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Basic Rhythm

Basic Rhythm

The Basics

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米澤慎太朗   Apr 11,2017 UP

 Imaginary Forces としてドラムンベースの黎明期から活動を続けてきた Anthoney J Hart が、別名義 Basic Rhythm で突然USのレーベル〈Type〉からデビュー・アルバム『Raw Trax』をリリースしたのは昨年のことだ。『Raw Trax』は、ソリッドなドラムにベース、そして女性ヴォーカルのサンプリングが駆け抜ける。初期ジャングルの感覚を現代にアップデートし、140bpm に落とし込んだアルバムとも言えるだろう。
 リリース後はベルグハイン出演や初来日など、ツアーなどでも精力的に活動している。Radar Radio では Kwam や Darkos Strife といったグライムMCが参加する回もあれば、彼のダブプレートを含むジャングルを詰めた2時間もある。彼はUKの音物語(*)を自由自在に行き来しているように見える。

 ロンドンに帰ってきた彼から届けられた2枚目のアルバム『The Basics』は、BPMの幅を広げながら個性を存分に聴かせてくれた。

 前半の02.“E18”(東ロンドン郊外 Woodford 周辺を指す)ではグライムMCの声がサンプルされ、03.“Fake Thugs”では、Mobb Deep の口撃が使われ、MCのエネルギーが抽出される。04.“Silent Listener”、05.“Cool Breeze (Summer In Woodford Green)”では、サイン波の低音に混じってヒップホップ的なサンプリング・カットアップが織り込まれる。06.“Blood Klaat Kore”は、Basic Rhythm 版の攻撃的なグライム・トラック、そして最後のトラック08.“Night Moves”は、キックとベースと1発の効果音だけで4分攻め切る。

 来日時に彼と話したとき、もっとも衝撃を受けたのは「ドラムを組んで、ノイズを乗せて、それでよければ曲は完成だ」と話していたことだ。
 構造的にはけっして4×4ビートではないが、エレクトロニック・ダンス・ミュージックのダンスの機能性に忠実すぎるほどで、それがかえってアヴァンギャルドな作風を作り出している。女声ヴォーカルと男声MC、ドラムマシンとサイン波、一瞬の静寂。テクノ、グライム、ジャングル、Basic Rhythm はどの呼び名にもハマりきらない、モダンで荒いダンス・ミュージックを鳴らし続ける。

(*) Simon Reynolds による、UKの90年代の音楽に関する理論では、「UKハードコア連続体」の言葉で説明される。
The Wire 300: Simon Reynolds on the Hardcore Continuum: Introduction

米澤慎太朗