「Man」と一致するもの

Eli Keszler - ele-king

 初めてイーライ・ケスラーの音楽を聴いたとき、全身に稲妻のような衝撃が走ったことを今でもよく覚えている。全く新しいタイプのドラマーだと思った。あまりにも斬新で、攻撃的かつ快楽的なサウンドだと感じた。あれは2010年に〈ESPディスク〉からリリースされた『Oxtirn』だっただろうか。あるいはその2年後の2012年に〈PAN〉から出た『Catching Net』を先に聴いたのかもしれない、ともかく散弾銃のように無数の小さな音の礫が降り注ぐ聴覚体験は実に新鮮なものだった。かつて1960年代にやはり〈ESPディスク〉からリリースされたアルバート・アイラーの傑作『Spiritual Unity』にも参加しているドラマーのサニー・マレイは、定型ビートを刻むのではなく五月雨のようにシンバルをひたすら叩くことで装飾的なノイズを生み出す革新的なパルス奏法を確立したが、粒子状の打撃音を過剰なまでに高速で散りばめていくケスラーの奏法は約半世紀の時を経てこうしたパルス奏法を異次元へと押し上げたと言ってもいいだろう。すなわちケスラーは稀代のドラマー/パーカッショニストなのであり、しかしながら驚くべきことに、彼がこのたび〈LuckyMe〉からリリースした最新作『Icons』では、こうした卓越した打楽器奏者としての側面は極限まで削ぎ落とされ、抑制され、ほとんど自己主張することのない音楽へと結実している。これは一体どういうことなのか。

 新作の内実に踏み込む前に、まずはその経歴をあらためて振り返っておきたい。イーライ・ケスラーは1983年に米国マサチューセッツ州ボストン近郊のブルックラインでユダヤ系の家庭のもとに生まれた。母はプロのダンサー、父は医療機器の販売業者だったがアマチュアのミュージシャンでもあり、独学でギターやヴァイオリンなどを演奏していたという。8歳の頃よりドラムの演奏を始め、11歳の頃には作曲にも取り組み始めたケスラーは、10代の頃はロック/ハードコア系のバンドを組んでいたそうだが、他方ではジャズや実験音楽にも親しみ、とりわけエルヴィン・ジョーンズのような偉人のパフォーマンスを目の当たりにした体験がその後の人生を左右することになる。「このレベルで演奏したい」*──そう思ったケスラーは並々ならぬ執念で勉強に打ち込み、セシル・テイラーをはじめ数多くの先進的なジャズ・ミュージシャンを輩出したことでも知られるニューイングランド音楽院へと進学。ピアニストのアンソニー・コールマンとラン・ブレイクらに師事し、ドラマー/パーカッショニストとして修練を積むとともに作曲などを学んだ。卒業後はロードアイランド州プロビデンスで音楽活動を始め、のちにニューヨークへと拠点を移すこととなる。2006年に自ら〈R.E.L〉というレーベルを立ち上げると、自身のリーダー作や参加ユニット作をはじめ盟友の多楽器奏者/作曲家アシュリー・ポールらの作品を発表。自主レーベルを除くと、同じく親交の深いアーティスト/音楽家ジェフ・マレンが運営する〈Rare Youth〉から2008年にソロ作『Livingston』をリリースしており、続く作品が2010年の『Oxtirn』だった──のちに「Oxtirn」はケスラー、ポール、マレンのトリオ・プロジェクト名として使用されるようになる。

 先に音楽活動と書いたが、ケスラーの活動は音楽にとどまらず多岐にわたっていることも見逃せない。ヴィジュアル・アーティストとしてアブストラクトなドローイングを数多く発表、ほぼ全てのリーダー作でアルバム・アートワークを手がけているほか、サウンド・アーティストとしてインスタレーション作品も多数制作しているのだ。サウンド・アーティストとしての彼の特徴はなんといっても細く長いワイヤーである──そう書くとアルヴィン・ルシエが1977年に発表した《Music on a Long Thin Wire》を想起される方もおられるかもしれないが、ワイヤーの微細な振動をピックアップしてスピーカーから流すことで一種のフィードバック回路を形成するルシエの作品とはコンセプトが大きく異なり、ケスラーの場合は多数のワイヤーをそれぞれに設置された金属製の棒が打ちつけ、それによって生じた打撃音が空間へと共振していくところにポイントがある。たとえば2011年にボストン芸術センターで発表された《Cold Pin》は、壁面に無数のピアノ線を設置し、モーターによって回転する金属製の棒が打ちつけることによって巨大なピアノを内部奏法するかのような低く鈍い音響を生み出していく。同年にルイジアナ州の旧ポンプ場に設置した《Collecting Basin》はスケールの大きな作品で、約6~60メートルのピアノ線を巨大な給水塔から周囲に張り巡らし、やはり同様の原理で金属製の棒を打ちつけて深い残響音を伴うサウンドを発生させる。他にも多数のインスタレーション作品を手がけており、特に近年はワイヤーを使用しない展示もおこなっているほか、ヴィジュアル・アートとグラフィック・スコアとライヴ・パフォーマンスとサウンド・インスタレーションが渾然一体となった試みもあるため詳細は別稿に譲るが、いずれにしてもこうした展示活動のもっとも核にある基本的なコンセプトは彼自身の言を借りるならば「特定の目的のために使用されている空間から、他の可能性を導き出すこと」**と言い表すことができるだろう。

2011年にボストン芸術センターで披露されたインスタレーション作品《Cold Pin》の映像。

 なかでも特筆すべきは《Cold Pin》である。実は《Cold Pin》はもともと単独のインスタレーション作品であるだけでなく、アンサンブル作品の一部としても機能するように構想/制作されていた。そしてケスラー、ポール、マレンのほかトランペットのグレッグ・ケリーとファゴットのルーベン・ソン、チェロのベンジャミン・ネルソンが参加したセクステット編成でインスタレーションとともにライヴ・パフォーマンスをおこない、その模様が2011年に〈PAN〉から『Cold Pin』として音盤化されたのだ。そこへさらに弦楽四重奏とピアノがインスタレーションとともにケスラーの作曲作品を演奏するヴァージョン、また《Cold Pin》と《Collecting Basin》のインスタレーションのみの録音などを加えた2枚組のアルバムが2012年の傑作『Catching Net』なのである。冒頭で述べたようにとにかくケスラーのドラミングに圧倒されてしまうのだが、いまあらためて聴き返すと極めてコンセプチュアルに構成されたサウンド・デザインの方が耳を引く。というのも、高速連打するケスラーのドラミングの背後で、管弦楽とギターがインスタレーションの自動演奏と共振しながら非常に緩やかに動く抑制されたドローンを形成しているのだ。もしもここからケスラーの音を取り除くならば、あたかもリダクショニズムの戦略を取った即興演奏あるいはヴァンデルヴァイザー楽派の作曲作品とも近しい響きになるのではないだろうか。客演しているグレッグ・ケリーが1990年代後半からゼロ年代にかけていわゆる弱音系即興のシーンでも活動してきた人物であることを考えるなら、ケスラーはおそらくこうした文脈を踏まえた上で作品制作に取り組んでいたはずだ。それはパラダイム・シフトを経た即興音楽を「超高速とほとんど静止しているかのような遅さの両方で発生する動きに惹かれる」***と語るケスラー流の美学によって昇華しようとした試みだったとも言える。そして振り返るなら『Oxtirn』もやはり、多重録音されたケスラーの激烈な演奏に比して客演しているアシュリー・ポールのクラリネット等は静的なドローンを形成しており、美学的に一貫した部分があると指摘することもできる。

 だが2006年から2012年まで毎年リーダー作を出してきたケスラーは、2013年以降、しばらくソロ・アルバムの制作という点では沈黙を続けるようになる。もちろん音楽活動や展示活動は精力的に継続しており、アルバムも2014年にオーレン・アンバーチとのデュオ作『Alps』はリリースしている。とはいえ『Catching Net』に続くリーダー作はなかなか発表されなかったのだ。この間の事情についてケスラーは「一つの理由は私にとってレコードとは何かということを考えていたからです(……)私はレコードというフォーマットを、ある種の閉ざされた空間としてイメージし始めました──聴くことで生まれる環境を利用して、あなたが入ることのできる閉ざされた世界を定義するのです。私は(次のレコードを)何か他のものと関連させたくありませんでした。私のインスタレーションのように、自己完結したものにしたかった」****と述べているが、たしかに『Catching Net』は初期の代表作と言ってよいものの録音作品としてのみ完結しているわけではなく、サイト・スペシフィックなインスタレーションやパフォーマンスが音盤の外部に広がっていたのだった。いわば録音芸術としてのアルバム制作へと向かうための方途を考えて続けていたのだろう。もう一つ。ケスラーが『Catching Net』をリリースした〈PAN〉はドイツ・ベルリンを拠点とするレーベルだが、主宰者であるビル・コーリガスとの縁もあって、ケスラーはヨーロッパのクラブで頻繁にライヴをおこなうようになっていた。強力なサウンドシステムでダンスフロアを揺さぶるという特異な空間でのパフォーマンスの経験も彼に大きな影響を与えた。あるいはダンスフロアに向けた演奏経験が、自己完結した録音芸術としてのアルバム制作へと赴く契機となったのかもしれない。

 2016年、およそ4年の空白期間を経て発表されたリーダー作『Last Signs of Speed』は、これまでと大きく異なる作風へと変貌を遂げていた。長尺のトラックが特徴的だった以前の作品とは打って変わり、5分前後の短い楽曲を多数収録した作品に仕上がっていたのだ。もちろんそれだけではない。即興色の強い実験的な──すなわち結果が不確定的な演奏がノイジーでカオティックな展開を生んでいたそれまでの作風に対し、明らかに演奏の中に周期性が、ミニマルな反復構造がもたらされるようになっていたのである。目眩く差異の産出から繰り返しが孕むズレの摘出へ。さらに重低音を効かせたキックやタム、あるいはグロッケンシュピールやピアノのフレーズの使用からは、クラブ・ミュージックの突然変異体のような様相も聴かせる。いわばケスラーの音楽の「音楽化」が進められたのだが、しかしながらまだアブストラクトなドラミングは健在だった。その後、知られるようにローレル・ヘイロー『Dust』(2017年)やワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『Age Of』(2018年)への参加、さらにこの両者のライヴ・セットでの活動を経て、2018年にリリースした『Stadium』ではより一層「音楽化」が推し進められることとなる。サウス・ブルックリンからマンハッタンへと拠点を移したことが反映されているというこのアルバムでは、穏やかなメロディがグルーヴィーなベースラインに乗せられ、曲によってはフィールド・レコーディングや囁くようなポエトリー・リーディングを織り交ぜながら、洗練されたエレクトロ=アコースティック・ミュージックとでも言うべき内容に結実している。ケスラーのドラミングは複雑でアブストラクトな打点を散りばめながらも反復構造のうちにビート感を創出していく演奏で、人力ドラムンベースのような技巧性を聴かせるところもあった。

 最新作『Icons』は、さまざまな点で前作『Stadium』における試みを継承/深化した作品だとひとまずは言うことができる。一聴してまずわかるのは、卓越したドラマー/パーカッショニストとしてのケスラーの演奏がほとんど後景に退いているということだ。それはこれまで見てきたように『Catching Net』まではアルバムの大部分を占めてきた異次元のパルス奏法が、クラブでの演奏経験や電子音楽家たちとのコラボレーションを経て「音楽化」へと向かうことで、徐々に録音芸術を手がけるうえで必ずしも前面に打ち出すべき手段ではなくなってきたということでもあるのだろう。ただし具体的に重要な変化だと思われるのは、『Stadium』をリリースした後のケスラーがセンサリー・パーカッションとタングドラムを積極的に使用するようになっていったということである。センサリー・パーカッションはドラムを演奏する際の打撃の位置や強さ/速さなどに応じて電子音響を非常に精密にコントロールしながら鳴らすことができる機材で、かたやタングドラムは水琴窟のような音色で音階を奏でることのできる楽器だが、こういった道具を取り入れることによってメロディやベースライン、ハーモニーといった音楽的要素をあくまでも打楽器をツールとしたままこれまで以上にバラエティに富んだ形で生み出すことを可能にした。結果的に本盤はドラマー/パーカッショニストのリーダー作とは思えないような繊細なサウンド・デザインが施された録音芸術としてまとめられている。唯一従来のケスラーらしいパルス奏法が5曲目の “Rot Summer Smoothes” では聴けるが、むしろ箏のような音色で奏でられる民族音楽風のメロディが醸すインパクトの強さの方が前面に出ている。あるいはギター・シンセでネイト・ボイスが客演した3曲目 “The Accident” では技巧的な人力ドラムンベース風の演奏を披露しているものの、ケスラー特有のランダムノイズのようなドラミングという観点から聴くならばむしろ妙技を封印していると言うこともできる。

昨年配信されたライヴの映像。センサリー・パーカッションとタングドラムを使用している。

 しかしながらこうした表面的な特徴以上に『Icons』をユニークな作品に仕立て上げているのは、やはりフィールド・レコーディングの多用である。ケスラーによれば本盤はコロナ禍でロックダウンが実施された2020年3月以降に主な制作が進められたという。まるで廃墟のように不気味に静まり返ったマンハッタンに彼は留まり、街中に繰り出しては街路や公園で環境音のレコーディング作業をおこなっていった。そのときの印象は次のような言葉で綴られている。

(……)救急車、抗議活動、ヘリコプターなどの激しい状態から、美しくて奇妙な、穏やかな静寂のような状態まで、街が揺れ動いているように見えた。僕はそこで、何か奇妙で美しいことが起こっていると思ったんだ。*****

 そう、単に人間の気配が失われたロックダウン下の音環境に興味を覚えただけではなく、非常事態における喧騒と静寂の相反するサウンドスケープの同居に「何か奇妙で美しいことが起こっている」と感じたというのだ。そこには5月にジョージ・フロイドが殺害されたことに端を発するBLM運動の怒りの響きも混ざり合っていたことだろう。そしてこうした相反するものが同居することによる混沌とした状況を聴き取ろうとする彼の感性は、先に引用した「超高速とほとんど静止しているかのような遅さの両方で発生する動きに惹かれる」という美学的態度と相通ずるものがある。だがそれは同時に次の問題も孕んでいたはずだ。かつて「特定の目的のために使用されている空間から、他の可能性を導き出すこと」をひとつの核としてインスタレーションの制作をおこなっていた彼にとって、未曾有のパンデミックに覆われて機能不全に陥った都市空間をどのように捉え直すことができるのか、という問題である。もはやマンハッタンはインスタレーションを設置しなくとも従来と同じような意味では特定の目的のために使用されることがなくなってしまった。街路も公園も不要不急の人間が存在していてはならない空間となった。ではインスタレーションも意味を失ったのだろうか。そうではない。むしろコロナ禍で空間はこれまでとは異なる新たな目的に資するように強固に方向づけられてしまったのだ。不要不急の人間が存在することのできない空間には自由もオルタナティヴな可能性もあり得ない。それは他の可能性を覆い隠す動きでさえある。

 そのように考えるならば、マンハッタンで録り溜めたフィールド・レコーディングをアルバム制作に使用したことは、録音された空間の響きから「他の可能性を導き出す」ためのひとつの手段だったと言うこともできるだろう。だがケスラーは単にロックダウン下のマンハッタンの音環境を使用するだけではなく、東京・渋谷の富ヶ谷公園やウクライナ・キエフのペチェールシク大修道院、またはクロアチア・ムリェト島のオデュッセウス洞窟、さらには中国・深圳の華強北電気街など、2019年以降に録音してきた世界各国のサウンドスケープを使用しているのだ。そしてアルバムでは子供の掛け声や教会での合唱、鳥の鳴き声、流れる水の響き、親子の会話など音源が判別できるサウンドがある一方で、大部分は具体的に録音された場所や状況を特定することが困難なノイズとなっている。それはパーカッションの即物的な響きとほとんど渾然一体となっていると言ってもいい。限りない加速と静止に近い緩慢さの両端から発生する音に美学を見出すケスラーにしてみれば、ここにはさまざまな時間感覚で流れる空間のサウンドスケープが何層にも折り畳まれていると言うこともできるのではないか。そしてそれらのフィールド・レコーディングを取り巻くように楽器演奏によるビートがもたらす音楽的な時間もまた流れている。ビートという点では『Icons』は全体的に実に緩やかで、ダウナーな印象さえもたらすミニマルでアンビエントな音楽だ。そのためともすると低速方向に振り切っているように聴こえるかもしれないが、おそらく本盤はケスラーのこれまでの作品のなかでももっとも豊富な種類の時間感覚が多層的に織り込まれたアルバムとなっていることだろう。

 『Icons』が醸し出すダウナーな雰囲気は、マンハッタンで孤立した状態で制作していたことと無関係ではないはずである。これはケスラーに限らず多くのミュージシャンにも言えることだが、一時的にせよライヴ・スペースが閉鎖されることで他者とコミュニケーションを取るためのフィジカルな空間を失うと、必然的に内省の時間が増えるものだ。そのことがどのぐらい深く関わっているのかは定かではないものの、少なくとも本盤はケスラーにとって極めてプライベートなアルバムでもある。収録楽曲中もっとも異色と言うべき4曲目の “Daily Life” で、旧ソ連出身の文化批評家でケスラーの妻でもあるアンナ・カチヤンが客演しているからだ。女声のポエトリー・リーディングが続くこの楽曲で、ケスラーのドラム演奏は靄のようにくぐもった響きの中に沈んでおり、ほとんどミュジーク・コンクレートと化した音楽内容は続く5曲目がケスラー流のパルス的ドラミングが聴かれる “Rot Summer Smoothes” であることも相まってより一層際立っている。そのセンスはやはり単なるドラマー/パーカッショニストではなく、より広くアーティスト/コンポーザーと呼ぶべきものだ。そして実はケスラー自身、自らを「ドラマーだとは思っていない」と明言したことさえあるのだった。『Stadium』のリリース後、まだパンデミックが到来するとは誰もが予想だにしなかった2019年のインタヴューで彼は次のように語っている。

 正直なところ、私は自分のことを第一にドラマーだとは思っていません。コンポーザーでありアーティストだと思っていて、ドラムは演奏するときに使う楽器なんです。ドラムを演奏しなければならないという義務感もありません。そのおかげで、必ずしもドラマーとしての役割に囚われることなく演奏することができるようになったと思います。つまり、ドラマーとしての役割を果たすことはあるにせよ、ドラムという楽器の遺産に参加しなければならないという義務感はありませんし、それは最初から私のアティテュードだと思っています。******

 ケスラーが卓越したドラマー/パーカッショニストであることは疑いない。それはジョー・マクフィーとのデュオ作『Ithaca』(2012年)やジョン・ブッチャーとのデュオ作『First Meeting - #8』(2021年)など、フリー・ジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの世界で活躍する即興演奏家とのセッションにもはっきりと刻まれている。だが同時に、彼は最終的にドラマーであることを目的として活動しているわけではないのだ。それはこうも言い換えられるだろう。すなわちドラムを用いた表現から、あらかじめ決められた目的とは異なる別の可能性を導き出すかのようにして音楽を紡ぎ出しているのだと。その結果コロナ禍で生まれ落ちたひとつの録音芸術がマルチプルな速度が埋め込まれた『Icons』なのである。そしてケスラーが、フリー・ジャズやサウンド・アート、現代音楽、あるいは電子音楽やアンビエント・ミュージックなど、さまざまなジャンルとの関わりを持ちながら、そのどこにも完全には属すことがないということも同様のアティテュードのもとにある。彼にとってこうした諸々のジャンルと関わることは、そのジャンルの正統性に奉仕するためではなく、あくまでも創作活動におけるひとつの手段として、あらかじめ定められた目的とは異なる別の可能性を見出すために降り立つ場所としてあるのだろう。そして楽器にしてもジャンルにしても、革新者というのはいつもこのようにまるで別の文脈からトリックスターのようにやってきて、あらぬ方向へと飛び去るときにはこれまでにない地殻変動をもたらしてしまっているものなのだ。


* Marc Masters "How Playing Drums in Clubs Helped Eli Keszler Make His New Album" Vice, 1st December 2016. https://www.vice.com/en/article/9avzvd/eli-keszler-last-signs-of-speed-feature-interview
** Steph Kretowicz "Turning the Manhattan Bridge into a piano" Dazed & Confused, 8th October 2013. https://www.dazeddigital.com/music/article/17491/1/turning-the-manhattan-bridge-into-a-piano
*** Michael Barron "Space, Speed, Stasis" Frieze, 10th February 2017. https://www.frieze.com/article/space-speed-stasis
**** Marc Masters "How Playing Drums in Clubs Helped Eli Keszler Make His New Album".
***** 『Icons』プレスリリースより。
****** "An Interview with Eli Keszler" Sunhouse, 30th August 2019. https://sunhou.se/blog/eli-keszler-interview/

interview with 食品まつり a.k.a foodman - ele-king

 早口である。食品まつりはとにかく早口である。同じ副詞を繰り返しながら異なる内容に切り替わっていくしゃべりはさながらジュークにも等しい。ジュークみたいにしゃべるからジュークをつくるようになったのか。それともジュークをやっているうちに話し方もジュークみたいになったのか。副詞を多用せず、主語と述語の結びつきをもう少し明確にすれば黒柳徹子のようなしゃべり方になるのかもしれないけれど、そのようにする必要は感じられない。黒柳徹子のようにしゃべると音楽性が変わってしまう気がするということもあるけれど、慌てたようにしゃべり、人と話をするときに焦りがちな食品まつりが、今回のように「やすらぎ」というコンセプトを掲げることには自然と説得力を感じるからである。ジュークなのに「やすらぎ」。このような矛盾した命題をクリアーしていく、その特異な音楽性。あるいは変革の予感。そして、何よりも食品まつりはいま、日本のアンダーグラウンドから世界に向けて独自の音楽的ヴィジョンを発信し、日本からオリジナルな音楽が生まれるという実績を積み重ねている最中なので、黒柳徹子にかまけているヒマはないのである。サン・アロウのレーベルからリリースされた『ARU OTOKO NO DENSETSU』から2年10ヶ月、〈ハイパーダブ〉から新作をリリースした食品まつりに換気のいい部屋で話を訊いた。

コロナになって、ライヴもあまりできなくなって〔……〕深い意味もなくて、アジフライをSNSにアップしたりして、そういう日常の楽しみの比重が大きくなってきたというかな。身の回りの楽しみというか。

チャレンジャーですよねー。

食品まつり(以下、食まつ):そう言っていただけると。

真価がわかるのは2~3年後かなという気がするぐらい、戸惑いもあります。

食まつ:ああ、そんな。

こんなに変えちゃうものかなという……思い切りが良すぎて。

食まつ:はい。

これは制作期間は? 『ARU OTOKO NO DENSETSU』が終わってから?

食まつ:そうですね。『ARU OTOKO』が終わって、制作をはじめたのが去年の7月ぐらいからなんですけど、だいたい1ヶ月ちょいぐらい。

早いんですね。『EZ MINZOKU』はコンセプトを決めてつくり込んだもので、『ARU OTOKO』は何も決めないで思いつくままにつくったということでしたけど、今回は?

食まつ:今回はコンセプトがあって、まず音的な面は、自分が20代前半にギターとパーカッションで友だちと名古屋の路上で演奏していた時期がけっこうあったんですけど、友だちがギターをじゃかじゃか鳴らして、僕がそれに合わせてパーカッションというか、小さなタイコを合わすみたいな。そんな感じでやっていて、たまに自作の曲もやったりして、あんま考えもナシに路上で遊んでただけなんですけど、お酒を飲みながらやっているとセッションみたいになって、パカパカやってると通りすがりの酔っ払いも入ってきたりして。

(笑)。

食まつ:それが楽しかったという記憶があって。そんな大して上手くもないんですけど、やっているうちにトランス感が産まれる気がして。

トランスということは、人が聞いてるとかじゃなくて……

食まつ:自分たちがただ楽しくなって。上昇していく感じになって。それが面白いなって。で、これを打ち込みでやったら面白いんじゃないかなというアイディアはけっこう前からあったんです。そういうのがボンヤリとあって。それがひとつ。で、コロナになって、ライヴもあまりできなくなって、最初はちょくちょく名古屋のクラブには遊びに行っていたんですけど、そういう機会もなくなって。

うん。

食まつ:で、家の周りとかしか行くところがなくなって、自分は名古屋の外れに住んでるんですけど、その辺をうろうろしてたら、高速道路の入口があって、パーキング・エリアに裏から入れるというのを発見したんですね。「裏から入れるじゃん」と思ってパって入って、で、食堂があったんで、ちょっと入ってみようと思って、なんとなく頼んだのがアジフライで……

あー、ツイッターであげまくってましたね。

食まつ:「アジフライ、美味しい」ってなって、そこからハマっちゃって。週5ぐらいの勢いでパーキング・エリアに行っちゃって。

週5(笑)。

食まつ:そう。で、まあ、深い意味もなくて、アジフライをSNSにアップしたりして、そういう日常の楽しみの比重が大きくなってきたというかな。身の回りの楽しみというか。

今回のアルバムで意識したのは全曲同じように聞こえるということなんですよ。〔……〕自分の好きなアルバムというのは、似た感じの曲が並んでるのが多いなというのがあって。ベーシック・チャンネルとか。

なるほどコロナの影響なんですね。

食まつ:そうですね。そっから入っていって、そんなことやってるうちに、やっぱアルバムをつくんなきゃいけないなってなって。なんとなくボンヤリと自分の中で2~3年に1枚つくんなきゃいけないかなというのがあって。

けっこう空きましたもんね。

食まつ:そうなんですよ。それでパーカッションとギターのアイディアと、今回、いろいろと日常で経験した楽しいことを合わせた感じは面白いかなって。

20代前半に感じたことを振り返るというノスタルジーではなく?

食まつ:そうですね。ギターとパーカッションを使うということだけ決めて。

確かに “Yasuragi” “Shiboritate” “Parking Area” “Minsyuku” といったあたりはギターありきの曲だと思いました。

食まつ:そうですね、ギターのじゃかじゃかした感じやパキパキした感じで。

自分で弾いて?

食まつ:いや、プラグ・インとサンプリングを分解して組み替える、みたいな。自分ではぜんぜん弾けないので(笑)。押尾コータロー、ヤバいなとかも思ってたりしたので。バカテクの。

全部、リズム・ギターですよね。リズム・ギターに対する強い関心が?

食まつ:そうですね。まさにリズム・ギターですね。

『ARU OTOKO』がすごくいいと思っていたので、最初は「え?」と思ったんですけど……

食まつ:(笑)。

一番違うのはなんだろうと思ったら、メロディがなくなってるんですね。シンセが入ってなくて、そのせいなのか、シュールな感じがしないと思ったんですよ。『ARU OTOKO』にあった凄みがなくなって、即物的になってるんだと。音だけが置かれていて、精神的な部分を膨らませる気がないなって(笑)。

食まつ:かもしれないですね。音自体はフィーリングでつくってるだけだったんですけど、今回のアルバムで意識したのは全曲同じように聞こえるということなんですよ。

全部同じ? そうだったかなあ(笑)。

食まつ:そういうイメージだったんですよ(笑)。

自分ではそうなんだ? “Sanbashi” はまったく違うと思うけど。

食まつ:ああ、あれはそうですね(笑)。自分の好きなアルバムというのは、似た感じの曲が並んでるのが多いなというのがあって。ベーシック・チャンネルとか。大体、似た感じじゃないですか。

一堂:(笑)

パラノイアックにやりたいんだ?

食まつ:今回は統一感を持たせたくて。『ARU OTOKO』がいろんな世界に行ってたんで、つくってる期間も今回は短めだったし、夏だったので、汗かきながらいろんな場所に行って集中してつくっていたということもあるのかなって。記憶としては曲をつくってるというより汗だくになって自転車で走ってるという記憶の方が残ってるんですよ。めちゃくちゃ日焼けして。曲つくってるのに、肌が黒いっていう。

一堂:(爆笑)

食まつ:「どういうこと?」っていう。

いいじゃないですか(笑)。

食まつ:体も引き締まってきて(笑)。つくりながら面白いなって思ってて。

コロナっぽくないですねー。

食まつ:そうですね。健康的になって。

僕は、今回はコンセプトがあるとしたら日本の伝統的なリズムをテーマにしたのかなと思ったんですよ。

食まつ:それに関してはなんも考えてなくて。

そうなんだー。“Michi No Eki” がお経を読むときのリズムに聞こえたり、“Numachi” はまた三三七拍子やってるなーとか、“Food Court” は聴くたびに印象が変わるんだけど、チンドン屋っぽく聞こえたりね、〈ハイパーダブ〉からリリースするにあたって日本のリズムを海外のリスナーに意識させてやろうと考えたのかなって。

食まつ:無意識に出たのかもしれないですけど、手癖というか、自分がよく使うパターンというか、あと、けっこう、間(ま)を意識したところはあったかもしれないです。

日本のリスナーよりもイギリスの人にはどう聞こえるのか興味あるというか。

食まつ:ああ、確かに。

コロナで困ってるミュージシャンは多いと思うんですけど、ユーチューブで楽器の弾き方や解説をはじめた人がたくさんいて、そのなかでロサンジェルスに住んでる日本人のジャズ・ドラマーの人が日本のリズムについて解説していた動画あったんですよ。

食まつ:はい。

いろんな国から来てる人たちと演奏する機会が多いから、みんな自分の国のリズムについて話すのに自分だけ日本のリズムがわかっていなかったと。悩んじゃったらしいんですよ、「お前の国のリズムは?」と訊かれて。

食まつ:なるほど。

それで、その人が見つけたのが千葉県のお寺でお経を読んでいる動画で、言われてみるとヘンなリズムなんですね。カカッカッカッ……みたいな。

一堂:(笑)

確かに面白いリズムなんですよ。西洋のリズムではないしね。食品さんもジュークから入って、洋楽のリズムでスタートを切ってるわけだから、日本のリズムを意識すると、今回の作品みたいになるのかなあと思って。

食まつ:ああ。そう言われるとそんな気もして来ますねえ。

でも、意識的ではなかったんですね。

食まつ:そうですね。日本のビートを意識したのは三三七拍子だけでした。つーか、あんまり意識してしまうと、そのままになってしまうというか。

パラパラとか阿波踊り的な。そこが日本的だなって。上半身だけで踊る感じ。

食まつ:そうかもしれないですね。

ベースを入れないせいもあると思うんだけど、そのことにはアンビヴァレンツな感情もあるんですけど(笑)。

食まつ:このアルバムをつくる前にUKの CAFE OTO っていうヴェニューがあって、ロックダウンで困っているミュージシャンを救済する意味もあるんですけど、そこがやってる〈タクロク〉というレーベルから去年、僕も「SHIKAKU」というEPを出していて。それがちょっと今回のアルバムの青写真的な意味もあって、カクカクとしたビートをつくりたいというコンセプトで。全体にカクカクしてて(笑)。それをつくったことがアルバムに影響してるなあと自分でも思うんですけど。

うん。「ODOODO」みたいなEPとはぜんぜん違いますよね。よくこんなにつくり分けられるなって。

食まつ:あれは〈マッド・ディセント〉から出てるし、もうちょい広い層に聞いてもらいたいなというものなので。あんまりやってなかったような曲もやってみたりして。ハウスとか。実験で。

そうでしたね。

食まつ:いままで聞いてなかった人からも「よかったよ」って声かけられたんですよ。

広がりがあったんだ。最後に入ってた “Colosseum” というのは何かのサンプリングなんですか。あのメロディは個人的にツボだったので。

食まつ:あれはサンプルを細かく切って並べる感じです。

ああ。じゃあ、ああいうメロディの曲があるわけじゃないんだ。

食まつ:そうですね。

でも、今回は『YASURAGI LAND』から完全にメロディをなくすと。それは初めから決めてたんですね。

食まつ:あんまり意識してなかったですけど、言われてみると確かにメロディはあんまりないか……

まったくないですよ。意識していないなんてスゴいなー。

食まつ:言われてみるとそうですね。

一堂:(笑)

食まつ:自転車で走ってたのが必死だったという記憶の方が濃くて。

一堂:(笑)

そうかもしれないけど、最後に家でトラック・ダウンとかするわけですよね。そのときに物足りないとは思わなかったと。

食まつ:そうですよね(笑)。

満足してるんですよね(笑)。

食まつ:そうすね(笑)。

一堂:(笑)

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「休んで下さい」という感じですね。座敷とかで寝転んでお茶でも飲んで……みたいな。

タイトルが「やすらぎ」じゃないですか。いま、脳内物質はドーパミンじゃなくてオキシトシン志向だというトレンドというか、傾向がありますけど……

食まつ:いや、なんか、「やすらぎランド」とかありそうじゃないですか。地方には。

東京以外の雰囲気は僕はぜんぜんわからないんだけど、そうなんだ?

食まつ:ありそうなんですよ。「やすらぎランド」って響きもいいし、あとまあ、ゆったりした曲もあるし。だったら『YASURAGI LAND』かなあって。

実際に「やすらぎランド」を建てちゃったらいいんじゃない?

食まつ:そうすね(笑)。

僕の印象だと東京の中心よりも、その周辺の方がシャレた名前を店につける気もするんだけど。「シャトレーゼ」とか。

食まつ:ああ、地方とか田舎の方ががんばっちゃうのかもしれないですね。

東京の方がダサい名前が多いような……名古屋だとなんのイメージもないんだけど。

食まつ:ああ。わけのわかんない名前の店もいっぱいありますよ(笑)。

まあ、でも、そのタイトルにするということは、「ここに来て安らいで下さい」ということなんですよね。

食まつ:「休んで下さい」という感じですね。座敷とかで寝転んでお茶でも飲んで……みたいな。

最初、タイトルだけ見たときに、『ARU OTOKO』からシンセが醸し出す雰囲気が受け継がれてるのかなと予想したんですよ。アンビエントっぽいような。でも、実際にはリズムがチャカポコ来たなっていう(笑)。

食まつ:確かにそうすね(笑)。

まあ、でも、それが和風のリズムに聞こえたところで、まったく違うアルバムだなと思って。それこそYMOが出てきたときに「テクノお神楽」と評されたことがあったんですよ。それに倣うと「ジュークお神楽」みたいだなあというか。実際にはどこもお神楽じゃないんだけど。

食まつ:ああ、なるほどー。

まあ、日本っぽいニュアンスがあるということですよ。でも、それで「ジューク感」があるのがスゴいというか。

食まつ:今回は割にあるかもしれないですね。

意識しなくても「和風が滲み出るのはいい」と、コムアイさんも理想のように言ってたけど。

食まつ:そうですね、意識的に出すんじゃなくて、やっているうちに自然に出るみたいなものはあるのかもしれないですね。そこの部分のコントロールは自分でも意識してるところで、無理に出そうとするとよくないから。

無理に出さないということは、日本の伝統的なリズムの音楽も聞いたりはしてるということ?

食まつ:詳しくはないですけど、割と好きで聴いたりはしてます。津軽三味線とか。

ああ、聞くんですね。“Michi No Eki” でフィーチャーされている Taigen Kawabe(ボー・ニンゲン)のヴォーカルも祝詞っぽく聞こえたりね。あれも偶然?

食まつ:歌い方はこちらから少し指示させてもらったりしたんですけど、メロディとかは自由にやってもらいました。あれは、歌が入ってからトラックはつくりかえたんですよ。

あ、そうなんだ。

食まつ:毎回、そうなんですよ。歌もの系は、歌に合わせてトラックは変えちゃうんです。

へー、そういうもんなんだ。

食まつ:毎回、そうすね。

細かいんですね。ちなみに物足りない面があるとすれば、全体にダイナミズムがもうちょっとあってもよかったかなというのはありますね。

食まつ:あー、海外のレヴューでは「ライト」とか「フュージョン」という風に書かれていたので、そういう風に聞こえるのかなとは思いました。「ジャズ・フュージョン」に聞こえるとか。

YMOに近づきましたね。

食まつ:(笑)確かに。最初にコード9にデモを送った段階で坂本龍一の『エスペラント』の雰囲気があると言われて。

ああ、それは素晴らしい。坂本龍一がやりきったと言ってたアルバムですね。あれはいい。

食まつ:それと、映画のサントラで、なんちゃらスカイ……

『リキッド・スカイ』?

食まつ:あ、そう、そう。そのふたつのフィーリングがあると彼は言っていて。

『リキッド・スカイ』ねー。なるほどね。

食まつ:『エスペラント』も聴いてみたらなるほどと思ったし、『リキッド・スカイ』もめちゃくちゃシンパシーを感じる音でしたね。ヘンな音がずっと鳴っていて。

わかる、わかる。映画は観ました?

食まつ:いや、観てないです。

映画も面白いよー。ロードショーで観たんだけど、監督が音楽もやっていて、これはヘンと思ってサントラを探したんですよ。コード9も面白い聞き方しているなあ。そもそも〈ハイパーダブ〉から出ることになった経緯は?

食まつ:デモを送ったっていう。ジュークをつくりはじめたきっかけが〈ハイパーダブ〉のDJラシャドだったし、ジェシー・ランザのリミックスをやったりして多少の交流もあったので。で、メールで送ったら、これいいじゃんていうことになったという。返事が早かったんですよ。

なるほど。どこにもない音をつくったという感じもあるし。

食まつ:いや、いや。

そういう野心はあるわけでしょ。

食まつ:毎回、それはそのつもりです。「これが自分です」という感じでつくろうと思ってて。

仲間がいない感じって、どんな気分?

食まつ:ほかにないものをつくりたいという気持ちは最初からずっとあるので……ずっと同じことをやっているというか。

アルバムはそうしようということですよね?

食まつ:そうです、そうです。

「ODOODO」や「DOKUTSU」といったEPはそこまでじゃないというか。

食まつ:そうですね。あの辺はライヴでやって反応が良かった曲を録音してる感じですね。ライヴでやる曲はあんまりアルバムに入れなかったりして。リズムがバシバシというか、ライヴとアルバムの印象は変えてるかもしれないです。

それだけアルバムは特別視してるということですよね。

食まつ:めちゃくちゃしてますね。洋服のブランドみたいに、コレクションというか、何年から何年までの方向性をアルバムが決めるという意味で自分のなかではいちばん重要ですね。

やっぱり陽気な要素もありつつ気持ち悪いというのがけっこう好きというか。ユーモアがあって、シリアスになりすぎないのが好きですね。

もう次に考えてることはあるんですか?

食まつ:やっぱりアフリカですかね。〈ニゲ・ニゲ〉の人たちも聴いてくれてるみたいなので。シンゲリのセットをやったこともあるんですよ。やっぱり陽気な要素もありつつ気持ち悪いというのがけっこう好きというか。ユーモアがあって、シリアスになりすぎないのが好きですね。

『YASURAGI LAND』を誰かにリミックスしてもらうとしたらどの辺が?

食まつ:ああー。考えてなかったなあ。誰だろう? 今まで自分の曲をリミックスしてもらうという経験が……

ない?

食まつ:1回だけありますかね。2012年に広島の CRZKNY(クレイジーケニー)さんていうジュークをやっている方が1曲だけやってくれたことがあって。

それだけですか? じゃあ、コード9にやってもらおう!

食まつ:そうですね。踊れる感じにしてもらうとか。

ぜんぜん違う感じの人がいいですよね。昨日の夜、それを考えていてオールタイチとか名前が浮かんじゃって、それじゃ同じになっちゃうなって。

食まつ:(笑)ちょっといま、思ったんですけど、ベースとかキックが入っているのを想像して聴いてもらうのもいいかなって。

頭で音を足す?

食まつ:そういう聞き方もできるかなって。そうすればいくらでも頭のなかでヴァリエーションがつくれるというか。やっぱり想像の余地を残したいなっていうのがあるんですよ。

70年代に、数寄屋橋に日立ローディープラザというライヴハウスというか、音楽教室みたいなハコがあって。

食まつ:ええ。

バンドが目の前で演奏するんですけど、聴いている人には全員、卓があって、自分の好きなミックスでそのライヴを録音してカセットで持って帰れたんですよ。ベースをカットしたい人はベースのメモリはゼロにしてしまうみたいな。

食まつ:へえー。

パンタ&HALの演奏を録音した覚えがあるんだけど、最初にひとりずつ楽器の音を鳴らしてくれるので、ギターとかドラムを自分の好きな音量に調節してね。誰も真剣にバンドを見ないから、演奏している人たちはやりにくかったらしいんだけど。オーディエンスはずっと卓と格闘してて。

食まつ:(笑)。

そういう感じで好きな感じで聴いて欲しいと。ちょっと違うか。

食まつ:すごいですね、それ。自分で揚げれる揚げ物屋さんみたい。

“Aji Fly” に繋げたな。

食まつ:それぐらい自由に聴いて欲しいのはありますね。こんだけスカスカなんで、ベースとキックを入れるだけですべての曲の印象が変わると思うんですよ。

そうですよね。最後に、課外活動が多くてぜんぜん追いきれてないんですけど、課外活動でやった自信作はなんですか?

食まつ:いろいろあるんですけど、アイドルで金子理江さんの、2017年に出た trolleattroll 名義のやつなんですけど、相対性理論の真部(脩一、現・集団行動)さんと一緒にやった “lost”(https://www.youtube.com/watch?v=qcTBIw8ux00 )ですかね。パーカッシヴな曲で、いま聴くと『YASURAGI LAND』に繋がるなって。メロディは真部さんなんですけど。あと、去年、釜山ビエンナーレっていう芸術祭があって、コロナの時期でもなんとか開催されて、10人のミュージシャンが曲を提供したんですけど、僕も参加して、それはけっこう好きですね。

そこでしか聴けない曲?

食まつ:レコードにもなってるんですけど、韓国語なんですよ。

調べてみます(……と言ったものの、さっぱりわからず)。

〈Hyperdub〉からの最新作『Yasuragi Land』発売を記念したリリース・パーティー
“Local World x Foodman - Yasuragi Land - Tokyo 2021”の開催が決定!

昼のコンサート(8月8日開催)とサウナと水風呂の2フロアに別れた夜のクラブ・ナイト(9月11日開催)の2部構成

名古屋在住のエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、食品まつり a.k.a foodman。〈Hyperdub〉より最新作『Yasuragi Land』を発売したことを記念し、リリース・パーティーの開催が決定! 今回のイベントはクラブ&モードなアドベンチャー・パーティ Local World と SPREAD での共同開催となる。土着、素朴、憂いをテーマに南は長崎、北は北海道、Foodman に纏わるアーティスト含む全国各地からフレッシュな全20組が集まる昼のコンサート(8月8日開催)とサウナと水風呂の2フロアに別れた夜のクラブ・ナイト(9月11日開催)の2部構成、2021年の湿度と共に夏のボルテージを上げるサマー・イベント。

Local World x Foodman - Yasuragi Land - Tokyo 2021

SUN 8 AUG Day Concert 16:00 at SPREAD
ADV ¥3,300+1D@RA *LTD70 / Club Night DOOR ¥1,000 OFF

LIVE:

7FO
cotto center
Foodman
machìna
NTsKi
Taigen Kawabe - Acoustic set -

DJ: noripi - Yasuragi set -

SAT 11 SEP Club Night 22:00 at SPREAD + Hanare
ADV ¥2,500+1D@RA *LTD150 / DOOR ¥3,000+1D / U23 ¥2,000+1D

- 70人限定 / Limited to 70 people
- 再入場可 ※再入場毎にドリンク・チケット代として¥600頂きます / 1 drink ticket ¥600 charged at every re-enter

・サウナフロア@SPREAD

LIVE:
Foodman
JUMADIBA & ykah
NEXTMAN
Power DNA
ued

DJ:
Baby Loci [ether]
D.J.Fulltono
HARETSU
Midori (the hatch)

・水風呂フロア@Hanare*

LIVE:
hakobune [Tobira Records]
Yamaan
徳利

DJ:
Akie
Takao
荒井優作

artwork: ssaliva

- Hanare *東京都世田谷区北沢2-18-5 NeビルB1F / B1F Ne BLDG 2-18-5 Kitazawa Setagaya-ku Tokyo
- 150人限定 / Limited to 150 people
- 再入場可 ※再入場毎にドリンク・チケット代として¥600頂きます / 1 drink ticket ¥600 charged at every re-enter

食品まつり a.k.a foodman

名古屋出身の電子音楽家。2012年にNYの〈Orange Milk〉よりリリースしたデビュー作『Shokuhin』を皮切りに、〈Mad decent〉や〈Palto Flats〉など国内外の様々なレーベルからリリースを重ね、2016年の『Ez Minzoku』は、海外は Pitchfork のエクスペリメンタル部門、FACT Magazine、Tiny Mix Tapes などの年間ベスト、国内では Music Magazine のダンス部門の年間ベストにも選出された。その後 Unsound、Boiler Room、Low End Theory に出演。2021年7月にUKのレーベル〈Hyperdub〉から最新アルバム『Yasuragi land』をリリース。Bo Ningen の Taigen Kawabe とのユニット「KISEKI」、中原昌也とのユニット「食中毒センター」としても活動。独自の土着性を下地にジューク/フットワーク、エレクトロニクス、アンビエント、ノイズ、ハウスにまで及ぶ多様の作品を発表している。

Local World

2016年より渋谷WWWをホームに世界各地のコンテンポラリーなエレクトロニック/ダンス・ミュージックのローカルとグローバルな潮流が交わる地点を世界観としながら、多様なリズムとテキスチャやクラブにおける最新のモードにフォーカスし、これまでに25回を開催。

Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 -外伝- w/ Machine Girl
Local X5 World Tzusing & Nkisi
Local X6 World Lotic - halloween nuts -
Local X7 World Discwoman
Local X8 World Rian Treanor VS TYO GQOM
Local X9 World Hyperdub 15th
Local XX World Neoplasia3 w/ Yves Tumor
Local XX0 World - Reload -
Local XXMAS World - UK Club Cheers -
Local World x ether

https://localworld.tokyo

イベント詳細はこちら
Day Concert: https://jp.ra.co/events/1452674
Club Night: https://jp.ra.co/events/1452675

UNKNOWN ME - ele-king

 毎日こうも過酷な暑さがつづくと、あの涼しかった音空間が猛烈に恋しくなってくる。

 今春、LAの〈Not Not Fun〉から初のLP『BISHINTAI』を発表した UNKNOWN ME。ユニットとしての知名度はまだそれほどないかもしれないが、やけのはら、P-RUFF、H.TAKAHASHI の3人と、ヴィジュアル担当の大澤悠大からなるアンビエント・プロジェクトである。ヴィジブル・クロークス以降のアンビエント/ニューエイジの流れとリンクしつつ、その更新を試みているグループと言っていいだろう。6月27日、アルバムのリリース・パーティが開催されるというので足を運んできた。場所は神宮前 Galaxy。食品まつり a.k.a foodmansatomimagae、Chee Shimizu と、かなり豪華な面子がそろった。

 階段をくだり地下のエントランスを抜けると、ひんやりと冷えた空気が漂っている。すでに satomimagae のパフォーマンスははじまっていた。30~40人ほど集まっていただろうか、にもかかわらず、下手したら空調の音まで聞こえかねないほど会場は静まりかえっている。耳に浸透するかなしげなギターの音と、澄んだ satomimagae のヴォーカル。〈RVNG〉から出たすばらしい新作でも独自の静けさを表現していた彼女だが、ライヴでは一層そのサイレンスが際立って聞こえる。音が鳴っているのに、サイレンス。おかしな話だが、ほんとうにそうとしか形容のできない体験なのだ。
 最後の曲が終わると、一気に会場が談話に包まれる。つなぎDJは Chee Shimizu。おとなしすぎず、主張しすぎず、絶妙なあんばいのアンビエントやオブスキュアなトラック群が空間を彩っていく。

 ふた組めは、〈Hyperdub〉からの新作を控える食品まつり。ここでオーディエンスが50人くらいまで増える。アンビエントでスタートしたセットはほぼ低音を用いることなく、ちゃかぽこした上モノで引っぱっていく感じで、これまたどこか涼しげなサウンド。じょじょに実験性が高まっていき、後半になるとダンサブルな反復が飛び出しパーカッションの饗宴を迎えるが、最後はやはり静けさを強調した電子音で〆。「聴きこむ/踊る」という二項対立を宙吊りにするかのようなセットは、この満足には踊れない時代、身体はどう音に反応すべきなのかという問いを提起しているかのようだった。やはり食品まつり、あなどれない。

 ふたたびつなぎDJをはさんで、いよいよ主役の UNKNOWN ME。4人全員がワイシャツとネクタイを着用して登場、ずらっと横一列に並ぶ。きれいなシンセ音、水やひぐらしなどの具体音が入れかわり立ちかわり登場し、白昼夢のごとき音空間が生成されていく。これは、涼しい。基本的にアルバム収録曲が演奏されていたはずで、ほとんどがノンビートなのだが、ビートはなくともリズムはあり、ここでもコロナ時代における身体性について考えさせられることになる。
 ヴィジュアルも手がこんでいて、東京タワーや駅などのランドマークと、山や川での釣りの風景などが代わるがわる映し出されていく。文明と自然、都市的なものとロハス的なもの、それらの共存なのか対比なのかはわからないが、やはりなにかを投げかけてくる映像表現だった。
 最後はアルバムにも参加していた MC.sirafu、中川理沙、食品まつりも加わり大団円……手ちがいにより、食品まつりが2曲のあいだほぼなにもできず棒立ち状態に陥るアクシデントはあったものの、うまい具合に電子ノイズの即興でイヴェントは幕を下ろした。

 こちらがそういう構えでいたからかもしれないが、3組ともそれぞれのやり方でコロナ禍におけるひとの集合のあり方、身体性の新しいかたちを探っているように感じられた。大声で騒ぐのではなく、といって孤独にストイックに音に没入するのでもない、そのはざまを探るようなライヴ。
 このときは「まん防」だった。その後四度めの非常事態宣言が発せられ、醜悪にもオリンピックが強行開催されようとしているいま思い返してみると、この日は地獄のなかにさっと吹きこむ、一陣の涼風のようなイヴェントだった。

食品まつり a.k.a foodman - ele-king

〈Hyperdub〉からニュー・アルバム『Yasuragi Land』を送り出したばかりの食品まつり。同作の発売を記念し、リリース・パーティが開催されることになった。昼の部(8月8日開催)と、「サウナ」「水風呂」の2フロアにわかれた夜の部(9月11日開催)の2部構成という、ユニークな開催方式です。食品まつりとゆかりのあるアーティストを含む全20組がかけつける……これは行きたい!

Local World x Foodman - Yasuragi Land - Tokyo 2021

世界で最もピースな電子音楽家FoodmanによるUKの名門〈Hyperdub〉からの最新アルバム『Yasuragi Land』のリリパがクラブ&モードなアドベンチャー・パーティLocal WorldとSPREADにて共同開催!

土着、素朴、憂いをテーマに南は長崎、北は北海道、Foodmanに纏わるアーティスト含む全国各地からフレッシュな全20組が集まる昼のコンサートとサウナと水風呂の2フロアに別れた夜のクラブ・ナイトの2部構成、2021年の湿度と共に夏のボルテージを上げるサマー・イベント。

■SUN 8 AUG Day Concert 16:00 at SPREAD

ADV ¥3,300+1D@RA *LTD70 / Club Night DOOR ¥1,000 OFF

LIVE:
7FO
cotto center
Foodman
machìna
NTsKi
Taigen Kawabe - Acoustic set -

DJ: noripi - Yasuragi set -

・70人限定 / Limited to 70 people
・デイ・コンサートの前売チケットで9/11クラブ・ナイトのドア料金が1000円割り引かれます / Advance tickets for the day concert will get you 1000 yen off the door price for the club night on 11th Sep
・再入場可 ※再入場毎にドリンク・チケット代として¥600頂きます / 1 drink ticket ¥600 charged at every re-enter


■SAT 11 SEP Club Night 22:00 at SPREAD + Hanare

ADV ¥2,500+1D@RA *LTD150 / DOOR ¥3,000+1D / U23 ¥2,000+1D

サウナフロア@SPREAD

LIVE:
Foodman
JUMADIBA & ykah
NEXTMAN
Power DNA
ued

DJ:
Baby Loci [ether]
D.J.Fulltono
HARETSU
Midori (the hatch)

水風呂フロア@Hanare*

LIVE:
hakobune [tobira records]
Yamaan
徳利

DJ:
Akie
Takao
荒井優作

artwork: ssaliva

・Hanare *東京都世田谷区北沢2-18-5 NeビルB1F / B1F Ne BLDG 2-18-5 Kitazawa Setagaya-ku Tokyo
・150人限定 / Limited to 150 people
・再入場可 ※再入場毎にドリンク・チケット代として¥600頂きます / 1 drink ticket ¥600 charged at every re-enter

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EVENT PLAYLIST
https://soundcloud.com/meltingbot/sets/local-world-x-foodman-yasuragiland

前売リンク
Day Concert https://jp.ra.co/events/1452674
Club Night https://jp.ra.co/events/1452675

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食品まつり a.k.a foodman

名古屋出身の電子音楽家。2012年にNYの〈Orange Milk〉よりリリースしたデビュー作『Shokuhin』を皮切りに、〈Mad decent〉や〈Palto Flats〉など国内外の様々なレーベルからリリースを重ね、2016年の『Ez Minzoku』は、海外はPitchforkのエクスペリメンタル部門、FACT Magazine、Tiny Mix Tapesなどの年間ベスト、国内ではMusic Magazineのダンス部門の年間ベストにも選出された。その後Unsound、Boiler Room、Low End Theoryに出演。2021年7月にUKのレーベル〈Hyperdub〉から最新アルバム『Yasuragi land』をリリース。Bo NingenのTaigen Kawabeとのユニット「KISEKI」、中原昌也とのユニット「食中毒センター」としても活動。独自の土着性を下地にジューク/フットワーク、エレクトロニクス、アンビエント、ノイズ、ハウスにまで及ぶ多様の作品を発表している。

[最新作リリース情報]
食品まつり a.k.a foodman - Yasuragi land [Hyperdub / Beatink]
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11814

Local World
2016年より渋谷WWWをホームに世界各地のコンテンポラリーなエレクトロニック/ダンス・ミュージックのローカルとグローバルな潮流が交わる地点を世界観としながら、多様なリズムとテキスチャ、クラブにおける最新のモードにフォーカスし、これまでに25回を開催。

Local 1 World EQUIKNOXX
Local 2 World Chino Amobi
Local 3 World RP Boo
Local 4 World Elysia Crampton
Local 5 World 南蛮渡来 w/ DJ Nigga Fox
Local 6 World Klein
Local 7 World Radd Lounge w/ M.E.S.H.
Local 8 World Pan Daijing
Local 9 World TRAXMAN
Local X World ERRORSMITH & Total Freedom
Local DX World Nídia & Howie Lee
Local X1 World DJ Marfox
Local X2 World 南蛮渡来 w/ coucou chloe & shygirl
Local X3 World Lee Gamble
Local X4 World 南蛮渡来 -外伝- w/ Machine Girl
Local X5 World Tzusing & Nkisi
Local X6 World Lotic - halloween nuts -
Local X7 World Discwoman
Local X8 World Rian Treanor VS TYO GQOM
Local X9 World Hyperdub 15th
Local XX World Neoplasia3 w/ Yves Tumor
Local XX0 World - Reload -
Local XXMAS World - UK Club Cheers -
Local World x ether

https://localworld.tokyo

label: BEAT RECORDS / Hyperdub
artist: 食品まつり a.k.a foodman
title: Yasuragi Land
release date: 2021/07/09 ON SALE
* 輸入盤LPは8月中旬発売

国内盤特典:ボーナストラック追加収録 / 解説書封入
CD予約: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11814
LP予約: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11815

〈PAN〉 × 〈Hakuna Kulala〉 - ele-king

 ベルリンの〈PAN〉と、ウガンダはカンパラの〈Hakuna Kulala〉(〈Nyege Nyege〉のサブレーベル)が手を組んだ。『KIKOMMANDO』と題された新プロジェクトは、カンパラのシーンを新たな角度から切りとるもので、音源に加え写真やMVもその一環に含まれる模様。
 8月6日にリリースされるミックステープには Blaq Bandana や Ecko Bazz、Swordman Kitala や Biga Yut といった〈Hakuna Kulala〉のアーティストが参加。〈PAN〉の STILL が全曲のプロデュースを担当している。STILL ことシモーネ・トラブッキは、かつてザ・バグが先鞭をつけたエレクトロニック・ミュージックとダンスホールの折衷を継承する音楽家で、2017年の『I』が話題となった人物だ。
 それは対話だった、とトラブッキは今回のプロジェクトについて述べている。「シンガーたちに自信を持ってもらえるような音楽的土台をつくると同時に、わたしは彼らに挑戦もした。一緒に仕事をすることはアイディアを加速させ、発明というものがひとりだけでできるものではないことを明らかにする。それこそ『KIKOMMANDO』がわたしにとってアルバムでなく、ミックステープである理由だ」とのこと。
 現在 Ecko Bazz の “Ntabala (Rolex Riddim)” が公開中。他の曲も楽しみです。

V/A (Prod. by STILL)
Title: KIKOMMANDO
Format: Digital mixtape / Book
Label: PAN / Hakuna Kulala
Cat. No: PAN 124 / HK029
Release date: 6 August 2021

01. Blaq Bandana – Nkwaata (Prod. by STILL)
02. Ecko Bazz – Ntabala (Rolex Riddim) (Prod. by STILL)
03. Swordman Kitala – Rollacosta feat. Omutaba (Prod. by STILL)
04. Biga Yut feat. Florence – Ntwala (Prod. by STILL)
05. Biga Yut – Tukoona Nalo (Prod. by STILL)
06. High Cry Interlude (Prod. by STILL)
07. Jahcity – Njagala Kubela Nawe (Prod. by STILL)
08. Biga Yut – Plupawa (Prod. by STILL)
09. Winnie Lado – The Race (Prod. by STILL)
10. Florence – Bae Tasanze (Prod. by STILL)
11. Jahcity – Tukikole Nawe feat. Omutaba (Prod. by STILL)
12. Winnie Lado – Ahlam Wa Ish السماء هي الحد (Prod. by STILL)

追悼ジョン・ハッセル - ele-king

“悪行と善行の観念を越えたところに平原が広がる。我々はそこで会おう”  ジャラール・ウッディーン・ルーミー(13世紀ペルシャの神秘主義詩人)

 ジョン・ハッセルに電話インタヴューしたのはちょうど1年前の昨年7月だった

 実はそのとき、もしかしたらこれが最後の取材になるんじゃないか……という予感があった。彼の問答には、明晰さのなかにも随所で精神的衰弱が垣間見られたから。取材3ヶ月前の同年4月には、ジョン・ハッセルの生活サポートのためのファンドが立ち上がったことをブライアン・イーノがツイートしていたが、当時ハッセルは、骨折治療とコロナ禍での健康不安により生活が困窮していたという。昨年の新作『Seeing Through Sound』により、新たなリスナーを増やしていただけに、彼の逝去はあまりにも残念だ。

 件のインタヴュー記事では『Seeing Through Sound』のことだけでなく、過去のキャリアについてもかなり語ってもらった。彼の業績に関する総論的追悼文をここで書いても、インタヴュー記事の内容の繰り返しになってしまうので、ここでは、彼の音楽的基盤から枝葉まで、その具体例を聴きながら改めて全体像を把握することで、追悼文に代えさせていただく。

ジョン・ハッセルに多大な影響を与えた音楽家たち

1. Stan Kenton『This Modern World』(53年)

 ハッセルは1937年3月、米テネシー州メンフィスに生まれた。父親が大学時代に学生バンドで吹いていたコルネットを手にしたのが小学生の時。十代半ばになるとジャズに親しみつつ、ジュークジョイント(黒人向け音楽バー)にも通っていたという。とくに魅せられたのが、スタン・ケントンのビッグ・バンドだ。“プログレッシヴ・ジャズ”を標榜し、斬新なアンサンブルを展開したケントンの50~60年代の作品は、いま聴いても驚かされる。「第四世界」の種のひとつがこの奇妙なハーモニーとリズムのなかにはあった。ちなみに、デビュー当時のキング・クリムゾン(とくにイアン・マクドナルド)もケントンに絶大な影響を受けていた。

2. Karlheinz Stockhausen「Gesang Der Jünglinge (少年の歌)」(56年)

 ハッセルはNYなどでトランペットと作曲を学んだ後、妻のマーガレット(70年代に離婚後は、前衛専門のピアニスト、カトリーナ・クリムスキーとして活動)と共にドイツに渡り、現代音楽の大家カールハインツ・シュトックハウゼンに3年弱(64~66年)師事した。カンのイルミン・シュミットやホルガー・シューカイもクラスメイトだった。渡独前からシュトックハウゼンの「少年の歌」(ミュジーク・コンクレートと電子音楽を統合した初期の傑作)に心酔し、切ったり貼ったりのテープ・マニピュレーションを独自に試みていたというハッセルは、留学時代には、50年代米国ジャズ・ヴォーカル・グループ、ハイ・ロウズの作品をコラージュしたりもした。シュトックハウゼンの下で習得した電子機器の使い方やプログラミング、テープの切り貼り等の技術は、80年代以降の彼のサンプリング・ワークの土台になった。

3. Terry Riley『In C』(68年)

 「私は彼のことが大好きだったし、お互いの妻も含め、ひとつの家族のような関係だった」と語るように、ドイツから米国に戻ったハッセルがもっとも親しくつきあい、また影響も受けたのがテリー・ライリーだ。帰国したハッセルを待ち受けるように60年代後半の米国現代音楽界で沸騰しつつあったのが現代音楽のニュー・モード、ミニマリズムだが、そのブレイクスルーの象徴的作品であるライリー『In C』の初録音盤(68年)にはハッセルと妻マーガレットも参加している。

4. Pandit Pran Nath『Ragas』(71年) 

 ハッセルは、テリー・ライリーとともにミニマリズム・ムーヴメントを牽引していたラ・モンテ・ヤングのドローン・プロジェクト《Theater of Eternal Music(永久音楽劇場)》にも加わり(ヤングの74年のライヴ盤『The Theatre Of Eternal Music - Dream House 78'17"』に参加)、そこから導き出した「垂直の音楽」(時間軸に沿った旋律聴取ではなく、微細な音色や倍音などの感知を通して音の深奥まで下降し体得する音楽的アナザー・ヴィジョン)という概念を元に、やがて「斜めの音楽」という独自の世界を目指していった。その思考過程を土台固めしてくれたのが、すでにライリーとヤングが師事していたインド古典声楽の大家パンディット・プラン・ナートだ。ハッセルは72年、ヤング夫妻に同行してインドに赴き、ナートの下でインド古典声楽の修業をした。やがて、音のなかに曲線を描くナートの歌唱技術は、トランペットを共鳴管として歌わせるハッセルの演奏技法そのものとなっていった。ハッセルはナートから学んだことを「自分の音楽の中で最も大きなポジションを占める」と告白している。

5. Μiles Davis“He Loved Him Madly”(74年)

 ライリー&ヤングやパンディット・プラン・ナートと並びハッセルの表現にもっとも大きな影響を与えたのがエレクトリック期(60年代末期~70年代半ば)のマイルズ・デイヴィスだ。ピックアップを仕込んだマウスピースを歌うように響かせ、エンヴェロープ・フィルターなどで電気処理するというハッセルの演奏技法は、当時のマイルズのワウ・ペダルを参考にしたものであり、その技法は今日ニルス・ペッター・モルヴェルなどによってさらに発展している。ハッセルはいくつかのインタヴューでとくに愛着のあるマイルズの作品として『On The Coener』(71年)や『Live-Evil』(72年)などを挙げているが、音色やムードが最も近いのは『Get Up With It』のA面曲“He Loved Him Madly”だろう。これがハッセルのソロ・デビュー作『Vernal Equinox』に直接的に影響を与えたことは想像に難くない。

11枚で俯瞰するジョン・ハッセルの軌跡

1. Jon Hassell『Vernal Equinox』(77年)

 ジョン・ハッセルの名前と「第四世界」なる新コンセプトを一躍世界に広めたのは言うまでもなくブライアン・イーノとの連名で発表された『Fourth World Vol. 1 - Possible Musics』(80年)だが、そこで示された斬新なサウンド・プロダクションの大半、そして彼の表現の核である夢幻的官能性は既にこのソロ・デビュー作の中に十分すぎるほど認められる。キーワードの「第四世界」こそ明記されてはいないが、コンセプト自体はこの何年も前から彼の頭のなかにはあった。乱暴に言ってしまえば、本作にイーノがエレクトロニクスでトリートメントを加えたのが『Fourth World Vol. 1 - Possible Musics』だったのだ。米ピッチフォーク誌の「アンビエント・アルバム歴代ベスト50」リストでも47位に選出されているが、個人的にはベスト10に入れるべき作品だと思う。ハッセルは近年のインタヴューでこう語っている。「当時私は、電子技術を組み合わせた管楽器によってラーガとミニマリズムの相克を探求していた。最近、本作に内包された種子が自分にとっていかに重大なものだったかが改めてわかり、驚嘆した」

 録音は76年、トロントのヨーク大学エレクトロニク・メディア・スタジオ。参加しているのは、「永久音楽劇場」の仲間であり、人体の自律神経を用いた音楽作品 (バイオ・フィードバック・ミュージック) で一躍注目を集めていた実験音楽家デイヴィッド・ローゼンブーム、純正律や現代音楽的ガムランなどで80年代に有名になる実験音楽家ラリー・ポランスキー、パリから米国に移ったばかりのブラジル人パーカッション奏者ナナ・ヴァスコンセロスなど、実験音楽と民族音楽の両方を自在に行き来するクセ者ばかり。そしてエンジニアを務めたのは、80年代以降、ブライアン・イーノやダニエル・ラノワの右腕的コラボレイターとして、あるいはリアルワールド系作品のプロデューサーとして大活躍することになるマイケル・ブルック。当時パンク・シーンでギターを弾いていたブルックは、ここでのハッセルとの出会いをきっかけに、世界中の民族音楽に興味を持つようになったという。

2. Talking Heads“Houses In Motion”(80年)

 「こういう作品を待ち望んでいた」と絶賛したとおり、『Vernal Equinox』はブライアン・イーノに絶大な影響とインスピレイションを与えた。そしてハッセルもまた、イーノとの出会いをきっかけにポップ・ミュージック・シーンと関わり始めた。その最初のコラボ・ワークが、トーキング・ヘッズの傑作『Remain In Light』 への参加だ。アフリカ音楽のリズムを大胆に取り込んだ本アルバムへの賛辞“原始と電子の融合”は、そのままハッセルの「第四世界」のコンセプトでもある。翌年出たイーノとデイヴィッド・バーンの連名による『My Life In The Bush Of Ghosts』にはハッセルは参加しなかったが、そこで展開されたエスノ・エレメントのコラージュ・ワークは、元々はハッセルのアイデアであり、後年彼はインタヴューで「二人にパクられた」と恨み言をつぶやいている。

3. Jon Hassell『Aka / Darbari / Java - Magic Realism』(83年)

 ハッセルは、マレー半島の山岳少数民族セノイ族の夢理論をモティーフにした『Dream Theory In Malaya (Fourth World Volume Two)』(80年)を経て、この次作では「第四世界」上に「マジック・リアリズム」という新コンセプトを積み重ねた。ここでは、世界初のデジタル・サンプリング・キーボード「Fairlight CMI」を導入し、ピグミーのコーラスやセネガルのドラム、イマ・スマックのレコードなど様々なサウンド・エレメントを細分化、再構築している。サンプリング/コラージュやミニマリズム、インドのラーガなどから始まったハッセルの初期キャリアの、これが最高到達点だろう。

4. David Sylvian「Brillant Trees」(84年)

 ハッセルが参加したロック系作品のなかで、『Remain In Light』と並びもっとも有名かつ印象的なのが、デイヴィッド・シルヴィアンの初ソロ・アルバム『Brilliant Trees』だろう。全7曲中の2曲でトランペットを演奏。ハッセルの参加がどういう経緯だったのかは不明だが、本アルバムには元カンのホルガー・シューカイ(ハッセルとはシュトックハウゼンの同門)も参加しており、もしかしたらホルガー経由(推薦)だったのかもしれない。ちなみにカンにも「第四世界」とは似て非なる「E.F.S.(Ethnological Forgery Series=民族学的偽造シリーズ)」というコンセプチュアル・ワークがあった。

5. Kronos Quartet「Pano da costa (Cloth from the Coast)」(87年)

 クロノス・クァルテットがハッセルに委嘱した弦楽四重奏曲。クロノスのアルバム『White Man Sleeps』に収録。ハッセルをクロノスに紹介したのは、クロノスにたくさんの楽曲を提供しているテリー・ライリーである。ここでの演奏にはハッセルは参加していないが、楽曲自体はハッセルの世界そのものだ。おそらくここから発展したのだろう、クロノスの93年のアルバム『Short Stories』ではハッセルの師パンディット・プラン・ナートが歌った曲も入っている。

6. Jon Hassell/Farafina『Flash Of The Spirit』(88年)

 デビュー作『Vernal Equinox』で電子音楽家デイヴィッド・ローゼンブームにもンビラやタブラ等を担当させるなど、当初からパーカッションに強いこだわりを持っていたハッセルがブルキナファソの伝統音楽打楽器アンサンブル(7人編成)ファラフィーナとガップリ四つに組んだ作品。バラフォンやタマ、ジャンベなどが複雑に織り成すアフリカン・ポリリズムのなかをハッセルの電化トランペット/キーボードが蛇行する様は「第四世界」音楽のわかりやすいサンプルか。パーカッシヴな名曲としては、同年にジャン=フィリップ・リキエル他とイタリアでライヴ録音した「Pygmy Dance」(91年のオムニバス盤『Ai Confini / Interzone』に収録)もお勧めだ。

7. Les Nouvelles Polyphonies Corses With Hector Zazou「In La Piazza」(91年)

 フランスの前衛室内楽ユニット「ZNR」での活動を経て、80年代にはアフリカ他世界中の伝統音楽を独自に加工したキッチュなエスノ・ポップで名を馳せた才人エクトール・ザズー。なかでも人気が高いのが、コルシカ島のポリフォニー・コーラスを素材にしたアルバム『Les Nouvelles Polyphonies Corses Avec Hector Zazou』だ。ハッセルは3曲に参加。様々な声とトランペットがもつれ合いながら描くヒプノティックな曲線が美しい。

8. Jon Hassell & 808 State「Voiceprint」(90年) 

 ハッセルは都市のノイズに焦点を当てた90年のアルバム『City:Works Of Fiction』あたりからクラブ・ミュージックやヒップホップとも接近しはじめた。同年には『City:Works Of Fiction』のオープニング・ナンバー「Voiceprint」の808 Stateリミックス・ヴァージョンを含むミニ・アルバムと12インチ・シングル「Voiceprint」もリリース。後年にはリカルド・ヴィラロボスやアルカなどもハッセルをサンプリングしている。

9. Jon Hassell & Bluescreen『Dressing For Pleasure』(94年) 

 パブリック・エナミーをヴォーカル・サンプリングした『City:Works Of Fiction』以上にヒップホップ色濃厚な作品がブルースクリーン(DJを含む4人組)と組んだ『Dressing For Pleasure』だ。デューク・エリントンのエキゾティック・チューン“Bakiff”を含む細かいサンプリングで精緻に構成しつつ、全体を貫くのはブレイクビーツ。

10. Jon Hassell / I Magazzini「Temperature Variabili」(95年)

 ハッセルはライ・クーダー絡みの映画音楽にもいくつか参加しているが、『Sulla Strada』はイタリアの前衛劇団「イ・マガッツィーニ」の演目のための音楽集だ。アルバム全体にわたりハッセルが過去に試みてきた様々な技法やスタイルがちりばめられ、随時、イ・マガッツィーニの声もランダムに混入される。サウンド・スペクタクルとして非常にヴァラエティに富み、面白い作品だ。

11. Jon Hassell『Fascinoma』(99年)

 ナット・キング・コールのスタンダード・ナンバーとして有名な“Nature Boy”(モンド/エキゾティカ文脈で知られる奇人作曲家エデン・アーベの作)で幕を開け、デューク・エリントンのナンバーなどもカヴァした異色アルバム。ハーモナイザー等エフェクターなしの素ペット演奏も聴ける、一種のジャズ回帰/回顧作。しかしバンスリや木魚の音が突然出てきたり、「キャラヴァン」にタンブーラが妖しく絡みつく「Caravanesque」なんてのがあったりと、どこまでもハッセル・フィルターを通した幻想のジャズである。ジャズ・ピアニストのジャッキー・テラソンが全面参加し、プロデュース/ギターはライ・クーダー。

Sam Prekop - ele-king

 ザ・シー・アンド・ケイクサム・プレコップの最新EP、デジタルのみで配信されていた「In Away」が、日本限定でCD化されることになった。宇波拓によりCD盤専用のマスタリングが施されており、また完全未発表のボーナス・トラックも追加収録されているとのこと。これはフィジカルで持っておきたいアイテムです。

Sam Prekop(サム・プレコップ)
『In Away』(イン・アウェイ)

企画番号:Prekop-JP 1 / HEADZ 252(原盤番号:なし)
価格:1,800円 + 税(税込定価:1,980円)
発売日:2021年7月30日(金)※(配信の海外発売:2021年5月7日)
フォーマット:CD
バーコード:4582561395406
原盤レーベル:The Afternoon Speaker

1. In Away イン・アウェイ 5:23
2. Triangle トライアングル 3:54
3. Quartet カルテット 3:30
4. Community Place コミュニティ・プレイス 3:17
5. So Many ソー・メニー 4:52
6. Sunset サンセット 3:06

Total Time: 24:19

※ Track 6…日本盤のみのボーナス・トラック

Recorded and mixed in Chicago, February - April 2021 by Sam Prekop
All songs written by Sam Prekop
Mastered by Taku Unami
Photographs by Sam Prekop

A collection of recent tracks from my home studio, of which I've spent plenty of time in this past year or so! These pieces arrived in a similar fashion as the works on my last record "Comma". Basically culled from long rambling recording sessions where the more interesting elements hopefully emerge and present as starting points for further development. These five pieces are the most recent results of this process, I hope you enjoy and thanks for listening!
Sam

セルフ・タイトルの1stソロ・アルバムが永遠の名盤として再評価される中、The Sea and Cakeのフロントマン、サム・プレコップが、彼のインスト・ソロ作史上、最もポップでメロディアスな作品を日本のみでCD化。
Bandcamp以外、配信サービスの取り扱い無し、全曲CD用のマスタリングされ、完全未発表のボーナス・トラックも追加収録。
常に刺激的な電子音楽と美しい写真を追求し続けるサムの現在地がここにある。

昨年(2020年)夏に日本先行でリリースされた、最新ソロ・アルバム『Comma(コンマ)』(THRILL-JP 52 / HEADZ 247)が、彼のトレードマークでもある魅惑的なウィスパー・ヴォーカルを封印した、アナログ・シンセをメインに制作されたインスト・アルバムであったにも拘らず、高評価を獲得し(ピッチフォークも8点越え)、これまでのファン以外にも広くアピールしたザ・シー・アンド・ケイクのフロント・マン、サム・プレコップ。
1999年に発表された1stアルバム『Sam Prekop(サム・プレコップ)』(THRILL-JP 21 / HEADZ 42P)の日本での紙ジャケCD化に続き、Thrill Jockey盤でのLPのリプレスされることになり(Pale Pink盤の限定カラーLPもあり、間もなく日本のレコード・ショップにも並びます)、サムの新旧作品に注目が集まる中、(この1年ほど掛けて作られた)サムの自宅スタジオで今年の2月から4月の間に制作され、Bandcampのみで配信リリースされた最新音源(5曲入りEP)が日本盤のみでCD化されます。

近年海外でも再評価が進む清水靖晃、尾島由郎、吉村弘、イノヤマランド他の80年代の日本のニューエイジやアンビエントの名作群にもインスパイアされた『Comma』の延長線上にありながらも、ビートは控えめに、よりポップでメロディアスなサウンドに仕上がっており、サム本人の撮影による美麗なジャケット写真のイメージ通り、爽やかで透明感のある電子音楽集となっています。

自ら録音・ミックスを手掛けた、サムにとって初のセルフ・リリース作品で、日本盤のみ完全未発表の新曲「Sunset」をボーナス・トラックとして追加収録。
(CD化に際し、David Grubbsのコラボレーターでも知られる、HOSEの宇波拓によって、全曲リマスタリングされており、厳密にはBandcamp音源とも違っております)
ライナーノーツは、編著『シティポップとは何か』(河出書房新社)の刊行を控える、柴崎祐二が担当。
現在、Bandcamp以外、海外も含め配信サービスでの取り扱いの予定はございません。

Sam Prekop is an artist whose music is painted in hues all his own. Both solo and as part of The Sea and Cake, Prekop’s distinct and lithe compositions distill his ceaseless curiosity into bracingly sublime music. In Away follows Prekop’s 2020 LP Comma and takes the next steps into his new compositional approach to crafting more overtly rhythm-based modular synthesized pieces, deftly whittled into vivid pop prisms. Working this time with both modular synthesis and keyboard-based synths, Prekop obscures the line between architectural sequencing and subtle performances. The resulting pieces levitate effortlessly from delicate atmospheres to rippling dances with Prekop’s guiding hand gently leading each movement towards the stirringly unfamiliar.

The six buoyant pieces on In Away were developed through Prekop’s daily practice of manipulating new systems of modular synthesis, recording, and deep listening. Acting as a curator to his own museum of sounds, Prekop poured over hours of improvisations using different modular combinations to select compelling moments which could act as a framework for his arrangements. His unique approach to shifting texture and juxtaposing timbres then layered each frame with minute details and potent melody. The Buchla 208c scintillates and plucks with near-acoustic tones atop a bed of warm drones. Lightly sizzling percussion throbs beneath coursing cascades. Each moment strikes a meticulous balance between captivating surprise and gratifying outcome.

サム・プレコップは、自身の音楽を全て独自の色彩で描き出すアーティストです。ソロでも、The Sea and Cakeのメンバーの一員としても、プレコップの個性的でしなやかな作曲群は、彼の絶え間ない好奇心を刺激的で崇高な音楽に精製しています。『In Away』は、2020年に発売されたプレコップのLP『Comma』に続く作品で、彼の新しい作曲アプローチの次のステップとして、よりあからさまなリズム・ベースのモジュラー・シンセサイザーを使って、鮮やかでポップなプリズムを巧みに削り出した作品を制作しています。モジュラー・シンセシス(シンセサイザーによる音の合成)とキーボード・ベースのシンセサイザーの両方を使った今回の作品では、構築的なシーケンス(配列)と繊細なパフォーマンスの間の境界線が曖昧になっています。その結果、作品は繊細な雰囲気から波打つようなダンスまで楽々と浮遊し、Perkopの手助けによってそれぞれの動きを刺激的で聴き慣れないものへと優しく導きます。

『In Away』に収録されている6つの作品は、モジュラー・シンセシス、レコーディング、ディープ・リスニングなどの新しいシステムを操作するという、プレコップの日々の演習を通して開発されました。自らの音の博物館の学芸員のように、Perkopは様々なモジュラーの組み合わせを使った即興演奏を何時間も掛けて行い、アレンジのフレームワークとなるような魅力的な(感動的な)瞬間を選び出しました。テクスチャーを変化させたり、音色を並置したりする彼のユニークなアプローチは、その結果、それぞれのフレームに微細なディテールと強力なメロディを重ね合わせました。(米Buchla社製のアナログシンセサイザー)「Buchla 208C」が輝きを放ち、暖かいドローンのベッドの上で、音響に近いトーンを弾きます。素早く進むカスケード(直列)接続の下では、軽やかに揺れるパーカッションが鳴り響きます。一瞬一瞬が、魅惑的な驚きと満足のいく成果の間で、細心のバランスを取っています。

Courtney Barnett - ele-king

 メルボルンのシンガー・ソングライター、コートニー・バーネットが3年ぶりのニュー・アルバム『Things Take Time, Take Time』をリリースする。現在先行シングルとして “Rae Street” が公開中。彼女らしいオルタナティヴ・サウンドは健在で、ヴァースでの日常の描写を経てからのコーラス、「たしかに時は金なり。でも金は友だちじゃない」にはグッとくる。ほかの曲も気になります。発売は11月12日とまだ少し先だが、楽しみにしていよう。

コートニー・バーネット、ニュー・アルバムを11/12に発売!
第一弾先行シングルとミュージック・ビデオを公開!

■第一弾先行シングル「レイ・ストリート」ミュージックビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=NUXvlpS0TvE

[Pre-order + Listen]
https://smarturl.it/CBJP

オルタナティヴ・ロック界を代表するアーティスト、コートニー・バーネットは、3年ぶりの3枚目となるニュー・アルバム『シングス・テイク・タイム、テイク・タイム』(Things Take Time, Take Time)を11月12日に発売することを発表し、早速、第一弾先行シングル「レイ・ストリート」(Rae Street)をミュージック・ビデオと共に公開した。

作曲に2年以上をかけ、その後2020年の終わりから2021年の初めにシドニーとメルボルンでプロデューサー/ドラマーのステラ・モズガワ(Warpaint, Cate le Bon, Kurt Vile)と一緒に録音された『シングス・テイク・タイム、テイク・タイム』は、彼女にとってまたもやブレイクスルーとなる作品となった。これは、彼女が最もクリエイティブでリラックスできた、そしてこれぞまさしくハッピーなコートニー・バーネットと言える作品だ。彼女のプライベートな世界を垣間見ることができ、愛、再出発、癒し、自分自身の新たな発見等々、てらいなくそのようなテーマを扱っている楽曲が収録され、これまでで最も美しく、そして彼女自身にとって一番身近なアルバムとなった。

アルバムのオープニングを飾る第一弾先行シングル「レイ・ストリート」は、現代のスピード社会と対峙しながらも、小さなコミュニティの日常生活が繊細にスケッチされた、穏やかなミッドテンポのエッセイで、美しいトーンを奏でている。 特に以下のフレーズが印象的だ「time is money; and money is no man’s friend」(時は金なりだけど、お金は友達じゃない)。それは決して独りよがりで自己満足な台詞ではなく、コートニーの手による哀愁を帯びた歌詞は、激しく驚くほど生き生きとしている。穏やかに物事を見つめながら行動を起こすことで、日々の何気ない日常の中で失いがちな、人々がお互い触れ合えるような道を切り開いていく。そんな驚くべき叙情的な作品だ。

彼女にとって、人生のとりわけ楽しい時期に録音された、ディープでパーソナルな内容がコラージュのように散りばめられたこのサウンドは、彼女が聞くものに大きな影響力を及ぼす画期的な女性シンガーソングライターであること、その地位が間違いのないものであることを示している。そして彼女の実力が1人のミュージシャンとして、まさに今ピークを迎えようとしており、そして新たなフェーズに入ったことを示すものに仕上がっている。

[前作情報]
https://trafficjpn.com/news/cb/

■商品概要

アーティスト:コートニー・バーネット(Courtney Barnett)
タイトル:シングス・テイク・タイム、テイク・タイム(Things Take Time, Take Time)
発売日:2021年11月12日(金)
品番:TRCP-300 / JAN: 4571260591639
定価:2,400円(税抜)/ 解説・歌詞対訳付
ボーナス・トラック収録
Label: Marathon Artists

Tracklist
01. Rae Street
02. Sunfair Sundown
03. Here's The Thing
04. Before You Gotta Go
05. Turning Green
06. Take It Day By Day
07. If I Don't Hear From You Tonight
08. White A List Of Things To Look Forward To
09. Splendour
10. Oh The Night

+ボーナス・トラック

[Pre-order + Listen]
https://smarturl.it/CBJP

■プロフィール
オーストラリア出身のシンガーソンングライター。自身が設立した〈MilK! Records〉より発売したEP「How To Carve A Carrot Into A Rose」(2013年)は、ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得するなど、左利きのギター・ヒロインから紡ぎ出されたリリカルな作品は世界的な注目を集め、デビュー・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』を2015年3月にリリース。グラミー賞「最優秀新人賞」にノミネート、ブリット・アウォードにて「最優秀インターナショナル女性ソロ・アーティスト賞」を受賞する等、世界的大ブレイクを果たし、名実元にその年を代表する作品となった。2018年5月、全世界待望の2ndアルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』をリリース。2019年3月、2度目の単独来日公演を東名阪で開催。同年フジロックフェスティバル’19に出演。2020年2月、地元豪メルボルンでのライヴ盤『MTV アンプラグド(ライヴ・イン・メルボルン)』を発売。2021年11月、3rdアルバム『シングス・テイク・タイム、テイク・タイム』を発売。
https://courtneybarnett.com.au/
https://twitter.com/courtneymelba
https://www.instagram.com/courtneymelba/

interview with 『映画:フィッシュマンズ』 - ele-king

 『映画:フィッシュマンズ』がいよいよ上映される。映画ではバンドの歴史が語られ、ところどころその内面への入口が用意され、そして佐藤伸治についてみんなが喋っている。3時間ちかくもある長編だが、その長さは感じない。編集が作り出すリズム感が音楽と噛み合っているのである種の心地よさがあるし、レアな映像も多かったように思う。また、物語の合間合間にはなにか重要なひと言が挟み込まれていたりする。要するに、画面から目が離せないのだ。
 フィッシュマンズは、佐藤伸治がいたときからそうだが、自分たちの作品を自己解説するバンドではなかった。したがって作品解釈には自由があるものの、いまだ謎めいてもいる。レゲエやロックステディだけをやっていたバンドではないし、なによりも世田谷三部作と呼ばれる問題の3枚を作ってしまったバンドだ。いったいあれは……あれは……佐藤伸治があれで言いたかったことは何だったのだろうか。だから膨大な取材によって作られたこの映画は、解釈に関してのヒントにもなるわけだが、まあしかし、まさかフィッシュマンズの映画が観れることになろうとは思いもよらなかったわけで、そのこと自体考えてみればすごいことです。しかも、現時点ですでに28都道府県36館での上映が決まっている。これはもう、快挙としか言いようがない。作ったほうも上映するほうも。
 それにしても、何故いまこの映画が生まれたのだろう。『映画:フィッシュマンズ』は何を意図して、どんな思いをもって作られたのだろう。映画をプロデュースした坂井利帆氏、監督を務めた手嶋悠貴氏が話してくれた。取材をしたのは3月30日。まだ春先で、上映館も都内ぐらいしか決まっていなかった。フィッシュマンズを求める声や熱気が全国からふつふつと湧きはじめる、まだ数ヶ月も前のことである。

ぼくが知りたいことは、もしかするとフィッシュマンズを聴く多くの人たち、これからフィッシュマンズに出会うたくさんの人たちが知りたいことじゃないかなと。リアルタイムで体感できなかった世代としては、どうやってあの途轍もない音楽が生まれたのかを知りたいという欲求があったんだと思います。

どのようにこのプロジェクトがはじまったのか、ことのはじまりから教えてください。

手嶋:2018年の夏頃に坂井さんと、一緒のプロジェクトをやっていたんです。そのときに「フィッシュマンズってご存じですか?」って訊かれて、「知ってますけど、どうしたんですか?」って答えたら、フィッシュマンズで映画をつくりたいんですけど……ってボソッと言われて。「ぜひやりましょう!」と伝えたんです。それがはじまりですね。

坂井さんが言いだしっぺだったんですか?

手嶋:そうですね。最初は冗談かなって思ったけど(笑)

おふたりはそれ以前からお仕事をされていたんですね。

坂井:はい。もう10年くらいです。私は主に日本で撮影した映像を国内や海外メディア向けに発信する映像制作をしていまして、以前勤めていた会社のプロジェクトで何度もご一緒していたので、監督のお人柄と映像制作の腕は存じあげてましたね。
 2018年の春くらいにフィッシュマンズの映画を作りたいと、本作の企画を思いつきました。口に出すと実現に近づいて夢って叶うんだよっていう話があるように、「私フィッシュマンズの映画を作りたいんだよね」って周りに言いはじめたのがこの頃です。そしたらたくさんのクリエイターの方が、みんなやりたいっておっしゃってくださるなかで、手嶋さんが「ぜひやりましょう」って言ってくださった。フィッシュマンズは私にとって宝物なので、宝物をさらけ出してお預けできる人柄と映像制作の力があるとても信頼できる方でしたし、実際に、映画を実現するための具体的なご提案をいろいろとしていただきました。クラウドファンディングも手嶋さんのご提案でした。そこからは毎日のようにお電話したり、いろいろ相談しています、いまだに(笑)。

3時間という長さを感じさせない出来というか。ぼくは2回観たんですけど、わりとあっという間の感覚で、それは監督さんの編集力のなせる業なんだろうなと思いました。

手嶋:ありがとうございます。僕ひとりの力ではないですけど(笑)。

坂井さんに訊くんですけど、なんで2018年にフィッシュマンズの映画を作ろうと思ったんですか?

坂井:(笑)。そうですよね。91年からフィッシュマンズのファンだったんです。デビュー当時から大好きだったんですよ。もちろん聴かない時期もありましたが、いろいろなときを経て客観的にフィッシュマンズを見たときに、佐藤さんが亡くなられてからも変化し続けている様子やライジング・サンで何万人の観客の前でクロージング・アクトを務めていたりとか、夢のような世界が2018年には広がっていて。

佐藤さんが亡くなって、最初のライヴをSHIBUYA-AXでやったときに公園通り沿いに若い子たちが「チケット譲って下さい」というプラカードを持っている光景を見て、フィッシュマンズってこんなに人気あったんだって(笑)。

坂井:そうなんですよ。クアトロがいっぱいにならないような時代を見ていたので、どんな社会現象が起きているんだろうっていう興味がまずありましたね。しかも、主にソングライティングをされていた佐藤さんが亡くなられて、フロントマンを失くして人気が出るってどういうこと? っていうところからフィッシュマンズのストーリーを感じたんです。
 タイミングとしては、自分のキャリアの過渡期とも重なっていて、映画会社に勤めた経験も経たことで映画という作品コンテンツを表現の場としてすごくビュアで魅力的に感じました。ずっと残っていくものなので。このような経緯で自主映画を作ってみたいと思ったときに、対象となるものは自分の揺るぎない情熱を傾けられるものじゃないといけないと人から言われて。それを自分にとってはなんだろう? と考えたときに、自分にはフィッシュマンズしかなかったんです。

2018年っていう時間は坂井さんのなかでのタイミングだったんですね。

坂井:はい。それを思って、茂木さんにご相談をしたときにちょうど2019年の闘魂2019のライヴを計画されていたんです。茂木さんも佐藤さんが亡くなられて20年の節目のライヴを撮影し、残しておきたいというお気持ちがあって。思いが重なったのが2018年の春だった。それから、茂木さんに手嶋さんを紹介したのが夏ですね。そして、どうすればいまの時代に自主映画を実現できるかを考え「クラウドファンディング」を通じてファンの方たちにお力添えをいただくことにしたのです。

手嶋さんはその話を受けてお返事されたということなんですけど、フィッシュマンズのことは?

手嶋:もちろん知ってました。けど、深くは知らなかったですね。ただ、不思議なバンドという印象を持っていました。フィッシュマンズの音楽は良く聴いていたけど、深く掘り下げるというところまではしていなかったですね。何か触れてはいけないような感覚がずっと無意識に働いていたので。

映画の話を引き受けようと思った理由は?

手嶋:直感です。でも坂井さんから映画の話を受けた後、2週間ぐらいその話題がなくて(笑)。坂井さんに「フィッシュマンズの件どうなりましたか?」って訊いたら、「本当にやってくれるんですか?」って言われて(笑)「本気ですよ」って言った記憶があります(笑)。僕のなかでは、何が起こるかわからないけど絶対やるべきだと。直感で確信していましたので。

そこからフィッシュマンズについてリサーチをはじめるわけですよね。どうでしたか? 手嶋さんのなかでフィッシュマンズというバンドは。もちろんそれは映画で表現していると言ったらそれまでなんですけど。

手嶋:2018年の7月に話をもらって、撮影がはじまるのは2019年の2月なんですけど、2018年の12月くらいまでは、ひたすらフィッシュマンズについて調べていました。自分で一冊の本を作っちゃうくらい。世に出てる書籍や残っている映像を片っぱしに集めて。もちろん、楽曲も毎日聴いて。でも、調べれば調べるほど、フィッシュマンズのことがわからなくなったんですね。しかも佐藤さん、取材とかで本当のこと言わないじゃないですか。いつも嘘をつくというか(笑)。譲さんに聞いて後で知ったんですけど、取材とかで本当のことを話そうとすると佐藤さんから止められたって(笑)、本当のこと言っても面白くないからと(笑)。
 フィッシュマンズの楽曲を聴くとそこに流れている空気や風景が何となく「わかる!」という感覚は、彼らの音楽を聴いたことのある人だと理解してくれると思うのですが、フィッシュマンズを映画で表現する立場としては、それだと何も掴みどころがなくて不安になるというか。本当は掴む必要もないんでしょうけど……、ただ、僕はどうしても知りたかった。あの途轍もない音楽と佐藤伸治の歌詞の世界はどうやって生まれたのかを。だから2018年の12月時点では、映画のタイトルを『フィッシュマンズのすべて』と勝手に付けました。
 ぼくが知りたいことは、もしかするとフィッシュマンズを聴く多くの人たち、これからフィッシュマンズに出会うたくさんの人たちが知りたいことじゃないかなと。リアルタイムで体感できなかった世代としては、どうやってあの途轍もない音楽が生まれたのかを知りたいという欲求があったんだと思います。
 だから、知れば知るほどわからなくなったフィッシュマンズを探しにいくような撮影でしたね。なのでインタヴューは時系列通りにおこないました。例えば茂木さんに明学での出会いからデビューまでの話を訊いたら、そこで出た言葉たちを次は譲さんに訊く。そして譲さんから出た言葉を茂木さんの言葉と合わせて、ハカセさん、小嶋さんにも訊く。もちろん、同じ質問も訊いていきます。そうすることで、各個人が持っている当時のさまざまな風景が見えてくるんです。そのようなやり方で繰り返し繰り返しおこなって、どんどん現在に向かっていくという感じ。インタヴューは1対1なのですが、編集するとあたかも彼らが会話しているような。そのような狙いで撮影をおこなっていました。気づくと撮影期間は1年もかかってしまいましたけど(笑)。

その取材時間が相当かかったんですね。1〜2回ではなくて、その都度その都度。

手嶋:茂木さんをはじめ他のメンバーの皆さん、出演者の方々も相当大変だったと思います(笑)。下手すると朝の10時くらいから夜の22時まで、ずっと、質問攻めにされるわけですから。

坂井:思い出の地とかに閉じ込められてね。

しかもその膨大な撮影から実際に使われるカットってものすごい限られているわけで……大変だったんでしょうね、編集も。

手嶋:ぼくひとりの力だとできなかったですね。

坂井:いまは3時間に収まってますが、その前までは5〜6時間あったんですよ。

手嶋:まずは撮影したインタヴューをすべて文字に起こしてもらったんです。それを構成の和田くんに時系列で並べて欲しいってお願いをしました。和田くんはすでに僕がやりたいことを理解してくれていましたので、かなり助かりました。そして和田くんが纏めてきた言葉たちを編集の大川さんがタイムラインに並べてくれました。それが7〜8時間ぐらいだった記憶があります(笑)。和田くんと大川さんが作業しているあいだ僕は膨大な過去映像をひたすら観て、入れるべき映像を探していました。

坂井:ここで佐藤さんがこういうMC喋ってるとかね。

手嶋:大まかに編集の下準備ができたところで、僕と大川さんで編集作業に入りました。たしか2020年の5月頃だったと思います。初めは7〜8時間あったものを5時間にして、3時間にして、また4時間に戻ってっていうのをひたすら、ふたりでやり続けましたね。ある程度、形になったと思ったら和田くんに確認してもらい、構成の話やアイデアを出し合っていく。そこからまた大川さんと作業して。それをひたすらずっと繰り返して、ようやくできたと思った後に、どうしても僕が入れたい言葉たちがあって、粘りに粘り最終的に編集が終わったのが今年の1月後半でした。

けっこうぎりぎりだったんですね。

手嶋:けっこうぎりぎりでした。ぎりぎりまでやってましたね。

坂井:ありえないぐらいの仕事量でしたよね。頼んだ私が申し訳なくなるぐらいの仕事量で。とにかく、本当に真摯に作品に向かい合ってくださいました。

手嶋:ぼく、2回も倒れているので。

え? 

手嶋:ひたすらフィッシュマンズと向かいあってたら、編集しながら頭がおかしくなってきたりして。どんなに向き合っても正しい答えなんてないじゃないですか。でも、クラウドファンディングでファンの方から頂いたチャンスでもありますし、茂木さんとも「これが最初で最後。嘘偽りなく、フィッシュマンズのすべてを話す」という約束をしていましたので、みなさんに対しても自分に対しても絶対に後悔させる形にはしたくないというか。
 そのなかで、プロデューサーの坂井さんから尺は2時間くらいで収めないと上映回数の問題も出てくるので、せめて2時間半尺でお願いしますと。これは当然のご意見なんですけど、2時間半にまとまるわけがないっていうのがぼくの思いで。勝手にいろいろ追い込まれていましたね。当時は(笑)。

坂井:そこは本当に難しい課題でした。とても大きな課題でしたね。

2時間でまとめられなかった理由はなんでしょう?

手嶋:撮影で茂木さん含めてみなさんからいただいた本当の言葉たちを2時間で収められる自信がぼくにはなかった。誤魔化して、ちょっとおもしろい感じにまとめた2時間の映画にしちゃうと絶対にフィッシュマンズを裏切ってしまう。勝手にぼくが責任を感じているだけかもしれないんですけど、誤魔化してはいけないという思いが強かったんだと思います。それで、2本立てにしてはどうだろうかとかいろいろ考えたりもしたんですけど(笑)、それもなんか違うかなと。で、坂井さんに「ごめん。もう2時間無理! なんとか3時間でいけないかな?」って相談をして。

なるほど。そぎ落として、編集して、そのぎりぎりが3時間になったと。

坂井:ぎりぎりまで200分(3時間20分)でしたもん。もう、頼むよって(笑)。ようやく3時間に収まったのは、昨年の12月くらいです。映画の興行を考えると3時間以上というのは非常に難しいということもあるのですが、それよりも元々、フィッシュマンズの映画を作るという話を茂木さんとしたときに、いまは海外でもフィッシュマンズが注目されているので、映像というコンテンツにして英語に翻訳をすることで、新しい人たちにフィッシュマンズを届けることができるのではないかと話していたのです。映画という映像作品にすることで、広げられることが絶対あると思っていたし。元々そういう思いを持ってはじめたプロジェクトだったので、尺が3時間以上になるという話をもらったときにはすごく悩みました。自分が海外の全然知らないバンドの3時間ドキュメンタリーを観るというのは、すごくハードルが上がってしまうので。
でも、手嶋さんも編集の大川さんも、真摯に映像素材と向き合って3時間の尺がないと伝えきれないとおっしゃっていたので。お二人がそこまで仰いているものを、決まった枠(尺)に当てはめようとすると、よい結果にならないことは明確でした。誠実に向きあっているからこそナレーションを入れて省略すようなことはいっさいしないというのは最初から監督がこだわっていましたし。だから、もう私は黙るしかないと(笑)。最後は納得しました。それでも3時間は切って欲しいうところは最後にお願いしましたけど。

ナレーションを使わなかったのでなんでなんですか?

手嶋:ぼくが単純に嫌いだから。作為的なものに感じてしまう。仕事ではよく使いますけど、ナレーションを使うとまとめるのがすごく早い。ただそうするとすごく作為的になって、コントロールしちゃう。コントロールしちゃうと、今回フィッシュマンズをはじめた最初のコンセプトから逸脱してしまうというか。主役は彼らなので。もちろん佐藤伸治という絶対的な存在がいるんですけど、そこに第三者の声を入れると完全にフィクションになってしまうのでそれは絶対にやりたくないなって頑なに決めてた。

坂井:ナレーション抜きで90分に収める、そしてすべてを語り尽くすっていのは物理的に無理ですよねって。

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調べれば調べるほど、フィッシュマンズのことがわからなくなったんですね。しかも佐藤さん、取材とかで本当のこと言わないじゃないですか。いつも嘘をつくというか(笑)。譲さんに聞いて後で知ったんですけど、取材とかで本当のことを話そうとすると佐藤さんから止められたって(笑)。

フィッシュマンズの描き方って時代背景もあるし、いろんな描き方があると思うんですけど、今回はバンドのインサイドストーリーに徹していますよね。それはまずは監督ご自身がバンドのことを知りたいと思ったというのがモチベーションだったということですが。

手嶋:そうですね。あとは10年後20年後にフィッシュマンズを知った人たちがフィッシュマンズのメンバーたちはどういう人たちだったんだろうか、あの途轍もない音楽はどうやって生まれたのだろうか、ってことをピュアな気持ちで掴めるヒントになればと。残すべき音楽ですし、ぼくら世代よりもまだ先の世代の方々にも聴いて欲しい音楽ですので。

例えばフィッシュマンズは90年代のバンドだし、90年代の東京の風景を出すという手もあったと思うんです。いろんな事件もあったし、そういうことをやらなかったのはなにか理由があってですか?

手嶋:最初から頭になかったですね。ぼく自身も90年代を生きてた人間ですけど。今回はフィッシュマンズという人たち、彼らの音楽を描くことだけに集中したかったんです。インタヴューを重ねながら気づいたのですが、みなさん佐藤さんのことを探していて。こちらから敢えて質問しなくても佐藤さんの話をしてくださるんですよね。僕も佐藤伸治をずっと探し続けてました。でも、それは言葉に出して大きく言えない空気というか、ムードというか。だから佐藤さんをみんなで見つける映画でもありつつ、同時に彼らがどのように音楽を作ってきたかっていうことを描けば、90年代の風景も自ずと見えてくるんじゃないかなと思いました。フィッシュマンズの音楽のようにこちらもストイックにやらないと。茂木さんにも「遠慮しないで、やりたいようにやっていいんだよ、フィッシュマンズはそんなに綺麗なバンドじゃないんだから、手嶋くんが思うようにやってくれたら」って背中を押されたのも心強かったですね。

なるほど。佐藤伸治がどんな人間だったのかが浮かび上がるような作品になっているのかなと思います。彼のニヒリスティックなところも垣間見れるとぼくは思ったし、よしもとよしとも君は青春映画として観ることもできるみたいなことを言ってましたけどね。

坂井:嬉しいですね!

手嶋:そういう見方もあるんですね。

バンドのひとつの青春。それはひとつの見方としてまっとうな見方ですよね。大学生のサークルのなかで生まれたバンドが世のなかに揉まれていってっていう成長物語じゃないですけど、そういう要素がありますよね。

坂井:それはすごく嬉しいです。観る人たちがいろいろと感じて欲しいですからね。こういうものっていうことをこちら側から発する作品であるべきではないと思っているので。

ぼく個人としては、『空中キャンプ』以前の映像を観れたのがすごく嬉しかったですね。観たことなかったから。

坂井:“MY LIFE”とかすごくないですか?

ところどころにああいう貴重な映像がありますね。ただもっとも驚いたのは、欣ちゃんが高校生じゃないかくらいに見た目が若かったっていうことですけどね(笑)。

坂井:本当に(笑)。

それに佐藤伸治のノートが出てくる場面も良かった。とくに、「わかりづらいことをわかりやすくする」という言葉がさりげなく出てくる。手嶋監督さんの意図としてはどういう風に物語を見せようと思われたんですか? 

手嶋:“ゆらめき IN THE AIR”を最後に使うことだけは決めていました。あとは、フィッシュマンズが結成から現在に至るまでどのように歩んできたのかという軸と、佐藤伸治はどういう人間だったのかという軸を融合させるかだけ考えていました。佐藤さんも言っていましたけど、「10年後20年後も聴ける音楽を俺はやっているつもりだ」って。実際に10年後20年後も聞ける音楽の力。それに目を背ける事なく映像で紡いでいけば、必然とフィッシュマンズの映画になるんじゃないかと。だから、作為的に何かやってやろうというよりは、とことんフィッシュマンズと向きあっていくことだけをやってきたという印象です。

もしぼくが作るとしたら『空中キャンプ』を特別視したろうから。『空中キャンプ』の曲をもっとかけて欲しいと思ってしまうくらいだから(笑)。

坂井:“BABY BLUE”とかはちょびっとだからね。あれじゃ物足りないわけですよね(笑)。

そう! あれはもっと聴きたかった(笑)。

坂井:“BABY BLUE”は名曲ですからね……。

あれはファンが一番好きな曲のひとつだから!

坂井:(笑)。スタッフみんながそれぞれに思い入れのある曲を持っているので、「“ずっと前”は入らないんですか?」とか、編集途中でスタッフに訊かれることもありました。それぞれみんなが思い入れがあるから。それを受け止める監督は大変だったと思います。

ファンの思い入れの強いバンドだから、それは大変ですよ。だけどぼくは“Long Season”のところで奥多摩にロケに行ったところは感動しまたよ。あのシーンはクライマックスとしてあまりにもよくできすぎてるというか。

坂井:雨降ってね(笑)。

しかも、橋が壊れてて雨降ってて。

手嶋:あれは本当に皆さんにご迷惑をおかけしたというか。

坂井:譲さんと奥多摩に行くっていう日の前日に台風あったんです。地元の役場の方に、濁流がすごいので撮影なんかできませんと言われてしまって。それで撮影を1ヶ月伸ばしたんです。満を持して望んだ再撮影で、さらにまた雨ですっていう。でもやるしかない。譲さんも嫌がってました。「ぼくここ苦手なんだよね」と言いながら。撮影前にも、一回中止になっているし、濁流を心配するくらいなら「もう、代々木でいいじゃない?」とか、ご提案をいただいたりしたのですが。監督が奥多摩にこだわったんです。監督の狙いです。

すごい(笑)。

手嶋:あれは自然とそういう流れになっただけですよ(笑)。単純に譲さんに重要なことを訊きたかったから、雨であろうが、あの場所に行って話をしてもらいたかった。まあ雨と寒さで無理させてしまう形になってしまいましたけど(笑)。でも、あの撮影が終わったあとに譲さんから「ここまでやってくれたから、ここまで喋れたし、1日〜2日で終わるようなものでもなく、しつこく何度も付き合ってくれたから、安心したよ、本当に感謝しかないよ」と言っていただけたのは、忘れられないですね。

あのシーンはグッときましたね。また、奥多摩のシーンの映像の色味がすごく綺麗でした。『Long Season』のジャケットそっくりというか。

手嶋:あの場所を見つけるのがすごく大変でした。(マネージャーだった)植田(亜希子)さんも憶えてなくて。植田さんに「ここです!」と言われて、グーグルマップで見たら違ったんです。だから自分で探して、撮影日の朝早くに撮影部を連れて、豪雨のなか、ぼくが見つけていた場所をロケハンしたんです。それでやっとあの場所(※ジャケットに写っている場所)を見つけて撮影出来た。後から分かったんですけど、『LONG SEASON』の撮影で奥多摩に2回行ってるんですよフィッシュマンズ。1回目はジャケットの撮影で、もう1回はヴィデオ撮影で。もう昔のことなのでみなさん記憶が曖昧になるのは仕方ないですよね。

坂井:でも、ジャケットにも写っている同じあの岩がいまもあったのはすごいですよね。

では最後に、もういちどあらためて訊きます。佐藤さんが亡くなってからさらにバンドの名前が大きくなった。これは映画を作らなければと思ったと。これは、もっと言うと、どういうことでしょうか? まだ知らない人たちに向けて、作らないといけないと思ったということ?

坂井:実際の佐藤さんのステージを観たことがない世代の人たちに知って欲しいという気持ちもありましたし、サブスクが浸透した現代で、海外に音が届いてる状況を客観的に見て、フィッシュマンズをより多くの方に発掘してもらうきっかけに、映画がなると思いました。

フィッシュマンズをまだ知らない人たちにも、こういうバンドだったんだよと教えてあげたいと?

坂井:映画を作る上で恐怖というか心配はありました。最初の頃に茂木さんと植田さんに映画のご相談をしたときに、もしかしたら、いままで作り上げてきたものを壊してしまうかもしれないけど良いですか? と確認をしました。いままでおふたりが作りあげて、人気が出てきたものを壊してしまう可能性があるかもしれないけどいいですか? と訊いたんです。そこで言われたのが、「いいんだよ。フィッシュマンズは元々売れないバンドだったんだから、壊すものなんて何もないよ、そこには」と。これですごく気持ちが軽くなった。そこから、「よしっ作ろう!」って覚悟を決めたんです。

なるほど。

坂井:フロントマンを失くしてもバンドを続けるのはよっぽどのことじゃないとやらないじゃないですか。それを茂木さんが実際にやられていて、さらにそれによってファンがすごく増えている。もちろんフェスが増えている等の背景もあるんですけど。それにしてもこの現象はいったい何なんだろう? きっとそこには何らかの理由があるだろうと。

不思議ですよね。ぼくもこの前の闘魂に行って思ったんですけど、客層が若いんですよ。

坂井:そう!

リアルタイム世代がもっといるのかと思ったら、若い子ばかりなんですよ。特殊ですよね。

坂井:わたしの記憶のなかのフィッシュマンズは知る人ぞ知るバンドというイメージのまま。ところが、先日この映画の試写会を開催した際に会場前に貼られたポスターを見て、20代くらいの、いまどきのおしゃれな女の子3人組が「あれぇ〜フィッシュマンズやってんだ〜」って話している現場を目撃しちゃったんです。とても驚いてしまって。

それはすごい(笑)。

坂井:すばらしいことだと思ったんですけど、そこにあらためて不思議なものを感じました。もちろん茂木さんの思いとか、植田さんやメンバーの方の頑張りは絶対的にあるんですけが、それだけじゃない何かがあるんです。フィッシュマンズの音楽には。そしてきっといまの世のなかにも必要とされているものなんです。なので、この音楽の背景にあるストーリーを伝えたいし、映画を通じて伝えられることがあるじゃないかなぁと映画の可能性を楽しみにしています。映画をきっかけにさらに音楽に興味を持っていただけたら嬉しいですし。もちろん海外の人にも届けたいし。とにかくこのまま色褪せていくべき音楽ではない。

けっきょく映画のタイトルを『映画:フィッシュマンズ』にしたのは変化球はいらないなっていうことですか?

手嶋:ぼくのわがままでそうさせてもらって。このタイトル以外、絶対にないという感じというか。茂木さんにもタイトルは「フィッシュマンズ」でいかせてもらいますってお伝えして、「わかった!」って(笑)。この映画は「フィッシュマンズ」です。

(3月30日、渋谷にて)

【あらすじ】
90年代の東京に、ただ純粋に音楽を追い求めた青年たちがいた。彼らの名前は、フィッシュマンズ。プライベートスタジオで制作された世田谷三部作、ライブ盤『98.12.28 男達の別れ』をはじめ、その作品は今も国内外で高く評価されている。

だが、その道のりは平坦ではなかった。セールスの不調。レコード会社移籍。相次ぐメンバー脱退。1999年、ボーカリスト佐藤伸治の突然の死……。

ひとり残された茂木欣一は、バンドを解散せずに佐藤の楽曲を鳴らし続ける道を選ぶ。その想いに仲間たちが共鳴し、活動再開。そして2019 年、佐藤が世を去ってから20年目の春、フィッシュマンズはある特別な覚悟を持ってステージへと向かう――。過去の映像と現在のライブ映像、佐藤が遺した言葉とメンバー・関係者の証言をつなぎ、デビュー30周年を迎えたフィッシュマンズの軌跡をたどる。

佐藤伸治 茂木欣一 小嶋謙介 柏原譲 HAKASE-SUN
HONZI 関口“dARTs”道生 木暮晋也 小宮山聖 ZAK
原田郁子(クラムボン) UA ハナレグミYO-KING(真心ブラザーズ) こだま和文

監督:手嶋悠貴 企画・製作:坂井利帆
配給:ACTV JAPAN/イハフィルムズ
2021/日本/カラー/16:9/5.1ch/172分     
©2021 THE FISHMANS MOVIE

<公式HP> https://fishmans-movie.com
<公式Twitter> https://twitter.com/FishmansMovie
<公式Facebook> https://www.facebook.com/fishmansmovie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/fishmansmovie/

7月9日(金)より全国公開
以下、現在上映が決まっている都道府県/劇場です。

都道府県劇場名公開日
東京新宿バルト97月9日(金)公開
東京渋谷シネクイント7月9日(金)公開
東京アップリンク吉祥寺7月9日(金)公開
東京池袋シネマ・ロサ7月9日(金)公開
東京T・ジョイPRINCE品川7月9日(金)公開
神奈川横浜ブルク137月9日(金)公開
千葉T・ジョイ蘇我7月9日(金)公開
大阪梅田ブルク77月9日(金)公開
京都T・ジョイ京都7月9日(金)公開
京都アップリンク京都7月9日(金)公開
福岡T・ジョイ博多7月9日(金)公開
石川シネモンド 7月10日(土)公開
愛知センチュリーシネマ7月16日(金)公開
宮城チネ・ラヴィータ7月16日(金)公開
鹿児島鹿児島ミッテ107月16日(金)公開
大分 別府ブルーバード劇場 7月16日(金)公開
群馬 シネマテークたかさき 7月17日(土)公開
長野 上田映劇 7月17日(土)公開
富山 ほとり座 7月17日(土)公開
広島 サロンシネマ7月23日(金)公開
北海道サツゲキ 7月23日(金)公開
福島 フォーラム福島7月23日(金)公開
山形 フォーラム山形7月23日(金)公開
沖縄 桜坂劇場7月24日(土)公開
愛媛 シネマルナティック7月24日(土)公開
大分 日田シネマテーク・リベルテ 7月26日(月)公開
栃木 小山シネマロブレ7月30日(金)公開
熊本 Denkikan7月30日(金)公開
佐賀 シアターシエマ8月6日(金)公開
静岡 静岡シネ・ギャラリー 8月14日(土)のみ上映
新潟 シネ・ウインド8月14日(土)公開
栃木 宇都宮ヒカリ座8月20日(金)公開
長崎 長崎セントラル劇場8月27日(金)公開
東京 立川シネマシティ近日公開
岩手 盛岡ルミエール近日公開
宮崎 宮崎キネマ館近日公開

【配給に関するお問い合わせ】
イハフィルムズ contact@ihafilms.com

【宣伝に関するお問い合わせ】
とこしえ info@tokoshie.co.jp

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目次

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カーター・マクリーン Carter McLean
福盛進也 Shinya Fukumori
……取材・文:小宮勝昭

■サウス・ロンドンを中心に巻き起こるグルーヴ革命――UKジャズのサウンド&リズム
feat. モーゼス・ボイド
……文:小川充、大久保徹

■NIPPON のドラムの匠 第一回
Negi Drums 根木浩太郎さん
……取材・文:小宮勝昭

■ドラマーのここに注目 スネアの裏! “音色・響きの要”、その秘密が知りたい
Ⅰ 裏の基礎……文:小宮勝昭
Ⅱ プロの裏を拝見!(アンケート)
阿部耕作、尾嶋優(Jimanica)、江口信夫、大坂昌彦、岡部洋一、神谷洵平、河村 “カースケ” 智康、北山ゆう子、白根佳尚、小関純匡、椎野恭一、高橋結子、本田珠也、沼澤尚、藤掛正隆、みどりん、平里修一、屋敷豪太、マシータ、山本達久、松下マサナオ、山本拓矢、芳垣安洋、三浦晃嗣
Ⅲ 裏の顔、スネア・ワイヤーを試す! カノウプス・スネア・ワイヤー8機種・徹底検証!……文:小宮勝昭

■もはや “音楽” なドラミング・メソッド ルーディメンツが知りたい!
……文:春日利之

■リンゴ・スターに学ぶ、音楽的ドラム力【前編】
ワン・アンド・オンリーな音色と奏法 グルーヴ&スウィングを検証
……文:小宮勝昭

■レコーディング・スタジオ探訪 GOK SOUND
……文:藤掛正隆

■東南アジアの果てにある “リズムの不思議” ミャンマー音楽の打楽器とリズム
……文:田中教順

■厳選・必聴の作品ガイド ドラマー&パーカッショニストが聴くべき音楽
現代の “ロック” を創るドラミング……選・文:大久保徹
60~70年代ドラマーたちに影響を及ぼした古(いにしえ)の録音……選・文:三浦晃嗣
ジャズ・ドラミングの変遷……選・文:大坂昌彦
現代を代表するゴスペル・チョッパーたち……選・文:柴田亮
ドラマー/パーカッショニストによる必聴のリーダー作……選・文:芳垣安洋
レコードで聴きたいソウル&ファンク……選・文:藤掛正隆
今も進化するブラジルのドラマー/パーカッショニスト……選・文:中原仁
キューバ音楽……選・文:Izpon
ダンス/エレクトロニカ……選・文:尾嶋優(Jimanica)
フリー・インプロヴィゼーション/実験音楽……選・文:細田成嗣

編集者略歴
◆大久保徹
2005年よりリズム&ドラム・マガジン編集部に在籍。2012年4月~2014年3月まで同誌編集長を務める。現在、音楽書を中心としたフリーの編集者/ライターとして活動。

◆小宮勝昭
大学卒業後つのだ☆ひろ氏に師事。1994年よりリズム&ドラム・マガジン編集部に、2001年1月~2012年3月まで同誌編集長を務める。現在は音楽家としても活動中。


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