ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Dai Fujikura クラシックのことはぜんぜん知らない (interviews)
  2. Tohji - angel (review)
  3. Dego ──ディーゴがニュー・アルバムをリリース&来日ツアーも決定 (news)
  4. Philip Bailey - Love Will Find A Way (review)
  5. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)
  6. James McVinnie ──オルガン奏者のジェイムズ・マクヴィニーがアルバムをリリース、スクエアプッシャーが作曲を担当 (news)
  7. tiny pop fes ──ネット・レーベルの〈DANGBOORURECORD〉がフェスを開催、長谷川白紙、その他の短編ズらが出演 (news)
  8. Khruangbin - 全てが君に微笑む / Khruangbin - Hasta El Cielo (review)
  9. PRINS THOMAS ASIA TOUR 2019 ──ノルウェーのプリンス・トーマスが日本ツアー (news)
  10. Kali Malone - The Sacrificial Code (review)
  11. Columns 万華鏡のような真夏の夜の夢 ──風車(かじまやー)の便り 戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)音楽祭2019 (columns)
  12. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第8回 電車の中で寝転がる人、ボルタンスキーの神話 ――2019年8月11日に見たものの全て (columns)
  13. New Order ──すでに話題のニュー・オーダー来日情報 (news)
  14. SCARS ──復活が話題のSCARS、オフィシャルTシャツが限定発売! (news)
  15. Solange - When I Get Home (review)
  16. Eartheater ──アースイーターが新たにレーベルを始動、新曲を公開 (news)
  17. Calexico / Iron & Wine - Years To Burn (review)
  18. Ninjoi. - Masayume (review)
  19. Zonal ──これは注目! JKフレッシュ、ザ・バグ、ムーア・マザーによる驚きのコラボ作がリリース (news)
  20. Laura Cannell - The Sky Untuned / Laura Cannell, Polly Wright - Sing As The Crow Flies (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Various Artists- Deutsche Elektronische Musik

Various Artists

Various Artists

Deutsche Elektronische Musik

Soul Jazz

Amazon

野田 努   Jun 11,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 今日にいたるまでクラウトロックはポップにおける巨大な影響のひとつとしてあり続けている。たとえばそれはレゲエと同じように、実に広範囲にわたってその影響の痕跡を残している。ブライアン・イーノからデヴィッド・ボウイまで、セックス・ピストルズからオアシスまで、アフリカ・バンバータからデトロイト・テクノまで、ポーティスヘッドからLCDサウンドシステムまで......クラウトロックの影響を受けていないジャンルがあるとしたらJ-POPぐらいだろう。それほどまでにクラウトロック(このギャグとして発せられた造語)は、欧米のポップ(ロックだけではない。テクノはすべてその恩恵にあずかっている)における重要なアイデアである。

 その昔、偉大なるリロイ・ジョーンズがブラック・ミュージックの本質を「chainging same(変わってゆく同じもの)」という言葉で表現したことを受けて、評論家のサイモン・レイノルズはクラウトロックの、とくにノイ!のトーマス・ディンガーによるドラミングをホワイト・ミュージックにおける「chainging same」であると書いたことがあった。なるほどーと思ったものだが、しかし後から考えてみれば、日本のバンド――コーネリアス、バッファロー・ドーター、ゆらゆら帝国、ボアダムス、あるいはヘアー・スタイリスティックスといった連中には多かれ少なかれクラウトロックからの影響が聴こえる。白人だけに相性が良いわけでもない。

 1990年代初頭はフリー・ジャズとスピリチュアル・ジャズ、その後半は〈スタジオ・ワン〉、ゼロ年代前半はポスト・パンク、そして最近ではダブステップのコンピレーションをせっせとリリースしている〈ソウル・ジャズ〉レーベルが2010年に送り出すのはクラウトロックである。これは興味深い話だ。何故ならこの20年、トレンドセッターとしての役目を果たしているこのイギリスのレーベルが、いまになって70年代のドイツの実験的なロック・バンドに手を伸ばしている。レゲエの7インチや70年代初頭のスピリチュアル・ジャズのオリジナル盤の隣には、これからカンやアモン・デュールが並ぶというわけだ。

 実はクラウトロックに関して言えば、ここ数年、イギリスではその手の文献が出版され、また、レディオヘットをはじめオアシスやプライマル・スクリームといった大物までもがその影響を取りいれたこともあってか、再評価の熱が高まっている。1970年代なかばにイーノが発見し、それを真似てデヴィッド・ボウイが取り入れて、あるいはポスト・パンクにおいてはジョン・ライドンやザ・フォール、キャバレ・ヴォルテール等々がその先鋭性を評価し、それから1995年にはジョリアン・コープが70年代初頭のドイツのロックにおける精神錯乱にスポットを当てて『クラウトロックサンプラー』を上梓した。これまでも何度もドイツの波は来ている。ただ、今回はようやく歴史的に......というか、まあ、教科書的にそれを俯瞰しようとしている。

 よって話は1967年のドイツの学生運動からはじまる。活動家、ドイツ赤軍、コミューン文化の拡大、ドラッグ・カルチャーの氾濫、これら政治的騒乱と平行して繰り広げられた電子音楽の実験――カールハインツ・シュットクハウゼンはホルガー・シューカイに教え、あるいは松村正人が思い入れを持って語るヨゼフ・ボイスの指導のもとでコンラッド・シュニッツラーが学んでいる。それは、ナチスの悪夢といっしょに過去を消去された当時の若者に"ゼロ年"という意識を植え付け、さらに熱を呼ぶ。そしてそれは、非・音楽、反・メロディーと反・リズムという、どんな過去ともリンクしようとしない破壊的な試みをうながすのだった。その最大の実験がシュニッツラー率いるKlusterだった、といまでは言われている。

 CDでは2枚組、全24曲を収録したこのコンピレーションは思っていたよりもずっと良いできだ。1曲目はカンの"ア・スペクタクル"、1978年の曲で、見逃されがちな時期の曲だが、いま聴いても素晴らしいし、コズミック・ディスコの隣で鳴っていても何ら違和感はない。そしてハルモニア、ポポル・ヴー、コンラッド・シュニッツラー、ファウスト等々といった有名どころが続いて、1枚目の最後はノイ!の大クラシック"ハロ・ガロ"。2枚目はクラスターのコズミック・サウンドからはじまる。それからメビウス、アモン・デュール・II、アシュ・ラ・テンペル、タンジェリン・ドリーム、レデリウス等々。カンの後期のヒット曲"アイ・ウォント・モア"に続いて、締めはアンビントの先駆者のひとり、ドイターのドローンによる恍惚としたトリップで終わる......。ダモ鈴木在籍時代のカンが収録されていないのは大いに不服だが、それでもこれだけよく揃えたものだと思う。入門編としては上出来でしょう。

野田 努

クラウトロックの伝説、クラスター来日!

UNIT 6th Anniversary Premier Showcase feat.Cluster

Saturday 3rd July 2010
@ Daikanyama UNIT / SALOON / UNICE
starting 21:00 till Dawn

Live Performance:
Cluster (from Germany)
Boris
evala (port / ATAK)

DJ:
Fumiya Tanaka (Sundance / op.disc)
KENJI TAKIMI (Luger E-Go / Crue-L))
TEN (STERNE / ERR )