「Low」と一致するもの

ディランの想像力を刺激した音楽を最もよく理解している書き手による独創的な書物。
――『ニューヨーカー』

長編探偵小説のような文化批評であり、音楽的なラヴストーリー。
――『Rolling Stone』(2022年のベスト・ミュージック・ブックに選定)

マーカスのディラン論は、ボブ・ディランその人と同じくらい不可欠なものだ。ディランの幻視的な創造力というプリズムを通して、マーカスは現代アメリカの魂の驚くべき歴史を浮かび上がらせる。
――オリヴィエ・アサヤス(映画監督)

マーカスの洞察と叙情が冴え渡った一冊。ディランとその音楽についての豊富な情報、回想的な筆致と霊感に満ちた批評との見事な融合。最も独創的な音楽家を、最も独創的な音楽批評家が語るにふさわしい本だ。
――ジョイス・キャロル・オーツ(作家)

 ロック・ジャーナリズムの巨匠によるディラン研究の集大成。
 ディランの創造的・文化的発展の全体像、七つの楽曲を軸にディランの軌跡を語りつつ、アメリカという国とその歌の歴史の省察を織り込んだ、濃密かつ豊穣な書物。
 ディランが自らの楽曲を書きはじめたとき、そこに新たな命を吹き込んだ伝承歌の系譜も本書のなかで生き生きと甦る。
 ディランの楽曲について語るとき、どうしても言葉が反復的になりがちだが、著者は新鮮な視点を提示し、ディランの音楽の源流に関する深甚な知識を押しつけがましさもなく披露する。
 これは単なるディランの伝記ではない。ディランが自身の歌に新たな命を吹き込んだ、アメリカのフォーク・ソングの豊かな歴史そのものである。
 たとえば、“風に吹かれて” は、ディランが21歳のときに書いた曲だが、じつは “No More Auction Block(もう競売台などごめんだ)” という南北戦争時代の自由の歌がその根幹にあると、著者は語る――
 過去と現在を往復しながら展開する本書の、最後の一文を読んだときには、読者は少なからず、思いも寄らなかった何かを思うだろう。
 表紙および挿絵を手がけたマックス・クラークのヴィジュアルも、マーカスの、そしてディランの言葉と絶妙な呼応を見せている。さあ、2022年の刊行当時、多くのメディアから絶賛された名著の日本版をどうぞ。

 ●より詳しい内容紹介および解説はこちら→ 『グリール・マーカス『フォーク・ミュージック——ボブ・ディラン、七つの歌でたどるバイオグラフィー』』刊行のお知らせ

[著者]
グリール・マーカス(Greil Marcus)
 1945年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1963年にカリフォルニア大学に入学、『ローリング・ストーン』を創刊するヤン・ウェナーと知り合い、ロック評論家の第一世代の最前線として活動。1975年には、いまもなお読み継がれている『ミステリー・トレイン』の初版が上梓する。
 未訳だが1989年に出版された『Lipstick Traces』は、セックス・ピストルズの源流としてシチュアシオニズムやダダ、はては中世の千年王国論宗派にまで遡り、パンクを民衆の抗議詩の文脈のなかで論じた重要作として知られる。
 また、これも未訳ながらディランとザ・バンドが趣味で録音した「The Basement Tapes」からアメリカを論じた『Invisible Republic: Bob Dylan 's Basement Tapes』も影響力ある一冊。
 ほかにも多数に著作があるが、日本では以下の翻訳書がある。『ロックの「新しい波」 パンクからネオ・ダダまで』(三井徹 訳、1984年、晶文社)、『ミステリー・トレイン ロック音楽にみるアメリカ像』(三井徹 訳、1989年、第三文明社)、『デッド・エルヴィス』(三井徹 訳、1996年、キネマ旬報社)、『ライク・ア・ローリング・ストーン――Bob Dylan at the Crossroad』(菅野ヘッケル 訳、2006年、白夜書房)。

[本文より]
二〇〇一年にローマで、ボブ・ディランは記者団に対し「他の人々の中に自分の姿が見える」と述べた。そのはじまりから現在に至る彼の作品の謎を解く手がかりがあるとしたら、この発言がまさにそれかもしれない。彼の歌のエンジン部に当たるのは共感だ。つまり他の人々の人生の中に入ってみたいという欲求とそれをやってのける能力のことであり、異なる結末を求め、既に他者にやり尽くされたドラマを再現・再演することすらある。(…)それはまた、ボブ・ディラン自身が宿ってきたコスチューム、顔、髪型、情動の数々の変容のように、自らでっち上げた、あるいは発見した別の人生とアイデンティティの中に入っていくことも意味する。次なるウディ・ガスリーかと思えば最新版のランボーになり(…)と。

四六判/368頁

目次


バイオグラフィー
他の生き様の中で

Blowin’ in the Wind――風に吹かれて(一九六二)
The Lonesome Death of Hattie Carroll――ハッティ・キャロルの寂しい死(一九六四)
Ain’t Talkin’――エイント・トーキン(二〇〇六)
The Times They Are A-Changin’――時代は変る(一九六四)
Desolation Row――廃墟の街(一九六五)
Jim Jones――ジム・ジョーンズ(一九九二)
Murder Most Foul――最も卑劣な殺人(二〇二〇)

著者註釈
謝辞
索引

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Adrian Sherwood - ele-king

 先日少しお伝えしたエイドリアン・シャーウッド13年ぶりのソロ・アルバム『The Collapse Of Everything』がいよいよ8月22日にリリースされる。同作にはマーク・スチュワートやキース・ルブランへの追悼の意が込められているそうで、ルブランの演奏も使用されているようだ。さらには、ブライアン・イーノが書いた曲も含まれているとのことで、大いに期待できそうです。
 またこれにあわせて、今年もDUB SESSIONSの開催がアナウンスされた。11月19日(水)@六本木EX Theater、11月20日(木)@名古屋Club Quattro、11月21日(金)@大阪Gorilla Hallの3都市を巡回する。今回はシャーウッドが(新作にも参加している)タックヘッドのダグ・ウィンビッシュ──元々はシュガーヒルのハウス・バンド、つまりオールドスクール・ヒップホップの代表曲、グランドマスター・フラッシュ&フューリアス・ファイヴの “メッセージ” でベースを弾いていた人ですね。凄まじいテクニシャンなので必見です。ちなみにキース・ルブランはその時代のドラムです──をフィーチャーし、ライヴを披露するのみならず、マッド・プロフェッサー&デニス・ボーヴェルという、巨匠2組もステージに立つ予定。いやはや、なんとも強力な組み合わせだ。今年も見逃せない一夜になること間違いなし、早くも秋が楽しみです。

Adrian Sherwood

13年ぶりとなるソロアルバム『The Collapse Of Everything』を発表!!!

〈On-U Sound〉を率いるUKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドが、13年ぶりとなるソロアルバム『The Collapse Of Everything』を発表! タイトルトラックが公開された。繊細かつ重層的なサウンドデザインと、ダブを基盤にジャンルの境界を越えて展開される冒険的な音響世界。マーク・スチュワートやキース・ルブランへの追悼の意も込められた本作は、シャーウッドの音楽人生と感情が凝縮された意欲作。ダグ・ウィンビッシュを中心に卓越したミュージシャン陣が集結。キース・ルブランの演奏やブライアン・イーノによる作曲を織り交ぜ、挑戦的かつドープなサウンドスケープを描き出す。
さらに国内盤CDには、アルバムに先駆けて発表されたEP作品『The Grand Designer』から、亡きリー・スクラッチ・ペリー参加曲「Let’s Come Together」含め3曲が追加収録される。


Adrian Sherwood - The Collapse Of Everything
YouTube https://youtu.be/KxDqK1QI6Yg
配信リンク https://on-u-sound.ffm.to/thecollapseofeverything

UKダブ界の名プロデューサー/ミキサーとして知られるエイドリアンだが、今回はミキシング・デスクの背後から前に出て、自身の冒険心に満ちたサウンドをこれまで以上に新たな領域へと押し広げている。そして、他アーティストのプロデュースと自身の作品との違いについて、次のように語っている。

「今まで何百枚も他人の作品を作ってきて、どれも誇りに思っている。でもソロ作品では、自分がすべての判断を下せるし、他の誰かを満足させる必要がない。今回のアルバムをライブでどう表現していくかも楽しみだし、多くの人が気に入ってくれると嬉しい。これは本当に良い作品だと思うんだ。」


新作完成を祝してUKダブの巨匠3人が、遂に一堂に会す!
20年目のDUB SESSIONSはマジカルな音の祭壇と化す!

ADRIAN SHERWOOD presents
DUB SESSIONS 20th ANNIVERSARY
THE COLLAPSE OF EVERYTHING
feat. ADRIAN SHERWOOD live with DOUG WIMBISH, ALEX WHITE, MARK BANDOLA

very special guests:
MAD PROFESSOR Electronic Dub Show

DENNIS BOVELL UK dUb MaNiAc (DJ SET)

東京 2025.11.19 (wed) EX Theater
名古屋 2025.11.20 (thu) Nagoya Club Quattro
大阪 2025.11.21 (fri) Gorilla Hall

open 18:00 / start 19:00
前売:8,800円(税込 / 別途ドリンク代)※未就学児童入場不可
info:[ http://www.beatink.com/ ] / E-mail: info@beatink.com

そんなエイドリアンの新作完成を祝して、UKダブ・シーンの3大巨匠たちが集結! 激熱ダブ・パーティーの開催が決定した!

長年にわたってUKダブの最前線を走り続けるエイドリアン・シャーウッドが手がけるシリーズイベント『DUB SESSIONS』が、今年ついに20周年を迎える。これまでに古くはリー・ペリーやザ・スリッツらを招き、近年では一昨年の大反響を巻き起こしたアフリカン・ヘッド・チャージとGEZAN、昨年はホレス・アンディと〈ON-U Sound〉の原点バンド=クリエイション・レベルが共演するなど、毎回毎回、錚々たる伝説級の出演者たちがシーンもフロアも大激震の熱い内容でソールドアウトを連発してきた。

今年のラインナップも超豪華だ。エイドリアン・シャーウッドが13年振りとなるソロ名義の新作アルバム『The Collapse Of Everything』を引っさげて、タックヘッド、シュガーヒルの伝説的ベーシスト、ダグ・ウィンビッシュら3名から成るバンドを引き連れライブDUBパフォーマンスを披露する。

さらに、80年代UKデジタル・ダブの先駆者としてその名を轟かせ、独自のサイエンスとユーモアでダブの表現領域を拡張し続けてきたMad Professorが、超絶ミキシング・テクニックを武器にスペシャル・ライヴ・ダブショウを披露。

そして、マトゥンビでの活動をはじめ、ポップ・グループやザ・スリッツなどの先鋭音楽においてもラヴァーズ・ロックにおいても数々の大名盤を創り出してきた真のレジェンドDennis Bovellが極上のDJセットで空間を揺らす。

UKで奇妙な進化を遂げたダブという音楽を根底から支え続けてきた3人のマスターが奇跡的に集う、まさに“DUB SESSIONS”。マジカルな音響と重低音に身を投げ、全身で体感せよ!

エイドリアン・シャーウッド待望のニューアルバム『The Collapse Of Everything』は8月22日(金)世界同時リリース。国内盤CDにはボーナストラック3曲と解説書を封入。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(クリア・ヴァイナル)が発売。限定盤LPは数量限定の日本語帯付き仕様(解説書付)でも発売される。国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットも発売決定。

【チケット詳細】
前売:8,800円 (税込 / 別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可
・東京:1F オールスタンディング / 2F 指定席
・名古屋・大阪:オールスタンディング

先行発売:
BEATINK主催者先行:7/2(wed)18:00~ (※限定枚数・先着、Eチケットのみ)
イープラス・プレイガイド最速先行受付:7/3(thu)12:00〜7/6(sun)23:59~(抽選)

[東京]
LAWSONプレリクエスト:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~
イープラス・プレオーダー:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~

[名古屋]
QUATTRO WEB先行:7/7(月)12:00〜7/8(火)23:59
イープラス・プレオーダー:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~
ぴあプレリザーブ:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~
LAWSONプレリクエスト:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~

[大阪]
イープラス・プレオーダー:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~
LAWSONプレリクエスト:7/7(mon)12:00〜7/8(tue)23:59~
ぴあプレリザーブ:7/7(mon)10:00〜7/8(tue)23:59~

一般発売:6月28日(土)10:00〜
[ イープラス ]
[ チケットぴあ ]
[ LAWSON TICKET ]
[ BEATINK ]

問合せ:
[東京] INFO: BEATINK 03-5768-1277 www.beatink.com
[名古屋] 名古屋クラブクアトロ 052-264-8211 http://www.club-quattro.com/
[大阪] SMASH WEST 06-6535-5569 https://smash-jpn.com/

公演詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15187

label: On-U Sound / Beat Records
artist: Adrian Sherwood
title: The Collapse Of Everything
release: 2025.8.22
商品ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15197

01. The Collapse Of Everything
02. Dub Inspector
03. The Well Is Poisoned Dub
04. Body Roll
05. Battles Without Honour And Humanity
06. Spaghetti Best Western
07. The Great Rewilding
08. Spirits (Further Education)
09. Hiroshima Dub Match
10. The Grand Designer
配信: https://on-u-sound.ffm.to/thecollapseofeverything

CD+Tシャツセット

LP+Tシャツセット

CD

限定LP

LP

interview with GoGo Penguin - ele-king

 UKの新世代ジャズを代表するゴーゴー・ペンギン。クリス・イリングワース(ピアノ)、ニック・ブラッカ(ベース)、ロブ・ターナー(ドラムス)というピアノ・トリオ形式の彼らは、通常のジャズの枠では括り切れない存在だ。「アコースティック・エレクトロニカ・トリオ」とも評される彼らは、これまでのピアノ・トリオの概念を変えるスタイルで、クラシックや現代音楽はもとより、テクノ、ドラムンベース、ダブステップ、エレクトロニカといったクラブ・ミュージックの要素や概念を演奏や作曲に取り入れており、アプローチとしてはエレクトロニック・サウンドをアコースティックな生演奏で表現しているとも言える。2018年に『A Humdrum Star』リリース後の来日ツアー時に取材した際は、「あくまで演奏の軸となるのはアコースティック楽器。僕らのスタイルであるアコースティック楽器で演奏するエレクトロニック・ミュージックというのに変わりはない」と発言していた。

 そんなゴーゴー・ペンギンだが、2020年に自身の名を冠した『GoGo Penguin』を発表した後、世界はコロナ禍に見舞われる。そして、2021年にドラマーがロブ・ターナーからジョン・スコットへと交替し、2015年から契約を結んできた〈ブルーノート〉から離れることになった。そうして2023年に新生ゴーゴー・ペンギンは、〈ソニー・マスターワークス〉傘下の新レーベル〈XXIM〉から第1弾アルバム『Everything Is Going To Be OK』を発表し、コロナのために長らく封印されてきたワールド・ツアーも再開する。精力的にツアーをおこなうなか、2023年のフジ・ロック・フェスティバル出演をはじめ、日本でも何度か公演をおこなってきた。2024年には地元マンチェスターでのスタジオ・ライヴを収めた『From the North: Live in Manchester』をリリースし、スタジオ録音による音源がライヴでさらに変化や進化を遂げているところも見せてくれた。そして、このたびスタジオ録音盤としては2年ぶりのニュー・アルバム『Necessary Fictions』が発表された。あくまでアコースティック楽器によるトリオ演奏にこだわってきた彼らだが、今回はシンガーなどゲスト・ミュージシャンとの共演があるなど、いろいろと変化が見られる。もちろん3人の演奏という核となる部分はそのままに、新たに挑戦しているところも見られるアルバムだ。そんなところを含め、マンチェスターの自宅にいるクリス・イリングワースとニック・ブラッカに話を訊いた。

ゴーゴー・ペンギンはピアノ・トリオというとらえ方をされることもあるんだけど、実際にはそんなことはなくて、3人が平等な関係にあるグループなんだ。(クリス・イリングワース)

今回のele-kingのインタヴューは、2018年の『A Humdrum Star』リリース後の来日ツアー時に取材して以来となりますが、この7年間でバンドにはいろいろと変化がありました。2021年から2023年にかけてとなりますが、ドラマーがオリジナル・メンバーのロブ・ターナーからジョン・スコットへ交替し、〈ブルーノート〉から〈XXIM〉へ移籍しました。コロナ禍やパンデミックによる社会の変化にも重なっていたと思いますが、この頃バンドには何らかの変革があったのでしょうか?

ニック・ブラッカ(以下、NB):確かに、そのとき起こっていることは人間わからないものだし、バンドに限らず人って日々ゆっくり成長したり、変化しているじゃないか。だから後で振り返ったとき、こんなにも変わったんだなって思うんであって、その真っただ中にいるときは変化に気づかないものだったりする。でも、言われたとおりに『A Humdrum Star』の後にコロナになって、コロナ以前と以降で世界が変わったし、個人的にも変わったところがあったと思う。それはドラマーが新しくなったりとかもあるけれど、いま変化を経た後、とってもいい場所に自分たちはいるなと思っている。

レーベルの移籍について掘り下げると、〈ブルーノート〉はジャズ専門レーベルで、一方〈XXIM〉はもっと幅広く音楽全般を扱うなかで、特にポスト・クラシカルなどに強いレーベルというイメージがあります。そうしたレーベル・カラー的なものがバンドの方向性に繋がったところはあったりするのでしょうか?

クリス・イリングワース(以下、CI):う~ん、それはどうかな……最初〈ブルーノート〉と契約したときはすごく誇らしいことだったし、大きなレーベルだったから自分たちにとって大事件だったけど、でも音楽的にはこういったものを作れというようなプレッシャーをかけられることは一切なくて、自分たちのやりたいようにさせてくれた。ただ、確かに〈ブルーノート〉と言えば世界を代表するジャズ・レーベルだから、自分たちのなかで知らず知らずのうちにそれに見合ったものを作らなきゃというようなプレッシャーをかけてしまっていたのかもしれないけどね。そして、〈XXIM〉に移ったからといって、自分たちがポスト・クラシカルなものをやっているかといえば、そうじゃないと思う。自分たちにはロックとか、ドラムンベースとか、もっとエレクトロニックなサウンドとか、そういった影響もあったりするわけで。何をするにしても、レーベルは100パーセントの力で我々をサポートしてくれて、やりたいことをやっていいと言ってくれてるから、本当に自由にできているんだ。バンドって僕ら3人だけじゃなく、マネージャーやレーベルなどを含めたチームだと思っているから、そのチームの全員がそれぞれの役割を果たしているんだ。日本だとレーベルは〈ソニー・ミュージック〉になるんだけど、世界中をツアーとかで回るときも、そうした各国のレーベルが僕らをサポートしてくれているからね。

ロブからジョンへのドラマーの交代は、バンドのサウンド面での変化をもたらしましたか?

CI:人間関係ってつねに動いたり、変化したりするものだと思うんだ。音楽に対する考え方だったり、もしくは仕事への取り組み方だったりとかに変化や違いが出てくることがあるんだけど、バンドを続けていくなかで僕とニックはより絆が深まっていって、一方ロブは離れることになってしまった。ゴーゴー・ペンギンは僕とニックによってある程度できあがっていた部分があるけど、そこに新たにジョンという個人が入ってきた。彼は僕らと音楽への考えや向き合い方をシェアできる人物だと思う。ゴーゴー・ペンギンは僕がピアニストということもあって、ピアノ・トリオというとらえ方をされることもあるんだけど、実際にはそんなことはなくて、3人が平等な関係にあるグループなんだ。グループによっては、メインがいて自分はサポート的な立場でいいと満足するミュージシャンがいたりする場合もあるけど、ジョンは決してそうではなくて、バンドの同じ3分の1を担うミュージシャンなんだという意識で挑んでくれる。一緒にやり始めて4年が経つけれど、もっとそれ以上に長くやっているような気にさせてくれるんだ。僕とニックの間には阿吽の呼吸みたいなものがあるけど、ジョンはそれを理解しようと努めるだけじゃなく、その上に新たなアイデアを出してくれることもあって楽しいんだ。僕ら3人は兄弟とか家族のように一緒にいて居心地のいい関係を築けていて、今後もさらにいいものになっていくんじゃないか楽しみだよ。

年をとるとこれまで辿ってきた道を振り返ることが増える。それは感傷的になってノスタルジーに浸るのではなくて、自分がこれまでやってきたことは一体何だったのだろう? 不要なものがあったのではないか? それは捨ててしまうべきではないだろうか? そんなことを考える時期で。(ニック・ブラッカ)

ここからは新作についていろいろ話を伺います。まず抽象的なタイトルの『Necessary Fictions』について、ニックのセルフ・ライナーでは「私たちができる限りオープンで正真正銘の人間であろうと努力し、幼少期に身につけた保護マスクを脱ぎ捨てることを意味している」と述べていますが、今回のアルバムには自身の振り返りや客観視があったということでしょうか? “Umbra” や “The Truth Within” など、自我や自身の内面を探求するような楽曲が多く見られるわけですが。

NB:直接的には『Middle Passage』という本を読んだことがヒントになっている。人が年をとって中年に差し掛かってきたころに感じることが書かれていて、たとえば若いときは先のこと、次のことばかり考えるものだけれど、年をとるとこれまで辿ってきた道を振り返ることが増える。それは感傷的になってノスタルジーに浸るのではなくて、自分がこれまでやってきたことは一体何だったのだろう? 不要なものがあったのではないか? それは捨ててしまうべきではないだろうか? ……などと自分も含めてそんなことを考える時期にきていて、それを『Necessary Fictions』という言葉に託した。そしてバンドに当てはめると、ある曲を書いて、これまでとは全然異なるタイプの曲ができたときに、周りのオーディエンスはそれを一体どう考えるだろうか? いままでと違い過ぎて受け入れられないんじゃないか? と頭に過ることがあるかもしれない。でもそうではなくて、いま自分たちが本当にやりたいこと、進むべき道を歩むことこそが大切だと思っていて、それが『Necessary Fictions』なのだと。

『Middle Passage』は誰かのエッセイ、もしくは何か心理学に関する本ですか?

NB:ジェイムス・ホリスという心理療法士の本だ。僕の妻も心理療法士で、彼女にもこの本をリコメンドしてあげたよ。僕はいろいろなことに興味があって、心理学もそのひとつなんだけど、毎週いろいろな本を推薦してくれるニュースレターに登録していて、そこからこの本を見つけたんだ。こうした具合に頭の中、心の中をいろいろな角度から読み解いていくことがとても好きなんだ。

いままでにない新しいタイプの曲によって人々が混乱するんじゃないかと仰いましたが、『Necessary Fictions』は “What We are and What We Are Meant to Be” という曲が象徴するように、過去のゴーゴー・ペンギンと現在の自分たちを対比させ、新たな世界を生み出していく姿勢が見られるのではないかと思います。その最たる例が “Forgive the Damages” で、ゴーゴー・ペンギンにとって初めてシンガーとコラボした楽曲となっています。フォーキーなムードの素晴らしい作品となっていて、これまでのゴーゴー・ペンギンのイメージを覆すものとなっていますが、どのような意図でこの曲を作りましたか?

CI:ヴォーカルを入れたり、シンガーとコラボすることは、ずっと昔から考えてはいたんだ。実際に他の人やシンガーの側からオファーを受けたこともある。そうした際には、僕らの音楽にとってそれが必要なものなら、必然性のあることなら考えるよと返事はしてきた。そうして、その必要がないままいまに至っていたんだ。今回 “Forgive the Dameges” の原型となる曲を書いたときには、ヴォーカル曲を作ろうと思ってスタートしたのではないんだ。ただオープンでまっさらの状態から始めたんだけど、作っていくなかで強く感情を揺さぶられるものが芽生えてきて、インストのままだと何かひとつ物足りないなと思うようになった。じゃあ何を入れようかってなったとき、最初はフィールド・レコーディング的に人の声や会話、ノイズを入れようとした。でも何か違う。次にスポークンワードを入れてみたけど、これもちょっと違う。じゃあ、ヴォーカルを試してみようかということで、やってみたんだ。だから、最初からヴォーカル曲を作ろうとしたんではなくて、いろいろと紆余曲折を経てできた曲なんだ。

NB:ヴォーカルのダウディは昔からの友人で、いまはスロヴァキアに住んでいるんだけど、昨年たまたまマンチェスターに来る用事があったから、そのタイミングでレコーディングに呼んだんだ。その日はマンチェスターにしては珍しく天気が良くて、スタジオにある庭でお茶を飲んで、アルバムの話とか、さっき言った心理学の本の話をしてあげた。曲のデモを彼に聴いてもらったら、歌詞を作って歌ってくれて、そうやってレコーディングしたんだ。

人間が住む場所や環境は人間にとってとても大事なものだし、僕らもツアーなどから家族や友人のいるマンチェスターに戻ってきて、いまの自分がいるのはこのホームあってのものなんだということを実感する。(ニック・ブラッカ)

ダウディ・マツィコはウガンダ人の両親を持つシンガー・ソングライターで、あなたたちとマネージャーが共通するポルティコ・カルテットのサポート・アクトを彼が務めていたときに知り合ったそうですね。彼が持つダークなムードは、ロンドンのアルファ・ミストが作るヴォーカル作品にも通じるイメージがあります。

NB:うん、わかるよ。

『Necessary Fictions』にはほかのアーティストとのコラボがいくつかあって、室内音楽楽団のマンチェスター・コレクティヴやヴァイオリン奏者のラーキ・シンと共演しています。その “Louminous Giants” や “State of Flux” では、彼らの奏でるストリングスがこれまた新たな化学反応を起こしているわけですが、こうしたストリングスとの共演はいかがでしたか?

CI:ゴーゴー・ペンギンのパートの録音は全て終わって、その録音素材を持ってストリングス用の録音スタジオへ行ったんだ。これまではつねに自分たちはスタジオで演奏して、録音していたけれど、こうした別録音は初めてのことだったよ。スタジオで自分たちの演奏が流れ、それを別のミュージシャンたちが聴いてストリングスをアレンジし、演奏していく光景を見るのはとても奇妙な感覚で面白かったよ。マンチェスター・コレクティヴはヴァイオリン4本、ヴィオラ2本、チェロ2本の8名で、ストリングス・セクションとしては小ぶりなんだけど、スタジオではとても大がかりに演奏していて、僕らの音楽がどんどん大きなものへ変化していくのが感じられた。ラーキも素晴らしいミュージシャンで、彼女ならではの個性を持つ人だよ。彼女のアンサンブルのリードの仕方がとても上手で、ゴーゴー・ペンギンにおける3人のコミュニケーションの取り方と、彼女やマンチェスター・コレクティヴのコミュニケーションの取り方はある種似ているところがあるなと感じられた。そして、僕たちの音楽を彼女たちが楽しんで演奏してくれていたこともとても嬉しかったね。音楽を通じて僕らと彼女たちが何かコネクトできた瞬間だったと思う。今回のコラボは僕たちにとってとても有益なもので、新たな可能性を示してくれた。今後もまたやるかもしれないけど、3人でやるスタイルに戻るかもしれない。いずれにしても選択肢はいろいろあって、自由なんだ。

アルバムのアートワークに用いられた写真はマンチェスターのファロウフィールドにあるトーストラックと呼ばれるビルで、ニックが撮影した写真をもとにクリスがデザインしているそうですね。このアートワークは楽曲の “Fallowfield Loops” にも繋がっていて、この曲はいまでは廃線となってサイクリングロードに用いられるマンチェスターの古い鉄道線路跡を示しています。極めてダンサブルな仕上がりとなったこの曲は、アルバム制作における最初期に作られたということですが、あなたたちがここに込めた思いを教えてもらえますか?

NB:僕とクリスはマンチェスターに近いヨークシャー出身だけど、10代のときにマンチェスターに来て以来ずっと住んでいて、もう生まれ故郷より長く住んでいるから親しみがある。もちろん市政などいろいろ問題があるのも事実だけど、大好きな町であることに変わりはない。だからアルバムを作る際に、ちょっとした敬意を表する意味でマンチェスターについて触れるのは悪いことじゃない。人間が住む場所や環境は人間にとってとても大事なものだし、僕らもツアーなどから家族や友人のいるマンチェスターに戻ってきて、いまの自分がいるのはこのホームあってのものなんだということを実感する。トーストラックは1950年代末から1960年に建てられた古いビルで、いまは廃墟となって使われていないけれど、いまもそこにそのまま残されている。マンチェスターの町並みはいろいろ変わってきているけど、トーストラックはずっと変わらずにあり続けているんだ。見た目もちょっとユニークな感じで、一種のランドマークと言えるかな。僕も日課のランニングでその前を走るんだけど、いつも面白いしいいなと思うんだ。

クリス、ニック、ジョンという3人の組み合わせがゴーゴー・ペンギンで、たまたまそれがピアノ、ベース、ドラムをやっているということ。だから、あるときその楽器が変わることがあるかもしれない。(クリス・イリングワース)

今回のアルバムはエレクトロニクスの比重がさらに増した印象です。たとえば電子的なノイズを背景とした “Background Hiss Reminds Me of Rain”、アコースティックに始まりながら、中盤以降はシンセを多用して大きく変貌する “Naga Ghost”、その逆のパターンの “Silence Speaks” などがその代表ですが、こうした方向性の楽曲には新生ゴーゴー・ペンギンの姿が表われているのでしょうか?

CI:今後こうしたエレクトリックな作品が多くなるのかどうかは、もしかしたらそうなるのかもしれないけど、いまはオプションのひとつだとしか言えないかな。アルバムは発売されたばかりで、実際のライヴでは一度も演奏していないからね。今年の末くらいからアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、そしてできれば日本、中国、オーストラリアなどをツアーしていくことになるけど、そこで演奏していくことで曲はどんどんとまた変わっていくと思うから、いまの段階で今後の方向性について言及することはできない。ひとつ言えるのは、これらの楽曲が自分たちの新しい扉を開けてくれたことは間違いないことだし、エレクトロニクスを使うことを自分たちはとても楽しんでできた。でも次のアルバムを作るときには、ひょっとしたらアコースティックに戻ってるかもしれないし、全く違う新たな楽器を使っているかもしれない。極論するならゴーゴー・ペンギンの本質はピアノ、ベース、ドラムという楽器の編成じゃないと思うんだ。クリス、ニック、ジョンという3人の組み合わせがゴーゴー・ペンギンで、たまたまそれがピアノ、ベース、ドラムをやっているということ。だから、あるときその楽器が変わることがあるかもしれない。僕はもともとクラシックを学んできたから言うけど、クラシックの作曲家はオーケストラのために曲を書くことがあれば、小さな弦楽アンサンブルのために書くこともある。でも、そうした異なる用途の楽曲でも、その作曲家の色や個性は同じなんだ。ゴーゴー・ペンギンもそうだと思っていて、アウトプットは違っても、その根底にあるものは変わらないと思うんだ。

“Background Hiss Reminds Me of Rain” に関してですが、東京都現代美術館で開催された坂本龍一の展覧会に行って、そこで受けたインスピレーションを絡めながらコメントしていますね。坂本龍一から受けた感銘や影響についてお聞かせください。

CI:僕らは坂本龍一の大ファンで、残念ながら生のライヴを観る機会はなかったんだけど、展覧会では教授が実際にピアノを弾いているかのようなインスタレーション展示もされていて、本当のライヴに近い体験もできた。“Background Hiss Reminds Me of Rain” については僕が家でシンセをいじりながら書いた曲で、それを携帯で録音してニックに聴かせたところ、音質があまりよくなかったから「まるでヒス音(シューッというような人工的な雑音)が雨音みたいだね」と彼が言って、それがタイトルになっているんだ。そのヒス音が音楽へと生成されていくというのは、ある種教授の作品に通じるところもあるんじゃないかなと僕は思っている。教授は水とか雨など自然の音を作品に効果的に取り入れて、彼の音楽からは自然そのものを感じられることがいろいろとある。彼のドキュメンタリー・フィルムでも、「耳を澄ませば世の中にはいろいろな音があることを感じられる」というようなことを言っていて、自分にとってとても腑に落ちる言葉だった。そうしたセンスは僕たちにも通じるものだと思う。

“Float” はニックが学校卒業後に海外旅行をしているなか、1年ほど滞在したタイのバンコクで見た祭りの風景がモチーフになっているそうですね。タイでは現地のミュージシャンたちとセッションし、ジャズを演奏していたとも聞きますが、文化や生活様式などいろいろ影響を受けたところもあるのでしょうか?

NB:僕の年齢がわかっちゃうかもしれないけど(笑)、大昔にガールフレンドと、いまの妻のことだけど、タイに住んでいて、本当に大好きな国だったね……食べ物もおいしかったし。“Float” のモチーフになったのはローイクラトンという水の神に捧げるお祭りで、バナナの葉で作った船にお供え物を乗せて、灯篭流しのように川へ流してお祈りをするんだ。“Float” を作曲しているころ、ちょうどこのローイクラトンについてのドキュメンタリー映像を観ることがあって、タイで暮らしているころを思い出しながら作ったんだ。僕自身は昔を振り返って曲を作ることはあまり多くはないんだけれど、この曲に関してはそうしたノスタルジーがいい具合にかみ合ったと思うよ。

タイに関連してですが、“Naga Ghosts” という言葉もタイでは蛇や龍の神々を指しているようですが、そうしたものをイメージしているのですか?

CI:いや、チリペッパーソースのことを指しているんだ。僕らは辛いもの好きだからね(笑)。

ええ、そうなんですか? “Naga Ghosts” の意味がわからなくていろいろ調べたところ、いま話したタイの神々の意味が出てきたので、てっきりそうかと。

CI:それは面白いね(笑)。

NB:うん、そうした意味があることは知っていたけれどね。僕らの曲はどちらかと言えばユングとかそうした心理学に関連するシリアスなタイトルをつけることもあるけれど、人生はそればかりじゃなくて、楽しいこともいっぱいあるわけだから(笑)。今回は深く考えずに好きなものをタイトルにしたんだよ。

7g classic’s - ele-king

 山梨と長野の高原地帯から、またしても透明感があって、しかも洒脱なポップスの詰め物が届いた。7g classic’s(ななぐらむくらしっくす)は、八ヶ岳南麓に暮らすナナマリ、長野市で暮らすgee2wo(RCサクセションの第二期におけるキーボード)のふたりからなるユニットで、2022年に『くろすけ』でアルバム・デビュー。ボサノヴァを吸収したナナマリのギターと歌、gee2woによるメロウなピアノ演奏による7g classic’sは、音楽リスニングを生活になかに取り入れている大人たちのあいだで評判を呼んで、2023年にリリースされたセカンド・アルバム『みそしる』によって、さらにその評判は広がったようだ。いま、この穏やかな音楽は多くの人たちに必要とされているのだろう。
 そんなわけで、早くもサード・アルバム『タイムマシン』が登場した。ブラジル、ジャズ、ポップス、ファンク、そしてダブまで……さまざまな音楽を咀嚼しながら、かんぜんに独自な空間を創出している。表題曲“タイムマシン”をはじめ、“Dub & Peace”や“The Treasures”、アンビエント・ボサ“Moon”、ジャジーな“長い夢”、ブルージーな“My Birthday”など創意工夫ある曲が7g classic’sの新境地を見せている。。
 聴いてみよう。この暑い夏の夜を涼しくしてくれること請け合いです。

〈アーティストからのコメント〉
 いろんなジャンルの良いとこ取りといったコンビニ弁当のような楽曲作品は世の中に腐るほどあります。我々の楽曲制作は多種多様なジャンルに存在する独自の論理に基づいた制作方法です。
あふれる情報やAi などにより人間に備わっていた第六感はほぼ消滅し、五感も退化を始めています。特に聴覚にそれを感じます。インターネット上の情報なんて殆ど嘘ばかり、どんどん思考停止が進行しています。これは現代人への警告です。情報に惑わされず純粋に音楽を聴けているか、はなはだ疑問を感じます。
 当たり前の事ですが演奏時間が1時間の楽曲を聴くのに最低でも1時間、何度も聴くのならそれ以上の時間が必要です。そういう大切な時間は自分自身で作り出すものです。それはお金で買えない貴重な財産です。時短なんて貧しい考え方です。我々の作り出す音楽は、決して通勤通学時や、スポーツ、ダンス、などのB.G.M.ではありません。できれば1人で心を落ちつかせてお聴きください。
 ってこと〜!

7g classic's
3rd アルバム『タイムマシン』CD版

2025年6月4日発売
販売元 Forest Group
FOGP-0003 定価¥3000(税込)
購入は通販サイト各種またはライヴ会場にて
Amazon購入サイト
https://www.amazon.co.jp/dp/B0F4R6VVPP

『タイムマシン』試聴動画

【サブスク配信情報】
7g classic's
3rdミニアルバム『プチタイムマシン』配信版
2025年6月28日配信開始
https://big-up.style/mA2U2Mtwhr

【ライヴ情報】
7g classic's Tour 2025
6/27(金)Apple Jump(東京)
6/28(土)カフェシングス(東京)
7/4(金)Booze Shelter(長野)
7/6(日)月下草舎(山梨)
7/13(日)open house(名古屋)
7/14(月)もっきりや(金沢)

詳細は7g classic’sウェブサイトで
https://nanamari.com/7g

【プロフィール】
ナナマリ (Vocal, Guitar, Composer etc.)
高校生の時にギターと出会い、ロックやポップスバンドを組んで音楽活動をスタート。独学で音楽理論を学び、TV番組や舞台、メジャーアーティストなどへの楽曲提供を行う。2004年に八ヶ岳へ移住後は、ブラジル音楽に傾倒し、ギター弾き語りスタイルでのライヴ活動を開始。2008年1st Album「雨粒」をはじめ、カヴァー作品を含む計5枚のCDをリリース。

gee2wo (Piano, Keyboard, Composer etc.)
1980年代ロックバンドRCサクセションのメンバー(キーボード担当)として活躍。RC退団後は世界(主に中東)を旅し、のちに自然豊かな信州に移住。ジャズ、ブラジル、ロック、レゲエなど様々なジャンルの音楽を追求し、新たなスタイルの確立を目指す。2020年長野市内に念願のプライベートスタジオが完成し、制作に没頭する日々を送る。

6月のジャズ - ele-king

 今月はヴォーカル作品に良作が揃った。クリスティ・ダシールはワシントンDC出身で、ノース・キャロライナ州グリーンヴィルで育ったジャズ・シンガー。マンハッタン音楽院に学んでメリーランド州のストラスモア・ミュージック・センターで研究を行い、現在はハワード大学でジャズの声楽を教えている。ちなみに同大学で音楽学部長を務めるのはボビー・ワトソンのグループなどで演奏してきたベーシストのキャロル・ダシール・ジュニアで、クリスティの父親でもある。アルバム・デビューは2016年の『Time All Mine』で、セカンド・アルバムの『Journey In Black』(2023年)は本年のグラミー賞のジャズ・ヴォーカル・アルバムにもノミネートされた。兄弟のキャロル・ダシール3世がドラマーを務めるこのアルバムは、自身の出目であるアメリカの黒人やその歴史について掘り下げ、彼女の祖母をはじめとした祖先が歌っていた黒人の民謡も取り上げている。

Terri Lyne Carrington And Christie Dashiell
We Insist 2025!

Candid

 そんなクリスティ・ダシールが、現在のアメリカにおける女性ミュージシャンの党首的な存在にあるドラマーのテリ・リン・キャリントンと組んで『We Insist 2025!』を作った。『We Insist!』は1961年にドラマーのマックス・ローチが、妻であるジャズ・シンガーのアビー・リンカーンらと作ったアルバムで、作詞はオスカー・ブラウン・ジュニアが担当した。奴隷解放宣言100周年を記念した作品で、当時高まっていた公民権運動のスローガンにも掲げられた。ローチの叩き出すアフロ・リズムにアビーのメッセージ色の濃いヴォーカルが絡み、アート・ブレイキーのようなアフロ・キューバン・ジャズやハード・バップを土台にフリー・ジャズにも踏み込んだ演奏を見せ、後のブラック・ジャズやスピリチュアル・ジャズの土台になったといえる重要作だ。この作品をリリースした〈キャンディッド〉による企画で、その『We Insist!』の2025年版が実現した。楽曲は『We Insist!』収録曲のカヴァーほか、アビー・リンカーンへのオマージュを綴った “Dear Abby” など。演奏はモーガン・ゲリン、マシュー・スティーヴンスなど、テリのグループで演奏してきた面々が中心となる。

 ビリー・ホリデイの後継者の位置にあったアビー・リンカーンは、『We Insist!』では黒人霊歌や民謡、ブルースなどの要素を感じさせる歌を見せ、ポエトリー・リーディングからシアトリカルな演劇風、土着的なアフリカ民謡やフリーキーな叫び声など、変幻自在で前衛的なパフォーマンスを披露していた。『We Insist 2025!』でのクリスティは、アビーの歌に忠実に沿いつつも、そこにネオ・ソウルやファンクなどの要素も交え、現代的にアップデートした歌を見せる。黒人霊歌風のアカペラで始まる “Driva’man” はアフロ色が強い演奏で、ロイ・エアーズ風のヴァイヴも交えた中で、スキャットを交えたクリスティのアドリブも素晴らしい。現在であればカサンドラ・クロスからジョージア・アン・マルドロウに通じる歌と言える。1960年の南アフリカのシャープビル虐殺事件に対する曲である “Tears for Johannesburg” は、硬質でミステリアスなジャズ・ファンク調の演奏に乗せ、クリスティのワードレス・ヴォイスは怒りと悲しみが入り混じった感情を吐露していく。アビーの歌を下敷きにしつつ、あたかも亡霊のような歌声である。


Tyreek McDole
Open Up Your Senses

Artwork

 タイリーク・マクドールはハイチ系の黒人シンガーで、ニューヨークを拠点に活動する新進の25歳。ジョニー・ハートマンやレオン・トーマスなど男性ジャズ・シンガーの先人たちから影響を受け、2023年にサラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンペティションで優勝し、一躍注目を集めることになった。そうして作ったデビュー・アルバムが『Open Up Your Senses』。大ベテランのケニー・バロンはじめ、サリヴァン・フォートナー、ロドニー・ホイテカーといった経験豊富なメンバーが演奏に参加。比較的若手ではブランフォード・マルサリス・カルテットのジャスティン・フォークナーや、ファラオ・サンダースの息子であるトモキ・サンダースなども参加する。

 収録作品はカヴァー曲が多く、ニコラス・ペイトンの “The Backward Step”(禅思想に基づく作品で、クリスティ・ダシールが般若心経を取り入れた歌詞で歌っていた)、セロニアス・モンクの作品でカーメン・マックレーが歌詞をつけて歌った “Ugly Beauty” などをやっている。特に注目はタイリークが強く影響を受けたレオン・トーマスの作品で、ファラオ・サンダースとの共作となる “The Creator Has A Master Plan” と “The Sun Song”。“The Creator Has A Master Plan” はトモキ・サンダースのテナー・サックスを交え、まさにファラオ・サンダースとレオン・トーマスへのオマージュが散りばめられている。“The Sun Song” の牧歌的でフォーキーなフィーリングも素晴らしい。もうひとつ出色のできとなるのがホレス・シルヴァーの “Won’t You Open Up Your Sense”。原曲はアンディ・ベイの歌をフィーチャーしたブルージーなワルツ曲で、4ヒーローもカヴァーしていたことがある。そもそもタイリークのバリトン・ヴォイスは比較的アンディ・ベイに近い感じで、彼からもかなり影響を受けていることが読み取れる。サリヴァン・フォートナーのエレピ演奏も印象的で、タイリークもオリジナルのアンディ・ベイに倣ってブルース・フィーリングを出しつつも、自分なりの自由なスタイルで崩しながら歌っている。


Arjuna Oakes
While I'm Distracted

Albert's Favourites

 アルジュナ・オークスはニュージーランド出身で、最近はロンドンに拠点を移して活動するシンガー・ソングライター/ピアニスト/作曲家。2019年にデビューEPとなる「The Watcher EP」をリリースし、男性シンガーで言えばホセ・ジェイムズの路線を継ぐような歌を披露していた。声質自体はホセよりも高く、より中性的でソウルフルな魅力を持つ。そして、ギタリスト/プロデューサーのセレビーことカラム・マウワーとコラボしてエレクトリックな作品を作ったり、作曲家のジョン・プサタスとのコラボではアンビエントな側面を見せるなど、プロデューサー/トラックメイカー的な側面も持つ。そうした活動を経て、ファースト・アルバムとなる『While I'm Distracted』をリリースした。

 『While I'm Distracted』の共同プロデューサーは盟友のセレビーが務め、ニュージーランドの音楽仲間がサポートする中で、1990年代より長い活動を続けるネイサン・ヘインズの参加が目を引く。ストリングス・セクションも交えた編成の中、アルジュナはヴォーカルのほかにピアノ、キーボード、シンセ、プロダクションを担当する。楽曲のプロダクションは極めて現代的なもので、“Won’t Let This World Break My Heart” はフライング・ロータスドリアン・コンセプトなどのビート・ミュージック調とも言える。“No Joke” はゴーゴー・ペンギン的な演奏で、“Catch Me” は有機的なストリングスによってコズミックな世界が作られていく。それらの上で歌うアルジュナのヴォーカルは非常に中性的かつオルタナティヴなもので、デヴィッド・ボウイがマーク・ジュリアナやダニー・マッキャスリンらとやった『Blackstar』あたりの世界を連想させる。こうした歌やジャケットからも伺えるが、アルジュナはジェンダーレスなアーティストのようだ。


Snowpoet
Heartstrings

Edition

 スノウポエットはロンドンを拠点に活動するローレン・キンセラとクリス・ハイソンによる男女ペア・ユニット。ローレンが作詞とヴォーカルを担当し、クリスがピアノ、キーボード、シンセ、ベース、ギター演奏などから作曲/プロダクション全般を担当する。2014年にデビューEPをリリースし、2016年にファースト・アルバムをリリースした後は、カーディフで設立されたジャズ・レーベルの〈エディション〉から作品をリリースしているが、一般的なジャズ・ユニットやジャズ・ヴォーカルものとは異なり、もっとオルタナティヴでエレクトロニックな要素を持つアーティストである。ローレンの摩訶不思議でフェアリーな歌声を含め、ビョークと比較されることもある。〈エディション〉から『Thought You Knew』(2018年)、『Wait For Me』(2021年)とリリースしてきて、『Heartstrings』は4年ぶりの新作となる。

 これまではエレクトロニックなスタジオ・ワークを軸にアルバム制作を行ってきたスノウポエットだが、『Heartstrings』は参加ミュージシャンを交えながら、スタジオでセッションや作曲を行ってできたアルバムである。そうしたライヴ・パフォーマンスの生々しさや即興演奏の妙味を入れて作られていることを含め、スノウポエットにとってもっともジャズらしいアルバムと言えるかもしれない。ダイナミックなドラム・ビートに導かれる “Host” では、ローレンの歌はポエトリー・リーディング調のクールな始まりから、次第に熱とエモーションを孕んで高揚していく。彼女の歌には英国のトラッドやフォークの影響を感じさせる部分があり、そうした点でも英国ならではのユニットだなと思う。“Our World” はスノウポエットらしい繊細で美しい楽曲で、アコースティックとエレクトリックのバランスが素晴らしい。ゆったりとしたテンポの “one of those people” は、スノウポエットならではの牧歌的でメロウなバラード。『Heartstrings』は人生における喪失や再生がテーマとなっているそうだが、そうした豊かでエモーショナルな世界観が込められた楽曲である。

Nazar - ele-king

 ナザールはこの7年間で、もっとも躍動的な新世代ブラック・エレクトロニック・ミュージックのプロデューサーのひとりとなった。彼は、インダストリアル・ノイズとアフリカン・ビートの神学とが直感的に衝突することに熱烈な愛を抱いている——それは、論理、政治、宗教、そしてアフリカ大陸の歴史の深層に根を持つものだ。ナザールの音楽的探求は、1980年代にアンゴラで生まれた大衆ダンス音楽クドゥーロの土壌から芽吹いている。アンゴラ発のクドゥーロはこの数十年のあいだ、地元アンゴラの無数のプロデューサーたち、あるいは欧州へと渡った移民、またはナザールやDJナルシソのような第一世代の息子や娘たちによって、鮮やかに再構築され、変容を遂げてきた。
 ナザールの眼を通して見れば、彼のクドゥーロは混成的なものだ。それは独自の領域にあり、伝統的なプロデューサーならば恐れて足を踏み入れぬような新たな環境のなかを、彼は自由に歩んでいる。「Enclave」EPと初のフルアルバム『Guerrilla』は、ヨーロッパ各地のダンス・ミュージック・プロデューサーのなかにおいて、彼独自の声を確固たるものとして示した。彼のアイデンティティにおいて決定的だったのは、アンゴラの戦争、そしてその戦争における家族の関与と、それに対する音楽を通じた内省だった。彼のデビュー作では、そのテーマ性と鋭利なビートが健康的に融合していた。

 あれから5年が過ぎ、ナザールは『Demilitarize』で再び姿を現した。これは明らかに、彼の出世作『Guerrilla』への「呼応」であり、前作同様にタイトルは声明である。ただし今回は、目の前の風景を予見するのではなく、むしろ内なる精神の解放を指し示している。ナザール自身もこれはより「個人的な」アルバムだと述べており、サウンドスケープはまさにそれを裏づけている。

 『Guerrilla』をパンデミック初期に発表し、続いてCOVIDの合併症により1年近く死の淵を彷徨うような病に苦しんだナザールは、すべてを経て自ずと別の視座に至った。オープニング・トラック“Core”は、彼の新たな美学への温かく誘うような導入部である。かつてのような耳を刺す粗さは影を潜め、厚みのある音像はなおも跳ねるが、より空気のように、スピーカー越しに漂い出る異質さが、アルバムの最後まで全曲を貫いている。『Demilitarize』は、非常に統一感のある、一貫したアルバムである。
 大きく異なるのは、ナザールが「個人的な」方向へと向かうなかで、アルバムの大半において自ら歌うという選択をした点だ。この選択こそが、『Demilitarize』の印象を大きく変えている。とりわけ印象的なのは、その歌声のほとんどが意味を捉えがたく、にもかかわらず前面に出て美しいアレンジを背景へと押しやることで、音像が平坦に感じられる点だ。楽曲の構造は主にヴォーカルを支えるものとなり、ビート・アルバムとは異なる時間感覚——より速く過ぎていくような印象——をもたらす。全体の尺が短く感じられるのはそのためだろう。

 これは、現在の「男性の感情の脆さを表現する」ソーシャルな波に対する、ひとつの参与とも読める。ビートは引っかかり、途切れ、また唐突に現れては消える——まるで時間自体が不安定になっているかのように。だからこれは、ダンス・レコードではない(踊りたくなる瞬間はあるとしても)。これはヘッドフォンで聴く音楽であり、よりポップへの希求に傾いた作品だ。歌詞はしばしば時間を攪乱する——旋律だけではなしえない方法で。歌詞、あるいは歌声の感触は、時間そのものを変容させる。このアルバムがインストゥルメンタルのみで構成されていたならば、印象はまったく異なっていたに違いない。
 そして、それが聴き手の求めるものであるならば、この作品はすばらしいだろう。ただし全体の尺は36分30秒。この簡潔さは、音のなかを浮遊したり、潜り込んだりする快楽に逆らう——というのも、身体がようやくその中に安住しかけた頃には、すでに音は過ぎ去っているからだ。『Demilitarize』は繰り返し聴くに値する作品だが、同時に、より大きな作品へと至るための「通過点」としてのアルバムでもあるのではないかと私は考えてしまう。デジタル的な音響の美しさは豊潤だが、2曲目以降、アルバムの流れは容赦なく突き進み、ほとんど呼吸の余地を与えない。36分30秒の終盤、9曲目“Heal”においてようやく、それまでの圧力から抜け出すように音楽は水面へと浮上する。海の底から現れるクジラのように——ここでようやく、楽器そのものが主導権を握る。アルバムのラストは、音楽のなかでの苛立ちと不確かさに対する、意図された吐息のようだ。

 けれど、私はまだ問いを抱えている。というのも、5年ものあいだ大きなリリースがなく、ようやく届けられた作品がEP程度の分量であることが、やはり気になるのだ。そんなふうに思いを巡らせていたら、ふと1920年へと思いが跳んだ。
 『春の祭典』が初演された年だ。あの伝説的な上演——新しい音響に対して聴衆が激しく反発したあの出来事。ストラヴィンスキーがこの全楽曲を書き上げるのにかかったのは、わずか1年半である。コンピュータなどなかった時代、すべての楽器パートの譜面を手書きしなければならなかった。しかも、まったく未知の楽曲の力学を、オーケストラに教え込まねばならなかった。そして、その演奏時間は33分だった。


Nazar has become one of the best producers of kinetic new black electronic music in the last 7 years. Fervently in love with intuitive clashes of industrial noises and African beat theology rooted deeply in the core of the continent`s history, logic, politics, and religion, Nazar grows his musical explorations from the soil of Kuduro, an Angolan popular dance music that began in the 1980`s. The music of Kuduro from the country of Angola has been over the last couple of decades vibrantly recalibrated and mutated by the numerous local Angolan producers and those who immigrated to Europe or were first generation sons and daughters such Nazar or Dj Narciso. Through Nazar`s eyes, his Kuduro is a hybridity, in its own realm, surrounded by new environments that free him to walk down new roads traditional producers would fear. The “Enclave” ep and his first full album “GUERRILLA” firmly established his voice among other producers of dance music across Europe. Key to his identity at this time, was the back drop of the war in Angola, his family`s participation in it, and reflections on it through his music. The subject and constant sharp beat merged healthily together with his debut.
5 years have passed and Nazar has re-emerged with Demilitarize. An obvious “response” to the “call” of his breakthrough album Guerrilla, the title is again a statement like his last but this time pointing toward the release of the inner psyche rather than forecasting the landscape before the eye. He has stated that this is more of a personal album and the soundscape of the release proves that true.
Nazar, having released Guerrilla directly at the start of the pandemic, having survived an almost year long near death sickness due to COVID complications, came out of all that naturally out with a different perspective. “Core”, the first track, is an inviting warm introduction to his new aesthetic. Previous abrasion lacking, soundscapes are still thick bouncing but more ethereal through your speakers emitting an otherness that connects all the tracks til the very end. Demilitarize is a very united consistent album.

What is different is that in turning toward the “personal” Nazar made the choice to sing throughout the majority of the album. This choice makes Demilitarize feel different. Namely cause most of the vocals are mostly unintelligible, the vocals take centerstage and end up pushing the beautiful arrangements to the background, and feel monotone. The music mainly supports the vocals and time itself feels different, faster than a beat album. It feels remarkably shorter. This is a push toward inclusion in the current social wave of expressing male vulnerability while beats jerk and stop, jerk and stop. Sometimes disappearing totally before they mysteriously reappear.
So to be clear, this isn`t a dance record (though you may be inclined to do so at times), it`s a headphone listen. And a lean toward more pop yearnings. Lyrics often disrupt time in ways pure melodies cannot. Lyrics or the feel of lyrical vocals changes time. This album would be viewed vastly differently if only instrumental.
And all this is good if that is what you are looking for. But the whole album is 36:30 minutes. The brevity works against the beauty of the floating and diving that you do when surfing on all the sounds cause they are over before you can relax within them. Demilitarize is worthy definitely of many listens but I also wonder if it is a stepping stone album, an album that is needed for an artist to reach an even greater work. The digital sonic beauty is luscious but from the 2nd track, the flow of the album plows right ahead not allowing for much breathing room. The tail end of the 36:30 feels more like a whale arising to the air. This emerging from the depths of the ocean in the 9th track “Heal” lets the instrumentation take charge. The end of the album a purposeful exhale for the frustration and uncertainty in the midst of the music.
But I still have questions. Because fives years of no major releases is a long time to only get a ep`s worth of music. Because in wondering many things, I have to ponder back to 1920 when

“The Rite of Spring” was performed. A quite legendary performance. Fierce discontent by the audience from the new sonorities. It`s a fact that it only took Stravinsky a year and a half to write all the music for the composition. There were no computers so all the sheet music for each instrument had to be painstakingly written to perform. And the orchestra had to be taught the dynamics of the unknown composition. And it was also 33:00 minutes.

interview with Rafael Toral - ele-king

 Bandcampに掲載されたラファエル・トラルのプロフィールによると、彼はそのキャリアを通して、‶サウンドのなかの音楽と、音楽を超越したサウンドのあいだを行ったり来たりしている〟という。このポルトガル出身の音楽家は、実験音楽の世界でもう30年以上も極めて重要な存在であり続けているが、目下のところ、昨年のアルバム『Spectral Evolution』をきっかけに再評価の波に乗っている。このアルバムは、トラルの尽きることのない探求心の溢れる実践のさまざまな要素——初期の『Wave Field』(1995)などで聴かれた液化したようなギターの音色や、2004年から2017年に取り組んだ「Space Program」時代に収集した、規則にしばられない自由なDIYの電子楽器の数々など――が融合された、記念碑的な作品なのだ。なかでも、鍵となる構成要素は、伝統的なジャズのハーモニーで、“アイ・ガット・リズム”や“A列車で行こう”の即座に認識可能な(ただし、氷河の形成のごとくゆっくりとした)コード進行が、アルバムに意外な情感の重みを与えている。
『Spectral Evolution』は、3年がかりの骨の折れる緻密な制作プロセスの結果であり、その間トラルは作品の56ものヴァージョンを制作した。アドヴァイスを求めて友人のジム・オルークに聴かせると、感銘を受けたオルークは、長年休止状態にしていた自身のレーベル〈Moikai〉を再始動させ、アルバムを発売するために動き出したのだった。
 2008年以来となる日本ツアーでオルークと石橋英子と共演する前に、トラルはEメールでのやりとりを通じて、音楽家としてのジャズとの関わり、ますます醜くなっていく世界のなかでの美の重要性、そして、『Spectral Evolution』をライヴで演奏した際に経験した‶愛のフィードバック〟について語ってくれた。
 この会話は明確さの保持と長さを考慮して編集されている。

ますます醜くなっている世界において、私たちは美しいもの、広い意味での美しさ、単に綺麗というだけではなく高潔さをそなえたもの、たとえば、誠実さなどから手を離すべきではないんだ。

『Spectral Evolution』についての昨年のトーン・グロウとのインタヴューで、あなたは「このレコードを作るために多くのことを学んで研究し、開拓する必要があった」と語っていました。これについて、もう少し教えていただけますか?

ラファエル・トラル(Rafael Toral、以下RT):まず、このアルバムにはたくさんのジャズ・コードが含まれているんだけど、それらを繋ぎ合わせるためには、自分が何をやっているのかを明確に知らなければならなかった。ひとつの音符が本来あるべき所からずれるだけで、和音が違う色調に変化する仕組みを理解する必要があったんだ。私にはその準備ができていなかったから、正しい形に仕上げるために説得力を持たせて、最終的に美しく仕上げるまでに相当な努力を要した。その過程でジム・オルークに助言を求めたら、彼がリリースを決断してくれたという経緯がある。

あなたとジムとの関係について教えてください。ふだんから、制作途中の作品を共有することはあるのでしょうか? それとも、今回だけが特別だった?

RT:ジムとは1995年頃からの大の仲良しで、最初に出会ったのはシカゴでだった。彼は常に忙し過ぎるぐらいだったから、私のことで煩わせようなんて思ったことはなかったんだ。でも、今回だけは違った。アルバムでやろうとしたことが自分の能力を超えてしまい、私はアレンジやハーモニーのことで苦慮していた。だから背に腹は代えられないと思った。ジムが私よりも音楽の多くの分野で知識が豊富だと知っていたから、友人として音を聴いてほしいと頼んだんだ。

ご自分の能力の限界を突破するのは、あなたの仕事では日常的なことのように思うのですが、このような挑戦を続けるための意欲はどこから得ているのでしょう?

RT:私はただ、自分がすべきことを理解しようと思っているだけかな。自分の力をどこに注ぐべきなのか、やりたいことの中核はどこにあるのか、その時の前向きな動きとは何か、何が言われているのか、そしてそれが私の名を冠してやる価値のあることなのかどうか。多くの場合、それは私が土台から築き上げなければならないもので、約束とヴィジョンを伴うものでもある。私はたとえそれで自分を追い込むことになっても、実行するしか選択肢がないことが多いんだ。もっと言えば、私たちはまだ進化が終わっていないことを忘れがちだけど、人間には進化する義務があると思っているんだよ。

あなたの仕事において、美の役割があるとすれば、それは何ですか?

RT:(考えながら)うーん、役割ではないかもしれないけれど……私は一方では、20世紀の文化に浸って育ってきた。つまり、大雑把にいえば、キュビズムからパンク、セリエリズムからグリッチまで、構造の解体や脱構築、破壊することで忙しかった。私が若い頃には、美しいものを真っ当な芸術として見なすべきではないとする風潮があったんだ。これは当然、ものすごく粗雑な一般論だけど、私はそういった束縛から自分を解放して、美を現代の芸術には不可欠な要素として受け入れる必要があると思った。これは延々と議論することができる話で、要約するのは難しい。もう一方で、美というのは、単なる文化的で美学的な話でもなくて、個人の好みを超えたところにあるものだ。好みと、私たちが目で見て、耳で聴くことへの生物学的、そして神経学的反応には、多くの重複する部分がある。例をあげると、完全5度の響きを美しく感じるのは、実は単純な数学的な比率の3対2の隔たりに基づく音程で、自然な振動現象だ。その振動が人の身体の細胞を共鳴させ、背筋が寒くなるぐらい良い音だと感じると、もう何が起きているのかわからなくなる。美とはそれほど深いところにまで届くんだ。最後にもうひとつ、ますます醜くなっている世界において、私たちは美しいもの、広い意味での美しさ、単に綺麗というだけではなく高潔さをそなえたもの、たとえば、誠実さなどから手を離すべきではないんだ。

ピタゴラスは正しかったというわけですね! この科学的な側面について、深く掘り下げたことはありますか?

RT:私は科学にはあまり入こんでいないかな。科学は文明の柱のひとつではあるけれど、測定できないものや、説明できないことを欠いている側面もある。むしろ私は、頭でそういったことを‶知る〟ことを避けている。私は直感で自分の動きを確認するようにしているんだけど、それは直感が脳よりも身体に根差した知識からくることが多いからだ。そして、何よりもその辺はリスナーが音楽を自分なりに取り込むことができるように、オープンにしておきたい思いがある。

あなたが言及された‶高潔さ〟という資質は、優れた芸術と凡庸な芸術を差別化する要素のひとつでもある気がします。美しさについての考えを再考することになった特定のきっかけはあったのですか?

RT:今日、醜さが飛躍的に増加していることや、文明の衰退……なんかであることはたしかだね。不思議なことに、美を守り続けるのは、生存戦略となりつつあり、精神の健全さを保つための意識的な努力にほかならない。それは、広義に理解された美しさのことだ。たとえば、嘘を広めるよりも、事実を認識する方が美しい。あるいは、対立する世界を結んで、対話を促すような美しさ。それが『Spectral Evolution』の核心なんだ。

『Spectral Evolution』に収録された最終ヴァージョンを制作するのに、それだけの労力がかかっていることを踏まえると、それをライヴで演奏したときの感覚はどのようなものだったのでしょうか?

RT:コンサートは、アルバムから構造的な恩恵を受けているので、非常に隙の無い構成になっていて、ライヴで聴く音の響きは、まるで物理的にサウンドフィールド(音場)に没入しているような感覚になる。ハーモニーの情感的な側面と、振動の物理的な体験が結びつけられているんだ。オーディエンスにとっては、とても強烈な体験になっているようで、たまに「泣きそうになった」と打ち明けてくれる人もいる。私にとって、リスナーを音に引き込むことが重要で、それによって愛のフィードバックが生まれるんだよ。

‶愛のフィードバック〟とは、素晴らしい表現ですね! これはあなたとオーディエンスの関係性についての多くを物語っていると思います。

RT:一部のコンサートでは、その感覚が非常にクリアに感じられるんだ。このアルバムとすべての音は愛を込めて制作され、オーディエンスもまた、愛を込めた聴き方で受け入れてくれ、彼らの積極的な関与と、感情の質がステージに送り返されてくるんだよ。

私は常にオーディエンスを敬愛してきたし、彼らの人生で活用できる何かを提供できることにすごく感謝している。何かを捧げて、それが良い受け取り方をされると、それ自体が自分にまた贈り物として戻ってくるんだ。私はいつも、彼らが自宅を出てチケットを購入し、私が演奏するどんな音をも聴くために時間を費やしてくれることを思うと、それに値するものを提供しなければいけないと、心に誓っている。

あなたのキャリアを通じて、オーディエンスとの関係性は、どのように発展してきたのでしょうか?

RT:私は常にオーディエンスを敬愛してきたし、彼らの人生で活用できる何かを提供できることにすごく感謝している。何かを捧げて、それが良い受け取り方をされると、それ自体が自分にまた贈り物として戻ってくるんだ。私はいつも、彼らが自宅を出てチケットを購入し、私が演奏するどんな音をも聴くために時間を費やしてくれることを思うと、それに値するものを提供しなければいけないと、心に誓っている。

『Spectrum Evolution』をライヴで演奏す際に経験されたという激しい感情的な反応は、
新しいことなのでしょうか? 過去の他のプロジェクトからも同じような反応を引き出したことはありますか?

RT:これは新しい体験なんだ。過去にやってきたことよりもずっと情感のこもった作品だし、ライヴではそれを激しい形で表現しているから。

アーティストのなかには、‶感情的(ルビ:エモーショナル)〟な音楽を、あなたが先ほど美しさについて述べたような、疑いの目で見る人もいると思います。あなたもおっしゃったように、これはあなたにとって新しい領域だと思いますが、どうやってここに辿り着いたのでしょう?

RT:はっきりとした感情を扱うのは、私にとっては新しいことだけど、決して意図的なものではなかった。私としては、感情をオープンにしながらも、抽象性を保つことで、リスナーが自分自身の感情を投影できるようにしたいと考えているんだ。これらのハーモニーには感情が組み込まれていて、そこから逃れることはできないと思う。でも、実は、私はそのサウンド自体により興味があるんだけど。

『Spectral Evolution』のライヴは、パフォーマンスごとにどれほど違うものなのでしょうか?

RT:ライヴ版は、拡張されていて、一部の移行部はよりゆったりとしたテンポで演奏している。当初、このアルバムは、ライヴ演奏をする前提で作ったものではなかった。だから、可能な限りライヴでは多くのギター・パートを実際に演奏し、そのいくつかでは即興している。それでも、全体的にはすごく一貫性を保っているよ。細部のヴァリエーションはあるけどね。会場の響きとPAの設定が決定的な影響を与えるから、毎回良い音にするために、何時間もサウンドチェックに費やしている。

あなたのサウンドチェックにはどういったことが含まれますか? その一連の流れを効率化するためのメソッドをお持ちですか? それとも毎回が新しい挑戦のようなものなのでしょうか?

RT:その両方だね! 良い会場で良いPAシステムがあれば作業は楽になることもあるけど、普通は、課題が見つかるものだ。もちろん順序立ったやり方をしていて、強烈でありながらも人びとを誘い込むような、サラウンドな、コクのある音を作るのを目標にしている。誰かを無理に押すようなサウンドではなく、引き込むような音。支配するのではなく、包み込むようなサウンドをね。会場ごとに全然違うから、綿密なチューニングが必要なんだ。

昨年末にあなたが『The Wire』誌で発表した「Wire Mix」を聴いていたのですが、あれはアルバムの素晴らしい補完物となっていますね。ケニー・バレルは本来、私の好みではないのですが、この文脈では完璧に理に適っています。興味本位でお聞きしますが、あなたと伝統的なジャズとの関係はどのようなものなのでしょうか?

RT:常に軌道上の衛星になったような感覚だね。ものすごく注目しているけど、自分は別の場所に立っているような。以前、フリージャズに影響を受けた私のエレクトロニクスのプロジェクト「Space Program」について、こう言及したことがある。‶音楽以外の、すべてがジャズだ〟と。それとはまったく異なる理由から、同じことが『Spectral Evolution』にも当てはまるんだ。ジャズにおける高い人間性には心からの敬意を抱いている。学ぶべきことも、感じるべきことも多い。(ジャズには)知性と心のための深い層が存在するんだ。

あなたのジャズへの理解と、先ほど挙げていただいたような特徴は、歳を重ねるごとに深まっていると思いますか?

RT:ああ、それは確かだね! 私が15歳だった頃、ジャズは理解できなかったし、興味も持てなかった。たまには良いと思えるものに出会うことはあったけれど、それを理解するための知識や経験がなくて、5年か10年経ってから、ようやくその真価を認められるようになった。それらの意味や価値は、それをどのように採り入れるかによって変化していく。例えば、初めてケニー・バレルを聴いたときには、彼がもっとも刺激的なジャズ・ギタリストだとは思えなかったけど(なんとも二〇世紀らしい考え方だね)、自分が演奏するようになってからは、彼をより尊敬するようになった。

あなたはジャズのギタリストとしての技術を持っていると思いますか?

RT:えーっ? いや、まったく! できるだけ学んで吸収したいと思ってやってはいるけど、それはジャズ・ギタリストを目指してやっていることではないし。私は実際の‶音楽〟ではなく、演奏される音に興味を持っているんだ。

「Space Program」時代には、完全にギターから離れていたのですか?

RT:15年間ギターに触っていなかったね。より多くを要求されるギター文化を受け入れるようになった今、まるで一から始めるような気持ちになる。学ぶべきこと、練習すべきことが多くてハードルも高いから、8歳ぐらいの子どもに戻ったような感じだ。困ったことに、自分はほとんどのギター特有の表現法に興味がないのに、それでも演奏はしたいから、どうやったらいいのかと考え中だ……。

あなたは最近、「Layers」という新作からの抜粋を発表しましたね。それについて何か教えていただけることはありますか?

RT:「Layers」は、持続音が蓄積されて、少しずつ互いを置き換えていくという作品で、調性音楽から無調に変化させながら演奏される。その後、とんでもなく複雑に変化し続けるハーモニクスを生み出す装置に通されるんだ。これは、完全にライヴで演奏するための新作だ。「Layers」は、創作過程としてのパフォーマンスを指向した、単一の作品であるのに対し、『Spectral Evolution』は、作曲における繋がりの広い領域を表している。「Layers」はすでに未来の一部であり、自分が愛することを実践している。未知と対峙するということを。


■ラファエル・トラル公演概要
Scaffold #1

2025.06.26
京都 Club METRO | OPEN 19:00 / START 20:00  
早割¥4,000 ドリンク代別途 [受付期間:5/19 17:00〜5/23 23:59迄]
前売¥5,000 ドリンク代別途
https://www.metro.ne.jp/schedule/250626/

2025.06.28
鳥取 jig theater | OPEN 18:00 / START 19:00  
前売 \ 5,500 (定員80名)
https://x.gd/WLRbt

2025.07.01
渋谷クラブクアトロ| OPEN 18:00 / START 19:00
前売 ¥6,000 ドリンク代別途
https://www.club-quattro.com/shibuya/schedule/detail/?cd=017126
出演者: Rafael Toral / Jim O‘Rourke×石橋英子

お問い合わせ:
京都Club METRO: ticket@metro.ne.jp
鳥取jig theater:mail@jigtheater.com
渋谷クラブクアトロ:03-3477-8750

主催 (Organize):PARCO
制作(Produce):DOiT / CLUB QUATTRO
協力(Cooperation):Club METRO / jig theater

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interview with Rafael Toral

Written by James Hadfield

As Rafael Toral’s Bandcamp profile puts it, he’s spent his career “bouncing between the music within sounds and the sounds beyond music.” The Portuguese musician has been a vital presence in the world of experimental music for over three decades, but he’s currently enjoying a renaissance on the back of last year’s “Spectral Evolution.” A landmark work, the album unites different strands of Toral’s endlessly inquisitive practice: the liquefied guitar tones heard on early releases like “Wave Field” (1995); the menagerie of unruly DIY electronic instruments he assembled during his “Space Program” period, which ran from 2004-2017. The key ingredient is classic jazz harmony, including the instantly recognisable (if glacially slow) chord progressions of “I Got Rhythm” and “Take the ‘A’ Train,” which give the album a surprising emotional heft.
“Spectral Evolution” was the result of a painstaking three-year process, during which Toral produced 56 versions of the piece. When he turned to his friend Jim O’Rourke for advice, the latter was so taken by what he heard, he revived his long-dormant Moikai label in order to release it.
In an email exchange with Toral ahead of his first tour of Japan since 2008 – where he’ll be sharing a bill with O’Rourke and Eiko Ishibashi – the musician discussed his relationship with jazz, the importance of beauty in an increasingly ugly world, and the “feedback of love” he’s experienced while performing “Spectral Evolution” live. The conversation has been edited for clarity and length.

Speaking about “Spectral Evolution” in an interview with Tone Glow last year, you said you “had to learn and study and develop a lot in order to make this record.” Can you expand on this?

Well, the album has lots of jazz chords and to connect these chords together you need to know what you’re doing. I had to understand why and how a single note out of place steers a chord into a different colour. I wasn’t prepared for that, so a lot of work went into having it done correctly, then convincingly, then beautifully. As I was struggling with that, I asked Jim for advice, and that’s how he decided to release it.

Can you tell me about your relationship with Jim? Do you often share your works-in-progress with him, or was this a special case?

Jim and I have been great friends since 1995 or so; we first met in Chicago. He’s always been way too busy, so it doesn’t occur to me to distract him with stuff. But this case was different: I was struggling with the harmonies and arrangements, because the album was beyond my capacities and I knew I didn’t have a choice but to climb up to that bar. I knew Jim has much more knowledge in many fields of music than myself, so I asked him to listen, as a friend.

Reaching beyond your capacities seems to be a regular thing in your work. Where do you find the motivation to keep pushing yourself like this?

Well, I just try to make sense of what I am supposed to do: Where should my energy go, and where is the nexus of what I want to do; what is a positive move in its time, what is being said, and whether it should bear my name. Very often, it turns out to be something I must build from the ground up and it entails a promise, a vision. I don’t really have a choice but to fulfil it, even if that means I’ll be pushing myself. Besides, I guess it’s easy to forget we’re not done with evolution: I think we actually have the obligation to evolve.

What role does beauty have in your work?

[Thinking] Well, maybe not a role, but… on the one hand, I’ve grown up immersed in 20th century culture, which, broadly speaking, was mostly busy with dismantling/deconstructing/destroying structures, from cubism to punk, from serialism to glitch. When I was young, anything that was “beautiful” was not to be considered seriously as legitimate art. This is a very gross generalisation, of course. But I felt I needed to claim freedom from that and embrace beauty as something integral to today’s art. We could discuss this forever – I can’t really put it in a nutshell. On the other hand, beauty is not simply cultural/aesthetic; it goes beyond one’s likes and dislikes. There’s a lot of overlap between preferences and our biological and neurological response to what we see and hear. Like, a perfect fifth sounds great and is beautiful, but it’s an interval from a simple mathematical proportion, 3/2, and is a natural vibrating phenomena that has the cells in your body resonating, and who knows what else is happening, when a sound gives you chills down the spine because it’s so good – beauty does go that deep. And lastly, the world is getting so ugly that we better hold on to what is beautiful – in a broad sense, not just pretty, but anything that contains elevated qualities, like integrity, etc.

Pythagoras was right! Have you delved much into the science of this?

I haven’t gotten into the science much. Science is a pillar of civilisation but also lacks everything it can’t measure and explain. I also try to keep away from “knowing” that sort of thing with my head. I try to validate my movements with intuition, often from a kind of knowledge that pertains more to the body and not so much to the brain. And besides, I always prefer to leave that open, for the listener to have their own way to integrate the music.

I think the elevated qualities you’re talking about are also often what separates great art from the mediocre. Was there any particular impetus that made you reconsider your thoughts about beauty?

Definitely today’s exponential increase of ugliness, the decline of civilisation… holding on to beauty is strangely becoming a survival strategy, a conscious effort towards sanity. And yes, beauty understood broadly. Like, acknowledging facts is beautiful, as opposed to spreading lies. Or the beauty of bringing opposite worlds together and having them talk to each other: That’s what “Spectral Evolution” is all about.

Given how much work was involved in producing the final version of “Spectral Evolution” heard on the album, what’s it been like performing it live?

The concert benefits from the album’s structure, which makes it very solid, and the way it sounds live is like being physically immersed in a sound field. It connects the emotional aspects of harmony with the physical experience of vibration. It seems to be intense for the audience; sometimes people tell me they almost cried. For me, it’s important to draw listeners into the sound and that creates a feedback of love.

“Feedback of love” is a great image – I think it says a lot about the relationship you have with your audience.

In some concerts, it can be felt very clearly. These sounds and this whole album have been made with love and it’s been met with a loving way of listening by the audience, and that engagement, that quality of feeling, beams back to the stage.

How has your relationship with your audience developed over your career?

I’ve always respected the audience very much and I’m grateful for how I’m able to contribute something they use in their lives. When you give something and it’s well received, that receiving is in turn a gift back to you. I always commit myself to deliver something that justifies their getting out of their homes and buying a ticket and spending their time listening to whatever I play.

Are the intense emotional reactions you’ve encountered when performing “Spectral Evolution” something new, or have you elicited similar responses with other projects in the past?

This is new, as it’s much more emotional than anything I’ve done before, and it’s delivered with intensity.

I think there are artists who'd view "emotional" music with the same suspicion you talked about earlier, in relation to beauty. As you said, this is new territory for you, but how did you arrive here?

Dealing with clearer emotions is new to me and is unintentional. I like to keep emotions open and abstract so that the listener can project their own. These harmonies have emotions built-in and it’s almost impossible to escape them. I’m more interested in their sound, however.

How much does “Spectral Evolution” vary from one performance to the next?

The live version is expanded; some transitions take a more relaxed time. The album was not originally conceived to be played live, so I play as many live guitar parts as possible, and a few of those are improvised. But it’s very consistent: The variation is in the details. The room acoustics and the PA configuration have a decisive effect, and that’s why I spend hours of soundcheck making it sound good every time.

What does your soundcheck involve? Have you found any ways to streamline the process, or is it always a challenge?

Both! I mean, sometimes a fine PA in a good venue makes things easier, but it’s usually a challenge. I do have a sequenced method and the goal is to create a surround body of sound that is intense but invites people in. A sound that doesn’t push you, but pulls you instead. A sound that isn’t there to dominate, but to embrace you. Every room is different, so the tuning has to be very precise.

I was listening to the mix you did for The Wire at the end of last year, and it’s a fascinating complement to the album – Kenny Burrell isn't normally my thing, but he makes perfect sense in this context. Out of interest, what’s your relationship like with the jazz tradition?

It’s always been like a satellite in orbit. Totally focused in but standing elsewhere. Once I said about the Space Program (my previous free-jazz inspired project of electronics), “It’s all jazz, except the music.” For entirely different reasons, the same applies to “Spectral Evolution.” I have a lot of admiration for the heightened humanity of jazz. There’s a lot to learn and a lot to feel. Layers of depth for the mind and heart.

Do you think your appreciation of jazz, and the qualities you mentioned, has deepened as you get older?

Oh yes, indeed! When I was 15, jazz just didn’t make sense to me and I didn’t have any interest in it. Sometimes, I’d come across something that I could acknowledge was good but I didn’t have the references or experience to process it, eventually becoming able to appreciate it only 5 or 10 years later. The meanings and values change with respect to how you integrate them. For example, when I first heard Kenny Burrell, I thought he wasn’t the most exciting jazz guitarist (there goes the typical 20th-century thinking). But when I started playing, now I’ve come to respect him a lot more.

Do you have jazz chops as a guitarist?

Gosh, no! I do try to learn and absorb everything I can, but it’s definitely not towards becoming a jazz guitarist. I’m interested in the sound of the guitar as it’s played, more than the actual “music”.

Did you completely step away from the guitar during your Space Program period?

I didn’t touch a guitar for 15 years. As I’ve embraced a much more demanding guitar culture, I feel like starting from scratch. There’s so much to learn and practice, because the stakes are so much higher, so it’s almost like I’m 8 years old or so. To make it more difficult, I find myself uninterested in most guitar idioms, but I still want to play – so I’m figuring out what…

You recently released an extract of a new piece called “Layers.” What can you tell me about it?

“Layers” is an accumulation of sustained notes, gradually replacing themselves, played with varying degrees of tonal intention. Then it goes through some gear that brings out incredibly complex and shifting harmonics. It’s a new piece to be played fully live. “Layers” is just one specific thing, more simple and completely oriented to performance as a creative process, as opposed to “Spectral Evolution” which is a broad field of connections in composition. “Layers” is already part of the future and doing what I love: engaging with the unknown.

GoGo Penguin - ele-king

 クラシックを背景に持ちつつも最先端のエレクトロニック・ミュージックを指向するような。あるいは、ミニマル・ミュージックを影響源としながらも、ダンス・ミュージックとしても十全に機能するような。マンチェスターのピアノ・トリオ、ゴーゴー・ペンギンの新作『ネセサリー・フィクションズ』は、複数のジャンルを貫通するハイブリッドの所産と言っていいだろう。

 2023年の『エヴリシング・イズ・ゴーイング・トゥ・ビーOK』で新ドラマーのジョン・スコットを迎え、〈ブルーノート〉からベルリン拠点のレーベル〈XXIM Records〉に移籍。フジロックにも出演した彼らは、屈強なライヴ・バンドとしてもならし、日本のfox capture planと並び、コンテンポラリー・ジャズの新しい領野を切り拓いてきたピアノ・トリオとしてシーンに屹立してきた。

 冒頭2曲から惹きこまれる。“Umbra”“Fallowfield Loops”では重厚でヘヴィな音色のウッドベースが、執拗な反復により聴き手を深い酩酊へと誘う。特に後者は曲名の通りループ構造が露わになっている。冒頭で反復されるのはおそらくプリペアド・ピアノだろう。琴のようにも聞こえるし、エイフェックス・ツインの『アンビエント・ワークス』を連想する人もいるに違いない。
 地鳴りのような低音が強調される“What We Are and What We Are Meant to Be”は彼らなりのベース・ミュージックといった趣きで、ダブの要素もある。人力ディレイとでもいうべきか、スネアのリムショットを巧みに重ね合わせて残響を現出させているところなど、とびきりユニークだ。雨音とヒスノイズが交差する“Background Hiss Reminds Me of Rain5”は彼らなりのアンビエントとでも言うべきトラックである。
“Living Bricks in Dead Mortar”はスローでダークなトリップ・ホップ風だし、“Naga Ghost”はドラムンベースのニュアンスがある。全体的にメランコリックな空気が際立ち、泣きのメロディが支配しているのも特徴だ。ヴァイオリンが主旋律をリードする“Luminous Giants”などにその傾向が顕著である。

 かように多用な要素が交錯するアルバムだが、ぶっといウッドベースがその重心を支える背骨の役割を果たしている。普通ジャズのピアノ・トリオというと、リズム隊が底辺を支え、そのうえでピアノが自由にソロを取るというイメージを抱きがちだが、彼らはまったく違う。ウッドベースが中軸をなし、ピアノはその上にのっかり、ドラムは軸を補強する。ビートを先導するのもウッドベースである。

 2021年の『GGP RMX』では、コーネリアスやスクエアプッシャーや808ステイトが彼らの曲をリミックスしていたが、同作は既に彼らの音楽の〝踊れる〟側面を浮き彫りにしていた。その発展形として、このアルバムがあると言えるだろう。ダンサブルでありながら、人力ならではのオーガニックな感触は損なわれていない。こんなアルバム、ゴーゴー・ペンギンにしか作れないだろう。

dazegxd - ele-king

 在日アメリカ人DJ・migeruが東京を拠点に展開するパーティ・シリーズ〈GOODNIGHT〉が、7月25日(金)にCIRCUS TOKYOにて40回目の開催を迎える。記念すべき本回のゲストには、先日Web ele-kingでも取り上げたハイパーポップ/デジコアの第一人者ジェーン・リムーヴァーのサポートDJとしてツアー全日程に帯同中のdazegxdを招聘。

 dazegxdは、ポスト・ハイパーポップの潮流をリードするアメリカのインディ・レーベル〈DeadAir〉とニューヨーク・ブルックリン拠点に活動するプロデューサー。自身の手がける作品群は、ゼロ年代のVGMやレイヴ・ミュージックに影響を受けたジャングルやドラムン・ベース、(2020年代以降のリヴァイヴァルの潮流を汲む)アトモスフェリックなブレイクコア、そしてガラージなどのベース・ミュージックだそうだ。「NYCガラージ」という、(UK的なそれではない)新たな流れもSwami Sound、gum.mp3といった面々とともに牽引中で、昨年には自身の主催するコレクティヴ〈eldia〉によるパーティの東京編を初開催するなど、日本のポップ・カルチャーへの愛も深い。

 また、本回をサポートするローカル・アクトには、先日〈POP YOURS〉にも出演した国産ハイパーポップの代表的存在であるlilbesh ramkoによるライヴ、discordsquad2k、666、wagahai is neko、Yurushite Nyan、GOODNIGHT CREWによるDJセットがラインナップされている。いずれもコロナ禍以降のクラブ・シーンに出現した、ジャンルレスでエッジの効いたプレイを得意とするプレイヤーたちだ。

 2020年代以降様変わりしたクラブ・シーンの世界的潮流と、日本のローカル・シーンでいま起きていることが交わる興味深い一夜と思われる。昨今の流れに馴染みの薄い人も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

7/25 (Fri)
GOODNIGHT vol.40
at CIRCUS TOKYO
23:00 OPEN / 5:00 CLOSE
ADV: ¥2,500+1d / DOOR: ¥3,500+1d

Ticket: https://circus.zaiko.io/e/goodnight40

Special Guest
dazegxd (Brooklyn, NYC)

LIVE
lilbesh ramko

DJ
666 (yuki+maya)
discordsquad2k (fogsettings+ikill)
wagahai is neko
Yurushite Nyan
GOODNIGHT CREW (skydoki+NordOst+migeru)

VJ
emiku
suleiman.jp

world’s end girlfriend - ele-king

 去る6月13日、world’s end girlfriendの新曲 “Helix of frequency, Phenomenon of Love and Void (feat. Jessica)” がリリースされているのだが、なんとも興味深い試みが為されている。

https://virginbabylonrecords.bandcamp.com/track/helix-of-frequency-phenomenon-of-love-and-void

 作詞・作曲はworld’s end girlfriend。アートワークには山田優アントニの作品を使用。ヴォーカルにJessica、コーラスにMON/KU、ヴァイオリンにkumi takahara、チェロにSeigen Tokuzawaを迎えた同曲は、無料でダウンロードできるかわりに、聴き手はあるルールを遵守しなければならない。そのルールとは――
 曲を聴きながら以下のメッセージに目を通して、world’s end girlfriendがなにを思い今回のリリースを決断したのか、考えてみよう。

この楽曲は無料(または任意の価格)でダウンロードが可能ですが、
聴くものには以下のルールが課されます。

以下、ルール表記とコメント。
―――――――――

この楽曲を聴かれる方は、以下のルールを遵守してください。
If you listen to this song, please follow the rules below.

―――――――――
ルール:
The Rules:
*この楽曲は、無料または任意の価格を設定してダウンロードすることができます。
**This song can be downloaded for free or at an arbitrary price.

*この楽曲を聴いたその日から、「1年間、生きる」というルールがあなたに課されます。
(ルールを拒否し楽曲を聴かないという選択もできます)
**From the day you listen to this song, a rule is imposed upon you: "Live for one year."
(You may also choose to reject these rules and not listen to this song.)

*この楽曲は、個人間で自由に受け渡すことが可能です。
ただし、その場合も同じルールが受け取った方に課されます。
**This song can be freely transferred between individuals. However, the same rule will be imposed on the recipient in that case.

*YouTubeやSNSなど不特定多数が視聴できる場での楽曲の公開・配信は禁止とします。
**Public sharing or distribution of the song on platforms accessible to an unspecified number of people, such as YouTube or SNS, is prohibited.
―――――――――

これは楽曲に約束が付随し、あなたが自分自身とそして私と約束(または優しい呪い)を交わすようなもので、あなたと楽曲との関係性はどうなるのかの実験です。
This is an experiment to see how your relationship with this song evolves, as it comes with a promise(or a gentle curse), like you are making a commitment to yourself and to me.

お楽しみください。
Please enjoy.

world’s end girlfriend

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