「PAN」と一致するもの

interview with Boys Noise - ele-king

 ユニット名がその音楽を雄弁に物語っているようでもある。「騒音男子」。いや、「男子たち騒音」である。しかし、この違いはとても微妙に決定的である気がする。ドイツはハンブルグ出身のアレックス・リダは、ノイズ・ボーイと名乗らずにボーイズ・ノイズという名状を自らに付した。となると、オーディエンスがDJブースに立つ彼を見たときそこに映るのは騒ぐ男子たちであり、それはまぎれもなく(おそらく女子も含めた)オーディエンスたち自身の姿である。ボーイズ・ノイズの音楽は、果たしてただ個人的なものだろうか。それともヤングたちのパーティのための俗な音楽だろうか。音楽以上の騒音を奏で若さを爆発させるオーディエンスたちの描写であるかもしれないという想像もできる。彼はDJブースにおいてオーディエンスに対して向けた鏡(マジックミラー)の後ろ側に立っているのだから。


Boys Noize
Out of the Black

Boys Noize Records/ビート

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 ここ1~2年は、ディプロなんかとも関わっていたラッパー、スパンク・ロック(〈ビッグ・ダダ〉からのリリースで知られる)の作品を自身のレーベルからリリースしたり、コンピレーション『BNR Vol.2』ではベルリンのエレクトロニック・ミュージック・デュオ、モードセレクター、そのレーベルからセカンドを発表したシリウスモ、ファイストの(色々な面での?)プロデューサーであり、自身のソロ作品でも人気のあるゴンザレスなどなど、ジャンルにとらわれずにユニークな面々をそろえている。アンダーグラウンドとは呼び難いほど脚光を浴びているし、大舞台でプレイしている。なんと言っても、彼はスクリレックスのコラボレイターであり、そしてまたジャングル・ブラザーズの"アイル・ハウス・ユー"をスヌープ・ドッグに歌わせてしまえるほどの人物である。

 カフェに用意されていた別室に入ると、紳士的で笑顔を絶やさない青年と、彼が着ている「DC/AC」(もちろんハードロック・バンドのパロディ)のロゴとアウトバーンの標識が大きくプリントされていたTシャツがいっきに目に飛び込んできた。その標識とは、クラフトワークのアルバム・ジャケットに用いられていたグラフィックでもある。

 このインタヴューでは、4年ぶりのニュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブラック』をリリースするボーイズ・ノイズ(アレックス・リダ)がDJブースの外でなにをどう見据えているか、また、ボーイズ・ノイズ自身とは舞台のかけ離れている(ように見える)類の音楽に対してどんな認識をもっているかを彼に語ってもらった。そこから、彼自身が自らをどう位置づけているのかが同時に浮かび上がるだろう。

ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。

今日は時間を作っていただいてありがとうございます。

アレックス:(にこにこしている)

ボーイズ・ノイズとしてアルバムを出すのは4年ぶりですね。その間にシザー・シスターズやスパンク・ロックなどのアーティストのプロデュースやご自身のレーベル〈ボーイズ・ノイズ・レコーズ〉の運営をなさっていたと思いますが、それらを経てご自身のアルバムを完成させてどう思いましたか。また、完成したアルバムについてどう思っていますか。

アレックス:そうだね。僕にとって、自分の音楽を作ることとプロデューサーを務めることはまるで違っていて、自分の音楽ではメロディやハーモニーよりもサウンドに重点を置いていて、サウンドが音楽なんだ。たくさんの機材を使って何回もライヴ・セッションをして、自分でもコントロールできないちょっとした偶発性のあるところでサウンドが生まれる。曲とかメロディじゃなくて、サウンドが主題で、僕はそれに興奮するんだ。
 僕はDJでありプロデューサーでもある。他のアーティスト――たとえばバンドやラッパーと仕事をするときには、まずアーティストとしての僕自身の音楽を作るわけじゃないということを第一に認識する。手がけるのは他の人の音楽作品だからね。だから、彼らが何を欲しいのか気づかなくてはならない。それは繊細な関係であって、ときにはダイレクトに「ちがう。これはよくない。もっとこんな感じにするべきだ」なんて伝えなければならない。それは自然に成り立つものでなくて、特別な関係なんだ。
 プロデューサーとは音楽を作っているだけのものだと思っていたけれど、実際にはそれ以上にコミュニケーションが大事で、なにをすべきで物事がどうなるべきかを把握する立場の人間だった。いいプロデューサーになるためにどうするべきかを学べて、いい経験だった。僕自身の音楽では、僕がアーティストで、どうするべきだと伝えてくる人もいない。思うがままに行動するだけだよ(にこにこ)。

昨年、リミックス集である『ザ・リミキシーズ 2004-2011』がリリースされましたね。デヴィッド・リンチやファイストなどの幅広いアーティストにまたがるトラックが収録されていますが、いわゆるダンス・ミュージック――テクノやハウス以外のアーティストがあなたに求めてくるものはどういうものだと感じていますか。

アレックス:僕が推測するに、彼らが求めるボーイズ・ノイズ・サウンドというようなものがあって、リミックスを手がけはじめたころ、たくさんの人から「きみの過去の作品と同じようにやってくれ」といわれることが多かったんだ。僕はファイストのリミックスを手がけたんだけど、「ファイストのリミックスみたいなのを作ってよ」と言われたりね。でも僕は自分自身を絶対にコピーしたくないから、同じことは絶対にできない。でもいつしか、「よし、彼を信じよう。好きなようにやってもらおう」というふうに人から任されるようになった。業界にウケるように作り出すのではなく、ただただ自分がいいと思うように手がけるように都合をつけていくのは大変なんだ。
 僕にとって大事なのは、僕がよしとしたことに相手が誠実でいてくれることなんだよ。人からリミックスを求められた際には、僕自身がリミックスにベストだと思うようにトライするよ。いままでふたつベストのリミックスを手がけたから、こういうのをあと10パターン作ろうというのではなくね。まったく違うし、難しいことなんだよね。これまでのリミックス作品はすべて手がけることができて嬉しいものだし、それぞれはまったくちがうものだけど、最終的には人びとがボーイズ・ノイズ・サウンドだと思うものになっているんだろうね。

橋元:ノイジーでグリッチーなサウンドをデヴィッド・リンチやファイストにぶつけたのはおもしろかったですよね。

アレックス:ありがとう(にこにこ)。

"サーカス・フル・オブ・クラウン"に、すこしダブステップっぽいというか、グライムのテイストを感じました。スクリレックスともタッグを組み、ドッグ・ブラッドとしてEPをリリースしていますね。そこでダブステップについてどう感じているのか、なぜダブステップからの影響を欲したのかが気になりました。

アレックス:不思議なもので、"サーカス・フル・オブ・クラウン"を手がけたのはおおよそ2年前なんだよ。その頃にはスクリレックスのことはまるで知らなかった。ダブステップとはあまり思わないけど、ハーフ・テンポだよね。〈ヘッスル〉サウンドではなく。
 全般的にダブステップにはいい要素がたくさん詰まっていて、例えばDJセットなんかをすべて通して聴くことはできないのだけど、とくにアメリカン・ダブステップに関して感じるのは、ときどき......なんというか、ある意味で包括的すぎていて、完璧すぎで、機能的すぎるということ。僕もアグレッシヴな音楽は好きだから、そういうアグレッシヴネスに溢れたスタイルがいいとも思える。それでもまだ、いいとは思えない要素もたくさんあって、ときにベタで安っぽすぎると感じるし、クレイジーなヴォーカルが挟まれるブレイクダウンとか、トランスみたいな要素とか、僕にはときどきトゥー・マッチに感じられる。
 ただのロック・マシーンには参ってしまうし、僕がそういったものとライヴ・セッションをするときにはもっと生命感を注ぎ込みたいと思ってる。とくにアメリカン・ダブステップが見失っているものだね。もちろん、僕はどんなスタイルにもいつでもオープンでいるし、そういうものをミックスするのも好きだよ。

ウォッシュト・アウトに代表されるようなチルウェイヴというムーヴメントについてはご存知ですか?

アレックス:うん、もちろん(にこにこ)。

それについてあなたはどう感じていますか?

アレックス:すばらしい作品がたくさんあると思うね。いい作品がたくさんあって僕も追いきれないくらい。僕はウィッチ・ハウスと呼ばれる作品も好きで、全体的にスロー・ダウンなものが。プロデューサーとして、レーベルのA&Rとして、なによりミュージック・ラヴァーとして僕は新しい音楽を毎日探しているし、サウンドクラウドをランダムにチェックしているよ。チルウェイヴもクールな作品がたくさんあるよね。聴いていて、いい音楽だと思う。でも、繰り返しになるけど、たくさんありすぎてひとつも名前を覚えたりできていないんだ(笑)。だって、とにかく多いんだもの! 
 それに、これまでの音楽作品はレーベルから出すものだったけど、いまはもっと個人でサウンドクラウドにアップしたりしていて音楽が増殖しているでしょ。そんなんだから、把握するのがほんとうに大変だよ。どのアーティストが、どんな名前でとか。でもとにかくいい作品がいまはたくさんあって、それは高額な費用をかけたりせずにベッドルームで作られているのだろうし、そういうチルウェイヴの持っているラフな要素がとてもクールだと思う。

橋元:とくに"サーカス・フル・オブ・クラウン"には先述のようなチルウェイヴと共通するところがあると思います。スクリューみたいなテクスチャーがあり、それがドローンのように用いられていておもしろいなと思いました。

アレックス:ふむふむ。

橋元:ある種のインディ・ミュージックの潮流がアンビエントやドローンのようなものに向かっているのと"サーカス・フル・オブ・クラウン"のサウンドが無関係ではないと感じました。それらを踏まえて、ご自身の新しい音楽についてヴィジョンがあれば教えてください。

アレックス:僕にとってもっとも重要なのは、いつだってサウンドなんだ。ビートは4ビートみたいにシンプルでもいいんだよ。(足踏みとハンド・クラップで)ズン、チャ、ズン、チャみたいにね。サウンドが僕にとってナイスで新しくて素晴らしければビートがシンプルでもいい。僕はそのシンプルさが好きだけど、もちろん、ご存知のとおり、いまはブロークン・ビーツが流行しているよね。僕はそのヒップホップとかテクノとかさまざまな要素が同時にミックスされているものも好きだし、DJとしてもちがうリズムの音楽をプレイすることが好きだよ。
 興味深いのは大きくなっている「トラップ」という新しいシーンで、クールなリズムがたくさんあるんだけど、サウンドがよくなければ興奮させられないんだ。ドラムやビートのサウンドがどんなふうに鳴っているかが大事なんだ。サウンドがフレッシュですばらしいかぎりはどんなものにもオープンでいるよ。

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日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。

最近もっとも素晴らしいなと思った音楽ともっともくだらないなと思った音楽を教えてください。

アレックス:ははは(元来の意味で「失笑」)。僕はツイン・シャドウのアルバム『フォーゲット』がとーっても好きなんだ。

ええー。ツイン・シャドウ。

アレックス:そう、ツイン・シャドウ。ブライアン・フェリーとかデヴィッド・ボウイとかモリッシーをミックスしたような感じで、音楽はとても80年代的だったり90年代的だったりして、とても好きなんだ。レーベル〈4AD〉も大好きだし。

橋元:ええー。〈4AD〉!

アレックス:そう、〈4AD〉。いつもいい音楽をリリースしているよね。新しくていい音楽だったら、そういうのが第一に思い浮かんだよ(にこにこ)。で、もっともくだらない音楽か......。問題なのは、いつだって、いいものよりくだらないもののほうがたくさんあるってことだよ(笑)。

(一同笑)

アレックス:たくさんあるよ(笑)。

たくさんありますか(元来の意味で「失笑」)。

アレックス:メインストリームのエレクトロ・ハウスやEDM()なんかはすべて......名前は挙げたくないけど、味気ない音楽だよね(笑)。

橋元:ふふふふ(笑)。

アレックス:回答としては、メインストリームのエレクトロ・ハウスかな。好きじゃないものがとっても多いから(笑)。

ありがとうございます(笑)。

橋元:エレクトロとかクラブといったような観点から見て、じっさいのところ日本のクラブのシーンにはおもしろみがあるんでしょうか。

アレックス:僕が思うに、新しい音楽やとくにアンダーグラウンドの音楽に対しては日本のクラブがたぶんもっとも常にオープンマインドだよ。ここでは、単純に大きなサブカルチャーだからね。他の国だと検分されるんだよ。例えばイギリスでも、いろんな国籍の人たちが集まっているから、すばらしいアンダーグラウンド文化が存在しているよね。
 いっぽう、ここ日本では、日本の人たちはとても趣味が豊かで、アンダーグラウンドの音楽についての興味もあるからとても詳しい。驚かされるよ。だからこそ東京/日本は僕の音楽をまっさきにサポートしてくれたのだろうとも思う。日本のクラブでのプレイはいつだってとってもいい時間をすごせるし、いろんなクラブでDJしてきた。それに、もっとも新しいアンダーグラウンドの音楽をプレイできるんだ。日本の人びとはオープンマインドだから単純にそれを気に入ってくれるし、そこに過剰な期待とかがないからね。それが、僕にとって日本のクラブ・シーンのすばらしいと思うことだよ。繰り返しになるけど、他の国ではそうでもないんだよ......。

橋元:サウンドクラウドにはあなたもたくさんの音源をアップしていますし、数多くのレコードをお持ちだともうかがいました。現在、違法なものも含めてインターネットではたくさんの音楽が聴けますが、あなたはフリーダウンロードが音楽文化や音楽産業にとってマイナスなものだと考えますか? ひいては著作権についてどうお考えでしょうか。

アレックス:いまとなっては全体的にいいんだと思うよ。でも初めは......2006年ごろからかな、すごく嫌だったよ。アーティストは、多大な時間を費やして、多大なお金を機材に費やして、それでもって音楽を作っているから、なぜ人びとが対価を払わないんだろう、とね。でも、ここ数年で僕の気持ちも変わったんだ。新しい世代の人たちを責めることはできないなと気づいた。彼らは音楽が無料なのがノーマルな業界の状況において育ったから、音楽を買わないんだ。だから、音楽に対価を支払うことを知らない人たちに、「それは悪いことだ」なんて言えないんだよね。でも、そういう人たちが好きなアーティストをサポートするマインドが芽生えることを僕は目指しているし、それこそクールなことだと思うからね。
 あと僕がもっともいいと思うのは、なにかを買うとき、見れるし、触れられるし、とくにレコードなんかは嗅げるでしょう。そういう、物との記憶があるでしょう? 50万枚のレコードが僕の家にはあって、そのなかから1枚取り出してみてもそこには特別な状況なんかの記憶があるよ。新しい世代の人たちがmp3やフラッシュ・メモリーに対してそういう感覚を持っているか分からないし、もはや消えてしまったにしても、そういう感覚を知ってもらえたらクールだと思うんだ。音楽がそこに存在することをね。それを伝えていけたらクールだと思う。

(導入文で先述したパロディ・ロゴのTシャツを指して)これはなんのTシャツですか?

アレックス:これはアウトバーンの標識がプリントされているんだよ。車が壊れたときに駆けつけて修理する会社のTシャツなんだ。

AC/DCは好きですか?

アレックス:うん(にこにこ)!

ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、AC/DC。このなかでもっとも好きなバンドはどれでしょう?

アレックス:う~ん。ビートルズかな。ビートルズに、ローリング・ストーンズ。

おお。60年代のロックンロールがお好きなんですか?

アレックス:そうだね。それに、ビートルズは......別格だね!(にこにこ)

どのアルバムがお好きなんですか?

アレックス:う~ん。『アビー・ロード』だね。好きな曲が入ってるから。

ちなみにどの曲ですか?

アレックス:う~ん......。"カム・トゥギャザー"だ(にこにこ)。

なるほど! ありがとうございました(にこにこ)。

※アメリカで大人気のイケイケでアゲアゲのダンス・ミュージック。彼が言うところのアメリカン・ダブステップ(ブローステップ)もそれに含まれる。

TRAXMAN - ele-king

 いまもっとも速くて面白くて、そして、くどいダンス・ミュージック、シカゴのフットワーク/ジュークがいよいよやって来る。今年に入って〈プラネット・ミュー〉からアルバムを出したベテランDJ、トラックスマン! しかもダンサーのA.G.とDJ MANNYを引き連れての来日だ。
 日本のジューク・シーンからもD.J. FulltonoやSTRATUSS、PAISLEY PARKSのライヴ・セットなど、かなり濃いメンツになっている。また、インド~ネパールの山岳地帯で生まれたというスタイル、ゴルジェのプロデューサー、HANALIのライヴまである! 
 このとんでもないイヴェントは10月12日(金)。場所は代官山Unitとサルーン。前売り限定190枚は、ジューク価格の1900円と、素晴らしいです!

2012/10/12(FRI)
@代官山UNIT & SALOON
OPEN/START 23:00
ADVANCE TRAXMAN 来日記念SPECIAL JUKE PRICE ¥1,900( 限定190 枚)
DOOR ¥3,000

※20歳未満の方はご入場できません。また入場時に写真付き身分証を提示いただいております。

DAIKANYAMA UNIT EVENT INFORMATION
MORE INFORMATION : UNIT / TEL 03-5459-8630

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2012/10/12/121012_traxman.php


TRAXMAN

A.G.

DJ MANNY

UNIT PRESENTS
TRAXMAN with Red Legends footworkers : A.G. & DJ MANN
Y

TRAXMAN
(Planet Mu, Lit City Trax, Ghetto Teknitianz)
A.G.
(Red Legends, Terra Squad, FootworKINGz)
DJ MANNY
(Red Legends, Take Ova Gang, Ghetto Teknitianz, Lit City Trax)
D.J. FULLTONO (BOOTY TUNE)
PAISLEY PARKS (PAN PACIFIC PLAYA) *LIVE
STRATUSS (D.J.G.O., D.J.Kuroki, D.J.April / BOOTY TUNE)
MOODMAN
COMPUMA
PIPI (HELLPECIAN'S)
HANALI *LIVE
AND MUCH MORE!!



Outer Space - ele-king

 〈ミュート〉傘下の〈ブラスト・ファースト〉からアウター・スペースの新作、カセットや編集盤やCDRをのぞけばセカンド・アルバムにあたる『II』がリリースされた。ジョン・エリオットは何よりもまず......、そう、エメラルズのメンバーのひとりであり、マーク・マグワイアと並ぶ多作家であり、ヴィンテージの機材の蒐集とその音色へのこだわりでも知られている。
 そういえば、カリブーことダン・スナイスのレーベル〈ジャイアログ〉が今年エメラルズの「Does It Look Like I'm Here? 」のテクノ・クラブ仕様のリミックス盤を出していたことを最近知った。なので、決してリンドストロームが先ではありませんでした、すいません......
 まあ、でも、ほぼ同時期に交流がはじまっているようだ。先日は日本のレイヴにも呼ばれ、ドミューンにも出たそうだし(あー、見逃した!)、ヨーロッパのレーベルとしては、〈ブラスト・ファースト〉(ファクトリー・フロアのシングルを出しているところ)は、この手の音に敏感だった歴史を持ちながら、いまようやく合流......といったところだろうか。銀色を地にしたアートワークは、グレアム・ランプキンが手がけている。気合いがはいってる。

 繰り返そう。アウター・スペースのひとつの個性は、アナログ・シンセサイザー、メロトロン、アナログ・エフェクターといったアナログ機材の音色への執着にある。『II』でも、彼ら(今作のメンバーはジョン・エリオット+5名)がいかにも気持ちよさそうにオシレイターを操作しながら、フィルターやエンベロープ、LFOのつまみをいじっているような音響が広がっていく。たびたびタンジェリン・ドリームと比較されるが、タンジェリン・ドリームほどクラシック音楽のロマン主義めいた展開(ないしは音色)はなく、現代っ子らしいミニマルなセンスが全体をコントロールしている。2曲目、3曲目などは、ドラムマシンが入っていないだけで、マッガイアと同様にダンサブルなうねりを持っている。下手したらジェフ・ミルズやドレクシアへとも接近しそうだ。
 この音楽がDJカルチャーと親和性が高いのは自明の理だ。いずれは、より両者の流れの交わりは加速していくのだろう(NHKyxによれば、こういうのは、クラブ的なダンスではなくライヴハウス的なダンスだと言えるらしい)。

 アウター・スペース──そのネーミングからして、この音楽がトリップ・ミュージックを志していることがわかる。ジョン・エリオットは、マーク・マッガイアよりもずっと無邪気にそれを追求している感がある。フライング・ロータスのような物語性はなく、ただひたすら夢中に夢想している音楽だ。メッセージはない。本当にどこまでも、どこまでも、そう、どこまでも飛んでいく......

 音楽は聴覚範囲のなかでエクスタシー状態に導かねばならない。──スティーヴ・ライヒ

 この地に上陸していないまだ見ぬ巨人というのは、リヴァイヴァルとかフェスティヴァルとかにくまなく洗われてしまった気がするいまでも、いるにはいるわけで、ディラン・カールソン率いるアースはその数少ないグループのひとつであるのはまちがない。
 90年代のグランジの時代には、ニルヴァーナとの盟友関係にも関わらず、その対極に位置し、のちに2000年代のへヴィ&ドローンを牽引したサンO)))をインスパイアしたアースは、数年の空白期間ののち、ゼロ年代なかごろ、北米大陸の奥行きそのもののようなアコースティックの響きをとりいれた、独自のサウンドで復活し今日にいたる。彼らの現在は『エンジェルス・オブ・ダークネス、デーモンズ・オブ・ライト(Angels Of Darkness, Demons Of Light)』と題した連作(昨年の『Ⅰ』につづき、『II』を今年に入り発表している)にうかがえるが、スタジオ盤とはちがうナマのアースをたっぷり堪能できるこの機会を、逃す手はないでしょう。
 今回の来日ツアーには現在のへヴィ/ドローン・ミュージックの下地をつくった〈ハイドラ・ヘッド〉の創設者でもあるアーロン・ターナー率いるマミファーがスペシャル・ゲストとして全公演に帯同し、楽日にはボリスが彼らの初来日に花を添える予定だ。

 順番が逆のようで恐縮ですが、来日直前のディラン・カールソンに直撃したインタヴュー記事を『ele-king』vol.7に掲載しておりますので、彼らのライヴを目撃した方もそうでない方も、この稀有なバンドの言葉をあわせてご拝読ください。

EARTH
Japan tour 2012
with special guest : MAMIFFER

2012年9月19日(水)東京:新大久保Earthdom
open 18:30 / start 19:30
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: チッタワークス 044-276-8841 / Earthdom 03-3205-4469

9月20日(木)大阪:心斎橋Pangea
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: Pangea 06-4708-0061

9月21日(金)愛知:名古屋池下Club Upset
w/ ETERNAL ELYSIUM
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000 (ドリンク代別)
問い合わせ: Upset 052-763-5439

9月22日(土)東京:新代田Fever
w/ Boris
open 18:00 / start 19:00
前売 ¥5,000 / 当日 ¥5,500 (ドリンク代別)
問い合わせ: チッタワークス 044-276-8841 / Fever 03-6304-7899

Holy Other - ele-king

自己憐憫さえも愛らしい砂糖菓子へ 文:三田 格

E王 Holy Other
Held

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 キリスト教社会におけるホーリー=聖なる存在は、唯一神というぐらいで、アザー=もうひとつの存在はありえない......し、他の多くを示唆するような修飾表現もないということは多神教をイメージさせるものでもないし......。タイトル曲とともにシングル・カットが予定されている「ラヴ・サム1」のように暗く、激しい感情が渦巻いている曲を聴いていると、安直に思い浮かぶのは、ツァラトゥストラが開祖だとされるゾロアスター教のような善悪二元論の悪(=好戦的なダエーワ)のことで、仮定の上に立って話を進めていくと、ゾロアスター教というのはイラン高原の北東部を起源とする宗教であり、イスラム教に蹴散らされてきた過去もあったりするため、背後からそれを狙い撃ちしているような不穏さを嗅ぎ取ることもできなくはない。実際、彼(女?)のデビュー・シングル『ウイ・オーヴァー(=全員、終了)』は明らかにイラン高原をヴィジュアルに使用していて(スコットランドのような標高ではない)、その佇まいはノイズのレコードにも等しい。曲も何かマントラを唱えているようだし(カップリングは『ウィズ・U』に採録された「ユア・ラヴ」)。

 とはいえ、フードを被ったままライヴをやり、いまだに実名を明かさないことに宗教的な背景が潜んでいるわけではないだろう。ネットを介したインタヴューはけっこう受けているようだし、〈トライ・アングル〉というレーベルそのものがいわば宗教コレクティヴと化している側面もあるだろうし(〈トライ・アングル〉のリリースにはKKKをイメージさせるものもあったりして、僕にはとうていわからないけれど、倉本諒によればそれは単にパロディとして使われているだけということもあるらしい。こういうセンスを正確に把握することはとても難しい)。

 いずれにしろホーリー・アザーというユニット名が正しくウィッチ・ハウスのイメージを踏襲するものであることは間違いない。『ヘルド(=開催)』で追求されている価値観は非キリスト教的なイメージに救いを求め、リヴァーブの深さや重いベースによって(仮想の)共同体意識を強くすること。それはつまり、『ジーザス・キャンプ』であらわになったキリスト教右翼がアメリカ人口の3分の1(=約8000万人)に達したといわれるゼロ年代前半のアメリカで否応もなく隆盛を誇ったドゥーム・メタルがここへきてモーション・シックネスメデリン・マーキーのような優しいドローンに変化したことと並行して起きた現象ともいえ、ドローンが継承されるのではなく、下部構造をダンス・ミュージックに置き換えたことでいわばドゥーム・ハウスとして成立したものがウィッチ・ハウスと呼ばれるようになったと解してもいいのではないだろうか。アレイスタ・クローリーの小説がイサドラ・ダンカンの描写から始まったように、希薄な身体性によって欺かれた世紀末の闇が再びダンス・カルチャーを侵食し出したのである(ガイ・リッチーが『シャーロック・ホームズ』をスチーム・パンクとして再生させたことも記号的には符号が合う)。

 そして、ドゥーム・メタルにはなかった徹底的な甘ったるさがホーリー・アザーのサウンドをエソテリックな秘境へと導いていく(ジェイムズ・ブレイクハウ・トゥ・ドレス・ウェルがレイディオヘッドなら、ホーリー・アザーやココ・ブライスはアラブ・ストラップだと言い換えてもいい)。捉えどころのないメランコリーのなかに、それを楽しむ甘美さが入り混じり、自己憐憫さえも愛らしい砂糖菓子へと変えていく。どこにもトゲらしきものはない。落ちていたのは1本の髪の毛。いくらでも自分のなかに逃げ込むことができる。人生には時としてこんな魔法が必要だろう。チルウェイヴというのがダフト・パンクとレイディヘッドの合体にしか思えなくなってきた昨今は、とくに(ああ、またしてもポップの魔法が解けていく......)。


文:三田 格

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ゴーストリー・テクノの美しい結実 文:竹内 正太郎

E王 Holy Other
Held

Tri Angle

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 たとえば、世界の絶景やディズニーランドよりも、打ち捨てられた名もなき廃墟に、非日常としての美しさを見出すこと。人ごみそのものの賑やかさよりも、人の気配がごっそり失われた空間の沈黙にこそ、強く惹かれるような感性。そういったゴシック的な(ヨーロッパ的な)、ある種の怪奇趣味は、現在のアンダーグラウンド・ミュージックの世界において、(欧米の批評でよく使われる)「ゴーストリー(ghostly)」という傾向のなかにリヴァイヴァルしているのかもしれない。穿った見方をすれば、裏表なく、前向きで、典型的な余暇を楽しむ、互いに互いが「ふつうの人間」であることを牽制的に確認し合うような、Facebook型ヒューマニズムの裏側にしまい込まれてしまったものを、それらは召還しようとしているようでもある。当たり前の話、世間の表面において規制されたものは、より多義的に、より抽象的に、より地下的になって発展する。

 そう、〈トライ・アングル〉が送り出すホーリー・アザーのファースト・フルレンス、『ヘルド』は、廃墟に住む幽霊のための新たなるR&Bだ。重々しいベース・ドローン、空間を包むシンセ・アンビエンス、そこに割り込むグリッチ・ノイズ。ワン・フレーズのみ採取されたヴォーカル・サンプルは、ピッチを変えられ、エフェクトされ、短周期で何度もペーストされ、キックの轟きは現れては消え、消えては現れ、アブストラクトな高揚を効果的に援助している。言葉遊びのようで嫌になるが、ポスト・ダブステップというタームにあえて偏執するならば、ウィッチ・ハウスないしはゴシック・アンビエントの領域から登場したホーリー・アザーは、それをある種の臨界点と認めた上で、それでも『ジェイムス・ブレイク』(2011)以外の歌のあり方、あるいはビート・プロダクションとの共存の手段、その可能性を突き詰めているように思える......。

 鍵となるのは、やはりゴーストリーと形容するほかない、そのヴォーカル・プロダクションである。『ヘルド』は、『ジェイムス・ブレイク』を疑ってみることからはじまり、展開している。ここにはメロディを伴った人間の声が溢れているが、それが歌であることはほとんどない。歌は徹底的に断片化され、声は溢れてはただ消えていく。それでも、比較的ヴォイス・サンプルが強調されるアルバム後半部には、息をのむような美しさがある。電子ピアノがきいた"イン・ディファレンス"のダーク・トリップ、シューゲイズ的な感性でノイズとの戯れを見せる"パスト・テンション"のディープ・サイケ、そして表題曲"ヘルド"の後半、まったく別の曲へとミックスされていくような展開の先に、ピアノとキックが清らかな世界に強く脈打っている。スモークを焚いたベッドルームで、カーテンの隙間に射すひとすじの光が揺らめいて見るような......本当に美しい音楽だ。

 「芸術の進歩に対して大きな貢献をしている、なんて全然思わないよ。本当にパーソナルなものをただ作ることの方が、よほど挑戦的なことなんだ。」――1年前のインタヴューとは言え、『ファクト』に対するこうした回答は、どこか危うくも思える。が、現在、多くのパーソナルな音楽表現が、活動名としてのソロ・ユニットとしてなされ、内容的にもヴィジュアル的にも高度に抽象化ないしアンダーグラウンド化せざるを得ない状況からは、彼が感じている(のであろう)現代特有の息苦しさを推察できるのも事実だ。もっと言うなら、インターネットの登場によって自由であることを支援されたはずの個人が、相互監視的にクラウド化されることをむしろ望んでいる、昨今の倒錯した情勢に対する彼なりの対抗措置のようですらある。それは筆者にとっても、これを読むあなたにとっても、他人事ではないはずである。BBCは、すでにこの音楽のなかにもヒット・ポテンシャルの片鱗を認め、「マイケル・ジャクソンを18bpmにスローダウンさせたような、もしくはR.Kellyを地獄に突き落としたような音に聴こえる」などとはやし立てているが、そうしたポテンシャルの有無を、本人は気にとめないだろう。ウィッチ・ハウスという、よく言えば最新のインディ・ダンス、悪く言えば細分化時代のフェティシズムとして登場した〈トライ・アングル〉のホープはいまや、UKアンダーグラウンドの冷え冷えとした態度を引き継いでいる。『ジェイムス・ブレイク』の歌がトラウマティズムの剥き出しの表出だったとすれば、『ヘルド』はむしろ暗黒の世界の不明瞭さを好んで迎え入れている。ジェームズ・ブレイク、ザ・ウィークンド、もしくはハウ・トゥ・ドレス・ウェルよりは、ローレル・ヘイローに近いとする意見もあるだろうか。2012年は本作を明確に記憶するだろう。ゴーストリー・テクノの美しい結実、それは暗黒との背徳的な戯れである。


文:竹内 正太郎

12K Japan Tour 2012 - ele-king

 今年の春、グルーパーを迎えて文京区千駄木の「養源寺」でアンビエント/ドローンのイヴェントを開いたILLUHA(伊達伯欣+Corey Fuller)が、この秋、ふたたび最高のアンビエント・ミュージックを日本に紹介する......。
 クリスチャン・フェネスやアルヴァ・ノト以降のエクスペリメンタル/アンビエント・ミュージックのシーンにおける重要拠点のひとつ、ニューヨークの〈12K〉レーベルからそうそうたるメンツが来日する。レーベル主宰者のテイラー・デュプリー、フィールド・レコーディングや自作の楽器を操るマーカス・フィッシャー、坂本龍一とのコラボレーションでも知られるクリストファー・ウィリッツ、そしてロック・リスナーにはスローダイヴのメンバーとして知られる、サイモン・スコットなどなど。
 10月6日、長野県松本市からはじまる今回のツアーでは、京都「きんせ旅館」~六本木「Super Deluxe」と回って、最終日はまた「養源寺」。モスキート、サワコといった国際的に活躍するアーティストらがサポートして、青葉市子もテイラー・デュプリーと共演する。

 身体をリラックスして、高性能なサウンドシステムで体験するエクスペリメンタル/アンビエント/ミニマルは、本当に素晴らしいものです。こうした「平穏さ」や「静寂」を主題とする音楽は、その控えめさから、えてして軽く見られがちですが、爆音クラブとは正反対の迫力でもってしたたかに響きます。一流のアーティストたちが創造する「静寂」をこの機会にぜひ経験してください。音楽へのアプローチの多様性に驚、そして心地よい夢を見れることでしょう。詳しくはこちらを→https://www.kualauktable.com/event/12kJapan/12k2012.html

予約・詳細は
https://www.kualauktable.com/
にて。


10/6 長野 松本 hair salon 「群青」
Taylor Deupree+Marcus Fischer
Simon Scott、ILLUHA+Asuna
adv. 2500yen door 3000yen 学生2000円
(いずれも1ドリンク込み、限定50名)

10/7 京都 「きんせ旅館」
Taylor Deupree、Simon Scott、Marcus Fischer、ILLUHA
adv. 3000yen door 3500yen (限定60名)

10/10 六本木 Super Deluxe
Simon Scott、Christopher Willits、moskitoo、ILLUHA
adv. 3000yen door 3500yen

10/11 六本木 Super Deluxe
Taylor Deupree、Marcus Fischer、minamo、sawako
adv. 3000yen door 3500yen

10/13 文京区千駄木 「養源寺」
Taylor Deupree+青葉市子
Simon Scott+Marcus Fischer+伊達伯欣
Christopher Willits+Corey Fuller
sawako+青木隼人
adv. 3500yen door 4000yen(限定150名)



 さらにまた、ILLUHAは、「ヨガと音楽とマクロビ」なるドローン音楽のイヴェントをマンスリーで企画する。第一回目は、9月28日。「都会における都会に住むの人々のための企画として文京区にある静かなお寺、養源寺にて、瞑想をテーマとしたミニマル・ミュージックの生演奏のなか、ヨガをしてマクロビオティックに基づく食事をする」そうです。
 養源寺は、とても居心地の良いお寺です。興味がある人は試して間違いありませんよ!

9月29日(土) 文京区養源寺 「ヨガと音楽とマクロビと」
https://www.kualauktable.com/event/yoga01/yoga01.html

ヨガ(音楽の生演奏):90分2000円/回(食事別)各回限定25名(初心者歓迎!)
マクロビオティック:11:30~20:00
託児所:13時~20時 1500円/3時間 以降500円/時
ヨガマットレンタル:100円/枚 更衣室はあります。

第1回:14:00~15:30 Yoga:yoriko Music:Celer
第2回:16:00~17:30 Yoga:Yoriko Music:ChiheiHatakeyama

interview with Grizzly Bear - ele-king


Grizzly Bear
Shields

Warp Records/ビート

Amazon

 予兆はあったのかもしれない。前作『ヴェッカーティメスト』のオープニング・トラックの"サザン・ポイント"のドラム、あるいはダニエル・ロッセンのソロEPのギターの音に。だが......グリズリー・ベアとしては3年ぶりの『シールズ』は、バンドがまったく新しい領域へと足を踏み入れたことを何よりも音で宣言している。再生ボタンを押すと、8分の6拍子のなかで、リズムは複雑にビートを刻み、ざらついた質感のギターがアルペジオを鳴らし、シンセがうねり、それらすべてが吹き荒れたかと思えば、アコースティック・ギターが繊細に歌に寄り添う。呆気に取られていると、2曲目の"スピーク・イン・ラウンズ"でそれは確信に変わる。ドラムが疾走するアップテンポのフォーク・ロックを鮮やかに色づけるフルートの調べと、どこか甘美に響くコーラス。まったくもってスリリングな演奏、先の読めない展開、あらゆる楽器のエネルギッシュなぶつかり合い。その興奮と喜びを、「インディ・バンド」がこれほど高い次元で追及し達成していることに息を呑む。
 ヴァン・ダイク・パークスからビーチ・ボーイズ、ランディ・ニューマンらアメリカの作曲家たちの大いなる遺産を正しく受け継ぎつつ、自国のフォークへの深い理解を示し、現代音楽やジャズの素養もあり、ダーティ・プロジェクターズやスフィアン・スティーヴンスらコンテンポラリー・ポップの精鋭たちと共振する音楽集団。グリズリー・ベアと言えば、まるで隙のない優秀さに支えられ評価されてきたし、実際それはその通りなのだが、本作においては緻密なアレンジでその知性を研ぎ澄ましつつも、その前提を踏まえた上でこれまでは見せなかった荒々しさや情熱を惜しみなく楽曲に注いでいる。前作でときにティンパニのように響いていたドラムは、ここではより「ロック・バンド」的なそれとして叩かれ、エド・ドロストは声がかすれるほどエモーショナルに歌い上げることを恐れない。クレッシェンドとデクレッシェンド、ピアニシモからフォルテシモまで、自在に行き来する。いまだ眠っていた熊の野性が、ここでは遠慮なく呼び覚まされているようだ。

 グリズリー・ベアの音楽は、恐れずに前を向いているように聞こえる......アカデミズムとポップの範囲に囚われず、多彩な音楽を展開するその理想主義的な態度において。以下のインタヴューでエドは「リスナーひとりひとりの解釈に委ねたいから」と歌詞については沈黙を守っている。たしかにまずアンサンブルが雄弁な作品であり、そこでこそ言葉は鮮烈なイメージをはじめて発揮するように感じられる。が、ここではひとつだけ、情感豊かなサイケデリアが広がるラスト・トラック"サン・イン・ユア・アイズ"で美しく繰り返されるフレーズを挙げておきたい――「I'm never coming back.」

エネルギーに満ちたアルバムにするためにどうすればそれがより強調されたのはたしかだね。前のアルバムが洗練されたアルバムだったこともあって、今回は粗削りでも自分たちのいまのエネルギーを反映したアルバムにしたいと思っていたし。

新作『シールズ』、素晴らしいアルバムだと思います。より、バンドとしての結束が強固になった作品だと強く感じました。

エド・ドロスト:そうだね、一緒に曲を書いたりしたことでより絆は深くなった気がするね。それにアルバムを作るにあたっていろいろな試行錯誤があったしね。
 最初にテキサスでレコーディングを試みたんだけど、長いあいだみんな個々に活動していて、個人レベルで人間的にもミュージシャンとしてもそれぞれスキルアップして戻ってきたこともあって、まずお互いのバックグラウンドがどんなものなのかを改めて知る必要があったんだ。そしてお互いの成長ぶりがわかってからはどんどん作業がはかどって、曲も予想以上にたくさんできたんだ。

メンバーがそれぞれソロや別のプロジェクトをされていましたが、それらを経てグリズリー・ベアとして集まったときに、バンドのアイデンティティを再発見するようなことはありましたか? それはどのようなものだったのでしょう?

ED:バンド自体はつねに進化しているし、アルバムごとにつねにバンドとしての新しい発見を見つけることが出来ていると思ってる。もちろん今回も新しいアイデンティティを発見したと思うけど、それをカテゴライズすることはできないね。そこに行きつくまでに苦しんだりもがいたりしたけれど、新しいエネルギーと方向性を見出したかな。とっても長く曲がりくねった道のりだったし大変だったけれど、辿りついたときは全員が満足出来たし、最高傑作を生み出せたという自信にはつながったと思うよ。

今回はエドとダニエルが曲を持ちより、メンバー全員で作曲したとのことですが、そのプロセスを実際やってみて、これまでと大きく異なる体験でしたか?

ED:ダニエルが書いた曲を歌ったというより、一緒に共同で曲を作っていたんだ。作り方としてはダニエルがヴァースを作って僕がメロディやコーラスを乗せたり、その逆で僕がメロディを作ったものに彼がヴァースをつけたり、そんな感じでピンポン玉のように出来たものを打ち返しながら一緒に作品にしていったんだ。もちろんこれは初めて挑戦したやり方だよ。今までは歌ってるひとがそのメロディを作ってるって聞けばすぐわかるような感じだったけど、今回はこうしないとならないというルールみたいなものは何もなくて、とにかく自由にやってみたらこうなったんだ。

非常に緻密で洗練されたアレンジにもかかわらず、ライヴであなたたちを観るような野性味、パワーを非常に本作に感じました。少ないテイクで録音されたこととも関係しているのかと思いますが、そこにこだわったのはどうしてですか?

ED:長い充電期間を経て作ったこともあって、エネルギーに満ちたアルバムにするためにどうすればそれがより強調されたものになるかということを考えたのはたしかだね。前のアルバムがとても洗練されたアルバムだったこともあって、今回は無駄なことはせずもっと粗削りでも自分たちのいまのエネルギーを反映したアルバムにしたいと思っていたし。だからヴォーカルもコーラス・ワーク中心というよりもっとシンプルにありのままを録った部分もあるしね。だから前よりももっと生っぽい音にこだわってそのエネルギーを込めたものになっていると思うよ。

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たしかにクラシック的な構成は減らしたかな。もちろんいまだにピアノやストリングスを使ってはいるけど、よりシンプルにしようということを意識的に心がけた部分はあるかな。


Grizzly Bear
Shields

Warp Records/ビート

Amazon

前作までよりも、クラシック音楽的な構成が少し後退したように思います。とくに"イェット・アゲイン"や"ア・シンプル・アンサー"などは、よりシンプルにバンドの演奏が骨格になっているとわたしは感じるのですが、その辺りは意識的でしたか?

ED:たしかにクラシック的な構成は減らしたかな。もちろんいまだにピアノやストリングスを使ってはいるけど、よりシンプルにしようということを意識的に心がけた部分はあるかな。

現代音楽やジャズにも精通するあなたたちが、楽器は多くともあくまでバンド・スタイルであるのはどうしてですか? たとえばスフィアン・スティーヴンスのように、オーケストラを大々的に導入したいという欲望はないですか?

ED:たぶんオーケストラ的なアプローチは前のアルバムの時にやったと思うんだ。ただ今回はそれをやってしまうとちょっとやりすぎな感じと元々の良さを壊してしまうような気がして。
 過去にオーケストラと一緒にライヴをやったこともあって、それはそれで楽しかったし、新しい試みだったんだけど、そこで僕たちはバンドとして演奏するほうが好きなんだっていうことに気づいたんだ。とても楽しかったし、聞くには新鮮でいいと思う。でもバンドとして出すエネルギーには代えがたい感じがあったんだ。バンドで演奏すれば指揮者を気にして合わせる必要もないしね。
 なんとなくオーケストラが入ることでかしこまった感じになることで聴く人との距離を感じると思うんだ。音としてはとてもきれいだけど、オーディエンスと一体になるにはちょっと難しい面もあるなと感じたんだ。僕は個人的に音楽でリスナーと一体となって、歌詞は聴く人の解釈に委ねる、というのが理想なんだよね。

本作ではより歌がソウルフルに響いています。クレジットを見るとエドはヴォーカルとありますが、今回あなたは歌に専念したということですか? それはどうして?

ED:うーん......僕が曲をたくさん書いていることもあって、曲や歌詞もやはりヴォーカルに重きを置いている部分はあるとたしかに思う。歌詞も前よりもストーリーを上手く書けるようにもなってそれを表現する必要が出てきているからね。正直昔よりも歌詞を書くことにエネルギーを使ってると思う。曲のクオリティと同じくらいのレベルの歌詞を書いていると思うんだ。だからこそその歌詞の世界を表現するためにも、歌に重点を置いているのはたしかだよ。

グリズリー・ベアの楽曲には、ビーチ・ボーイズが引き合いに出される甘いコーラス・ワークがありながらも、つねに憂いや陰影、不穏さのようなものがあります。それはどうしてだと思いますか?

ED:とくに憂いと不穏さをコーラスに反映しているつもりはないよ。とくにこのアルバムは前のアルバムに比べて憂いはないと思うしね。

"スリーピング・ユト"が、「この曲が1曲目だ」となった決め手はなんだったのでしょう?

ED:この曲をオープニングに持ってきたのはアルバムの最初はアップテンポで始まり、終わりは真逆の雰囲気で終わるという風にしたいと思ったからなんだ。アルバムを聴いて最初にエネルギーを感じてもらうことを考えてこの曲を1曲目に持ってきたというわけさ。

ラスト・トラックの"サン・イン・ユア・フェイス"のダイナミックなアレンジには圧倒されます。

ED:この曲はある晩僕がピアノで書いた曲なんだけど、曲を作りながら自分が歌うんだろうと思ってた。自分でコーラス・パートも作って、それをダンに聴かせたんだ。そしたら彼はとても気に入って、他のパートを付け加えていいって、その後クリスが来てホーンとかを加えてくれた。最初僕はこの曲はもっとバラード的になると思っていたけど、とても長く旅に出ているような曲に仕上がった。最後に僕がコーラスを曲の中に散らばせて、出来たときは誰もがこの曲こそがアルバムの最後を締めくくるにふさわしい曲だと思ったよ。本当に素晴らしい曲になったと思う。

音楽的な前進を目指しているという点で、内省的なテーマを経ながらも、グリズリー・ベアの音楽は前を向いているように思えます。自分たちの作っている音楽は、オプティミスティックなものだと思いますか?

ED:とくに自分たちの音楽がどの方向を目指してるという明確なテーマは持っていないけど、このアルバムについて言えば、誰でもみんな孤独を感じたり誰かと一緒にいたいと思ったり、さまざまなことを日常のなかから感じていると思うんだけど、その日常で起こり得るひとの感情を表現したという感じかな。このアルバムにはオプティミスティックな部分がちりばめられているとは思う。とてもダークなトーンのものからオプティミスティックな部分まであると思うけど、たしかにいままでのアルバムの中では一番そう思える作品かもしれないね。全曲とは言えないけどね。

フォークなどルーツ音楽への理解がありながらも、主にアレンジの面において徹底的にモダンであろうとするところに、グリズリー・ベアの理想主義的な側面を非常に感じます。実際のところ、バンドはポップ・ミュージックの領域を拡大、あるいは更新したいという思いはあるのでしょうか?

ED:とくに意図的にポップ・ミュージックの領域に行こうとしてるわけではないと思う。僕たちはフォークやクラシック・ロック、ジャズ、R&B、インディ・ロック、なんでも好きだと思うし、こういったすべての要素をとりいれたいと思っているんだ。だからいろんなスタイルの演奏や音がアルバムにはちりばめられていると思う。このアルバムはとくにジャズの影響が出ていると思うけどね。

タイトルの『シールズ』にこめられた意味はどのようなものですか?

ED:今回はアルバムのタイトルを決めるのにかなり苦労した。『シールズ』というタイトルは何通りもの解釈ができると思う。ひととひととの関連性や親近性、他人とどこまで関与していきたいのかということに対する防御、壁という意味もあるし、「Shield」は「何かから守る」という動詞としても使える。このアルバムを作っていた時、冬の寒い要素が身の周りにたくさん感じられたから、そういった意味合いもある。そのような場所にいたから、孤立や防御という概念があったんだ。で、『シールズ』はどこかの時点で挙がって、既にどんなアートワークにしたいかっていうイメージはあったから、この言葉が出た時にどういうわけかしっくりきたんだ。当然メンバー4人の意見はそれぞれ違うだろう。でもそれでいいと思った。聞き手がそれぞれ好きな意味を見出してくれればいいんじゃないかってね。何よりも言葉の響きが気に入ったんだ。

interview with Wild Nothing (Jack Tatum) - ele-king


Wild Nothing
Nocturne

Captured Tracks/よしもとアール・アンド・シー

TOWER RECORDS

 デビュー・フル『ジェミニ』がしずかに、しかしつよい支持をもってシーンに迎え入れられたのは、ここ数年にわたるエイティーズ・ブームのもうひとつの側面を象徴していたと言えるかもしれない。シンセ/エレクトロ・ポップなどがふたたび参照され、さらなる先鋭化がほどこされている状況は多くのリスナーの知るところであるし、インディ・ダンス・シーンも同様である。あのマーク・マッガイアですらがライヴでディスコをかけてしまうほど80年代色は強烈に機能してきた。
 ワイルド・ナッシングやそのリリース元である〈キャプチャード・トラックス〉は、そうしたものと共鳴しながらも、よりポスト・パンクやギター・ポップ、シューゲイザーといったUK寄りの音に新しい息を吹き込んだ存在だ。より内向的な音楽性を特徴として、UKインディの美しい遺産を掘り当ててきた。いま、そうしたトレンド自体は徐々に次のフェイズへと移りゆこうとしているが、変わらぬものをいとおしむように――ポップスとしての普遍性を取り出して研磨するように――、ジャック・テイタムはセカンド・アルバム『ノクターン』を完成させた。ソングライターとしての才と、レコード・コレクターとしての愛情や探求心がこぼれそうにたたえられた作品である。眠れぬ夜を相手に紡ぎだされたというそれぞれの曲には、以下の回答に明瞭に示されるとおり、彼の繊細で真面目な性質までもが陰影ゆたかに彫り込まれている。

ぼく自身はあのプロダクションにすごく惹かれるんだよね。あと、あの時代の音楽には、すごく純粋な感触がある気がする。ある意味すっごくシリアスなんだけど、同時にシリアスでもないっていう。

好きなアーティストとしてザ・スミスなどの名が挙がっていますが、まわりの同世代もザ・スミスを聴いていたりするのですか?

ジャック:別に周りが聴いてたわけじゃないな。ぼくはつねに音楽を探して、レコードを買ってるような人間のひとりなんだよ。つねに音楽をリサーチして。いまでもそう。レコード屋に毎日通って、何時間もいて、あるバンドに繋がる別のバンドを発見していって。そういうのってオブセッションになったりもするしね。

〈キャプチャード・トラックス〉には、あなたの他にもミンクスやクラフト・スペルズなど、〈クリエイション〉や〈サラ〉、〈ファクトリー〉といった80年代UKのギター・ポップ、あるいはニュー・ロマンティクスと呼ばれたようなバンドの影響が感じられます。ミンクスもクラフト・スペルズもあなたも、みなアメリカのアーティストであるということがおもしろいのですが、あなたからは80年代のUKや音楽はどのように見えますか?

ジャック:ぼく自身はあのプロダクションにすごく惹かれるんだよね。あと、あの時代の音楽には、すごく純粋な感触がある気がする。ある意味すっごくシリアスなんだけど、同時にシリアスでもないっていう。ソングライターとして、キュアーにしてもスミスにしても、何故かぼくにとってはすごくコネクトできるんだ。ぼくの音楽を好きな人も、ああいう音楽を聴いてる人、聴いたことがある人が多いと思う。だって......いい音楽だから(笑)。

〈キャプチャード・トラックス〉が埋もれていたシューゲイザー・バンドの発掘を行っている点などからみると、あなたがたは自然に集まってきたというよりは、主宰者であるマイク・スナイパーによって招き入れられたという感じなのでしょうか?

ジャック:その通り。全部マイクのアイデアなんだよね。ぼくの場合、マイクがぼくをインターネットで見つけてきた。いくつか自分の曲をアップしてたんだけど、それを聴いたマイクが「もっと聴きたい」って連絡してきて。最初はもっと曖昧な関係で、ぼくは彼のことをあんまり知らなかったし、レーベルのこともよく知らなかったんだ。その頃はまだ〈キャプチャード・トラックス〉も7インチしか出してなかったし。でもニューヨークに行って、彼に会うことになって......今ではしょっちゅう会ってるし、レーベルの全員と仲がいいんだ。ある意味ファミリーなんだよね。音楽的なアイデンティティをシェアしてるし、みんな音楽のファンで、80年代UKの音楽に参照点があるのも同じだから。

MTVに象徴されるような、アメリカの80年代の音楽へのあこがれやシンパシーはありますか?

ジャック:そういうのってないかも。コンテンポラリーなポップ・ミュージックについていくのって、僕にとってはすごく疲れちゃうんだよね。ラジオも聴かないし、テレビもあんまり観ないし、ラジオから流行ってる曲が流れるたびにびっくりしちゃうんだ。それが何か全然わからないから(笑)。遅れてるんだよ。

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いまではしょっちゅう会ってるし、レーベルの全員と仲がいいんだ。ある意味ファミリーなんだよね。音楽的なアイデンティティをシェアしてるし、みんな音楽のファンで、80年代UKの音楽に参照点があるのも同じだから。


Wild Nothing
Nocturne

Captured Tracks/よしもとアール・アンド・シー

TOWER RECORDS

『ノクターン』は、大半がツアーのために滞在したジョージア州で書かれたということですね。滞在したのはどのような場所でしたか? また、こうした生活のなかで印象深かったことがらについて教えてください。

ジャック:ジョージアは関係してると思う。曲のほとんどは、ツアーじゃなくてジョージアに住んでたときに書いた曲だし、もともとジョージアに引っ越したいちばん大きな理由が......ある意味、当時僕のまわりで起きてたことから離れるためだったんだよ。あの頃、僕はつねにツアーをしてて、帰る家があるって感じられなかったんだよね。大学のためにヴァージニアに移ったあと、ずっとツアーが続いてて。で、休みに入ったときに、友だちが住んでるジョージアに引っ越したんだ。とにかく、いろんなことからいったん離れるのにいい場所だと思ったんだよね。ずっと旅をして、毎晩ライヴをやるのって、ほんとに疲れるから。「ジョージアだったら静かな生活が送れるだろう」って思えた。でも結局どうだったかっていうと、もちろん快適で、住み心地もよかったんだけど......やることがほとんどなくて(笑)。自分の時間を有効に使ってると思えなかったんだ。その頃もまだツアーはあったし、なんか落ち着かなかったんだよね。そのせいで眠れなくなって。でも、それがいい結果にもなった。ジョージアにいるときにいい曲が書けたし。他にやることがなくて、音楽のことばっかり考えるようになったせいでね(笑)。ずっと言ってることなんだけど、このレコードの大半は深夜に書かれたし、心が落ち着かない、うまく眠れない――みたいなフィーリングから生まれてきたんだ」
注)現在はブルックリンに居住

ファースト・アルバムはガレージ・バンドでひとりでつくりあげたということですが、今作はプロデューサーとしてニコラス・ヴェルネスが加わっていますね。はじめにあなたからどのような作品にしたいというお話をされましたか? また彼とのレコーディングの模様について教えてください。

ジャック:このレコードについて話した人たちのなかにニコラスがいたんだよね。いっしょにやる相手としては、他にも何人かプロデューサーと話したんだけど。そう、まだ引っ越す前にニューヨークでいろいろ人とミーティングをしたときに、彼とも話をしたんだ。そのときはちょっとだけだったんだけど、ニコラスの人柄やプロセス全体への彼のアプローチが気に入ったんだよ。もともと会おうと思った最初の理由は、彼がブラッドフォード・コックス――ディアハンターやアトラス・サウンドでやってた仕事が好きだったからなんだ。で、会ってみたら美意識的にも音楽的にもしっくりきて。実際、最初に会ってからレコーディングに入るまでにはかなり期間が開いてたんだよ。知り合った頃、僕はまだ曲を作りながら、セカンド・アルバムで何をやりたいのか模索してたから。で、ニューヨークに引っ越してから、またニコラスと話すようになって、彼とレコードを作ろうって決めた。

前作のラフでもこもことこもったようなプロダクションも好きでしたが、今作はすっきりとクリアに整えられたように感じました。"ディス・チェイン・ウォント・ブレイク"や"パラダイス"などのように、ベース・ラインやビートもシャープになったと思います。あなたのなかでもっとも前作とちがうと感じている部分はどのようなところですか?

ジャック:今回とりかかったときに考えてたのは、前よりもクリーンで、ああいうサウンドに頼らないものにしよう、ってことだった。最初はリヴァーブとかのエフェクトをもっと削ぎ落としたサウンドを試したんだよ。

リヴァーブやディレイはいまでもあなたのなかで新鮮なエフェクトだと感じられますか?

ジャック:いまでも重要なエフェクトだと思うよ。必ずしも不可欠じゃないけど、やっぱりつねに好きなサウンドではあるから。

ジャケットも美しく、中古レコード屋でみつけた80年代の隠れ名盤のような趣があります。こうしたヴィジュアル・イメージもあなたのアイディアによるものですか?

ジャック:もともとはひとつのカヴァーにするつもりだったんだよ。でも候補が挙がってきたときに、全部マーブル紙的なアートワークで、それからひとつ選ぶことになって......。たぶん、最初に「全部やろう」って提案したのは〈キャプチャード・トラックス〉だったと思う。パルプの『ディファレント・クラス』みたいなアイデアだね。あのアルバムのスリーヴって、表が切り抜きになってて、6枚のちがうインサートが入ってるだろ? だから僕らも6枚のインサートを作って、好きなように変えられるようにしようってことになった。いったんそのアイデアが出てくると、全員が興奮したんだよね。いまじゃもうないようなアイデアだから。僕自身レコード・コレクターだから、フィジカル・コピー、ヴァイナルとしておもしろいし、人がそれを買う理由になるのにも惹かれた。ネットからダウンロードしたりするだけじゃなくて、物としての価値があるってところにね。

日本盤のボーナス・トラックである" フィール・ユー・ナウ"などには、よりエレクトロニックな方法が試されているように感じますが、これからの音楽的な展開として思い描いているようなことはありますか?

ジャック:しばらくそういうことは考えないんじゃないかな(笑)。あれはちょっと出てきたアイデアっていうだけだと思うし。まだ次のアルバムのための新曲も書きはじめてないし。"フィール・ユー・ナウ"は確かに他の曲とちょっとちがうけど、実際、いつでも同時進行でいろんな種類の曲があるんだよ。『ノクターン』でも、他の曲と合わないから入れなかった曲がたくさんある。アルバムの一貫性が欲しかったからね。まあ、次のアルバムを作りはじめるときには僕のテイストががらっと変わるかもしれないし......まだわかんないよ。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのカタログが再発されましたね。あなたはどの作品が好きですか?

ジャック:どれも大好きだよ! 僕がいちばん好きな曲は実際、EP『グライダー』に入ってるんだ。"オフ・ユア・フェイス"っていう曲。すっごくきれいな曲なんだけど、あのギター・サウンドもあって。どれも好きだけど、初期の『エクスタシー・アンド・ワイン』はすごく好きだな。

ひとりで音楽づくりをはじめる前に、バンドを組んだりしてはいないのですか?

ジャック:大学に入るまで、他の人とプレイすることはなかったんだ。バンドもやったんだけど、本気でやってたわけじゃなくて。

いまあなたがとくに関心を寄せている音楽について教えてください。

ジャック:んー、なにかな。実際、前より60年代の音楽に興味がわいてきてるところなんだ。バーズとか、ホリーズとか。クラウトロックも聴きはじめてる。あと、ビージーズの初期のレコードをかなり聴いてるんだよね(笑)。フェイクなロック・バンドだった頃。見つけたときには、そのこと知らなかったんだけど......だから、すっごくエキサイトして。なんていうアルバムだっけ? たぶん、『ビー・ジーズ・ファースト』っていうタイトルだったと思う(笑)。

LOW END THEORY JAPAN [Fall 2012 Edition] - ele-king

 ちょうどフライング・ロータスの新作『アンティル・ザ・クワイエット・カムス』(素晴らしいアルバム!)がリリースされる頃、今年3度目のローエンド・セオリーが代官山ユニットで開催される。イヴェントの看板DJのひとり、ザ・ガスランプ・キラーをはじめジョンウェイン(注目株のひとり、ストーンズ・スロー所属)、そして豪華絢爛なDJたち。DJ Ductと鎮座ドープネスとMABANUAが一緒に並んでいるっていうのもいいです。人気企画BeatInvitationalも同時開催する。

 とにかく、以下のメンツを見て欲しい。ビート好きは集合!

2012.9.28(金)
at UNIT
www.unit-tokyo.com
OPEN / START : 23:00
CHARGE : ADV.3,500yen / DOOR 4,000yen
※20歳未満の方のご入場はお断り致します。
(要写真付き身分証)

Live&DJ:
The Gaslamp Killer
Nocando
Jonwayne

Beat Invitational:
grooveman Spot
三浦康嗣(□□□)
鎮座ドープネス
daisuke tanabe
mabanua (laptop set)
DJ Duct
sauce 81
みみみ
Notuv
Submerse

The Gaslamp Killer
Jonwayne

DJ:
DJ Kensei
grooveman Spot
Hair Stylistics
DJ Sagaraxx
RLP
Submerse

VJ:
DBKN
浮舌大輔


The Gaslamp Killer ザ・ガスランプ・キラー
カリフォルニア州サンディエゴ出身。レイヴに通いつつ、インヴィジブル・スクラッチ・ピクルズやビート・ジャンキーズなどのスクラッチDJの影響も受け、17歳の時にサンディエゴの有名なダウンタウン、ガスランプ・クォーター(ガスランプの街灯が連なる通りがある)でDJをはじめる。2006年にロサンゼルスに移り住むと、すぐにはじまったばかりのパーティ「LOW END THEORY」に関わり、レジデントDJの座を掴む。LAの最新のビーツ系から、アンディ・ヴォーテルの〈FindersKeepers〉音源やジミ・ヘンドリックスまでプレイできるDJスタイルは、すでに世界的な人気を得ている。2012年9月、10年におよぶDJキャリアの集大成である待望のファースト・フル・アルバム『Breakthrough』をリリース。

Nocando ノーキャンドゥ 
LAアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンの中核Project Blowedから頭角を表し、「LOW END THEORY」のレジデントMCを務め、多方面から注目を集めているラッパー。自由自在にウィットに富んだ天才的なライムを吐き出し、07年には全米最大級 のヒップホップ・イヴェントであるスクリブル・ジャムのMCバトルでチャンプに輝いた。フライング・ロータスやバスドライヴァー、デイデラスらをはじめとしたそうそうたるメンツが参加したアルバム『Jimmy The Rock』もリリース。今年10月にはセカンド・アルバムのリリースを控えている。

Jonwayne ジョンウェイン
14歳からエイフェックス・ツインやスクェアプッシャー、ヒップホップ、ゲーム音楽に触発され音作りを始め、高校時代には演劇やスポークン・ ワードをやり、ヒップホップの虜になってからラップとビート作りに没頭。LOW END THEORYに足繁く通い、ダディ・ケヴにその才能を認められて、Alpha Pupからインスト・ アルバム『Bowser』『The Death Of Andrew』をリリース。またStonesThrowからも初期の作品をまとめた限定盤『Oodles of Doodles』をリリース。20歳そこそこで独自のビート・スタイルを確立した彼は、ラッパーとしても既に引っ張りだこで、ポーティスヘッドのジェフ・ バーロウによるQuakersのアルバムなどに参加している。

- Beat Invitational出演者

GROOVEMAN SPOT
世界が注目する新鋭ビートメイカー/プロデューサー。MC U-Zipplain とのユニット Enbull のDJ & トラックメイカーであり、JazzySportの最重要選手。これまでに4枚のソロアルバムをリリースし国内外のDJ達にも高く評価されており海外での DJingもここ数年増え続けている。待望の4thアルバム「PARADOX」を完成させ、10/17にリリースする。

三浦康嗣(□□□)
□□□(クチロロ)主宰。スカイツリー合唱団主宰。作詞、作曲、編曲、プロデュース、演奏、歌唱、プログラミング、エディット、音響エンジニ アリング、舞台演出......等々をひとりでこなし、多角的に創作に関わる総合作家。

鎮座ドープネス
1981年生まれ。東京・調布生まれ国立育ち。KOCHITOLA HAGURETICEMCEE`S&GROUND RIDDIM所属ヒップホップ、ブルース、レゲエなど様々な音楽がミックスされたカメレオンのような音楽性と、フロウや韻における際立った独創性、ブルー ジーかつフリーキーな唄心をあわせ持つ異才MC/ヴォーカリスト。圧倒的なスキルと表現力によるフリースタイル・パフォーマンスが、16万回を超えるYou tube clipなどを通じて話題を呼び、熱烈なコアファンを増殖させているみたいです。あれもshimasuこれもshimasu。

DAISUKE TANABE
様々な音を独自の視点で解釈/分解/再構築し作り上げられるその世界観は国内外の音楽ファンやクリエーター達に熱く支持されている。リミック ス/コラボレーション、 自身の音源リリースやSonar Sound Tokyo, Sonar Barcelona,Tauron Nowa Muzyka (Poland)等国内外でのライブ活動の他、ファッションショウやパフォーマンスアートへの楽曲提供等、積極的に活動の場を広げ、今後も更なる活躍が期待される。

MABANUA (laptop set)
ドラマー/ビートメーカー/シンガーという他に類を見ないスタイルが話題の日本人クリエイター。すべての楽器を自ら演奏し、それらの音をドラ マーならではのフィジカルなビートセンスでサンプリングし再構築、Hip-Hopのフィルターを通しながらもジャンルに捉われない音創りが世 界中から絶賛される。バンドOvallとしても活動、Budamunkと共にGREEN BUTTER、U-zhaanと共にU-zhaan×mabanua、さらにGAGLE×Ovall名義でアルバムを制作するなど積極的なコラボワークも 展開。

DJ DUCT
一台のターンテーブルとフットペダル、サンプラー、エフェクターに攻撃的なスクラッチを駆使し展開する、そのまったくユニークなライヴ・スタイルでトーキョー・アンダーグラウンドを席巻する孤高の無頼派。閃きと経験によって矢継ぎ早に再構築される音像群、そして、それらを自在に操る圧倒的な構成力で魅せる 「ワン・ターンテーブリスト」こと、DJ DUCTの世界をご堪能あれ。

SAUCE 81
Red Bull Music Academy 2008に招待され、Metamorphose や Sonar Sound Tokyoなどの国内フェスにも出演。世界中にリスナーを持つポッドキャスト、cosmopolyphonic radio を主催し、同番組から派生したコンピ"COSMOPOLYPHONIC" を監修。日・米・英・独のコンピに楽曲提供し、TOKiMONSTA、Julien Dyne、LOGIC SYSTEM などのリミックスも行ってきた。ファンクネスに基づく、グルーヴのモダニズムに挑戦し続けている。

みみみ
とっても横好き下手えもんは、うんこ3個分の推進力では、あんな夢もこんな夢も、とってもかなえられないものだ。

NOTUV
1989生まれ。2004年からサンプリングを主体とした製作を開始し、Low EndTheoryなどLAを中心としたミュージック・シーンに影響を受けて経年変化。現在はジャンルに拘らず時代や文化毎の空気感を咀嚼し、自分に合った表現方法 で昇華している。昨年3月には日本のオンライン・レーベル「分解系records」よりアルバム「oO0o8o」をフリーで配布。

SUBMERSE
イギリス、チェシャー出身のSubmerseは超個人的な影響を独自のセンスで消化し2step、ビートミュージック、アンビエント、ヒップホップそしてドラムンベースを縦横無尽に横断するユニークなスタイルを持つDJ/プロデューサーとして知られている。過去にはR&Sの姉妹レーベル、 Apollo RecordsやMed Schoolから作品がリリースされており7月にはProject Mooncircleから"Tears EP"をリリースしたばかりである。

+THE GASLAMP KILLERとJONWAYNEも参加!

 「LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY 蓮沼執太フィル/ジム・オルークとレッドゼツリン」のことはご存知だろうか?

 その名のとおりLIQUIDROOMの8周年記念イヴェントの一環で、すでに公演は9月10日(月)に迫っている。しかし見逃すにはあまりにもったいない企画であるため、ご存じなかった方はぜひともチェックされることをおすすめする! また来場者特典として音源の配布が決定した模様。LIQUIDROOM2Fにリニューアルオープンした「KATA」というギャラリーでは蓮沼執太参加の展覧会も行われる。幸いチケットもまだ残っているようだ。

●ジム・オルークとレッドゼツリン

 「石橋英子ともう死んだ人たち」として石橋英子『イミテーション・オブ・ライフ』制作に集い、ジム・オルークのプロデュース下に「プログレ・エピック」を志向したという5人(ジム・オルーク、山本達久、須藤俊明、波多野敦子、石橋英子)が、「レッドゼツリン」として活動中! 今回は新曲も披露されるとのことで、要注目だ。とはいえ毎度メンバーすら何を演奏するのかわからないのだというから、緊張感とゆるさの入り混じるジムならではのステージングを終演まで未知のものとして楽しみたい。

●蓮沼執太フィル

 蓮沼執太、石塚周太、イトケン、大谷能生、葛西敏彦、小林うてな、木下美紗都、権藤知彦、斉藤亮輔、Jimanica、千葉広樹、手島絵里子、K-TA、三浦千明というそれぞれに活動歴やファンを有するアーティストたちが集ったこの楽団は、音楽と呼ぶにとどまらず、ひろくアートの文脈でとらえられるべき活動を行い、国内外から注目を集める存在だ。ジャンルや年齢を問わないやさしい音を、高い演奏技術で支える点にもインパクトがある。今回のトピックは環ROYを加えた点だろう。新しい演奏が展開されることに期待が集まる。

そして本誌(紙ele-king)編集長、松村正人より応援コメントをお届け!

 レッドゼツリンはもちろん、レッド・ツェッペリンの英語読みを文字ったものだが、日本人はゼッペリンとはあまりいわないから、一瞬わからない。それが絶倫のゼツリンたるゆえんだろうか。そしてまた「レッド」が「Led」ではなく「Red」だとすると、すなわちこれは「赤い絶倫」、往年の大映ドラマを彷彿させもする。
 ちなみに、私の古い知り合いにゼンリンの社員がいて、彼はピーター・ハミルの来日公演をすべて観てまわるプログレ野郎だった。ハミルはプログレではないかもしれないが。だからどうしたといわれると困るが。

 蓮沼執太は小から大まで複数の編成を使い分け、そのいずれにもカラフルなおおらかなやわらかな色彩と意匠を施すひとだ。私はしばらく前、娘の見る「おかあさんといっしょ」の「ショキ ショキ チョン」で目をさましていたことがあった。最初は渋谷毅さんの曲かと思ったが、蓮沼さんだった。実験でありながらポップ。というかポップが兼ねる実験性をたゆまず実践するひとなのだから、豪華メンバーで挑む今回のライヴでは全体から細部まで見逃すわけにはいかない。

 いや、この二組をじっくり堪能するまたとない機会なのだから、すべて見逃すわけにはいかない。
(松村正人)

LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY
蓮沼執太フィル/ジム・オルークとレッドゼツリン

2012.09.10 @恵比寿 LIQUIDROOM

OPEN / START
18:30 / 19:30
ADV / DOOR
¥3,000(税込・ドリンクチャージ別) / -
TICKET
チケットぴあ [177-007] ローソンチケット [76120] e+ LIQUIDROOM DISK UNION(新宿本館/渋谷中古センター/下北沢店/吉祥寺店/お茶の水駅前店/立川店/中野店/池袋店/町田店/横浜関内店/横浜西口店),8/1 ON SALE

INFO : LIQUIDROOM 03(5464)0800


蓮沼執太参加のエキシヴィジョン

展覧会名:「 I I I 」(さん)
@KATA(LIQUIDROOM 2F)
2012.09.07(金)~28(金)
12:00-22:00
*土曜日/日曜日/祝日:13:00-22:00
最終日9月28日(金曜日)18:00までとなります。

参加アーティスト: 大原大次郎(グラフィックデザイナー)/Noritake(イラストレーター)/蓮沼執太(音楽家)
入場料金:無料
主催・制作・運営:KATA
協賛:株式会社グラフィック

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