「Dom」と一致するもの

interview with Eiko Ishibashi - ele-king


石橋英子
キャラペイス

felicity/Pヴァイン・レコード E王

Amazon iTunes

 孤独を好む少女だったのだろう。同世代が子供に見えて仕方がなかったのかもしれない。エレガントなピアノとこの音楽のアトモスフィアが伝えるものは、より濃密なひとりの時間である。真夜中の永遠の物思いに耽るように、石橋英子の『キャラペイス』はゆっくり流れていく。美しい響きをもった控えめなこの音楽は、ただ何も思わず聴き流しこともできるが、こちらが熱心に耳を傾ければ強く応えてくる。
 女性でピアノで歌と言えばジョニ・ミッチェルだろうというのはあまりにも早計だ。彼女の音楽はカンタベリーやクラウトロックといった1970年代の偉大なる冒険の系譜にある。つまりジャズやクラシック、現代音楽などさまざまな要素がなりふりかまわず混在している。ジム・オルークがプロデュースした今作では、そうした彼女の音楽性のなかに彼女自身の歌がミックスされている。一見、シンガーソングライターを装っているようにも聴こえるが、声は透明でピアノの音が耳にこびり付く。そして、こちらがより熱心に耳を傾ければ『キャラペイス』はまったく別の世界を見せてくれる。要するにこれは、奥が深いアルバムなのだ。
 何よりも秀逸なアートワークが雄弁に中身を教えてくれる。暗い道の濃い霧のなかから、エレガントなピアノが聴こえてくる......。

人から「あー、プログレや変拍子が好きだね」って言われることはありますけど、でも、作っているときはそういうものを作ろうと思って作ってないんですよ。自分では、大きく見て4とか8だと思ってやっている場合もあって、でも達久くんから「これ9じゃないの」って言われたり(笑)。

前作も好きだったんですけど、新作はさらに好きです。

石橋:ありがとうございます。

ここ1~2年、石橋さんのプレイは、七尾旅人くんやphewさんのバックでの演奏を聴いているんですけど、なんか四六時中ライヴをやっているような印象があるんですよね。

石橋:そうですよね(笑)。

:いろいろな方々のサポートをしたり、コラボレートしていますよね。年間100本以上のライヴをこなしているという話ですが、そうなると1週間に2回というか、3日に1回はステージに立っていることになります。

石橋:今年(2010年)はそうでもなかったんですけどね。でも、前の年は本当にそんな感じでしたね。今年は......数えてないけど、ヨーロッパで1ヶ月で22公演というのはありましたね(笑)。

ヨーロッパへは何で行かれたんですか?

石橋:向こうで、イタリアのサックス奏者といっしょに即興のセッションがあって。現地でいろんな人たちとセッションしたり。

石橋さんは本当にいろんな方とそうしたセッションをされていますが、ご自身で思う自分の属性としては、他人とコラボレートしたりサポートにまわるほうが自分らしく思えるのか、あるいは、今回の作品のように自分がフロントに立っているほうが「らしく」思えるのか、どちらなんでしょうか?

石橋:自分らしいと思えるのは、家で録音しているときですね。人に見られることなく、誰もいない空間で曲を作っているのが自分らしいかなと思うんですよね。それが誰かのサポートであれ、自分がフロントに立つのであれ、いまでも人前に出ることには抵抗があるんですよ。

その発言は誰も信じないですよ(笑)。

石橋:実はそうなんですよ(笑)。で、人前に出ることを前提とするなら、サポートであったり、バックで演奏しているほうが自分らしいのかなと思っています。

演奏行為そのものはお好きですか?  ピアノを弾いているときがいちばん幸せだとか?

石橋:ぜんぜんそれもないですね(笑)。演奏が大好きって感じではないんですよ。楽器自体にも興味がないし。

それはとても意外ですね。

石橋:ピアノの種類も知らないし、演奏することが「楽しい!」っていう感じじゃないんですよね。演奏する前も演奏した後も、「楽しかった」という感じじゃないんです。それはライヴで私の様子を見ればわかると思いますが、なんか淡々としている......。

ハハハハ。新作を聴かせていただいて、資料を読むと「歌に挑戦した」みたいなことが書かれているんですけど、曲を聴くとどうしてもピアノの音のほうが耳に入ってきてしまって、たとえば1曲目のようにピアノのリフが踊っているような演奏を聴くと、やっぱ演奏することに快楽を感じてらっしゃるのかなと思ってしまうんですけどね。

石橋:いや、もし自分がそれを感じてしまったら寒いと思うんですよね。そこでカタルシスみたいなものを得てしまったら自分に対して寒いというか......。今回のアルバムも、曲を作っているときに気持ちいいものを求めたいと思っていると絶対にしっぺ返しをくらって、ピアノから「違うよ」と言われて、それで何回も曲を捨ててはまた作ってと、そんなことを繰り返しながらできがあった感じです。

4歳のときからピアノを習っていたという話ですけど、幼稚園の年少ですよね。英才教育じゃないですけど、小さい頃から楽器演奏を追求してきたという経験から来るいまの言葉なんでしょうかね?

石橋:たしかに小さい頃からふたりの先生について習ってきたんですけど、どちらも近所のおばちゃんみたいな感じの人たちで、いわゆる"音大を出てます"という感じの先生とはちょっと違った先生だったんです。ふたりとも変わった先生でした。で、16歳までクラシックをやるんですけど、16歳でピタッと止めてしまったんです。それから10年以上人前でピアノを弾かなくなってしまって。弾かなかった時期も長いんです。バンドをやっていたときもドラムだったし。

クラシックを止めたのは、練習が厳しいから?

石橋:単純に飽きてしまったんです。高校生になったら、何だか急に無気力になり、ひたすら音楽聴いたり、映画をみているばかりでした。

コンクールには出てたですか?

石橋:コンクールには出ましたが、そういうところで賞を獲ることに興味がなかったし、音大に行くことにも興味がなかった。ピアノを弾くことやクラシックに単純に飽きてしまったんです。

16歳というと高校生ですよね。

石橋:そうですね。

[[SplitPage]]

子供の頃から、感情に振り回されたくなかったんですよね。親に今日はどうだった?」と言われてもなんと答えていいのかわからないというか、いちどに複雑な感情や表情を表にできない子供だったし、ずっとそのまま来ているというか、昔からの癖みたいなもので。感情を表に出すのが苦手だというのもあると思うんですよね。

それではリスナーとして感動的な体験をした作品をいくつか教えていただければ。

石橋:最近では、ギャビン・ブライヤーズの『タイタニック号の沈没』、あれのライヴ盤ですね。

あれ良かったんですか?

石橋:良かったです。あとはセシル・テイラー。彼のドキュメンタリーを観て、それから彼のレコードを買い漁っているんですけど、どれも素晴らしいです。フリー・ジャズですけど、すべての音に鮮やかな色があって、一音一音がすべて深いんです。すごく速くて、すごく複雑な和音を使っているんですけど、音がすごくクリアなんです。あとは5年前に初めて聴いたんですけど、アルベール・マルクールというフランス人の作品も良かったですね。

どんなジャンルの方なんですか?

石橋:フランスのキャプテン・ビーフハートみたいに言われている人で、私はもっとユーモアを感じるんですけど。まあ、キャプテン・ビーフハートもユーモアがありますけどね。ただもっとフランス人ぽいというか、ちょっとオシャレなんですね。とにかく、聴いてとても驚きました。

10代の頃は?

石橋:キャプテン・ビーフハート。

先日亡くなりましたね。

石橋:キャプテン・ビーフハートとカンと......。

ハハハハ。

石橋:10ccとか。

フランク・ザッパの系譜ですね。

石橋:あと、ジョニ・ミチェル、ロバート・ワイアット......。

追体験というか、過去の作品なんですね。

石橋:そうです。そのときにリアルタイムで聴いていたものは、音楽が好きになってから逆に興味がなくなった。

そういうマニアックな音楽をどうして知ったんですか?

石橋:ほとんどラジオですね。ラジオでかかっているのを録音して、でも、ラジオでかかっている曲って、アーティスト名とかよくわからいから録音したテープを持って近所のレンタル・レコード屋さんに行そこのおじちゃんに教えてもらったり。

へー、貸しレコード屋の世代なんですね。

石橋:そうなんです。

すいません、もっとお若いのかと思っていました(笑)。

石橋:けっこうババアなんです(笑)。

いやいや(笑)、そんなことはないですけど、でも、旅人くんぐらいなのかなと思ってました。

石橋:旅人くんとは5つ違うんですよ。

なるほど。しかし、カンやビーフハートみたいなマニアックな音楽はアクセスしやすいものではありませんが、ラジオだけが情報源だったんですか?

石橋:あとは雑誌ですね。ホントに田舎だったので。

どちらなんですか?

石橋:千葉の茂原市というところです。

ぜんぜん関東じゃないですか。

石橋:いまでも電車が1時間に数本しかないし、外房のほうは取り残されているんですよ。埼玉や神奈川みたいな東京に近い感じとは違うんですよ。レコード店もないし。だから、『レコード・コレクターズ』で情報を得て、東京に行ったときに探したりとか、そんな感じでしたね。

石橋さんにとって音楽体験とはどこを刺激されるモノだったんですか?

石橋:どこ?

感情なのか、想像力なのか、あるいは音楽的な知識欲とか、知的好奇心とか......。

石橋:私、自転車で放浪するのが大好きだったんですね。徘徊するのが好きだったんです。高校生のときにいろんなことをするのが嫌になって、諦めというか......何にもなりたくなくなっちゃって、ただただ自転車で徘徊していることが多くて、それがいつも音楽を聴きながらだったんですよ。だから、そういう音楽が私に必要だったんですね。

なるほど。キャプテン・ビーフハートを聴きながら千葉の田舎を自転車で走る女子高生というのもシュールですね(笑)。

石橋:そうなんですよ(笑)。

はははは。

石橋:部屋で聴いていると親に怒られるし。

まあとにかく、ジャズはワイアットやビーフーハートといったロックを入り口にして入ったわけですね。

石橋:そうです。ただ、10代のときに聴いていたわけじゃないし、いまでもジャズに詳しいわけではないんですけどね。

しかし、なんでピアノではなく、ドラマーとしてプロデビューしたんですか?

石橋:プロ・デビューしてないですけどね。メジャー・デビューしてませんから(笑)。大学生のときもね......まあ、ぜんぜんダメな大学生でして、音楽やるつもりもなくて、8ミリの映画を撮っていたんですね。それで上映会のとき、アフレコするのが嫌だということで、生演奏をつけようという話になったんですね。とはいえ、音楽経験がない人ばっかりで、そういう人たちとバンドを組むことになったんですね。私は当時すでに宅録とかも好きだったから、4トラックのMTRで録音した曲をみんなで演奏することになった。で、ドラマーがいないから私がドラマーになった。

ヤッキ・リーヴェツァイトやクリス・カトラーの役を引き受けたと(笑)。

石橋:いやいや(笑)。そんないいものじゃなかったですけど、子供の頃の音楽教室にたまたまドラムセットも置いてあって、ピアノのレッスンが終わるとドラムを叩かせてもらってて、そういう経験があったから。それでドラムをはじめて、学生とのときにそのバンドで〈20000V〉とかに出ていたんです。それであるときパニック・スマイルと対バンになって、で、九州に呼んでもらったりもして。しばらしくてそのバンドも解散して、24歳くらいまで、3年くらい何もしていない時期があって、で、25歳のときにたまたま灰野敬二を観に行ったら〈20000V〉でパニック・スマイルの人が働いていて、「何でいるんですか?」って言ったら「上京してきたので、一緒にバンドをやらないか」って言われて、「じゃあ、やります」と(笑)。

なるほど(笑)。石橋さんが年間100本くらいのライヴに参加するようになったのは、何かきっかけがあったんですか? いつの間にかそうなっていたって感じなんですか。

石橋:けっこうふたつ返事なんですよね。

断れない性格なんですね(笑)。

石橋:はははは。だからいつの間にかそうなっていた。自分でも企画をやっていたんです。セッションの企画とか。人から誘われて、自分でも企画して、サポートもして、パニック・スマイルもやって......っていう感じでいたらいつの間にかそうなっていた(笑)。

自分でやっていた企画とはどういうものだったんですか?

石橋:それこそ七尾さんとか、チューバの高岡(大祐)さんとか、梅津(数時)さんのサックスとか、組み合わせを考えて即興のセッションを何セットかやるという。

即興に対する興味はいつからなんですか?

石橋:即興はわりと最近で、3年前くらいですね。吉田達也さんのデュオに参加するようになってからですね。吉田達也さんはしょっちゅう即興やっているので、吉田さんや、吉田さんの周りのミュージシャンの方々と即興やるようになって、あとは山本達久くんと知り合って。

今回、ドラムを叩いている。

石橋:そうです。山本達久くんも即興やりたいって人なので、ふたりで即興やったり、あとは......内橋(和久)さんとの出会いも大きいですね。

即興はどういうところが面白いんですか?

石橋:チャレンジというか、思いがけない自分が引き出されるというか。無意識を引っ張り出すというか、一瞬の輝きでもそれを出すというところが好きですね。

即興も一時は過去の遺物になったかのように思われましたが、アメリカの若いバンドでも多いし、ここ10年でまた復活してますよね。デジタル時代に入って、日常生活のなかのインプロヴィゼーションみたいなことがなかなかできなくなったということで、新たに価値を高めているんじゃないかと思うんですよね。

石橋:本当にそうかもしれないですね。

いっかい限りの演奏の面白さというか。

石橋:これからますます価値が出てくるんじゃないかと思いますけどね。ただそれを観に来るお客さんはまだ少ないと思いますけどね(笑)。今後も多くなるのかと言えば多くならない気がするし......。ある程度一定の、絶対数みたいなのが昔からあって、そういう人たちが確保できれば成り立っていくものだと思うんですけど。あとはネーミングとかに凝って、お客さんをうまく騙すというか。

絶対数はそんな変わらないけど、お客さんの世代交代が起きるかなと思うんですよね。

石橋:そうですね。

ところで、前作の『ドリフティング・デヴィル』がソロとしてはデビュー作になるんですか?

石橋:あれは2作目です。

あの前に1枚あったんですか?

石橋:ただ実質、あれがファーストと言ってもいいかもしれないですね。その前に出したアルバムは、映画のために作った曲やいろんな人のために作ったCDRなんかを集めたものだったんです。

編集盤だったんですね。

石橋:はい。だから作品として最初に作ったのはセカンド(『ドリフティング・デヴィル』)です。

あのアルバムを出した動機みたいなものは何だったんですか?  やっぱりいろんな人と競演するなかで、自分のソロを作ってみたいという欲望がどんどん高まっていって......。

石橋:実は人から言われて。

ハハハハ。そうだったんですね。

石橋:友だちがレーベルをやって、「そろそろ2作目を作ったほうがいいんじゃない」と言って、私は「そうか」って感じで、だけど私は右から左に聞き流していった、「あー」とか言って(笑)。ただ、その年、妙な夢を見ることが多くて、それで「作れるかも」と思ったんですね。ちょうど作ろうと思っていた時期に、七尾さんと出会って......。

それで彼が歌うことになったと。

石橋:七尾さんと出会って、3ヶ月か4ヶ月後に彼に歌ってもらうことになったんです。

いろんな人たちとやっていくなかで、自分の音楽のスタイルみたいなことは考えていましたか?

石橋:ないです。いまでも自分のスタイルというものがわからないです。なんだろう?

奇数拍子とか(笑)。

石橋:それは自分のスタイルじゃないですよね。

はい、スタイルじゃないですよね(笑)。

石橋:人から「あー、プログレや変拍子が好きだね」って言われることはありますけど、でも、作っているときはそういうものを作ろうと思って作ってないんですよ。

奇数拍子や変拍子を偏愛しているわけじゃないですね。

石橋:はははは。なんかね、昔からそういうのが好きだったのかもしれないんですけど、やっているときは意識していないんですよ。自分では、大きく見て4とか8だと思ってやっている場合もあって、でも達久くんから「これ9じゃないの」って言われたり(笑)。そういう風に気がつくことが多いんですよね。

ある種の癖みたいなものなんですね。

石橋:癖というか、体に入っているものですよね。

さすがですね。

石橋:いや、そんなにいいものでもないので。

すごく滑らかに聴こえるんですよね。いかにもプログレっぽい、「うわ、変拍子!」って感じではないじゃないですか。

石橋:私、そういうプログレはあまり好きじゃないんです。実はクリムゾンはあまり好きじゃなかったりする(笑)。

ハハハハ。そういうのって、ホントにキング・クリムゾンですよね(笑)。

石橋:だから実はマグマもあまり好きじゃなかったりとか......。

はははは。クリムゾンはどこがダメなんですか?

石橋:かちっとし過ぎているし、スクウェアな感じがするんですよね。

そしてあの大げさな世界観というか(笑)。

石橋:ある意味、笑えるんですけど。裏面白くもあるんですけど(笑)。

[[SplitPage]]

死は大きなテーマなんですね。友だちの死、自分に近い人間の死、あるいは自分の死とか......。想像のなかの死、想像のなかで人を殺したりとか。前作でもそれはけっこうあったんですけど、今回ではより明確になったというか、強いと思います。曲を作っているときにつねにつきまとうものですね。

いまとなってはそういう感じですよね。20世紀だなーという感じがしますよね。ところで、石橋さんのインスピレーションはどこから来るんですか?

石橋:子供のときの心象風景だったり、まわりの出来事だったり......ですかね。

感情についてはどうですか?

石橋:感情の扱い方は難しいです。いつもバランスを考えています。感情はすごく大事なものだけど、ある意味では危険なモノというか。あまり感情に流されると面白くなくなるんですよね。それをパッション、情熱という言葉に置き換えたら私のなかではすごく扱いやすいものなんですけど、でも感情となると一筋縄にはいかない。もちろん大事なものだと思うんですけど。心が出発点でなければぜんぶが嘘になるし。

いまおっしゃったことって、石橋さんの音楽にも出ていると思います。Phewさんも感情を決して露わにしないことのすごさみたいなのがあると思いますけど、石橋さんはなぜ感情に支配されたくないんですか?

石橋:子供の頃から、感情に振り回されたくなかったんですよね。親に今日はどうだった?」と言われてもなんと答えていいのかわからないというか、いちどに複雑な感情や表情を表にできない子供だったし、ずっとそのまま来ているというか、昔からの癖みたいなもので。感情を表に出すのが苦手だというのもあると思うんですよね。

なるほど。曲のテ-マはどういうものが多いんですか?

石橋:死ですね。

し?

石橋:死です。死ぬこと。

それはどうしてまた?

石橋:死は大きなテーマなんですね。

非常に抽象的な言葉ですけど、どんな文脈における死なんですか?

石橋:友だちの死、自分に近い人間の死、あるいは自分の死とか......。想像のなかの死、想像のなかで人を殺したりとか。

なるほど。死か......死をテーマにしているという話は初めて聞いたなぁ。

石橋:前作でもそれはけっこうあったんですけど、今回ではより明確になったというか、強いと思います。

それは主に歌詞に出てくるんですか?

石橋:曲を作っているときにつねにつきまとうものですね。

僕は聴いてて、死は感じなかったなぁ。重たくなるような死は。

石橋:それは良かったなと思います。

1曲目なんかはむしろ軽やかな感じさえしたのですが......。

石橋:良かった。

歌詞を書くのは好きですか?

石橋:書き溜めするほうじゃないし、好きじゃないんだと思います。好きな人はつねに書いているでしょう。ただ、歌は言葉があったほうがいいので、それで書いてるって感じですね。歌詞となると歌い回しもあるし、言葉がそのまま使えるわけではないので、難しいですよね。

演奏と歌のバランスで言うと、繰り返し聴いていると演奏のほうが耳に残るんですよね。そこは意識されたんですか?

石橋:意識してないですね。音量のバランスで言えば、ジム(・オルーク)さんがミックスしているんですけど、ジムさんも、いわゆる歌手という感じの方ではないので、そういうバランスになったかと思います。私自身も恥ずかしいとうのもありますし(笑)。

恥ずかしいんですか(笑)?

石橋:恥ずかしいですね(笑)。

メロディは残るんですが、言葉が残らないんですよね。あえてそうしたミックスにしているんですか?

石橋:あー、そこは私が滑舌が悪いんです。とあるピアニストの方に言われたことがあって。「あなた滑舌が悪いからもっとはっきり歌ったほうがいいわよ」って(笑)。

親しみやすさみたいなことは意識しましたか?

石橋:そこはまったく意識してませんね。そういうことを意識するといい結果を生まないので。

ピアノを強調しようとかも?

石橋:前もって考えないですね。

前もって考えたことはないですか?

石橋:ピアノと歌だけでデモを作ろうと。それが自分にとっての決まりで、大きな縛りでしたね。前作はもっと自由でしたね。ドラムから作った曲もあった......。

さっき録音のバランスについて話してくれましたが、ジム・オルークが関わることによって他に変わったところはどんなところですか?

石橋:私の実感だけなんですが、デモは産みの苦しみがあったというか、曲もボツにしたいくらいの勢いだったというか......。

なんでですか?

石橋:やっぱひとりで作っているからじゃないですかね。ずっとひとりでやっているとわからなくなってしまうんです。「こんな作品を出す意味があるのだろうか」とか、「なぜ出すのだろうか」とか、「多くの名作があるなかでこんな駄作を出しても仕方がないじゃないか」とか......。そういうことを考えてしまうんですね。ジムさんにデモを渡すまでなんの確信も持てなくて、大丈夫かなと思ってて、それでジムさんに聴いてもらって、そうしたらジムさんが1曲づつアイデアを書いてくださって。そのときはまだプロデュースするとかぜんぜん決まってなかったんですけど、録音の何日か前だったのかな......、録音と演奏を手伝ってくれることぐらしか決まってなかったんです。それで、まさか彼がいろんなアイデアを出してくださるとは思わなかったんです。でも、ジムさんがいろんなアイデアを出してくださって、彼のアイデアを聞いているだけで曲が生き返ってくるというか......。

細かいアレンジまで?

石橋:そうです。ここにホーンセクションがあって、ここにはヴァイオリンだとか。曲のデモを聴いて、そこからいろんなことを感じ取ってくださって、上っ面ではないアイデアをどんどん出してくれて、そうしたら曲が息をしはじめたというか......。それは私の実感としての彼がもたらしてくれた"変化"です。

本当に彼がプロデュースした、ということなんですね。

石橋:そうです。

つまりコニー・プランクだったんですね(笑)。

石橋:ジムさん、コニー・プランク大好きで、コニー・プランクのTシャツ着てましたからね(笑)。

ハハハハ。それはすごい。石橋さんから見て、ジム・オルークのどこが突出していると思いますか?

石橋:うーん、難しいなぁ......。作曲家としても演奏家としても、プロデューサーとしても、どれとっても優れてますけど、私がいちばん驚いたのは......、ジムさんは自分が良いと思った埋もれた作品をリイシューするレーベルを作っていたんですね。私、それを知らなくて。で、彼のそういう精神が、すべてに反映されているんですね。演奏するときにも、プロデュースするときにも、ジムさん自身を大切にしないというか、捧げている感じがあるんですね。カヒミさんのサポートをいっしょにやっていてもわかるんですけど、すごいさりげないんですね、演奏も。実はすごいことやっているんだけど、あまり表立たないというか......、つねに音楽の全体像が見えている。そのなかにジムさんという人間が埋もれたとしてもそれを良しとする清らかさみたいなものがあるんです。音楽に対する清らかさがあると思います。それが素晴らしい。ジムさんのおかげでこの作品もできたと思っているし。ジムさんは「私は何もしてない」と言うけど、かなりいろんなことをしているんです(笑)。

なるほど。ところで、歌うのが恥ずかしいとのことですが、前作はたしかに旅人くんの力を借りたりしてましたよね。でも、今回はすべて自分で歌っていますよね。

石橋:前作から今作にかけての期間は、ひとりでライヴをやることが多かったんです。小さなライヴハウスで25人くらいのお客さんを前に2時間くらいやるんです。それを定期的にやってました。そのときはすごく緊張するんです。緊張しながらも、自分の作品は自分が歌うべきじゃないかという気持ちが芽生えたんでしょうね。自分の声とつきあうようになってきたということかな。そういう心構えができた(笑)。

いろんなゲスト・ヴォーカルを招いてやるという考えはなかったんですね。

石橋:まったくなかったです。今回はなかったです。

しかし、25人を前に2時間というのは緊張感ありそうですね(笑)。

石橋:観ているお客さんも緊張すると思いますよ。私の緊張感がフィードバックされて、お客さんと私で緊張のキャッチボールになるとういか(笑)。

アルバムのタイトルの『キャラペイス(carapace)』はどういう意味が込められているんですか? 言葉自体は「甲羅」という意味でいいんですか?

石橋:甲羅......殻のなかに閉じ籠もって作った感じだったのと、歌詞が最初、生々しかったので、それでぜんぶ亀が歌ったことにしてやろうかとか(笑)。自分が子供の頃から亀は特別な動物だったので......。

いちばん大きな理由は?

石橋:作っているときの自分の状態ですね。甲羅のなかでいろんな景色を見たというか......人それぞれの甲羅のなかにはどんな景色があるのか、とか。

アルバムのなかでとくに思い入れがある曲はどれですか?

石橋:3曲目の"rhthm"か、最後の"hum"ですね。

それは曲自体に対する思い入れですか?

石橋:そうです。"hum"に関しては、いちばん最後にできた曲だったというのもあrますけど。

アートワークの写真もとても良いですね。まるで闇のなかに佇んでいるようですけど、この音楽に暗闇があるとしたら、それはさっきも言った死という言葉に集約されるものですか?

石橋:そうですね。それと、夜中によく徘徊しているので。闇のなかを歩いて行く感覚......そういうのって誰にでもあると思います。そういうものに興味があります。

じゃ、最後に石橋さんの2011年の抱負を聞かせてください。

石橋:企画を仕掛けたいですね。2010年は自分の作品に時間を費やしたので、企画をやる時間がなかったから。それから、勉強したいですね。自分には足りない部分がなくさんあって、次に向けて勉強しなければならないことがたくさんあります。

どこが足りないと思ったんですか?

石橋:演奏もそうですし、曲を作ると言うことを一から見直したいと思っています。もっといろんな音楽を知って、知ったうえで自分の作品を作っていきたいです。ミックスも自分でやりたいし、自分の演奏できない楽器も弾けるようになりたいし(笑)。

なるほど(笑)。今日はどうもありがとうございました。

BITCHFORK - ele-king

 『ゼロ年代の音楽――ビッチフォーク編』がいよいよ発売されます。ビッチとは何者か? ――女とポップ・ミュージックの抵抗をめぐる冒険の書......というつもりで作りました。以下、目次を載せますので、どうぞよろしくお願いします!


photo by Yasuhiro Ohara

■contents

02 Foreword
そんなビッチ殺っちまえよ――本書はいかにして生まれたか    
野田 努

07 Bitch Talk 01
もうひとつの、しかし極めて重要な物語――ボヘミアン・ガールの系譜
五所純子×水越真紀×田中宗一郎×野田努 (司会・構成 三田格)

46 Column 01
私たちの革命――ライオット・ガールというムーヴメント
大垣有香

54 Column 02
強きもの、汝の名は弱さ――ジンライムのお月さまは「ひどい乗り方」を許していたんだ
水越真紀

57 Bitch Talk 02
ノー・ウーマン、ノー・クライム―― ヒップホップ文化に見る性について
RUMI×磯部涼×二木信  
オブザーバー 水越真紀(司会・構成 野田努)

83 Column 03
ビッチの領分――ミソジニー論争への一考察
新田啓子

91 Column 04
Bガールの逆襲 Return Of The B-GIRL
二木 信

95 Bitch Talk 03
コギャルの出て来た日 ――消費社会がもたらす女性の変化
湯山玲子×三田格  オブザーバー 野田努 (司会・構成 松村正人)

120 Interview  戸川純、インタヴュー
たぶん、女にしか書けないことを、と思ったんじゃないかな。「バーバラ」にしても女にしか出来ないことと思った。(取材:水越真紀)

128 Column 05
安室奈美恵はいつ死んだのだろう
五所純子

135 BITCHFORK DISC REVIEW
CLASSIC 1955-1999/00'S 2000-2010
(磯部涼、大垣有香、野田努、橋元優歩、二木信、松村正人、水越真紀、三田格)

188  Column 05
律はビッチ!
三田 格

Janelle Monae - ele-king

 2010年に数多くの賞賛を浴びたアフロ・フューチャリズムの傑作。『ガーディアン』が年間ベストの1位にしたので買ったけれど、大正解だった。どうせ1月のリリースはそれほど多くないし、昨年聴き逃したモノはこうしてこの時期に聴くといいのだ。
 実はジャネール・モナエは、2719年からやって来た逃亡者である。彼女のDNAは、シンディ・メイウェザーなるクローン人間であり自由の戦士に使われている。未来のメトロポリスでは階級闘争が激化している......スリーヴノートにはそんなことが記されている。まさにジョージ・クリントンやサン・ラを思わせる(一見、冗談交じりの)ブラック・サイエンス・フィクションだが、モナエも彼らと同じように真面目だ。「私はコミュニティに対して責任を感じているの」、『ガーディアン』の取材で彼女はそう答えている。「私たちが作る音楽は彼らの心の解放を助けるべきだし、もし彼らが抑圧されていると感じているのなら、いつでも彼らを高揚しなければならない」
 ごみ収集トラックの運転手の父親を持つ、労働者階級出身の25歳の彼女は力強く話している。「もし私たちにメッセージがあるなら、私たちが闘っていることを信じるってことなの。そして私たちはそうするのよ」

 ブロッコリーのような髪型の彼女は、2005年、ビッグ・ボーイ(アウトキャスト)に見出されている。翌年のアウトキャストの『アイドルワイルド』に収録された"コール・ザ・ロウ"と"イン・ユア・ドリームス"ではまだ21歳の彼女の歌が聴ける。2007年にはP・ディディの〈バッド・ボーイ〉からデビュー・ソロ・アルバム『メトロポリス』を発表しているが、ブロッコリーのような髪型をしたアンドロイドとなっているそのアートワークをレコード店で見かけて覚えている方も多いことだろう。そしてそのアートワークがほのめかすように彼女の音楽は雑食性が高い。ちなみに初期のジェームズ・ブラウンを彷彿させるタキシード姿だが、彼女の説明によればあれは労働者階級のスタイルだそうだ。
 セカンド・アルバムとなる『ジ・アークアンドロイド』は、スウィングするロックンロールからフリークアウト・ファンク、甘いソウル、ゴスペルからジャズ、あるいはフォークやバラードまでと、ブロードウェイで鍛えられた経験を持つ若い女性はなんでもやってのける。アルバムの内容は『ガーディアン』が言うように「アンドレ3000がもし少女だったら、あるいはプリンスが1961年のジュディ・ガーランドといっしょに作ったとしたら」という表現がうまく言い当てていると思う。つまり、これは破天荒なミュージカルとも言える。収録された曲すべてが魅力的で、カニエ・ウェストの『マイ・ビューティフル・ダーク・ツィスティッド・ファンタジー』が内面旅行(21世紀の『インナーヴィジョン』?)だとしたら、こちらは外に向かって爆発するダイナマイトである。収録曲すべてにインスピレーションとなった映画、文学、アートについての記述があり(フィリップ・K・ディックからサルヴァドール・ダリ、あるいはボブ・マーリーの笑顔などなど)、アルバムにはソウル・ウィリアムス、ビッグ・ボーイらとともに、知性派インディ・バンドのオブ・モントリオールも参加している。

 彼女の説明によれば、アンドロイドはマイノリティを意味しているそうで、歌詞の多くにはコミュニティへの賛美があるという。もちろん労働者階級のコミュニティについてである......だとしたらこれはファンカデリックとほとんど同じタイプのメッセージに分類できるが、ジャネール・モナエはジョージ・クリントンと違って、SF小説と並んで大量のビジネス書を読んでいる......。


追記 2011.01.14
ジャネーリ・モナエの反同性愛に関しては僕の完全な間違いです。すいません!!!! まったく逆ですね。反・反同性愛者です。ご指摘していただい方、本当にありがとうございました。ファンの皆様、本当にすいませんでした。猛省します。

Doobeeis - ele-king

 どーも、あけましておめでとうございます!

 年末、野田編集長に「保守的なブラック・ミュージック・リスナー」と書かれてしまった二木です。どーん! 実際それは否定できない事実です。まあ、否定する必要もないか。保守的なブラック・ミュージック・リスナーがいるように、保守的な音楽もある。一方で前進を止めない音楽もある。ドゥービーズのデビュー・アルバム『ドゥービーズ』は、イスギやシンクタンクとはまた違ったドス黒い感性を持ったヒップホップ・アルバムで、はっきり言って、眩暈がするほど素晴らしい。2010年12月末にリリースされたこの作品は、この国のヒップホップにおける果敢な音の冒険という意味において、少なくとも2010年のベスト5には入るでしょう。彼らは深い酩酊と陶酔のために命を削っている。まずその気合いに拍手したい。年末にこれを聴いて、そう思った。ジャズ、ソウル、ファンク、レゲエといったブラック・ミュージックを土鍋にぶちこんでかき回したカオティックなサウンドは、ジョージア・アン・マルドロー&デクレイム『SomeOthaShip』を彷彿させる。

 ドゥービーズはヒデンカ(HIDENKA)とゴーキ(GOUKI)から成るユニットで、ヒデンカはラッパーであり、DJであり、トラックメイカーでもある。彼は、ガーブルプー!(GARBLEPOOR!)というヒップホップ・グループや天国プランワールド(TENGOKUPLANWORLD)というソロ・プロジェクトでも活動するキャリア10年以上を誇るベテランで、ガーブルプー!名義ですでに3枚のアルバムを出している。シンクタンクを擁するアヴァン・ヒップホップ・レーベル〈ブラックスモーカー〉から発表した通算3作目『ペイジ・トゥー(PAGE TWO)』で僕はヒデンカの魅力の虜になった。DJ/トラックメイカーとしての顔である天国プランワールドの催眠的なミックスCD『メランコリック・スウィート・ベッドタウン・フッカー(MELANCHOLIC SWWEAT BEDTOWN HOOKER)』を聴けば、彼が音の退屈を許さない享楽主義者であることがよ~くわかる。スピリチュアルなトライバル・ハウス、スモーキーなヒップホップ、メロウなソウル、コンピューター・ファンク、エネルギッシュなビック・バンド・ジャズ、酔狂な漫談、パンキー・レゲエといったさまざまな音の断片が溶けた褐色のミックスジュースのなかを実に愉しそうに泳いでいる。『ドゥービーズ』の構成要素の秘密を解き明かしているようでもある。

 さて、そこで本作について語りましょう。DJ イタオと八合目トラックスが手がけた1曲目"ブラックボード(BLACKBORAD)"のイントロが流れ出した瞬間、「おっ!」と思う人は多いだろう。かの有名な女性ソウル・シンガーの名曲の甘美なエレピをユニークに解体している。続く"ブルー・シット(BLUE SHIT)"は彼らの嗜好性の表明であり、真夜中の入口に私たちを立たせる。「安定より冒険」を好み、「昼間はカモフラージュ、夜にむらが」り、「見たことのないところに行きたい」連中のお楽しみがはじまるわけだ。
 "ミート・セックス(Meet Sex)"、"セックス・バス(Sex Bus)"、"アス・ホール(Ass Hole)"といった卑猥なタイトルから想像できるように、ファンクやジャズがシェイクされ、夜の闇のなかで淫靡に響きわたっている。サイケデリックなギターがぐるぐると回転したかと思えば、ジャマイカとブリストルを往復しながら、うなりをあげるダブワイズが空間を一気に押し広げリー・ペリーが顔をのぞかせる。DJ 3268による8分にも及ぶジャジーなストーナー・ラップ"ロング・フォレスト(Long Forest)"のラップは、僕の勘が正しければ、おそらくフリースタイルじゃないだろうか。彼らが部屋かスタジオのなかで低空飛行する様子がありありと目に浮かぶ。最近は隣に住む塗装屋のオヤッサンがうるさくて我が家では爆音を出せないが、深夜にこういう曲をBGMに友だちとバカ話に花を咲かせたいものだ。
 エレクトロニカ風味の"パープル・レイン(Purple Rain)"や"マリアッチ(Mariacchie)"は、マウント・キンビなんかを愛する音好きも振り向かせるかもしれない。女性シンガー、チヨリをフィーチャーした"ウォーター・ルーム(Water Room)"は、それこそジョージア・アン・マルドローが歌うコズミック・ソウルを想起させる。DJ ツネオという名をこの曲ではじめて知ったが、他の曲も聴きたくなった。

 大半のトラックは天国プランワールドが手がけている。『ドゥービーズ』はアナログの質感にこだわるために、オープンリール・テープによるマスタリングを施したという。なるほど、実際にそのこだわりは単なる懐古趣味に留まることなく、ドゥービーズの音に見事な説得力を与えている。最初は音に耳が行くが、じょじょに言葉の面白さに惹きつけられていく。なんというか、ドゥービーズの享楽的な退廃は、最近読んだ深沢七郎の本のタイトルに倣って言えば、"生きているのはひまつぶし"というニヒリズムの仮面を被った、逆説的な前向きさを主張しているように思える。忙しない師走に小生はそんな感慨に耽り、このアルバムに不思議と勇気づけられたのであります。

白石隆之 - ele-king

年間ベスト。記憶を辿って捻り出した10枚。


1
Chez Damier - Time Visions 2 - Mojuba

2
Moody - Ol'dirty Vinyl- KDJ

3
The Mole - Dreamer Keep On Dreaming - Musique Risquee

4
DJ Yoav B - Love Dubs EP - Delsin

5
Missing Linkx - Got A Minute. - Philpot

6
Vakula - Firecracker EP 5- Firecracker

7
DJ Nature - Everyone / Neighbourhood Novelt - Golf Channel

8
Four Tet - Sing - Domino

9
Floating Points - Peoples Potential - Eglo

10
Farben - Farben EP - Faitiche

Detachments - ele-king

 これはもう......、ダニエル・ミラー。ノーマルであり、初期のデペッシュ・モードであり、さもなければジョイ・ディヴィジョン。この説明でわからない若い世代には、これがシンセ・ポップにおけるイギリスらしいポスト・パンク的展開だと説明しておこう。ささくれ立っていて、ニヒルで、黒い服の似合うディストピアン・スタイルの音楽というわけだ。

 ディストピア・ミュージックとは、デヴィッド・ボウイの『ダイアモンド・ドッグス』からブリアルにいたるまで綿々と続く、いわばイギリスのポップのお家芸でもある。ディストピア・ミュージックとは、アンチ・エスタブリッシュメント・ミュージックと同義に他ならない。一見華やかなこの世界に積極的に背を向けていることの態度表明のひとつで、それは民主党やオバマ大統領に失望した人たちが向かうところでもある。自分たちの暮らしている世界がいかに絶望的な場所であるかをいかに巧妙に伝えるか......それがこの種の音楽の肝である。

 さて、ロンドンの4人組、デタッチメンツによるデビュー・アルバムだ。リリースは2010年の9月、ダンス・ミュージック・ファンの多くは2010年の初頭にリリースされたマーティンのミックスCD『ファブリック50』を通して知っている。2009年にシングル・カットされた"H.A.L."はアンドリュー・ウェザオールがプロデュースに関わっている。この2年、ウェザオールが関わったロック・バンドのなかでもっとも彼の音楽性に近いのがデタッチメンツである。DFAのティム・ゴールドワーシーも1曲参加している。
 "H.A.L."はウェザオールによってディスコ・パンク・ヴァージョンにリミックスされている。それは最近のウェザオールにしては珍しくストレートな、素晴らしくパンキッシュな感触の、ご機嫌なリミックスである。シングル「サークルズ」はマーティンによってリミックスされ、これは幅広くフロア・ヒットしている。パンク好きのDJなら、これは是非とも良いタイミングでかけたい......というか、この2枚のシングルは、ロック的な嗅覚を持ったDJであれば逃していないはずである。

 デタッチメンツは2010年にイギリスのロック・バンドにおいて気に入った数少ない1枚で、もし、ダークスターが『ノース』を発表しなかったら、その座にいたかもしれない1枚である。1980年代のレトロなパソコンと骸骨をデザインした中途半端にダサいアートワークがまた良い......というか、親しみを持てる。

Metal - ele-king

SINGLES OF 2010


1
Maxmillion Dunbar‐Ambient Lemon&Lime‐Ramp Recordings

2
James Blake‐Limit To Your Love‐Atlas

3
Mark Pritchard‐Heavy As Stone‐Deep Medi Musik

4
Wolfgang Voigt‐Geduld (DJ Koze Mix)‐Profan

5
Portable‐ Life Magically Is‐Perlon

6
Mirco Loko‐Tahktok (Villalobos Edit)‐Cadenza

7
Jichael Mackson‐Sugarhill Mountain‐Musique Risquee

8
Margaret Dygas‐PG.21‐Powershovel Audio

9
DJ Rum‐St Martins‐On The Edge

10
To Rococo Rot‐Forwardness (Traversable Wormhole Remix)‐Domino

Lone - ele-king

 ビビオのメロディアスなIDMスタイルが好きな人が間違いなく気に入るのがローンによる『レムリアン(Lemurian)』(2008年)と『エクスタシー&フレンズ(Ecstasy & Friends)』(2009年)で、ノッティンガムの夏を記録したという前者にしても、彼の名声を高めた後者にしても、その音楽を特徴づけるのはドリーミーな感覚だ。ボーズ・オブ・カナダの影響下で発展したモダンなスタイルのひとつにマウント・キンビーがいるけれど、ローンも大きくはそのひとつ。手法的にはビビオで、感覚的にはボーズ・オブ・カナダである。サイケデリックで、恍惚としている。だいたい1月の7日というのはまだ正月気分が抜けていないので、こういう夢うつつな音楽がちょうどいい。

 2010年はフォー・テットカリブーといった、最初に注目された頃はフォークトロニカと呼ばれたスタイルの人たちの作品がずいぶんと評判がよかったけれど、マウント・キンビーやローンを聴いていると、ダブステップとフライング・ロータスを通過したフォークトロニカではないかと思うときがある。ローンの場合は、綺麗なアルペジオがあって、そしてグリッチがある。そして、フォー・テットやカリブーよりもさらに夢想的である。12歳でボーズ・オブ・カナダに感動したというエピソードは伊達じゃない。

 『エメラルド・ファンタジー・トラックス』はしかし、フォー・テットとカリブーとすっかり歩調を合わせるように、彼にとって最初のダンス・アルバムと言える作品だ。4/4ビートが入った、デトロイティッシュな作品であると言える。『エクスタシー&フレンズ』はいま聴くとマウント・キンビーを先取りしていたような音楽性だったので、その続編を楽しみにしていたファンも多かったと思うけれど、過去の2枚とは目的意識が違っているようだ。アントールドやラマダンマンのような世代がシカゴのアシッド・ハウスの面白さを発見したように、彼はメロディアスなデトロイト・テクノにアプローチすることで彼自身のダンストラックを作っている。そういう意味では、2010年のフォー・テットとカリブーが好きだった人には推薦できるアルバムである。もちろん正月ボケが抜けていない人にも嬉しい音だろう。100%の逃避音楽だ。

 2010年は欧米のクラブ系のメディアを見ても、その前年よりもさらにテクノやハウスといった昔ながらのDJミュージックが目立たなくなった年でもある。『FACT』の年間ベストの1位がUSのインディ・ロックの部類に入るであろうフォレスト・スウォーズ(2位がカニエ・ウェスト)で、『Resident Advisor』の1位がカリブー(2位がフライング・ロータス)というのも、よほど他にないのかと正直ビビってしまった。まあ、DJミュージックの場合はトラック単位で見るべきなのだろうけれど、それにしても......。
 個人的なことを言えばクラブ系ではダブステップ以降を追うのに手一杯ではあるけれど、テクノとハウスは自分にとっては故郷みたいなものなので、このサイトでも面白いものがあればぜひ紹介したいと思っている。が、しかしコンスタントに書いてくれる人が見つからない。昔はDJ連中もシーンをアピールするために一生懸命に文章を書いたものだったが、庭付きの大邸宅で伸び伸びと正月を迎えているであろうメタルのように、いまさらそんな努力など必要ないほどシーンは自立しているということなのだろう。
 ......だったらいいのだけれど、経験的に言えば、シーンには作り手や送り手といっしょに情熱を持ったライターが必要。どこかに情熱をもっていらっしゃる方がいれば、僕はぜひお願いしたいと思っています。ご一報ください。件名は「ele-kingライター募集」にて、ele-king@dommune.comまで。試しに書いた3枚分のレヴュー原稿(文字数自由)を貼り付けていただければ幸いです(もちろんヒップホップ、ロックなど他ジャンルの方も歓迎しますよ)。

Seefeel - ele-king

 ミディアムテンポの8ビートとエレクトロニック・ノイズの"デッド・ギターズ"は、音の粒子の荒れたカンだ。see(見る)+feel(感じる)という、あの時代らしいネーミングを持ったバンドは、15年振りの4枚目のアルバムで貫禄を見せつけている。1993年、このバンドが登場したときは、「マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとエイフェックス・ツインの溝を埋めるバンド」と謳われたものだったが、最新作の『シーフィール』は「ダブステップとクラウトロックの溝を埋めている」ようだ。2010年にシングルとして先行リリースされた"ファウルツ"は、ある意味では歌モノだが、『クラスターII』をバックにスペースメン3が歌っているような、倒錯したポップである。"リップ・ラン"は1994年ぐらいのシーフィールにもっとも近い。ドリーミーで、スペイシーで、ダビーだ。1990年代末にボアダムスに在籍していたイイダ・カズヒによる8ビートとシゲル・イシハの重たいベースが霊妙なメロディをともなって、霧のように広がるこの音楽に骨格を与えている......。
 
 シーフィールのカムバック作は過去のどのアルバムとも違うが、ファンにはドリーミーな『クイック』と無愛想な『サッカー』の中間だと説明することができるかもしれない。数年前に再発された彼らのデビュー・アルバム『クイック』は、〈トゥ・ピュア〉がもっとも勢いのあった時期にリリースされた、当時のロンドンのシューゲイザーからのアンビエントへの見事なアプローチだった。それはあの時代の幸せな空気が詰まったドリーム・ポップで、そしてアルバムのなかの1曲は翌年にエイフェックス・ツインによるリミックスが2ヴァージョン発表されている。1994年に〈ワープ〉と契約した彼らは、素晴らしい12インチ・シングル「ステアスルーEP」を発表している。収録された"スパングル"は〈ワープ〉のクラシックとして知られている曲で、その根強い人気たるやおよそ10年後にオウテカがリミックスをしているほどだ。
 とはいえ、1995年のセカンド・アルバム『サッカー』にはファースト・アルバムのような親しみやすさはなかった。そればかりか、初期のドリーミーな質感を積極的に排除しているようだった。セカンド・サマー・オブ・ラヴを丸めて捨てるように、ギタリストのマーク・クリフォードを中心とした第二期シーフィールは、1996年には〈リフレックス〉から『(Ch-Vox)』を発表するが、バンドはそれを最後に休止状態となり、そしてクリフォードはディスジェクタ名義のソロ作品『クリーン・ピト・アンド・リド』を〈ワープ〉から出すと、音楽の表舞台から姿を消す。
 
 フィードバック・ノイズをキング・タビーをミキシングしたような"メイキング"も最高だが、ジェームス・ブレイクやマウント・キンビーのようなポスト・ダブステップと共振する"エアレス"、エメラルズやOPNと共振する"Aug30"はなお素晴らしい。そして、アルバムの最後を飾る"スウェイ"の、ノイジーでありながらエレガントな展開は......このバンドの15年の沈黙が無駄ではなかったことを確信させる。第三期に突入したシーフィールは後ろを振り向かずに前に進んでいる。2011年の1月において間違いなく頂点に立つ1枚の登場である。
 
 ......というわけで、明けましておめでとうございます!

#9:Flashback 2010 - ele-king

 先日『NME』が20もの音楽メディアによるアルバム・オブ・ザ・イヤーの集計を発表した。対象となったのは『NME』をはじめ『ピッチフォーク』、『ガーディアン』、『ローリング・ストーン』、『スピン』、『Q』、『モジョ』、『アンカット』ほか、ブルックリンで圧倒的に支持されている『ステレオガム』やUKのウェブマガジン『ドローンド・イン・サウンズ』、あるいは超メジャーの『MTV』などなど、主にロック系のメディア。

1. Arcade Fire - The Suburbs
2. Kanye West - My Beautiful Dark Twisted Fantasy
3. LCD Soundsytem - This Is Happening
4. The National - High Violet
5. Beach House - Teen Dream
6. Vampire Weekend - Contra
7. These New Puritans - Hidden
8. Deerhunter - Halcyon Digest
9. Big Boi - Sir Lucious Left Foot: The Son Of Chico Dusty
10. The Black Keys - Brothers
11. Robyn - Body Talk
12. Yeasayer - Odd Blood
13. Caribou - Swim
14. John Grant - Queen of Denmark
15. Joanna Newsom - Have One On Me
16. Sufjan Stevens - The Age Of Adz
17. Janelle Monae - The ArchAndroid
18. Drake - Thank Me Later
19. Sleigh Bells - Treats
20. Ariel Pink's Haunted Graffiti - Before Today

 自分の好みはさておき、まあ納得のいく20枚だ。ちなみに僕の個人的なトップ10は以下の通り。

1. Beach House -Teen Dream
2. Darkstar - North
3. 神聖かまってちゃん-みんな死ね
4. Gold Panda - Lucky Shiner
5. Emeralds - Does It Look Like I'm Here?
6. Oneohtrix Point Never - Returnal
7. Factory Floor - Lying / A Wooden Box
8. M.I.A. - /\/\/\Y/\
9. Gayngs - Related
10. Mount Kimbie - Crooks & Lovers

 ビーチ・ハウス以外は『NME』が集計した20枚に入っていないけれど、好みで言えば、ビッグ・ボーイ、ドレイク、ジャネール・モネイ、カリブー......ジョアンナ・ニューサムとディアハンターとアリエル・ピンクに関しては今作がとくにずば抜けているとも思えなかったけれど、もちろん嫌いなわけではない。アーケイド・ファイアーの3枚目は実は最近になってようやく聴けたが、過去の2枚に顕著だった重さはなく、いままででもっとも親しみやすい音楽性だと感じられた。このバンドに関して言えば、対イラク戦争の真っ直なかに発表した反ネオコンの決定版とも言える『ネオン・バイブル』によって、音楽と社会との関わりを重視する欧米での評価を確固たるものにしている。こういうバンドがいまでも一目置かれるのは、欧米の音楽ジャーナリズムが音楽に何を期待しているかの表れである。
 そう、アルバム・オブ・ザ・イヤーとは、その作品の価値や誰かのセンスを主張するものではなく、ジャーナリズムがいまどこに期待しているのか、という観点で読むと面白い。そのセンで言えば、僕にとって2010年に興味深いのはカニエ・ウェストとジーズ・ニュー・ピューリタンズだ。どちらも個人的には好みではないけれど、僕がふだん読んでいるメディアではどこも評価している。おかしなもので、LCDサウンドシステムがいくら評価されても気にもとめないというのに、気にくわないと感じているカニエ・ウェストとジーズ・ニュー・ピューリタンズが高評価だと気になるのだ。
 以下、『ピッチフォーク』、『NME』、『ガーディアン』のトップ10を並べてみよう。

Pitchfork
1. Kanye West - My Beautiful Dark Twisted Fantasy
2. LCD Soundsystem - This is Happening
3. Deerhunter - Halcyon Digest
4. Big Boi - Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty
5. Beach House - Teen Dream
6. Vampire Weekend - Contra
7. Joanna Newsom - Have One on Me
8. James Blake - The Bells Sketch EP/ CMYK EP/ Klavierwerke EP
9. Ariel Pink's Haunted Graffiti - Before Today
10. Titus Andronicus - The Monitor

NME
1. These New Puritans - Hidden
2. Arcade Fire - The Suburbs
3. Beach House - Teen Dream
4. LCD Soundsytem - This Is Happening
5. Laura Marling -I Speak Because I Can
6. Foals - Total Life Forever
7. Zola Jesus -Stridulum II
8. Salem - King Night
9. Liars - Sisterworld
10.The Drums - The Drums

The Guardian
1. Janelle Monae- The ArchAndroid
2. Kanye West - My Beautiful Dark Twisted Fantasy
3. Hot Chip - One Life Stand
4. Arcade Fire - The Suburbs
5. These New Puritans - Hidden
6. Robyn - Body Talk
7. Caribou - Swim
8. Laura Marling - I Speak Because I can
9. Ariel Pink's Haunted Graffiti - Before Today
10.John Grant - Queen of Denmark

 カニエ・ウェストのアルバムでまずはっきりしているのは、それがヒップホップのフォーマットから離れていること。「イントローヴァースーフックーヴァースーフックーアウトロ」といった公式をチャラにして、膨大なサンプル(60年代のサイケデリックからゴスペルまで)によって新しい何かを生み出そうとしている......ある種のプログレッシヴな音楽と言えよう(実際プログレだろ、あれは......と僕は思ってしまったのだが)。僕や二木信のような保守的なブラック・ミュージック・リスナーの裏をかいているアルバムとも言えるし、そしてこれはジーズ・ニュー・ピューリタンズへの評価とも重なることなのだが、欧米の音楽ジャーナリズムが知的興奮を知らないチンピラにはもう期待していないということでもある。そしてそれでも(カニエ・ウェストの対極とも言える)ビッグ・ボーイが愛されているのは、暴力性というものに何のロマンスも見てはいないということでもある。まあ、要するにそれだけマッチョイズムと暴力性を日常的に身近に感じているからだろう。

 日本の音楽シーンに関しては、2010年は面白かったと思っている。それはポップ・フィールドにおける相対性理論と神聖かまってちゃんのふたつに象徴されるだろう。どちらもインテレクチュアルなポップで、2010年の日本に対する両極端の、際だった態度表明と言える。つまり、かたやナンセンスでかたやパンク、かたや"あえて抵抗しない"でかたや"とりあえず抵抗してみる"というか......そして好むと好まざるとに関わらず、時代は更新される。僕にとって興味深かったのは、神聖かまってちゃんへの表には出ない嫌悪感だった。それは僕が中学生のときに見てきたセックス・ピストルズやパンクに寄せられた嫌悪感、RCサクセションに寄せられた嫌悪感と見事にオーヴァーラップする。何か、自分の理解や価値観の範疇からはみ出したものが世のなかの文化的な勢力として強くなろうとするとき、それを受け入れる人と拒絶する人にはっきり分かれるものだが、同じことがいま起きているようだ。そして、気にくわないというのは、それだけ気にしているということでもある。(笑)

 エメラルズに関しては、面白いことに『ドローンド・イン・サウンズ』が1位にしている。こうしたチャートの見方というのは、「ではエメラルズを1位にするようなメディアは2位以下を何にするのだろうか」という点にもあるのだが、2位がザ・ナショナルで3位がデフトーンズというのはがっかりした。シューゲイザー好きな編集部のなかの偏執的な編集長があるときエメラルズで壮大なトリップをしてしまったのかもしれない。もちろん、多くの場合は個人的な経験が大切であって、『ガーディアン』の読者が言うように「メディアが選ぶトップ20をわれわれが聴かなければならないという義務はない」わけだが、話のネタとしては大いにアリなのだ。その年何が良かったのかについて話すことは、音楽ファンにとっては楽しみのひとつである。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159