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野田 努   Jan 11,2011 UP

 これはもう......、ダニエル・ミラー。ノーマルであり、初期のデペッシュ・モードであり、さもなければジョイ・ディヴィジョン。この説明でわからない若い世代には、これがシンセ・ポップにおけるイギリスらしいポスト・パンク的展開だと説明しておこう。ささくれ立っていて、ニヒルで、黒い服の似合うディストピアン・スタイルの音楽というわけだ。

 ディストピア・ミュージックとは、デヴィッド・ボウイの『ダイアモンド・ドッグス』からブリアルにいたるまで綿々と続く、いわばイギリスのポップのお家芸でもある。ディストピア・ミュージックとは、アンチ・エスタブリッシュメント・ミュージックと同義に他ならない。一見華やかなこの世界に積極的に背を向けていることの態度表明のひとつで、それは民主党やオバマ大統領に失望した人たちが向かうところでもある。自分たちの暮らしている世界がいかに絶望的な場所であるかをいかに巧妙に伝えるか......それがこの種の音楽の肝である。

 さて、ロンドンの4人組、デタッチメンツによるデビュー・アルバムだ。リリースは2010年の9月、ダンス・ミュージック・ファンの多くは2010年の初頭にリリースされたマーティンのミックスCD『ファブリック50』を通して知っている。2009年にシングル・カットされた"H.A.L."はアンドリュー・ウェザオールがプロデュースに関わっている。この2年、ウェザオールが関わったロック・バンドのなかでもっとも彼の音楽性に近いのがデタッチメンツである。DFAのティム・ゴールドワーシーも1曲参加している。
 "H.A.L."はウェザオールによってディスコ・パンク・ヴァージョンにリミックスされている。それは最近のウェザオールにしては珍しくストレートな、素晴らしくパンキッシュな感触の、ご機嫌なリミックスである。シングル「サークルズ」はマーティンによってリミックスされ、これは幅広くフロア・ヒットしている。パンク好きのDJなら、これは是非とも良いタイミングでかけたい......というか、この2枚のシングルは、ロック的な嗅覚を持ったDJであれば逃していないはずである。

 デタッチメンツは2010年にイギリスのロック・バンドにおいて気に入った数少ない1枚で、もし、ダークスターが『ノース』を発表しなかったら、その座にいたかもしれない1枚である。1980年代のレトロなパソコンと骸骨をデザインした中途半端にダサいアートワークがまた良い......というか、親しみを持てる。

野田 努

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