ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 完成度の低い人生あるいは映画を観るヒマ 第二回 ボブ・ディランは苦悩しない
  2. Lawrence English - Even The Horizon Knows Its Bounds | ローレンス・イングリッシュ
  3. 別冊ele-king ゲーム音楽の最前線
  4. The Murder Capital - Blindness | ザ・マーダー・キャピタル
  5. interview with Acidclank (Yota Mori) トランス&モジュラー・シンセ ──アシッドクランク、インタヴュー
  6. Columns ♯11:パンダ・ベアの新作を聴きながら、彼の功績を振り返ってみよう
  7. Shinichi Atobe - Discipline | シンイチ・アトベ
  8. Columns 2月のジャズ Jazz in February 2025
  9. R.I.P. Roy Ayers 追悼:ロイ・エアーズ
  10. interview with DARKSIDE (Nicolás Jaar) ニコラス・ジャー、3人組になったダークサイドの現在を語る
  11. Richard Dawson - End of the Middle | リチャード・ドーソン
  12. interview with Elliot Galvin エリオット・ガルヴィンはUKジャズの新しい方向性を切り拓いている
  13. Bon Iver ──ボン・イヴェール、6年ぶりのアルバムがリリース
  14. Arthur Russell ——アーサー・ラッセル、なんと80年代半ばのライヴ音源がリリースされる
  15. Meitei ——冥丁の『小町』が初CD化、アナログ盤もリイシュー
  16. Horsegirl - Phonetics On and On | ホースガール
  17. Soundwalk Collective & Patti Smith ──「MODE 2025」はパティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴのコラボレーション
  18. 三田 格
  19. 完成度の低い人生あるいは映画を観るヒマ
  20. 完成度の低い人生あるいは映画を観るヒマ 第一回:イギリス人は悪ノリがお好き(日本人はもっと好き)

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Nate- Da Trak Genious

DJ Nate

DJ Nate

Da Trak Genious

Planet Mu

Amazon iTunes

shitaraba   Nov 26,2010 UP

 〈プラネット・ミュー〉から出た弱冠20歳のDJネイトの出したこのアルバムはゲットー・テック、ブーティーなどのジャンルをルーツに、フットワークという独特のステップのダンスのスタイルとともに発達した、シカゴ産ゲットー・ダンス・ミュージック、ジュークの要素を取り入れながらも新たに〈プラネット・ミュー〉らしいとも言えるような音楽的要素をふんだんに詰め込んだアルバムであり、ヒップホップ、クランク、ダブステップ、R&B(これは無理やりくさいけど)なんかの要素がたまに見え隠れしながらも、しょぼいドラムマシンの音むき出しで作られたゲットー・テック的つんのめりリズム・シーケンスが高速で打ち込まれていて、でもそんななかにも流石に〈プラネット・ミュー〉から出すとなるとこうなっちまうのかなぁというくらいポップな声ネタとウワモノが連打されていて、あーこれかーって感じなんですが、まあ、これはこれでヤンキーくさくていいんじゃねって感じで。

 そもそもなんでジュークと〈プラネット・ミュー〉が繋がったかというとブリープのブログに〈プラネット・ミュー〉オーナー、マイク・パラディナスの語るフットワーク、ジュークへの接続への経緯を纏めたインタヴュー記事があるので適当に翻訳して読んでください。僕英語苦手なので読めません。

 あとエレクトロニカ・レーベル〈もしもし〉のサブレーベルとして、ついこのあいだ生まれた〈ノット・イーヴン〉からの第一弾リリースのローファイファンク、〈ランプ〉などからリリースし、スクウィーともダブステップとも言えぬようなマッドなサウンドを出力しまくる、いま注目の鬼才ビカミング・リアルに元ロール・ディープ・クルーのグライムMCトリムをフィーチャーしたクソやばいシングルがリリースされ、それもそれでクソやばいんだけど、そこのリミックスになぜか同〈プラネット・ミュー〉からもシングルをリリースしたジュークのトラックメイカー、ラシャードが参加していてスクウィー、グライム、ダブステップ、ジュークがひとつのシングルで楽しめるというごちゃ混ぜ感がとてもよくて、ラシャードのリミックスそのものももはやハードコア化したジューク・サウンドで、スクウィーもダブステップも置いてけぼりにして、リミックスしていてとてもよろしかったです。やっぱこういうのがアツいですよジューク。どう考えてもかっこいい。

 あとダブステップ方面からのアプローチとしてはヘッドハンターの別名義アディソン・グルーヴやベンガ、ジョーなどが幾つかのリリースを重ねていますがアディソン・グルーヴのフットクラブを除き、とくにゲットー・テックとして面白いものはなく、どちらかというとボルチモアの延長かなぁという香りが。エレクトロ、ゲットー・ベース方面からだと〈チープ・スリルズ〉からもリリースをしているキルフレンジーや、〈オーマイ・ゴッド・レコーディングス〉などからリリースをするビッグドープ・ピーなどがなかなかいい感じにジュークとエレクトロ、ダーティー・ベースあたりを混ぜ合わせたトラックをリリースしていてとても期待度高いっす。やっぱあんまこういうこと言うとアンダーグラウンドなカルチャー大好きなおっさんくせえので嫌なのですが、ゲットー音楽、ダンス音楽はもっとそのものの音の本質だけを追求してったほうがいいとおもうんすよね。そこにおいてはグライムあたりも同じくなんですけど。ユーチューブジュークもベッドルームジュークもいいですが、それはそれでまだまだ未発達というか模索していくべき部分があるのかなあという感じ。

 ともかくジュークは完全なダンス・ミュージックであってヤンキー・ミュージックであって僕はそんな姿のジュークが好きなのだけど、このアルバムにおいてはなんとなく予感していたんだけど、お洒落エッセンスというかリスニング音楽になったというか。そんなのもいいんですけど。ファックとかシットとか連打しまくってたジュークってどこ行ったの!? とか感じてしまいましたと。やっぱファックとかシットとかのほうがいいっすよ。僕はただのクソガキでございますし。

shitaraba