「Re」と一致するもの

Jagatara2020 - ele-king

 会場には余裕をもって到着した。私には異例のことである。なんとなれば原稿をご依頼いただいた野田さんが、けっこう出した前売りも完売したみたいよ、とおっしゃる。リポートする身には人垣で舞台がみえないのもこまりものである。それもあって、ふだんなら開演時間ぎりぎりに会場にやってくるものをこの日にかぎっては早めの行動をこころがけた。ところが平日だというのに渋谷のクラブクアトロでは4階のエントランスに向かうエレベーターホールにもすでに二十名以上のお客さんが列をなしている。年恰好からコンサートのお客さんにちがいない、エレベーターは令和の世にそぐわないほどのんびりしており昇ったきりなかなか降りてこない、会場に早く入りたいお客さんはじれてくる、そのうち並んでいる列のなかに牽制と連帯がいりまじった奇妙な空気が漂いはじめる。あんた彼らのことどれだけ知ってんの的な、そもそもライヴみたことあんの的な。私の目の前の妙齢の女性の背中が私にそう語りかける。私はアケミさん追悼イベントとかには足を運んだことはありますが80年代は……と妄想のなかで口ごもると、女性の背中はじゃあ去年の「TOKYO SOY SOURCE 2019」は? そもそもあんた芝浦にいったことあんのとかなんとか、矢継ぎ早にたたみかける、そのようにひとり上手に時間をついやしながら、ようやく4階にたどりつけば、そこにも入場を待つ長蛇の列が。蜿蜿とつづく人波をかきわけ、物販のセクションに後ろ髪をひかれながら5階にたどりつくと、フロアもすでにあらかた埋まってしまっている。みわたすと、中高年が目につくのは当然だとしても、彼らのひとまわり下、さらにその下の世代も散見するのは、生き馬の目を抜くことにばかりかまける現代で、彼らの音楽が30年もの風雪にたえてきたことの証である。

 この日、2020年1月27日月曜日で、じゃがたらのヴォーカリスト江戸アケミが1990年の同日世を去ってからまる30年がすぎた。年忌法要でいえば33回忌は再来年ということになろうが、弔いあげにあたる30年のときを経てもなお、江戸アケミの、じゃがたらの歌や演奏がこれだけ多くのひとたちの心の支えとまでは私には断言できないとはいえ、傷のようなものとして残っているのがまちがいないのは、さっきから会場にながれている旧作音源が開演時間をすこしすぎて “もうがまんできない” にさしかかったとき、BGMにあわせて万感の思いを押し殺し呟くような合唱が方々で自然に起こったのでもわかった。

 トップバッターは吹越満だった。いまや映画やドラマ、舞台でもひっぱりだこの名バイプレイヤーとなった吹越はこの日はタキシード姿で口にくわえた細長いビニール袋を膨らませるパフォーマンスを披露、静と動のあわいにひそむ真空に似た狂気を表現するに長けた、ワハハ時代を彷彿するパフォーマンスに、私なぞはそれだけで感動したが、ここにじゃがたらのトロンボーン奏者村田陽一が加わり、儀式空間は不意に祝祭の色を帯びる──と袖からじゃがたらの面々が登場。先頭には「うた」と、この日の司会進行役も担った南流石が、つづいてギターの OTO と EBBY、ドラムスの中村ていゆうにヤヒロトモヒロ(Perc)とエマーソン北村(Key)、ホーンでは先述の村田陽一と吉田哲治(Tp)ら、じゃがたらのバイオグラフィを網羅したメンバーに、ベースの宮田岳と打楽器とコーラスで関根真理を加えた布陣が2020年、令和二年のじゃがたら、すなわち「Jagatara2020」の基本形となる、その足まわりをたしかめるように本編は EBBY がヴォーカルをとる “裸の王様” で幕をおとした。おそらく愛好者の数だけじゃがたらには代表曲があり、おのおのの胸のうちでアケミの歌が象る世界にも差異はあろうが「いまにもこぼれそうな傾きかけた街」を描くこの歌の惹起する影像ほど、それを歌うものが幻視者であることをあらわすものはない。リズムもひきしまっているしホーンもよく鳴っている。Jagatara2020 名義も渋谷クアトロもはじめてではないとはいえ、きょうは単独ライヴであり、さきのMCで南流石が宣言したとおり長丁場でもある。ハナからフルスロットルで大丈夫なのかという思いが頭をかすめるが、ゲスト・ヴォーカルを迎えた2曲目以降も出し惜しみはいっさいなし。田口トモロヲは “でも・デモ・DEMO” で天にツバするパンクの本懐をつきつけたし、大槻ケンヂの “タンゴ” は四半世紀にわたってこの曲を歌いつづけてきた大槻みずからMCで述べたとおり、持ち歌と見紛うばかりの堂々たる歌いっぷりだった(この曲で大槻は町田康や巻上公一に、歌がうまくなったと褒められたそうです)。田口と大槻のパフォーマンスはじゃがたらという巨大な多面体のパンクでポップな側面をひきうけるかのようであり、会場の熱気もいや増しに増したが、何度か(も)版を革めた “タンゴ” が EBBY の手で Jagatara2020 ヴァージョンに生まれ変わっていたのが私には印象的だった。いくぶん(ハード)ロックよりだったのは大槻の歌唱との相性を考えたのかどうかはわからないが、ノスタルジーに終始しないじゃがたらの矜持はおくれてきたリスナーである私にもわかった。

 その姿勢をゲストも意気に感じたのか。つづく鮎川誠、Nobu (桑原延享)、さらに町田康が客演した “Black Joke” ~ “Fade Out” ~ “アジテーション” の3曲はサブスクなんかだと通のためのプレイリストに入りそうな選曲だが、ロックンロール、ダブ、サイケデリックあるいはファンクの形式の骨組みとなるシンコペーションとポリリズム、反復のグルーヴがゲストの存在感と一体化し会場の空気をひきしめていた。メンバーではおそらく最年少の宮田岳のベースがナベの演奏の旨味をひきついでいたのも特記すべきであろう。他方でゲストの最年少、平成元年生まれの折坂悠太から昭和もなかばごろに生まれたこだま和文にマイクがわたった “中産階級ハーレム” ~ “ある平凡な男の一日” は語り部=江戸アケミに焦点をあてた選曲というべきか、あるいは中産階級という令和のニッポンが廃棄した物語が、江戸アケミの身体がまだこの世にあったころ、すなわち折坂が生をうけた平成のはじめまでは健在だったことの傍証とすべきか。「大丈夫マイフレンド」といって演奏を〆た折坂につづき舞台にあらわれたこだまが「大丈夫じゃないぜ、マイフレンド」と呼応したのはこの日もっとも印象にのこったことのひとつだった。こだまの発言はだれにもおびやかされてはならない日々の暮らしが、しかしそのようになっていないこの世界における人々の声なき声、サイレントマジョリティなる広告的な分類学にも統計学的な数値にも回収できない顔のある声を代弁するかのようであり、それはそのままこの日の最初に披露した新曲 “れいわナンのこっちゃい音頭” の主題へとつながっていく。タートルアイランドの永山愛樹をヴォーカルに、ロンサム・ストリングス~ストラーダの桜井芳樹(Gt)が加わった布陣は1990年につみのこした課題がいまも古びていないどころか喫緊の課題であることをしめすかのようであり、リリースしたばかりの新曲の演奏が有名曲とならべても見劣りしないのは散発的な活動をふまえると驚異的というべきである。たしか最後のほうのMCで OTO はこの日のライヴを紅白歌合戦になぞらえており、ラインナップもふくめ総花的なのもそのとおりなのだが、その真ん中に音楽があり、それが脈打っているかぎりは大丈夫だぜ、マイフレンド。などと安請け合いする私はうっかり書きもらしたが、永山+桜井の両ヨシキの前にはマツリスタジオからやってきた向井秀徳がその無二の異物感を “つながった世界” で注入していたのも明記すべきである。その後の七尾旅人と、田口トモロヲとのガガーリンからフェダーインを経て渋さ知らズを率いる不破大輔が参加した “都市生活者の夜” の深々としたグルーヴと、ビルのように屹立する向井の “つながった世界” は好対照というべきものだったが、この時点で演奏開始からほぼ2時間半。1曲が長いうえに曲数も多いため、待ち時間のあいだに不破大輔はすっかりできあがっていたかにみえたが、「そんなことは少しも問題じゃない」と七尾旅人が歌いあげる。この “都市生活者” しかり、つづく “みちくさ” しかり、束になった管のフレーズが印象的な曲を後半に堪能できたのも、私はうれしかったが、それを奏でるホーンセクションにはサックスの ko2rock、渋さ知らズの北陽一郎(は左隣の吉田哲治とうりふたつだった)が加わり最終的に総勢4名になった。

 山でいえば八号目といったところだろうか。高田エージ、いとうせいこう、近田春夫といった腕達者な面々の参加をえた “みちくさ” はコール&レスポンスにうってつけの曲調もあいまって、山頂までの道のりを九十九折りにうねらせはじめる。きょう登場した歌手のなかでも、声と唱法と関係性で、とびぬけてアケミにちかい高田の歌唱にいとうのラップと近田のパフォーマンスとくれば、場が沸かないはずもなく、この日最長尺の演奏にもかかわらず、グルーヴに弛みとてなく、完走した瞬間の観客の歓声は地というより心の底からわきあがるものに思えた。

 本編の掉尾を飾ったのは “夢の海” だった。『ロビンソンの庭』が収めるこの曲を、Jagatara2020 は江戸アケミのヴォーカル・トラックにナマで演奏をつける逆カラオケに仕立てた。みなさんご存じのあの軽快な前奏にのせた南流石の口上につづき、アケミの声がながれた瞬間の、目の前に遮るもののない風景が広がるような恬淡とした祝祭性はこのイベントの幕引きにふさわしい。ピンスポットが照らす舞台中央の不在は存在が作品だった江戸アケミそのひとを逆説的にあらわすかのようでもあった。そして30年という時間はその存在がもたらした音楽の大きさをかみしめるに十分な長さだった。“夢の海” の遠いこだまのようにアンコール1曲目に演奏したもうひとつの新曲 “みんなたちのファンファーレ” から “クニナマシェ”、最後にはフロアに降りた南流石と出演者と会場の全員で合唱した “もうがまんできない” の、古びるどころか切迫感をますばかりの音の渦に揉まれながらじゃがたらはやっぱりすごいバンドだと、私は現在形で思ったのだった。
 気づけば3時間20分がすぎていた。観客の年齢層からいって立ちっぱなしでは厳しい長さだったが、会場をあとにするお客さんのうしろ姿に疲労の色はみえなかった。だって1987年のパルコパート3のじゃがたらは4時間もやったのよ──とひとごみでごったがえすエントランスの向こうに消えていく女性の背中が語りかけてくる気がした。その翌々日、私は疲労が腰にきた。

セットリスト
曲名 (収録アルバム) ゲスト・ヴォーカルほか

オープニング 吹越満+村田陽一
01 裸の王様 (裸の王様) EBBY
02 でも・デモ・DEMO (南蛮渡来) 田口トモロヲ
03 タンゴ (君と踊りあかそう日の出を見るまで) 大槻ケンヂ
04 BLACK JOKE~気の利いたセリフ (南蛮渡来) 鮎川誠
05 FADE OUT (南蛮渡来) NOBU
06 アジテーション (南蛮渡来) 町田康
07 中産階級ハーレム~故ジョン・レノンと全フォーク・ミュージシャンに捧ぐ~ (それから) 折坂悠太
08 ある平凡な男の一日 A DAY IN THE LIFE OF A MAN (それから) こだま和文
09 つながった世界 (それから) 向井秀徳
10 れいわナンのこっちゃい音頭 (虹色のファンファーレ) 永山愛樹+桜井芳樹
11 都市生活者の夜 (ニセ予言者ども) 不和大輔+七尾旅人
12 みちくさ (ニセ予言者ども) 高田エージ+いとうせいこう+近田春夫
13 夢の海 (ロビンソンの庭) 江戸アケミ

E1 みんなたちのファンファーレ (虹色のファンファーレ) 南流石
E2 クニナマシェ (南蛮渡来) OTO、南流石、EBBY
E2 もうがまんできない (裸の王様) 全員

Jon Hassell - ele-king

 やはり2018年の新作『Listening To Pictures』で、現役感ばりばりの尖ったサウンドを呈示したことが大きかったのだろう。昨年のラファウンダ『Ancestor Boy』における客演もそうだけど、最近「第四世界」のコンセプトがグローバル・ビーツの動きと共振してきているというか、世のジョン・ハッセルにたいする関心がますます高まってきているように思われる。
 この絶妙なタイミングで、ハッセルのファースト・アルバム『Vernal Equinox』(1977)が、本人主宰の〈Ndeya〉からリイシューされることになった。CDでは30年ぶり、ヴァイナルにいたってはじつに42年ぶりのお目見えである。もちろん、オリジナルのマスターテープをもとにリマスタリングが施されている。日本盤CDにはハッセル本人とブライアン・イーノによるライナーノーツが付属。発売は3月20日。
 ちなみに、ハッセルがブルキナ・ファソの伝統音楽グループ=ファラフィーナと共作した1988年の『Flash Of The Spirit』も、この2月に〈Glitterbeat〉傘下の〈tak: til〉からリイシューされることになっている。合わせてチェックしておこう。

JON HASSELL

オリジナル・マスターテープからリマスタリングした
伝説的名盤『VERNAL EQUINOX』の再発が決定!
高音質CDで発売される国内盤CDは、ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによるライナーノーツ訳付き!

ジョン・ハッセルのコンテンポラリー・ミュージック史における偉大さは、マイルス・デイヴィス、ジミ・ヘンドリックス、ジェームス・ブラウン、もしくはヴェルヴェット・アンダーグラウンドに匹敵する。 ──The Wire 誌

鬼才ジョン・ハッセルの記念すべきデビュー作にして、実験音楽史に残る大名盤『Vernal Equinox』が、 “春分” を意味するタイトル通り、3月20日(金)に自身のレーベル〈Ndeya〉から再発されることが決定! 音源は、当時のオリジナルのマスターテープからリマスタリングされたものとなり、CDは30年ぶり、アナログ盤は実に42年ぶりに商品化されることとなる。国内盤CDは、高音質UHQCD(Ultimate High Quality CD)仕様で、解説書に加え、ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによるライナーノーツ訳も封入される。

Jon Hassell - Vernal Equinox (Remastered Reissue)
https://youtu.be/4Vv3snJ56MY

米ピッチフォークが選ぶ歴代最高のアンビエント・アルバム50枚にも選出されている傑作『Vernal Equinox』は、1977年に〈Lovely Music〉からリリースされたジョン・ハッセルにとって初の公式リリース作品である。同時に、西洋と非西洋の合体をコンセプトに、フィールド・レコーディング、エレクトリック・ジャズ、アンビエント、ワールド・ミュージックを融合させた「第四世界」シリーズの第一作目としても位置づけられた実験音楽史に残る超重要作。ハッセルのトレードマークでもある、音響信号処理された不可思議なトランペットのサウンドを主役に、ブラジルが誇る世界的パーカッション奏者、ナナ・ヴァスコンセロスによるパーカッションと、バイオフィードバック音楽のパイオニアとして知られる電子音楽家、デヴィッド・ローゼンブームによるシンセサイザーを含む至高のアンサンブルが、静謐で瞑想的で独創的な音響美を生み出している。

ジョン・ハッセルJON HASSELL
トランペット奏者、作曲家、コンセプチュアリストであるジョン・ハッセルは、前衛音楽と先鋭的な音楽の発展の歴史において、大きな功績を残してきた。後のカンのメンバーらとともに、ケルンのカール・ハインツ・シュトックハウゼンに師事した後、テリー・ライリーの『In C』(1968)のレコーディングに参加。ラ・モンテ・ヤングが結成したシアター・オブ・エターナル・ミュージックのメンバーにも名を連ね、パンディット・プラン・ナートと共に、キラニック・スタイルの歌唱を学ぶ。それらすべてが、彼の演奏と異なる音響信号処理を施したトランペットの音作りに影響を与えている。世界中の先住音楽に対する関心が高まった結果、「第四世界」のコンセプトを開発。様々なスタイルを融合させた音楽は、1970年代後半に『Vernal Equinox』や『Earthquake Island』などのアルバム作品で世に送り出された。またそれらの作品は『Possible Music』でコラボレートしているブライアン・イーノを魅了し、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノによる名作『My Life In The Bush Of Ghosts』にも多大なる影響を与えている。そこからトーキング・ヘッズの『Remain In Light』やピーター・ガブリエル、デヴィッド・シルヴィアン、ビョークらの作品に参加。また多くの映画音楽や舞台音楽を手がけている。近年では、2018年にリリースされた『Listening To Pictures: Pentimento Volume One』が賞賛され、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーやフエコ・エス、ヴィジブル・クロークスら新世代の実験音楽家たちにも影響を与え続けている。

label: BEAT RECORDS / NDEYA
artist: JON HASSELL
title: Vernal Equinox
release: 2020/03/20 FRI ON SALE

高音質国内盤CD BRC-634 ¥2,500+tax
国内盤特典 高音質UHQCD / 解説書+ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによる解説訳封入

[ご予約はこちら]
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10832

Tracklisting
01. Toucan Ocean
02. Viva Shona
03. Hex
04. Blues Nile
05. Vernal Equinox
06. Caracas Night September 11, 1975

TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream - ele-king

 日本のエレクトロニック・ミュージックの最先端を走りつづけるコレクティヴ兼レーベルの〈TREKKIE TRAX〉と、日本初のゴム・クルーである〈TYO GQOM〉が、ロンドンから Ahadadream を迎えて開催するパーティ《TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream》に、ジャパン・ツアーを終えたばかりの Raji Rags が緊急参加することとなった。Rags は〈Bleep〉の A&R や NTS Radio、Boiler Room のDJ/キュレーターを務めてきた人物で、現在は〈R&S〉の A&R として腕をふるっている。さらに、イヴェント当日に新作「Kokodoko」をリリースする なかむらみなみ もライヴで参加するとのことで、記念すべき一夜になりそうだ。2月12日は CONTACT へ足を運ぼう。

WED 12 FEBRUARY 2020
TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream
TREKKIE TRAXとTYO GQOMが激突

CONTACT
Ahadadream (More Time | UK)
Raji Rags (NTS Radio | R&S Records UK)

– TREKKIE TRAX –
Seimei
Carpainter
andrew

– TYO GQOM –
DJ MORO
Hiro “BINGO” N’waternbee
mitokon
K8
KΣITO -DJ & Beat Live

なかむらみなみ (Kokodoko Release Shot Live)

[FOOD]
新宿ドゥースラー

OPEN 20:00 CLOSE 3:00
UNDER 23 ¥1000 DOOR ¥2000 (1D)
GENRE Techno | House | Gqom

https://www.contacttokyo.com/schedule/trekkie-trax-vs-tyo-gqom/

Jockstrap - ele-king

 ジョックストラップといえば男性用の下着だけれど、そう名乗るロンドンのオルタナティヴ・ポップ・デュオが〈Warp〉のファミリーに加わることになった。年内になんらかのリリースを控えているとのことで、本日ファースト・シングル “Acid” がデジタルで公開されている。試聴・購入はこちらから……って、ぜんぜん「アシッド」じゃないやんけ! いや、でも良質なポップです。

 ヴォーカリストにしてヴァイオリニストでもあるジョージア・エラリー(Georgia Ellery)と、おそらくはエレクトロニクス担当だろうテイラー・スカイ(Taylor Skye)の2名からなるこのプロジェクトは、2018年の4月にミニ・アルバム『Love Is The Key To The City』で〈Kaya Kaya〉からデビューを飾ったばかりの新星だ。
 ふたりともロンドンのギルドホール音楽演劇学校──チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレや歌手のダイドを輩出したことで有名──の出身で、同年9月にはディーン・ブラントのミックステープ『Soul On Fire』にミカ・レヴィとともに参加、10月にアイスランドのフェスティヴァルに出演した際には、ビョークがわざわざ彼らのギグを観にきたという。
 翌2019年にはデーモン・アルバーン率いるアフリカ・イクスプレスのショウに参加する一方、リミックス盤『Lost My Key In The Club』を発表、BBCに紹介記事が掲載され、同年ファースト・アルバムをリリースしたばかりのアリゾナのヒップホップ・トリオ、インジュリー・リザーヴ(アルバムではフレディ・ギブスJPEGMAFIA をフィーチャー)のUKツアーに同行してもいる。

 それぞれソロ活動も熱心で、エラリーのほうは昨年、アンダーワールドの「Drift」シリーズに参加するかたわら俳優としても活躍、コーンウォールの漁村で起こった観光客と地元民との間の緊張を描いた話題のドラマ映画『Bait』──同作は BAFTA(英国アカデミー賞)の「英国映画賞」にケン・ローチ『家族を想うとき』などと並んでノミネートされ、つい先週「英国デビュー賞」を勝ちとったばかり──に出演し、先月その映画のライヴでグウェノーとともにパフォーマンスを披露している。スカイのほうは昨年末、上述のインジュリー・リザーヴのアルバムをほぼまるごとリミックスした音源をユーチューブに公開している。
 というわけで今後の活躍が楽しみな新人の登場だけれども、名前が名前だけに、検索するときはひと工夫されたし。

JOCKSTRAP
オルタナ・ポップ・デュオ、ジョックストラップが〈WARP〉と契約!
シングル “ACID” を解禁。

ロンドンで最も明るく、奇妙なポップを作り 出すデュオ、Jockstrapを聴くべきだ。 ──Dazed

催眠性エキゾティカ」 ──The Guardian

ロンドンを拠点にしたオルタナ・ポップ・デュオ、Jockstrap (ジョックストラップ)が、英名門レー ベル〈Warp〉と契約を結んだことを発表し、移籍後第一弾となるシングル “Acid” を解禁した。

Jockstrap “Acid”
https://youtu.be/oOXho8yVaKk

ジョージア・エレリー、テイラー・スカイの2人による Jockstrap。2018年にデビュー・ミニ・アル バム『Love Is the Key to the City』を発表以降、リミックス・バージョン『Lost My Key In The❤️ Club❤️ 』を公開したことをはじめ、非常にエキサイティングな18ヶ月間を過ごしていた。
エレリーは英国インディペント映画賞を受賞(BIFA)、第73回英国アカデミー賞で新人賞を獲得したコー ンウォールの映画『BAIT』に出演しており、ウェールズの歌手グウェノー・ピペットとともに BFI で映画 のスコアのパフォーマンスを披露。一方スカイは独自にソロ・プロジェクトを進め、以前 Jockstrap とともにUKツアーを廻った仲間であるアリゾナのバンド Injury Reserve の最新作をリミックスした。エレリーは、昨年 Underworld が行なった実験的プロジェクト『DRIFT』にも参加している。

二人で参加したプロジェクトも多く、Dean Blunt の『Soul on Fire』(2018)では A$AP Rocky & Mica Levi らに並び参加アーティストとして名を連ね、昨年行われた blur / Gorillaz のデーモン・アルバーン率いる Africa Express のサーカステントで行われた1回限りの完売公演ライブの客演も果たしている。

本日解禁されたシングル “Acid” はスカイがプロデュースしており、バンドのリリースの中で初めて彼のヴォーカルをフィーチャーしている。エレリーはこう語る──「これは私の兄弟に向けた曲なの。広大で、活気があって、愛に満ちている。テイラーはこの美しい音世界をデザインしてくれた。8分の6拍子のバラードを彼に送ったら、予想外なものが返ってきたわ」。スカイはこう語る──「ジョージアが圧倒的で表情豊かな、柔らかい ピアノのデモを送ってくれたから、僕もベストを尽くしたよ。制作は本当に楽しかった。今までに作った中で、 一番元気づけられる歌だと思うよ。夏の雰囲気もあるしね」。

『Love Is Key to the City』と『Lost My Key In The❤️ Club❤️ 』が、Loud And Quiet、Dazed、Noisey、BBC、The Guardian、Apple など数々のメディアから賞賛され、強いサポートを受けた彼らが、2020年いよいよ世界に向けて活動を本格化させる。現在も新作を制作中であり、今年の後半には〈Warp〉からリリースされる予定だ。リリース予定を前に、初のライブやアンナ・メレディスのサポートなども決定しており、これからが何より楽しみなバンドと言えるだろう。

label: Warp Records
artist: Jockstrap
title: Acid
release date: 2020.02.04 TUE ON SALE

MOMENT 2 - ele-king

 日本のエレクトロニック・ミュージックを支えるレーベルのひとつ、〈PROGRESSIVE FOrM〉が新たにコンピレーション盤をリリースする。同コンピは2015年にリリースされた『MOMENTS』の第2弾にあたるもので、エレクトロニックありアコースティックありの多彩なサウンドを堪能することができるようだ。Anemone、Fugenn & The White Elephants、網守将平、VOQ (オルガノラウンジ)、LASTorder、M-Koda、fraqsea、Smany、Utae など多数のアーティストが参加しているとのことで、現在の同レーベルの方向性を確認する良いチャンスにもなるだろう。本日2月5日(水)から、Ototoy にて一週間先行で 24bit ハイレゾ先行配信が開始。詳細は下記より。

Various Artists "MOMENT 2" PFCD95 2020.2.12 release
https://www.progressiveform.com

発売日: 2020年2月12日(水曜日)
アーティスト: Various Artists (バリアスアーティスト)
タイトル: MOMENT 2 (モーメントツー)
発売元: PROGRESSIVE FOrM
販売元: ULTRA-VYBE, INC.
規格番号: PFCD95
価格(CD): 税抜本体価格¥2,000
収録曲数: 17曲
JAN: 4526180510567

◆Tracklisting

01. Anemone - Killing Me Softly
02. Yuichi Nagao - Harmonia feat. Makoto
03. Shohei Amimori – Kuzira with Satoko SHibata
04. Fugenn & The White Elephants - State Of Mind feat. KURO from iLU
05. VOQ - Ĉielarko
06. Satohyoh - Sukimakaze To Mikansei Na Uta
07. Fraqsea - Always With U
08. Super Magic Hats - Sleepless
09. Guitarsisyo - Redo feat. KURO from iLU
10. Abirdwhale - I Never Know
11. Nu:Gravity - Dorime
12. M-Koda - I Need Run Ahead feat. Mon
13. iLU - Today
14. Soejima Takuma - Coelacanth feat. Smany
15. LASTorder - Clockwork feat. Utae
16. Ninomiya Tatsuki - Regret
17. Kita Kouhei - I Can Not Remember Blue

◆【MOMENT 2】紹介文

時をかける調べ、永遠に続く響き

Fugenn & The White Elephants、網守将平、VOQ (オルガノラウンジ)、LASTorder、M-Koda、fraqsea、Smany、Utae をはじめとした多数アーティストが参加した必聴コンピ!

2015年12月にリリースされた『MOMENTS』の第二弾となる本作では、エレクトロニックやアコースティックをベースにした多様なサウンドにボーカルが溶け込み、それぞれの要素が美しく重なり合った至高の楽曲群より構成されています。
様々な季節やシチュエーションで多くの人が心地よくまた味わい深く堪能出来るアルバムです。

また本作収録17曲(約76分)中12曲にはオリジナルのミュージックビデオもあり、視覚の面からもお楽しみ頂ける内容になっています。

ハイ・クオリティーな音の魔法箱であり、多くの方に長く聴いて頂けるアルバムです。

J Hus - ele-king

 ロンドンでギャングスタ・ラップから派生し、レゲエ、グライム、ヒップホップ、アフリカ音楽の影響を受けて生まれたジャンル「Afrobeats」、そのジャンルのトップを走るのがラッパーのジェー・ハス(J Hus、文中「ハス」)である。メロディのポップネスとリリックのバッドネスを高い水準で兼ね備えた彼の音楽は高く評価され、デビュー・アルバムの『Common Sense』(2017)はセールス面でもゴールドディスクを獲得した。

 メロディックなフローと、ギャングスタのストーリーや敵に対する暗号めいた煽りが鍵となって人気となったが、ロンドンで増加するナイフ犯罪を助長している音楽としてやり玉に挙げられたりもしている。ハスはそれほどにロンドンのある一面を象徴する存在となっているのだ。

 ハスの家族はガンビアにルーツを持ち、Stratford に生まれ育ったハスは俳優になることを夢見たが、トラブルに巻き込まれ15歳で学校をドロップアウト。2011年~2015年にギャング同志の暴力事件で2回逮捕、起訴され、彼自身も Canning Town の抗争を巡って2度ナイフで刺されている。一時は左半身麻痺となり、軽度のPTSD状態であったといわれる彼は、デビュー・アルバムの大ヒット後の2018年、15センチのナイフの所持で逮捕される。襲撃未遂の嫌疑で1年ほどシーンから姿を消すことになる。彼の不在はシーンに大きな影響を与えたが、昨年は NSG “OT Bop” のヒットなど、アフロビーツの勢いは以前として根強い。

 2019年4月、Drake のロンドン公演のスペシャル・ゲストとして遂に公の場に「帰還」を果たしたハスは、2020年1月3枚目のアルバムとなる『Big Conspiracy』をリリースした。タイトル・トラックの 1. “Big Conspiracy” =大いなる陰謀は、彼の過去の経験に裏打ちさたストリートでの騙しあいを巡るリリックで、それを「鳥の視点」で眺める曲でもある。

みんながスパイみたいに見えるから
俺はレーガンみたいにドラッグにNoと言う
“Big Conspiracy”

 2. “Helicopter” では空の上からヘリコプターで捜査する警察を豚とかけて展開したり、自らを9世紀にスペインにイスラム文化を持ち込んだ「ムーア人」に例えるなど、さまざまな比喩を駆使しながらシンガーの iceè tgm とともにロンドンのギャングスタの景色を切り取っていく。「詐欺師のために銃を持ち歩く」と、過去の逮捕に凝りずに銃とともに生きる彼が、R&Bシンガーの名前を比喩しながら挑発的にラップする 3. “Fight for Your Right”、過去のギャングの物語である 4. “Triumph” と、彼の「リアル」を表現する。

 Burna Boy をサビに迎えた 5. “Play Play” はハスの過去の恋愛についての歌だが、ここでも「gunplay」(銃を撃つ)と「play」(遊ぶ)の言葉遊びで、銃の比喩が一貫して使われる。6. “Cucumber” はうって変わって下ネタと車ネタ全開の1曲で、パトワを用いるスタイルもあいまってダンスホール・レゲエの影響を強く感じさせた。グラミー賞を受賞したレゲエ・アーティスト Koffee を迎えた 7. “Repeat” はこのアルバムでも屈指のポップ・ソングだ。グローバルに活躍するふたりが「お金があるところにどこでもいくぜ」という内容の1曲だが、Giggs からも影響を受けたと語る Koffee とのナイス・コンビで、アフロビーツやヒップホップ、グライムのスラングを混ぜながらレゲエをアップデートしている。

 後半では 11. “Must Be” で事件に関係しているように聞こえる部分が語られる。

お前は敵と一緒に笑ってた、敵と一緒に笑みを浮かべた
敵と一緒に泣いた、敵と一緒に盛り上がった
お前は “繋がり” で汚れているんだ、お前が悪いんだ
“Must Be”

 地元でもあり、逮捕の現場となったのは Stratford Westfield のショッピングモール。ロンドン五輪をきっかけに富裕層を呼び込むために再開発によって生まれ変わった巨大なショッピングモールだ。疑り合うギャングの心性を象徴するこの曲は、再開発で「生まれ変わった」風景の実情を象徴している。巨大資本の再開発とな無縁のストリートで培った “敵か味方か” というギャングの態度。ハスのリリックは敵への恨みにも聞こえるが、裏切られたことの悲しみや孤独も感じられる。疑心暗鬼は彼の成功に亡霊のように付きまとい、人生に暗い影を落としている。

 そんなネガティヴを跳ね返す 12. “Love, Peace and Prosperity” では、彼の宗教であるイスラム教への言及もしつつ、音楽によって救われた彼の人生への賛歌だ。お決まりのコードを新鮮に響かせる Jae 5 のパターンの組み方にも感心させられる。このアルバムのエピローグ的な 13. “Deeper Than Rap” ではスピリチュアルな側面やアフリカへの帰還も示唆される。

 ハスはもはや「ナンバー1のギャングスタ」だけではない。アフロビーツのメロウさや哀愁を武器にポップスを量産する。しかしその裏にはネガティヴや苦難を背負い、いまを生きる人びとの気持ちを代弁するUK随一のリリシストへと成長した。

Thundercat - ele-king

 4月に新作『It Is What It Is』(リディム・イズ・リディムの名曲とおなじ慣用句ですね)をリリースするサンダーキャットが来日! 大阪・名古屋・東京の3都市をまわることが発表されました。アルバム発売直後という絶妙のタイミングでの公演です。これは見逃せニャい。しっかり予習しておきましょう~。

THUNDERCAT
大注目のニューアルバム『IT IS WHAT IT IS』をひっさげ
待望のジャパンツアー開催を発表!!!
チケット主催者先行は本日18時スタート!!!

THUNDERCAT JAPAN TOUR 2020
4月21日(火) 大阪 BIGCAT
4月22日(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
4月23日(木) 東京 THE GARDEN HALL

TICKETS : ADV. ¥6,800+1D
OPEN 18:00 / START 19:00

※未就学児童入場不可

その年を代表する傑作として名高い前作『Drunk』で、超絶技巧のベーシストから正真正銘の世界的アーティストへと飛躍を遂げ、唯一無二のキャラクターで音楽ファンを虜にするサンダーキャットが、3年振りのニューアルバム『It Is What It Is』と共に単独来日決定!

ベースプレイヤー、ヴォーカリスト、ソングライター、メロディメイカーなどなど、そのどの肩書きにおいても超一流の天才&奇才、サンダーキャット。音楽だけでなく、水面から顔をつき出したジャケ写でも話題をさらった前作『Drunk』から3年、盟友フライング・ロータスとの共同プロデュースで遂に完成した待望のニューアルバム『It Is What It Is』には、チャイルディッシュ・ガンビーノ、スティーヴ・レイシー、スティーヴ・アーリントン、カマシ・ワシントン、リル・B、タイ・ダラー・サイン、バッドバッドノットグッド、ルイス・コール、ザック・フォックスら、超豪華アーティストが勢揃い! アーティスト達からの絶大な信頼を物語る驚愕のゲスト陣もさることながら、そのベースプレイ、見事なソングライティング、美しい歌声には、さらなる磨きがかかっている。デニス・ハム(key)とジャスティン・ブラウン(dr)という、これまた間違いない超一流ミュージシャンによるトリオ編成での鉄板パフォーマンス。超絶即興演奏もお約束! さあこの来日公演、見逃すわけニャ~いかないでしょう! 完売必至!!

TICKET INFO
全国共通 チケット先行
2/5 (水) 18:00〜 BEATINK 主催者先行
2/7 (土) 12:00〜 イープラス最速先行 *2/12 (水) 23:59まで

4月21日(火) BIGCAT
2/17 (月) 12:00〜2/20 (木) 18:00 イープラス先着先行
2/22 (土) 一般発売:
チケットぴあ (P:178-293) *English avilable、ローソンチケット (L:55574)、BEATINK
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569 [https://smash-jpn.com]

4月22日(水) NAGOYA CLUB QUATTRO
2/13 (木) 10:00〜2/17 (月) 18:00 チケットぴあ *English avilable / ローソンチケット 先行
2/15 (土) 12:00〜2/17 (月) 18:00 QUATTRO WEB先行
2/17 (月) 12:00〜2/20 (金) 18:00 イープラス・プレオーダー
2/22 (土) 一般発売:
イープラスチケットぴあ (P:176-246) *English avilable、ローソンチケット (L:43092)、LINE TICKETクアトロ 店頭BEATINK
INFO: 名古屋クラブクアトロ 052-264-8211 [https://www.club-quattro.com/]

4月23日(木) THE GARDEN HALL
2/13 (木) 12:00〜2/16 (日) 23:00 ローソンチケット プレリクエスト
2/13 (木) 11:00〜2/20 (木) 11:00 チケットぴあ プレリザーブ *English avilable
2/17 (月) 12:00〜2/20 (木) 18:00 イープラス・プレオーダー
2/22 (土) 一般発売:
イープラスローソンチケット (L:73722)、チケットぴあ (P:177-137) *English avilable、BEATINK
主催: SHIBUYA TELEVISION
企画制作・INFO: BEATINK 03-5768-1277 [www.beatink.com]

サンダーキャット超待望の最新作『It Is What It Is』は、4月3日(金)に世界同時リリース! 国内盤CDには、前作の大ヒット・シングル “Show You The Way” でも共演したマイケル・マクドナルド参加のボーナストラック “Bye For Now” も追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。また数量限定でTシャツ付きセットも発売決定。基本の黒ボディのデザインに加え、BEATINK オフィシャルWEBサイト限定の赤/白ボディデザイン(受注生産:3月15日予約〆切)も登場! アナログ盤は、レッド・ヴァイナル仕様、クリーム・ヴァイナル仕様、特殊パッケージ入りクリア・ヴァイナル仕様、特殊パッケージ入りピクチャーディスク仕様の4種類が発売される。

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: It Is What It Is
release date: 2020/04/03 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-631 ¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-631T ¥5,500+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書・歌詞対訳封入

TRACKLISTING
1. Lost In Space / Great Scott / 22-26
2. Innerstellar Love
3. I Love Louis Cole (feat. Louis Cole)
4. Black Qualls (feat. Steve Lacy, Steve Arrington, & Childish Gambino)
5. Miguel's Happy Dance
6. How Sway
7. Funny Thing
8. Overseas (feat. Zack Fox)
9. Dragonball Durag
10. How I Feel
11. King Of The Hill
12. Unrequited Love
13. Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)
14. Existential Dread
It Is What It Is (feat. Pedro Martins)
16. Bye For Now (feat. Michael McDonald) *Japanese Bonus Track

Kamasi Washington - ele-king

 本日、カマシ・ワシントンが未発表曲 “The Bombshell’s Waltz” を Amazon Prime 限定で配信している。同曲は2007年のアルバム『The Proclamation』のために録音されたもののお蔵入りになっていた楽曲で、今回、カマシを追ったドキュメンタリー映画『Kamasi Washington Live at The Apollo Theater』公開の発表にあわせ、めでたく解禁されることとなった。同映画は2月6日より、おなじく Amazon Prime 限定で公開予定。カマシの2018年作『Heaven And Earth』のレヴューはこちら、カマシ本人へのインタヴューはこちら

KAMASI WASHINGTON
カマシ・ワシントン、ドキュメンタリー映画『Kamasi Washington Live at The Apollo Theater』が Amazon Prime で2月6日に公開決定!
未発表曲 “The Bombshell’s Waltz”も Amazon Music 限定で本日から配信開始!

新世代ジャズ勃興を象徴するサックス奏者、カマシ・ワシントンは、Amazon Prime 限定で2月6日にドキュメンタリー映画『Kamasi Washington Live at The Apollo Theater』を公開することを発表した。また、映画の発表に合わせて未発表曲 “The Bombshell’s Waltz” も Amazon Music 限定で本日から配信開始された。

米ポピュラー音楽を語る上では外せないNYハーレムに位置する伝説的音楽ホールのアポロシアターでのコンサートでのライブの様子やそのライブへの準備に取り組む姿、ハーレムのランドマークを訪れている様子などに密着したドキュメンタリー映画となっている。ライブでは『The Epic』『Harmony of Difference』『Heaven and Earth』など各アルバムからの楽曲が披露されている。

この映画の公開は、『The Epic』と『Heaven and Earth』が The New York Times、Rolling Stone、Pitchfork など数多くのメディアに「過去10年間のベストアルバム」と称賛されたワシントンの一連の栄光を締めくくるものとなる。ワシントンは昨年、『Heaven and Earth』にインスパイアされたショートフィルム『As Told To G/D Thyself』がサンダンス映画祭2019で初公開され称賛の嵐を浴びたほか、ツアーも積極的に行っておりここ日本でもライブはソールドアウトとなるなど、今ジャズ界を率いる絶対的アーティストとなっている。

label: Young Turks / Beat Records
artist: Kamasi Washington
title: Heaven and Earth
release date: NOW ON SALE

国内盤2CD: YT176CDJP ¥3,000
高音質UHQCD仕様/歌詞対訳・解説冊子封入
輸入盤4LP: YT176 ¥OPEN

Kurt Rosenwinkel Bandit65 - ele-king

 2017年に『カイピ』という素晴らしいアルバムを残したカート・ローゼンウィンケル。現代ジャズにおける最重要ギタリストのひとりと言われる彼だが、Qティップをプロデューサーに迎えた出世作『ハートコア』(2003年)を皮切りに、ブラッド・メルドー、ジョシュア・レッドマンらと組んだディープなモダン~コンテンポラリー・ジャズ集の『ディープ・ソング』(2005年)、盟友のマーク・ターナーらを含む自己のグループで現代ジャズとロックの中間をいくライヴ盤『ザ・リメディ』(2006年録音、2008年発表)、エリック・ハーランドらとのトリオによるスタンダードなバラード・アルバム『リフレクションズ』(2009年)、ポルトガルのビッグ・バンドと共演してラテン音楽へのアプローチを見せた『アワー・ワールド』(2010年)、アーロン・パークスらと共演してジャズ・ロックやプログレ的な演奏を披露した『スター・オブ・ジュピター』(2012年)と、作品ごとに異なった表情を見せてきた。そんな彼が『カイピ』ではペドロ・マルティンス、アントニオ・ロウレイトといったブラジル人の新世代ミュージシャンたちと組み、ミルトン・ナシメントやトニーニョ・オルタなどのミナス・サウンドに通じる世界を作り出した。先日サンダーキャットのインタヴューをおこなう機会があったのだが、彼もこの『カイピ』を大好きなアルバムだと述べている(ちなみにサンダーキャットは新作でペドロ・マルティンスと共演している)。

 そして『カイピ』のリリース後、カートは過去をリセットするかのごとく、新たなバンドを組んで活動を開始する。それがバンディット65というグループで、メンバーはデヴィッド・シルヴィアンらとの共演で知られるティム・モッツァー、ビラルやウータン・クランのサポート・ドラマーを務めたこともあるジンタス・ジャヌキソスと組んでいる。
 バンディット65はまずライヴ活動から始まって、2017年から2018年にかけて世界中をツアーしている。ヨーロッパからアメリカを回り、2018年初頭には日本でも公演をおこなった。そうした公演をまとめたものが本ライヴ録音の『サーチング・フォー・コンティニュウム』である。残念ながら日本での録音は収められていないが、ストックホルム、マドリッド、ウィーン、ベルリン、ロサンゼルス、フィラデルフィアでの録音を収録。バンディット65はこれまでカートが組んできたグループとはまた異なるタイプのバンドで、最大の特徴はカートとティムのギター・デュオをフィーチャーし、シンセはじめエレクトロニクスをふんだんに取り入れている点だろう。インプロヴィゼイションに重点を置き、音響やエレクトロニクスを最大活用したポストロック的な側面を見せるプロジェクトと言える。

 柔らかで暖かみに満ちた『カイピ』の世界とは一変し、『サーチング・フォー・コンティニュウム』は全体に先鋭的で緊迫感に満ちたアルバムとなっている。バラバラな日時の録音を集めたアルバムであるのにかかわらず、バンディット65のコンセプトが明確であるがゆえ、統一した世界や空気感を生み出している。
 アブストラクトな音響の中でディープなギター・トーンが広がる “イノリ” は、そのタイトルのようにまさに「祈り」を思わせるスピリチュアルな世界が広がる。ギターとシンセと声をハーモナイズした空間は、現代ジャズとアンビエントの結びついた先を見せてくれる。マドリッド録音の “サグラダ” では、オルガンの音がまるで教会の大聖堂でライヴがおこなわれているかのような錯覚に陥らせる。微妙なノイズを含んだファズ・ギター、波のきらめきを思わせるようなギター音、メタリックで宇宙の孤独を感じさせるギター音など、さまざまな音響を作りだすギターの可能性を導き出した曲だ。アフロ・ラテンなポリリズムとギターの重層的なメロディが織りなす “ブルーマー”、静寂と幻想のコズミックな音世界が広がるフリー・インプロヴィゼイションの極致 “インターステラー”、ギターのテクニカルな早弾きとワードレスなヴォイスのユニゾンがエモーションを掻き立てて疾走していく “アット・ザ・ゲイツ” などが並ぶ中、アコースティックで抒情的なギター演奏を見せる “イン・タイム” は比較的『カイピ』の世界に近いだろうか。そしてミニマル・ミュージックを通過した演奏からドラマティックな終幕へと向かう “マジカル” と、ギターのテクニック、エモーション、音響などあらゆるものを駆使し、アンビエントでありながら濃密な世界が作り出されている。

Various ‎Artists - ele-king

 『Vanity Box』
幻の音源が一挙再発~動き続ける音の先端だけをとらえた記録

〈ヴァニティ・レコーズ〉ほど謎と伝説に満ちた日本のインディ・レーベルはないだろう。一昨年に亡くなった阿木譲氏が『ロック・マガジン』の刊行と並行して78〜81年に主宰した大阪のインディ・レーベル(おそらくJ-インディ界最古)であり、そこからは、フューがリード・ヴォーカルをとったアーント・サリー、エレクトロニック・ユニットのDADAやシンパシー・ナーヴァスなどの作品がリリースされていた……熱心なロック・マニアであっても、おそらくその程度が平均的な知識であり、カタログ中の数枚はきいたことがある……といったところではなかろうか。

 〈ヴァニティ〉からは4年弱の間に11枚のLP(うちひとつは2枚組オムニバス・アルバム)、3枚の7インチ・シングル盤、6本のカセット・テープがリリースされ、その他にもロック・マガジンの付録として世に出た12枚のソノシート(79〜82年)もあった。タイトル数としてはたいした数ではないが、なにしろ各タイトル(ソノシート以外)のプレス枚数が各300〜500枚であり、カセット作品に至っては数十本程度のコピー商品だったため、リアルタイムで全てを聴いていた者は極めて稀だったはずだ。
 もちろん私も例外ではない。最初に聴いたのはアーント・サリー『アーント・サリー』(79年)だったが、それは友人にコピーしてもらったカセットであり、現物を入手したのは84年、コジマ録音からの再発LPだった。80年代にはシンパシー・ナーヴァスやダダなどいくつかの中古盤やコピー・カセットを入手したが、全作品制覇はとても無理だった。6本のカセット作品に至っては、全く聴いたことがなかったし。つまり、名前だけは知っているけど全容は霧の中……そんなレーベルだったのだ。40年間も。

 しかし今、そうしたモヤモヤがやっと解消される時が来た。昨年10月の一挙再発によって。リリースされたのは『Vanity Box』、『Vanity Tapes』、『Musik』という三つの箱だ。内訳は以下のとおり。

■『Vanity Box』11CD  限定500セット
 (/)内はオリジナル盤の発売年と品番 
・DADA『浄 (Jyo)』(78年/vanity 0001)
・SAB『Crystallization』(78年/vanity 0002)
・Aunt Sally『Aunt Sally』(79年/vanity 0003)
・Tolerance『Anonym』(80年/vanity 0004)
・あがた森魚『乗物図鑑』 (80年/vanity 0005)
・R.N.A. Organism『R.N.A.O Meets P.O.P.O』(80年/vanity 0006)
・Sympathy Nervous『Sympathy Nervous』(80年/vanity 0007)
・BGM『Back Ground Music』(80年/vanity 0008)
・Normal Brain『Lady Maid』(81年/vanity 0009)
・Tolerance『Divin』(81年/vanity 0012)
・7インチ・シングル集
  Sympathy Nervous「Polaroid」(80年/VA-S1)
  Mad Tea Party「Hide And Seek」(80年/VA-S2)
  Perfect Mother「Youll No So Wit」(80年/VA-S3)
  の各3曲、計9曲を収録。

■『Musik』2CD  限定400セット
 81年に「vanity 0010-11」としてリリースされた2枚組オムニバス・アルバム『Music』をそのままCD化。13組のアーティストによる計19曲を収録。タイトルのスペル(『Musik』)とジャケット・デザインは変更。

■『Vanity Tapes』6CD  限定300セット
 81年にリリースされた6アーティストのカセットテープ作品計6本のCD化。当時は単品での発売(それぞれ数十本ずつ)と共に、『Limited Edition Vanity Records Box Set』としてセットでも販売された。
・Salaried Man Club『Gray Cross』(81年/VAT1)
・Kiilo Radical『Denki Noise Dance』(81年/VAT2)
・Den Sei Kwan『Pocket Planetaria』(81年/VAT3)
・Invivo『B.B.B.』(81年/VAT4)
・Wireless Sight『Endless Dark Dream』(81年/VAT5)
・Nishimura Alimoti『Shibou』(81年/VAT6)

 つまり今回、『ロック・マガジン』付録のソノシート音源以外の全〈ヴァニティ〉作品が計19枚のCDとして一挙に再発されたわけだ。全国の読者から送られてきたカセット音源(おそらくほとんどが宅録)である『Musik』と『Vanity Tapes』に対し、阿木譲がプロデュースしてちゃんとスタジオで録音された『Vanity Box』のLP音源の方がクオリティが高いのは当然だが、といって、すべてが秀作というわけでもなく……。
 まずは『Vanity Box』に収められた全作品を、オリジナル盤の発売順に聴いていこう。

DADA『浄 (Jyo)』

 〈ヴァニティ〉の栄えあるLP第1弾は、キーボード(シンセサイザー/ピアノ)とギターのデュオ・ユニット、ダダのデビュー作である。ダダは、キング・クリムゾンの影響を受けたプログレ・バンド、カリスマのギタリストだった泉陸奥彦と、同じくプログレ系バンド飢餓同盟で活動していた小西健司によって結成された。本作のジャケットでは、平安〜鎌倉時代に描かれた「餓鬼草紙」が流用され、「鬱雲鉢」や「六神通」といった収録曲もすべて「餓鬼草紙」から着想されている。「イーノに捧ぐ」なるクレジットどおり、サウンド全体の土台にはアンビエント・ミュージックがあり、そこに彼らのルーツであるプログレが絡む、といった感じ。あるいは、ファー・イースト・ファミリー・バンド×ポポル・ヴーとでも言うか。そのサウンド・マナーは、当時の阿木譲の志向そのものだったと思われる。
 『ロック・マガジン』15号の編集後記に、阿木のこんな記述がある。「この2年、ずっと僕の心の中で暖め続けていた自身のレーベルである〈ヴァニティ・レコード〉も、いよいよ外に向けて活動を開始する時が来たようだ。第一弾として6月25日発売のダダのレコーディングのため一日中スタジオに籠る。泉陸奥彦君のギターを前面に押し出し、それに小西健司君のエレクトロニクス機器とピアノで作り出した簡素で静謐な音世界は心が洗われる」。『ロック・マガジン』創刊が76年2月なので、つまり阿木は雑誌創刊時からレコード制作を計画し、その第一号としてダダを出そうと考えていたわけだ。
 ちなみに、79年の『ロック・マガジン』26号では、「Vanity Records は無名だが才能をもったアーティストにレコード製作という機会を活用し、このレーベルを足場により広範囲に活動できることを目的として発足された」という文言があり、続いて、レーベルの制作方針として以下の4項目を挙げつつ、カセットテープでの応募も呼びかけている。
①エレクトロニクス・ミュージック
②“家具としての音楽”シリーズ(現代音楽)
③歌謡曲業界への進出
④実験的な新しいヴィジョンを持つ音楽(パンク、ニューウェイヴ、フリー・ミュージック、現代音楽等)
 ダダのデビュー作は、この中の特に①②に該当していたと言える。実は私は、本作のリリース直後(78年10月)に彼らのライヴを観たことがある。その時点ではまだアルバムをは聴いてなかったが、プログレ・マニアの間では「〈ヴァニティ〉が送り出した関西の新しいシンセ・バンド」としてけっこう話題になっていた。ライヴの印象は“稚拙なタンジェリン・ドリーム”といった感じで、正直退屈したのだが、その後にLPを聴いた時は、かなり楽しめた。78年の時点では、アルバムのコンセプトをライヴで十分に表現できるまでにはなっていなかったということだろう。彼らはその後メジャーからもアルバムを出し、バンド解散後も個別に活動を続けてきたこと(小西はP-MODEL他で、泉はゲーム音楽作曲家として活躍)は言うまでもない。

SAB『Crystallization』

 私はYoutubeが登場するまでSABの音を一切聴いたことがなかったし、どういう人物なのかも知らなかった。いや、今でも「〈ヴァニティ〉初期に、レーベルの専属エンジニア的役割を担っていた若者」ということぐらいしか知らない。今回の『Vanity Box』リリースに際して、発売元の〈きょうレコーズ〉は各ミュージシャンに再発許可及び版権返却の連絡をとったが、結局 SABとトレランス(後述)だけは連絡がつかなかった(行方不明)という。昔も今も謎の人物だ。一部でシタールやフルートなどのゲストも参加しているが、基本的には、当時19才だったという SABがシンセサイザー、ピアノ、ギターなど様々な楽器を多重録音したワンマン・ワーク。水音など自然音を混ぜるなどニューエイジ感覚を先取りしたエレクトロニク・サウンドはオール・レーベルのコズミック・セッションや70年代後半のクラスターにも通じるし、全体のバロッキーな迷宮感と瞑想性はちょっとマジカル・パワー・マコを思い出させたりもする。SABは本作発表後、インドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシに傾倒し、間もなく音楽の世界から消えたというが、本作の世界は現在のヤソスやアリエル・カルマ、ララージなどとも確実につながっている。

アーント・サリー『アーント・サリー』

 本作に関しては、ここで改めて言及する必要もないと思う。シンガーのフューやギタリストの Bikke 等を擁した神話的バンドによる唯一のスタジオ録音アルバム。これこそは〈ヴァニティ〉の象徴であり、唯一、広く聴き継がれてきた〈ヴァニティ〉作品だろう。サラヴァ・レーベルにおけるブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』みたいなものか。本作を初めて聴いた時の衝撃は今も忘れがたい。当時19才だったフューはアンチ・ロック、アンチ・ヒッピーを身上としていたとかつて私に語ったが、確かに長髪ナマステ野郎もゲバ棒全共闘も一瞬に火炎放射器で焼き尽くしてしまうような凍りつくニヒリズムに満ちている。ジョン・ライドンがジュリエット・グレコに憑依したようなフュー(彼女は神戸のカトリック系超名門女子校出身)の歌声がカトリック的原罪意識と反カトリック的逸脱熱の間で揺れ動く様はなんともエロティックだ。
 以下の発言は、20年ほど前におこなったフューへのインタヴューからの抜粋。「突然ロック・マガジンのオフィスに行って、阿木さんにカセットを聴かせた。何の根拠もなく、なぜか〈ヴァニティ〉から絶対にアルバムを出せると思ってたんですよ。録音は一日でやりました。阿木さんは自分が元々歌手だったせいもあるんだろうけど、スタジオに入ってきて、お手本を示す感じで歌い出してね。勘弁してほしかったですよ、ほんと」。阿木譲の歌う怨念と自己愛いっぱいの“醒めた火事場で”も聴いてみたいけど。

トレランス『Anonym』

 ジャケ裏に書かれた文言「dedicated to the quiet men from a tiny girl」を元にナース・ウィズ・ウーンドが80年の2ndアルバムに『To The Quiet Men From A Tiny Girl』なるタイトルを付け、更に、かの《Nurse With Wound List》でも本作がリストアップされていた。といった事情もあって、海外のマニアの間では昔から人気が高い。日本では昔も今も知名度は低いけど、〈ヴァニティ〉から2枚のフル・アルバムを出した唯一のバンドだった。つまり、阿木譲は高く評価していたということだろう。トレランスは関西ではなく東京で活動していた丹下順子のソロ・プロジェクトで、2枚とも吉川マサミがギター他でサポートしている。シンセサイザー他によるノイジーな電子音とピアノ、語り風ヴォイスなどを駆使してモノトーンのキャンヴァス上に描かれた抽象画といった感じ。その手法と冷ややかなエロティシズムは、まさにナース・ウィズ・ウーンドやSPKなど当時の海外のノイズ・コラージュ・ワーク勢とも地続きだ。

あがた森魚『乗物図鑑』

 〈ヴァニティ〉のLP群中で最大の異色作ではあるが、前述したレーベル方針の③「歌謡曲業界への進出」を念頭に置きつつ①「エレクトロニクス・ミュージック」、④「実験的な新しいヴィジョンを持つ音楽」も取り込んでいるという点で、〈ヴァニティ〉ならではの作品だとも言える。“赤色エレジー”等のレトロ・フォークで知られたあがたと阿木は以前からの知り合いだったようで、制作に際し阿木は「コンセプトはテクノ・ポップで、泣きの曲はなし」と注文をつけたという(音楽史的には一応、この「テクノ・ポップ」なる新タームは阿木が考案したということになっている)。録音は、シンセサイザーやギターなど様々な演奏とアレンジを手掛けた前述のSABと、後述するノーマル・ブレインの藤本由紀夫が中心になっておこなわれ、向井千恵、INU の北田昌宏、コンチネンタル・キッズのしのやん(篠田純)、ウルトラ・ビデのTaiqui などがサポート。また、ジョイ・ディヴィジョン風の名曲“サブマリン”ではコーラスでフューが参加し、“エアプレイン”ではあがたが敬愛する稲垣足穂の肉声(ラジオでの対談音源)をコラージュ使用している。多士済々のサポート陣による音作りは、〈ヴァニティ〉のカタログ中、いやあがたの全作品中でも際立って多彩かつ実験的であり、また、翌81年から始動するあがた版テクノ・ポップ・ユニット、ヴァージンVSヘの助走となったという点でも非常に重要な作品だ。しかし、当時まだフォノグラムとのアーティスト契約が切れてない時期だったため、発売後間もなく回収され市場から姿を消したのだった。


R.N.A. Organism『R.N.A.O Meets P.O.P.O』

 80年代J-ニューウェイヴ・シーンで異彩を放った佐藤薫のEP-4の前身プロジェクト。ロンドンからの海外郵便を偽装して〈ヴァニティ〉に送られてきたカセット音源を元に制作されたという。シンセやリズム・マシーン等によるビートフルなエレクトロニク・サウンドとコラージュ・ワークはキャバレー・ヴォルテールに対する大阪からの返答といった感じか。メンバー(3人)クレジットの匿名性やジャケット・デザインのミニマリズム等々、高度にデザインされた総合的戦略性も佐藤薫ならでは。

Sympathy Nervous『Sympathy Nervous』

 90年代以降、ベルギー〈KKレコーズ〉傘下の〈Nova Zembla〉や米〈Minimal Wave〉等から多くのテクノ系作品を発表し、晩年にはテルミン制作工房も運営していた新沼好文(2014年逝去)によるソロ・プロジェクト。このデビュー・アルバムも2018年に〈Minimal Wave〉からLP再発されている。「U.C.G.」と名づけられた自作のコンピュータ・システムとコルグのシンセサイザーを駆使した手作り感満載のエレクトロニク・サウンドに、サポートの千崎達也がノイジーなエレキ・ギターを加えるというスタイル。諧謔性と珍味溢れるノイズ・インダストリアル指向の分裂症的テクノ・ポップは、後のマックス・ツンドラやスクエアプッシャーなどにもつながっているように見える。

BGM『Back Ground Music』

 電子音楽家/プロデューサー/DJとして現在も第一線で活躍している白石隆之が初めて世に問うた作品。シンセサイザー/ギター/ヴォーカル担当の白石(当時17才の高校生)を中心とする4人組(白石以外はベイス、キーボード、ドラム)。無機質な電子ノイズをやたらとふりまく荒削りでファンキーなガレージ・ロック・サウンドは、彼らがア・サーテン・レイシオやP.I.L、あるいはキャバレー・ヴォルテールといった当時のポスト・パンク〜インダストリアル・シーンから強く影響されていたことを物語っている。演奏力はないし完成度も高くないが、日本におけるロック受容史の記録としては貴重な1枚だと思う。今回の『Vanity Box』リリースと同時期に〈Mule Musiq〉からも単品でLP再発されたが、それまでオリジナル盤は数万円で取り引きされるほどの人気盤だったようだ。

Normal Brain『Lady Maid』

 サウンド・アートのパフォーマーとして現在も世界的に活躍している藤本由紀夫のソロ・プロジェクトによる唯一のアルバム。タイトルのネタはもちろんマルセル・デュシャンの「レディメイド」。デュシャンやジョン・ケイジへの傾倒/研究を通し、オブジェとしての音/音響にこだわり続けてきた藤本の視点と姿勢は、既にこの作品でも明確に示されている。クラフトワークをパクった感じのオープニング・ナンバーからコンラート・シュニッツラー流「ディスクリート・ミュージック」風のラスト曲(B面全体を占める)まで様々なタイプのエレクトロニク・サウンドが聴けるが、いずれもドライ&ストレインジな感覚が横溢しており、デイヴィッド・カニンガム(フライング・リザーズ)の日本の兄弟といった趣。なお本作も、『Vanity Box』に先駆けてスイスのレーベル〈We Release Whatever The Fuck We Want Records〉から単品再発されている。

Tolerance『Divin』

 トレランスは前述どおり、〈ヴァニティ〉から2枚のLPを発表した唯一のユニットであり、これはその2作目にして〈ヴァニティ〉の掉尾を飾ったアルバムでもある。今回もまたほとんどメロディのない抽象的エレクトロニク・サウンドだが、溢れ出るイメージに沿って暗闇でやみくもにデッサンしていたような1作目に対し、音作りのアイデアがかなり絞られており、その分聴きやすい。多くの曲でドラム・マシーンを多用してリズミックなアプロウチをとり、テクノ・ポップの時代性を実感させる(けっしてポップじゃない)が、一方でテープの逆回転とパンニングによるファウスト〜スロッビング・グリッスルのような凶悪チューンもあったり。この孤絶し荒涼とした風景ゆえか、阿木譲は〈ヴァニティ〉のカタログ中で本作を最も気に入っていたという。

『7インチ・シングル集』

 同じ80年にアルバムも出したシンパシー・ナーヴァスの他、マッド・ティー・パーティ、パーフェクト・マザーの計3バンドによるシングル盤3枚(計9曲)を収録。マッド・ティー・パーティとパーフェクト・マザーは、当時メルツバウの初期音源など実験的カセット作品をたくさんリリースしていた東京のインディ・レーベル/総合アート集団《イーレム》の関係グループだ。シンパシー・ナーヴァスはアルバム同様、自作コンピューター制御されたエレクトロニク・サウンドだが、アルバムに先駆けてリリースされたこのシングル盤の音作りは、よりプリミティヴ。吉祥寺マイナーなどにも出ていたというガールズ・トリオのマッド・ティー・パーティは、ちょっとフリクションを想起させるA面の表題曲以下、全体的にダブ処理された音響実験が面白い。パーフェクト・マザーは《イーレム》の中心人物だった上田雅寛によるソロ・プロジェクトで、計4人で制作されたこのシングル盤には、後にTACOにも参加する“新人類”野々村文宏もテープ・エフェクトで参加している。リズム・ボックスとシーケンサーによる不気味な律動、ノイジーな楽器音と言葉/声のコラージュ、初期ゲーム音楽風のチープな電子音など様々なアイデアがランダムに詰め込まれた若さいっぱいの強欲宅録集。

 『Musik』(限定400セット)と『Vanity Tapes』(限定300セット)は前述どおり、〈ヴァニティ〉に全国から送られてきたカセット音源からの選集。
 2枚組CDセット『Musik』(オリジナルは2LP『Music』)に収録されたのは、Pessimist、Un Able Mirror、Mr、Adode/Cathode、Kiiro Radical、Tokyo、Daily Expression、Plazma Music、Nose、New York、Arbeit、Isolation、Necter Low の13組による計19曲。
 『Vanity Tapes』は、カセットでリリースされた6作品のCD6枚組セットで、収録アーティストと作品名は前述どおり。

 『Musik』と『Vanity Tapes』を全部聴いて、個人的に耳を惹かれたのは、電子ノイズの新たな可能性を探ったKiiro Radical、BCレモンズ(後にCDも出すサイケ・ポップ・女子バンド)の前身であるPlazma Musicによる和製スーサイド・ポップ、ピアノとメトロノームとラジオ・ノイズだけを用いた Wireless Sight によるノイズ・アンビエント・ワークス、ギターのドローン・ノイズとドイツ語の語りをコラージュしたArbeit(これだけは日本人ではなくドイツ人画家アヒム・デュホウ。彼は、ラ・デュッセルドルフのロゴ・デザインや『シンパシー・ナーヴァス』のジャケット写真も手掛けていた)といったところだろうか。また、Tokyo は数年後にハイ・ライズ等で有名になるギタリスト成田宗弘のバンド、New York「1976」は阿木譲本人によるニューヨークでのフィールド録音である。当然ながら玉石混交だが、機材の低価格化によって誰でも手軽に宅録できるようになったDIY時代ならではの奔放さと音楽的アイデアの多様性は間違いなく堪能できる貴重な記録だ。音質の悪さ(今回の再発に際し、すべてデジタル・リマスタリングされているが、元が元だし)も、ここでは逆にあの時代の空気感とリアリティを呼び起こしてくれる。


 以上、今回リリースされた三つのCDセットを駆け足で紹介してみた。それぞれが限定発売であり、しかもスイスのレーベル〈We Release Whatever The Fuck We Want Records〉が大量に予約購入したこともあり、実は10月のリリース時点で既にほとんど売り切れ状態だったという。つまり、ここで紹介しても、なかなか入手困難であることは最初から了解ずみだったのだが、本文中でも随時触れたとおり、今回各アーティストに版権が戻されたため、個別に他レーベルから単品発売されている(もしくはこれから発売される)作品も少なくないし、ネットでもある程度は聴けるので、ご了承いただきたい。
 ちなみに、〈ヴァニティ〉では当時、ヒカシューやノイズ(工藤冬里+大村礼子)、ウルトラ・ビデなどのリリース計画もあったようだ。

 最後に阿木譲の言葉を紹介しておきたい。篠原章氏の著書『日本ロック雑誌クロニクル』(初出は『クイック・ジャパン』Vol.34、34)から。『ロック・マガジン』での活動に関する発言だが、〈ヴァニティ〉に関してもそのまま当てはまると思うので。

「関心のあるのは先のことだけですね。留まるのがイヤなんですね。商売のことを考えるとどこかで留まったほうがいいんだけど、僕はやはり音楽の先端というかエッジに一番興味があって。もうそればっかり」
 「メジャーになってくると、もう僕別のところにいるんです。僕の役割は先端のもの、運動中のわけのわからない、まだ意味も判明していないものを、形にしていくことなんですね。音楽に普遍的なものなんかないっていう考えだから。──(略)──先端のことは、だいたい最初は僕がやったんじゃないかと自負していますが、評論家として確立したかっていうと、ちょっと疑問ですけどね」

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