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Rainforest Spiritual Enslavement

Dark AmbientIndustrial

Rainforest Spiritual Enslavement

Black Magic Cannot Cross Water

Blackest Ever Black

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野田 努   Jun 24,2013 UP
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 ポストパンク的見地で言えば、音楽ジャンルにおけるインダストリアルとは工業や産業のことではない。大量に売られるハッピーな音楽なんてもんは産業というメタファーが相応しく、大量生産された商品に過ぎないというアイロニーであり、批評であり、言葉を額面通りそのまま受け止めるなよというシニカルでニヒルなモノの見方を意味する。有名な「Industrial music for Industrial people」とは、皮肉たっぷりの虚無的なその表現が重要なのだ。「ロック」と言われたとき「ロック」しか思いつかないこととは別の思考回路について、ポストパンクは実験した。インダストリアルをポストパンク的に意訳するなら「ディストピア」とか「さかしま」とか、そうしたニュアンスだ。
 インダストリアルがゴシックやダーク・アンビエントと結びつくのは、とにかくそんな事情による。意味するところは、さかしまの音楽であり、道理に背くデカダンスであり、陰翳礼賛だ。昨年〈ホスピタル〉からリリースされたレインフォレスト・スピリチュアル・エンスレイヴメント(熱帯多雨林の精神的奴隷化)のEPが〈BEB〉から再発された。インダストリアルとは現実の世界の荒れ方に呼応している音楽だと、昨年の紙ele-kingで取材したときにデムダイク・ステアは喋っているが、明るさばかりを賞揚する文化によって失われた影を取り戻すのがこの音楽なのだ。

 ワニと不気味な人面というレコジャケが、この音楽の暗喩となっているが、僕がこの12インチを聴いて思い出したのは、「おまえは雨だ」のナレーションで有名な、故ピート・ナムルックとドクター・アトモの『サイレンス』(1995年)。あの作品と同じように、RSEのこれでも雨の音が効果的に入ってくる。当時、三田格はあの雨の音はチェルノブイリを想起させる仕掛けになっていると解釈したが、『サイレンス』は時代性を思えばずたしかに重々しい作品で、今日ダーク・アンビエントと呼ばれる音楽の先走りとなっている。
 RSEの雨はさらにひどい土砂降りだ。いまどきのサブベースが地響きを上げて、暗い影を歓迎している。川の底のワニのうごめきを想起させる音は、彼らの生息領域を主張しているようだ。そして自然を恐怖に感じる。自然と分離した人間を自然に戻そうとするマーク・マッガイアとは同じカードの裏表かもしれない。こちらは何をいまさら自然に戻れるかと言わんばかりに、荒廃を荒廃として見せることにエネルギーを使っている。それがインダストリアルってもんだからだ。

野田 努