「IR」と一致するもの

interview with Meitei - ele-king


冥丁
古風

KITCHEN. LABEL / インパートメント

ElectronicaAmbient

Amazon

 劣化したテープの触感はビビオを想起させる。じっさい、ビビオの音楽はすべて聴いているという。リズミカルにばちばちと火の粉を散らすクラックル・ノイズは、他方で、ベリアルを彷彿させもする。そこへ乱入してくる、くすんだ古の女性の歌声と「和」の雰囲気──。なるほど、たしかにこれは斬新なアプローチかもしれない。当人としてはとくにノスタルジーを意識しているわけではないそうなのだけれど、すくなくともサウンド面で「過去」が重要なテーマになっているのはまちがいない。
 広島在住のプロデューサー、冥丁のニュー・アルバム『古風』は「失われた日本」をテーマにしている。時代のばらつきこそあれ、“万葉”、“花魁”、“貞奴”、“縁日” と、曲名からもそのコンセプトは明確だ。といっても、彼が「日本」を題材にするのは今回が初めてではない。海外で評価された前々作『怪談』(2018年)や前作『小町』(2019年)もそうだった。そもそも「冥丁」じたいが、「日本の古い文化」を追求するためにはじまったプロジェクトだという。
 日々ニュースをチェックしていると、日本は完全に「後進国」になったんだなと痛感せざるをえないような事件ばかりが報道されている。そんなご時勢に叫ばれるのが無根拠な「日本すごい」「日本美しい」といった感情論であるのは、まあ、お約束ではあるけれど、どうも冥丁のコンセプトはその種の日本賛美とは一線を画しているようだ。「もっと日本に誇りを持つことができる活動をしたい」と、一見愛国主義的ともとられかねない発言もあるが、たぶんそれは「クールジャパン」のような政策とはちがった観点から、あらためて「日本」を描きなおしてみたいと、そういうニュアンスなのだろう。
 サンプリング~フィールド・レコーディングを駆使し、独特のざらついたエレクトロニカ~アンビエントを響かせる冥丁、彼の追い求める「過去」の「日本」とは、ではいったいどのようなものなのか? メール・インタヴューを試みた。

本だけではなく、料理人の作る料理、そしてその空間、香り、上質な素材で作られた洋服に袖を通すときなどに、音楽の用途のインスピレーションが湧き上がるんですよね。

まだあまりプロフィールも知られていないと思いますので、バイオ的なことからお伺いしたく思います。音楽をやりはじめたのはいつごろで、そのきっかけはなんでしたか?

冥丁:エレクトリック・ギターを21歳のときに購入しました。そこからはギターをプレイすることに夢中でした。きっかけはジョン・フルシアンテの『Niandra LaDes and Usually Just a T-Shirt』。ただそのときにはまだ本格的な作曲はしていませんでした。
 本格的に作曲しはじめたのは25歳くらいからだったと思います。テープMTRを使っての作曲からスタートして音楽の面白さを知りました。PCでの作曲は便利すぎると感じたので、最初の入門編としてはテープの4トラックMTRが望ましいと感じました。でもだんだんとそれが24トラックの真空管内臓のデジタルMTRになり、28歳くらいから Cubase で制作をするようになりました。

冥丁さんの音楽は、大枠では「アンビエント」や「エレクトロニカ」、「フィールド・レコーディング」といったことばで分類することができるかと思いますが、どのような音楽/音楽家に影響を受けてきたのでしょう?

冥丁:音楽をするきっかけをくれたのはジョンと、当時付き合っていた彼女でした。でも影響を受けたアーティストとなると、絞ることが難しいです。単純に聴いているアーティストにダイレクトに影響を受けているかどうかは僕自身わからない。
 最近は BTS の “Your eyes tell” を100回聴きました。いつも気に入った楽曲は100回聴きます。なので同じような音楽ばかりを年間通して聴いているような感じかもしれません。ジョン・ケイジの “In a Landscape”、“Dream” も100回聴きしていますね。
 いろいろなミュージシャン、アーティストの音楽を普段から聴くことはあるのですが、聴いている音楽と作っている音楽はいまのところ違いますね。自分が音楽を作るときに、音楽からインスピレーションを得ることはほとんどないと思います。
 昨日広島の蔦屋書店で本を見ていたのですが、とてもインスピレーションを受けました。そういう場所で、いろいろな情報を目の当たりにすると、もっとこういう音楽が世の中にはあるべきだと思い付くんです。本だけではなく、料理人の作る料理、そしてその空間、香り、上質な素材で作られた洋服に袖を通すときなどに、音楽の用途のインスピレーションが湧き上がるんですよね。理由なくして音楽は生み出せないと僕は考えています。理由が湧き上がってから、それに向けて音楽を作るタイプです。
 考えてみたら、いつも作品のアイデアを音楽ではない環境から受け続けてきました。僕は本質的にミュージシャンでもアーティストでもないと思っています。だからプロデューサーかな? と思っています。音楽を作ること以外の音楽との関わり方に興味がありませんでした。だからクラブ、ライブハウスに行きたいと思ったことがなく、冥丁のおかげで、そのような場所に行くチャンスをもらいました。僕にとってそれは大きな経験になりました。

「冥丁」というアーティスト名の由来は? 「酩酊」は関係ありますか?

冥丁:「酩酊」と関係はないですね。「冥」の漢字は人びとが見落としている闇のなかの存在を再編していく意味を表しています。「丁」は「使い、奉公する人」の意味を表しています。「冥丁」は人びとが見過ごしてきた真実を音楽で現代に新たな印象値のクリエイトとして表現するブランドです。希望のある未来を見出したいと言う意味を込めています。

「日本の古い文化」を活動のテーマにしようと思ったのはなぜ?

冥丁:僕自身が日本を知りたかった、そして日本人としての表現を世界に発信したいと思ったからです。以前専門学校時代にフランス人の先生にお世話になっていました。彼女から言われた言葉をいまも覚えています。「君は日本人なのに、なぜ日本の要素を作品に入れることに積極的ではないのですか?」
 この文章だけ見ると、伝えづらい意味があるので、補足します。彼女はたぶん現代の日本人が普通に表現する日本という概念自体が、日本のテンプレート化された虚像にすぎないような印象であると思っていたのだと思います。現代の日本文化はそのような流れのなかにあるとも僕は思います
 いまはその意味がわかります。日本にはたくさんの音楽がありますが、同じような文脈で語られる音楽が多い印象を感じました。それは僕が日本人だから、きっとそう思うんです。ルーツ・ミュージック、特定のシーンの音楽、東京の音楽(*)など、文脈通りに一様に音楽が作られている日本文化のあり方が疑問でした。一連の流れができあがっている。でもその外でも音楽はきっと作れる可能性があるにもかかわらず、それに誰も希望を持っていません。「外」とは、音楽を好きな人たちの外を意味しています。本当の外です。
 そう考えたときから、自分が納得のいく作品ができるまでは音楽関係の人たちと一切関係を持たないことに決めました。7年間の間、ひとりで音楽を作り続けました。京都にその間住んでいましたが、新しい友人も作らないようにしました。なので府外の人が時々、京都に来て僕に会うだけで、僕は京都で孤独に生活をしていました。爽やかな孤独がそこにはありました。もう一生そのような時間を持つことはできないでしょう。
 そのときの僕は、そのような状況において自分自身がどのような音楽を作るのか楽しみでした。環境が最も大切な要因だと思っていました。そういう環境のなかで、「失われた日本」というテーマに出会いました。きっかけは本屋さんで偶然小泉八雲の怪談のリイシューを発見したのがはじまりでした。これを音訳する義務があると直感したんです。「Lost Japanese mood」というフレーズが浮かびました。そこで周りを見たときに、そのような音楽を作る人びとは誰もいなかったということに気が付きました。誰もしていないことをしないと、自分自身が次の人生の次元に進めないと思ったんです。
 実際、でもどうして日本人は日本の遺産を表現しないのか疑問に感じたことをいまでも覚えています。いまも感じていますし(文化の継承はありますが)。音楽を作る理由と意味がなければ、音楽を創造する理由が見当たらないように感じました。このときに、そのような隠れた自分の深い意識のあり方を発見したと思います。
 それから制作が進むにつれて、もっと日本に誇りを持つことができる活動をしたいと感じるようになりました。でもそれは最近ですね。日本にはたくさんの興味深いテーマがあります。そういうものを音で印象値化するようなプロセスにとてもワクワクしています。
 東京の音楽、音楽史の音楽を作るような人材は潤沢に揃っていますが、歴史の文脈とは違う文脈で、それでいて日本にフォーカスした音楽を作っている人がいなかった。それを残念に感じました。そういう人がいないということが、現代の日本社会の閉塞感を表していると突きつけられたような気がしました。
 『古風』を作りながら学んだことですが、こんなに昔と比べて自由に色々なモノを作れる環境にいるのにもかかわらず、現代人は同じような場所にみんなで寄り添って生きている。そこに未来の希望の光が僕には見えませんでした。自分が目指すのは日本の印象値をアイコニックでユニークな表現として仕上げ世界中に届けることなんです。そこに希望を感じます。そのための最初のステップとして「失われた日本」をテーマにした作品の制作に突入しました。

*編註:冥丁の補足によれば、どんな場所に住んでいてもおなじような音がつくられ、それが「東京」に集約されているように映る昨今の状況のことだそう。「東京であろうが、なかろうが、作られた土地感が出ないのが現代の音楽で、それは結局東京からアウトプットされるような文化の構造があると思います」と彼は指摘する。


photo: Yuri Nanasaki

文脈通りに一様に音楽が作られている日本文化のあり方が疑問でした。一連の流れができあがっている。でもその外でも音楽はきっと作れる可能性があるにもかかわらず、それに誰も希望を持っていません。「外」とは、音楽を好きな人たちの外を意味しています。

お住まいは広島ですよね。広島という地はご自身の音楽に影響を与えていると思いますか?

冥丁:特に意識して影響を受けている面はないと思います。おそらく引っ越しすると、影響を受けていたことに自然と気がつくと思います。
 以前住んでいた京都については、住みながらにして影響を受け続けていることに気がつくほどでした。学びが多い孤独な街でした。人生で最も影響を受けた街、場所だと思います。
 また住みたいです。そこでアルバム一枚作りたいですね。

2018年の『怪談』が『ピッチフォーク』で評価され、翌年『小町』もレヴューが掲載されました。そのときはどんな心境でしたか?

冥丁:『ピッチフォーク』を知らなかったので、実感がありませんでした。冥丁関係者がみんな喜んでいたので、それで僕も嬉しくなりました。チームで喜びを分かち合えたことが最高でした。国籍の枠を越えて、みんなで仕事できるのは最高です。そう感じました。

新作『古風』をシンガポールのレーベルから出すことになった経緯は?

冥丁:僕のNYの友人(ジェフ)が〈KITCHEN. LABEL〉のリックスを紹介してくれたんです。そこからリックスと連絡を取るようになりました。〈KITCHEN. LABEL〉の存在は知っていました。特に美しいアートワークの作品群には、以前から憧れのようなものを抱いていました。『古風』ができあがって、どのレーベルからリリースするかを慎重に考えました。色々なオファーがありました。NYの僕の友人は冥丁の世界観を理解し、最もパフォーマンスを向上してくれるレーベルと一緒にいるべきだとアドヴァイスをくれました。
 実際まだ音楽業界の知識、そしてノリを知らないので(いまも)、〈Metron Records〉のジャックや〈Evening Chants〉のナイジェルなどに相談しながら考えていました。丁度そのときにNYの友人が僕に〈KITCHEN. LABEL〉を提案してくれました。彼はリックスを知っていたので、すぐに連絡をしてくれました。そこからリックスもすぐに返事をくれて、今回のリリースに向けて新しいチームで動きはじめました。一年前です。そのときは冥丁の世界観とリックスのデザイン、そして〈KITCHEN. LABEL〉のアートワークが合体したらと考えているとワクワクしました。絶対うまくいくと確信していました。
 結果的にそれは美しいデザインのパッケージになったと思います。世界各国の色々な人たちから良いレヴューをもらっています。『古風』のリリースのおかげで、日本人の方々からの声も最近ようやく聞くことができるようになりました。とても気に入っているアルバム。世界中のみんなに推薦したいです!

サウンド面で『怪談』(2018)→『小町』(2019)は連続性があるように感じられますが、『古風』は少しスタイルが変わった印象があります。『怪談』『小町』が「静」だとすると、『古風』は「騒」になったように感じました。声のサンプルが多いからか、あるいはポップな “花魁I” やインダストリアルな “少年” のような曲があるからもしれませんが、このサウンド面での変化はアルバムのテーマと連動しているのでしょうか?

冥丁:もちろんです。いつもテーマに準じて音楽を作るのが冥丁の活動で重要なことだと認識しています。テーマがあるおかげで、なぜ自分が音楽を作る必要性があるのか(もう十分に世の中には音楽が溢れているので、これ以上に同じようなタグ付けで済まされるような音楽を作りたくないと思っています。なので作るのであれば他にはないような音楽でないといけないと思います)を、再確認することができます。
 『怪談』と『小町』が似ているのは、『怪談』の制作時に『小町』のトラック(「夜分EP」)をサンプリングしていたからです。『怪談』のなかで “池” (「夜分」、『小町』収録)は “骨董” になっています。時系列を話すと「夜分EP」からはじまり、『怪談』を作り、『古風』に進むことになりました。「夜分EP」の “池” や “波” などの4トラックが後に『小町』(“Kawanabe Kyosai” などの『小町』のもう半分のトラックは『怪談』の制作時に並行して作っていました)に収録されることになりました。なので、『古風』の前に作っていたアルバムは『怪談』だったんです。『怪談』制作中に日本の古いヴィジュアル・イメージによく出くわしていました。それでそのときから、次のサウンドの想像をよく頭のなかで巡らしていました。『小町』はしっとりとしたムード、『怪談』はコミカルで実験的なサウンド、『古風』はさらにそこに感情的な要素が相まって仕上がったような感覚を持っています。
 それに加え、古い日本のヴィジュアル・イメージからどのようなサウンドの質感が適切か厳格に選びました。「夜分」(『小町』)のときは京都の嵐山(宇多野エリア)に行って夜の大気を知ろうとしました。『怪談』は小泉八雲の怪談からはじまり、水木しげるなど、その周辺へとイメージを拡げ、音に仕上げました。厳密に言えばもっと様々なものに影響を受けていますが。
 そして『古風』はそのようなイメージから、江戸、明治、大正、昭和(歴史上の人物、当時の日常風景など、時代の香り)のムードの音訳、それに加え新たな音楽性の挑戦欲も相まって、以前のサウンドとは違うものになりました。そのような音の世界観を僕自身も肯定できたので嬉しかったです。

[[SplitPage]]

世間の意識に自分の自意識を立て、反応した結果として作品を作る人が大勢います。でもそれは健康的な社会とは言えず、病的な状況だと僕は感じています。そこに未来の希望はないです。

ピアノなどの新たにクリエイトした音と、過去のサンプル音源をおなじひとつの曲にするときに苦労した点や注意したことがあれば教えてください。


冥丁
古風

KITCHEN. LABEL / インパートメント

ElectronicaAmbient

Amazon

冥丁:単純な、ただのミックス・サウンドにさせないことが重要ですね。タイミングなど、音と音の被り具合のバランスなど、とても細かくチェックしています。サウンドコラージュは生演奏で到達できない想像上の世界のムードを作りあげます。ピアノのサウンドは僕のオリジナルですが、今回はサンプリングした30’sの音素材をたくさん使いました。それらを掛け合わせるときに本当に苦労しました。どれくらい音にヒビを入れるか? そしてどれくらい耳障りな音にしておくべきか? 反対にどれくらい繊細に音の「ぬめり」を出すか? ぬめりと言っても伝わりづらいかもしれませんが、舌触りみたいな感覚です。特にエレクトロピアノの音にはそのような視点で臨みました。
 音楽史のなかでの音楽的なバランスという概念を重視せずに、音楽を作ることに最後まで戸惑っていました。なぜなら僕が知っている音楽はもっと綺麗で、既存の要素が多いものでしたから。自分の壁を破ることが大変でした。自分のなかの常識をいつも越えたいです。それは斬新さと言われる印象かもしれませんし、「型破り」ではなく、「形無し」だとも思われる可能性もあります。
 ひとつの概念の扉を閉じるということは、もうひとつの概念の扉を開けることになると思っています。概念の扉を開けるときは新たな常識を肯定する勇気が必要です。ただ物事の差異を選び分けるという知性とは違う次元の挑戦だと言えます。勇気と情熱なんです。熱量で勝負したい。その熱さというものが『古風』の音楽をより感情的で、激しい音のぶつかり合う瞬間をプロデュースするに至らせてくれたと感じています。
 もしそれがなければピアノとサンプリングの単純な古い音と新しい音のミックスで終わっていたと思います。そのようなサウンドでは『古風』とは言えないと思いました。熱さが『古風に』は必要だと思いました。現代の日本にも。

古い音源を用いているからかと思いますが、本作ではかなり多くクラックル・ノイズが鳴っています。たまたま入ってしまったというより、リズムに合わせて効果的に用いられているように感じたのですが、これは意図的なものですよね?

冥丁:そうです。

ザ・ケアテイカーベリアル、あるいはビビオは聴きますか?

冥丁:ビビオについては全ての音楽を知っていると思います。ビビオの音楽に自然と影響を受けていると思います。ザ・ケアテイカー、ベリアルについては最近知りました。海外の人たちから僕の音楽(『古風』)と彼らの音楽スタイルには共通点があると言われています。


photo: Saki Nakao

テーマとは僕らにとって希望なんです。希望を持っているとは、結果的にテーマに基づいて人生を生きるということだと僕は考えます。どんな希望を描いているかが現代の音楽制作で最も大切なことです。

「日本の古い文化」といっても、たとえば今回は「万葉」(平安以前)から「花魁」(江戸以降)、「川上音二郎と貞奴」(明治~大正)まで、かなり幅があります。ざっくり「日本の古い文化」ということで一緒くたにすることに、抵抗はありませんでしたか?

冥丁:もちろん抵抗がありました。正直にいうと貞奴さんだけでアルバムを作る方が本当は良いと思います。本心でそう思います。そして『花魁勝山』というアルバムも通しで作ってみたかったです。実際勝山(花魁)についてはたくさんトラックを作りました。そのなかからセレクトしてアルバムに収録させて頂きました。吉原遊郭のサウンドトラックも作ってみたいですね。
 僕自身の希望を言えば、たとえば、菌類研究の南方熊楠の生涯、そして宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の音訳作品など、それぞれのアルバムを作って行きたいくらいですが、冥丁はそれにOKを出してくれませんでした。なぜかと言うと、それはあまりにも膨大な時間がかかりますし、冥丁は僕にとってビジネスなので、そのような永遠と続くような作業は僕自身の人生に負荷がかかり過ぎると感じました。
 これはプロデューサー目線ですが、現代の日本に必要なテーマ性のある音楽をもっとたくさん作っていく必要がある。なので個人的に興味のある人物を掘り下げたくとも、他にも次の挑戦が控えているので、妥協しなければいけない部分があります。
 もし冥丁がパトロンを持つことができれば、僕はもっと歴史のワン・シーンにじっくり腰を据えて音楽アルバムを作って、それをみんなでシェアしたいと思います。そのような状況にならない限り、そこまでの制作時間を捻出することは不可能です。精神的、身体的、そして財政的にもリソースがないので。諦めてはいません。いまは保留です。
 たぶん映画監督の人たちと同じような心境かもしれません。彼らはたくさんの企画を持っていますが、そのなかから実際制作に移ることができるのは、ごく僅かなものらしいです。もっと冥丁は色々なジャンルの人たちと新しい音楽の仕事について話し合い、音楽の未来を模索していかなければいけないのかもしれません。いまは広島なのでそういった話ができる人たちとの出会いを十分に持つことはできませんが……コロナ期でもありますし。でもポジティヴです。

“女房” や “花魁” は虐げられた女性たちを描くという観点の曲のようですが、サンプルされた音声は意味がわからないようになっているため、ただ音のノスタルジックな部分だけを聴かれて、逆の意味にとられる可能性もありますよね。「女房」がなんでもやってくれた時代、和服を着た「花魁」がいた時代、つまり「男性にとっての “古き良き” 時代」へのノスタルジー、というふうに。そこはどう思われますか?

冥丁:作り終わった後に僕も同じ質問を自分自身にしました。当然出てくる問いかけのひとつですよね。その質問に対しての納得のいく答えになるかどうか分かりませんが……男性目線の作品であることを冥丁は意識しています。ノスタルジーを故意に表現したいとは思っていませんが、そういうことは現代で尊いことだと感じています。
 その点について説明すると、ノスタルジーの視点を最後まで持たずに僕は『古風』の制作を終えました。ただ目の前だけを見て、走り切りました。作り終えて一年ほど経ったときに、いま受けている質問と同じような問いかけを思いつきました。なぜそれを思いついたのかというと、一般的(一般論)な地点に立ってみたからでした。そこには繊細な現代社会の意識が網のように張り巡らされているようでした。男性目線の回答なのでは? というアンサーも自分自身のなかに見つかりました。でもそのときに、僕はそれで良いと思いました。冥丁は男性ですから。逆に男性目線の作品になっていないと不健康です。
 世の中がより繊細で複雑になるなかで、より一層閉塞的な意識の網が社会を包囲していると僕は思います。その状況下で、世間の意識に自分の自意識を立て、反応した結果として作品を作る人が大勢います。でもそれは健康的な社会とは言えず、病的な状況だと僕は感じています。そこに未来の希望はないです。
 僕が今回『古風』の制作(冥丁の活動)で学んだことがあります。それは一般的な文脈上の事例、見聞を参考にして、そこに意識を向けるのではなく、体圧、体感、つまり肌感覚を通じて時代の文脈では語りきれない点から、作品をプロデュースし、現代の文脈のなかに提出することが大切だと感じました。
 多くの日本人は生真面目にも正解というテンプレートを日常的に必要としているように感じます。音楽はそれが顕著です。既存のジャンルを頭のなかでタグ付けしてハイブリッドな音楽を作っている人が多いからです。それは計算して作る音楽で、それが正解ではありません。そもそも音楽に正解はないと思います。音楽以外のことでもそうです。
 たとえばひとつの目線を通して、世の中をみます。そうすると違う場所でも、同じように自分の目線で世の中を見る人がいます。賛同されたり、反対されたりします。世界(人間社会)とはそういうコンセプトなんです。それが悪くもないし、良くもないです。ここにも正解はない。僕らの世界は、そういう正解の決してないコンセプトの次元で存在しているということです。だから人間はテーマ(人生の意義)を持って生きているのです。
 つまりテーマとは僕らにとって希望なんです。希望を持っているとは、結果的にテーマに基づいて人生を生きるということだと僕は考えます。『古風』は冥丁のテーマに基づいて作られたアルバムです。アルバムは僕にとって希望なんです(だからこの僕の示す希望に対して意見が違う人も少なくからず存在すると考えることができます。世の中そういうコンセプトですから)。
 僕がこのアルバム『古風』で見た世界は過去の私たちの先祖たちが感じた粗野な感情の塊なんです。生々しい音が鳴り、汗をかき、熱風の吹き荒れた世界なんです。なので今作が男性目線のノスタルジーであるということは健全なことだと僕は感じます。それでいいのです。僕が仮に男性目線で作品を描くことに疑問を持ってしまったならば、冥丁に希望はないです。それだと、ただの音の塊を丁寧に作っているだけに過ぎないですね。なぜならば、いまや音楽なんて誰でも手軽に作ることができます。だからこそ、どんな希望を描いているかが現代の音楽制作で最も大切なことです。他の分野でもそうですけどね。

できることならタイムスリップして想像上の過去の日本、「LOST JAPAN」に暮らしたいですか?

冥丁:暮らしてみたいかもしれません。でも強くそれを望みません。2020年が好きですし、この時代はとても良い時代です。

今回の『古風』で「LOST JAPANESE MOOD」3部作が完結します。次はまったく日本とは関係ないテーマになる可能性があるのでしょうか? たとえば次は古代ギリシャをテーマにしたり、はたまたラテン音楽にフォーカスしたり。

冥丁:冥丁ではいつも日本の音楽を作ることがコンセプトとしてあるので、日本を描き続けたいです。その先に何があるのか知りたいです。冒険のような。
 その他にも冥丁を通じて仕事をしています。たとえば舞台、ファッション業界、リミックス、特定の環境下で使用するための音楽などの制作をしています。先日は広島のLOGというホテルのための夜のライヴセットとアンビエントを用意しました。それは現在リリースしている音楽とはスタイルの違うものです(定期的に開催する予定ですので、皆さんにも足を運んでもらえたらと思います)。今後も冥丁のベーシック・ライン(Japanese mood)に加えて様々な音をプロデュースしていきたいと思っています。
 でも将来日本以外の国の音楽をもし作っていたらと考えると、その未来も面白いですね。
 ありがとうございます。

Planet Mu's 25th anniversary - ele-king

 マイク・パラディナスが主宰するエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈Planet Mu〉が創立25周年を記念してコンピレーションを出します。いや、すばらしい、おめでとうございます。
 マイク・パラディナスは、90年代初頭のエイフェックス・ツインの衝撃があって以降に登場した才能でした。そう、リチャードが〈Rephlex〉なる自分のプラットフォーム的レーベルをはじめて、そこからデビューしたのがマイク(μ-Ziq)で、彼の最初のアルバムそして2枚目は当時はまさにAFXに次ぐ衝撃だったのです(アンドリュー・ウェザールもその年の自分のベストに挙げておりました)。本当にあれは素晴らしかったなぁ。そしてマイクはいろんな名義を使い分けながら現在にいたるまで作品を出し続けています(今年もTusken Rider名義でアルバムを出しています)。1995年からはじめた自分のレーベル〈Planet Mu〉も当初はほとんど自分の作品ばかりでした。それがゼロ年代あたりからいろんなアーティストの作品も出すようになり(COM.Aの兄であるジョセフ・ナッシングの作品も出してましたね)、で、2008年のダブステップ系の名コンピレーション『Warrior Dubz』以降はFalty DLや初期のFloating Points、そしてシカゴのフットワークを世界に知らしめた名コンピレーション『Bangs & Works』を出したりしています。ちょうど10年前にインタヴューもしていました
 〈Planet Mu〉は、日本に支部がないためプロモーションされてませんが、ここ最近も本当に良い作品/挑戦的な作品を出しているんです。昨年はRian Treanor、今年で言えばまずはSpeaker Musicですよね。East Manもありました。しかしこうしてリンクを見ていると、書いているのは三田格さんばかりじゃないですか。いかん、もっとたくさんの人に聴いてもらわねば!
 マイクが本当にそう思ったのか、定かではありませんが、最近のレーベルの魅力をパッケージしたコンピレーション『Planet Mu 25』が出ます。エクスクルーシヴが7曲あり、そのうち1曲はBasic RhythmによるDJ Nateの曲のリミックスです。

 リリースは12月4日、デジタルとCDの両方で発売。なお、オウテカやエイフェックス、スクエアプッシャーとはまた違った活動を続けているマイクの最新インタヴューは、紙エレキングの年末号に掲載されるでしょう。乞うご期待。

Tracklist:
01 East Man & Streema - Know Like Dat
02 RP Boo - Finally Here (ft. Afiya)
03 Konx-om-Pax - Rez (Skee Mask Remix)
04 Ital Tek - Deadhead
05 Gábor Lázár - Source
06 DJ Nate - Get Off Me (Betta Get Back) (Basic Rhythm Remix)
07 Ripatti - Flowers
08 Speaker Music - Techno Is A Liberation Technology (ft. AceMo)
09 Jana Rush - Mynd Fuc
10 Rian Treanor - Closed Curve
11 Bogdan Raczynski - tteosintae
12 RUI HO - Hikari
13 FARWARMTH - Shadows In The Air
14 Meemo Comma - Tif’eret
15 Eomac - All The Rabbits In The Tiergarten

さよひめぼう - ele-king

 インターネット上を拠点に活動、これまでアメリカの〈PLUS100〉や〈BusinessCasual〉といったヴェイパーウェイヴ系のレーベルからリリースを重ね、〈Maltine〉にもEPを残すトラックメイカー、さよひめぼうが初の全国流通盤を送り出す。
 ブレイクビーツが暴れまわったり謎めいた声ネタが飛び交ったりしているが、全体的にはじけんばかりのキャッチーさに包まれている。不思議なハイブリッド感を楽しもう。


さよひめぼうの新アルバム『ALIEN GALAXY MAIL』本日10/21CD発売&配信/ストリーミングも開始!

●2016年6月14日アトランタの名門Vaporwaveレーベル〈PLUS100 Records〉、2017年4月21日米国のインターネットレーベル〈BusinessCasual〉よりアルバムをカセット・デジタルで発表し、2019年には〈Maltine Records〉からEP「深圳DIVA」をリリース。その独創的な音楽性が国内でも話題を振りまきつつあるトラックメイカー=さよひめぼうの新アルバム『ALIEN GALAXY MAIL』が本日10/21に発売!

●今作はライヴテイクの勢いを大きく反映させ、今までのベッドルーム・ミュージック的なアプローチから、踊る事を主軸に置いたダンスミュージックへと進化した一作となる。国内・海外で注目を集める横浜育ちのビートメーカー ΔKTR がプロデュース。マスタリングを ISSUGI や仙人掌、KID FRESINO、JJJ、C.O.S.A. らの作品への参加でも知られるプロデューサー/ビートメーカーの Aru-2 が施し、アルバムデザインは tofubeats のアートワークや、PUMA とのコラボレーションなど、インディーズからメジャーレーベルまで幅広い分野にアートワークを提供し、様々な企業、ブランドとのコラボレーションでプロダクトを展開している GraphersRock が担当した。

●GraphersRock のアルバム・アートワークを元に、たすけてセンター街が監督・編集したトレイラー動画や、imai (group_inou)、パソコン音楽クラブ、長谷川白紙、ぷにぷに電機、SEKITOVA、tomad、John Zobele (Business Casual)、R23X (Plus100、NEOGAIAPHANTASY)からのコメントも是非合わせてチェックしてください。

[AppleMusic, iTunes, Spotify など各配信/販売リンクはこちら]
https://smarturl.it/SAYOHIMEBOU

[アルバム・トレイラー映像はこちら]
さよひめぼう - “ALIEN GALAXY MAIL” Trailer
https://youtu.be/ek42B2LzMiE

2050年、新たな氷河期に突入後、
人類の大半はアジア大陸上に浮かぶ巨大コロニーに移住。
そこで暮らす中国人中学生猫娘は、
エンジニアの祖父からY2Kを経て改良・使用し続けた旧型Windowsパソコンを受け継いだ。
その娘のパソコンにある日、宇宙人からメールが受信される。
その内容は高速監視システムで探知され、瞬く間に全世界へ流出して大問題となった。

・・・

[各推薦コメントはこちら(順不同)]

初めてさよひめぼうさんの曲を聴いた時はバックグラウンドが全然見えなくて、本当に宇宙人かと疑いました。

今作はそんなさよひめぼうさんが地球で活動を始めて、あらゆるトラックメイカーと共演する事で言語を習得し、最強バイリンガルになったような印象を受けました。

さよひめぼうさんは地球年齢だと僕より先輩にあたるのですが、「今が一番楽しい」と仰られていて、とても感動しました。
また共演してフロアをめちゃくちゃにしましょう!
特大リスペクト!!!!!

imai (group_inou)

---

とにもかくにもリリースおめでとうございます! パソコン音楽クラブの企画で初ライヴを拝ませてもらってからはや3年、当時のVaporwave meets IDM的なカオスの連打から深圳DIVAあたりでの言語感覚の獲得によるポップな狂いと、そこに込めたインスピレーション元への私的な敬愛を同時に覗き見ることができる面白いアルバムでした。毎作ごとに恐る恐る拝聴させていただいております。今後とも油断も隙もならない音楽を楽しみにしています!

SEKITOVA

---

蛍光色のエイリアンと毒ミッキーが融合・分裂し続けるトリップの中で、縦横無尽に跳ね回るのは、過剰なまでにケミカルな音の塊。背後から迫ってくる音響生命体は、おしゃべりのようにアーメンブレイクのスネアを打ち出し続けている。このコミュニケーションの成立しない銀河に、人間の出る幕は勿論ない。

柴田(パソコン音楽クラブ)

---

さよひめぼうさんは、その初ライブが僕の所属するパソコン音楽クラブ企画の小さなイベントだったと思います。
その日、それまでにさよひめぼうさんの音楽を聞いたことのある人は少なかったと思いますが、様々な音楽の影響を感じさせつつも誰にも真似できない唯一無二の圧倒的なサウンドを聴き、そこに居合わせた全員がこれはとんでもないことになるんじゃないか、と物凄いワクワク感を感じたのを覚えています。それ以降も要所要所でご一緒し、僕はいつもその音楽に圧倒され続けてきました。
そんなさよひめぼうさんが今作ついに全国流通盤を出されるとのことで、本当に嬉しいです。
今作は当初からのIDM・ブレイクコア的ビートの持つ疾走感を引き継ぎつつも、声ネタや音選びなどから、過去作に比べてよりキャッチーな印象を感じました。しかしながら不思議な位相感や浮遊感のある調性など、抜群のオリジナリティは健在です。初めてさよひめぼうさんの音楽を聴く人に寄り添いつつも、体験したことのない聴了感を感じさせてくれる作品だと思います。

西山(パソコン音楽クラブ)

---

我々の記憶から発音体までの距離をサンプリングしてしまうような唯一無二としか言いようがない音像/
常に音楽的構造を維持していながらも、“伝統的”な小節単位の進行ではない、予測不可能な、天上からの走り書きみたいな展開/
唐突に挿入される異分脈の和音の濁り、きみょうな転回形、グリッド外のリズム、異なる分割のリズム/
まるで中世音楽のような雰囲気すら感じさせるような旋法性や声部の独立性/
宇宙の全てを射程に捉え予言するような、鮮烈で恐ろしい記名性/
最新にして最大の美しくよごれた幻影!

長谷川白紙

---

さよひめぼうさんはコラボレーションの際、いつもそのCuteで過激な音色を動力に、わたしの声を異次元に連れていってくれます。
 頂いたトラックを聞けば極彩色の世界感が嬉しくて「どこ~~~!?」と叫びたくなりそうなほど、魅力的なエンジンをお持ちの宇宙船です。
 そんなさよひめぼうさんがアルバムをリリース! ということで、先だって聴かせていただいたのですが、やっぱり「どこ~~~!?」でありつつも、流体のような滑らかさと硬質でパワフルなビートを更に洗練させておいでで、さらなるアップデートに眩暈がするほどです。
 きっとこのアルバムをお聞きの皆さんを最高の銀河に連れていってくれるでしょう。
 ヤバいとこまで届きそう……。

ぷにぷに電機

---

はじめて聴いた時これは「テクノ」だと思った、そして泣いた。
ここではない未知なる惑星の思い出が走馬灯のように脳内を彩る。
2020年、宇宙への旅。さあ、最悪なこの地球から飛び出そう。

tomad (Maltine Records)

---

"Another exciting release from SAYOHIMEBOU, featuring their signature blend of glitchy vaporwave.
Surprising and fun as always."

John Zobele (Business Casual Owner)

---

Sayohimebou’s latest high-energy, auto-tuned, chopped-up masterwork pushes plunderphonic music to another level—it will blow your mind!

Sayohimebou is back in full force deconstructing techno, breakbeat, IDM, and plunderphonics through the lens of internet music.

Alien Galaxy Mail will make you rethink what dancing in a club could and should be.

This is an amazing blend of breakbeats, bubbling synths, warped samples, and bass lines that will get you moving… truly unique music.

Sayohimebou’s latest work is like putting hardcore techno, drum & bass, and vaporwave—with a pinch of gabber—into the blender and then microwaving the results. Incredible.

R23X (Plus100, NEOGAIAPHANTASY)

・・・

アーティスト:さよひめぼう
タイトル:ALIEN GALAXY MAIL
品番:PCD-20429
定価:¥2,000+税
発売日:2020年10月21日

Tracklist:
01. 拝啓 聖 猫娘
02. NEO ICE AGE
03. GALAXY MAIL
04. Runway
05. ON-GAKU
06. Camouflage i-Land
07. Spam Trap (ハニーポット)
08. Summer Skate Link
09. AFRICA Mickey Museum
10. 1998-2050 (Memphis)

https://smarturl.it/SAYOHIMEBOU

・・・

[プロフィール]
さよひめぼう
主にインターネットを活動の拠点とする、ミュータントFutureダンスミュージック製造工場!? 米国〈PLUS100〉〈BusinessCasual〉など、Vaporwave~Experimental系レーベルから多数アルバムをリリース。日本では〈NewMasterpiece〉からカセットテープを限定販売。2019年には〈Maltine Records〉からEP「深圳DIVA」リリース。
https://twitter.com/sayohimebou

 11月7日(土)、川崎の工業地帯で野外パーティ、Bonna Potが開催される。海辺にある芝生の広場だそうで、詳しい場所(およびコロナ対策)は、前売りチケット購入者に追って知らされることになっている(当日券の発売は一切無し)。だいたい都心から電車とバス、またはタクシーで約1時間ほど。駐車場の関係で車でのアクセスはナシのことです。
 出演するDJは、Toshio “BING” Kajiwara、Shhhhh 、Ground、Mamazu、7e。
 また、会場内には音響会社HIRANYA ACCESSプランニングによるTaguchiの最新フラットユニット・スピーカーを導入し、高音質のサウンドシステムを構築するのこと。いったいそこでは何が……

"Bonna Pot"
2020/11/7(sat) 22:00~
@Secret location / An open-air party in Kawasaki industrial area

DJs:
Toshio “BING” Kajiwara (HITOZOKU Record)
Shhhhh (El Folclore Paradox)
Ground (Chill Mountain/ESP institute)
Mamazu (Hole and Holland)
7e

Sound design: HIRANYA ACCESS

Speakers: Taguchi

Solar Power: RA -energy design-

Lighting & Deco:
The Hikariasobi Club
Keisuke Yago
and more!

Food & Bar: 万珍酒店 / MANGOSTEEN

Tonic Shop: Circle Shot

Organized by Nusic & HIRANYA ACCESS

Ticket: 4,500YEN
- RA
https://jp.residentadvisor.net/events/1427402
- 銀行振込 
*以下のメールアドレスに「購入者名(カタカナ表記」と「希望人数」をお送りください。振込口座と詳細をご返信いたします。
bonnapotmusic@gmail.com

*当日券の販売は一切ありません。
*会場の場所は前売りチケット購入者の方々にパーティ前日のお昼頃にemailでお知らせいたします。アクセスは都心から電車とバス、またはタクシーで約1時間ほどです。駐車場の関係で車でのアクセスは出来ません。
*Emailでコロナ対策に関する情報をお送りします。

 今回のBonna Potは川崎の夜景の美しい工業地帯にあるオープンエアスペースで開催します。海辺にある広々とした芝生の広場にHIRANYA ACCESSプランニングによるTaguchiの最新フラットユニットスピーカーを導入し、ケーブル等を含め徹底的に音のクオリティにこだわったサウンドシステムを構築、18メートル四方のダンスフロアを出現させます。数ヶ月前に完成したばかりの新しいスピーカーはしっとりとした豊かな低音の質感が比類なく、楽曲の再現性の高さ、繊細さとぬくもり感、そしてパワフルなアタック感を前回以上のクオリティで表現するために、Bonna Potで使用するためのその新作スピーカーを現在量産してもらっています。場内には一切ガソリンの発電機を置かずに発生ノイズをなくしたピュアな環境をつくり、サウンドシステムは会場に並べたソーラーパネルで充電した太陽光発電による音響専用バッテリーシステムで鳴らします。DJ陣は前回同様のShhhhh、Ground、Mamazu、7eに加え、Toshio “BING” Kajiwaraがプレイします。それぞれが本当に幅広い音楽性とオリジナリティを合わせ持つ唯一無二のDJ陣です。音楽とダンスが好きであれば誰でも楽しめる空間をつくりたいと思っているので是非一緒に踊りたい人たちを誘って遊びにきてください。


Toshio “BING” Kajiwara

90年代初頭のNYでターンテーブルや自作楽器を駆使した独自の即興パフォーマンスを始める。後にクリスチャン・マークレイと実験音楽トリオを結成、00年代初頭まで数々の海外遠征やパフォーマンス・イベントを共にする。他にもペーター・コワルド、シェリー・ハーシュなどの演奏家たちとも活動。また13年間に渡りNYの老舗中古レコード店で勤務し、埋没した歴史的音源の発掘や再評価の運動にも貢献する。現在は京都に拠点を移し、パフォーマンス・アーチスト、芸術家、エンジニアーの集合体「ANTIBODIES Collective」を首謀しながら独自の演出方法と舞台音響の探求を続け、日本各地でパフォーマンス芸術の社会的な役割とその可能性を提示することに関わっている。また、京都/木屋町にて「ヒト族レコード」を運営し、マージナルな文化芸能への開かれた回路を地域に提供している。


DJ.Shhhhh (El Folclore Paradox/ The Observatory)

DJ/東京出身。オリジナルなワールドミュージック/伝統伝承の発掘活動。フロアでは民族音楽から最新の電子音楽全般を操るフリースタイル・グルーヴを発明。執筆活動やジャンルを跨いだ海外アーティストとの共演や招聘活動のサポート。2018年秋よりベトナムはホーチミンのクラブ、The ObservatoryのレジデントDJに就任。
https://soundcloud.com/shhhhhsunhouse
https://twitter.com/shhhhhsunhouse
https://www.facebook.com/kanekosunhouse
https://jp.residentadvisor.net/dj/shhhhh


Mamazu

90年代中期頃からDJとして活動を始める。今は無きclub青山MIXの洗礼を浴び音と人、空間に触発され多種多様な音を吸収。小箱から大箱、野外まで独自の視点で形成される有機的なプレイを続け、今を踊らせる。これまでにFuji Rock FestivalやBoiler Room、香港のCassio、ロンドンのNTS Radioなどに出演。様々な国のレーベルから楽曲やRemixを発表し、Nicola CruzによるRemixもリリースされた。それらの楽曲はいずれも高い評価を得て、Andrew Weatherallをはじめ多くのDJにプレイされている。またadidasやADAM ET ROPE’, BEAMS, EVISEN, HUF, SON OF THE CHEESEなどにも楽曲やMIXを提供している。
https://soundcloud.com/mamazu
https://hole-and-holland.com/


Ground (Chill Mountain/ESP institute)

DJ・Producer・Remixer。
音楽をツールに世界20カ国を超える様々なフェスやイベントに出演。デジタルレーベル「Chill Mountain Rec」をKabamix&Mt.chillsと共に運営。自身の楽曲制作では、2015年より3枚のアルバムを発表、2018年には、LA拠点のレーベルESP instutiteよりワールドデビューアルバム「SUNIZM」をリリース。2019年初旬、エクアドルはキトにて2ヶ月間の滞在の末に現地アーティストらとの共同制作で作られたEP、「Metcha Quito vol.1&vol.2」をリリース。2020年初旬ESP Instituteより(Wakusei Ep)、7年振りとなるMIXCD(Energemizmix)をリリース。
今夏最新Mini Album (Atarayo)がChill Mountain Recよりリリース中。
https://djgroundjapan.wixsite.com/ground13
https://soundcloud.com/dj-ground


7e

実験的電子音楽から世界のストリートミュージックまで、幅広いアーカイブから選ばれた新旧の楽曲を実験的にミックスする独自のダンスセットをプレイする。東京のディープなバーやクラブ、野外フェスティバル/パーティを中心に、近年はブラジルやドイツでのVOODOOHOPやAcid Pauliの主催パーティ、北カリフォルニアの人気フェスPricelessやLAのウェアハウス・パーティ、メキシコのアンダーグラウンド・パーティなど、世界に活動の幅を広げている。
https://soundcloud.com/7e_romanescos
https://www.facebook.com/7emusica

Vityazz - ele-king

 ジャズを出自に持ちつつも、型にはまらないスタイルで活動の幅を広げてきたヴィチアス(Vityazz)、昨年発表されたデビュー作『11034』もいまだみずみずしさを失わないなか、アルバム冒頭を飾っていた “How days slided” のセッション・ライヴ映像が公開された。
 新たな活動の場を模索するべく彼らは自宅スタジオを開設。今後は關伊佐央、Shun Yamaguchi との共同イベント「atonarium session」を配信で開催していくとのこと。

Young Girl - ele-king

 ちょっと異常だなと思うのが、新型コロナウイルスによる被害について語るときに欧米と日本を比較する頻度。ファクターXとか「日本はなぜ被害が少ないのか」という問いの立て方自体が間違っていて、被害が少ないのは日本だけではなく、東アジアとアフリカ大陸は全般的に死者数が少なく、アジア系の多い東欧も死者の数は4桁に届いていないところが多い。逆に言えばインド≡ヨーロッパ語族に被害は集中し、ネアンデルタール人のDNAを受け継ぐ人種がとくに危険だという仮説に僕は説得力があると感じた。アメリカと中南米で黒人に死者が多い理由も社会的要因はもちろんだけれど、わずかでも白人の血が黒人に混じっている率の高さを思えば、これも同じように説明がつくし。にもかかわらず、日本人が日本と欧米だけを比較し続ける心理はやはり「日本は欧米の一員」という意識が右派にも左派にも浸透しきっていて「アジアの一員だとは思いたくない」という意識が病的なほど強く働いてしまうからなのだろう。その一方で、安倍政権から菅政権へと権力が移譲されたプロセスは絵に描いたように東アジア的で、韓国やマレーシアでさえここまで民主主義を省略してしまうことはなく、欧米から見れば日本のやり方は中国や北朝鮮と大差ないものと映ったことだろう(森総理の時よりは大人数で決めたけどね)。行動原理はディープに東アジア的。意識は欧米か!。なんともスキゾフレニックな国民である。インダストリアルなリズムにうっとりとするようなメロディを掛け合わせたエイフェックス・ツインのファンが日本には多いわけである。

 「エイフェックス・ツインとスクエアプッシャーの肩の上に立っている」と自らプロフィールに記すヤング・ガールの2作目はドリルン・ベースならぬグリッチン・ベースで幕を開ける。“Vomit Nightmares(嘔吐の悪夢)”は突拍子もないブリープ音と穏やかなシンセサイザーのぶつかり合い。いきなり脳天に花が咲く。続く“The Low Men”もブチブチと途切れるリズムに断片的なメロディが浮かんでは消え、ぶり返しては断ち消える。なるほどエイフェックス・ツイン(やクラフトワーク)に多くを負っていることは確かで、いくつかストレートに曲名も浮かんでくる。とはいえ、オリジナルな要素も潤沢で、野山を駆けめぐるような“The Red Birds”に慌てふためく“The Black Gulls(黒いカモメ)”は独自の境地を感じさせる。アルバム・タイトルは『The Night Mayor(夜の市長)』となっているものの、いわゆるナイト・タイム・エコノミーとは無関係のようで、活動の拠点が「地球上で最も人が孤独になるオーストラリア西部」だと意味不明のアピールをしつつ、本人はいつも仮面で顔を隠し(前作では髭が見えていた)、アリアナ・グランデと同じ構図のジャケット・デザインには中途半端な自己顕示欲が感じられる(悪いとは言っていない)。自意識がねじくれていることがスキゾフレニックな音楽性には不可欠なのだろう。ゆっくりとネジがはずれていくような“Codeine”は、フィッシュマンズが♪風邪薬でやられちまったみたいな~と歌っていた咳止めのこと。日本では3年前に12歳以下の子どもには処方することが禁止となった風邪薬で、風邪もひいていないのに子どもが飲みたがる家庭麻薬として昔からつとに有名だった(アメリカの2010年代がコデイン→アヘン(オピウム)→フェンタニルと同じ成分の生成方法が変化しただけということも思い出す)。アルバムの後半はとてもナイーヴな展開で、前半の躁状態はどこかに陰を潜め、戯画的でありながら心に重くのしかかる曲が続く。そして、“Frustration Nightmares”でブチ切れ、“Sleep Paralysis(金縛り)”で異様なムードに反転。最後は朝が来てしまったということなのか、“Wake Up Wake Up Wake Up Wake Up Wa…(起きろ起きろ起きろ起きろ起……)“と、どこか暴力的な朝の描写で幕を閉じ、「夜の市長」はいなくなってしまう。夜だけが好きで、朝が嫌いな人にはマストのアルバムです。

 日に日に夜が長くなってきたせいか、「夜」をテーマとしたコンピレーション・アルバムも何種類かリリースされ、なかではポスト・ロックの中堅レーベルが企画した『A Little Night Music:Aural Apparitions from the Geographic North』がだんとつで良かった。全31曲とけっこうな曲数があり、オープニングとクロージングはオリヴァー・コーツ。『The Night Mayor』はちょっと怖い夜だったけれど、こちらはとても穏やかで、包み込んでくれるような夜の優しさや、つかみどころのなさを表現した曲が大半を占めている。目立ったところをかいつまんでいくと、久々に名前尾を見たゼリエノープル(Zelienople)やフェネスは安定した音楽性。気持ちのいい圧迫感とそれを凌駕する安心感がキャリアの余裕を感じさせる。グレッグ・コワルスキーやKi Oni(木鬼? カイ・オナイ?)はイマジネーション豊かで伸び伸びとしたコンポジション。広島でアンビエント・ミュージンクを展開するフジタ・ダイスケのMeitei / 冥丁は雨だかグリッチ・ノイズだかを背景に軽く打楽器を加えた寂しい曲(怪談好きのようです)。高木正勝もなぜか似たような発想で、こちらは雷雨とピアノ。メアリー・ラティモアはメランコリック、イリヤース・アーメドはエスニック・フォーク、フェリシア・アトキンソンはアンニュイと続き、驚いたのはシューゲイザイーのロータス・プラザが復活したこと(7年ぶり?)。これが迷宮のようなクラウトロック風のピアノ曲で、さすがでした。ハウスの人だとばかり思っていたフィット・オブ・ボディがジャズ風のスローナンバーを寄せているのも驚いた。元LAヴァンパイアのニック・マーキンによる温泉のような暖かさからルイーズ・ボックのオカルティックな響きまで、とにかく違和感のある曲が1曲もない。流れも巧みで、とても優れた編集センスだと強調したい。なお、収益はすべてレーベル所在地であるアトランタの女性団体に寄付されるそうです。とりわけ堕胎を希望している女性たちのサポートに(https://www.feministcenter.org)。

Autechre - ele-king

 長い間、オウテカのファンはふたつの陣営に分類される傾向にあった。デュオが発するあらゆる最新のメッセージを熱心に貪るリスナーたちと、『Tri Repetae』以来、ノンストップで抽象的な自慰行為に堕ちて行っていると感じていた人たちである。後者のほとんどが老人ホームに隔離されているいまとなっては、この論争は、問題がスタイルから量的なものへとシフトしている。過去10年の間のオウテカの一連のリリースは、それぞれの尺が2倍に延び、8時間に及ぶラジオ・レジデンシーを集約した『NTS Sessions 1-4』と題された作品で最高潮に達した。ここにはたくさんの素晴らしい音楽があったが、そこがまた問題でもあった──とにかく膨大だったのだ。

 オウテカのアウトプットに魅了された体験が、いつの間にか疲れ果ててしまうものへと変わってしまった人には、『SIGN』 は彼らの世界に戻ってくる良い機会となるだろう。ショーン・ブースとロブ・ブラウンの最近の作品の文脈で考えると、これほどメロディックなアルバムをリリースすること、1枚のCDに収まってしまうほど短いことは、ほとんどラディカルにさえ思える。そして『SIGN』は明らかに『elseq1-5』 と『NTS Sessions 1-4』で聞かれるようなアルゴリズミックな実験の延長戦上にあり、オウテカは、どうやって到達するのか忘れかけていたような所にまで踏み込んでいる。

 オープニングトラック“M4 Lema”では、ローラント・カイン風のサイバネティック(人工頭脳的)なノイズが、まるでコンピュータのメインフレームが咳払いをするような、シューッという音の斉射で未来を提示するが、突然、みずみずしく豊かなパッドと骨格のようなヒップホップのビートに変わり、時折サブベースがうねる。続く“F7”では、興味深いメロディが互いのまわりに円を描くように交差しながら、決着することはなく、『Oversteps』で登場していてもおかしくないようなものだが、いまやチューニングは従来の西洋的なものからは大きく外れた所で浮かんでいる。

 このトラックは、オウテカが未知のハーモニックな領域に踏み込んだ、より明白な事例のひとつで、ヴァーチャルな楽器を、平均律の暴政から離れるように促している。「esc desc」のシンセサイザーには『ブレードランナー』のような威光があるが、初めて聴くと、ヴァンゲリスがデッカードの空飛ぶ車で乗り物酔いをしているかのようだ。

 リピートして聴くことでこの違和感は薄れ、これは時間をかけて、できればまともなヘッドフォンでじっくり聴くべきアルバムであることが分かる。2018年にブースはele-kingに「ぼくはすべてのエレメントがあからさまではない、シネマティックな奥行きに惹かれるんだ」と語っており、『SIGN』 に収録されたトラックのいくつかは活気に溢れ、聴力の限界に達している。 陰鬱なトーンと貧弱な4/4拍子の“psin AM”は、ミックスのエッジの周りで踊る不安定なハーモニーがなければ、ほとんどヴォルフガング・ヴォイトのGASプロジェクトの見失われたトラックと間違えそうだ。オウテカが“sch.mefd 2”で、一定のビートを走らせるのは、他のエレメントとの間の相互作用がいかに予測不可能なものであるかを強調するために残しているのだ。

 おそらく最大のサプライズは、このアルバムの音の多くが、どれほど心を奪う響きに聴こえるかということだ。“gr4”には最も牧歌的なフェネスのような、薄織の温かさがある一方、超絶的なクロージング・トラックの“r cazt”は、坂本龍一の「async」時代のプレイリストに並べて入れても違和感がないだろう。オウテカは、エイリアンのように耳障りだと誇張されがちだが、『SIGN』 は彼らのとんでもなく〝ありえねぇ〟美しさを想い出させてくれる歓迎すべき作品だ。


by James Hadfield

For a long time, Autechre fans tended to fall into two camps: listeners who eagerly devoured every fresh transmission from the duo, and people who thought they’d been on a non-stop descent into abstract wankery ever since Tri Repetae. Now that the latter are mostly sequestered in retirement homes, the debate has shifted from questions of style to quantity. During the previous decade, each successive Autechre release seemed to double in length, culminating with the eight-hour radio residency collected on NTS Sessions 1-4. There was a lot of excellent music here, but that was also the problem: there was a lot of it.

If your experience of Autechre’s output has tipped over from enthralled to exhausted, SIGN is a good time to jump back on-board. In the context of Sean Booth and Rob Brown’s recent work, releasing an album this melodic—and short enough to fit on a single CD—feels almost radical. And while SIGN is clearly an extension of the algorithmic experiments heard on elseq 1-5 and NTS Sessions 1-4, it goes places I’d almost forgotten Autechre knew how to reach.

Opening track “M4 Lema” indicates what’s in store, when a volley of swooshing, Roland Kayn-style cybernetic noise—like a computer mainframe clearing its throat—suddenly gives way to lush pads and a skeletal hip-hop beat, bolstered by occasional surges of sub-bass. That’s followed by “F7,” whose intersecting melodies, circling around each other without ever quite resolving, could have appeared on Oversteps—except that they’re floating way outside conventional Western tuning now.
The track is one of the more obvious instances where Autechre venture into uncharted harmonic territory, coaxing their virtual instruments away from the tyranny of equal temperament. There’s a Blade Runner grandeur to the synths on “esc desc,” but on first listen, it’s like Vangelis getting motion sickness in Deckard’s flying car.

The strangeness is less apparent with repeat plays, and this is definitely an album to spend time with, preferably listening through a decent set of headphones. Speaking to ele-king in 2018, Booth said he was increasingly interested in “cinematic depth, where not every element is obvious,” and the tracks on SIGN teem with activity, some of it on the threshold of audibility. With its sepulchral tones and anaemic 4/4 beat, “psin AM” could almost be mistaken for a lost track from Wolfgang Voigt’s GAS project, if it weren’t for the unstable harmonies dancing around the edge of the mix. When Autechre leave a steady beat running, as on “schmefd 2,” it just serves to highlight how unpredictable the interplay between the other elements is.

Perhaps the biggest surprise is how inviting a lot of the album sounds: “gr4” has a gauzy warmth that recalls Fennesz at his most bucolic, while transcendent closing track “r cazt” wouldn’t sound out of place on a playlist alongside async-era Ryuichi Sakamoto. Autechre’s reputation for alien harshness is overstated, but SIGN is a welcome reminder that they can be pretty goddamn beautiful.

Siavash Amini - ele-king

 イラン・テヘラン出身のアンビエント・アーティスト、シアヴァシュ・アミニが、スイスの小都市ルツェルンを拠点とする実験音楽レーベル〈Hallow Ground〉から新作アルバム『A Mimesis Of Nothingness』(https://hallowground.bandcamp.com/album/siavash-amini-a-mimesis-of-nothingness)をリリースした。
 シアヴァシュ・アミニは同レーベルからリリースしたアルバムとしては3作目のリリースだが、彼は10年代を通して〈Umor Rex〉、〈Opal Tapes〉、〈Room40〉などのレーベルからアルバムをリリースしてきたアーティストである。2020年は Saåad との共作『All Lanes Of Lilac Evening』を〈Opal Tapes〉からカセットリリース、Rafael Anton Irisarri との共作『Lardaskan』を〈Room40〉からデジタル・リリースしている。

 シアヴァシュ・アミニのサウンドは2019年にリリースした傑作『Serus』(〈Room40〉)などを聴いても分かるように一聴して「もの悲しさ」のようなものがある。彼のサウンドにはまるでほとんど掠れたノイズしかないような放送を受信したときのような見知らぬ土地への郷愁とでもいうべきアンビエンスが横溢しているのだ。これは日本からみて遠いイランという場所から生まれた音響音楽だから、という理由ではないだろう。そうではなくアミニの音楽じたいが、どこか「闇」とか「夜」のように、われわれの生きている世界の最果てにあるものの感覚を発しているように思えるのだ(『Serus』はモーリス・ブランショの「夜」の概念からインスパイアされたという)。まるで夜のむこうにある異世界からの交信のごときアンビエントとでもいうべきか。

 本作『A Mimesis Of Nothingness』もまたそのような夜のアンビエントとして(そのアートワークも含めて)、これまでのアルバム以上に揺るぎない音響を放っている(アートワークにはアーティスト Nooshin Shafiee の作品が用いられている。ふたりはテヘランのアートスペースで出会い、意気投合し、コラボレーションがはじまったという)。
 冒頭の “Lustrous Residue” からすでに不穏な音響がうごめいている。世界に浸食する黒いノイズのように音響が変化を遂げる。電子音の地響きのような持続と何かを切り裂くような高音、そして環境音が記憶と時間に染みわたるように展開する。
 緊張感に満ちた2曲め “Perpetually Inwards” を経て、まるでレクイエムの弦楽を引き延ばしたかのような持続音と鳥の鳴き声と雨の環境音が交錯する “Moonless Garden” へと変化を遂げていく。
 アルバムの折り返しでもある “Observance (Shadow)” においては、その音響は暗さと明るさを往復しながらも、容易に光と影の二項対立に陥らないように慎重にサウンドを織り上げている。5曲め “A Collective Floundering” はアルバム中、もっともノイジーな音響を展開する曲。ここまでアルバムを聴き進めてきた聴き手は、そのノイズを表層的な刺激とだけは取らないだろう。夜のノイズ、影のノイズ、闇のノイズ。そして最終曲 “The Stillborn Baroque” は環境音と微かな電子音がレイヤーされる静謐なトラックでアルバムは終わる。

 「夜のアンビエント」ならではの「不穏さ」を放つ本作のアンビエンスを聴いていると、21世紀の「世界の不穏さ」と呼応するように感じてくるから不思議だ。先行きの見えない2020年のアトモスフィアを反映すダーク・アンビエントの逸品である。

Can × VIVA Strange Boutique - ele-king

 自由が丘のVIVA Strange BoutiqueがCANのアートワークを元にデザインしたスウェット、MA-1ジャケット、パーカー、ロングスリーヴTシャツを10月17日(土)より販売します。
 これまでもロッビング・グリッスルのクリス・アンド・コージー、モノクローム・セット, WIRE,、DNA、ドゥルッティ・コラムといったアーティストとのコラボレーション・アパレルの制作をしてきましたが、今回のCANもかなりかっこいいです。編集部的には「DELAY」にやられました。
 なお商品はなくなり次第終了です。また、CANのリリース元であるトラッフィックからは『エーゲ・バミヤージ』と『フューチャー・デイズ』のTシャツ付き限定盤が出ていますが、次は『タゴ・マゴ』のTシャツ付限定盤が11月27日に発売されます
 で、別冊エレキング『カン大全~永遠の未来派』は10月31日に刊行予定……です!!(果たして……ただいま編集の佳境です)

DISTANCE 2020 - ele-king

 これは果敢な試みだ。静岡県沼津市の「泊まれる公園」こと INN THE PARK にて、11月6日(金)から8日(日)の3日間、野外フェス《DISTANCE》が初開催される。

 ラインナップにはじつに贅沢な面々が並んでいて、DJ Nobu、dj masda、Mars89 らをはじめ、エレクトロニック・ミュージックの最前線で活躍する気鋭たちが一挙集結。寺田創一、食品まつり、YPY、鴨田潤らはライヴを披露、人気テクノ・イベント《KONVEKTION》を主催する Takaaki Itoh & DJ YAZI は初めてのB2Bに挑戦する。

 名前にもあらわれているように、出口の見えないこの時代だからこそのフェスになるようで、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、定員数を制限しての開催となる(沼津市役所とも相談済みとのこと)。マスク着用、ソーシャル・ディスタンスなど、ガイドラインに沿いつつ秋の野外で音楽を楽しもう。

[開催概要]

名称:DISTANCE 2020 ***Limited Open Air Music Festival***
日程:2020年11月6日(金)~8日(日)開場15:00~閉場21:00
会場:INN THE PARK(静岡県沼津市)

料金:前売3日通し券(400枚限定)18,000円 / 前売25歳以下限定3日通し券(100枚限定)10,000円
駐車:前売パーキング券(180枚)無料
宿泊:近日公開(会場内テントサイト及び宿泊棟のほか、近隣にも宿泊施設がございます)
チケット販売:https://www.residentadvisor.net/events/1426560

出演:Akiram En, DJ Nobu, dj masda, Eugene Kelly, guchon, Jun Kamoda [Live], Mari Sakurai, Mars89, Soichi Terada [Live], Takaaki Itoh & DJ YAZI, YPY [Live], 食品まつり a.k.a. foodman [Live] and more * Sound Design: OtOdashi sound system * Lighting: Nagisa * Decolation: 密林東京

※料金・宿泊・注意事項・新型コロナウイルス感染拡大防止対策について下記を必ずご確認ください。
https://note.com/distance___fest/n/n84d2eb115c8f
https://www.facebook.com/events/370934564086868
https://twitter.com/Distance___fest
https://www.instagram.com/distance_festival/

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369