「Low」と一致するもの

YYU - ele-king

 「Can I watch you?」という言葉が、プレイヤーが故障でスキップしたかのように「I watch you」に短縮され、こだまする。この気味の悪い演出で締めくくられるにも関わらず、このカセット・テープは通して聴いても不気味な印象はなく、鬱屈していながらも不思議と爽やかでさえある。ジェームス・ブレイクは「愛の限界」をつきつけられ悲哀のポルターガイストを引き起こしていたが、YYUことベン・シュトラウスによる『タイムタイムタイム&タイム』は、決して贅沢ではないアパートの一室において、雨の降る町を横目に歌う地縛霊/背後霊めいたアヴァン・フォークのカセット・テープ作品である。

 タイニー・ミックス・テープスはこの作品のスタイルを「vaporwave, post-dubstep, avant-folk, wonky, footwork」と形容している。うさんくさいと思われるかもしれないが、ヴェイパーウェイヴ以外は納得のいくところだ。実際、僕もそれらを思い浮かべた。基本的にフィーチャーされているのはYYU自身と思われるフォーク風の弾き語りなのだが、エディットのされ方には、ジュークのBPMと細かいカットアップと、拍を把握しづらいポスト・ダブステップ的なリズムなんかがたしかに息づいている。そして、それが自慢げに披露されるわけでもなく、なにげなくさらっと聴くことができてしまう調合の妙には驚いた。クラシック・ギターとIDMの組み合わせとしてはローリー・モンクリーフを思い出したが、ローリーがあくまでトラックのうえに自らの歌を乗せていたのに対し、YYUは自らの弾き語りそれ自体をカットアップの対象のひとつと捉えている。さらには、今作にはアンビエント/ドローンの下敷きがそれとなく挟み込まれている。

 「vaporwave」というタグづけに関しては......とにかくタイニー・ミックス・テープがその語を言いたかったんだろう。ここには、正直なところレトロ・フューチャリスティックなヴィジュアルもなければ、ニュー・エイジを嘲るような舞台演出も、資本主義のもとでテクノロジーだけが現在進行形で果てもなく加速することへの懐疑的な戯れもない。あるのは、めまぐるしく毎日がすぎるのを感じている生活者の呻きのような歌である。そういう意味では、これはヴァーチャル・プラザから帰宅した、なんとなく肩こりを感じる生活者の歌とも言えるかもしれないね、タイニー・ミックス・テープス。
 ピッチが上がっていたり下がっていたりしてどれが地声なのか判断し難いほどだが、なんにせよ、声は疲れている。発語しているのはわかるが、滑舌はうやむやにされており、言葉はなかなかききとれない。明るいようでもあれば、哀しいようでもあるが、そのどちらをも悟らせないかのように、上手なヴォーカルはその内面を語らない。しかし、がむしゃらなフィンガー・ピッキングでクラシック・ギターの弦が弾き倒される音が、ときに叩きつけられるビートが、そしてそのジュークやポスト・ダブステップを思わせる複雑なリズムが、平坦に聴こえるヴォーカルの奥底に切迫したエモーションが胎動しているのを示唆しているようでもある。 

 この作品にはYYUなりにコンセプトがあるようだ。それはタイトルを見てもらえばなんとなく感じられるだろう。ボっとしていたらあっという間に過ぎ経っていってしまう「とき」をつかまえようとしており、そのための手がかりとして「反復」が試みられているようだ。今作でのカットアップ&ループは、ヒップホップのサンプリングのようなスムースなループではない。先述したスタイルで並べられたタグが示唆するとおり、不自然なタイミングでカットされ、ときにポリリズムを用いて、リスナーをつまづかせるようにループしている。ある数秒の「とき」が決して平坦に流れることなくたえず不自然に「反復」され、その「とき」と時間軸とを引き剥がすことによってその両方の存在をリスナーに印象づけてつかまえさせる。そしてエディットはやはり繊細になされている。

 オープニングから「タイム」という語がサンプラーの連打で繰り返される。ピッチの下げられた声が「&」「&」と繰り返す"&&&&"。えんぴつでリビングのテーブルを叩いたかのようなビートの"yyyy"。メランコリックな音色のオルゴールの節をタイトルで視覚化した"ll l l l"ののち、カセット・テープは長い沈黙を経て、B面へと続く。この沈黙でさえ、音楽を聴取することで逆に忘れられてしまう可能性のある「とき」という概念をはっきりと聴き手に認識させようとするものであるかのように思える。
 B面は、自らの弾き語りを途中からカットアップしピッチを変えリズムを変え「タイム」を反復させる"&time"で始まる。つぎの"4.55am-aloneholdingmybreath"つまり「午前4:55―ひとり自分の息を止めている」......夜もふけ朝になろうとするころにまだ眠りにつけない生活者が描写されている。ここには歌はなく、誰かの意味不明な歌の節がカットアップされ、休まらない頭のなかで絶えず反響してしまっている(それこそメディアファイアードのように)。ジュークの高速ハイハットを思わせるリズムは、日常の記憶(「とき」)の駆け巡るっているようで、睡眠中に脳が記憶の整理をしているという話を想起させる。あるいは眠りにつけないまま意識が過剰に働いてしまっているかのようでもある。いずれにしろ、ここにはタイトル通りに、痛々しく、息(生き)苦しい気分が閉じ込められている。高速のギターが印象的な"when you said that"ののち、センチメンタルなピアノと動悸のようなフロアタムの音、そしてまたやってくる高速BPMのリズムが印象的な"11pm breakfast sandwich"――「午後11:00 朝食 サンドイッチ」が、バイオリズム(体内時計)が狂ってしまった生活者の「とき」の経過を示唆する。「どこで」「あんた」という意味不明な日本語がサンプリングされ、日本のバンドtoeを思わせる激しいドラミングとアナログ・シンセがフューチャーされた"(((*~*~ under that"を経て、冒頭でも挙げた、女性的なピッチのヴォーカルが「Can I watch you?」と歌う"i haven't left"――「私は......離れてない」でカセット・テープはA面へ戻る。

 YYUは過去作品からすでに自らのフォークをIDM風にカットアップする試みをしていたようだが、今作『タイムタイムタイム&タイム』はジュークやポスト・ダブステップという複雑なリズムのベース・ミュージックを取り込んだ。それが狙ったのか偶然なのか分からないが、いや、おそらく狙ったのだろう、結果的には注目されうる要素として機能している。おまけに、スクリュー的な加工やエコーやカットアップおよびスムースでない不自然なループ、そしてNew Dreams Ltd.(ニュードリームス株式会社。いや、「新しい夢限られた」か)の「関連会社」の作品が話題を呼んだ〈ビア・オン・ザ・ラグ〉からのリリースということで、ヴェイパーウェイヴの波にも脇道で乗ることになった。メディアファイアードのレヴューではあえて言及しなかったが、同レーベルはそもそもヴェイパーウェイヴ専門レーベルというわけではないし、今作もあくまで非常に人間的な生活感やエモーションが表れている点において、ヴェイパーウェイヴの夢想的な態度とは真逆の性格をもつ作品である。しかし、情報デスクVIRTUALのバズののちに、それとは真逆のこういったフォーク作品をリリースをしかける〈ビア・オン・ザ・ラグ〉の、ヴェイパーウェイヴに頭を悩ます批評家たちを喰ったような姿勢はこれからも注目を集めるだろう。タイニー・ミックス・テープスはまんまとハメられてしまったわけだ。なにに? しかし、それはあくまで、ヴェイパーウェイヴに、なのだった。

 最後に、YYU自身からの日本語によるメッセージを紹介しよう。

 「私の床の上に音楽終日たくさんのとたくさん遊ばせてみましょう」。
 YYUは無邪気な音楽なのであって、ヴェイパーウェイヴのようなポップ・アートのテロリズム(?)と混同する必要はまるでない。しかし、彼は今作で「とき」を捉まえることができたのだろうか。この亡霊のような生活者は満足(成仏)できたのだろうか。彼が出した結論は、「あなたを見てる」ということだけ。ちょっと背筋がくすぐったい。

Mediafired™ - ele-king

Mediafired™ - Pixies

"we had Pepsi™ sponsorship" misssequence(メディアファイアード™本人。上記動画のコメント欄にて)

 違法ダウソしてますか?™
 愉快なコマーシャル映像まで作られたオンライン・ストレージ〈メガアップロード〉は、違法ダウンロードの温床となっていたとされ、現在は閉鎖されている(https://www.megaupload.com/)。いっぽう、おなじく人気だったオンライン・ストレージ〈メディアファイアー〉は存続してはいるが、共有が違法と思われるファイルについては積極的に削除しているようだ。アーティスト名やタイトルとともに「mediafire」を入力してグーグル検索すれば音源ファイルが見つかりますよと友人に教えられたのは3年ほど前。いま同じことをしても、ダウンロードへのリンクは見つけづらい状況だろう。それが道理なのかもしれない。しかし、利用するか否かに関わらず、オンライン文化も全盛だというのに息苦しい出来事だなとも感じる。™

 メディアファイアード™ことジョアン・コスタ・ゴンサルヴェス(Joao Costa Goncalves)もポルトガルでそういった違和感をすこしは抱えているに違いない。今作『ザ・パスウェイ・スルー・ワットエヴァー』はあからさまに他者の著作物をカットアップして作られたものだ。素材となった曲を収録順に並べると、クイーンの“イニュエンドウ”/ヴァン・ヘイレンの“キャント・ストップ・ラヴィン・ユー”/インナー・サークルの“スウェット(アララララロン)”/ケイト・ブッシュの“嵐が丘”/バックストリート・ボーイズの“アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ”と、そうそうたる有名どころばかり――MOR(Middle Of the Road)的である。いずれも古い。商業的にも旬を過ぎたものであって、〈メディアファイアー〉にアップされていたとしてもちょっとイケてないではないか。™

 ビートルズやマイケル・ジャクソンをおなじように剽窃したジョン・オズワルドの『プランダーフォニック』との大きな違いとして、今作には過剰にエコーがかけられていることが挙げられる。これは、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーのダニエル・ロパーティンによる『チャック・パーソンズ・エコージャムズVol.1』の、80年代のアダルト・コンテンポラリー(日本でいうAOR)やソウルの一節をループさせエコーの海に浸した手法「エコージャム」であり、「エコージャム」はタグの一種でもある(ちなみに、同アルバムの楽曲にダニエルがレトロな映像をつけたプロジェクト〈Sunsetcorp〉――斜陽企業がヴェイパーウェイヴの起こりだと思われる)。™

 今作でループさせられている一節一節は、ガンガンにエコーをかけられ、まるで巨大な聖殿に響き渡っているかのように祝祭的ですらある。景色はまるで真っ白で、鳩がパタパタと飛び立っていく画が見えるようだ。しかし、そんな演出とは対照的に、チョップとループのタイミングも展開も聴き手に心地よさを与えるものとはけっして言えないほど荒々しい。ピッチは原曲より低くされたりしながらも、スピードは上げられていたりする。祝祭的な響きをもちながらも、ポップソングがゾンビのように知性のないうめきを上げているようでもある。仕事中などにわけもなくなにかの歌の一節が脳内ループしてしまう体験に等しい。非常にストレスフルである。荒々しいが繊細に編集されている。ジェームス・フェラーロはポップ/ロックがリビングでつけっぱなしのMTVから垂れ流され平坦な環境音となり死んでいる様子を捉えたが、今作ではメディアファイアード™によってポップスがゾンビとして目覚め、リスナーに襲いかかってくる。™

 カセットのB面には「shit's cold / roam as you are」というサブタイトルがついているが、「私、キャシーよ!帰ってきたの。とても寒いから、窓から入れてちょうだい」と歌うケイト・ブッシュと、別れた恋人への未練を歌うバックストリート・ボーイズに対してメディアファイアード™が吐き捨てた言葉なのだろう。それらの曲名は“ピクシーズ”なんてバンド名がもろにつけられていたり、ソニックユースの曲名だったり、ニルヴァーナの“イン・ブルーム”の歌詞(“Spring Is Here”“Tender Age”)が引用されていたりする。俗なポップスに対して自分の趣味――すなわち自分にとっての聖(ノイジーなロック)をぶつけていく幼稚で原初的な対抗意識を演出している。™

 『ザ・パスウェイ・スルー・ワットエヴァー™』が『プランダーフォニック』のようなカルト的な支持を得ることはないだろう。なにしろ元ネタが基本的にcheezyでダサい懐メロからだ。しかし、それらはストレスフルな編集がなされているぶん原曲以上に印象的でもある。繰り返すが、編集は凝っている。最後の曲のアウトロでは飛行機が風を切る音が聞こえるが、これは“アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ”のミュージック・ヴィデオのイントロで挿入されている音だ。そう。つまり、そういうことだろう(I want it that way)。™

[UK Bass Music, Darkwave, etc] - ele-king

Darkstar - Timeaway



 『ノース』への大胆な方向転換の直後に〈ハイパーダブ〉から〈ワープ〉へ移籍したダークスターによる2年ぶりの新曲。ヴァイナルは11月20日に発売される(https://bleep.com/release/39342-darkstar-timeaway)。野田編集長はいまだにデュオだと思っていたみたいだが、『ノース』の時点ですでにヴォーカルにジェームス・バタリーを迎えたトリオになっている。
 プロデューサーにはワイルド・ビースツ/スペクタクルズ/エジプシャン・ヒップ・ホップなども手がけたリチャード・フォーンビーを起用しており、「イギリス北部ペナイン山脈のどこか深いところ」にある「ヴィクトリア調のジェントルの邸宅」を借りて録音されたアルバムは、来たる2013年初頭にリリース予定とのこと。
 この録音場所がなるほどと思えるほど、"タイムアウェイ"の旋律は、荘厳なエコーでメランコリーなイメージを讃えている。ダブステップ期もいまは昔。たださえ意外な方角へ舵をきった『ノース』以上にヴォーカルとハーモニーがフューチャーされ、いくぶんか明るくなった印象もあるが、陰鬱さを讃える美学はよりいっそう磨かれている。

 ダークスターのYouTubeアカウントには、レコーディング中のスローモーション映像にドローン/アンビエント風で静かな音楽を添えたものが"Nowhere"として4つアップされている。

 忘れもしない2011年4月9日、ロンドンはショーディッチにあるヴィレッジ・アンダーグラウンドというヴェニューにて、ダブステップのダも知らなかった僕がダークスターを観た。日本では聴いたことがないほどバカデカいベース音に全身を震わせられたとき、心臓を潰されて死ぬかと本気で思った。おおきな教会を改修したような広い会場。酒で酔っ払い喋りまくる、カルチャーめいたオーディエンス。機材トラブルによる1時間近くの遅延を経て、不穏な空気が拭えないなか、殺気だちながら透き通った目の青年が喉を震わせた。

 日本でのステージが実現することを期待しよう。


Dazed and Confused Live PART 2 with Darkstar & Gang Gang Dance

 これは先述の〈DAZED LIVE〉での映像。ダークスターはもちろん、トリのSBTRKTも凄かった。1時間以上も時間が押した結果、ギャング・ギャング・ダンス終了後には25:30近くなりオーディエンスは続々と帰ってしまった。ガラガラの会場にイラついていたように見えたが、SBTRKTは圧倒的にベスト・アクトだった。

Trimbal - Confidence Boost (Harmonimix)



 ロンドンのグライム系ラッパーであるトリンバル(元ロール・ディープ・クルー、基本的にはトリム名義)と、ジェームス・ブレイクの別名義ハーモニミクスによる作品のミュージック・ヴィデオ。ツイッターを見ていても、発表されると同時に瞬く間に話題となっていた。リリースは〈R&S〉から。撮影は、ザ・トリロジー・テープスの記事でも紹介したロロ・ジャクスンである(と、このようにウィル・バンクヘッドの陰がロンドンの地下水脈では散見される)。
 ミスター"CMYK"がトリムの叩きつける言葉を名義のごとくハモるその後ろでは、ノイズが大胆にブーストしている。

ポーズをとれ。
アイツがどれだけ信頼を寄せていようと知ったこっちゃないなら。
ポーズをとれ。
ガール、自分の服を着て自分がイケてると思ったなら。
ポーズをとれ。
きみが問題を抱えているなら、気にするな、
誰も知ったこっちゃない。
ポーズをとれ。ポーズをとれ。
Strike a pose.

 ポーズをとっているのかはわからないが、時折出てくるジェームス・ブレイクがイケメンであり可愛いことは間違いない。

Eaux - i



 〈ソーシャル・レジストリー〉に在籍していた気高く美しいシアン・アリス・グループ(Sian Alice Group)は解散してしまったが、そのメンバーであったシアン・エイハーンとベン・クルックにステフン・ウォリントンが合流したトリオがオー(EAUX)だ。
 11月に発売される新作EP『i』からタイトル曲が先行公開された。以前にリリースしていた両A面7インチ『Luther / No More Power』はダークなシンセ・ポップで、それこそ女性ヴォーカルの気高いダークスターという印象だったが、今作はほぼインストゥルメンタルである。ドラムがいないため、打ち込みのリズムにベンのギターやステファンのシンセを被せるかたちに落ち着いている。シアンは1音節の語を繰り返し発語する。

i i i i i i i i i
gotten gotten gotten gotten

 ジ・XXの新譜の先行試聴会で思い出したのが、サウンドこそ違うが、似た編成のオーだった。こちらはメランコリーを秘めていながらも甘美な部分を見いださせようとはせず、むしろ厳しさをたずさえる姿勢は、シアン・アリス・グループから通じているものだ。
 これだけではまだなにも分かる気がしないので、EPの発売を待ちたい。

Eaux - Luther

Zomby - Devils

https://twitter.com/ZombyMusic/status/256219187247210496

 ゾンビー(Zomby)が1分半ほどの新曲"Devils"をツイッター上で突如フリーでリリースしている。おそらくアルバムには収録しないということなのだろう。ゾンビーが「5人目のビートルズ」と称える亡き父親を弔った『デディケイション』とはずいぶん違う忙しなさがある。EP「Nothing」にも高速ビーツのトラックはあったが、今作にはより不安を煽るような態度がある。
 ツイッターも相変わらず順調に挑発的でブッ飛ばしているし、次のアルバムはダークで扇動的なものになりそうだ。

 他にもホット・チップのアレクシス・テイラーから、彼がチャールズ・ヘイワード/ジョン・コクソン/パット・トーマスとともに組んでいるアバウト・グループ(About Group)のアルバムが完成したということと、彼のソロEPが12月にドミノからリリースされるという報告を受けました。これは喜ばしい。

 ちなみに、今日ご紹介したアーティストはすべて〈ザ・トリロジー・テープス〉主宰のウィル・バンクヘッドと関わりがある。

Bob Dylan - ele-king

 ボブ・ディランはふたご座の男である。
 ほかにふたご座の男といって思い浮かぶのは、モリッシー、ポール・マッカートニー、太宰治、荒木飛呂彦、プリンスなどがいる。
 モリッシーの陰気な叙情、ポール・マッカートニーの聡明なキャッチーさ、太宰治の決め文句、荒木飛呂彦のナルシシズム、プリンスの天才に基づく詐欺師臭さ。のすべてが『Tempest』にはあると思った。というか、ディランにそのすべてがあるのだ。
 
      **********

 わたしはディランとは不幸な出会い方をした。ガロの『学生街の喫茶店』がいけなかったのである。金髪にブリーチした亀の子だわしのような頭で通学していたパンク娘には、あの世界はどうにもしゃらくさい。だから、多感な時期に彼を聴くことはしなかった。しかも、最初に聴いたのが、ダブリンの中古レコード屋で売られていた『Slow Train Coming』だったと書けば、熱心なファンの方々には「ゴスペルから聴いたのか」と鼻で笑われてもしょうがない。
 とは言え、このアルバムには"Gotta Serve Somebody"が入っていた。この曲にはジョン・レノンのアンサーソング事件というのがあり、いきなりクリスチャンになって「人は誰かに仕えなければ」などと言い出したディランに対し、レノンがぶち切れて"Serve Yourself"(己に仕えろ)という、まるでアコースティック・パンクのようなパロディ曲を書いた。という有名なエピソードがある。(わたしはこの話が個人的に好きで、久しぶりに2曲続けて聴いたらやっぱり爆笑してしまったが、しかしこのServe Yourself問題というのは、現代にも深い影を落としている。というのも、人間がServe Yourselfを貫くというのは実はたいへん険しい道であり、だからこそ人はナショナリズムだの民族主義だのといった仕える対象を探してしまう。この点は、日本でも坂口安吾が「人間は可憐で脆弱で愚かなので、堕ちぬくには弱すぎる」と的確に指摘している)

 『Tempest』は、ジョン・レノンへのトリビュート曲で終わっている。
 列車に揺られている"Duquesne Whistle"ではじまり、タイタニック号が沈んでいる"Tempest"で不気味に幕を閉じたかと思ったら、最後は故人に捧げる歌だった。という構成のためか、これがディランの最終アルバムになるという説も囁かれたが、本人は否定している。
 が、ディランが死を見ているのはたしかだろう。いや、彼は昔から死を意識していたと主張するファンもおられようが、71歳の人間が見ている死はそういうのとは違う。遺作になるかもしれない。という気持ちがふとよぎる年齢の人間は、「これが俺だった」というアルバムを作りたいのが人情だろうし、近年のディランがひたすらプレ・ロック時代のサウンドに安住しているのはそうした心情があるのからなのかと思う。そう考えれば、プレ・ロックなディランの35作目が、彼をロックに向かわせた旧友へのトリビュート曲で終わっているというのは、実に思わせぶりな辻褄の合わせ方だ。
 「己に仕えろ!」と吠えたレノンは、レノンという偶像に仕えていた男に撃たれて死んだ。一方、ディランのクリスチャン期は飽きっぽい彼らしくすぐ終わり、その後も長いソウル・サーチングの旅を続けている。生存者にはギルトのような感情が残ることが多いが、ディランの"Roll On John"には、例えば『The Filth and The Fury』でシド・ヴィシャスを想って泣いたライドンの哀切や、「不良少年とキリスト」で太宰を偲んで慟哭した安吾の痛みはない。それは遺作を意識する年齢になった人間が書くトリビュートだからかもしれないし、これは本当はレノンに捧げた曲ではないからかもしれない。だとすれば、この曲はプレ・ロックの雄、ディランから、死んだと言われて久しいロックという音楽に向けての、「Shine your light. Move it on」というメッセージなのかとも思えてくる。

       ************

 などと、まじめに思索に耽りそうになってしまうが、騙されてはいけないと思う。
 なにしろ彼は、一筋縄では行かないふたご座の男だからだ。
 モリッシーの陰気な叙情、ポール・マッカートニーの聡明なキャッチーさ、太宰治の決め文句、荒木飛呂彦のナルシシズム、プリンスの天才に基づく詐欺師臭さ。のすべてを併せ持つディランは、実に老獪な詩人である。
 個人的には、"Scarlet Town"のような曲の歌詞にその真骨頂を感じる。

 In Scarlet Town, you fight your father's foes
 Up on the hill, a chilly wind blows
 You fight 'em on high and you fight 'em down in
 You fight 'em with whiskey, morphine and gin
 You've got legs that can drive men mad
 A lot of things we didn't do that I wish we had

 死によって結ばれる若い男女の悲劇について歌ったスコットランド民謡の替え歌、ならぬ替え詩の筈が、すっかり酒場でぐだをまいている爺さんの喋りみたいになってしまっているが、聴いた人々は、「Scarlet Townとは米国のことだ」とか「hillとは政府だ」とか眉間に皺を寄せて考え込み、「深遠すぎてわからない」と放心するのである。

 ボブ・ディランは、老齢化ではなく、老獪化している。

Chart - DISC SHOP ZERO 2012.10 - ele-king

越境ビーツ Selection #01

ひとつのジャンルにこだわっていては見落としてしまいそうな"越境"ビーツ&サウンドを、ワールド・ミュージックの感触を持った曲を中心に10曲。
https://discshopzero.tumblr.com/post/25012657366


1

LHF - EP3: Cities Of Technology (Keysound) /
ロンドン裏通りの移民感を感じさせるユニットの2枚組大作CDからのカット。世界の一都市としてのロンドン・ワールド・ミュージックとでも言うべき4曲。

2

SYNKRO - Broken Promise EP (Apollo) /
ジャジーなムードとエレクトロが持つウォームでクール(この2つが共存するのが素晴らしい~)な柔らかさが魅力のEPの中で、4の民族パーカッションが響くアンビエントが越境。

3

GUIDO - Flow / Africa (State Of Joy) /
自身のレーベルを立ち上げての2作目。親指ピアノ的フレーズも交えつつリズムが斬新な3のアフリカ感は新しいと思います。

4

MENSAH - The Gambia (Deep Medi Musik) /
タイトル通りにアフリカンなポリリズムがオールドスクールな感触も混ぜつつ表現されたキラー・エレクトロfromブリストル。

5

TUNNIDGE - Dark Skies / Tribe (Deep Medi Muzik) /
クラクラするようなベース音と催眠術のような男声ヴォイス、そしてシャープなスネアが覚醒を呼ぶ1もイイですが、タイトル通りトライバルさを前面に出した2がキラー。ダブステップを超えてます。

6

DISTAL - Booyant / Amphibian (Tectonic) /
ジュークを解体しファンキーな要素も加えた展開。1で聴かせてくれたサウンドをさらに解体した2は、ジューク感もありますが、よりトライバルなサウンドを指向するDJに上手く混ぜ込んでイッて(イカせて)欲しいです。

7

FUNKYSTEPZ - Trouble (Hyperdub) /
スクウィーな感触のアシッド味も加わったクレイジーなUKファンキー・サウンド。1のチープなシンセが生む中東感も◎。いずれもフロアでも効力発揮間違いなしの3曲。強力!

8

KAHN - Way Mi Defend / Azalea (Box Clever) /
ブリストルの要注目プロデューサー。レゲエの声ネタを使いつつ、3連パーカッションとシャープなワンドロップ・スネアが水滴のように深さを強調させる1。このレーベルは全て要注目。

9

DARLING FARAH - Body (by CivilMusic) /
デトロイト出身UAE経由、現ロンドン在住の20歳によるアルバム。4/4ビートのテクノ・サウンドをベースにしつつ、チルアウトでディープに洗練されたデトロイト・ソウル~ダブ・テクノを展開。5のテック・サンバが最高。

10

ADRIAN LENZ / SANDMAN - Cover Me / No Prisoners (Blank Mind) /
スペインはグラナダ発という2人の、ソカをベースにしたダークでマッドな1枚。ヤバイデス。

Goku Green - ele-king

 今年の3月のことである。写真家の植本一子は「とうとう眉毛を整えたラッパーが出てきたぞ! と石田さん(夫であるECDのこと)が鼻息荒く教えてくれた」とツイートしていた。SALUのことだ。それがひどく印象に残ってしまい、機会あってECDにインタビューした際に、「SALUをはじめとする若手ラッパーについて、どう思いますか?」とたずねてみた。返答は思いがけないものだった。「SALUは作られているといった感じがするんだけれど、北海道のGoku Greenというラッパーは天然で......どちらかというと、僕に近い気がする」。もちろんこれは眉毛の話なんかではなく。

 ECDが1996年の七夕の日に日本語ラップ史に残るイベント「さんピンCAMP」を主催したのは有名な話だが、Goku Greenはそのちょうど1年後に生まれた。音楽好きの両親のもと、スヌープやボブ・マーリーを師と仰ぎながら育ち、高校入学と同時に本格的に音楽制作をはじめる。そして、昨年秋に無料ダウンロードで発表されたミックステープ『ハッパ・スクール』を契機にシーンの注目を集めることになる。ウィズ・カリファやカレンシーといった、いわゆるUSストーナー・ラップ直系のスムースでメロディがかったフローが持ち味で、SALUとはラップ・スタイルが近似しているためによく比較されていた(ともに影響を受けたアーティストとしてボブ・マーリーを挙げている)。しかし、前出のECDの言葉が端的に表しているように、この二者には違いがある。似たようなフローのなかにおいても、アクセントや節回しから90年代~00年代の日本語ラップの潮流を汲んでいるSALUに対して、GOKU GREENは、荒削りな原石としての輝きがある。発声法やトラックへ合わせたデリヴァリーしかり、洗練という意味では、SALUの方が上手かもしれない。だが、必ずしもスキルの優劣が音楽の良し悪しに直結するものではないことを僕らは知っているし、彼はそういうタイプの歌い手でもない。ヴォーカルのかぶせやエディットも最小限の簡素なつくりで、少々危うさもつきまとうボーカルだが、なにより華があるのだ。彼が「生まれながらのMC/ナチュラル・ボーン・ラッパー」と言われるゆえんであり、ECDに「天然」と指摘されもするそんな屈託のなさは、あるいは、かつての5lackの「テキトー」と言いかえてもいいのかもしれない。

 そんな彼のデビュー作は『ハイ・スクール』と題された。それはたんに、彼の日常の大きな比重を占めている場所を指しているのだろうか。大半の曲で歌われる内容は、ショーティー、マネーにウィ―ド......いずれもオーソドックスなヒップホップ・テーマの例に漏れないものばかりだが、「高校」という主題からはおおよそかけ離れているし、自分が高校生ということに言及している詞も少ない。にもかかわらず、こうしたタイトルをつけているのは、全編にただようモラトリアムなムードと、それを許している自身の生活・環境を考えてのことだろう。いわば、想像と夢に耽ることを許された時間。"キャン・ユー・フィール・イット"で聴けるライン「人生の計画は考えないでノリはEasy」なんてすがすがしいほどだ。また、"ネボー・ギャング"なんていう、彼らの仲間内で使われているキュートなスラングのように、ヒップホップ・マナーでもっていかに日々を楽しむかというゲームを行っているようなフシも感じとれる。今作が描き出す彼の日常は、"ドリーム・ライフ"の意味を「夢の日々」、もしくは「夢のような日々」のいずれに解釈するにしろ、現実感に付随する重さをきらい、若さに満ちた確証の持てない希望を、個人的な願望に置きかえて歌っている。ラップ・スタイルとしては、やはり5lackの系譜に連なるとは思うが、ストーナー・ラップの括りでいえば、ファンタジーを織り交ぜて東京という街を描出し、楽観的にも厭世的にもとれる平熱的な語り口を持つ詩人、ERAをも思い出させる。だがGOKU GREENはより初々しく甘酸っぱく、ドリーミーでポップだ。つまり、グリーンはグリーンでも、ストーンというよりはエヴァー・グリーン。思いがけないドラマに導かれた彼に言わせれば、ヒップホップのクリシェ「Life's A Bitch(人生はクソだ)」よりは、「Ma Life Iz Like A Movie」なのである。



 『ハイ・スクール』リリース後、GOKU GREENは8月にフリーのミックステープ『ダーティ・キッズ』を発表。こちらは発表直後から長らくダウンロードできなかったのだが、つい先ごろ2曲追加した形で再度発表された(ダウンロードはコチラ→)。『ダーティ・キッズ』はミックステープらしいつくりで、というのも、いくつかは既存の曲のビート・ジャックもので、フリースタイルでサクッと録ったような印象。だが、前半部を聴くだけでもビート・アプローチが確段にうまくなっていることがわかる。キャッチーなフックとフローのメロディ・センスは健在で、多幸感あふれるクローザー・トラック(その名も"ネボー!!!")まで心地よく聴かせられてしまう。総じて言えることではあるが、非常に軽い聴きざわりで、それが快い。目玉はLil'諭吉プロデュースの"キャンディ・キャンディ!!!!"で、テーマ・パークのメルヘンチックなBGMをサウス寄りのバウンシーなトラックにアレンジしたような好トラックだ。また、ニコラップをフィールドに活躍する気鋭のラッパーRAqやYURIKAといった客演陣は、非常に完成度の高いヴァースを提供しており、こちらも聴きごたえ十分。

 今年に入ってAKLO、LBとOtowaなど、ミックステープを主戦場として活動していたアーティストが有償かつフィジカルでのリリースを果たしている。そんななかでもGOKU GREENはミックステープ『ハッパ・スクール』のみを足がかりに、1年と経たずインディ・ヒップホップ専門の新興レーベル〈BLACK SWAN〉の第1弾アーティストとしてデビューを果たした。このアクションのはやさには「非メインストリームに潜むすばらしい音楽やアーティストを自由に紹介すること」をレーベル・ポリシーとして掲げる〈BLACK SWAN〉の強い思いがあったようだ。それにしても、THE OTOGIBANASHI'Sをはじめ、『REV TAPE』にも収録され話題となっていたdodoや、早くから騒がれていたRIKKIに、12月に〈LOW HIGH WHO?〉からデビューする女子高生ラッパーdaokoなどなど新たな世代の胎動と加速する若年化の波は、けっしてアイドル業界にかぎった話ではない。そんな過渡期ともいえるなか、先鞭をつけるかたちで若干16歳のGOKU GREENがアルバム・リリースを果たしたことの意味は大きい。長い目でみれば、『ハイ・スクール』は、ひとつの指標になり得る作品なのではないか。そう思ってしまうほどに、GOKU GREENはフレッシュで、ヒップホップ・ドリームをふたたび、僕らに夢見させてくれるのだ。

DJ Nobu - ele-king

 昨年から今年にかけてDJ NOBUには何度落ちた気分を救われたことだろう? 3月ASIAでのPARTY、Liquidroomでの7時間セット、そしてFREEDOMMUNEのときの名だたる世界中のアーティストの中でのPLAY。どれも私にとっては年間BEST PARTYに入ると言っても過言では無い感動をもらった。そんなDJ NOBUが新たに始動したレーベル〈Bitta〉と、彼の地元千葉で様々なPARTYを展開する「SOUND BAR mui」による共同オーガナイズPARTYが原宿神宮前の新スポット「garaxy」にて開催される。

 今回彼らが招聘するのはドイツのアンダーグラウンド・クラブ・ミュージック最重要レーベル〈Workshop〉だ。
 レーベルにスタンプのみをプリントしただけの謎めいたアートワークと、その優れた空間性を持つユニークかつ越境的なサウンドにより 世界中に熱狂的な信者を持つ、ドイツのアンダーグラウンド・ヴァイナル・レーベル。
 今回はレーベル・ショーケースということで同レーベルの看板アーティストであるKassem Mosse(カッセム・モッセ)によるLiveとレーベルを主催するLowtec(ロウテック)によるDJ、そしてDJ NOBU、GENKI NAGAKURAのDJというラインナップ。聞き覚えの無い方もいるかもしれないが、かつてMo' Waxのメイン・ヴィジュアル・ディレクターとして名を馳せ、いまはHonest Jon'sやスケートボード・ブランドのPalaceのアートワークを手掛ける英国の人気グラフィック・デザイナー、Will Bankhead(ウィル・バンクヘッド)のお気に入りのアーティストがKassem Mosseだ。またWillが運営する自主レーベル"Trilogy Tapes"から10年にKassem Mosseによる無題のカセットテープ作品が、また今年に入ってMix Mupとの共作LP"MM/KM"がリリースされており、その縁もあってかKassemのUKでの活動は純粋なテクノ/ハウス系というよりはダブステップ以降のボーダーレスな感覚を共有するパーティへの出演が多い。

 なお、前日は名古屋で良質なPARTYを発信し続けるClub MAGOでも同レーベルのショーケース・パーティが開催される。(五十嵐慎太郎)

workshop night

Featuring 
KASSEM MOSSE (WORKSHOP / MIKRODISKO / FXHE - LIVE) *EXCLUSIVE LIVE IN TOKYO
LOWTEC (WORKSHOP / NONPLUS / LAID - DJ)
DJ NOBU (FUTURE TERROR / BITTA - DJ)
GENKI NAGAKURA (STEELO - DJ)

2012.10.20 saturday night
at Galaxy

B1F 5-27-7 Jingu-mae, Shibuya-ku, Tokyo
open/start 22:00
adv 2,500yen  door 3,000yen

presented by Bitta & SOUND BAR mui

Ticket available at DISK UNION(SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP, SHINJUKU CLUB MUSIC SHOP, SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP, CHIBA)、TECHNIQUE

*limited 200 people only 
*If you buy a ticket, you can enter with precedence
*You must be 20 and over with photo ID

*本公演は入場者200名限定での公演となります。
*開演時のご入場は前売り券をお持ちの方を優先させていただきます。
*20歳未満の方、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂きます。

https://www.futureterror.net/news/dj_nobu/workshop_night.html 

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workshop night (Nagoya)

Featuring
Kassem Mosse (Workshop / Mikrodisko / FXHE (live))
Lowtec (Workshop / Nonplus+ / Laid - DJ & Live)
DJ Nobu (Future Terror / Bitta - DJ)
Se-1 (Black Cream - DJ)

Second Floor "旅路" @ Lounge Vio
DJs
Chee (Discosession/Organic Music)
Kaneda
DJ Avan (Pigeon Records)

2012.10.19 friday night
at CLUB MAGO

open/start 23:00
adv 2,500yen(1day) door: 3,000yen

presented by Gash & Black Cream
tour coodinated by Bitta

https://club-mago.co.jp/


 さらに、10/19(Fri)@名古屋MAGO、10/20(Sat)@ 神宮前Galaxyでのworkshopレーベルショーケースの開催を記念して、今回workshopが来日企画として特別に制作した日本限定発売の12インチ盤を各会場にて販売する事が決定!
 いまのところ詳細不明ですが内容はKassem MosseとLowtecの楽曲を収録したものとなる模様。
 プレス枚数は全世界で超限定50枚というプレミア必至の激レア盤です!

 昨年開催した一回目の「シブカル祭。」は、アート(立体、平面)からファッションから写真からパフォーマンスからフードまで、「女の子のための」と謳われていただけあって、妙齢のオッサンである私なんか、その、なんというか陽(ヤン)なパワーに圧倒されて、会場の渋谷のパルコから走って家に帰った憶えがあるが、前回の好評を受け、「シブカル祭。」が帰ってきました!

 2012年の「女子」たちに課せられたテーマは「女子のミックスカルチャー祭」。なんでも、昨年秋の第一回で、展示で隣り合ったクリエイター同士が意気投合して、合同展や共同制作の話がもちあがるなど、個を集めたフェスティヴァルから横軸の視点へ、「シブカル」という器そのものが参加クリエイターとの相互作用で、変質しつつあることを象徴するテーマが、今回は設けられました。つまり「ガーリー」のいいかえだと思われた「女子」カルチャーがその射程をじょじょに広げつつある現状を体現する文化祭が「シブカル祭。2012」といえるわけで、そんなこともあり、われわれ「ele-king」も、「シブカル」とコラボレートすることになりました。

 10月22日(月)の渋谷クラブ・クアトロ。

 この日は「ele-king LIVE at シブカル」と銘打って、TADZIO、平賀さち枝、Sapphire Slows、石橋英子、2012年秋にele-kingがレコメンドしたい4組のアーティストにご登場いただきます。
 今年リリースした『23歳』で、躍動感あふれるキュートな歌世界を構築した平賀さち枝、その風貌に似つかわしくないささくれだったガレージ・サウンドで好事家のみならず、ファンが急増中のTADZIO、紙『ele-king』Vol.6の特集でもブレないスタンスを表明し、海外での評価も高いSapphire Slows、ライヴの1週間前にピアノ・ソロ作『I'm armed』(傑作です)をリリースする石橋英子。かそけき音から轟音まで、フォークからIDMまで、弾き語り女子から宅録女子まで、ほかでは考えつかない、まさに「ele-king」らしいダイナミック・レンジを体感できる「ele-king LIVE at シブカル」にぜひおこしください! 当日は、メイン・アクト以外にも、DJやパフォーマンスで、意外なゲストもあるかもしれません。 (編集部M)

 ele-kingでは「ele-king LIVE at シブカル」に読者ご招待します。info@ele-king.netに、お名前とご連絡先、件名に「シブカル祭読者招待」と明記の上、メールしてください。抽選の上、当選者の方にご連絡さしあげます。締切は10/19(金)までとさせていただきます。


平賀さち枝

Sapphire Slows

TADZIO

石橋英子


シブカル祭。音楽祭2012
ele-king LIVE at シブカル

10.22 (Mon) @渋谷CLUB QUATTRO

石橋英子
平賀さち枝
Sapphire Slows
TADZIO
and more...

18:00 OPEN/START

チケット前売り:¥2,000(tax in / 1 drink order ¥500 / 整理番号付)

チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:181-353)
ローソンチケット:0570-084-003(Lコード:72495)
e+:https://eplus.jp

主催:シブカル祭。2012実行委員会 www.shibukaru.com

THE ORB JAPAN TOUR 2012 - ele-king

 アレックス・パターソンとトーマス・フェルマンすなわちジ・オーブがリー・ペリーと共作した『ジ・オブザーヴァー・イン・ザ・スター・ハウス』は、リー・ペリーのファンにとっても興味深い作品だったんじゃないだろうか。これまでペリーが創出したダブへの敬意、ただそれを模倣するのではなく、彼らのレゲエへの造詣の深さをモダンに転換した作品、そして、その発展型としての今日のエレクトロニック・ミュージックがよく見えた作品だったように思う。もちろん初期のジ・オーブを知っている世代にとっても嬉しい作品だった。ペリーの魅力を損なうことなく、ジ・オーブは少しばかりユーモラスな味付けで、新しい島を発見した船長のように、未開の領域に進入した。
 今週はリー・ペリーがあるが、来週はジ・オーブがライヴ公演のために来日する。トーマス・フェルマンも駆けつける(DJもやります)。

https://soundcloud.com/factmag/fact-mix-341-the-orb-lee

root & branch presents THE ORB JAPAN TOUR 2012

10.19 (FRI) @ 大阪 心斎橋 CONPASS
Live: THE ORB
Opening DJ: ALEX PATERSON (THE ORB), THOMAS FEHLMANN (THE ORB, KOMPAKT)
Open/ Start 20:00
¥3,500 (Advance), ¥4,000 (Door) 共に別途1ドリンク
Information: 06-6243-1666 (CONPASS) conpass.jp

10.20 (SAT) UBIK supported by BLAFMA
@ 東京 西麻布 eleven

Live: THE ORB
DJs: ALEX PATERSON (THE ORB), THOMAS FEHLMANN (THE ORB, KOMPAKT), GONNO (WC, Merkur, International Feel), dsitb (BLAFMA, bloom)
Lounge Floor: Taddy (BLAFMA, 無幻), chivarhythm (BLAFMA, FBWC), JAVA (RYTHMHOLIC, Silent Music), Ryota Nakazono (無幻), OcB (BLAFMA)
Open/ Start 22:00
¥3,000 (Before 23:30), ¥3,500 (w/ Flyer), ¥4,000 (Door)
Information: 03-5775-6206 (eleven) go-to-eleven.com




THE ORB (ALEX PATERSON & THOMAS FEHLMANN) www.theorb.com
 UKダンス・ミュージック・シーンの黎明期から現在に至るまで、移り変わりの激しいエレクトロニック・ミュージック・シーンに於いて、常に時代の最先端で革新的な作品を送り出し続けているジ・オーブことアレックス・パターソンは、UKダンス・ミュージックの歴史そのものと言っても過言ではないだろう。代表作は『The Orb's Adventures Beyond The Ultraworld』『U.F.Orb』 『Orbus Terrarum』など数知れない。「アンビエント・ハウス」というチルアウト・ミュージックのジャンルを事実上具現化したマエストロであり、その後のエレクトロニック・ミュージックに多大な影響を与えたアーティストである。近年はファースト・アルバム以来の盟友でありジャーマン・エレクトロニック・ミュージック界の重鎮トーマス・フェルマンとの共同作業が多く、2005年にはヨーロッパに於ける最優良テクノ・レーベルKOMPAKTから『Okie Dokie It's The Orb On Kompakt』、2009年にはドキュメンタリー映画「Plastic Planet」のサウンドトラック『Baghdad Batteries』を送り出している。2010年には元ピンク・フロイドの伝説的ギターリスト、デヴィッド・ギルモアをフィーチャーした『Metallic Spheres』をリリースして、新旧のファンからロック・ファンまでを驚かせた。ミニマル~クリック以降のテクノを独自解釈しながらも、The Orb本来のサウンドスケープを継承する珠玉の作品を精力的にリリースしている。そして、かねてから噂されていたレゲエ~ダブのパイオニアであるリー・スクラッチ・ペリーと全面コラボ・アルバム『THE ORBSERVER in the star house』をリリースしたばかりである。

THOMAS FEHLMANN (THE ORB, KOMPAKT) www.flowing.de
 1979年にドイツのハンブルグでHOLGER HILLERやMORITZ VON OSWALDと共にカルト的人気を誇ったバンドPALAIS SCHAUMBURGを結成。1984年ベルリン移住~バンド解散後、ソロ活動を開始する。1988年には自身のレーベル<TEUTONIC BEATS>を始め、そこで現在の活動にも繋がる<KOMPAKT>の創始者WOLFGANG VOIGTやJORG BURGER、<BASIC CHANNEL>を設立したMORITZ VON OSWALD等をフィーチャーしたコンピレーションをリリース、ドイツ・テクノ史に大きな貢献を果たした。そのレーベル活動を通して、THE ORBのALEX PATERSONと知り合い、その後THE ORBのメンバーとして現在まで積極的に制作に関わる。アーティスト活動のみならず、THOMAS FEHLMANNがドイツのクラブ・シーンに貢献した功績は非常に大きい。伝説のクラブTRESORに於いて、90年代にはMORITZ VON OSWALDとJUAN ATKINSと一緒にレジデントを務め、デトロイト・テクノをドイツへ広めるのに重要な役割を果たした。ソロ活動としては90年代に<R&S>などからリリースを重ね、<KOMPAKT>からは『VISIONS OF BLAH』『HONIGPUMPE』をリリースしている。ベルリンのドキュメンタリーTV番組『24h BERLIN』のサウンド・トラックを担当、そこに書き下ろされた作品を中心に2010年にアルバム『GUTE LUFT』としてリリースしている。

[music video] - ele-king

VIKN Ft. BES,GUINNESS,A-THUG & NIPPS - "STARTING 5"
(Produced by HIROSHIMA&B-MONEY)



 負けを認めるからこそ踏み出すことのできる新しい一歩というものがある。新たなゲームを開始し、ルールを設定し直すために、負けを受け入れなければならないときもある。そもそも誰もが強く、逞しく、信念を曲げず、前向きにい続けられるわけではない。ときには迷い、嫉妬や憎しみを抱き、つまずき、辛酸をなめるときもある。負けているのにもかかわらず、負けていないと意地を張り続ける意固地な態度が道を見失わせることもある。やさぐれた人間のやさぐれた言葉は、ときとして、人の心の深いところに突き刺さったりする。と、そんなことをこのラップ・ミュージックを聴いた直後、僕は漠然と思った。

 トップバッターのBESの強烈な哀しみの歌が僕にそういう思考を促したのか、それともHIROSHIMA&B-MONEYの制作したバックトラックの泣きのストリングスに感情を揺さぶられたのだろうか。それだけではないと思う。5人とも同じ内容をラップしているわけではなく、むしろ5人それぞれが異なるベクトルに向かっているものの、5人のマイク・リレーはある一つのムードを作り上げている(例えば、"GOD BIRD"がそうであったように)。そのムードは言うなれば、いま、とくに東京近郊の街に漂う"負の兆し"みたいなもので、これほど見事に"負の兆し"を捉えたマイク・リレーを僕は久々に聴いた気がして、ゾクゾクしてしまったのだ。その兆しの正体はなんなのか、性急に言葉にしたくないし、できるものでもない。だから、この曲における、5人のラップと身振りは圧倒的にクールであるともいえる。

 ハードコア・ラップ、あるいはハスリング・ラップ、もしくはギャングスタ・ラップ。サブジャンルの呼び名はなんでもいい。SWANKY SWIPEのBESはサウス・ヒップホップ以降のオブ・ビート感覚とNYのラッパーの硬派なスタイルをミックスしたようなフロウで実体験に基づいた痛みと哀しみのストーリーを紡いでいく。それに続く、SEEDAとのビーフで話題を呼んだGUINNESSのより糸が絡み合っていくようなフロウは、こんがらがった内面そのものであるように感じられる。さらに、SCARSのリーダー、A-THUGは、「天国じゃないここはHELL/地獄の炎はメラメラ燃える」「ラップじゃなくても金を稼いでいる」というパンチライン、その間をつなぐ赤裸々なリリックで彼らの剥き出しの現実感覚を鼻先に突きつけ、NIPPSは自問自答と風格のある佇まいでブルースを滲ませる。そして最後に登場するTETRAD THE GANG OF FOURのVIKNが、この曲に、微かな、しかしたしかな光を当てている。

 「STARTING 5」は、ミュージック・ヴィデオの透き通る映像美も大きく影響しているのだろうが、北野武の撮るヤクザ映画に通じる叙情と哀愁、あるいは感傷に満ちている。それらは男のロマンやダンディズムから表出されるもので、その意味で彼らはヒップホップのマッチョイズムに忠実ともいえる。が、ここにある、どうしようもない乾きは、それだけではどうにも説明できない特別なものだ。

 最後になってしまったが、この曲はVIKNが10月発売予定のソロ・アルバム『CAPITAL』からの先行ミュージック・ヴィデオとなる。この曲は、この手のラップ・ミュージックのほんの入口かもしれない。CDが売り切れていなければ、BES『BES ILL LOUNGE:THE MIX』、A-THUG『HEAT CITY MIXED BY DJ SPACEKID』の2枚も合わせて聴くといいだろう。

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