ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 96 Back - Cute Melody, Window Down! (review)
  2. Phew ——伝説のソロ・アルバム『Our Likeness』のリイシューが決定 (news)
  3. interview with Ásgeir 買い物はやめてたまには宇宙を見上げてみよう (interviews)
  4. interview with Zaine Griff 伝説のアーティストが完成させた幻のアルバム (interviews)
  5. Brian Eno - FOREVERANDEVERNOMORE (review)
  6. Mansur Brown - NAQI Mixtape (review)
  7. Loraine James - Building Something Beautiful For Me (review)
  8. 追悼:キース・レヴィン R.I.P. Keith Levene (news)
  9. 幾何学模様 - クモヨ島 (review)
  10. interview with Dry Cleaning 壊れたるもののテクスチャー (interviews)
  11. 김도언 Kim Doeon(キム・ドオン) - Damage (review)
  12. Cholie Jo ──沖縄のラッパーCHOUJIとOlive Oilによるデュオがアルバムをリリース (news)
  13. TAAHLIAH and Loraine James ──ロレイン・ジェイムズの新曲はグラスゴーの新人プロデューサーとのコラボ (news)
  14. The Comet Is Coming ──ザ・コメット・イズ・カミングの新作がリリース、来日公演も決定 (news)
  15. interview with Gusokumuzu 勝ち組でも負け組でもない若者のリアル (interviews)
  16. interview with Mount Kimbie マウント・キンビー、3.5枚目にして特殊な新作について語る (interviews)
  17. Interview with Phew 音が導く、まだ誰もみたことのない世界 (interviews)
  18. Special Interest - Endure (review)
  19. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)
  20. interview with Kikagaku Moyo 無国籍ロウファイ・サイケデリア (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Cut Hands- Festival Of The Dead

Cut Hands

Cut Hands

Festival Of The Dead

Blackest Ever Black

Amazon iTunes

IndustrialMinimalNoise

Ugandan Methods & Prurient

Ugandan Methods & Prurient

Dial B For Beauty

Downwards

Amazon iTunes

倉本 諒   Oct 20,2014 UP

 ウィリアム・ベネットのカット・ハンズ(Cut Hands)の新譜、リージス(Regis)ことカール・オコナーとエインシェント・メソッズ(Ancient Methods)の二人によるウガンダン・メソッズ(Ugandan Methods)と、ドミニク・フェルノーことプリュリエント(Prurient)によるコラボレーション盤が届いた。現在のインダストリアル・リヴァイヴァルの発端となった連中の新譜を聴きながらムーヴメントを改めて振り返るのもいいかもしれない。

 まず、最初から薄々感づいていたのだけれども、このカット・ハンズの新譜、『フェスティヴァル・オブ・デッド(Festival of the Dead)』は例のごとく概出の曲がガンガン収録されていている。これ、そもそもダブルLPにしなくても入ったでしょ。

「勘弁してくださいよベネさ〜ん……4曲も被ってるじゃないスか〜」
「いや〜ローンの支払いがヤバくてさ〜、そこをなんとかしてよ! ね!」

 みたいなやりとりがレーベルと彼の間にあったかは知らんけども。
とりあえず、これが果たして本当に“待望のスタジオ・フル・ダブルLP!”なのかどうか、この人の音作りとサンプリングのヴァリエーションの少なさは措いといたとしても、相変わらずカット・ハンズのトラックは心地いい。ポスト・コロニアル的世界観を構築するかのようなパーカッションによるポリリズム、粗い電子音と音響処理によるいつものサウンドのワッショイ系トラックは相変わらず健在ではあるが、『地獄の黙示録』のパトロール・ボートがメコン川を上っていくようなメロウなトラック群に強いて言えば前作よりも深みがある。ディヴァイン・ホースメン的なお馴染みのイラストレーションも相変わらずカワイイ。
 そもそも劇的な進化をこのオッサンに求めるべきなのかどうか。ホワイトハウス→カット・ハンズは明らかに新たな音楽的境地ではあるのだが、そういえばホワイトハウスの音源はどれもかなり金太郎飴なサウンドだし、カット・ハンズもそうってことなのかしら? あ、でも金太郎飴を切ってる光景ってカット・ハンズっぽいよね。

 そして前回のレヴューでコキおろしてしまったウガンダンメソッズが、スタジオで綿密に作り上げたトラックに、プリュリエントがそのスタジオの便所で叫んだりウィスパーしたりしてるような『ダイアル・B・フォー・ビューティー(Dial B For Beatuty)』。この場をかりて深くお詫び致します。僕、これとても好きです。
 過去のウガンダン・メソッズの音源と同じく、昨今の雰囲気系インダストリアルとは一線を画すトラックの秀逸なコンポジションはハード・ミニマルにおける長年の歴戦を充分に感じさせるものであるし、安直にフィルターに頼らない展開や、限定的なエフェクト処理による徹底的に乾いた音作りは既存のテクノに寄らない姿勢すら感じさせる。毎度この合体ユニットの細かいこだわりを貫き通す制作には、感服いたします。