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interview with Kyte

interview with Kyte

ポスト・ロックの壮大なエモーション

――カイト、インタビュー

橋元優歩    通訳:大坪純子   May 14,2012 UP

Kyte
Love to be Lost

Hostess

Amazon

 日本が世界に先んじて見つけだした才能として知る方も多いだろう。シガー・ロスやビョーク、レディオヘッドなどと比較されながら、情感豊かでスケール感のあるポスト・ロックを追求してきたバンドである。なんといっても美しいテナー・ヴォイスと轟音ギターの、ときに過剰ですらあるエモーションが彼らの個性だ。そしてまたアイスランドのミュージシャンたちを引き合いに出されるように、どこかつめたく清新なたたずまいを持つところもカイトらしさである。燃える雪というような形容矛盾をふところふかく抱え込んだような、熱くつめたい感情表現。じっくりとテンションを高めてゆき、そのピークでエモーションを解放するドラマチックな曲展開は、サントラとしても好まれ、アメリカの人気ドラマ『ソプラノズ』や、国内映画『余命一か月の花嫁』での楽曲使用も記憶に新しいところである。
 さて、"サンライト"や"プラネット"といった名曲を生んだデビュー作『カイト』、日本先行でリリースされたセカンド・アルバム『サイエンス・フォー・リヴィング』、そのUK盤制作時に内容をリニューアルした(どんどん生まれてきたという新曲に再レコーディングしたテイクを加えている)裏セカンドともいうべき『デッド・ウェイヴス』ときて、昨年リリースされたのがリミックス集であることを考えると、カイトはその第一章を終えたかにもみえる。シーンの先端とはいかないが、ポスト・ロックやシューゲイザーのまじわる地点で自分たちの表現をみつめ、親密なファンを育ててきた彼らに、いま新しく登場する『ハーフ・アローン』の制作やその音世界の原風景について訊ねてみた。
 さっきコンビニで買ったというグミをおずおずとすすめてくれたおだやかな雰囲気の3人には、彼らの音楽のとおり正直な人柄がにじんでいる、と思った。

いろいろなところへ行ってみて不思議な気持ちだね。世界をまわってみて、よっぽど自分の故郷よりもいい場所とかいい環境、おもしろい場所がいっぱいあったよ。あきらかにね。

■『サイエンス・フォー・リヴィング』と『デッド・ウェイヴス』とは、制作上の経緯から考えても双子のような作品で、ふたつあわせて完全なセカンド・アルバムということになるかと思います。今回の3作目とも4作目とも呼べる『ハーフ・アローン』までに、たくさんの曲が生まれましたね。リミックス集もリリースして、ひと区切りついたところでの今作ということになるのではないかと思いますが、どうでしょう? どのような気持ちで取り組んだ作品だったのでしょうか?

ニック・ムーン(ヴォーカル): そうだね、いまはすごくわくわくしてるよ。この作品ができたことにはすごくよろこんでる。ちょっと期間があいたぶん、すごくフレッシュな気持ちでのぞむことができたんだ。あいてる期間にいろいろ考えることもできた。ああいうことをやりたいとか。すごくよかったなと思ってるよ。

■実際に大きく変わったなと感じている部分はありますか?

トム・ロウ(ギター/キーボード):精神的な部分ですごく変わったところがあると思う。あとは長い期間をかけて制作しただけに、生まれ変わったっていうような気持ちもあるかな。これまでは長い時間をかけて制作したことがなかったから、そのへんも精神的な変化と関係してるのかもしれない。

■なるほど。ちょっと乱暴な質問なんですが、カイトの音楽って明るいものだと思いますか? それとも暗いものだと思いますか? いいかえれば、他者に訴えるような音楽か、自分のなかにもぐりこんでいくような音楽か、どのように感じているでしょう?

ニック:いい質問だね(笑)。

トム:音楽的にはすごくハッピーだなと思うし、自分もハッピーな気持ちだと思う......

ニック:そうだね。

トム:だけどすごく不思議なのが、それにのせるニックのリリックはかなしいものが多いんだよね。そういうところが、僕たちの音楽のメランコリックな部分を生んでいるのかなとは思うよ。

■ああ、たしかにそうですね。明るさのなかにつめたいかなしみみたいなものがありますよね。どうしてそのような対照が生まれるのでしょう?

ニック:おれは(自分の詞が暗いとは)思わないよ。

■ははっ!

トム:明るさと暗さのなかで深みを増すというか、ニックの詞がいろんなレイヤーをつけてくれるという気がしていて、なんか、聴く人の受けとり方を変えてくれるようなものになるって思う。自分の作った曲に対して、ニックがどんな詞をつけるのかっていう関係性もおもしろいし、そういうところでいろんな階層が生まれてるかな。

■レイヤーがつくというのはほんとにそのとおりですね。同時に最初の作品からこの新譜まで一貫して、すごく壮大でドラマチックなエモーションがありますが、これにはなにかヴィジュアル的なイメージがあったりするのですか?

トム:壮大さっていうのは僕たちもすごく意識していて、壮大なものにしたいなと思って音楽を作ってるよ。でもシンプルに自分の好きな音が見つかれば、それをループして重ねたりもする。でも、最終的には大きなものにしたいと感じているよ。

取材:橋元優歩(2012年5月14日)

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