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Thomas Brinkmann

DroneMinimalTechno

Thomas Brinkmann

What You Hear (Is What You Hear)

Editions Mego

Tower HMV Amazon

デンシノオト   Jul 06,2015 UP

 鼓膜を震わす硬質な電子ノイズの横溢! クリック/ミニマル・テクノの神的存在トーマス・ブリンクマン、ひさびさの新譜は強烈なドローン作品である。リリースは〈エディションズ・メゴ〉から。

 もっともこのような作風は、オーレン・アンバーチと共作『ザ・モーティマー・トラップ』があったので唐突ではない。さらにいえば『ザ・モーティマー・トラップ』は現代音楽家モートン・フェルドマンへのオマージュだったわけだが、本作も2013年に亡くなったポーランドの現代音楽家/実験音楽家ズビグニエフ・カルコフスキーに捧げられているという共通点もある(理由は異なるだろうが)。またサン・O)))などのハード・ドローンへのテクノ側からの返答という意味でもつながっている。
 しかし本作はアンバーチとの共作ではなく、彼のソロ作品である。ゆえにブリンクマン個人の意図が前面化している。それは何か?

 まずドローンにリズム感を導入している点が重要である。持続音にも音の周期(リズム)はある。ブリンクマンは、何よりこの音の周期性を大切にしている。反復する音の周期によってリズムをとることができるからだ。本作におけるドローンのレイヤーを聴くと、どのトラックも構造的に成立していることもわかる。この周期性=反復を生みだす構造への希求こそが彼がミニマル・テクノで培った技であろう。本作はテクノ的な構造(ビート性ではなく)によって生み出されたドローン作品なのだ。

 ドローンにおける音の周期=リズム生成の実験は、“エージェントオレンジ”や雨音のような音を用いた“ペリノン”によって別の形で追求されている。これらの曲には明確なリズムはある。が、ビートではなくドローンを分割するかのようにリズムを生成し、独自のモアレ感覚を生み出しているのだ。

 このようにアルバム全体で展開される音響のモアレ感覚は、ミニマリズムにおける「永遠性」の生成という古典的な命題に近く、例えばドナルド・ジャッドやマーク・ロスコの系譜を継ぐものでもあるのだが、ブリンクマンは、そのようなモアレ状のドローンを、サイエンティストのような手つきで生成している。
 マシニックな持続音、やわらかなアンビエント、刺激的なリズム/ドローン、サン・O)))も真っ青のハードコア・ドローン“オキシドロット”まで、どの曲もアートとサイエンスが拮抗している。全曲、全身を耳にして、音のすべてを聴き尽くしたいほどの傑作である。

デンシノオト