりしないこの時代、免疫力が下がりそう。それじゃまずいと、遊び心たっぷりの音楽を紹介しましょう。クラフトワークにドナ・サマーそしてYMOと、テクノ・ポップ時代の幕開けの時にベルギーのブリュッセルで結成されたトリオ、テレックスは、ガーディアンいわく「隠された財宝」だ。シングル「モスコウ・ディスコウ」は日本でもヒットしているのでご存じの方も少なくない。ちなみに彼らのデビュー・アルバムの邦題ってなんだったか憶えていますか? 『テクノ革命』です(笑)。しかし、これはあながちはったりでもなかったりする。
 テレックスは、バンド結成前にすでにキャリアのあったミュージシャンの集合体だった。中心人物であるマルク・ムーランは、レアグルーヴ・ファンにはお馴染みのジャズ・バンド、Placeboのメンバーだった人。ダン・ラックスマンは70年代初頭からモーグを操るベルギーのシンセサイザー音楽の草分け的存在。もうひとりのミシェル・ムアースはポップス畑の作曲家。テレックスはすでに音楽を知っていた大人たちによって結成されたバンドだった。ゆえに、その作品はプロフェッショナルに作られている。
 テレックスの音楽をガーディアンはマイケル・ジャクソンの“ビリー・ジーン”、ないしはニュー・オーダー、あるいはダフト・パンクにも繫がる回路を持っていると分析しているが、ふざけているように見せながらも、テレックスの音楽性はしっかりしているのだ。もちろんテレックスの最大の魅力は脱力感とユーモア。例えばロックンロールをテクノでやっているところなんかは、〈Mute〉の創始者ダニエル・ミラーのプロジェクト、シリコン・ティーンズの先をいっている。

 この度、昨年はカン再評価を促したミュート/トラフィックが再発シリーズ第一弾『ディス・イズ・テレックス』の発売を発表した。彼らの全キャリアから選曲されたベスト盤的内容で、ここには未発表だったビートルズのカヴァーも収録される。さあ、テクノ革命の再スタート、注目のリリースは4月30日です。

テレックス (Telex)
ディス・イズ・テレックス (this is telex)

Mute/トラフィック
発売日:2021年4月30日(金)
定価:2,400円(税抜)
新ミックス+リマスター作品


Tracklist
1. The Beat Goes On/Off *
2. Moskow Diskow
3. Twist à Saint-Tropez
4. Euro-vision
5. Dance To The Music
6. Drama Drama
7. Exercise Is Good For You
8. L’amour toujours
9. Radio Radio
10. Rendez-vous dans l’espace
11. Beautiful Li(f)e
12. The Number One Song In Heaven
13. La Bamba
14. Dear Prudence *
15. Moskow Diskow (English Version)**
16. Eurovision (English Version) **
*未発表曲
**日本盤ボーナス・トラック

■テレックス(Telex)
1978年、ベルギーのブリュッセルで結成したシンセポップ・トリオ。メンバー:ダン・ラックスマン、ミシェル・ムアース、マルク・ムーラン(2008年逝去)。シンセポップのパイオニア。1978年、シングル「モスコウ・ディスコウ」を、翌年1979年にはデビュー・アルバム『テクノ革命』を発売。1980年、シングル「ユーロヴィジョン」収録の2ndアルバム『ニューロヴィジョン』を発売。1981年、スパークスが参加した3rdアルバム『Sex』を発売。その後も新たなテクノロジーの発展の中、自らの本質を失うことなく、むしろ革新的な作品を次々と発表していった。2006年、カムバック作『How Do You Dance?』を発売。2008年、マルク・ムーラン逝去。2021年4月、MUTEより再発シリーズ第一弾『ディス・イズ・テレックス』発売。

1st アルバム: Looking For St. Tropez (『テクノ革命』)(1979年)
2nd アルバム: Neurovision(1980年)
3rd アルバム『Sex』(1981年)
4th アルバム: Wonderful World(1984年)
5th アルバム: Looney Tunes(1986年)
6th アルバム: How Do You Dance?(2006年)

レコードは死なず - ele-king

アナログ盤はメディアではない、人生そのものである!

若き日パンクに心酔した僕は
いまでは妻子あり貯金無し、四〇代半ばのフリーランサー、
はたして自分の人生、これで良かったのか!?
僕の常軌を逸した究極のレコード探しがはじまった

嘘のような本当にあった話、
“『ハイフィデリティ』の実話版” と評されたベストセラー!!

序文:ジェフ・トゥイーデイ(ウィルコ)
装画:よしもとよしとも

四十五才の子持ち男の “僕” は、大手の雑誌で著名人とのインタビューなどもこなしているが、収入はまるっきり不安定。
毎月綱渡りしながら妻と交代で愛息の面倒をみる日々だ。
何を失くし、どうやってここまできたのかもすでによくわからなくなっている。
ところが取材相手のクエストラヴから、今まで買ったレコード盤は全部大事に持っていると聞かされて、いてもたってもたまらなくなった。
そんなもの、自分はとっくに売り払ってしまっていたからだ。
そしてカーラジオから流れ出した、その日二度目の「リヴィング・オン・ア・プレイヤー」が心のどこかに火をつけた。取り戻さなくちゃ。
何を? 何のために?
それすらも定かではないままに、僕のいわば “アナログ盤クエスト” が幕を開けた──。

●出てくるアーティストの一例
ハスカー・デュ、リプレイスメンツ、キッス、ニューヨーク・ドールズ、シュガーヒル・ギャング、ピクシーズ、ローリング・ストーンズ、ボン・ジョヴィ、ザ・キュアー、ジョイ・ディヴィジョン、ビリー・ジョエル、イギー・ポップ、ザ・スミス、デッド・ケネディーズ、ニルヴァーナ、ソニック・ユース、アニマル・コレクティヴにディアハンターまで、膨大なロック系

●著者について
エリック・スピッツネイゲル(Eric Spitznagel)
シカゴ在住。『エスクワイア』『ローリング・ストーン』『ニューヨーク・タイムス』『ビルボード』などに寄稿する売れっ子ライター。著書はすでに6冊あり、そのうちの1冊はドイツでも翻訳されているが、2016年に出版された本書がもっとも有名。

目次

本書の巻頭に置かれたこの文章が、そこまでまるっきりイカれている訳でもない、その説明とでもいったほうがよさそうな序文的何か(ジェフ・トゥイーデイ)

はじめに

One
Two
Three
Four
Five
Six
Seven
Eight
Nine
Ten
Eleven
Twelve

謝辞

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧

amazon
TSUTAYAオンライン
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
HMV
TOWER RECORDS
紀伊國屋書店
honto
e-hon
Honya Club
mibon本の通販(未来屋書店)

全国実店舗の在庫状況

紀伊國屋書店
丸善/ジュンク堂書店/文教堂/戸田書店/啓林堂書店/ブックスモア

Outro Tempo II - ele-king

 テクノ、アンビエントなど80年代の埋もれたブラジル音楽に光を当てた〈Music From Memory〉の良コンピ『Outro Tempo: Electronic And Contemporary Music From Brazil 1978-1992』が出たのは2017年。2年後の2019年には続編『1984-1996』もリリースされているが、そのヴァイナルがヒットしたようで、このたびCD化されることになった。めでたい。
 今回もまた、電子音やパーカッションなどを駆使したじつに多種多様な音楽が収録されているのだが、前作が熱帯雨林の奥地だとしたら、第二弾のほうは都市(サンパウロ)だ。MPBが吸引力を失った時代に、インディペンデントで新たな時代を切り拓こうとした音楽家たちの試行錯誤の記録──たとえば、ジョン・ゴメスの解説によれば、ベベウ・ジルベルト『Tanto Tempo』のプロデュースで知られるスバが参加したエヂソン・ナターリの “Nina Maika” は、ボスニア民謡を取り入れることで新たな価値観を呈示した、象徴的な曲なのだという。そういった歴史や文化的背景を知ることができるライナーノーツの翻訳が読めることも、本盤の長所だろう。
 ヴァイナルには未収録の2曲も追加されているので、アナログ盤をお持ちの方も要チェックです。

ミュージック・フロム・メモリーのヒット企画『Outro Tempo』の続編

ベッドルーム、ダンスフロアやアンビエントなどをまたいだ10年代以降の新たな流れ、そのリイシュー側における先駆者であったミュージック・フロム・メモリーの大ヒット企画『Outro Tempo』の第2弾が待望のCD化。
電子音楽、ジャズ、ニューウェイヴにブラジルのローカル・モード。今回もまたいい具合に多くの要素が入り混じった稀有なミクスチャ・サウンドのオンパレード。脱帽です。

V.A.
Outro Tempo II
- Electronic And Contemporary Music From Brazil 1984-1996

Music From Memory
RTMCD-1454
2,500円
CD2枚組
12月10日発売
輸入盤国内仕様(帯・英文解説対訳付)

CD1
01 MAY EAST – MARAKA
02 DEQUINHA E ZABA – PREPOSIÇÕES
03 OHARASKA – A FÁBULA
04 FAUSTO FAWCETT – SHOPPING DE VOODOOS
05 R. H. JACKSON – O GATO DE SCHRÖDINGER
06 EDSON NATALE – NINA MAIKA
07 AKIRA S – TOKEI
08 LOW KEY HACKERS – EMOTIONLESS
09 BRUHAHÁ BABÉLICO – BRUHAHÁ II *** bonus track
10 CHANCE – SAMBA DO MORRO
11 JORGE DEGAS & MARCELO SALAZAR – ILHA GRANDE

CD2
01 PRISCILLA ERMEL – AMERICUA
02 VOLUNTÁRIOS DA PÁTRIA – MARCHA
03 ANGEL’S BREATH – VELVET
04 FAUSTO FAWCETT – IMPÉRIO DOS SENTIDOS
05 INDIVIDUAL INDUSTRY – EYES *** bonus track
06 CHANCE – INTRO-AMAZÔNIA
07 TETÊ ESPÍNDOLA – QUERO-QUERO
08 NELSON ANGELO – HARMONÍA DE ÁGUA
09 JORGE MELLO – A NATUREZA REZA
10 JÚLIO PIMENTEL – GERSAL
11 TIÃO NETO – CARROUSEL

R.I.P. Sylvain Sylvain - ele-king

 偉大なるパンクの先駆者、ニューヨーク・ドールズのギタリストとして知られるシルヴェイン・シルヴェインが2年以上におよぶ癌との闘病の末に亡くなった。

 本名はロナルド・ミズラヒ。1951年にカイロで生まれたシリア系ユダヤ人で、1956年のスエズ動乱の際に家族でフランスを経てアメリカに渡り、ニューヨークのクイーンズに落ち着く。渡米して最初におぼえた英語は「ファック・ユー」だったという。
 ドールズのオリジナル・ドラマーだったビリー・マーシアはコロンビアからの移民で、シルヴェインとは近所に住む幼馴染だった。ふたりはやがて服飾関係の仕事に進み、その経験がのちのドールズの斬新な衣装に活かされる。

 ジョニー・サンダースをフロントに据えたバンド、アクトレスにビリーとともに参加。ここにデヴィッド・ヨハンセンが加わりニューヨーク・ドールズのラインナップが完成する。マーサー・アーツ・センターという複合施設で定期的にライヴをおこなうようになったドールズは、ド派手な衣装とハイヒール・ブーツにギラギラのメイクという姿でシンプルなロックンロールを演奏するステージが評判を呼び、70年代初頭のニューヨークにおけるもっともホットなバンドとなっていく。アンディ・ウォーホール周辺をはじめとする当時のヒップな面々が集ったという。グラム前夜のデヴィッド・ボウイもしばしば訪れている(ヨハンセンに「その髪型、誰にやってもらったの?」と尋ねたそうだ)。
 ビリーの死後にドールズのドラマーとなるジェリー・ノーランは、初めてドールズを観たときの衝撃を「すげえ! こいつら、他に誰もやってないことをやってる。三分間ソングが戻ってきた!」と表現している。「当時といったら、ドラム・ソロ十分、ギター・ソロ二十分って時代だったから。一曲だけでアルバム片面終わっちゃったりね。そういうのには、もううんざりしてた」(『
プリーズ・キル・ミー』より)。まさにパンクだったのだ。ドールズがロックに取り戻したのは、シャングリラスに代表されるガール・グループのポップスとロックンロール、すなわち五十年代だった。

 デヴィッド・ヨハンセンとジョニー・サンダースという強烈なスターをフロントに擁するドールズだが、ソングライティング面におけるシルヴェインの貢献も見逃せない。デビュー作『ニューヨーク・ドールズ』収録曲の中でも速い “フランケンシュタイン” やエディ・コクランのギター・リフを取り入れた “トラッシュ” はシルヴェインとヨハンセンのペンによるものだし、ソロ・アルバム『シルヴェイン・シルヴェイン』に収録された “ティーンネイジ・ニュース” はパワーポップの名曲として知られている。

 マネージャーとなったマルコム・マクラーレンとの関係悪化などもあり、ジョニーとジェリーはバンドを脱退。シルヴェインとヨハンセンはバンドを続け、75年には内田裕也の招聘で来日もしているが、ロンドンでのパンクの勃興を横目に間もなく解散する。シルヴェインはソロやティアドロップス、クリミナルズといったバンドで80年代に数枚の作品を発表しており、『シルヴェイン・シルヴェイン』をはじめ佳作も多いのだが残念ながら大きな成功を収めるには至らなかった。

 90年代にはジョニー・サンダースとジェリー・ノーランが続けざまに亡くなるが、2004年にまさかのドールズ再結成。きっかけは英国におけるファンクラブ会長だったモリッシーの熱いリクエストによるものである。このときの様子はベースのアーサー・ケインをフィーチャーしたドキュメンタリー映画『ニューヨーク・ドール』に記録されている。ミュージシャンを引退し、図書館員として働いていたアーサーがスタジオを訪れると、そこではまさにシルヴェインがリハーサルを仕切っていた。
 復活ライヴの直後に今度はアーサーも亡くなるがバンドは活動を継続し、再結成後に3枚のアルバムを残している。特に最後のアルバムとなった『ダンシング・バックワード・イン・ハイヒールズ』(2011)は、ヨハンセンのソロ作品でのスウィング・ジャズやキャバレー音楽の雰囲気を取り入れた異色の傑作だった。

 筆者はシルヴェインのステージを3回観ている。最初は2008年、スペインのフェスでのニューヨーク・ドールズ。2回目は2016年のソロ来日。そして最後は2018年、「ザ・ドールズ」という名義でニューヨーク・ドールズの曲を中心に演奏するというものだった。
 3回とも、陽気でチャーミングな姿が印象に残っている。特にオリジナルメンバーがふたりだけとなったニューヨーク・ドールズは、カリスマ性の強いヨハンセンと盛り上げ上手なシルヴェインが好対照だった。


2018年の来日公演(写真:大久保潤)

 最後の来日の際には、『プリーズ・キル・ミー』(2007年に出た邦訳)を持参して終演後に見せたところ、にこやかに「これは素晴らしい本だよね」と言いながらサインをしてくれた。2020年に念願の復刊を果たした本書をもう一度見せたかったのだが、それももう叶わなくなってしまった。

Stereolab - ele-king

 2019年、10年ぶりに再始動を果たしたステレオラブ。彼らのなにが偉大だったのか、その功績についてはこちらのコラムをお読みいただくとして、オリジナル・アルバムのリイシュー企画に続き、今度は98年を最後に止まっていたシングル集シリーズの最新作『Electrically Possessed』が2月26日にリリースされる。入手困難なツアー7インチの曲や未発表曲も収録されるとのことで、これは楽しみ。現在同作より “Dimension M2” が先行公開中です。

STEREOLAB

再始動したステレオラブが23年振りにシングル集シリーズの最新作
『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』を
2月26日にリリース決定!
数量限定のTシャツ・セットも同時発売決定!
先行シングル「Dimension M2」を解禁!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティブ・ミュージックを語るのに欠かせないステレオラブ。

2019年に10年ぶりに本格再始動した彼らは、音楽史に燦然と輝く7タイトルのリマスター盤再発企画をスタートさせ、音楽ファンを喜ばせたが、今回は1992年の第一弾『Switched On』、1995年の第二弾『Refried Ectoplasm』、1998年の第三弾『Aluminum Tunes』と続いたシングル集シリーズの実に23年振りとなる第四弾『Electrically Possessed』を2月26日にリリースすることを発表した。

再発タイトル同様、〈Warp Records〉と〈Duophonic UHF Disks〉のダブルネームでリリースされる本作には、1999年から2008年までのステレオラブの歩みを網羅した25曲を収録。ほとんどの音源において、メンバーのティム・ゲインの監修の元、電気グルーヴのマスタリングも手掛けるボー・コンドレンの手によってリマスタリングが施されている。

廃盤となったミニアルバム『The First Of The Microbe Hunters』の全曲を収録しており、入手困難なツアー7インチ、コンピレーション曲、アート・インスタレーション作品、アルバム『Mars Audiac Quintet』と『Dots and Loops』のレコーディング・セッションからの未発表曲も収録される。

Stereolab - Dimension M2 (Official Audio)
https://youtu.be/HPKQgMGWot0

今回の発表と合わせてシングル「Dimension M2」が公開されている。本楽曲は、2005年にコンピレーション作品『Disco Cabine』に提供された楽曲で、ティム・ゲインは次のように解説している。

コンピュータを使ったレコーディングが楽しかった『Dots and Loops』の制作の後、自分たちの小さなホームレコーディングスタジオを作りたいと思ったんだ。AppleのデスクトップとMOTUサウンドカード、Logic 2を買って、主にサンプルを使ってシンプルなトラックを録音し始めたんだけど、それにギターやキーボード、そしてレティシアとメアリーが歌詞のない歌声を加えたりもした。個人的には、音やリズムをカットしたり、切り刻んだりするのが好きで、ステレオラブのメインのレコーディング作品よりも、ずっと小さくてシンプルな信号音のような曲を作ろうとしたんだ。そうやって作ったトラックのほとんどはツアー限定シングルかコンピレーション作品に提供した。「Dimension M2」は、Cabineというデザイン会社を持ってた友人のPaul & Hervéが手がけたコンピレーションに収録された。彼らのために何かアップビートでパーティーっぽいものを作りたくて、なるべくそのイメージに近づけたんだ。それでもまだクールで冷めた感じがするけどね。

初回盤特殊パッケージ

通常盤CD

Tシャツ

本作『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』は、CD、LP、デジタルのフォーマットで2月26日に世界同時リリースされる。国内流通仕様盤CDとLPの初回盤は、ミラーボード仕様の特殊パッケージを採用し、ステッカーが封入される。数量限定の国内流通仕様盤+Tシャツ・セットも同時発売される。さらに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお公演延期となっていたステレオラブの来日公演は、2021年9月に振替日程が決定している。
https://smash-jpn.com/live/?id=3304

label: BEAT RECORDS / DUOPHONIC UHF DISKS / WARP RECORDS
artist: STEREOLAB
title: ELECTRICALLY POSSESSED [SWITCHED ON VOL. 4]
release date: 2021/02/26 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD
解説書+ステッカー封入
BRDUHF42 ¥2,400+税

国内流通仕様盤CD+Tシャツセット
BRDUHF42S~XL ¥5,900+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11675

Tracklist:

DISK 1
01 - Outer Bongolia
02 - Intervals
03 - Barock-Plastic
04 - Nomus Et Phusis
05 - I Feel The Air {Of Another Planet}
06 - Household Names
07 - Retrograde Mirror Form
08 - Solar Throw-Away [Original version]
09 - Pandora's Box Of Worms
10 - L'exotisme Interieur

DISK 2
01 - The Super-It
02 - Jump Drive Shut-Out
03 - Explosante Fixe
04 - Fried Monkey Eggs [Instrumental version]
05 - Monkey Jelly
06 - B.U.A
07 - Free Witch and No Bra Queen
08 - Heavy Denim Loop Pt 2
09 - Variation One
10 - Monkey Jelly [Beats]
11 - Dimension M2
12 - Solar Throw-Away
13 - Calimero
14 - Fried Monkey Eggs [Vocal]
15 - Speck Voice

New Age Steppers - ele-king

 細かく震えるあまりに特異なヴォーカル。久しぶりに彼女の声を聴いてこちらまで打ち震えてしまった。そしてもちろん、信じられないような独創的な発想のミックス。3月19日、ニュー・エイジ・ステッパーズの全キャリアを総括するボックスセットが発売される。
 エイドリアン・シャーウッドがおそらくはもっともキレていた時期、ダブの実験を極めたファースト『The New Age Steppers』(81)や、ダンスホールの時代にルーツ・レゲエを尖ったサウンドでカヴァーしたセカンド『Action Battlefield』(81)~サード『Foundation Steppers』(83)はもちろんのこと、2012年の最終作にして、その2年前に他界してしまったアリ・アップ最後の録音が収められた『Love Forever』、そして今回の目玉だろう、レア音源や未発表音源をコンパイルした『Avant Gardening』から構成される、CD5枚組の仕様だ。
 一家に一箱。問答無用です。

ポストパンク/UKダブの伝説、
ニュー・エイジ・ステッパーズの歩みをここに凝縮!
全アルバムに加え、アウトテイクや未発表レア音源を収めた
コレクション盤を含む5枚組CDボックスセット
『Stepping Into A New Age 1980 - 2012』を3月19日にリリース!
〈On-U Sound〉の数多くの写真を手がけたキシ・ヤマモト撮影の
オリジナル・フォトTシャツ・セットも数量限定で同時発売決定!

ザ・スリッツのアリ・アップとUKダブの最重要プロデューサー、エイドリアン・シャーウッドを中心として、マーク・スチュワート率いるザ・ポップ・グループやザ・レインコーツ、ネナ・チェリー、フライング・リザーズといったポストパンク・シーンを象徴する前衛的シンガーやプレイヤーが参加し、ビム・シャーマン、スタイル・スコット、ジョージ・オーバンといった世界的レゲエ・アーティストを掛け合わせた衝撃のサウンドでその後の音楽シーンに多大なる影響を及ぼした伝説的グループ、ニュー・エイジ・ステッパーズ。彼らの全歴史を凝縮したCDボックスセット『Stepping Into A New Age 1980 - 2012』が3月19日に発売決定!

New Age Steppers - Stepping Into A New Age 1980 - 2012
https://youtu.be/m4WDA7XYuZM

エイドリアン・シャーウッドが〈On-U Sound〉を立ち上げるきっかけともなったニュー・エイジ・ステッパーズのすべてがわかる本作。1981年の1stアルバム『New Age Steppers』は、レゲエ・クラシックに乗って、アリ・アップのヴォーカルが80年代初頭の新しい音楽を創造しようとする熱気に溢れたヴァイブスを見事に表現した真のポストパンク/UKダブの金字塔。アリ・アップがほとんどの曲でリードボーカルを担当し、若き日のネナ・チェリーも参加した2ndアルバム『Action Battlefield』は、混沌とした世界がより洗練され、ポップさを増したサウンドによって、ニューウェイヴ期のUKで生まれた最高傑作。1983年の『Foundation Steppers』は、ジャマイカに移住したアリ・アップが伝説的ドラマー、スタイル・スコットともにレコーディング、カラフルなサウンドとポストパンクなプロダクションのセンスで伝統を壊しながらも、アリ・アップのレゲエ愛に溢れたアルバムとして高く評価されている。そして2012年にリリースされた最終アルバム『Love Forever』には、2010年に亡くなったアリ・アップの最後のレコーディング音源が収められ、自由を貫いたアリの感性でジャマイカ音楽をアップデートしたサウンドがファンに愛されている。レアなダブ・ヴァージョンやアウトテイク、未発表音源などをコンパイルしたコレクション・アルバム『Avant Gardening』では、BBC Radio 1 ジョン・ピール・セッションで収録された “Send For Me” をはじめ、『Foundation Steppers』収録のチャカ・カーンのカバー “Some Love” のダブ・ヴァージョンなど未発表音源を収録。またエイドリアン・シャーウッドやその他のコントリビューターたちとの会話や当時の写真をもとにグループの歴史を辿る32ページにおよぶブックレットが加えられている。国内流通仕様盤には、ブックレットの対訳も封入される。また、〈On-U Sound〉の数多くの写真を手がけたキシ・ヤマモトによる写真を起用したオリジナル・フォトTシャツ・セットも同時発売される。


また今作のリリースに合わせて、初めてLPでリリースされる2012年作品『Love Forever』を含め、それぞれのアルバムがLPでも再発される。

label: BEAT RECORDS / ON-U SOUND
artist: New Age Steppers
title: Stepping Into A New Age 1980-2012
release date: 2021/03/19 FRI ON SALE

国内仕様盤5CD
32ページ・ブックレットの対訳(別冊)封入
BRONU149 ¥4,300+税

国内仕様盤5CD+Tシャツセット
BRONU149S~XL ¥8,000+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11672

Tracklist:

DISC1: NEW AGE STEPPERS (1981)
01. Fade Away
02. Radial Drill
03. State Assembly
04. Crazy Dreams and High Ideals
05. Abderhamane’s Demise
06. Animal Space
07. Love Forever
08. Private Armies

DISC2: ACTION BATTLEFIELD (1981)
01. My Whole World
02. Observe Life
03. Got To Get Away
04. My Love
05. Problems
06. Nuclear Zulu
07. Guiding Star

DISC3: FOUNDATION STEPPERS (1983)
01. Some Love
02. Memories
03. 5 Dog Race
04. Misplaced Love
05. Dreamers
06. Stabilizer
07. Stormy Weather
08. Vice Of My Enemies
09. Mandarin

DISC4: LOVE FOREVER (2012)
01. Conquer
02. My Nerves
03. Love Me Nights
04. The Scheisse Song
05. Musical Terrorist
06. The Fury Of Ari
07. Wounded Animal
08. The Worst Of Me
09. Revelation
10. The Last Times
11. Death Of Trees

DISC5: AVANT GARDENING (2021)
01. Aggro Dub Version
02. Send For Me
03. Izalize
04. Unclear
05. Singing Love
06. I Scream (Rimshot)
07. Avante Gardening
08. Wide World Version
09. Some Dub
10. May I Version

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