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Home >  Interviews > interview with DJ Kentaro - 平成24年のダンス・フィーヴァー

interview with DJ Kentaro

interview with DJ Kentaro

平成24年のダンス・フィーヴァー

――DJケンタロウ、ロング・インタヴュー

野田 努    Jun 28,2012 UP

オレはCDJ使わなかったけど、パソコンでセラートっていうのが生まれて。「自分の作った曲すぐ掛けれんじゃん」っていうので、オレも導入して。で、いつしか割合が、じょじょにデジタル増えて。


DJ Kentaro
Contrast

Ninja Tune/ビート

Amazon iTunes

さっき言ってた、自分の出発点というか、自分の出自であるコスリというかね、スクラッチを後半のクライマックスに持ってきてるわけだけど。DJ ケンタロウがどこらやって来たのかって言うと、いわゆる「DJバトル」って言われるシーンだから。

DJ KENTARO:そうですね、一般的に。

で、その「DJバトル」が日本でもすごく注目されて、みんなが夢中になったのって、1990年代末から2000年代頭......。

DJ KENTARO:そうですね。2003年、2004年ぐらいまでかなぁ。

......ぐらいまでで。そこからほんのわずか10年も経っていないにもかかわらず、エクイップメントであるとか、DJカルチャーを巡るツールが激変したでしょ。

DJ KENTARO:進化しまくってますね。

そのことに関してはどういう風に思いますか?

DJ KENTARO:まぁ、アナログ......をやって〈DMC〉とかも勝ったし。例えば、自分のオリジナル・ブレイクスも作って。っていう時点から、ちょっとずつ変わってきたっていうか。元々は売ってるランD.M.C.でも何でも、レコードに入ってる溝の範囲内でやってるからカッコイイって美学があったじゃないですか? そういうのでずっとDJバトルがあって。そのうちオリジナル・ブレイクスっていう概念が生まれて。自分でレコード・プレスする。その時点で、もうワックだなんだっていう話は出てきてたんですよ。「自分で逆算して作れちゃうじゃん」って。例えば、リズム・パターンも自分で決めて、作りたいルーティン、逆算してできちゃう、と。「そんなのワックだ」っていうのも初期からあったんすよ。だから、売り物のレコードだけでやんないと面白くないみたいな。
 だけど、だんだんそれ(オリジナル・ブレイクスありき)が主流に、主流まではいかないけど、オレも自分でオリジナル(・ブレイクス)出して優勝したし。それが過ぎて、今度はデジタル。オレはCDJ使わなかったけど、パソコンでセラート[Serato]っていうのが生まれて。「自分の作った曲すぐ掛けれんじゃん」っていうので、オレも導入して。で、いつしか割合が、じょじょにデジタル増えて、アナログがだんだん、3割、2割、とかなってきて。いまはもう数枚しか現場に持って行かない状況なんすよ。やっぱりオレも海外とか行くと、ロスト・バゲージとか細かい問題があったりして。レコード無くなるし。

重たいの運ぶから、最近は金取られるしね。

DJ KENTARO:金取られるし。10万とかかかる。「ギャラ全部なくなっちゃうよ」とか、いろいろ事情があるから。だから、海外はどうしてもセラートで。クラッシュさんもいまセラートで演ってるけど。ムロさん[DJ MURO]でさえ、海外は7インチ・セットでしか行かないと。やっぱりそれも......。

そこで7インチ・セットで行くところが、またイイね。

DJ KENTARO:カッコイイっすよね(笑)。だから、それをムロさんはアナログでしっかりやってる。あと、仙台のGAGLEのミツさん(DJ MITSU THE BEATS)も、ミウラさん[DJ Mu-R]もアナログで演ってたり。オレも少なからず、そこは感じてて。けど、オレはアナログ、いまでも家に。5000枚ぐらいあって。かなり売っちゃったんですけど、けど、それはもうプロモとか、ハッキリ言って要らないレコードで(苦笑)。オレの買ってきたレコードとかお気に入りは5000枚ぐらい家にあって。そういうアナログ・セットの、3時間、4時間っていうロングセットを、その棚ごと持って来て、今年どっかで演りたいなっていうのがあって。まぁ、漠然とですけど。そういうアナログ・セットをコンセプト的に演りたいなっていうのがあって。やっぱり、オレも、デジタルになると、もちろん便利だけど、溝飛ばすとか、もともと入ってる曲のアレとかっていうのが楽しかったのになぁ、とかって正直考えたりしてるし。

デリック・メイなんかは、もうDJと呼ばれている職業の......

DJ KENTARO:デリック・メイ。

そう、テクノの。彼がミックスCDを自分が出す理由は、そのDJという職業がもういなくなってしまうから、その記録として、オレは(ミックスCDを)出すって言っているんだけどさ。

DJ KENTARO:なるほどぉ。

DJケンタロウやクラッシュさんの時代だったら、すごく練習するわけじゃない。

DJ KENTARO:そうですね。ターンテーブリストたちとか、大会に出るDJとかは。

まずピッチを合わせる。「どうやったらピッチが合うんだ?」っていうところからはじまって。どうしたら上手く、カッコ良くミキシングができるのかとか。あと、バトル系なわけだからさ、当然、その速さであるとかね。リズム感であるとか。

DJ KENTARO:ジャグリングとか、そうですからね。

トレーニング、努力しなければできなかったことがさ、もう努力しなくてもできるようになっちゃったじゃない。

DJ KENTARO:スポーツ。〈DMC〉とか、スポーツとかって言われますからね。言われないですか? スポーツっぽいって。

スポーツ。アハハハ(笑)。スポーツっていうのはアートじゃないですか。

DJ KENTARO:まぁ、そうですよね。動き早いし、結構忙しいし。それがいまやボタンひとつだからね。

だから、なんかこう、思いがあるんじゃないですか? ターンテーブリストとして。いまのパソコンDJに対して。要はピッチはボタン、ポーンとかっていう新しく出てきた世代に。あまりにも便利になってしまって。

DJ KENTARO:そうですね......で、いまの若いコ、ターンテーブル、触ったこと無いっていうコ、いるんだなぁと思って(苦笑)。

けっこういる。

DJ KENTARO:けっこういるんですよね。「あ、いるんだ」って目の当たりにしたときに、「え、ピッチコントローラー、スゴォい」みたいな感じで(笑)。喜んでるコがいて。

一同:(笑)

DJ KENTARO:「そうなんだ!」って。

だって、DJ ケンタロウって、ハッキリ言って、まだ若いよね。

DJ KENTARO:30歳ですよ、一応。けど、まぁ......。

ぜんぜん若いよ! 

DJ KENTARO:ハハハハ。

時代の速度、速すぎない? 自分が歳を取っただけ?

DJ KENTARO:けど、正直オレもアナログからデジタルに移行してきたっていう流れもあって。セラートとトラクター(TRAKTOR)両方持ってるし。いまはセラート使ってやってて。オレもいま、デジタルの恩恵っていうのは受けてDJ演ってる。取り敢えず海外でツアーできて、自分の曲もすぐ掛けれて。例えば、「あ、今日はレゲエっぽいのいこう」、「今日はテクノ掛けてみよう」とかってパッとプレイリスト作ったり。ある意味、その場で〈ビートポート〉で買ったり。もうイヴェントの1時間前まで仕込めるわけですよ。だから、そういう便利さっていうのはあったけど。
 いままでは、持ってきたレコードのなかでどうにかストーリーを作るっていう制限があったから、逆に、オレっぽさが出ててたのかなぁっていうのも考えたんですよ。オレが買ってきたレコードしかないから、オレっぽさが出てた......とか、まぁ、だから、どっちがイイかわかんないっすけど。デジタルDJになってきてて、ピッチなんか合わせなくても、「ハイ、SYNCボタン。これだけ」みたいなっていうのは、そのうち、そこに人がいなくなるだろうな。それこそ遠隔操作でイイっていうか(苦笑)。ミックスCD掛けて終わりみたいな。そんなんなったらもうDJとかじゃないですけど。(改めて)たしかにそうっすわ......そう考えてみれば、DJって今後どうなっていくんだろう。あんま考えたたことねぇわ。

スタッフ:DJミキサー自体はもうWi-Fiの機能が積んであって。パソコン画面も付いて、要は、Wi-Fiでミキサー上からデータにアクセスにしにいくから、もうパソコンも要らなくなるように、いま......

DJ KENTARO:ミキサーだけってこと?

スタッフ:ミキサー内で全部完結できるようにしてるって言ってた。Wi-Fiを積んでデータにアクセスする。要は、手ぶらでクラブに行って、「あ、付いてる? じゃぁ......」って言って、ケンタロウの家のサーバにアクセスして、データから呼び出して。やっていくっていうところをいま(エンジニアは目指してる)。第2の......っていうか、この先はそこらしいですよ。

DJ KENTARO:だから〈ドロップボックス〉(Dropbox)にアクセスして。

スタッフ:そうそう。そういうこと。クラウド上にアクセスしにいくミキサー。もうパソコンだよね。

DJ KENTARO:やっべぇ......。

ケンタロウは、早熟だったから、デビューが若すぎたね。同世代のさ、友だちとかね。それこそアナログなんて、ほとんど聴いてないだろうし。

DJ KENTARO:アナログを? え? 同世代で? あ、DJ以外か。それはもう、そうですね。アナログっていうのはDJしか持ってないものだったんで。アナログ・フォーマットで音楽リスナーって、たぶんいないと思いますね。

いないよね。もうね。

DJ KENTARO:DJしか聴いてないと思います。

だからさ......ケンタロウがまだ30歳ってところが素晴らしいよね(笑)! 20歳で世界デビューですからね。

DJ KENTARO:そうっすかね。もう10年経った感じはあって。オレも世界チャンピオン(2002年・DMC世界チャンピオン)っていうのはイイけど、もうそろそろ10年経ったし、その肩書きをずっと引っ張る必要はないのかなって。

でも、やっぱり、正直言って、クラブ・カルチャーを知らないコたちは気の毒だなって思うこともあって。ロックしか知らないコたちってのはホント可哀想でさ。

DJ KENTARO:あぁ。

いちどクラブ文化を好きになった立場からすると、なんでそんなにスターを崇めながらって思ってしまうんだよね。クラブ・カルチャーっていうのはさ、自分たちが楽しむものじゃない。

DJ KENTARO:ホントっすね。主役はお客さんですからね。

欧米でクラブ・カルチャーが、新しい世代によってスゴく盛り返してきたでしょ。デジタル環境の普及、ソーシャル・ネットワークの普及と比例して、クラブが盛り上がっている。それってよくわかる話だよね。当たり前だけど、やっぱ身体性が欲しいんだよね。

DJ KENTARO:(満足できない)からライヴに来る。それはイイことっすよね。

スタッフ:僕、最近、SNSをピタっと止めたんですよ。そうしたら「アイツ生きてる?」ってウワサが(笑)。

まあ、たしかにSNSが果たしている役割は大きいけど、そこだけに依存しちゃうのは怖いね。

スタッフ:人とのコミュニケーションが、SNS基準になってて。

DJ KENTARO:でも、その感じ、オレにもわかる、わかるよ。オレもそうなる。そこだけになっちゃってて。とくに若い世代はそうですよ。20歳代はみんな(SNSが音信不通になったら)「え? 大丈夫??」みたいな。

そこで認識し合ってるんだね。

DJ KENTARO:ウチらの世代は、まだマシだよ。逆に言うと、どっかで誰かがFacebookにオレの写真を上げてくれてれば、「あー元気なんだな」ぐらいの。けど、20歳代、オレの妹とかの世代は、FacebookとかTwitterとかやってないと「大丈夫? 生きてる?」みたいな。

昔はね、それこそ、行きつけの飲み屋に顔出さないと「アイツ、生きてる?」みたいなね。電話に出ないとかね。

スタッフ:レコ屋で出会う人とかいましたからね。

そうそう。「アイツ、最近、レコード屋に来ないな」とかね。そういう意味では、クラブは音楽が好きな人にとって砦みたいなところがあるよね。ミレニアルズがクラブに走るのは、すごく理にかなっているよ。

DJ KENTARO:でも、そのいっぽうで......〈コーチェラ〉(Coachella Valley Music and Arts Annual Festival)で、2パックのホログラム、見ました? あれとかもね......コンセプトとかあったんだろうけど。2パック蘇らせて、横にスヌープ(・ドッグ)と(ドクター・)ドレーがいてみたいな。2パックがホログラムでライヴしたんですけど。「えぇぇ...」みたいな。

へー!

DJ KENTARO:だから、そのうちビギー(ノトーリアス・B.I.G.)とかもライヴやるんだろうなみたいな。

ハハハハ(笑)。死人だらけのフェスみたいな。

DJ KENTARO:ジミ・ヘンドリックスが出てきたり。ニルヴァーナのカート・コバーンが出てきたり。

取材:野田 努(2012年6月28日)

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