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Elements Of Life

Elements Of Life

@南青山 Blue Note Tokyo

2020年2月4日(火)

文:Midori Aoyama  
写真:衣斐 誠   Feb 19,2020 UP

 Kenny Dope とのユニット「Masters At Work」でも知られる Louie Vega が2000年にスタートさせたプロジェクト「Elements Of Life」(以下 EOL)。日本でのバンド公演は2003年以来、なんと17年ぶり(!?)の来日ということで、当時生で聴いた方やそうでない方も長く待ち望んでいた再来日になった。

 初期のプロジェクトからすでに20年が経過するバンドだが、決して彼らの活動が停止していたわけではなく。過去の作品を調べると、結成時からコンスタントに作品をリリースしており、06、07年では今回のバンド・メンバーとしても参加しているパーカッショニスト Luisito Quintero のソロ・アルバムのプロデュースや EOL のメイン・ヴォーカルとも言える Anané、そして Blaze の Josh Milan らを招き、数多くの作品をリリース。ハウス・ミュージックのプロデューサーとして数多くのリリースを築き上げてきた Louie Vega が、自身の持つラテンアメリカのルーツをより全面的に押し出した一面がこの EOL で表現されていると言っても過言ではない。


 2020年の2月4日のセカンドショーは沖野修也氏のDJと共に幕開け。小気味良いラテン・トラックからその場で生のハイハットが混ざり、音が切れることなくライヴに転換。打ち合わせをおこなったかは定かではないが、こういった「DJ的」な流れで空気を作るのは流石の両雄。トレードマークのハットを被り、カジュアルな出で立ちの Louie の熱いMCと共にいきなり未発表の新曲からスタート。ハイハットとジャズのベースにピアノとコーラスが絡み合うクラシックなジャズ・ナンバー・スタイルで会場を温めていく。そのままのスムーズな流れで EOL の代名詞トラック “ELEMENTS OF LIFE” に突入。ここで序盤から会場のボルテージは最大に。終盤でかかるかなと予想していたオーディエンスも多かったようで、サプライズ的なスタートは衝撃的だった。続いて Nina Simone “FEELIN GOOD” を EOL スタイルで披露。バック・ヴォーカルのひとり、Ramona Dunlap をフィーチャーし会場を甘い雰囲気で包み込む。Louie Vega 本人の叔父でもあり、自身がラテン・ミュージックに大きな影響を受けた Héctor Lavoe の賛辞を添えて「ラテン・ジャズの世界に案内しよう!」と言った Louie は次に未発表の新曲、若き天才キーボーディストと言われる Axel Tosca がアレンジを務めたラテン・ナンバー “CALLEJON” を披露。彼のファンキーなルックスからは想像もつかない繊細かつダイナミックな美しいピアノ・パフォーマンスに酔いしれる。


 そして満を辞して EOL のメイン・ヴォーカル Anané が登場。西アフリカの孤島カーボベルデをルーツに持つ彼女が「よく母が歌ってくれた」と言いながら地元の歌手 Adriano Gonçalves こと Bana の “TERRA LONGE” を披露。どこかメロディックで悲しげな感じ(原曲も非常に哀愁漂うナンバー)で前半の熱量とはトーンも変わりブルーを基調としたライティングの中、会場は甘い雰囲気に包まれていく。会場の暖かい拍手と共に「次はブラジルに連れていくよ、踊るのを怖がらなくていいからね」と Louie のMC。次に披露したのは Webster Lewis の “BARBARA ANN”。ブラジリアン・フュージョンの名曲ということで、MCの紹介と共にコアな観客からも歓声が湧き上がる。新曲とクラシックを交互に織り交ぜるスタイルの EOL。続いてはラテン・フュージョンの未発表曲 “DREAMER”、そして Johnny Hammond の “FANTASY” を。パワフルなコーラスと共に壮大にカヴァー。どれも原曲のエッセンスを残しつつ、EOL らしい絶妙なフュージョン感を持ったアレンジは流石のパフォーマンス。


 僕自身期待していた EOL のヒット曲はまだか……と思っていたが、Dawn Tallman のパワフルな美声と共に EOL の代名詞ハウス・チューン “INTO MY LIFE” をついに披露。ここで座っていたオーディエンスもほぼスタンディングに。そして会場も待ちに望んでいた Josh Milan がついにマイクを取る。ここまで控えめにキーボードを弾いていた Josh の存在感はやはり圧巻。EOL と共に生み出した “CHILDREN OF THE WORLD” そして “YOUR BODY” とどちらも高い熱量で歌い上げ、会場のボルテージも上がってきたところで、Louie の「Nuyorican Soul の時代に戻ってみよう」というMCと共に “I AM THE BLACKGOLD OF THE SUN” のピアノ・フレーズが。この瞬間、会場の熱気は最高潮に。ミラーボールを中心としたライティングはまさにクラブのような雰囲気となり、オーディエンスも総立ちで一気にフィナーレへ駆け抜けていく。

 「最後にもう少しだけ、君たちを教会に連れていくよ」と Louie Vega のMCと共に、往年のゴスペル・ナンバー “STAND ON THE WORD”、そしてエンディングに “YOU BROUGHT THE SUNSHINE” を披露。彼のルーツであるラテンからアフリカ、そしてニューヨークまで約1時間半の演奏の数多の国境を越えていく展開はまさしく「ミュージック・ジャーニー」。各パートにレジェンド級のミュージシャンが揃ったバンド達の17年ぶりの圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにできたことはいちオーディエンスとしても非常に貴重な体験だったと思う。

 自身が培ったルーツと衰えることない音楽性を結成からここまで継続的に披露しながら、カヴァーと新曲を織り交ぜることで過去と未来そして様々なジャンルの音楽を自在に横断する EOL のプレイはDJ/プロデューサー、そしてバンドのコンダクターとしての Louie Vega ならではのアイデアとパフォーマンスと言えよう。当日のMCでも2020年の冬に新しいアルバムを控えているとのことで、さらに進化した彼らのサウンドをこの耳で繰り返し聴けるのが本当に楽しみである。


文:Midori Aoyama

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