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Interviews

interview with Strange Reitaro

interview with Strange Reitaro

この素晴らしき世界

──奇妙礼太郎、インタヴュー

取材:野田努    Oct 25,2013 UP

 前回取材したときは、お酒の席だったからでしょうか、バンドのみんながいたからでしょうか、なんかともてもご機嫌なヴァイブが全開だったのですが、今回初めて言葉を交わす素顔の奇妙礼太郎は、あのときの彼、あるいはステージでの彼、あのメロウでパワフルで感情の起伏豊かな音楽からはちょっと想像できないほど、物静かなお方だった。

 奇妙礼太郎は、2012年の『桜富士山』以降、精力的な活動を続けている。作品も出している。リミックス盤『GOLDEN TIME REMIX』、曽我部恵一の〈ローズ〉からはアニメーションズの『ANIMATIONS LIVE!』、限定的なリリースとなったが奇妙礼太郎のソロ・アルバムも発表した。9月にはトラベルスイング楽団のライヴ盤『Live! 』をリリース。そして先日、トラベルスイング楽団としての新作『仁義なき恋愛』が出たばかり。

 さあさあ 寄ってらっしゃい 見てらっしゃい
 大根 人参 ロックンロール
 さてさてここに現れし ビックバンド
 シナトラ気取りの フリークスと
 ガラスのハートに わさびを塗りすぎた
 キンキーミュージシャンズ
 微熱なフォーエバーヤングス達に贈る
 ソフト問題児 アンド ハード迷子なオープンチャック
 集団ダンスミュージックなのであります
“DEBAYASHI ALL NIGHT”

 『仁義なき恋愛』は、何故、いまでも僕たちが古いソウルやブルースやロックンロールやスウィング・ジャズやなんかを好きなのかをわからせてくれる……そう、古くて新しい、時代のトレンドを度外視した、ピカピカに光っているヴィンテージ仕様のソウル・アルバムだ。
 前作から変化があるわけではないが、完成度は高い。冒頭の曲の自己紹介の喋りにおける自己嘲笑はソウルのショーのレトリックのようだが、これが実に面白い。トラベルスイング楽団は伝統と形式を受け継ぎながら、自分たちの言葉のセンス、自分たちのグルーヴでまとめることができる。引用した言葉は、どんな説明よりも彼らの音楽を代弁しているんじゃないかと思う。
 そして、2曲目のロックンロール、3曲目のオーティス・レディングばりのソウルを聴いたら、もうあなたは最後の曲の“恋がこんなにつらいとは”までいっきに聴いてしまうでショー。まるでヒット・メドレーのようだ。次から次へ、曲は夜空の流れ星のように展開する。アルバムの尺が42分というのも良い。
 トラベルスイング楽団の演奏/アレンジも『仁義なき恋愛』を名作にしている大きな理由だ。このアルバムにブラスセクションとピアノがなかったら、心の底から笑うことはできなかったかもしれない。トラベルスイング楽団の敷居の低さとクオリティの高さ、ビッグバンドならではの洒落気と歓喜は本当に魅力的だと思う。アルバムを聴いていると、そしてこうして彼らに関する原稿を書いていても、ビールを飲みたくなるのである。

BluesSoulRock'n RollSwing JazzPunk

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団
Live!

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E王

BluesSoulRock'n RollSwing Jazz Pop

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団
仁義なき恋愛

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一番最初に、異様な感じを受けたのは……本屋で売ってる1000円CDみたいなやつでリトル・リチャードのベストみたいなやつがたまたま家にあって。それはなんかビックリしましたね。

まず先に出たライヴ・アルバムが素晴らしいと思いました。こんなにもパンクだったのかと思ってびっくりです。「あれ、こんなだっけ?」って、後半になればなるほど、“サントワマミー”とか(笑)。なんでご自身でまだ聴いてないんですか? こんな素晴らしいものを。

奇妙:興味ないんで……。

興味ない? なんでですか?

奇妙:自分なんで(笑)。

(笑)そうですか。ライヴ盤出されたのは、なにゆえでしょうか?

奇妙:いや、僕知らないです(笑)。

(笑)勝手に出されてしまったと。僕は、いい意味で、職業意識を強く──この間も芸人意識みたいな話をしたんですけれども──やられてるのだと思っていたので、あらためてこのライヴ盤をいて、その壊れ方にビックリしました。

奇妙:……はい。

はははは。いま目の前にいる奇妙さんはこんなに落ち着かれているのに、ライヴをやっていると、自分ではコントロールできなくなってしまうことがあるんですね。

奇妙:そうですね。どうなんですかね。どんなライヴやったか全然覚えてない(笑)。

(笑)そういうのは一回も聴き直すことはないんですか?

奇妙:そうですね。ないですね、全然。最近とくにないですね。

しかもライヴ盤で出ているというのに。

奇妙:そうですね。ジャケットとかは考えましたけど、中身は(笑)。

(笑)気にならないってのもすごいね。

奇妙:そうなんですかね。

でも、もうあとはみんながご自由に楽しんでくれればいいやっていう。

奇妙:そうですね。もう1年弱ぐらい前なんで。ああ、そんなことあったな、っていう、自分としてはそういう感じですね。

なるほどね。『桜富士山』以降、ものすごく作品を出されてますよね。このライヴ盤もそうですけど、その前に『GOLDEN TIME REMIX』があって、アニメーションズのライヴ盤があって。あとは会場限定のソロ・アルバムを出したりとか、あるいはライヴももちろんたくさんこなしてますし。僕が知る限りではたとえばDJフミヤさんのアルバムに参加したりとかね、そういう客演みたいなこともあって。ものすごく多忙にされていると思うんですけれども、『桜富士山』以降のこの1年ちょっとの間、奇妙さんはどんな風に過ごされたんでしょうか?

奇妙:3月4月にソロのツアーをしてたんですけど、その間はバンドのライヴはほとんどなく。それ以外はいつも通りという感じですね。リミックスもアニメーションズもトラベル(スイング楽団)のライヴも、全部自分自身が作業することはとくになかったんで。すでに録音してるもので。だからソロのと今回のは、録音したって感じですね。仕事したなって感じの。

新しいアルバム聴かせていただいたんですけれども、前作以上に完成度が高いといいますか、トラベルスイング楽団として成熟したアルバムだという風に思ったんですけれども。情熱的で、胸のすくような良いアルバムですね。

奇妙:ありがとうございます。

出だしの「大根人参ロックンロール」という言葉で僕はやられました(笑)。

奇妙:ありがとうございます(笑)。とくに意味がない(笑)。

その言葉を思いついたとき「やった」と思ったでしょう?

奇妙:あ、この言葉自体は3年前ぐらいにプロフィールの文章書いてって言われたときの文章で、とくに意味はないっていう。

はははは! 今日は改めて奇妙さんのご自身の歴史についてお伺いしたいなと思ってまして。ご実家がうどん屋さんだったって話なんかを読んだことがあるんですけれども。生まれも育ちも東大阪で。

奇妙:はい。

どんな少年時代をお送りされたんですか?

奇妙:少年時代っていうのは10歳ぐらいまでですか?

そうですね、まあ小学校ぐらいで。

奇妙:小学校のときはあんまり外で遊ばなかったですけど。ほとんどレゴしてましたね。で、小学校4年生ぐらいのときにダウンタウンの『4時ですよーだ』っていう番組がはじまって、それを観るためにダッシュで家に帰ってましたね。それはでも、みんなそうしてましたね。

何か夢中になってたことってありますか? スポーツであるとか、趣味というか。

奇妙:ないですね。テレビ見ることですね。テレビ見て、次の日みんなでテレビの話して、それの真似してっていう、小学生あるあるですね。

(笑)なるほどね。クラスではどんな存在だったと思います?

奇妙:いや、目立つことまったく何もないですよね。なんかのうちのひとりって感じですね。

本格的に音楽と出会うのは?

奇妙:一番最初に、異様な感じを受けたのは……本屋で売ってる1000円CDみたいなやつでリトル・リチャードのベストみたいなやつがたまたま家にあって。それはなんかビックリしましたね。

どんなところに?

奇妙:テレビなんかで聴いてる感じと全然違う……なんですかね、わかんないですけど。

それって何歳のときですか?

奇妙:それはでも、もう中学生ですね。

それは偶然出会ったんですか? お父さんかお母さんの趣味じゃなくて?

奇妙:あ、でもそうですね。家にあったっていうことは。まあまあ、そういう世代のひとたちなんで。

へえー。じゃあしばらくリトル・リチャードばかりを聴いたんですか?

奇妙:いろいろありましたけど、そうですね。それとサム・クックの黄色いベスト(『The Best Of Sam Cook』)を延々聴くっていう。

サム・クックのその黄色いベスト盤もご実家にあって?

奇妙:ありましたね。

それはご実家のうどん屋さんで流されてたんですか?

奇妙:いや、違います。うどん工場なんで。お店ではなかったんで。

あ、そうなんだ。ご自身で音楽を探求しはじめたのはどんな感じでしょう?

奇妙:なんかまあ、よくある感じですね。CDのライナーノーツにルーツが書いてて、それを買って聴くみたいな。ブルースのアルバムとか聴いたり。あんまよくわかんなかったですけど。

でもリトル・リチャードとサム・クックだったら、基本的にまったく変わってないですよね。いままさに、そのことをやられてるわけですから。それは現在に至るまで、ひとりのリスナーとして、ある意味ではまったく寄り道せずにきたんでしょうか?

奇妙:そうですね。そう言われたらそんな気しますね。

取材:野田努(2013年10月25日)

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