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interview with Martyn

interview with Martyn

オールド・スクールは必要とされている

─マーティン、インタヴュー

野田 努    通訳:宇田川さち   Jun 12,2014 UP

Martyn
The Air Between Words

Ninja Tune/ビート

TechnoHouse

Amazon iTunes

 そもそも2009年にマーティンが脚光を浴びた理由は、ダブステップにインスパイアされたリリースにおいて、わりと直球にデトロイト・テクノからの影響が反映されていたからだった。当時としてはそれがシーンにとってはまだ珍しく、斬新だったわけだが、20年前のレコードが輝いているこの1~2年に関して言えば、時代が要請するひとつのスタイルにまでなっている。まあ、いっときのスタンダードである。
 オランダのアイントホーフェンという街には、90年代に〈Eevo Lute Muzique〉という素晴らしいレーベルがあった。オランダのテクノといえばガバとトランスといった時代に、このレーベルはデトロイトのエモーショナルな旋律とテクノ・ファンクを取り入れることで、大きくて、派手で、ドラッギーで、マッチョで、アグレッシヴなシーンとは別の、小さいがセクシーで親密な道を切り開いた。その同じ街で、90年代半ばのテクノとドラムンベースを聴いて育ったマーティンが、ダンス・ミュージックにおけるへヴィメタルとも形容されるEDMのアメリカで暮らしながら、デトロイティッシュ・サウンドを追求することは必然と言えば必然だ。
 2011年の前作『Ghost People』は〈ブレインフィーダー〉からのリリースだったが、今回の『The Air Between Words』は〈ニンジャ・チューン〉からとなった。方向性にとくに変化はない。彼がこれまでのやってきたことがさらに洗練されているだけである。強いて言うなら、今回はカール・クレイグ・スタイルというか、徹底的にメランコリックで、ジャズの響きを引用しながら、ときにはっとする美しさを打ち出している。フォー・テットが参加して、インガ・カープランドが歌っているのも本作のトピックで、この人選からもおわかりのようにテクノ色が強く、彼らが参加した2曲ともクオリティが高い。とくにフォー・テットとの共作は、ああ、このコード感、デトロイトやなー、である。

デトロイト・テクノが好きな理由は、そこにソウルを感じるからだ。ダンス・ミュージックでありながらメランコリックな感覚があるし、哀愁がある。一方、EDMは基本的にすべてがアグレッシヴなんだよ。

■ものすごくお忙しいそうですが、毎週末DJがあるといった感じなのでしょうか?

マーティン:そうだね、毎週末DJはいまも忙しくやってるよ。

■最近、TVドラマの『HOUSE OF CARDS』をずっと見てまして、あのドラマの舞台がワシントンじゃないですか。あなたは見てましたか?

マーティン:うん、僕も観てる。僕、あまりTV観ないんだけど、長いシリーズのドラマはたまにちょこちょこ観てて、例えば『True Blood』とかも。『HOUSE OF CARDS』は僕が住んでるワシントンが舞台だからなんだか身近に感じるし、それに少し政治的なエッセンスを感じるのも魅力のひとつかな。僕は政治についてアメリカで少し勉強したりしてたからちょっと興味があるのもあって楽しんでみているよ。

■アメリカは大きな国ですし、ヨーロッパと比較してテクノやハウスが広く理解されているとは思えない印象を持っているのですが、実際のところあなたはどう感じていますか?

マーティン:アメリカとヨーロッパでは全然違うというのが僕の印象だね。例えばアメリカにはEDMと呼ばれているシーンがあるけど、EDMは、クラブ・ミュージックというよりは、もっとレイヴ風のものなんだよ。逆にクラブではハウスがメインなんだと思う。だから僕の場合はクラブでギグすることもとても多いんだけど、いまはアメリカでプレイ出来ることをとても楽しんでいるよ。

■“Forgiveness Step”という言葉は、今回のアルバムのキーワードですが、何を意味しているのでしょう?

マーティン:“Forgiveness Step”のアイディアは、アルバムにも参加してくれてるコープランドと一緒に作業したものなんだけど、アルバムにもあるように、この曲は3パートに分かれている曲なんだよ。“Forgiveness Step 1”,“2”はアルバムで、“3”はEPに収録されているんだけど、基本的には同じアイディアの元に作った曲ではある。しかし、3曲ともがそれぞれ少し違う意味合いを持つ曲なんだ。
 だから、その言葉と言うよりも、アルバム自体を3段落に分けたかった、というのが大きい。そして、3段落ともつながっているということを明確にしたかった。それに「Forgiveness(許す)」ということを実際する場合には、3段階を踏まないと謝罪したことにならないだろう? そういう意味合いも含まれているんだ。

■今回はあなたの重要なルーツであるデトロイト・テクノというコンセプトが、これまで以上に、さらに追求されていますよね?

マーティン:何にせよ、僕がオランダでクラブに行っていたときによくシカゴやデトロイト・テクノがかかってたからね。これも影響を受けたもののひとつかもしれないよね。僕にとっては自分のDNAのなかに組み込まれているような感じだから、もう自然に出てくるものなんだよ。だからとくに意識して追求したというより、自分の好きな音を追求したら自然にそうなったという感じなんだと思う。

■デトロイト・テクノやディープ・ハウスと最近のEDMとはどこに違いがあると考えますか?

マーティン:デトロイト・テクノが好きな理由は、そこにソウルをとても感じるからだ。ダンス・ミュージックでありながら、メランコリックな感覚があるし、哀愁がある。一方、EDMは基本的にすべてがアグレッシヴなんだよ。だから、その違いは大きいと思う。もちろん、どんな音楽を聴こうと個人の自由だ。ただし、僕個人に関していえば、やはりエネルギーを魂を感じる音楽が好きだ。単純に楽しくて軽いノリの音楽よりもね。

取材:野田 努(2014年6月12日)

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