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Home >  Interviews > dialogue: Arto Lindsay × Wataru Sasaki - 特別対談:アート・リンゼイ × 佐々木渉

Interviews

dialogue: Arto Lindsay × Wataru Sasaki

dialogue: Arto Lindsay × Wataru Sasaki

特別対談:アート・リンゼイ × 佐々木渉

取材・文:小林拓音    協力:しま 通訳:原口美穂   Sep 23,2017 UP

 7月2日。それは、代官山の晴れたら空に豆まいてにて、アート・リンゼイとジム・オルークによる共演ライヴが催される日だった。その公演を体験するために、札幌から駆けつけたひとりの人物がいる。クリプトン・フューチャー・メディアで初音ミクの開発を担当した佐々木渉である。一見、互いに何の接点もないように見える組み合わせだが、『別冊ele-king 初音ミク10周年』で掘り下げたように、じつはミクのバックグラウンドにはアヴァンギャルドの文脈が横たわっている。つまりアート・リンゼイもジム・オルークも、佐々木渉にとっては心より尊敬すべき先達なのだ。とりわけアートは5本の指に入るほどの存在で、きわめて大きな影響を受けたという。であるならば、こんな機会はめったに訪れないのだし、アート・リンゼイ初音ミクも同じ『別冊ele-king』シリーズで特集を組んでいることだし、ふたりにはぜひとも対面していただくしかない――そのような経緯で始まったこの対談は、しかし、予想以上にぶっ飛んだ展開をみせることとなった。以下、その様子をお届けしよう。

これは、Orangestarさんというクリエイターのヒット曲で、メロディ・ラインを蝉がカヴァーして歌っています(笑)。 (佐々木)

(真顔で)ビューティフル。 (アート)

佐々木渉(以下、佐々木):僕は20年間アートさんの音楽が大好きで、『Noon Chill』や『Prize』の頃からアルバムが出るたびに毎回何十回も聴いていました。高校生の頃にアートさんの(ソロ名義の)音楽を聴き始めて、そのあとに昔のDNAやアンビシャス・ラヴァーズを聴きました。

佐々木さんはリスナーとしてずっとノイズ・ミュージックやアヴァンギャルド、テクノ・ミュージックなどを聴いていて、そこから機材に興味を抱いてシンセサイザーなどの開発に携わるようになり、クリプトン・フューチャー・メディアという会社で「初音ミク」というヴァーチャル・シンガーを企画したプロデューサーです。

アート・リンゼイ(以下、アート):VOCALOIDだよね。すごくおもしろかったよ。

佐々木:ありがとうございます。

アート:あのソフトウェアがどうやって機能しているのか完全にはわからなかったんだけど、誰かが歌って、それを代わりにキャラクターが歌っているの?

佐々木:(画面を見せながら)シーケンサーにMIDIの打ち込みでメロディと歌詞を入れるんです。

アート:ああ! いまわかったよ。

佐々木:そういう仕組みなので機械的な歌になってしまうんですが、いまはどうやったらエモーショナルなことができるようになるか研究しています。

アート:もっと不自然にしてみるというのもおもしろいかもしれないね。

佐々木:そうですね。僕はノイズ~アヴァンギャルドだとかいろんな音楽を聴いてきたなかでも、ブラジルや南米などで楽器に新しいアプローチをしている人たちが大好きなんです。エルメート・パスコアールさんやトン・ゼさん、あるいはドイツのギタリストで、ダクソフォンという楽器を作っているハンス・ライヒェルさんだとか、そういう常識からはずれたかたちで動物や人の声を使って演奏する人が好きで、人間がふつうに歌うよりももっと奇抜なことだったり、機械にしかできないことをやりたいと思っています。VOCALOIDは、ある意味ではヴォコーダーの延長線上にあるものなんですが、自分としては創作楽器を作っているつもりですね。もっとビリンバウやダクソフォンみたいな表現ができるようになれば、と思っています。

アート:ビリンバウのように聴こえる音楽を作りたい?

佐々木:音程が急激に大きく揺れたりだとか、そういうふうにいままで聴いたことのない音が出ることが重要だと思っていて。あとは小節や瞬間的なピッチ変化が音楽のグリッドに合わないかたちの表現がいろいろとできればいいなと思っています。

アート:(VOCALOIDについて)なんとなくはわかるんだけど、まだちょっと(把握するのが)難しいね(笑)。どうやってVOCALOIDにメロディを歌わせているの? マイク? サウンド・ファイル?

佐々木:MIDIで入力することもできますし、歌で入れることもできます。試しにいま、歌でメロディを入れてみたものをかけてみますね。(曲を流す)……これは、人の声を真似てインプットしたものですね。

アート:ロボットのように聴こえるけど、いいロボットだね。ロボットみたいに聴こえさせたい人にはいいかもしれないね。トップ・シンガーにはロボットみたいな人たちがけっこういるしね(笑)。そういう人たちがこれを使ったらいいと思うよ。

佐々木:SoundCloudなどに音源をアップロードしているインディ・ミュージックのクリエイターの一部がVOCALOIDを使ってくれていて、ロボットっぽい声で歌わせたりしているんですよね。

アート:とても素晴らしいと思うよ。スパニッシュ・セクシーな女性の声を作ったりしてみてもいいんじゃないかな(笑)。(セクシーな声を発し始める)オオウ、ハァァ、ヤヤァ、ハァァ、って嘘っぽい感じでね(笑)。ダッダッダッダッ……「その声をやめて早く歌え!」っていう感じの音を作ったらいいと思うよ。

佐々木:そういう呼吸の音を再現するのはいまはまだ技術的に難しいんですが、これからどんどん発展していくと思います。ちなみに、ラップを作っている人たちもいるんですよ。

しま:たとえばこんな感じで……(松傘の曲をかける)

アート:これは中国語?

佐々木:モティーフは日本語ですが、イントネイションをVOCALOIDでグチャグチャに訛らせてますね。日本人の耳で聴いても、ほとんど創作言語みたいなものです。

アート:これすごく好きだな。

佐々木:機械なので、やろうと思えばいろいろと変なことができるんですよ。

アート:僕のギターもこんなふうにできるよ。(声を発し始める)アぁ、ウぉウ、イぃャ、ウぁエ……

佐々木:まさにそうですよね(笑)。僕は『Prize』でフィーチャーされていたアンチポップ・コンソーティアムのビーンズとアートさんのヴォーカルのバランスがすごく好きで、(そういうふうに)声の表現の垣根を崩して、ギリギリのことをやっている人たちはすべて憧れの対象でした。

アート:質問があるんだけど、EQやピッチをいじくることで男性の声を作ったりすることは簡単なのかな?

佐々木:そういう技術は発展しつつあって、われわれもいまVSTプラグ・インという声を変換する機械を作っています。完成したらお送りします(笑)。

アート:オーケイ。それは男性の声だよね?

佐々木:そうですね。男性の声もモデュレイションできます。初音ミクは男性のクリエイターがとても多くて、男性のクリエイターが女性的な心情風景を表現して曲を発表するのにVOCALOIDを使う人がいっぱいいるんですね。

アート:ライヴのステージで使うこともできるの?

佐々木:そういう技術もいま開発されているところですが、いまはまだそれほどきれいに男性の声を女性の声に変換するものはないですね。

アート:考えさせられるね(笑)。……男性の声、女性の声、犬の声、ビリンバウ……(いろんな声を発し始める)タラとぅータリー♪ イェールッ! おォおォ、バインっ! オぉー、タラりぃールらー、デでデぇーデリぃー♪ ぐゎーん……ピープッッ! ワーー、ヴォウッ!

佐々木:ご存じかどうかわからないですが、日本のヴォイス・パフォーマーの巻上公一という――

アート:イェ! マキガミ!

佐々木:はい(笑)。イメージとしては、その巻上さんのパフォーマンスをデジタル・エフェクトで3歳の女の子が歌っているように自然に変換する装置などが、これからできるようになっていくと思います。ブレンドするというか、声の表現方法と、声の年齢や性別の部分をあとで機械で組み合わせることができるようになります。なので、人間が犬の声で歌ったり、人間が豚の声で鳴いたりするようなことも可能になるでしょうし、そういう方向に進みたいなと思っています。

アート:なるほど。まだそれは可能じゃないんだね?

佐々木:まだ可能ではないですが、実現はもうすぐ近くまできています。

アート:マキガミとは知り合いなの?

佐々木:僕は20年前に大友良英さんのワークショップやセッションに参加させていただいたことがあって――

通訳:ヨシヒデ・オオトモ、ご存じですか?

アート:イェ。

佐々木:そこでのシリーズに巻上公一さんやダクソフォン奏者の内橋和久さんというギタリストの方も参加されていて――

アート:(内橋和久を)ああ、知っているよ!

佐々木:僕はそういう日本のアンダーグラウンドなアヴァンギャルド・ミュージシャンたちからいろんな影響を受けたので、かれらといろんなことができたらいいなと思っているところです。ちなみに、日本のインターネットのアンダーグラウンド・シーンでは、蝉の声を使った歌もあるんですよ。

アート:蝉? (声を発し始める)クシクシクシクシ、クシクシクシクシ……

しま:Orangestar?(蝉の声を使った曲を流す)

佐々木:そうそう。これは、Orangestarさんというクリエイターのヒット曲で、メロディ・ラインを蝉がカヴァーして歌っています(笑)。

アート:(真顔で)ビューティフル。

(一同笑)

佐々木:こういうアプローチをリアルタイムで使えるようになったら、ミュジーク・コンクレートの限界を超えて、アヴァンギャルド・ミュージックにも応用できるようになるんじゃないかと。

アート:ああ、本当にそうだね。欲しいよ!

佐々木:日本のクリエイターにはこういう常識はずれなことをやる人たちが一定数いるので、そういう人たちと音楽をおもしろくしていきたいですね。昔のジャパノイズの精神はネットでも形を変えて進化すると思っています。

僕はカエターノ・ヴェローゾさんたちのブラジル人シンガーの声のアンニュイなニュアンスが世界でいちばんきれいだと思っているんですが、いまの機械ではそれがまったく再現できないんですよね。 (佐々木)

僕とカエターノと彼の息子で人の歌声を分析したりするのは好きなんだけど、フォルマントのような視点から聴くことはないので、とてもおもしろかったよ。 (アート)

アート:もし僕のギター・フレーズを録音したサウンド・ファイルをVOCALOIDに入れて、女の人の声でプレイしたらどうなるのかな? ライヴじゃなくてもいいんだけど、ギターの音はきれいに変換できる?

佐々木:ええっと、人力で、すごく時間をかければ、できます。ただ、それをもっと高速化してリアルタイムでできるようにする技術は、そうですねえ……あと3~5年くらいでできるようになるんじゃないかなと思います。日本だと名古屋大学の研究で近いものがあったり……

アート:あァぁ……(ものすごくがっかりした様子で)長いね! オートチューンやメロダインあたりのソフトウェアから盗んだらいいんじゃないかな?

佐々木:そうですね(笑)。いまも参考にしてやっています(笑)。

アート:オートチューンはライヴで機能するよね。オートチューンだとピッチやキーだけしか変えられないけど、これ(VOCALOID)は表現やパーソナリティが入ってきているからおもしろいと思うよ。

佐々木:人がある歌を聴いたときって、やっぱり「人が歌っている」と認識してしまうんですけど、音は人間の印象のまま、感情的なエモーショナルな部分を楽器でグチャグチャにしたらすごく刺戟的な音になるので、おもしろいと思っていますね。よくわからない悲鳴のような音に聴こえたり、聴いた人が混乱したりするのがとてもおもしろいと思っています。

アート:たとえば、女の子の歌に聴こえるようにするためにピッチを上げたりするよね。他にはどんな手法を使っているの?

佐々木:声には「フォルマント」という他の楽器の音よりも複雑な成分があるんですが……たとえばこれは先ほどの歌ですが、これのフォルマントを操作すると……(曲を流す)こういうふうにロボット・ヴォイスにしたり、声の構造を変化させたりすることができるんですね。

アート:フォルマントというのはどういうものなの?

佐々木:これ(フォルマント)を変形させると子どもっぽく聴こえたり、年をとった声に聴こえたりする、そういうような成分ですね。声の周波数の特徴的なピーク成分構造みたいなものですね。いまわれわれはマルチバンドのフォルマント・コントロール・システム(VST)を作っていて……

アート:フォルマント……不思議だね。

佐々木:あとは声の震えですね。ヴィブラートもそうですが、声のなかにはいろいろな揺らぎがあって、母音成分の先頭などに、特徴的な振動成分が入っているので、それを操作して、耳に刺さる声を作ったり、フォルマントと組み合わせて子どもが甘えたような表現を作ったりするのもおもしろいと思っています。

アート:(日本語で)アリガトウゴザイマス! (「フォルマント」は自分にとって)新しい言葉だよ!

佐々木:僕はカエターノ・ヴェローゾさんたちのブラジル人シンガーの声のアンニュイなニュアンスが世界でいちばんきれいだと思っているんですが、いまの機械ではそれがまったく再現できないんですよね。

アート:あと50年くらいかな。

佐々木:50年後か100年後か、自分が亡くなったあとに開発されることを願いますね(笑)。

アート:あなたの息子さんが孫にそれを伝えるくらいだね(笑)。

佐々木:そうですね(笑)。

アート:僕とカエターノと彼の息子(モレーノ・ヴェローゾ)で人の歌声を分析したりするのは好きなんだけど、フォルマントのような視点から聴くことはないので、とてもおもしろかったよ。……これは、とても、(日本語で)オモシローイ。このソフトウェア(VOCALOID)で、いろんな特徴的なピッチやフォルマントから、声を作り上げているわけだよね。たとえば小林さんの声を録音したら、ピッチやヴォリュームなどのパラメータが見えるよね。でもそういうピッチやヴォリュームみたいなものは使わないんだよね? ちょっと興味があるんだけど、佐々木さんはもっと人間らしい声を作ろうとしているんだよね?

佐々木:ある意味そうですね。もっと、いまある楽器よりも繊細に震えた声ができると嬉しいです。

アート:その音をより人間らしくするために、人間の声の分析みたいなことをやっているの?

佐々木:はい、それもしています。いまは人間の声の分析が最重要項目です。

アート:それがすごくおもしろいね。

佐々木:人間の声はとくにスピリチュアルなもので、人間の歌でなぜ人間が感傷的になったり感動したりするのかということ自体は解明されていないんですよね。だから感情が混ざった声や、情報の多い声の可能性は無限だと思ってます。それと、人間だけではなくて動物、たとえば鳥の鳴き声などにも魅力的な要素がいっぱいあって、それをシンセサイザーに移すという実験にも興味があるので、そういうこともやっています。鳥の鳴き声から高音のきれいな成分を抜いてきて機械で扱えないか、という実験ですね。シンセに入れてモデュレイションをするという感じです。

アート:鳥の声は美しいよね。いま泊まっているアパートには部屋の角にベッドが置いてあるんだけど、そのどっち側にも窓があるんだよね。一方の窓からは朝に鳥のさえずりが聴こえて、もう一方の窓からは学校でバスケットボールをやっている子どもたちの「キュッ、キュッ」っていうゴム靴と木の床が擦れる音が聴こえてくるんだ。それがとても美しいステレオ・サウンドなんだよね。

佐々木:わかります。日本は環境ノイズが多いので、エイフェックス・ツインが日本に来たときに、ホテルで「狂った音がする」と喜んでいたらしいですよ(笑)。

アート:ああ、エイフェックス・ツイン! 東京はつねに音が鳴っているよね。室内にいると聴こえなかったりするけど、外に出たら必ず何か音がしているもんね。オノ セイゲンを知っている?

佐々木:はい。大好きです。

アート:彼と何かスタジオでレコーディングをしたいと思っていて。彼はリヴァーブと空間を使ってふつうだと作れないようなサウンドを作ろうとする人だから、すごくおもしろいんじゃないかと思っているんだ。

佐々木:彼はマイクの距離感と、サンプリング・リヴァーブを組み合わせて、ものすごく細かく音響を操作しますよね。

アート:リヴァーブとVOCALOIDとを組み合わせたらすごくおもしろいと思うな。たとえば、「オネガイシマス」という言葉だと、「オネ」の部分は大きいスペースのある部屋を使って、「ガイシ」の部分は中くらいの部屋を使って、「マス」の部分は小さい部屋を使って、そういうふうにスペースを効果的に使うともう少し人間っぽく聴こえるんじゃないかな。それを大げさにしすぎるんじゃなくて、微妙な加減にするのが大事だと思うね。

佐々木:VOCALOIDは、「アーッ」とか「ハァーッ」とか、息の音だけで抑揚をつけたりすることも技術的には可能なんですね。息とリヴァーブをうまくコントロールすると新しい音が生まれる気がします。

アート:インクレディブル!

佐々木:僕はアートさんやオノ セイゲンさんの音楽と同時に、キップ・ハンラハンの音楽もすごく好きで聴いてきたんですが――

アート:ああ、キップ。

佐々木:〈American Clavé〉のレーベル・カラーと言えるサウンドデザインが大好きで、空間を広く使いつつ、パーカッションの音だけすごく近いところで聴こえたり、独特の遠近感がある、そういう音楽がいちばん好きだったんですね。だから今日はお会いできて光栄です。アートさんら、みなさんが作ってきたニューヨーク・アンダーグラウンドの音楽は死ぬまでずっと聴き続けると思っています。そして、いま、ネットを介して世界中のアンダーグラウンドな音楽にインスパイアされながら楽器を作れることを幸せに思います。

アート:今日はすごくおもしろかったよ。

佐々木:(鞄から荷物を取り出す)ギターに接続すると初音ミクの声が出るエフェクターがあるので、プレゼントします。

アート:アァッ! バッテリーはある?

佐々木:単三電池を入れないと動かないですね。

アート:パワー・サプライでも動く?

佐々木:パワー・サプライでも大丈夫ですよ。

アート:ヴォルテージは?

佐々木:9Vなのでふつうに使えると思います。

アート:(袋を開け、エフェクターを見て)オォッ! (ミクに話しかける)ハロー! ハウ・アー・ユー? オーケイ、オーケイ。(日本語で)スミマセン。ドーモ、ドーモ、ドーモ! ドーモ、アリガトウゴザイマス! また日本に戻ってきたら会いたいよ。ブラジルには行ったことある?

佐々木:まだないです。すごく行きたいですね!



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取材・文:小林拓音(2017年9月23日)

Profile

小林拓音/Takune Kobayashi
1984年生まれ、東京在住。ライター、編集見習い。これからいろいろやっていく予定です。

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