「Dom」と一致するもの

Tunes Of Negation - ele-king

 沢井陽子さんのコラムを読んでいると、もはや新しいものを生み出せなくなったNYのインディ・ロック・シーンが日本のシティ・ポップに慰めを求めているようで(というのは言い過ぎ?)、なんとも複雑な気持ちになる。ストップ・ターニング・ジャパニーズ、世界が日本化しちゃまずいんだって。それに、音楽は停滞しているように見えて、まだ未開の領域があると言わんばかりの作品も出ているのだ。

 シャックルトンの新プロジェクト、 Tunes Of Negation(Shackleton、Heather Leigh、Takumi Motokawa)、「否定の音」を意味する名前のこのプロジェクトのアルバムがヤバい。得体の知れない際どい感覚、ある種の恐ろしさ、そうしたものがここにはまだ生きているような気がする。まだサイケデリックと呼びうる音響があったのかという感じ。ベルリンのレーベル〈Cosmo Rhythmatic〉(キング・ミダス・サウンドの新作を出しているレーベル)から10月18日に現地ではリリースされる

Stereolab - ele-king

 去る2月に再始動がアナウンスされ、大きな話題を呼んだステレオラブ。5月にはセカンド・アルバムおよびサード・アルバムがリイシューされているが、それに続いてこの9月、彼らの代表作である4枚目から6枚目まで、すなわち『Emperor Tomato Ketchup』『Dots and Loops』『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』も一挙に復刻される運びとなった。追加収録されるボーナス・トラックにも注目だけれど、この3作ではジョン・マッケンタイアがプロデューサーを務めていて(6枚目にはジム・オルークも)、当時のいわゆるポスト・ロックの流れを知るうえでも超重要なアルバムたちである。発売は9月13日。現在、トレーラー映像とともに、ボーナス・トラック“Freestyle Dumpling”が先行公開中。

[8月17日追記]
 いよいよ一ヶ月後に迫った上記3作のリイシューに先がけ、去る8月13日、『Dots and Loops』収録曲“The Flower Called Nowhere”の未発表ヴァージョンが公開されている。この曲についてメンバーのティム・ゲインは、以下のように語っている。

この曲はマウス・オン・マーズのヤン・ヴェルナーとアンディー・トマと一緒にレコーディングしたんだ。ステレオラブの中で、ずっとお気に入りの曲だよ。ポーランドのジャズ・ミュージシャンやクシシュトフ・コメダの音楽から抱く感覚を想起するようなコード進行に興味があったんだ。たしか偶然だったんだけど、ようやく自分の好きなコードを見つけることができて、そこからこの曲を書き上げたんだ。あと60年代中期〜後期のヨーロッパ映画音楽の雰囲気を取り入れようとして、ハープシコードや優美なヴォーカル、カラフルなサウンドと使ってる。 ──Tim Gane

 試聴・購入はこちらから。

STEREOLAB

90年代オルタナ・シーンでも異彩の輝きを放ったステレオラブ
10年ぶりに再始動をした彼らの再発キャンペーン第二弾が発表!
名盤『EMPEROR TOMATO KETCHUP』を含め一挙に3作がリリース!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性で、オルタナティヴ・ミュージックを語る上で欠かせないバンドであるステレオラブ。その唯一無二のサウンドには、音楽ファンのみならず、多くのアーティストがリスペクトを送っている。10年ぶりに再始動を果たし、今年のプリマヴェーラ・サウンドではジェームス・ブレイクらと並びヘッドライナーとして出演。5月には、再発キャンペーン第一弾として『Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]』(1993年)、『Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]』(1994年)の2タイトルが、アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の発表に合わせトレーラー映像と、『Emperor Tomato Ketchup』にボーナス・トラックとして収録される“Freestyle Dumpling”が先行公開されている。

Expanded Album Reissues Part 2
https://youtu.be/i3FyBhrOuso

Freestyle Dumpling
https://stereolab.ffm.to/freestyle-dumpling

今回リイシューが発表されたのは、1996年にリリースされた代表作『Emperor Tomato Ketchup』、1997年の『Dots and Loops』、1999年の『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』の3作が、全曲リマスター+ボーナス音源を追加収録した “エクスパンデッド・エディション” で、前回同様アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の再発キャンペーンでは、メンバーのティム・ゲインが監修し、世界中のアーティストが信頼を置くカリックス・マスタリング(Calyx Mastering)のエンジニア、ボー・コンドレン(Bo Kondren)によって、オリジナルテープから再マスタリングされた音源が収録されており、ボーナス・トラックとして、別ヴァージョンやデモ音源、未発表ミックスなどが追加収録される。

国内流通盤CDには、解説書とオリジナル・ステッカーが封入され、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。また、スクラッチカードも同封されており、当選者には限定12インチがプレゼントされる。されに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお11月には、『Sound-Dust』 『Margerine Eclipse』がリリースされる予定となっている。

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: EMPEROR TOMATO KETCHUP [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D11RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D11R
2CD / D-UHF-CD11R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10376

[TRACKLISTING]
CD / Digital

Disk 1
01. Metronomic Underground
02. Cybele’s Reverie
03. Percolator
04. Les Yper Sound
05. Spark Plug
06. OLV 26
07. The Noise Of Carpet
08. Tomorrow Is Already Here
09. Emperor Tomato Ketchup
10. Monstre Sacre
11. Motoroller Scalatron
12. Slow Fast Hazel
13. Anonymous Collective

Disk 2
01. Freestyle Dumpling
02. Noise Of Carpet (Original Mix)
03. Old Lungs
04. Percolator (Original Mix)
05. Cybele's Reverie (Demo)
06. Spark Plug (Demo)
07. Spinal Column (Demo)
08. Emperor Tomato Ketchup (Demo)
09. Les Yper Sound (Demo)
10. Metronomic Underground (Demo)
11. Percolator (Demo)
12. Tomorrow Is Already Here (Demo)
13. Brigitte (Demo)
14. Motoroller Scalatron (Demo)
15. Anonymous Collective (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: DOTS AND LOOPS [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D17RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D17R
2CD / D-UHF-CD17R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10377

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Brakhage
02. Miss Modular
03. The Flower Called Nowhere
04. Diagonals
05. Prisoner of Mars
06. Rainbo Conversation
07. Refractions in the Plastic Pulse
08. Parsec
09. Ticker-tape of the Unconscious
10. Contronatura

Disk 2
01. Diagonals (Bode Drums)
02. Contranatura Pt. 2 (Instrumental)
03. Brakhage (Instrumental)
04. The Flower Called Nowhere (Instrumental)
05. Bonus Beats
06. Diagonals (Instrumental)
07. Contranatura (Demo)
08. Allures (Demo)
09. Refractions in the Plastic Pulse (Demo)
10. I Feel The Air (Demo)
11. Off On (Demo)
12. Incredible He Woman (Demo)
13. Miss Modular (Demo)
14. Untitled in Dusseldorf (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN THE MILKY NIGHT [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D23RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D23R
2CD / D-UHF-CD23R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10378

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Fuses
02. People Do It All The Time
03. The Free Design
04. Blips Drips And Strips
05. Italian Shoes Continuum
06. Infinity Girl
07. The Spiracles
08. Op Hop Detonation
09. Puncture In The Radax Permutation
10. Velvet Water
11. Blue Milk

Disk 2
01. Caleidoscopic Gaze
02. Strobo Acceleration
03. The Emergency Kisses
04. Come And Play In The Milky Night

BONUS TRACKS
05. Galaxidion
06. With Friends Like These Pt. 2
07. Backwards Shug
08. Continuum (Unreleased Original Version)
09. Continuum Vocodered (Unreleased)
10. People Do It All The Time (Demo)
11. Op Hop Detonation (Demo)
12. The Spiracles (Demo)
13. Latin Cobra Coda (Demo)
14. Infinity Girl (Demo)
15. Blips, Drips & Strips (Demo)
16. Blue Milk (Demo)
17. Italian Shoes Continuum (Demo)
18. Come And Play In The Milky Night (Demo)
19. Strobo Acceleration (Demo)
20. Caleidoscopic Gaze (Demo)
21. Galaxidion (Demo)

!!! (Chk Chk Chk) - ele-king

 先日、両A面シングル「UR Paranoid / Off The Grid」をドロップし話題を集めたチック・チック・チックですが、やはりアルバムへの布石だったようです。彼らの8枚目となるニュー・アルバム『Wallop』が8月30日に世界同時リリースされます。収録曲“Serbia Drums”も新たに公開されました。むちゃくちゃポップです。そして嬉しいことに、来日ツアーも決定。10月30日から11月1日にかけて、京都・大阪・東京をまわります。今年の後半はチック・チック・チックで乗り切りましょう。

[7月12日追記]
 はい、恒例のアレです。本日、“Serbia Drums”の「カナ読みリリックビデオ」が公開されました。これで来日公演も大合唱の渦に包まれること間違いなし。チケットは明日13日より発売開始です。ウィヴノン ワーキンニ オブスキューリティ エーン ウィルノーイタゲン♪

ディスコ・ファンクの悦楽とロックの絶頂とが交差する狂騒のフロアへ
チック・チック・チックが最新アルバム『WALLOP』と
待望の来日ツアーを発表!!!
キャリア史上最高にポップなシングル「SERBIA DRUMS」をリリース!!!

先頃、両A面シングル「UR Paranoid / Off The Grid」とミュージック・ビデオを立て続けにドロップし、新たな動きをにおわせていた!!!(チック・チック・チック)が、キャリア史上最高にポップなシングル「Serbia Drums」を新たに解禁し、最新アルバム『Wallop』のリリースを発表した。さらに!!!待望の来日ツアーも決定!!! 東京公演と京都公演の主催者WEB先行はただいまよりスタート! 大阪公演は、主催者先行受付(抽選)が6月25日よりスタートする。

通算8枚目となるニュー・アルバム『Wallop』には、ディスコ~ハウス~ファンク~ロックを大胆に横断し、否が応にも体と心が踊り出す楽曲が満載!!! ニュー・アルバムをひっさげての来日ツアーは超必見!!! 最狂のライブ・バンドと謳われた彼らの真骨頂=ライブで、祝祭のダンスを!!!

とにかく自由になって、未知の世界に行きたかったんだ ──Nic Offer

今作では、ニック・オファーとともにアルバム全編に渡ってヴォーカルを務めるミアー・ペースに加えて、友人でもあるライアーズのフロントマン、アンガス・アンドリューや、シンク・ヤ・ティースのマリア・ウーゾル、グラッサー名義の活動で知られるキャメロン・メシロウらも参加。

プロデューサーには、元アリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティで、ベックやザ・ヴァクシーンズの作品などを手がけたコール・M・グライフ・ニールやホーリー・ファックのグラハム・ウォルシュ、長年のコラボレーターであるパトリック・フォードが名を連ねている。

NYの馬鹿げたダンス規制法を痛烈に批判し一躍脚光を浴びた名曲「Me And Giuliani Down By The School Yard (A True Story)」から16年、突き抜けてエネルギッシュかつ痛快に反体制の姿勢を示し続けているチック・チック・チック。世界情勢が終わりの見えない崩壊を続ける今こそ、ダンス・ミュージックの濃密な歴史の中から生まれた、どこまでも自由で強靭な彼らの楽曲が必要とされている。

チック・チック・チック待望のニュー・アルバム『Wallop』は、8月30日(金)に世界同時リリース! 国内盤にはボーナス・トラック“Do The Dial Tone”が追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。iTunesでアルバムを予約すると、公開中の“Off The Grid” “UR Paranoid” “Serbia Drums”がいち早くダウンロードできる。また限定輸入盤LPは、グリーン・ヴァイナルとピンク・ヴァイナルの二枚組仕様となっている。

!!! - WALLOP JAPAN TOUR -

東京公演:2019年11月1日(金) O-EAST
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277 / www.beatink.com

京都公演:2019年10月30日(水) METRO
OPEN 19:00 / START 20:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:METRO 075-752-2787 / info@metro.ne.jp / www.metro.ne.jp

大阪公演:2019年10月31日(木) LIVE HOUSE ANIMA
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

[チケット詳細]
一般発売:7月13日(土)~

label: WARP RECORDS/BEAT RECORDS
artist: !!!
title: Wallop
国内盤CD BRC-608 ¥2,200+tax
国内盤特典: ボーナス・トラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

[MORE INFO]
BEATINK
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10335

[Tracklist]
01. Let It Change U
02. Couldn't Have Known
03. Off The Grid
04. In The Grid
05. Serbia Drums
06. My Fault
07. Slow Motion
08. Slo Mo
09. $50 Million
10. Domino
11. Rhythm Of The Gravity
12. UR Paranoid
13. This Is The Door
14. This Is The Dub
15. Do The Dial Tone (Bonus Track for Japan)

〈WARP〉30周年記念ポップアップストアが大阪/京都でも開催決定!

先日東京・原宿で開催された〈WARP〉ポップアップストアに続き、大阪&京都での開催が決定!!

目玉商品は、昨年12月と先週に東京・原宿で開催されたポップアップストアでカルト的人気を誇ったエイフェックス・ツインの輸入オフィシャル・グッズ、「ニューシャネル」やYMOとのコラボTで知られる現代美術家:大竹伸朗によるデザインTシャツや、〈WARP〉30周年記念オリジナルTシャツ、来日公演も発表され、勢い止まらぬフライング・ロータス最新作『FLAMAGRA』グッズ、本レーベルを代表するオリジネイター:プラッドの最新作『POLYMER』グッズなどの最新アーティスト・グッズに加え、アニバーサリーを記念して製作された数々の〈WARP〉ロゴグッズが登場! その他にも、バトルス、チック・チック・チック、マウント・キンビー、ボーズ・オブ・カナダ、ブライアン・イーノなど、〈WARP〉を代表するアーティストのグッズや、レーベルの歴史を彩る数々の名盤のLP/CDなどがずらりと店頭に並ぶ。

また、東京を拠点にするファッションブランド、F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)の人気アイテムである完全防水仕様のナイロン・ポンチョに〈WARP〉ロゴを胸にあしらった特別仕様アイテムの受注販売も行われる。

WxAxRxP POP-UP STORE
開催日程:6/29 (土) 〜 6/30 (日)

大阪:6/29 (土) 11:00〜19:00
W CAFE(大阪市中央区西心斎橋1-12-11-1F)

京都:6/30 (日) 11:00〜19:00
LaCCU(京都府京都市中京区御幸町通六角下る 伊勢屋町335-1アップヒルズ227 1F)

【入場に関するご案内】
・開場以前のご来店・整列はご遠慮ください。
・当日の混雑状況に応じて、ご案内の方法が変更となる場合がございます。
・皆様に気持ちよくお過ごしいただく為、スタッフの指示にご協力いただきますようお願いいたします。状況により中止せざるを得ない場合もございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

interview with DJ Marfox - ele-king

 ずっと待っていた。ベース・ミュージックの枠にもテクノの枠にも収まりきらない、かといっていわゆる「ワールド・ミュージック」や「アフリカ」のように大雑把なタグを貼りつけて片づけてしまうにはあまりにも特異すぎる〈Príncipe〉の音楽と出会い、昂奮し、惚れこんで、その中心にいるのが DJ Marfox だということを知ってからずっと、いつの日か彼に取材できたらと願っていた。だから2016年、タイミングが合わなくて初来日公演を逃したときはひどくがっかりしたけれど、幸運なことに彼はこの3月、ふたたび列島の地を踏んでくれることになり、こちらの期待を大きく上回る最高のセットを披露、まだ寒さの残るフロアを熱気で包み込んだのだった。
 とまあこのように、およそ15年前に彼や彼の仲間たちによってリスボンの郊外で生み落とされたアフロ・ポルトギースのゲットー・ミュージックは、いまや世界各地のミュージック・ラヴァーたちの心を鷲づかみにするほどにまで広まったわけだけれど、ではその背後に横たわっているものとはなんだったのか、いったい何が彼らの音楽をかくも特別なものへと仕立て上げたのか──じっさいに対面した Marfox はきわめて思慮深いナイスガイで、誠実にこちらの質問に答えてくれた。

100%ポルトガル人じゃないし、100%アフリカ人でもない。自分たちは「50%・50%(フィフティ・フィフティ)」な存在なんだよね。

そもそも音楽をはじめたきっかけはなんだったんでしょう?

DJ Marfox(以下、M):音楽をはじめたのは14歳のころで、創作というよりは、他の人の音楽──アンゴラのクドゥロ楽曲を再現するようなことをしていたね。それから徐々にリミックスを作ったり、いろいろな曲の気に入った断片をコラージュするようなことをはじめた。PCの、Virtual DJ というソフトでね。
 2004年に Quinta do Mocho (訳注:リスボン郊外の移民たちが多く暮らす団地地域)のパーティで、DJ Nervoso と知り合ったんだ。彼はそこでDJをしていたんだけど、自分の知らない曲ばかりかけていた。そのころ、自分はアンゴラ帰りの人にCDを借りたりして、アンゴラの音楽はだいたい知っていたから、衝撃だったね。だから──これはパーティでいいDJがいたらふつうの行動だと思うけど、DJがどんなヤツで、なんて音楽をかけているのか知りたくて──DJブースに近づいていって彼に話しかけたんだ。「ねえ、自分もDJなんだけど、誰の曲をかけてるの?」と聞いたら彼は「ああ、これは俺が作った曲だよ。俺はプロデューサーだからね」って答えたんだ。それがきっかけで仲良くなって、彼は自分に「プロデューサー」という新しい世界を紹介してくれた。Fruity Loops みたいなソフトの使い方とかもね。

あなたの音楽はクドゥロから大きな影響を受けていますが、ふつうのクドゥロとあなた独自の音楽との違いはなんですか?

M:子どものころからクドゥロを聴いてきたから、クドゥロは自分の音楽に不可欠な要素のひとつだ。クドゥロにはビートがあって、歌手がいる。でも、当時のリスボンにはクドゥリスタ(訳注:クドゥロ歌手のこと)がいなかったんだ。だから自分たちは、よりダンス・ミュージックにシフトし、躍らせるためのビートを構築することにフォーカスしていった。ホット・ビートと歌い手がいれば、リスナーにインパクトを与えることは簡単だけれど、ビートだけでそれを実現するのは難しい。クドゥリスタが不在であるがゆえに、自分たちリスボンのプロデューサーは、創意工夫をして独自の音楽性を確立していったんだと思うよ。

2005年に DJ Pausas、DJ Fofuxo とのグループ DJs do Guetto をはじめた経緯を教えてください。当時の野心はどのようなものだったのでしょう?

M:自分も、DJ Pausas と DJ Fofuxo も、アフリカ出身の両親のもとに、リスボン郊外で生まれ育ったキッズで、自分たちのアイデンティティを「ポルトガル人」とも「アフリカ人」とも定義づけられずにいた。自分たちは黒人だから、欧州系のポルトガル人たちには「ポルトガル人」には見えないし、アンゴラやカーボ・ヴェルデやサントメプリンシペのような、ポルトガルの旧植民地から移民してきた人たちにも「君らはアフリカで生まれてないから、僕らとは違うよね」と言われ続けてきた。この作品を発表することは、ポルトガル人でも、アフリカ人でもない、という自分たちの新しいアイデンティティを主張するために必要なことだった。グループを結成したときは、何をしているのか意識的ではなかったけど、「自分たちは何者なんだろう?」というのは当時からの自問だった。100%ポルトガル人じゃないし、100%アフリカ人でもない。自分たちは「50%・50%(フィフティ・フィフティ)」な存在なんだよね。

2011年の「Eu Sei Quem Sou (訳注:自分が何者か知っている)」は〈Príncipe〉の最初のリリースであり、決定的な一枚となりました。当時はどんな気持ちだったのですか?

M:〈Príncipe〉は自分にとってたいせつな存在で、この作品は最初の子どもみたいなものだ。一緒に〈Príncipe〉をやっている連中とは2007年に知り合っていて、彼らはリスボンの郊外で何が起こっているのか、どんな音楽が生み出されているのかをよく理解していた。でも、当時はまだそれらの音楽を都市部に、そして世界に紹介するコンディションが整っていなかったんだよね。自分たちの音楽はニッチだと思っていたから、適切なかたちでマーケットに紹介するためには準備が必要だった。その期間、自分自身もプロデューサーとして成長し、2011年に〈Príncipe〉は「Eu Sei Quem Sou」をリリースできたというわけさ。この作品は自分にとっては「表明」の作品で、この作品をリリースしたとき、自分が何者で、何がしたくて、どこに到達したいのかが明確な状態だった。〈Príncipe〉の連中も最初に出会った日から自分が何をしたいのか理解してくれていたし、準備期間にもずっと連絡を取り合っていたよ。

やはりあなたや〈Príncipe〉の面々が郊外出身であるというのは重要なポイントなのですね。

M:そうだね。おもしろいことに、いつも都市部で活躍したいと思ってきたけれど、都市部は長いこと自分たちに関心を払ってこなかった。DJ Nervoso が活動をはじめたのが2001年、自分が〈Príncipe〉の連中と知り合ったのが2007年、「Eu Sei Quem Sou」をリリースしたのが2011年。それぞれのプロセスに5~6年かかっていて、そのあいだ自分たちはずっと、都市部もメディアも注目しない郊外のアンダーグラウンドな存在だった。でも、もしもっと早く注目されていたら、いまのような活動はできていなかったように思う。メディアが「これは一時的なムーヴメントなのか?」と取り上げはじめたころにはすでに、自分たちは長く活動していて準備万端だったから、すべての出来事はベスト・タイミングで起こったと言えるね。

「Eu Sei Quem Sou」のころには自分が何者か明確になっていたとのことですが、あらためてあなたは何者なのでしょう?

M:自分は「顔」だ。声を持たない人びとの顔、居場所を持たない人びとの顔、見向きもされない人びとの顔、声を発しても聞いてもらえない人びとの顔。それらが「声」を持ったのが自分だと思ってる。思ったことを言い、何をしたいか主張し、互いに敬意を払う。これは「闘い」だったけれど、それはインディペンデントで、社会的な側面もある「音楽プロジェクト」という形態である必要があった。この音楽は人生を変えたんだから。
 最近、自分はとても幸せな気持ちで眠りにつくんだ。眠りにつくいまこの瞬間も DJ Nigga FoxNídia や Nervoso が地球のどこかでDJをしている、と思えるのはとても幸せな気分だ。いまや〈Príncipe〉には30人近いDJがいて、みんな、レーベル主催のリスボンでの定期イベント《Noite Príncipe》から、イギリス、アジアやアメリカまでDJしに飛び回っていて、もはやポルトガルだけでなくヨーロッパがホームだと感じるくらいだ。人びとのために、音楽で成し遂げなければならないことをやっている。人がいなければ音楽ではないからね。

他方で何がしたいかも明確になっていたとのことですが、そのあなたがやりたいこととは?

M:都市部と郊外の架け橋になることだね。自分の作る音楽がなければ、今日自分はここにいないだろう。音楽をやっていなかったら、自分は大学も出ていないし、多くの友人たちがそうしたように、イギリスかドイツにでも移民していただろう。この音楽は発表した当初から、国内外で注目されて、そのことによって「アフロ・ポルトギースも価値ある存在なんだ」「新しい存在、新しいリスボンを代表する存在なんだ」ということを革命的に示すことができた。以前より居場所があると感じているし、希望も感じているけど、まだまだ活躍の場を生み出すことはできる、ポルトガル社会においてアフロ・ポルトギースの存在を示すことはできると思っている。

自分は「顔」だ。声を持たない人びとの顔、居場所を持たない人びとの顔、見向きもされない人びとの顔、声を発しても聞いてもらえない人びとの顔。それらが「声」を持ったのが自分だ。

ペドロ・コスタという映画監督を知っていますか? 彼の『ヴァンダの部屋(原題:No Quarto da Vanda)』という映画を観たことは?

M:彼の映画『ホース・マネー(原題:Cavalo do dinheiro)』は観たことあるよ。ポルトガルにおける移民の扱い、移民がいかに疎外されているかにかんして鋭い批判をしている人だ。移民たちの抱える問題はゲットーを作ることではなく、ゲットーを抜け出せないことにある、と彼はよく理解しているよね。自分たちの親や祖父母の世代がアフリカからポルトガルに移民してきたのは、植民地化から解放されて何も残らなかった故郷にいるよりも、良い人生を送りたかったからだ。でも、たとえばポルトガルでの教育ひとつをとっても、義務教育レベルで優秀な教師は都市部の学校にいて、郊外には質の高くない教師があてがわれる。ペドロ・コスタは、そういった状況……「移民支援」のような「嘘のシステム」についても指摘しているよね。『ホース・マネー』でも、若くしてポルトガルに移民してきたカーボ・ヴェルデ出身の老人が、長年リスボンの工事現場で、都市の、ポルトガルの発展のために働いてきたにもかかわらず、社会保障や年金を受けられないまま死の床にある様子が描かれている。30年以上、陽の当たらないスラムに住みながら働いて、何も得られない、という作中の彼のような状況に置かれたアフリカ系移民はたくさんいると思う。
 とはいえ物事にはいろいろな側面があって、1974年4月25日(訳註:ポルトガルでカーネーション革命が起こり、独裁政権が終焉を迎えた日。同時に、各アフリカ植民地独立の契機となった)以前の祖父母世代の人びとの生活は、いまよりずっと苦しいものだったということも理解している。ペドロ・コスタはそういったことも含めた社会矛盾を指摘している映画監督だと思うよ。個人的にも知り合いだしね。

知り合いだったんですか! 彼とはどのような経緯で?

M:共通の知り合いがいて、その人がペドロに「いままでのリスボンにはなかったような音楽活動をしている人たちがいる」と言ったら、彼が興味を持ったらしいんだよね。彼はうちに遊びにきて、自分の母親にも会ったことがあるよ。

先ほど「架け橋になりたい」という話が出ましたが、郊外のあなたたちにとって都市はべつに「敵」のような存在だったわけではない、ということですよね。

M:ぜんぜん。僕らが Musicbox (訳註:リスボンのナイト・シーンの中心的クラブ)で毎月開催しているイベント《Noite Príncipe》は、Musicbox で続いているいちばん長い定期イベントで、2月20日にちょうど7周年を祝ったところだ。このときは特別に、ポルト含め5箇所でイベントを同時開催したんだけど、すべてソールドアウトだった。貧乏人も金持ちも外国人もほんとうにいろいろな人びとが遊びにきていて、これが音楽の力だなと実感したよ。リスボンも、世界も、ますますオープンになっていくし、世界じゅうの人びとが集まる自分たちのイベント《Noite Príncipe》がそれを証明していると思う。

ではもしあなたたちに「敵」がいるとすれば、それはなんでしょう?

M:自分たちに唯一「敵」がいるとすれば、それは自分たち自身さ。自分たちが音楽を作ることをやめてしまうこと、諦めること──それが最大の敵だね。

ということは、そろそろ DJ Marfox 名義の新作も?

M:うん、取りかかっているところ。だいぶ長いことかけているわりに、発表できていないんだけどね。自分は「アルバムを作らなきゃ」っていうプレッシャーだったり、「自分の作品を見てもらいたい」みたいな自己顕示欲が強いタイプじゃないから、気楽な気持ちで取り組んでる。こうしてあちこち旅行して、他のいろんなDJや音楽を聴いて影響を受けて、それでも自分のベースになる要素は忘れずに、プロデューサーもこなして……というスタイルが自分には合ってると思う。自分名義の作品は、プロデュースやリミックスの依頼をこなしつつゆっくり作っているよ。ヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館の音響を担当する話もあるし(註:7月には彼を含むドイツ館の楽曲を収録したLPもリリースされる模様)。

それはすごいですね。ちなみに〈Domino〉の Georgia の曲を5曲、共同でプロデュースしたという情報を見かけたのですが。

M:もう公開されているはずだよ(註:取材後に再度調べたところ、たしかに新曲は公開されているものの、ふたりがコラボしたという情報は本人の発言以外見つからず)。1月にロンドンに行ったのもその繋がりで、Laylow という新しいヴェニューで彼女が1月のあいだ、レシデンス・アーティストとキュレーションを手がけている、その最終日に出演したんだ。

Technics 7th in Tokyo - ele-king

 ヴァイナルとターンテーブルを愛するすべての人たちに朗報だ。DJカルチャーに多大な功績を残しながらも9年前に製造終了となっていた Technics の名器 SL-1200MK シリーズ、たとえばテクノ好きのあいだではリッチー・ホウティンとジョン・アクアヴィヴァによって設立され、スピーディ・Jやケニー・ラーキンといった才能を送り出してきたウィンザーのレーベル〈Plus 8〉の名が、同シリーズのピッチ・コントローラーの値に由来することはちょっとした豆知識になっているけれど、なんと去る5月24日、同シリーズ11年ぶりの新モデル SL-1200MK7 が発売となった。
 これを記念し、明後日6月5日 DOMMUNE にてスペシャル・プログラムが緊急配信。アナログをメインとするDJたちが一挙に集結する。第1部のトーク・パートには宇川直宏、DUB MASTER X、Technics の開発担当者である三浦寛らが出演し、SL-1200MK7 の魅力を徹底的に解剖。第2部のDJパートでは MURO、DJ EMMA、Mighty Crown、DJ KOCO a.k.a.SHIMOKITA、Dazzle Drums と、錚々たる面子がプレイする予定となっている。しかも通常3時間のDJタイムがこの日は4時間とのことで、見逃すと後悔する一夜になりそうだ。詳細は下記よりご確認を。

https://www.dommune.com/reserve/2019/0605/

SL-1200MK7 発売記念!!
DOMMUNE にてスペシャル番組配信が決定!!

世界中のレコード・ファン、ターンテーブリスト達が絶大なる信頼を寄せるターンテーブルが Technics SL-1200MK シリーズ。このターンテーブルが Hip Hop、クラブシーンに果たしてきた役割と功績は見逃せない。まさにこの優れたターンテーブルがあったからこそDJカルチャーが隆盛したと言える、そんな名器なのだ。しかし2010年に製造終了となり、世界中のターンテーブル・ファンから再発売を熱望されていたが、ついに5月24日に新モデル SL-1200MK7 が発売となった。

この発売を記念して DOMMUNE でアナログをメインにしたDJたちが集結するスペシャル・プログラムの緊急配信が決定。

出演は、今年1月のラスベガスでのお披露目イベント「Technics7th」でもプレイし話題になった DJ KOCO A.K.A SHIMOKITA、レゲエ界からは世界ナンバー・ワンの Mighty Crown の Masta Simon と Sami-T の2人、King Of Diggin こと MURO、Nagi と Kei Sugano による注目の男女ユニット Dazzle Drums、DJとして長いキャリアを誇る DJ EMMA というこの夜でしか有りえないジャンルを超えて選ばれた超豪華DJ陣が登場する。しかもこの夜は、通常3時間がDJタイムだが、この夜は4時間枠。
つまり前半のトークセッションは1時間に短縮だが、逆に濃い内容となる。Technics のターンテーブル開発担当、三浦氏に加え、リミキサーやエンジニアとして様々な機材を使いこなす DUB MASTER X も登場し、発売された SL-1200MK7 を解剖、また今年1月にラスベガスのベラージオ・ホテルで行われ DOMMUNE と BOILER ROOM で全世界配信され話題となったパーティー「Technics7th」の数百枚の写真から選んだフォト・ドキュメントや映像を交えたリポートも行われる予定。

【番組概要】
■番組名:Technics 7th in Tokyo
■日時:6月5日(水)19:00-24:00
■出演
1部(トーク):宇川直宏、DUB MASTER X、三浦寛(Technics)、石井志津男ほか
2部(DJ PLAY):DJ KOCO a.k.a.SHIMOKITA、Mighty Crown、MURO、Dazzle Drums、DJ EMMA
■配信サイト:DOMMUNE(https://www.dommune.com
※配信時間にPC/スマートフォン等からURLにアクセス頂ければ無料でご覧いただけます。

MURO
日本が世界に誇る King Of Diggin' こと MURO。「世界一のDigger」としてプロデュース/DJでの活動の幅をアンダーグラウンドからメジャーまで、そしてワールドワイドに広げていく。現在もレーベルオフィシャルMIXを数多くリリースし、国内外において絶大な支持を得ている。新規レーベル〈TOKYO RECORDS〉のプロデューサーにも名を連ね、カバーアルバム『和音』をリリースするなど、多岐に渡るフィールドで最もその動向が注目されているアーティストである。
毎週水曜日25:30~ TOKYO FM MURO presents 「KING OF DIGGIN'」の中で、毎週新たなMIXを披露している。

DJ EMMA
1985年よりDJを始め、東京各所のナイトクラブで数々のパーティーを成功させる。1994 年に「GOLD」と契約。クローズするまでレジデンスとして活躍、そのアグレッシブなプレイによって土曜日をまとめあげ、東京中の遊び人(ナイトリスト)たちに決定的な存在感を知らしめた。1995年にはDJプレイに留まらず音楽制作を開始。川内タロウと共に「MALAWI ROCKS」を結成する。同年〈NIGHTGROOVE〉より発売された12inchシングル「Music Is My Flower」が世界的ヒットを果たす。同じく1995年から発売され、日本を代表するMIX CDとなった『EMMA HOUSE』は、24bitマスタリングというMIX CDの枠を超えた徹底的な音作りとダンスフロアの雰囲気を閉じ込めた作品として好セールスを記録。2014年新たな活動を始めた〈NITELIST MUSIC〉から、日本発のACID HOUSE 『ACID CITY』を発売。〈HEARTBEAT〉から2年連続リリースとなったMIX CD 『MIXED BY DJEMMA vol.2』と共にダブルリリースツアーを全国15ヶ所で行う。常にダンスフロアと HOUSE MUSIC を中心に新しい音楽を最高の技術でプレイし続けるスタイルは KING OF HOUSE と呼ばれる。
2016年には活動30周年を記念した『EMMA HOUSE XX~30th Anniversary~』を〈ユニバーサルミュージック〉よりリリース。
2017年、プロデュースユニット NUDE 名義で「NO PICTURE (ON MY PHONE) feat. ZEEBRA」をリリースし、さらには最新作『ACID CITY3』を10月にリリースするなど、DJ及びプロデューサーとして精力的に活躍中。

Mighty Crown
1991年横浜で結成され、今では日本代表のみならず世界のレゲエアンバサダー/カルチャーアイコンとして活躍するダンスホールレゲエサウンド。
2017年11月にはボブマーリーファミリーの主催するカリブクルーズ船上でのサウンドクラッシュで3連覇を果たし、18年7月にはサウンド界のチャンピオンズリーグともいえるジャマイカでの世界大会 WORLD CLASH 20th Anniversarry で優勝を果たす。これまでに8つの世界タイトル、11回の優勝経験をもつ唯一無二の存在である。
観客を煽るMCと、曲をプレイする SELECTOR (いわゆるDJ)からなるチームとして、曲のメッセージ、音楽のパワーを倍増させてフロアに伝える彼らのスキルは随一。選曲やMCの妙で誰が一番観客を盛り上げるかを競う「サウンドクラッシュ」という音の戦いにおいても、早くから国内外で積極的に取り組み、1999年NYで行われた「WORLD CLASH in New York」で優勝。アジア人初のサウンドクラッシュ世界一の称号を勝ち取った。
以降は単に日本代表というだけでなく世界屈指のサウンドとして北米、カリブ諸島、ヨーロッパなど、海外各地を沸かし続けてきた。11個の世界タイトルを獲得し、トロフィーの数だけでなく、世界中にファンとリスペクトを増やし続けている。レゲエのメッカ、ジャマイカにおいても、サウンド文化の貢献者として表彰されるなどその存在と功績はジャンルを越え評価されている。
メンバーは設立からのメンバーである MASTA SIMON と SAMI-T の兄弟に加え、SAMI-T のNY修業時代に知り合い MIGHTY CROWN に加入したファンデーション担当の COJIE、そして MIGHTY CROWN 第二の拠点であるNY在住の NINJA。それぞれの得意分野を生かして単独でも活躍している。
国内外のクラブプレイ、レゲエフェスなどへの出演の他に、“信念とスタイル、そしてスキル”を持つアーティストとして、ジャンルを超え、ハイ・スタンダード主催の《AIR JAM》やモンゴル800 主催の《What A Wonderful World》などロックフェスのクラウドをもレゲエサウンドの手法と MIGHTY CROWN のスキルを活かして盛り上げている。また、人気ドラマ『HiGH&LOW』のサントラや般若、ANARCHY といった HIP HOP アーティストの作品にアーティストとして参加、イベント、レーベル、ブランドプロデューサーなどその進化はとどまることを知らない。

DJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA
世界中のバイナルディガー達を圧倒させる選曲と、時折魅せるスリリングなテクニックで、オーディエンスを魅了する。これまでに、7インチのみでのライブミックスなど、数々のMIX作品を出し続けている現在進行形のヒップホップDJ。ファンク、ソウル、ディスコ、レゲエなど様々なジャンルの45'sを使い、ヒップホップ的な解釈で見せる彼のプレイは海外DJ達からも高い評価を受ける。現在、アジアでも活躍しながら、DJ Scratch がブルックリンから配信するDJパフォーマンスのストリーミングサイトで、「ScratchVision Tokyo」と題して定期に出演している。

Dazzle Drums
Nagi と Kei Sugano の2人組ユニット。それぞれが90年代からDJ活動を開始。ダンス/ハウスクラシックスを軸に幅広い選曲で新譜を織り交ぜプレイする。
2005年より楽曲制作を開始。〈King Street Sounds〉、〈Centric Music〉、〈Tony Records〉、〈Nulu Electronic〉、〈Tribe Records〉、〈BBE Music〉などこれまで数多くの海外レーベルからリリースを重ね、Danny Krivit、Joaquin Joe Claussell、Louie Vega、Tony Humphries、DJ Nori、DJ Emma や Tim Sweeney らがプレイし、幅広いDJからの評価を獲得。2010年、自主レーベル〈Green Parrot Recording〉を始動。2014年、1stアルバム『Rise From The Shadows』をリリース。2016年、Louie Vega ファミリー Anane Vega のレーベル〈Nulu Electronic〉から2ndアルバム『Concrete Jungle』をリリース。同年7月 Gilles Peterson 主宰、南フランス Sete で開催される《Worldwide Festival》に出演、12月 Ray-Ban x Boiler Room に出演。2017年、Mix & Compilation CD 『Music Of Many Colours』をリリース、同名のパーティーを Contact で始動。同年7月ヨーロッパツアー、10月アムステルダム ADE 出演。2018年7月2度目の《Worldwide Festival》出演を皮切りにヨーロッパ5ヶ国6都市をDJツアー。レギュラーパーティーは毎月第二日曜日夕方開催 Block Party @ 0 Zero。

DUB MASTER X
一発で彼の音と分る個性的な音作りをするが、そのバランス感覚は絶妙で、歌謡曲からクラブのフロアーを揺るがす音作りまで何でもこなすサウンド・エンジニア&DJ&クリエイター。ごく初期の Mute Beat 時代からダブ・エンジニアとして参加し、全ての作品に参加。Mute Beat 解散後は Remixer やレコーディング・ライブミックスエンジニア、DJとして活躍。「Dub Wa Crazy」シリーズで7インチ・シングルを10枚リリース(のちに全曲を収録した同名の2枚組CDをリリース)。92年にはファースト・アルバム『Dub Master X』を皮切りに『Dub Master X II』『Side Job』をリリース。また藤原ヒロシとの Luv Master X 名義のアルバム『L.M.X』も93年にリリース。Dub wa Self Remix シリーズを始めアンダーグラウンドでの活動をしながら00年には『Dub's Music boX』を、2009年には『Dub Summer Pop』をリリース。2010年には鬼才リミキサーユニット Moonbug に加入。2015年、盟友朝本浩文の事故をきっかけに集まった仲間達と DUBFORCE を結成。
リミックス・ワークとして浜崎あゆみ、倖田來未、Every Little Thing、globe、鈴木亜美、Do As Infinity、華原朋美などの〈エイベックス〉作品を多く手掛ける傍ら、ヤン富田、いとうせいこう、Pizzicato Five、ムーンライダーズ、The Blue Hearts、コレクターズ、キリンジといった玄人好みのミュージシャンの作品も多数制作。既に本人でさえ数え切れないほどの作品に関わっている。
PAエンジニア・レコーディングエンジニア・リミックス・プロデュース・アレンジ・プログラミング・DJ・舞台音響等々、アーティストサイドとスタッフサイドの両方を理解する希有な存在でもある。
2010 年頃より初心に立ち返り気持ちの良い音を探求すべくライブPAエンジニアを主戦場として活動中。Deftech、SUGIZO、柴咲コウ、m-flo、かせきさいだぁ、小島麻由美、MORE THE MAN、SOUR、KanekoNobuaki、POLARIS、柴田聡子、BASSONS、木根尚人等のFOH を担当している。

Jamie 3:26 - ele-king

 故Frankie Knucklesと双璧をなす伝説のDJ、Ron Hardyがレジデントを務めたクラブ「MUSIC BOX」。シカゴの326 Lower North Michigan通りに面したこのヴェニューで、ダンス・ミュージックとは何か? を学び、今ではRonの意思を継ぐ現役最後のDJとも称されるJamie 3:26。
 彼を知るアーティストの仲間やプロモーターの誰もが「Jamieは特別」と口を揃え、圧倒的なキャラクター、そしてDJの姿勢からはハウスミュージックへの愛とリスペクトが心の底から伝わってくる。
 そんなJamie 3:26が2年越しに日本へカムバック!!
 東京、盛岡、名古屋、神戸と4都市をまたぐジャパン・ツアーを開催。
 全てのダンスフロアに極上の多幸感と熱量をもたらす唯一無二の存在。
 全公演VIBES ONLYでお届け、お見逃しなく!!!!

Angel-Ho - ele-king

 『Death Becomes Her』は南アフリカ共和国ケープタウンを拠点に活動するアーティスト、エンジェル・ホのキャリア通算2枚目のアルバムである。2017年に自身も設立に関わったレーベル/共同体である〈NON〉から1枚目の『Red Devil』を、そして今作はロンドンの〈Hyperdub〉からのリリースとなった。
 ここで時間を2015年に巻き戻す。当時21歳だったアンジェロ・アントニオ・ヴァレリオは、植民地主義の爪痕や人種主義がアパルトヘイト後も色濃く残る南アフリカの政治に憤りを感じながら、ケープタウン大学でファイン・アートを専攻していた。『FADER』による当時のインタヴューによれば、同学部の自学年で、有色人種は彼しかいなかったという。ヴァレリオは、この年に実施された同校のキャンパスに建っていた植民地主義の象徴であるセシル・ローズの銅像を撤廃する運動などにも参加している。
 彼の創造力はローカルにとどまることなく、サイバースペースへとトランスコーディングされ、アメリカ合衆国リッチモンドのチーノ・アモービとフェイスブックで知り合い、ロンドンのアーティスト、キシとも出会う。人種、政治、ジェンダー、ディアスポラなどのトピックで共振した彼らは、2015年に〈NON〉を始動させる。
 ヴァレリオは幼い頃からのあだ名である「Angel-Ho」を自身に冠し、エンジェル・ホとしてデビューEP「Ascension」をラビットのレーベル〈Halcyon Vale〉と〈NON〉の共同リリースとして発表。このEPはアルカがマスタリングを担当している。ぶつ切りにされた多種多様な事物の音が、波形をねじ曲げられたパーカッションやシンセサイザーとリズムを構築するミュータント・サウンドが反響を呼んだ。グライムのウェイトレスな感覚を暴力的に発展させた前述のラビット、『Xen』(2014)以降のアルカ、インターネットの暗黒面をサーヴェイする M.E.S.H らのダーク・ベースミュージックらと共振しつつ、2015年の音を作り出していたといえるだろう。
 2017年、アルバム『Red Devil』を〈NON〉から発表。「Ascension」の流れを汲みつつ、南アフリカが生んだダンス・ミュージックであるゴムのような、低重心ファンクネスを内包する形で独自のテクスチャーを編み出している。この間、エンジェル・ホは「彼」から「彼女」になっている。2018年には同じく南アフリカ拠点のクイアラップ・ユニット、フェイカ(FAKA)の“Queenie”のプロダクションを手がけた。
 そして2019年、自身の声で歌うことによって生まれたのが今作『Death Becomes Her』である。「VICE」のインタヴューによれば、タイトルが物語るように、ここに様々な「死」が交差している。「ポップの死、アイデンティティの死、政治の死、すべての死。私の音楽はポップとそれらの出会い」であると彼女はいう。そして、それは「大きな葬式」であるとも。
 ゲイの男性から、トランス・ウーマンへの変化。リズムからメロディを主軸にした音楽的変化(本人は「Ascenssion」はサウンド的には自身の分岐点だったとも述べている)。「死」を「A」が「非A」へと変化するミューテーションのプロセスと捉えるならば、このアルバムはその結実だともいえるだろう。
 たしかに『Death Becomes Her』において、声は重要な要素である。クリス・ケッツ(Chris Kets)のディレクションによって制作され、アルバムに先立って公開された“Pose”のヴィデオでは、『エヴァンゲリオン』のクリップをコラージュした映像で、ガイカとボンによってプロデュースされたゴシックなベース・トラックでラップをする。ここで煽られた期待通りにアルバム冒頭の“Business”では、スロー・テンポなリズムに、ダブやエコー、波形をハックされた彼女自身の声のコーラス上でエンジェル・ホが歌う。アメリカのシンガー、Kリズをフィーチャーしたポップ・ダンスホール“Like a Girl”、ケープタウンの Qweezy と放つ声帯ノイズのトンネル“Good Friday Daddy”、同じく地元のラッパー、K-$と歌う淡いアーバンなR&B、“Baby Tee”。
 アンダーグラウンド・ダンスミュージックの作り手が、このようなダイナミックな変化の渦中で歌うのは、愛について、セックスについて、そしてトランスとして生きることについて、などである。「DAZED」のインタヴューにおいて、「トランスであることは、そうであることによる苦難を体験することを必ずしも意味しない。人生とは驚きとともに経験するもの」と、エンジェル・ホは答えている。声という身体/アイデンティティのフィルターは、彼女のマニフェストを加速させる。さらには苦痛を想定外の驚きをもってして中和し、ポップネスへと転換する装置として機能しているようだ。
 今作においてトラックそのものもかなりの強度を持っている。 “Drama”はトラップ、ゴム、トライバルの中間項を見事に射抜いたリズム・トラックであり、“Jacomina”はスラップするベース・ラインが跳ね回る生ドラムスやパーカッションの分子と接合し、極めてファンキーにグルーヴする。 “Cupid”では1分間の間に、光沢感のあるシンセとノイズが音の真空地帯を生む。彼女は音においてもトランスであること、つまり横断的かつダイナミックであることをやめてはいない。
 『Death Becomes Her』は、南アフリカのルポルタージュでも、アパルトヘイト以降の政治や人種主義との闘争でもなく、パーソナルであることをトラックと声で突き詰めて表現したアルバムである。そこで歌われるのは、アモービ『PARADISO』(2017)におけるポスト・アポカリプスでも、キシ『7 Directions』(2019)のアフロ・コスモロジーでもなく、現在に濃縮されたエンジェル・ホの「生」そのものだ。ポップでファンキーでケオティックなサウンドによってアルバムの統一感は希薄に映るかもしれない。けれども、彼女の言葉にあるように「驚き」に満ち触れた人生に、そんなものはハナから必要ないのだろう。

 日本のサイケデリック・ロック・バンドのアシッド・マザーズ・テンプルは、1年に1回、4月になるとNYに帰って来る。それはもう春の恒例行事となりつつある。で、今年はDIYスペースの元祖マーケット・ホテルに帰って来た。

 マーケット・ホテルは、2008年にブッシュウィックにオープンしたDIYスペース。アートのシーンがウィリアムスバーグからブッシュウィックに移動する最中に生まれている。ライトニングボルト、DMBQ、アニマル・コレクティヴ、ブラック・ダイスなど数々のゼロ年代以降のバンドがそこでプレイした。当時は、「とりあえずマーケット・ホテルに行ってみるか」という感じで、ミュージシャン、アーティストたちの交流の場でもあった。同所は2010年、NYPD(ニューヨーク警察)から閉鎖に追い込まれるというピンチを迎えてもいるが、しかし合法的に経営するためビルディングを大掛かりに改装。そして、2015年に再オープンするという根性を見せた。いろんな問題を乗り越えている同所を経営しているのは、この連載ではお馴染みのDIYマスター、トッドP(https://www.ele-king.net/columns/regulars/randomaccessny/002015/)。

 ちなみに、マーケット・ホテル再オープンのこけら落としは、アルバム『No citIra to Love』リリース時のスリーター・キニーだった。そのときは、久しぶりに熱いモッシュがブッシュウィックに戻ってきた。ウィリアムスバーグのシーンが終わって、DIYに陰りが出てきた頃だったので、マーケット・ホテルの再オープンは新しいDIY時代の幕開けを意味してもいた。
 その伝説の場所でアシッド・マザーが観れるのは完璧でしょう。マーケット・ホテルのおさるのサインに迎えられ、数々の物販を横目に(最近の物販の種類の多さには目を見張る)フロアに行くと、キチンとしたバーがあり、ステージからは相変わらずJMZの電車が丸々見える。
 オープニングは、カナダのヤマンタカ//ソニック・タイタン。柔道着を着て歌舞伎メイクをしているアジアン・ルーツのグループ。太鼓やティンシャ鈴などの打楽器を織り交ぜ、フライングVのギター、犬の遠吠えのようなヴォーカルなど、ドラゴンボールのメンバーがバンドを組んだらこうなるのかもというパフォーマンスだった。

 「thank you for waiting. Good evening」というKawabataさんの挨拶があって、アシッド・マザーズ・テンプルの演奏がはじまった。SCRAAAEEEOWSCRRRRRWEAAAHEEEEEEEEとバカテクのギターを中心に、ドラム、ベース、シンセによる爆音洪水。スリリングなノイズが怒濤のように続く。たまに入るJyonson tsuのチャンティングなヴォーカルが泉の様な役割をする。
 とはいっても、ノイズ一辺倒ではない。機械のようなドラムソロからグルーヴ感あるベース・ソロ、そしてギター、シンセと、どんどん音を重ね、それぞれのメンバーの凄腕さも見せてくれる。彼らのライヴはエンターテイメントでもある。それぞれの音が合わさって、アシッド・マザーの半端ない宇宙の威力が爆発していた。

 アシッド・マザーはもう何回も見ているが、今回のライヴは、いままで見たなかでもいちばんまとまりが良かった。音がひとつひとつ明確に聞こえてくる。以前のライヴでは昔からのファンが多かったが、今回は場所のせいもあるのか若い人が多かった。隣りの男の子と話すと、彼は21歳で、「僕のだちが絶対見た方がい、ってチケットを買ってくれたんだ」という。こんな感じで、SNSばかりであまり外に出ない世代の若い人たちがDIY文化に戻って来ている。物販にも長い行列ができていたし、バンドも嬉しそうだった。

 今回のNYライヴは、彼らは46日間のツアーにおける半分(27日)ぐらいのところ。この後もまだアメリカを回っていく。いずれにせよアシッド・マザー・テンプルのライヴは何が何でも行くべきものだ。ただし、耳栓は忘れずにね。


Matmos - ele-king

 ここ数作でもっともファンキーなアルバムなのではないだろうか。そしてそれは、リズムパターン以上に音色によって醸される印象によるところが大きい。すでに明らかにされている通り、マトモスの通算11作目となる『Plastic Anniversary』はすべてプラスティックが「鳴らす」音によって構成されている。プラスティックをおそらく棒状のもので打楽器のように叩いて発生させたボン、ボヨン、ボコンというような気の抜けた音が連なりパターンを生むことで、ファニーで脱臼感のあるグルーヴが生み出される。オープニングの“Breaking Bread”がこのアルバムのムードを完璧にプレゼンしている――子どもがその辺のプラスティックオモチャを叩いた音が、そのままダンス・ミュージックになったような無邪気なリズム。身体に直接響く愉しさ。だがプラスティックの使用はパーカッションに留まらず、筒状のものに空気を通すことで管楽器として用いたり、擦って弦楽器を模した旋律やノイズを発生させたりといったものにも及んでいる。この多彩なサウンド……「企業の持ち物だから」という理由でプリセット音を使用しないことで有名なのはマシュー・ハーバートだが、マトモスはここで企業が廃棄したジャンクから膨大な種類の音を生み出している。それはもちろん、わたしたちの現代生活がいかに膨大なプラスティック製品に囲まれているかを示すことでもある。
 その主題にエコロジーがあることは間違いなく、昨年のG7においてプラスティック製品ゴミを減らすことが提唱された「海洋プラスティック憲章」にアメリカが署名しなかったことが直接のモチベーションになっているだろう(ちなみに、もう一カ国署名しなかったのは日本である)。昨年末の紙エレキングでも言及されたように、いま音楽の様々な層でエコロジーがコンセプトになっているのは、オバマ時代に進んだことがトランプ政権以降一気に逆戻りしたような気分を多くの人間が噛みしめているからだ。無茶苦茶な言動で暴れるトランプ政治に対してこうした一枚上手の発想でアンチを繰り広げるのは、さすがアイデアという名の知性を重んじてきたマトモスだと……まずそこを強調しておきたい。

 ただ聴きながらいろいろと考えていると、次第に本作がもっと多層的な問いを含んでいることがわかってくる。本作はカップルであるドリュー・ダニエルとマーティン・シュミットのアニヴァーサリーを祝したものだそうだが、そこに「プラスティック」という冠がつくのは、ふたりがゲイだからだ。つまり、プラスティックが「偽物」のメタファーとして使われてきたことをアイロニカルに効かせているのである。タイトル・トラック“Plastic Anniversary”ではまるで結婚式のようなファンファーレが高らかに、しかし微妙に音程を外しつつ奏でられる。ヘテロ・カップルのそれと比べて「偽物」だとされているゲイのリレーションシップが、そこではプラスティックの力で祝福される。そうした「偽物性」への言及は、深読みすると、オーセンティックな生音による音楽に比べて下に見られることが少なくなかったエレクトロニック・ミュージックも射程にしていて、あからさまに初期エレクトロを意識したと思われる“Silicone Gel Implant”などは、ふたりからのエレクトロニック・ミュージックへの愛の表明に思えてくる。実際本トラックはアルバムでももっともチャーミングで思わず微笑まずにはいられない。もっとも馬鹿げたトラックはデタラメなサンバのリズムとホイッスルが野放図に鳴り響く“Collapse of the Fourth Kingdom”で、純粋主義者が聴いたら怒鳴り出すんじゃないかと心配になるほどふざけている。だが僕たちは知っている……この素っ頓狂なユーモアこそがマトモスであり、そしてたぶん、「インテリジェント・ダンス・ミュージック」だ。
 いっぽうで警察がデモを圧するときに使用されるライオット・シールドから発生させた音を使った“Thermoplastic Riot Shield”は不穏な音響と高圧的なインダストリアル的打音に覆われており、対立が激化する現代のBGMのようだ。総じて本作はプラスティックという「偽物」に支えられ、そして破壊される現代社会の(矛盾に満ちた)ポートレイトであり、その混沌のなかでそれでも遊ぼうとする図太い姿勢の表れである。実験性とコンセプト性に支えられたIDMが再び重要性を増すなかで、マシュー・ハーバートとマトモスというかつて「コンセプトロニカ」とも呼ばれた才能が、いまだにアイデアを失わずに独創的なやり方で闘っていることに何だか救われる想いがすると言うと大げさだろうか。だが、相変わらず愉快で妙ちくりんなダンス・ミュージックが詰まった本作に、彼らの闘志をいつにも増して見てしまうのは僕だけではないはずだ。


interview with Fat White Family - ele-king

 実存的な不安と戦いながら、根拠のない希望と根拠のある怒りを失わず、時代の波に乗ってやろう、尖ってやろうというパッションを持ったインディ・ロック、知性とユーモアと冒険心を持ったロック・バンドはいまどこにいるのだろうか? あ、いた。UKのファット・ホワイト・ファミリーのようにゴミ箱から這い上がってきたような連中を知るとちょっと安心する(笑)。

 彼らには、アウトサイダー、放蕩者、変人、ホームレス、元ドラッグ中毒者などなど……いかにもロックなエピソードがすでに多くある。それはいまどきオールドスクールでレトロ風味の伝説なのか、それとも、時代に風穴を開けることができるポテンシャルを意味しているのか。なにかと風紀委員化する日本という国にはとてもおさまりそうにない。が、こんな連中の音楽に、イギリスが世界にほこる『ガーディアン』をはじめ、あるいは本国の音楽メディアはかねてより共感と期待を寄せている。アークティック・モンキーズで有名な〈ドミノ〉レーベルは、ここ数年でもっともエキサイティングなロック・バンドだと評価し、彼らの新作をリリースすることにした。それが通算の3枚目の『サーフス・アップ!』である。

 ファット・ホワイト・ファミリーは、破天荒なバンドのようだが、音楽的にはじつに豊かで、じつに多彩だ。彼らのサウンドには、70年代初頭のソウルから70年代後半のポストパンク、サイケデリックからインダストリアル、クラウトロックからビーチ・ボーイズ、いろんなものの影響がミックスされている。歌はメロディアスで親しみやすく、ハーモニーがあり、アイデアの詰まった演奏とのバランスをうまく取っている。というか、基本どの曲もキャッチーだ。さあ、注目しよう、彼らはインディ・ロックの救世主か? ヴォーカリストであるリアス・サウジ、鍵盤担当のネイサン・サウジの兄弟ふたりにそれぞれ話を訊いた。最初はやはり、どうしてもブレグジットの話から──

俺たちは小さなグループで、俺たちのことを好きな連中は周りにほとんどいなかった。だから俺たちのほうも向こうとは関係を持たずに、ある意味孤立してたんだよ。で、向こうは……よくわかんないけど、モダンなインディ・ミュージックなんかを聴いてて、俺たちはそんなのクソじゃん、って思ってた。そういうんじゃなく、すごいのはブルース・スプリングスティーンだ!  とか(笑)。

ブレグジットのことですが、UKっていまけっこうカオスじゃないですか? 

ネイサン:誰にとってもよくわからないよ。混乱してる。なんていうか……右翼のリーダーたち、っていう小さなマイノリティが引き起こしたことが、大ごとになってる。いい気分はしないね。ある意味、絶望的でもある。まるでみんなが終末に向けて投票したみたいで。というか、人びとは何かしらの変化を求めて投票したのに、それはより悪い方向への変化だった。だから、『国民がそう投票したんだから、実現させろ』っていうのが合ってるとは俺には思えない。わからないけどね。

リアス:まあ、いま何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか誰もがわかっていない状態ではある。イギリスってずっと昔からふたつの国がひとつの国に存在しているし、つねにカオスなんだけどね。あと、階級差が激しくて、ごく一部がディズニーランドみたいな生活をしていて、残りは労働者階級。俺の場合、親父はアルジェリア人の移民で、お袋は北アイルランド出身。だから、移民と移民を嫌う地域の中間で育ったんだ(笑)。
 でもまあ、いまUKがとくにカオスとは思わない。世界のいたる場ところで様々な出来事が起きているしね。お互いに耳を傾けることをしない状態が長く続いたんだろうな。自分の世界にこもって、狭い世界観のなかで皆が長い時間を過ごしすぎたんだと思う。いま、そのガタが来てるんだよ。トランプの当選だってその表れさ。彼も最低だけど、彼を選んだ人がそれだけいたということだからね。労働者階級の人びとの声がいま形になって見えてるんだ。ここまで表に出てきたんだから、もう目を背けることは出来ない。そういうカオスがいま起きているけど、それはいつだって起こりうること。生きていれば、そういうことは起こるのさ。

「Whitest Boy On The Beach」では、ジャケットもスロッビング・ギリッスルのパロディでしたが、そのサウンドにもそのPVにもTGの影がちらついています。と同時に、この曲においても“白人”ということがからかいの対象になっていますよね?

ネイサン:俺と兄のリアスとサウル(・アダムチェウスキー)の3人で、バルセロナに行ったんだ。バンドから抜けるって決めたときにバルセロナに行って、3人でビーチにいた。で、兄貴もサウルもかなり色白で、痩せてたんだよ。で、リアスがビーチ全体を眺めて、14歳くらいのやつでも自分たちより体もデカいし、日焼けしてる、って言ったんだ。「あいつらの方がずっとデカくていい体してる」って。ま、基本的に自虐的なギャグだったんだけど。『ヒョロヒョロの白人男がビーチにいる』って。まわりのラティーノのキッズはずっと健康的なのにね(笑)。そこから来てるんだ。つまり、俺たちはルーザーだ、っていうのから。

そもそもあなたがたの世代でロック・バンドをやろうなんて人はそれほど多くはないと思うんですけど、たとえば高校時代、音楽の話で気が合う友人はいましたか?

ネイサン:ていうか、俺たちは小さなグループで、俺たちのことを好きな連中はまわりにほとんどいなかった。だから俺たちのほうも向こうとは関係を持たずに、ある意味孤立していたんだよ。で、向こうは……よくわかんないけど、モダンなインディ・ミュージックなんかを聴いてて、俺たちはそんなのクソじゃん、って思ってた。そういうんじゃなく、すごいのはブルース・スプリングスティーンだ! とか(笑)。だから俺たちだけで孤立してた。
 ただ、ギター・バンドっていう話だけど、それっていちばん普通の楽器だよね? 最初に手に取る楽器って、大抵はギターだろ? で、「うわ、これなんだ? どうする? 何ができる?」って感じで。そこからサウンドを探っていって、レコードももっと聴いて、「この楽器はなんだ?」とか思うようになる。それで「あ、これなかなかいいじゃん」っていうのを見つけていくんだ。うん、鉄板焼き食べに行くときと同じ(笑)。最初はモヤシとか、ちょっとしたものからはじめるんだけど、だんだん「向こうのあいつが食べてるの、試してみよう」って、ナスを食べてみたり。好奇心ってやつだよ。

原口:まわりがそういう音楽を聴かず、バンドもいないなか、どうやってそういった音楽を発見したんですか? どんな音楽を聴いていましたか?

リアス:ボブ・ディラン、ジョニー・キャッシュ、レナード・コーエン。あとはちょっとだけどクラッシュとか。あの場所に住んでいたから、そういった音楽が、俺にとっては外の世界と繋がって入れる手段だった。兄貴がそういう音楽を聴いていて、俺に聴かせてくれたんだよ。それが大きかった。あとは、当時のガールフレンドの父親がでっかいレコード・コレクションを持ってて、彼もいろいろとおしえてくれたな。

あなたがたの音楽は雑食性が高く、たとえば“Fringe Runner”なんかのリズムはタックヘッドみたいだし、必ずしも約束通りのロックではないとは思います。ただ、形態はロック・バンドだし、やはりまわりのみんなはR&Bやラップ・ミュージックに夢中だったと思います。どうしてロック・バンドなどという、経済的にも人間関係的にも苦労するであろう表現形態を選んだのでしょうか?

ネイサン:それはいま言ったとおり、いちばんありふれてたから。それが結果的にどうなるとか、選んだわけでもなかった。それと、俺が聴く音楽はヒットしたやつだけなんだ。ゴールデン・ヒットってやつ。ジャンルは問わない。なんでもありなんだよ。ほんと、なんだっていい。その音楽がマジでファッキン・グッドであるかぎりは(笑)。昨日の夜はレギュレーターズを聴いてた。で、そこからヒプノティック・タンゴを聴いて、ソフト・セルを聴いて、エルヴィス・プレスリーを聴いて、締めにビートルズなんかを聴いたり。つまり、なんでもありなんだ。俺はバッハとか、クラシック音楽も聴くしね。セックスするときはいつも、なるべくクラシック音楽を流すようにしてる。五感が喜ぶような気がするからね。俺のお気に入りはヴィヴァルディとバッハだな。それに、ジャズでもなんでも……いいものは、なんでもいい! 音楽にはふたつのタイプがあるんだと思う。いい音楽と、悪い音楽。それだけだよ。

「アイ・アム・マーク・E・スミス」をやったのは、純粋に彼へのリスペクトもあったと思いますが、同時に、彼のことをよく知らないあなたと同世代のリスナーへのメッセージでもあったんでしょうか?

リアス:当時、俺がザ・フォールの真似をしているだけという批評があった。それへのレスポンスが「アイ・アム・マーク・E・スミス」。俺は、自分はある意味マーク・E・スミス(オールドスクールな)だと思ってる。たくさん彼の音楽を聴いてきたから、俺のなかにはマーク・E・スミスが強く存在している。俺はあの作品で、彼のキャラクターを演じたかった。あのタイミングでそれに挑戦するということは、俺にとってリスクだったけどね。ザ・フォールのファンに批判されるかもしれないし。でも俺は、あれを作って皆に封筒を差し出したんだ。

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いまの若くて貧乏な連中には、そういうアートを探るチャンスが与えられてない。金もゼロ、サポートもゼロ、方向性みたいなものもゼロだと、人が一番に求めるのは何かしらの安全、セキュリティになる。アートみたいなものは顧みなくなるんだ。

たとえばいまUKにはマーク・E・スミスのような人がいないことをあなたがたはどのように考えていますか? ひとつの解釈としては、労働者階級出身の良いロック・ミュージシャンが昔のようにはいなくなっているということがあると思いますし、もう昔のようにロックそれ自体が反抗の音楽でもないという考え方もあるんじゃないでしょうか?

ネイサン:どうかな……わからないけど、むしろ経済状況と関係してるんじゃないかな。いまの若くて貧乏な連中には、そういうアートを探るチャンスが与えられてない。金もゼロ、サポートもゼロ、方向性みたいなものもゼロだと、人がいちばんに求めるのは何かしらの安全、セキュリティになる。アートみたいなものは顧みなくなるんだ。すごく悲しいことだけど。とくに都市周辺はもともと物価が高いし、才能やマテリアル、すべての素晴らしいものへのアクセスにものすごく金がかかる。それに貧乏だと、金よりもまず、アートなんかかける時間がないんだよ。生活のなかにそのための時間がない。で、結局どんどんミドルクラスの連中が全部取りすることになるんだ。でも、ミドルクラスの連中が音楽を通じて表そうとするものは……なんていうか、多くの場合、そこには他の人びとに対して自分は何を意味するのか、みたいなものが欠けてるんだよね。本能的なもの、衝動みたいなものが。いまはほんと、そういうのばっかりで。それに対して俺が何を感じるかっていうと……失望だな。ロンドンとかで部屋を借りるのなんて、もう無理なんだよ。金がない連中はスクワットしてたけど、もう俺たちが最後くらいじゃないかな。残念な話だ。

そう、南ロンドンのペッカムって、なんかファッショナブルで、ちょっといまハイプになってきている感じもするんですけど、そんな場所であなたがたはスクウォットしていたという話を読みました。現代のロンドンは、物価も家賃も高くて、再開発されていて、もう貧乏人は住めない街で、昔のようにスクウォッターなんていない街だと思っていたので、意外に思ったのですが、ロンドンには、あなたがたのような生き方をしている人もまだいるってことですね?

ネイサン:いまはもうスクワットなんて無理だね。不可能だ。まあ、全部そういうもんなんだろうけど。浮き沈みがある。だろ? 都市が進化することもあれば、その進化ってやつが馬鹿馬鹿しかったり。まあ、俺としてはいい気分はしないよ。俺はもうロンドンじゃ部屋を借りる金なんてないし、まわりの友だちもみんなそうだし。

リアス:ここ何年かで、どんどん変わってきている。ニューヨークやベルリンと違っ、ロンドンにはレント・コントロールがないからね。どんどん高層ビルが建てられて、中国人の億万長者が建てているビルだから、建っても誰も住んでない。新しい建物が建っても、労働者階級の人びとは、そこに住めるわけがないんだ。そういう現象は起こっているけど、それでも南ロンドンは良い街だとは思う。俺たちももうブリクストンには住めないけどね。ブリクストンに遊びには行けるけど、住めはしないな。でも、遊びに行くには良い街だし、南ロンドンはいまも面白いと思うよ。

全裸なのは俺(笑)。しばらくやってたけど、やっぱトラブルになったから最近はやってない。俺はアートとして裸体に興味があるんだ。自分なりにGGアリンのライヴ・パフォーマンスを分析しているというか、そんな感じ。逮捕されたこともあるけどね(笑)。

メンバーに全裸の人がいますが、それって、ある種の開き直りというか、隠しごとなんてないからどこからでもかかってこい的な気持ちのあらわれだったりするのでしょうか?

リアス:全裸なのは俺(笑)。しばらくやってたけど、やっぱトラブルになったから最近はやってない。俺はアートとして裸体に興味があるんだ。自分なりにGGアリンのライヴ・パフォーマンスを分析しているというか、そんな感じ。逮捕されたこともあるけどね(笑)。

ネイサン:兄貴はただ、人から反応を引き出すのが好きなんじゃないかな。昔からああだったし。子どもの頃から、学校の教室でいきなり服を脱いで、机の上に立ってた。裸で他のキッズを見下ろしてね(笑)。だから、ずっとそうだったんだよ! まあ、どういう理由でやってるのか知りたかったら、きっとリアスと膝つき合わせて、あいつの精神分析をしないといけないだろうな。本当に本当の意味を知りたければ(笑)。ま、俺からすると、他人のリアクションを見るのが好きなんだと思う。あれがリアス的な人生の楽しみ方なんだよ。

『サーフス・アップ!』というタイトルが痛快でいいですね。この言葉を選んだのはなぜでしょうか?

ネイサン:サーフ(surf)っていうのは、いま、現在ってこと。で、いまって世界中で右翼ポピュリズムのムーヴメントが起きてる。で、人びとが共鳴して立ち上がってるんだけど、それこそが人びとをさらに抑えつけ、ひどい状況に引きずり込むものだっていう。あのタイトルはちょっとそれに言及してるんだ・

リアス:労働者階級がもっと自由になるために伸び上がるっていうのを表現したのがあの言葉。ブレグジット、トランプ、そういった現代の問題を総括したものがこのタイトルなんだ。ビーチ・ボーイズのアルバムをもじったと思われがちだけど、そうじゃない。たまたまそうなっただけだよ。

アルバムのアートワーク、これはいったい何なんでしょうか?

リアス:あれは、ニーチェ(※マーク・E・スミスのお気に入りの哲学者でもある)の”力への意志”と、スーパーマンのアイディアを表したものなんだ。ドイツのヒロイズム(※英雄的資質)。あとは、俺たちのお気に入りのバンド、ライバッハへの同意でもある。最終的に、俺たちは皆愛すべき利己主義者なんだよ。

ネイサン:俺たちはヨーロッパ的で古い感じの、自然のイメージが欲しかったんだ。どこか神話的なイメージ。何か誇れるような、いいものがね。でも必ずしも……うん、そういうイメージを好きになるのに、ナショナリストである必要はない。美しいものを誇りにしたっていいんだ。たしかに自然主義的な絵画、イメージを右翼は好んできたし、左寄りだとそういうイメージを使っちゃいけないことになってるのかもしれないけど、「なんでいけないんだ?」ってこと。誰だって使っていいんだよ。シンボルそのものは右翼でも、左翼でもないよね? ただのシンボルなんだ。そしてそれが表現すべきものを表現してる。なのに無理やり意味を付加されて、袋小路的な思考に押し込められてて。でもそれに従ってたら、もうトライバリズムしかなくなる。だろ?

“Tastes Good With The Money”(※イアン・デューリーの息子、バクスター・デューリーが参加))のような曲は、曲名からしてきっと新自由主義的なことをからかっているんだろうなとは推測するんですけど、アルバム全体で、メッセージのようなものはあるんですか?

リアス:曲それぞれでメッセージは違う。あまり歌詞の内容やメッセージを明確にはしたくないんだ。でも、英雄的苦しみ、男らしさのイメージの崩壊、ポピュリズム、自己愛とアート、そういったものが主なテーマだとは言えるかな。

“I Belive in Somthing Better”は、ろくでもないことばかりこのご時世でも良いことあるよっていう希望の曲なんですか? 

リアス:あの曲では、俺たちなりに環境保護について書いてみたかったんだ。セオドア・カジンスキーみたいな奴のことをいろいろな奴らがプロぶって崇めているけど、カジンスキーが爆弾で多くの人びとを殺し、負傷させた事実には触れもしない。俺たちはそれが馬鹿げていると思うし、そんな奴らが語っている理にかなっていない社会問題を超えた素晴らしいものがこの世のなかには存在しているということを書きたかった。

いまいちばん頭に来ていることといまいちばん楽しいことは?

リアス:頭に来ているのはブルジョア。あと、非現実的な希望を掲げて活動する政治家たち。あと、俺自身に十分な金がないことだな(笑)。ブリクストンに住めないくらい(笑)。楽しいことは、音楽で食べていけてはいること。アルバムを作れるくらいの余裕はある。あと、ドラッグ中毒じゃなくなったことと、アメリカ人の彼女がいないこと(笑)。

ネイサン:人間が環境崩壊に突き進んでることに対しては、すごく憂慮してる。ある日は考えたくもないし、また別の日には何かしなきゃいけない気持ちに駆られるし。落ち込むね。で、ハッピーになれることは、もしすべての終焉が来るとしたら、もうちょっと暑くなる(=温暖化)、ってわかってることかな。で、それを生き延びる動物もいるだろう、ってこと!

あなたがたの考える、イギリスのいちばんいいところってなんだと思いますか?

リアス:それは俺だな(笑)。俺を作ったこと(笑)。何事にもオープンで、人種も混ざっている。つまりは、自分自身を持ちながらも、さまざまな文化や要素が混ざっているということさ。

ネイサン:いまUKでいちばんいいところ? ファック、回答不可能な質問だな! ま、俺たちが日本に行けるかもしれない、って思うといちばん嬉しいね、いまは(笑)。

萩原:まあ言っておくと、日本もかなりのカオスですよ。わけのわからないことも起きてるし、そこははっきりさせておきます(笑)。

ネイサン:まあどこでもクソってことだよね? きっと必要なのは、第四の産業革命なのかも。たぶんね」

萩原:あと経済と、民主主義では何かしないといけないかもしれないですね。

ネイサン:うん。まあ、もがくのをやめちゃダメだ、ってことなんだろうな。みんな一人じゃないんだし。じたばたしつづけないとね!

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