「S」と一致するもの

Autechre - ele-king

 去る6月20日、突如オウテカによる最新ミックス音源が公開されている。彼らのルーツであるエレクトロやヒップホップからノイズ、アンビエントまでを横断する2時間強のこの旅は、フランスはレンヌのネット・レーベル、〈Neuvoids〉(neuvoids.bandcamp.com)のためにショーン・ブースがこしらえたものだそうだ。仙台の a0n0、ヒューマノイドピンチ、ESG、DJスティングレイオト・ヒアックス、〈CPU〉からも出している Cygnus、KMRU、故ピタ、盟友ラッセル・ハズウェル、BJ・ニルセンといったアンダーグラウンドな面々に交じって、ラッパーのウィリー・ザ・キッドや大御所ボブ・ジェイムズ、まさかのストラングラーズまでがプレイされている。下記サウンドクラウドから聴けます。

Ed Motta - ele-king

 80年代から活躍するシンガー・ソングライター、エジ・モッタはブラジリアンAOR~ジャズのヴェテランだ。4ヒーローのマーク・マックとコラボしたり、クラブ・ミュージックとも接点のあるアーティストだが、ここ10年のあいだも、タイトルどおりの内容の『AOR』(13)や、AORとジャズの両方を試みた『Perpetual Gateways』(16)など話題作を送り出しつづけてきた。前作から5年のときを経て放たれる新作『Behind The Tea Chronicles』は、なんともメロウでグルーヴィンな1枚に仕上がっている模様。発売は10月20日。先行シングル “Safely Far” が公開中です。

interview with Matthew Herbert - ele-king

馬は、猫なんかよりもはるかに深く人間とつながっている。人間と多くの関係をもったナンバーワンの動物なんだ。

 ユニークなることばは日本では「風変わりな」「奇抜な」といったニュアンスで使われることが多い。本来の意味は「唯一無二」だ。マシュー・ハーバートのような音楽家がほかにいるだろうか? ハウス、ジャズ、フィールド・レコーディングにコラージュ、コンセプト、メッセージ──どれかひとつ、ふたつをやる音楽家はほかにもいる。ハーバートはそれらすべてを、30年近いキャリアのなかでずっと実践してきた。しかも、シリアスなアーティストが陥りがちな罠、深刻ぶった表情にはけっしてとらわれることなく。ハーバートこそユニークである。

 90年代後半、彼はまずミニマルなテック・ハウスのプロデューサーとして頭角をあらわしてきた。トースターや洗濯機といった家にあるモノの音を用いた『Around The House』(98)、人体から生成される音をとりいれた『Bodily Functions』(01)などの代表作は、彼が卓越したコラージュ・アーティストでもあることを示している。ビッグ・バンドを迎えた『Goodbye Swingtime』(03)はひとつの到達点だろう。政治的な言動で知られる言語学者チョムスキーの文章がプリントアウトされる音をサンプリングしたりしながら、他方で大胆にスウィング・ジャズ愛を披露した同作は、ブレグジットに触発された近年の『The State Between Us』(19)にもつながっている。
 ここ10年ほどを振り返ってみても、一匹の豚の生涯をドキュメントした『One Pig』(11)、ふたたび人体の発する音に着目した『A Nude』(16)などコンセプチュアルな作品が目立つ一方、『The Shakes』(15)や『Musca』(21)では彼の出自たるダンスの喜びとせつなさを大いに味わうことができた。パンデミック前は意欲的にサウンドトラックにも挑戦、尖鋭的なドラマーとの目の覚めるようなコラボ『Drum Solo』(22)もあった。彼の好奇心が絶える日は永遠に訪れないにちがいない。

 この唯一無二の才能が新たに挑んだテーマは、馬。気になる動機は以下の発言で確認していただくとして、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラと組んだ新作『The Horse』ではサウンド面でも新たな実験が繰り広げられている。馬の骨はじめ、全体としてはフィールド・レコーディングの存在感とフォーク・ミュージック的な気配が際立っているが、自身のルーツの再確認ともいえるダンス寄りの曲もある。コンセプトとサウンドの冒険が最良のかたちで結びついた力作だと思う。
 もっとも注目すべきはシャバカ・ハッチングスの参加だろう。ほかにもセブ・ロッチフォード(ポーラー・ベア)やエディ・ヒック(元ココロコ)、シオン・クロスと、サンズ・オブ・ケメット周辺の面々が集結している。2010年代に勃興したUKジャズ・ムーヴメントのなかでも最重要人物たるハッチングスまわりとの接続は、長いキャリアを有するハーバートが現代的な感覚を失っていないことの証左だ(ハッチングスが若いころに師事した即興演奏のレジェンド、エヴァン・パーカーの客演も大きなトピックといえよう)。

 ちなみに本作で馬との対話を終えた彼は現在、バナナに夢中だという。スーパーやコンビニなど、いまやどこにでも安価で並んでいるバナナ。その光景がグローバリゼイションと搾取のうえに成り立っていることを80年代初頭の時点で喝破したのが鶴見良行『バナナと日本人』だった。どうやらいまハーバートもおなじ着眼点に行きついたらしい。早くも次作が聴きたくなってきた。

彼にお願いしたことは、「フルートを演奏した世界初のミュージシャンになった気持ちを想像しながら演奏してくれ」ということだけ。彼が参加してくれたのはほんとうに光栄なことだった。シャバカ・ハッチングスというミュージシャンはつねに疑問を持ち、考えている。

新作のテーマは「馬」です。音楽と馬との関わりでまず思い浮かべるのは、ヴァイオリンの弓が馬のしっぽからつくられていることです。つまりクラシック音楽の長い歴史は、馬なくしては成り立ちませんでした。また音楽以外でも馬は、移動手段としての利用をはじめ、人間と長い歴史を有しています。今回馬をテーマにしたのはなぜなのでしょう?

H:じつは最初から馬を選んだわけじゃないんだよ。馬のほうからぼくを選んでくれたんだと思う。最初のアイディアは、なにか大きな生き物の骸骨を使ってレコードをつくるといういうものだった。そこで eBay でいちばん大きな骸骨を検索したんだ。ティラノサウルス・レックスとか、恐竜のね。でもそれはなくて、購入することができるいちばん大きな骨は馬の骨だったんだ。だから馬の骨を買ったら、数週間後にものすごく大きな箱がスタジオに届いてさ(笑)。「なんてことをしてしまったんだろう」とそのときは少し後悔したよ(笑)。でもぼくはその骨格から楽器をつくりはじめて、それで音楽をつくりはじめた。そしたらどんどん馬の魅力に夢中になっていったんだ。馬や、馬にまつわる物語にね。馬は、猫なんかよりもはるかに深く人間とつながっている。人間と多くの関係をもったナンバーワンの動物なんだ。そこで、馬は自然界と人間の関係の謎を解き明かす鍵であり、その関係をあらわすとても素晴らしい比喩になると思った。そんな成りゆきで、今回のアルバムを作るに至ったんだよ。

通訳:そもそもどうして骸骨を使いたいと思ったのでしょう?

H:正直、それは覚えてない。そのアイディアを気に入ったのはたぶん、骨というものが多くの動物が共有するものだからだったと思う。骨は見えないけれども私たちのなかに存在しているものだから。毎回レコードをつくるたびにぼくにとって重要なのは、その作品制作をとおしてなにかを学ぶことなんだ。自分が知らないことに触れ、それを学び、そしてそれをオーディエンスを共有することがぼくの野心なんだよ。

以前は「豚」をテーマにしたアルバムを出していますよね。それと今回の「馬」とは、テーマのうえでどう異なっているのでしょう?

H:豚の場合、あれは一匹の豚の人生の旅路がアルバムの大きなテーマだった。その豚が生まれてから食べられるまでの人生を記録したのがあの作品。そして、その豚が食べられた瞬間にその記録はストップするんだ。その記録はある意味ドキュメンタリーのようなもの。ある一匹の豚のドキュメンタリー、あるいは物語なんだよ。僕は、あの一匹の動物の一生のほとんどすべてを知っていた。その豚が生まれたときも、食べられたときもその場にいたし、旅の間中ずっと一緒だった。でも今回の馬についてはなにも知らないんだ。競走馬であること、ヨーロッパ生まれであること、そしてメスであることだけは知っているけど、知っているのはその3点のみ。だから今回のアルバムはほとんどその馬の死後の世界のようなもので、その馬の霊的な旅、幻想的な旅、神聖なる旅といった感じなんだ。馬の骨を手にしたときからすべてが未知だった。つまりぼくにとってこのアルバムはドキュメンタリーではなく、探検や未知の世界であり、かなり抽象的な作品。この馬は数年前に亡くなったんだけれど、ある意味アルバムをつくることで、その馬のために死後の世界を作ったようなものなんだ。

非常にさまざまな音が用いられていますが、制作はどのようなプロセスで進められたのでしょうか? リサーチと素材の収集だけでかなりの時間を費やさなければならないように思えます。

H:そう。かなり大変だったね。今回はレコードの制作期間が半年しかなかったから、骨組が届いてから完成するまではとても早かった。最初はなにをどうしたらいいのかわからないままアルバムづくりをスタートさせて、まずヘンリー・ダグに脚の骨を使って4本のフルートをつくってもらったんだ。そのあと骨盤からハープをつくってもらい、サム・アンダーウッドとグラハム・ダニングに骨を演奏できる機会をつくるのを手伝ってもらった。そうやってできあがった新しい楽器の演奏方法を発見しながら素晴らしいミュージシャンにそれを演奏してもらったんだ。とにかく即興で音を演奏し、ストーリーをつくっていった。今回はカースティー・ハウスリーという監督と一緒に作業をしたんだ。彼女はイギリスの有名なシアター・カンパニー Complicite で多くの演劇を手がけている。そしてもうひとり、イモージェン・ナイトというムーヴメント・ディレクターとも一緒に作業した。ぼくと彼女たちの3人は、ドラマツルギー(戯曲の創作や構成についての技法、作劇法)について考え、物語の構成や内容について考えることにかなり長い時間を費やし、この馬の骨にまつわるストーリーと、音楽にまつわるすべての可能性について話しあったんだ。最初のアイディアがエキサイティングであったと同時にすごく厄介だったし、時間も限られていたから、けっこう途方にくれてしまってね。そこでカースティーとイモージェンが物語の構成を考えるのを手伝ってくれたんだ。

アウトサイダーやエキセントリックなひとたち、もしくはシーンの端っこで面白い音楽を作ってきたひとたちをこのレコードに招き、ここで彼らに自分の居場所を見つけてほしかったんだよ。そして彼らをこの空間で祝福したかったんだ。

今回の制作でもっとも苦労したことはなんでしたか?

H:もっとも苦労した、というか大変だったのは、その馬に対して誠実で忠実な作品をつくること。ぼくはその馬のことをなにも知らなかったから、自分が知らないものについて音楽をつくるというのはかなり難しいことだった。まるで、会ったこともないだれかのプロフィールを書くようなものだからね。もうひとつは、骨という唯一残されたその馬の一部に魂を見出すこと。骨はぼくが持っているその馬のすべてだったから、もちろんぼくはその骨に敬意を払いたかった。でも骨というものに魂を見出すことが最初は難しくてね。生きているものと違って、骨はカルシウムと炭素とシリコンでできている。骨はもう生きていないわけで、生き物の遺骨と魂の関係とは何かを考えるというのが、ぼくにとってはすごく複雑だったんだ。

“The Horse’s Bones And Flutes” では、馬の骨からつくられたフルートをシャバカ・ハッチングスが演奏しています。彼はサックス奏者ですが、日本の尺八などさまざまな管楽器を探究しています。また彼はアフリカの歴史を調べたり、非常に研究熱心です。彼の探究心について、あなたの思うところをお聞かせください。

H:最初に今回の件を依頼したとき、彼は「無理だね。俺には演奏できないよ」と言ったんだ。でも、もちろん彼は才能あるミュージシャンだから、10分後には完璧にフルートを演奏していた。そこでマイクをセットし、ひたすら彼に演奏してもらい、2時間かけてそれを録音したんだ。そしてその演奏をとにかく聴きまくりながら、僕らはたくさん話をした。僕が最初に彼にお願いしたことは、「フルートを演奏した世界初のミュージシャンになった気持ちを想像しながら演奏してくれ」ということだけ。そこから2時間の即興演奏ができあがり、ぼくがそのなかからとくにいいと思った部分をいくつか取り出し、曲をつくりあげたんだ。ぼくは彼の探究心が大好き。だからこそ彼を選んだし、彼が参加してくれたのはほんとうに光栄なことだった。シャバカ・ハッチングスというミュージシャンはつねに疑問を持ち、考えている。音楽というものはときに超越を意味するものだと思うんだ。そして、考えるということと降伏することのあいだにはとても複雑な関係がある。彼はかなり興味深い視点やヴィジョンを持ってるんだ。演奏や即興をやっているときはとくにそう。彼は演奏しているときつねに考え、つねになにかを創造しながらも、そこには同時に自由が存在する。彼のなかではそのアンバランスが成り立っていているんだよ。自由で好奇心旺盛でありながらなにかを達成しようとするのはすごく難しくて複雑なことだと思う。でも彼はそれをとてもうまく表現できていると思うね。

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人類が最初に音楽をデザインしたとき、それは複雑なものではなかった。でも人間が進化するにつれて、音楽もより複雑に進化してきた。だからぼくたちは出だしのほうの音をすごくシンプルなものにしたかったんだよ。

本作にはポーラー・ベアのセブ・ロッチフォードや元ココロコのエディ・ヒック、またシオン・クロスも参加しています(全員サンズ・オブ・ケメットでも演奏経験あり)。2010年代後半はロンドンを中心に新たなジャズのムーヴメントが勃興しました。これまでもジャズを小さくはない要素としてとりいれてきたあなたにとって、そのムーヴメントはどのように映っていますか?

H:イギリスには昔から面白いジャズが存在していて、その歴史は長い。以前は新しい世代は昔からの物語を引き継ぎ、昔からのまともなジャズを継承してきたんだ。イギリスのジャズにはつねに、ある種のアンダーグラウンドで探究的な伝統が尊愛してきたからね。でもいまはジャズとダンス・ミュージック、そしてリズムのあいだですごくエキサイティングなコラボレーションがおこなわれていると思う。ジャズの歴史のなかでリズムというのはこれまでとくには追求されてこなかったと思うんだ。でもいまの新しい世代は、ダンス・ミュージックからリズムとアイディアを借り、それを即興演奏にとりいれている。しかもそれをかなりうまくやっていると思うね。ぼく自身そういったサウンドが大好きだし、例えばシオン・クロスのようなミュージシャンはチューバを演奏しているけれど、ぼくはそこが好きなんだ。チューバは通常ジャズの楽器ではないからね。新しい楽器、新しい音、そして新しい声を見つけるというのは本当にエキサイティングだと思うし、彼らが集まっていっしょに演奏するようなコラボレーションがあるのもこのシーンの素晴らしさだと思う。彼らは互いにサポートしあっているし、まるでエコシステムのように機能している。ほんとうにポジティヴだと思うよ。

ひるがえって、エヴァン・パーカーやダニーロ・ペレス(Danilo Pérez)といった巨匠も参加しています。彼らを起用するに至った理由は?

H:エヴァン・パーカーはぼくの近所に住んでいるんだ。彼とは友人の紹介で知り合い、参加してもらうことになった。ダニーロ・ペレスとは数年前パナマで一緒に映画のサウンドトラックを制作したことがあって知り合ったんだ。ぼくにとって今回のレコードに昔の世代のミュージシャンも招くのは重要なことだった。今回は若い世代から年配の世代まで、幅広い世代のアーティストをフィーチャーしたくてね。楽器の製作者にかんしても同じ。ヘンリー・ダグは昔の世代の楽器製作者だし、ぼくらは彼以外に若い楽器製作者にも参加してもらった。ぼくはアウトサイダーやエキセントリックなひとたち、もしくはシーンの端っこで面白い音楽を作ってきたひとたちをこのレコードに招き、ここで彼らに自分の居場所を見つけてほしかったんだよ。そして彼らをこの空間で祝福したかったんだ。

馬と権力はこれまでずっと結びついてきたし、いまでもそれは続いている。王や貴族、権力を象徴するものとして。馬に乗れるということは、自然をコントロールできるということなんだ。馬は権力と自然を支配することの象徴なんだよ。

通訳:エヴァンとダニーロとの実際に曲づくりをしたプロセスを教えてください。

H:エヴァンは、彼がぼくのスタジオに来て、彼に骨のフルートを渡し即興で演奏してもらった。彼はサックスも吹いているんだけど、あれがいちばんの成功だったと思う。というのは、今回のアルバムでぼくにとって大切だったのは、音楽が自由であることだったから。その自由さで、馬の精神、想像力の精神、音楽家の精神を表現し、それを感じてもらいたいと思っていたんだ。エヴァンはそれを表現してくれた。彼は自由に、とても美しく、感動的なものをもたらしてくれたんだ。
 ダニーロとの作業はそれとは少し違っていた。パナマでレコーディングし、彼にも即興で演奏してもらったんだけれど、彼には馬と対話するように演奏してもらうようお願いしたんだ。「馬が出す音を聴いて、それに合わせてピアノを弾くれ」ってね。そうすることで新しい表現の形をいっしょにつくっていった。その異なるプロセスがそれぞれ違ったものをもたらしてくれたんだ。

2曲目の太鼓の響きや4曲目の旋律などからは、西洋ポピュラー・ミュージックとは異なる、民族音楽やフォーク・ミュージックと呼ばれるものを想起しました。そういった点もテーマの「馬」と関係しているのでしょうか?

H:原始的な楽器を使ったから、民族音楽のように聞こえないことはむしろありえなかったと思う。馬の皮やウサギの皮といった動物の皮を引き伸ばして作られたものだから、かなりベーシックな楽器なんだ。そのシンプルな太鼓を演奏しているだけだから、フォーク・ミュージックのように聞こえないほうが難しいと思うね。現代の楽器と比べると、その楽器から得られる音やテクスチャーの幅はかなり限られているから。ぼくは今回のアルバムで音楽の歴史も表現したかったんだ。人類が最初に音楽をデザインしたとき、それは複雑なものではなかった。でも人間が進化するにつれて、音楽もより複雑に進化してきた。だからぼくたちは出だしのほうの音をすごくシンプルなものにしたかったんだよ。2曲目では、最後にひとつのコードが出てくるんだけど、それはハーモニーの出現を表現している。そんな感じで、このアルバムでは音楽の進化も表現しているんだ。だからアルバムの最初のほうはフォーク・ミュージックのようにとてもシンプルにはじまり、そこからオーケストラのようになり、エレクトロニックになっていく。アルバムのなかで、音楽がどんどん複雑で奇妙なものに発展していくんだ。

本作には、かつてサフラジェットのエミリー・デイヴィソンが命を懸けて馬の前に立ちふさがった、その競馬場で録音した音も含まれているそうですね。フェミニズムもまた本作に含まれるテーマなのでしょうか?

H:あの音源を使ったのは、ぼくが権力の表現に興味があるから。もちろんフェミニズムはその重要な一部ではあるんだけれど、フェミニズムがテーマというわけではないんだ。馬と権力はこれまでずっと結びついてきたし、いまでもそれは続いている。王や貴族、権力を象徴するものとして。馬に乗れるということは、自然をコントロールできるということなんだ。馬は権力と自然を支配することの象徴なんだよ。そして、自分たちの楽しみのために馬を競わせる競馬という点もそうだし、女性が権利のために立ち上がるという点もそうだし、あの場面ではいくつかのストーリーがひとつになっているように思えたんだ。権力がどのように交錯するかを説明するための有力なストーリーがね。権力とフェミニズムの関係だったり、権力と環境の関係だったり、貴族制度と競馬、つまりはスポーツやギャンブルの関係、権力と搾取の関係もそう。権力がどのように社会と交差しているのかを表現するのに役立つと思った。ほんの小さな出来事だけれど、僕にとってあの出来事と場所は、権力にかんするいくつかの物語が結晶化したものなんだ。

ダンスフロアはたんにレッドブルやウィスキーを飲むための場所じゃない。ダンスフロアが政治的でありつづけること、政治化されつづけることは、ぼくはすごく重要なことだと思っている。

今回フィールド・レコーディングだけでなく、インターネットから集められた馬の鳴き声も使用されているのですよね? パンデミック中はIT関係のテック企業やシリコンヴァレーのひとり勝ちのような状況になり、富める者がさらに富むような側面もありましたが、それでもインターネットを使わざるをえない現代のアンビヴァレントについてどう思いますか?

H:インターネットのよさは、その巨大さ。インターネットは人間の脳の巨大な地図のようなもの。だから、クリエイティヴな部位もあり、怒りの部位もあり、セクシーな部位もあり、情報の部位もあり、機能的な部位もある。ぼくはその詰まり具合が好きなんだ。インターネットをとおして過去のさまざまな人びとやアイディアとコラボレーションできるのも素晴らしいことだと思う。それに、ぼくは新しい技術を使うことに興味があるんだ。たとえば機械学習とかね。馬の鳴き声を集めるために使ったのがこの技術。このアルバムでは非常に初期の原始的な技術である骨のフルートから機械学習にまで触れたかったんだ。

“The Horse Is Put To Work” や “The Rider (Not The Horse)” にはダンス・ミュージックの躍動があります。90年代~00年代初頭、あなたはハウスのプロデューサーとして名を馳せ、2021年の『Musca』もハウス・アルバムでした。あなたにとってハウス、もしくはダンス・ミュージックとはなにを意味していますか?

H:ぼくが最初にダンス・ミュージックをつくりはじめたころは、ダンス・ミュージックのレコード会社もそれをつくるアーティストもそれほど多くはなかった。それがいまでは何百万人、何千万人という人びとがそれをつくっている。だからダンス・ミュージックは以前と比べると薄くなり、パワーが少し弱くなった気がするんだよね。政治的な意味も希薄になってしまった。とくにハウス・ミュージックはアメリカのブラック・クィア・カルチャーとして、安全にプレイされるための場所としてはじまったのに。ダンスフロアはたんにレッドブルやウィスキーを飲むための場所じゃない。ダンスフロアが政治的でありつづけること、政治化されつづけることは、ぼくはすごく重要なことだと思っている。とくにイギリスでは政治も新聞も、どんどん右傾化してしまっているんだ。そんななかでダンスフロアのような安全な空間をつくり、それを育てていくことはほんとうに重要だと思う。なのにダンス・ミュージックの形態が、音楽的に言えば、少し保守的になってきてしまっているのは残念だよ。気候変動だったり、ぼくたちはいま実存的な危機的状況にあると思う。そんななかで音楽があまりにも保守的だったとしたら、それはぼくらの助けにはなれないと思うんだ。

これまでもあなたは人間の身体やブレグジットなど、さまざまなテーマの作品をつくってきました。ただ音の効果や作曲行為などのみに専念するアーティストがいる一方で、あなたがそうしたなにがしかのコンセプトを自身の音楽活動に据えるのはなぜなのでしょうか?

H:好奇心と、なにかを学びたいという気持ちだろうね。いまぼくは映画やテレビ音楽の仕事をしている。次のプロジェクトはバナナがテーマなんだ。いまはドミニカ共和国でバナナにマイクをくくりつけて、ドミニカ共和国からぼくの朝食として出てくるまでの道のりを録音し、記録しているところ。これはもう映画のような作品なんだ。映画であり、記録ドキュメンタリーでもある。今回バナナをコンセプトにした理由は、ぼくがバナナについてなにも知らないことに気がついたから。毎朝バナナを食べているのに、それについてなにも知らなかったから、バナナについて調べなきゃと思ったんだよね。バナナは世界でもっとも食べられている果物なのに、品種はひとつしかない。そして、パナマ病のせいで危機に瀕している果物なんだ。もしよかったらチキータ・ブランドについて調べてみて。バナナの歴史に暗い影を落としているから。

通訳:以上です。今日はありがとうございました。

H:こちらこそ、ありがとう。

DJ Girl - ele-king

 松島君に、DJ Girl(の曲)はかけるのかと訊いたら、彼は表情を変えずに「かけますよ」と言った。「けっこう盛り上がるんですよ」、と20代のDJは表情を変えずに付け足した。へぇ〜、盛り上がるんだ。いいなぁ、若いなぁ。松島君は表情を変えない。いや、でもね、気持ちはわかるよ。ぼくと同世代人たちも、若者と言える頃はあの手の曲(たとえば「Analogue Bubblebath 4」の1曲目)で狂ったように踊ったものだった。時代は変わっているようで変わっていないが、変わらないようで変わった。デトロイト出身のDJ Girlはジェフ・ミルズの大ファンだった。しかし彼女はジェフ・ミルズの模倣はしなかった。
 
 ぼくがDJ Girlに興味を抱いたのは、ノンディがきっかけだった。ノンディのアルバムは素晴らしい。フットワークとヴェイパーウェイヴとエレクトロニカが融合しスパークする、インターネットにおけるアンダーグラウンドなあやしげな動きから誕生した雑食のダンス・ミュージックで、さらに驚いたのは、彼女のアフロ・アメリカンとしての反抗心を象徴するアートワークのともすれば挑発的な政治性とは裏腹に、彼女が主宰するレーベル〈HRR〉——これがちょっと奇妙で「カワイイ」ことになっているのだ。マイメロ、クロミ ハローキティ? ノンノン? で、このギークな女子コミュニティのなかには8歳のTerri Howardsちゃんもいるし(AFXも真っ青の、「どうぶつの森」のグリッチを聴きたまえ!)、そしてDJ Girlもいると。ノンディの〈HRR〉は、DJ Girlのレーベル〈Eat Dis〉とネット・コミュニティとして繋がっているのだ。……にしてもこれは……いったい……なんというシーンだろうか……衝撃的というか、新しい何かが広がっているというか、恥ずかしながら歳も忘れて興奮してしまった次第なのである。(ノンディのアルバム・コンセプトを思えば、これは閉鎖的なオタク村でも退行現象でもあるまい)
 
 新しいと言ってもDJ Girlは、調べてみると2016年あたりから作品を出しはじめているので、すでにキャリアはある。コロナになって、デトロイトからテキサス州オースティンに移住したという情報も得た。アルバム『Hellworld』はノンディの『Flood City Trax』と同様に〈プラネット・ミュー〉からのリリースで、オールドファンはヴェネチアン・スネアズの『Songs About My Cats』などを思い出したりしている。つまりこれは〈プラネット・ミュー〉らしい作品と言えるのであって、フットワークにブレイクコアの激しさが混ざった“Get Down”ではじまる『Hellworld』には、多彩で奔放な、激しくて愉快なエレクトロニック・ミュージックが8曲収録されている。
  サイボトロンを彷彿させる“Technician”やラップをフィーチャーした“Opp Pack Hittin” にはオールドスクール・エレクトロへの愛情が注がれているかもしれないが、魅惑的なノイズや弾力性のある振動の楽しげな展開は若々しく新鮮だ。子供っぽいというか、いまノりにノっているというか、“Lucky” のような曲で見せる歪んだブレイクビートの暴走の合間に発せられる「俺ってラッキー」という声とのコンビネーションに生じる面白さに、このアルバムのひとつの魅力が象徴されていると言えるのかもしれない。頭が悪そうに見えながら決して悪くはない、いやしかし悪いかもというねじれた愉快な感覚は、おそらくはAFXに端を発しているのだろうけれど、サウンドでそれをうまく表現することは決して簡単なことではないのだ。もっとも、“When U Touch Me”のようなナイトコアの曲までこの老害が楽しめるはずはなく、本作を必聴盤と言うつもりもないけれど、面白いのはたしかです。エネルギーとユーモアがあって、“So Hot”のような曲を松島君が表情を変えずにDJでかければ、フロアはきっと笑顔に包まれるのだ。君たちの未来は明るいぞ。Peace!

Meitei - ele-king

 日本文化をテーマにする広島のプロデューサー、冥丁の国内ツアーが開催されることになった。7月21日にリイシューされるファースト・アルバム『怪談』(オリジナルは2018年)をベースにしたライヴ・セットとのことで、これは貴重な機会だ。東京、豊田、和歌山、熊本、福岡、うきは、京都の7都市を巡回。会場もユニークなところが多そうで、土地全体、空間全体で音楽を楽しめるかもしれない。詳しくは下記より。

Nondi_ - ele-king

 ジューン・タイソン。彼女はいまの私の母と同じくらいの年齢だが、私が母にジューンの話をしたとしても、きっと誰のことなのかわからないだろう。ジューンはいわば盗賊団のなかの女神で、サン・ラーのもっとも有名な曲の数々を歌った偉大な声だった。また、彼女は私が初めて出会った、実験的な音楽に取り組む黒人女性でもある。

 2023年の現在、さて、どれだけの黒人女性が冒険的な音楽活動を成し遂げているのか、数えるのは難しい。ダンスやR&B、ラップなど主流の音楽では、慣習の外に踏み出す人はほとんどおらず、いま、私の頭に浮かぶのはわずか3人だ。NkisiMoor Mother、そしてLazara Rosell Albear。みんなそれぞれ素晴らしい、が、金メダルに値するのは間違いなくNondiだろう。 彼女の『Flood City Trax』はすでに、ジャンル分けなど許さないエクレクティックな音世界を持っている。

 アルバムには、ジュークにインスパイアされたという彼女の言葉通りハードコアなトラック、“01-25-2022 ” がある。この曲は刺激的な故障であり、説明するのが困難なほど背徳的だ。女王の鞭よりも鋭い殺人的な魅惑をもって、クラブでリピートされもしたら胴体は疲労困憊してもなお回旋し続けるだろう。しかし、それは1曲だけ。このアルバムの真のリズムは、1曲目の "Floaty Cloud "からはじまる。ヴェイパーなメロディ、DIYベッドルーム・プロダクション、そして決して途絶えることのないビート。これはフロア専用のダンス・ミュージックではないし、そうなるように作られたものでもない。Nondiが駄菓子屋の子供のように自分の正直な気持ちに従ったことは明らかで、私たちは、彼女のこの知恵によってますます祝福される。夢見心地は早い段階からはじまり、最後のトラックまで止まらない。が、ジューク・ミュージックが安定を保つための地面に杭を打っているとしたら、彼女のオーラル・ヴィジョンの焦点はそこではないのだ。

 ジューン・タイソンのことを考えると、彼女の声は同時にラーの声でもあった。ジムクロウ時代を生き抜いた彼女らの世代は、貧しい隔離されたコミュニティで育ち、白人の差別主義者が所有する農園(プランテーション)の近くに住むか時給自足の暮らしをしていた。私はジューン・タイソンの美しさに、斧を持ったカントリー・ウェアの女性が佇むこの反抗的なジャケットと同じ感覚を覚える。他方でそれは、『カラーパープル』の記憶をよみがえらせもする。あの、貧しくても反抗的な姿勢を。これこそFAFO*ってヤツだ。

 また、このジャケットは、多くの黒人がよく知っている状況を明確に示してもいる。何百万人もの人びとの命を剥奪した1970年代以前の南部の生活を思い出しながら、この女性は斧を持って復讐に燃えているのだ。

 そして、新しいシンセサイザーの宝庫を切り開く準備ができている。ジャケットに描かれた小作人のイメージと、各トラックから発せられる鮮やかな色のコントラストは、Nondiのトラックスとその意図の奥に染み込んだフューチャリズムの深さを示している。これは、黒人としての生活の重圧に苦しむ魂を癒す温かいサウンドだ。Nondiは、私の飢えた心に語りかけてくる。K-POPやフェイクDJに疲れ、私はひとつの様式などには留まらないミュージシャンを渇望している。ようこそ、Nondi。


*「FAFO」はもともとブラック・イングリッシュ。2022年に米ポップ・カルチャーの文脈でも流行り、同年の流行語大賞に選ばれた。「火遊びをすると火傷するかもしれない」、あるいは「もう火傷してしまった」ということを伝える生意気な表現だったが、いっぽうでは「斬新な挑戦に遭遇したときの」仲間の「気概」を表現しているとし、Urban Dictionaryではこのフレーズに「自信の表明」の意味も含めている。


Nondi_ / Flood City Trax / Planet Mu

June Tyson. About my mother`s age now but if I mentioned June to her, I’m sure she’d have no idea who she was. But June was a goddess among thieves, she was the grand voice of many of Sun Ra`s most famous songs. She was also the first Black woman I ever encountered doing experimental music. And to be sure even in 2023, it is damn hard to count how many Black women embrace eclectic music outright. Sure dance, Rnb, rap etc, they dominate but outside of convention few tread. I can only count 3 off hand. Nkisi, Moor Mother, and Lazara Rosell Albear. All amazing in their own right but Nondi is definitely going for the gold medal. With “Flood City Trax”, she already has an eclectic sound world that mentions genres and promptly ignores them. By her own words, she was inspired by Juke and indeed there is a hardcore Juke track, “01-25-2022”. To say that the track smacks fails to illustrate how vicious it is. A killer headturner sharper than lashes from a dominatrix. If on repeat at a club, torsos would gyrate into exhaustion. But that is only one track. The true rhythm of the album starts from 1st track “Floaty Cloud Dream”. Vapor melodies, DIY bedroom production, and a beat that never truly snaps. This is not foot to the floor dance music nor was it made to be. It’s clear that Nondi follows her voice like a kid in a candy shop. We are all the more blessed by this wisdom. The dreaminess starts early and doesn’t stop til the very last track. While Juke music is a stake in the ground for stability, it isn’t the focus of her aural visions.

In thinking of June Tyson, she was the voice of Ra just as much as he himself was. Their generation straight out of the Jim Crow era, grew up in poor, segregated communities, DIY living near or on plantations owned by white racists. When I think of the beauty of June Tyson, I get the same feeling with the defiant cover of the woman in country clothes carrying an axe. It immediately conjures memories for me of the Color Purple. Poor but defiant. A real FAFO attitude.

The cover is a clear nod to conditions that many Black people know all too well. Recalling pre1970`s southern life that greatly disenfranchised the lives of millions, the woman is instead vengeful holding an axe ready to defend my people and cut open a treasure trove of new synth sounds too. The extreme contrast between the share cropper imagery from the cover and the vibrant colors emanating each track shows the depth of futurism seeping deep in the trax and intention of Nondi. Warm sounds that soothe souls suffering from the weight of Black life. Nondi is a musician that speaks to my starving heart. With K-pop and fake dj fatigue, I am famished for a musician that doesn’t give a fuck about clear genres. Welcome Nondi.

Aphex Twin - ele-king

 諸君、歓喜のときだ。エイフェックス・ツインが帰ってくる。
 6月からヨーロッパ各地のフェスに出演しひさびさに存在感を高めていた彼だけれど、会場には謎のインスタレーションが出現していたとかで、さまざまな憶測が飛び交っていた。昨日はここ日本、渋谷のレコード店にロゴをあしらったQRコードが登場したばかり(アクセスするとARが展開され、アンビエントが流れだす)。そういえば先日も、彼の音楽にかんする本の刊行が報じられたり、突如アルカがリチャード・D・ジェイムズとの2ショット写真を公開するなんてサプライズもあった。急に増える話題……ファンならよくご存じだろう、これはなにかのサインである。
 答えあわせ。7月28日にEP「Blackbox Life Recorder 21f / In a Room7 F760」がリリースされる。フォーマットはCD、LP、デジタル/ストリーミングの3形態。現時点での最新作は(ライヴ音源を除けば)2018年の「Collapse EP」だから、5年ぶりの新作だ。問答無用、公開された新曲 “Blackbox Life Recorder 21f” を聴きながら発売日にそなえるべし。

エイフェックス・ツイン
『Blackbox Life Recorder 21f / In a Room7 F760』
5年ぶりとなる最新作を突如発表!
高音質UHQCD仕様/特殊パッケージの限定盤や
Tシャツ・セット、各種特典も一挙公開&予約受付開始!

エイフェックス・ツインによる待望の最新作『Blackbox Life Recorder 21f / In a Room7 F760』が7月28日にリリース決定! 5年ぶりとなる新曲「Blackbox Life Recorder 21f」が合わせて解禁された。

Aphex Twin - Blackbox Life Recorder 21f
https://youtu.be/mEkZbWYUego

6月9日にコペンハーゲンの音楽フェスティバル〈Syd For Solen〉に出演したのを皮切りに、ストックホルムの〈Rosendal Garden Party〉、オランダの〈Best Kept Secret〉、バルセロナの〈Sonar〉で最新のライブセットを披露し、話題沸騰中のエイフェックス・ツイン。今後もイタリアの〈Castello Scaligero〉、ベルギーの〈Dour Festival〉、ロンドンの〈Field Day〉、ポルトガルの〈Kalorama Festival〉、ブリストルの〈Forwards Festival〉でのヘッドライナー出演が予定されている。

新作発表に先立って、各フェス会場では謎めいたインスタレーションが登場し、Redditなどの掲示板サイト上でファンが様々な妄想を繰り広げていた。そして現在では全世界のレコードショップにロゴが隠されたポスターが貼り出され、QRコードをカメラで読み取ることでエイフェックス・ツインの拡張現実世界に入り込むことができる。

エイフェックス・ツイン最新作『Blackbox Life Recorder 21f / In a Room7 F760』は、7月28日にCD、LP、デジタル/ストリーミング配信でリリース! 高音質UHQCD仕様(全てのCDプレーヤーで再生可能)の国内盤CDは、312mm×312mmサイズの特殊パッケージとなる限定盤と通常盤、LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、Beatink.com限定盤(クリア・ヴァイナル)が発売される。国内盤CDと日本語帯付き仕様のLPには解説書を封入。また国内盤CD、Beatink.com限定盤LP、通常盤LPは、数量限定のTシャツ付きセットの発売も決定!

なおタワーレコードでは新作のロゴ缶バッジ2種セット、HMVでは、ツアーポスターのロゴ・マグネット、diskunionでは、ツアーポスター・デザインのアートカード、amazonでは、新作のロゴ・マグネット、Beatink.comでは新作のロゴ・ステッカー2種セット、その他の対象店舗では、ジャケットデザインのステッカーを購入者に先着でプレゼント。


TOWER RECORDS
ロゴ缶バッジ2種セット


HMV
ロゴ・マグネット


diskunion
アートカード


amazon
ロゴ・マグネット


Beatink.com
ロゴ・ステッカー2種セット


その他の対象店舗
ジャケ・ステッカー

label: Warp Records
artist: APHEX TWIN
title: Blackbox Life Recorder 21f / in a room7 F760 (ブラックボックス・ライフ・レコーダー 21f / イン・ア・ルーム7 F760)
release: 2023.7.28 FRI ON SALE

Beatink.com
Tower Records
HMV
diskunion
Digital

Tracklist:
1. Blackbox Life Recorder 21f
2. zin2 test5
3. In a Room7 F760
4. Blackbox Life Recorder 21f [Parallax Mix]

ele-king vol.31 - ele-king

特集:コーネリアスの帰還
ロング・インタヴュー/新作『夢中夢』を考察する
砂原良徳

第2特集:日本の埋もれた宝石たち
日野浩志郎/downt/Peterparker69/SUGAI KEN
17人が選ぶ秘蔵の1枚
ほか

小山田圭吾インタヴュー
コーネリアスの帰還──騒動を経てからリリースされる新作『夢中夢』の核心にあるものとは?(取材:北沢夏音+野田努/写真:野田祐一郎)

reviews
非常に正直な作品だと私は感じている(大久保祐子)
これはコーネリアスの話ではなく、彼のニュー・アルバムと出会う自分自身の物語(イアン・F・マーティン/訳:江口理恵)
「新しい生活様式」から現実生活への中継地点で見る、覚めそうで覚めない「夢中夢」(水越真紀)

columns1
コーネリアスから広がるアンビエント/ニューエイジの音風景(小林拓音)
columns2
音楽表現におけるトランスグレッションとその限界、あるいはいまだパンクに夢見る人のための「エッジィ」でも「クール」でもない未来へのメモ(野田努)

砂原良徳インタヴュー
TESTSET のアルバムを完成させた砂原良徳に話を訊く(取材:野田努/写真: 小原泰広)

特集:日本の埋もれた宝石たち

日野浩志郎インタヴュー
10年代日本が生んだ最高の実験主義者(取材:小林拓音/写真:小原泰広)
・日野浩志郎 selected discography (編集部+竹中コウタ)
downt インタヴュー
新風を巻き起こす3ピース・バンドが目指すもの(取材:天野龍太郎/写真:小原泰広)
Peterparker69 インタヴュー
流れを変える新世代ポップ・ユニット(取材:つやちゃん/写真:小原泰広)
SUGAI KEN インタヴュー
世界で評価される神奈川のプロデューサー(取材:小林拓音/写真:小原泰広)
・SUGAI KEN selected discography (編集部)

17人が選ぶ秘蔵の1枚
(青木絵美、浅沼優子、天野龍太郎、大塚広子、岡部真依子、KLEPTOMANIAC、後藤護、柴崎祐二、島崎森哉、髙橋勇人、つやちゃん、デンシノオト、野田努、野中モモ、原雅明、細田成嗣、yukinoise)

VINYL GOES AROUND PRESENTS
そこにレコードがあるから
第1回 ジェイ・ティー(水谷聡男×山崎真央)

この人たち、すっかりAIにハマっております!(マシュー・チョジック、水越真紀、野田努)

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
TSUTAYAオンライン
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
Yahoo!ショッピング
HMV
TOWER RECORDS
disk union
紀伊國屋書店
honto
e-hon
Honya Club
mibon本の通販(未来屋書店)

全国実店舗の在庫状況
紀伊國屋書店
三省堂書店
丸善/ジュンク堂書店/文教堂/戸田書店/啓林堂書店/ブックスモア
旭屋書店
有隣堂
◇くまざわ書店 *
TSUTAYA
未来屋書店/アシーネ

* 発売日以降にリンク先を追加予定。

bar italia - ele-king

 謎が音楽を面白くする。もちろんそうだ。ゾクゾクする美しい悪夢のようだった前作『bedhead』がそうだったように、謎に包まれたバー・イタリアはずっと僕の心をとらえて離さなかった。ディーン・ブラントが主宰する〈World Music〉からリリースされた2枚のアルバムは、そのどちらも1分あるいは2分と少しの短い曲をまるで映画のシーンのように繋ぎ合わせてひとつの物語、イメージを作り出すというスタイルで、ディーン・ブラントの匂いがそこから強く発せられていた。ミステリアスで、どこか人を喰ったようなユーモアを持ち、そしてこぼれ落ちていく夢のようにはかなく美しい音楽を作る、バー・イタリアとはそんな存在だったのだ。
 だがそれから2年の時間が経って、そのヴェールが少しずつはがされてきた。バー・イタリアはディーン・ブラントとコペンハーゲンで展覧会を開いていたイタリア人女性ニーナ・クリスタンテとサウス・ロンドンを拠点に活動するユニット、ダブル・ヴァーゴのジェズミ・タリック・フェフミとサム・フェントン、3人によるバンドであり、そうして信じられないくらいにドキドキと胸を高鳴らせる存在であると、そんな風にしてバー・イタリアはその姿を現したのだ。

 バー・イタリアについての流れが変わったのは2022年の2月 “Banks” と呼ばれる曲がリリースされたときだったように思う。顔も名前も、公式的に一切の情報を出していなかったバンドが、この曲のビデオで初めてその存在を露わにした。暗い街を歩く男と女と男、3人の佇まい、そしてバランスは強い引力を持っていて『突然炎のごとく』あるいは『はなればなれに』のような古く素晴らしい白黒映画のショットが頭に浮かぶくらいに「3」という数の魅力をこれでもかと表現していた(たぶんこのヴィジュアルから入ってもきっと裏切られることはなかった、そう信じられるくらいの雰囲気を持っていた)。
 そして音楽も変わった。“Banks” とその後に発表された “miracle crush”、“Polly Armour”、2022年の3曲はディーン・ブラントの成分が薄まり、しかしその匂いをかすかに残したまま、90年代前半の音楽に影響されたようなインディ・ロックに近づきスラッカーなギターを響かせていた。あるいはこれはダブル・ヴァーゴの嗜好が強く出たものなのかもしれない。このバー・イタリアの曲たちは2ndアルバムまでの音楽よりも、ヴィーガン(Vegyn)のレーベル〈PLZ Make It Ruins〉からリリースされたダブル・ヴァーゴのEPの方により近い。わずかにシューゲイズするギターにグランジ、宅録、ポスト・パンク、陰鬱な雰囲気の中にそれらを内包した2022年のバー・イタリアはインディ・ロック・バンドとしての魅力に満ち溢れていた。
 ドキドキするような興奮が高まっていくのを僕はこの期間にずっと感じていた。謎が次第に明らかになり、その下にあるものが徐々に姿を現す。この先に何が起きるのか、これはいったい何なのか? 期待を抱え次へ進み理解しようとしていく、それはもしかしたら自分がインディ・ミュージックに惹かれていく理由の大きな部分を占めているものなのかもしれない、そんなことを考えるくらいにバー・イタリアに引き寄せられていたのだ。

 だからある意味で〈Matador Record〉と契約し、2023年にリリースされたこのアルバム『Tracey Denim』はバー・イタリアの実質的なデビュー・アルバムに近いのではないかというそんな気がしている。明らかにギアを入れ替え、違った音楽性で送り出す集大成の音楽、2ndアルバムまでの音楽はまるで同じメンバー、同じ名前の前身バンドの音楽だったみたいに、そんな風に感じられるのだ(そうでありながら、22年のあの素晴らしかった3曲を一曲たりとも収録しないというところにもバー・イタリアの美学を感じる)。ピアノのリフがエディット感を醸しだし〈World Music〉期を思い起こさせるオープニング・トラックの “guard” から、初期のソーリーと共振するようなグランジ感のある “Nurse!” へと繋がっていくのはあるいはそれを象徴しているのかもしれない(そこにあるのは混ざり合い変わっていくバンドの姿だ)。
 アルバム全体に漂う陰鬱でアンニュイな雰囲気、暗くロマンティックなムードで静かにそして憂鬱に爆発する “NOCD”、まとわりつくギターのフレーズに虚無がオーヴァーラップしてくるような “yes i have eaten so many lemons yes i am so bitte”、“changer” ではその虚無はより繊細な面を覗かせる。それらはまるであてもなく街を彷徨い、居場所を探す主人公の姿を追った映画のサウンドトラックのように響いていく。この雰囲気こそがバー・イタリアの最大の魅力ではないかと思う。描写の仕方のセンス、音を使って空気を作り、漂う香りを感じさせ、そうしてそこに聞くものが入り込めることが出来るような隙間を残す。憂鬱でドキドキさせるような音楽でありながら決して突き放しはしない。だからこそこんなにも胸を高鳴らせ夢中にさせるのだ。

 ジャケットに写る3人の姿を見てこれから上映される物語を想像し、そうして再生ボタンを押して音楽を流す。〈World Music〉期よりもはっきりと歌い継がれるようになった男女3人の声が切り替わるそのタイミングで曲のムードが変わり、ギャップが生まれ、そうしてその隙間の中に心が吸い込まれていくように沈んでいく。完成していない、隙間のある完璧な音楽、バー・イタリアの存在は次の瞬間に何かが起こるのではないかと、心に静かな波をずっと打ち続けてくる。そんな存在に夢中にならないわけがない。

goat - ele-king

 日本が誇る最高の実験主義者、日野浩志郎によるバンド・プロジェクトが goat だ。昨年末、大阪にて5年ぶりのライヴを敢行した彼らは、先日《FUTURE TERROR》にて東京でも5年ぶりのパフォーマンスを実現したばかり。そして結成10周年を迎える今年、ついにバンド史上初となる国内ツアーが決定した。名古屋、東京、京都、広島、熊本、和歌山、香川の7年を巡回。新しいアルバム(8年ぶり!)も控えているとのことで、タイミング的にも見逃せないショウです。なお、7月5日発売の紙エレ最新号には日野浩志郎が登場、goat についても語ってくれていますのでぜひそちらもお手にとってみてください。

goatが結成10周年を記念した初の国内ツアーを発表

大阪を拠点とする音楽家 日野浩志郎を中心に結成されたリズムアンサンブル「goat」が、結成10周年を記念とした初の国内ツアーを行う。
日野は電子音楽ソロプロジェクト「YPY」をはじめ、昨年発売されたアルバムが海外を中心に大きな反響があったチェロと電子音楽のデュオ「KAKUHAN」や、舞台音響作品「GEIST」の演出・作曲を行う他、全編日野が作曲を行った太鼓芸能集団 鼓童との音楽映画「戦慄せしめよ/Shiver」(豊田利晃監督、2021年)が公開されるなど様々なフィールドで活躍を続けてきた。その日野のメインプロジェクトと言える「goat」はこれまで海外ツアーを基盤とした活動を行っており、昨年末に大阪で行われたワンマンライブは約5年ぶりとなる国内公演であった。

goatはオリジナルメンバーの日野、田上敦巳、安藤暁彦に加え、MANISDRON/The Noupのドラマー岡田高史と、元鼓童の篠笛・パーカッション奏者である立石雷という5人編成で活動中である。約8年ぶりとなる新作アルバムの発表も控えており、ライブでは新アルバムに収録される新たな楽曲に加え、5人編成の新アレンジとなる既存曲も披露する。

貴重なライブである上、goatとしては初となる今回の国内ツアーは各所必見。中でも東京・京都公演はgoat主催の企画となり、京都公演に関してはロームシアター京都と共催した2日間に渡るイベントを行う。

公演に関する追加情報は下記アカウントから告知していきます。
【goat Instagram】https://www.instagram.com/goat_band_jp/
【goat Twitter】https://twitter.com/goatJp

goatツアースケジュール
8/25 名古屋公演 新栄シャングリラ
8/27 東京公演 渋谷WWW X
8/31-9/1 京都公演 ロームシアター京都 サウスホール
9/2 広島公演 浄泉寺(尾道)
9/3 熊本公演 NAVARO
9/8 和歌山公演 LIVE SPACE MOMENTS
9/9 香川公演 sound space RIZIN'(高松)


日程:2023年8月25日(金)
会場:新栄シャングリラ
開場19時 開演19時30分予定
前売り 4,000円 / 当日 4,500円 +1drink order(未就学児童入場不可)
協力:subcontext
お問合せ:https://subcontext.jp/contact/
詳細は後日発表
【チケット予約】
LivePocket https://t.livepocket.jp/e/goat-nagoya0825


日程:2023年8月31日(木)、9月1日(金)
会場:ロームシアター京都 サウスホール
開場18時予定 変更の可能性有り
DAY 1:前売り 5,500円 / U25 4,000円 / 当日 6,000円
DAY 2:前売り 5,000円 / U25 3,500円 / 当日 5,500円
共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
詳細は後日発表
【チケット予約】
DAY 1 ※goat出演はDAY 2のみ。
https://toritomokai.zaiko.io/_buy/1uUr:Rx:a7d29
DAY 2
https://toritomokai.zaiko.io/_buy/1uUs:Rx:7cf5e


日程:2023年9月2日(土)
会場:浄泉寺(尾道)
開場18時予定
前売り 3,500円 / 当日 4,500円 / U18(高校生以下)無料
詳細は後日発表
【チケット予約】
・Instagram DM https://www.instagram.com/nuttsponchonnight/
・メール予約 chikubimaruyama@hotmail.co.jp
氏名・枚数・連絡先をお知らせ下さい。※当日受付にて精算いたします。


日程:2023年9月3日(日)
会場:NAVARO
開場18時予定 変更の可能性有り
早割・U23 2,500円 / 前売・県外割 3,500円 / 当日 4,500円 +1drink order
主催:POLYPICAL(https://twitter.com/djpolypical/)
詳細は後日発表
【チケット予約】
早割チケット ※8月1日迄/限定30枚
https://polypical.zaiko.io/buy/1uUL:tQU:af05d
前売チケット
・メール予約 newsaihate@gmail.com
氏名・枚数・連絡先をお知らせ下さい。※当日受付にて精算いたします。


日程:2023年9月8日(金)
会場:LIVE SPACE MOMENTS
開場19時30分 開演20時予定
前売り 4,000円 / 当日 4,500円 +1drink order
主催:お還りなさい(https://okaerinasai2010.tumblr.com/)
【チケット予約】
・LINE 前売予約 https://lin.ee/E5e9DzD
・メール 前売予約 okaeri.info@gmail.com
・MOMENTS電話予約 070-2303-3334
公演日・氏名・枚数・連絡先をお知らせ下さい。折り返しの連絡が届いた時点で予約完了となりま
す。)※当日受付にて精算いたします。


日程:2023年9月9日(土)
会場:sound space RIZIN'
開場:18時予定 変更の可能性有り
限定早割 3,500円 / 前売 4,000円 / 当日 4,500円 +1drink order
主催:電子音楽喫茶LUX(https://instagram.com/luxtakamatsu)
お問い合わせ:luxtakamatsu2020@gmail.com
詳細は後日発表
【チケット予約】
ZAIKO https://lux.zaiko.io/item/357283


■goat
2013年に日野浩志郎を中心に結成したグループ。元はギター、サックス、ベース、ドラムの4人編
成であるが、現在は楽曲によって楽器を持ち替えていく5人編成で活動している。極力楽器の持
つ音階を無視し、発音させる際に生じるノイズ、ミュート音などから楽曲を制作。執拗な反復から
生まれるトランスと疲労、12音階を外したハーモニクス音からなるメロディのようなものは都会(ク
ラブ)的であると同時に民族的。
https://goatjp.bandcamp.com/

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