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Various Artists

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Brownswood Bubblers Nine

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Adrian Younge

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Adrian Younge presents The Delfonics

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野田 努   Jan 15,2013 UP

 Inc.のファースト・アルバム(3月発売予定)の出来があまりにも良いのだけれど、昨年のジェシー・ウェアやディスクロージャーといったR&Bの流れは今年さらに洗練されていくのだろう。セクシャルで陰鬱な〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉と対を成すように、ソウル・ミュージックの官能もまたいっそう際だっていくように思われる。だいたいアンドリュー・ウェザオールも、昨年自分が好きだった作品にエイドリアン・ヤングのセカンドを挙げている。逆説的なまでに浮ついた、ソウル・ジャズの時代なのだ。ジャイルス・ピーターソンの〈ブラウンズウッド〉の新しいコンピレーション盤は、こうした時流に応えている。この瞬間を逃すものかという気持ちの高ぶりさえ感じる。
 多少ノスタルジックではあるが、この道25年のベテランDJの耳を通過した曲はいちいち魅力的だ。懐古的なきらいはあるものの、空間的な録音には"いま"を感じるし、収録されている何曲かにはダブステップの痕跡がある。1曲目のレディなるブルックリンのR&Bデュオによる"マネー"という曲は、オープナーに相応しく多くの耳をいっきに惹きつける曲だが、古風なアレンジだ。ダブステップ以降のビートが入っているほうが、個人的には気持ちが上がる。 
 キューバやアフリカで試みているハイブリッド・サウンドへのアプローチも見受けられる。意外なことに、ダレン・エマーソンが彼なりのソウル・ディスコを披露しているらしい。アンダーワールドとクラブ・ジャズが20年後に交錯するのも、いまとなってはどうでもいい話だが、悪い話ではないだろう。

 綺麗すぎるかもしれないが、ジャイルス・ピーターソンのブラック・ミュージック解釈はつねに上品で、綺麗すぎるからこそ良いと言えよう。エロティシズムは上品であるべきだ、そのほうが良い。
 そういう観点で言えば、エイドリアン・ヤングの『ザ・デルフォニックス』もこ洒落たレトロ・ソウルだ。周知のように、ザ・デルフォニックスは60年代末から70年代初頭に活躍した、甘ったるいファルセットのコーラスで知られるフィリー・ソウルのグループで、ロックステディでもカヴァーされたりとか、王道中の王道だ。映画『ジャッキー・ブラウン』でちょっと良い感情を持っている白髪の男を家に招いたときにいい年したパム・ホッグが"ディドント・アイ"をレコードで聴くシーンがあったが(ちょっとほっこりした場面で、レコード針のアップがある)、僕がザ・デルフォニックスを聴いたのも自分が恥も臆面もなく恋愛感情をむき出しにしているようなときだった。
 話が逸れたが、フィリー・ソウルの人なので、ザ・デルフォニックスのリード・シンガーだったウィリアムス・ハートは、けっこうなおじいさんだろう。が、若いプロデューサーのエイドリアン・ヤングのビートに乗せて歌われる歌声は全盛期と比較しても見劣りしない。音域は縮まっているのかもしれないけれど、蜜のような甘さと光沢は失われていない。プロデューサーのエイドリアン・ヤングがうまいのだろう。矛盾めいた言い方だが、ヒップホップ畑から来た彼は、若々しいレトロ・サウンドと謙虚なアレンジで、この大ベテランを要領よくサポートしている。
 昨年、アンドリュー・ウェザオールが、まったくの大人のメロドラマでしかないエイドリアン・ヤングの(ヴェニス・ドーン名義の)『サムシング・アバウト・エイプリル』を褒めていたのが面白かったので、ついつい買ってしまった。結局、数回聴いたキリだった。昔、勉強のためだと思って買ったブラック・ミュージックのレコードはけっこう売ってしまったが、ザ・デルフォニックスの数枚は、いざというときのためにだろうか......、何故だかまだある。浮ついて生きたいという希望を捨てきれないのだから仕方がない。

野田 努

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