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Digitals

三田 格   Sep 21,2010 UP

 別プロジェクトの多さではマーク・マッガイアーに引けをとらないエメラルズのシンセサイザー奏者、ジョン・エリオットによるアウター・スペース名義の(Rやカセットを除けば)1作目。エメラルズのルーツであるドゥーム・サウンドはやはりギターのマッガイアーに由来するもので、そのセンスは彼のソロ作にもそれなりに痕跡を残していたものの、エリオットにはほとんど皆無といってよく、ほとんどタンジェリン・ドリームと化していたエメラルズ本体の変化と相似形をなすかのようなシンセサイザー・サウンドが全編で展開される(マスタリングはキース・フラットン・ウィットマン)。

 テリー・ライリーを早回ししたようなキラッキラッのオープニングに続いて執拗な循環コードや70年代風の強迫的なトリップ・サウンドなど発想は実にシンプルで、とても最近の音楽を聴いているような気がしないと思う反面、リフのテンポや曲の展開などがあまりに早くて過去のものを聴いている気にもなれず、ここにあるのはクラウトロックのイメージそのものなんだろうなーと。それを共有できれば楽しいことこの上なく、天上の世界でお遊戯三昧です。それにしても古い機材ばかりよく揃えたなー......ってほどのことはないか。
 
 ドローン・サイドからここまでテクノ的な発想のアンビエント・モードに接近した例はいままでなかったのに対して、テクノ・サイドからはスリープ・アーカイヴに続いてSTLの名義で知られるステファン・ロープナーも最近になってルナティック・サウンド・システムの名義でドゥーム系のアンビエント・ドローンを試み(『ヘヴィ・マインデッド・オーケストラ』)、ドローンとテクノの壁にも穴が空きはじめている印象がある。それがひとつの流れになるならば、スティーヴン・オモーリーのギターにジェフ・ミルズがリズムをつけるとか、リカルド・ヴィラロボスのセットにマイ・キャット・イズ・アン・エイリアンのオパーリオ兄弟がギター・ダブを試みるなど聴いてみたいと思う組み合わせは無数に思い浮かぶ。誰が最初にやるんだろうか。
 
 ジョン・エリオットの別プロジェクトはほかにカラード・マッシュルーム・アンド・ザ・メディシン・ロックス、ホット・エアー・バルーン・ライド、イマジナリー・ソフトウッズ等々があり、彼とはミストの名義でさらに別なユニットを組むサム・ゴールドバーグ(裏アンビエントP244)もやはりレイディオ・ピープルの名義で(Rやカセットを除けば)1作目をリリースしたばかり。〈ウィアード・フォレスト〉からの『カレント』ではあまりヒネリのない素直なアンビエント・ドローンを展開していたゴールドバークはここではエメラルズに追従するようにノイやライヒマンなどもっと凝ったサウンドに歩を進め、もしもノイエ・ドイッチェ・ヴェレがクラウトロックを終了に追い込まなければ......という幻想に誘われる。

三田 格