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Various ‎Artists - ele-king

 『Vanity Box』
幻の音源が一挙再発~動き続ける音の先端だけをとらえた記録

〈ヴァニティ・レコーズ〉ほど謎と伝説に満ちた日本のインディ・レーベルはないだろう。一昨年に亡くなった阿木譲氏が『ロック・マガジン』の刊行と並行して78〜81年に主宰した大阪のインディ・レーベル(おそらくJ-インディ界最古)であり、そこからは、フューがリード・ヴォーカルをとったアーント・サリー、エレクトロニック・ユニットのDADAやシンパシー・ナーヴァスなどの作品がリリースされていた……熱心なロック・マニアであっても、おそらくその程度が平均的な知識であり、カタログ中の数枚はきいたことがある……といったところではなかろうか。

 〈ヴァニティ〉からは4年弱の間に11枚のLP(うちひとつは2枚組オムニバス・アルバム)、3枚の7インチ・シングル盤、6本のカセット・テープがリリースされ、その他にもロック・マガジンの付録として世に出た12枚のソノシート(79〜82年)もあった。タイトル数としてはたいした数ではないが、なにしろ各タイトル(ソノシート以外)のプレス枚数が各300〜500枚であり、カセット作品に至っては数十本程度のコピー商品だったため、リアルタイムで全てを聴いていた者は極めて稀だったはずだ。
 もちろん私も例外ではない。最初に聴いたのはアーント・サリー『アーント・サリー』(79年)だったが、それは友人にコピーしてもらったカセットであり、現物を入手したのは84年、コジマ録音からの再発LPだった。80年代にはシンパシー・ナーヴァスやダダなどいくつかの中古盤やコピー・カセットを入手したが、全作品制覇はとても無理だった。6本のカセット作品に至っては、全く聴いたことがなかったし。つまり、名前だけは知っているけど全容は霧の中……そんなレーベルだったのだ。40年間も。

 しかし今、そうしたモヤモヤがやっと解消される時が来た。昨年10月の一挙再発によって。リリースされたのは『Vanity Box』、『Vanity Tapes』、『Musik』という三つの箱だ。内訳は以下のとおり。

■『Vanity Box』11CD  限定500セット
 (/)内はオリジナル盤の発売年と品番 
・DADA『浄 (Jyo)』(78年/vanity 0001)
・SAB『Crystallization』(78年/vanity 0002)
・Aunt Sally『Aunt Sally』(79年/vanity 0003)
・Tolerance『Anonym』(80年/vanity 0004)
・あがた森魚『乗物図鑑』 (80年/vanity 0005)
・R.N.A. Organism『R.N.A.O Meets P.O.P.O』(80年/vanity 0006)
・Sympathy Nervous『Sympathy Nervous』(80年/vanity 0007)
・BGM『Back Ground Music』(80年/vanity 0008)
・Normal Brain『Lady Maid』(81年/vanity 0009)
・Tolerance『Divin』(81年/vanity 0012)
・7インチ・シングル集
  Sympathy Nervous「Polaroid」(80年/VA-S1)
  Mad Tea Party「Hide And Seek」(80年/VA-S2)
  Perfect Mother「Youll No So Wit」(80年/VA-S3)
  の各3曲、計9曲を収録。

■『Musik』2CD  限定400セット
 81年に「vanity 0010-11」としてリリースされた2枚組オムニバス・アルバム『Music』をそのままCD化。13組のアーティストによる計19曲を収録。タイトルのスペル(『Musik』)とジャケット・デザインは変更。

■『Vanity Tapes』6CD  限定300セット
 81年にリリースされた6アーティストのカセットテープ作品計6本のCD化。当時は単品での発売(それぞれ数十本ずつ)と共に、『Limited Edition Vanity Records Box Set』としてセットでも販売された。
・Salaried Man Club『Gray Cross』(81年/VAT1)
・Kiilo Radical『Denki Noise Dance』(81年/VAT2)
・Den Sei Kwan『Pocket Planetaria』(81年/VAT3)
・Invivo『B.B.B.』(81年/VAT4)
・Wireless Sight『Endless Dark Dream』(81年/VAT5)
・Nishimura Alimoti『Shibou』(81年/VAT6)

 つまり今回、『ロック・マガジン』付録のソノシート音源以外の全〈ヴァニティ〉作品が計19枚のCDとして一挙に再発されたわけだ。全国の読者から送られてきたカセット音源(おそらくほとんどが宅録)である『Musik』と『Vanity Tapes』に対し、阿木譲がプロデュースしてちゃんとスタジオで録音された『Vanity Box』のLP音源の方がクオリティが高いのは当然だが、といって、すべてが秀作というわけでもなく……。
 まずは『Vanity Box』に収められた全作品を、オリジナル盤の発売順に聴いていこう。

DADA『浄 (Jyo)』

 〈ヴァニティ〉の栄えあるLP第1弾は、キーボード(シンセサイザー/ピアノ)とギターのデュオ・ユニット、ダダのデビュー作である。ダダは、キング・クリムゾンの影響を受けたプログレ・バンド、カリスマのギタリストだった泉陸奥彦と、同じくプログレ系バンド飢餓同盟で活動していた小西健司によって結成された。本作のジャケットでは、平安〜鎌倉時代に描かれた「餓鬼草紙」が流用され、「鬱雲鉢」や「六神通」といった収録曲もすべて「餓鬼草紙」から着想されている。「イーノに捧ぐ」なるクレジットどおり、サウンド全体の土台にはアンビエント・ミュージックがあり、そこに彼らのルーツであるプログレが絡む、といった感じ。あるいは、ファー・イースト・ファミリー・バンド×ポポル・ヴーとでも言うか。そのサウンド・マナーは、当時の阿木譲の志向そのものだったと思われる。
 『ロック・マガジン』15号の編集後記に、阿木のこんな記述がある。「この2年、ずっと僕の心の中で暖め続けていた自身のレーベルである〈ヴァニティ・レコード〉も、いよいよ外に向けて活動を開始する時が来たようだ。第一弾として6月25日発売のダダのレコーディングのため一日中スタジオに籠る。泉陸奥彦君のギターを前面に押し出し、それに小西健司君のエレクトロニクス機器とピアノで作り出した簡素で静謐な音世界は心が洗われる」。『ロック・マガジン』創刊が76年2月なので、つまり阿木は雑誌創刊時からレコード制作を計画し、その第一号としてダダを出そうと考えていたわけだ。
 ちなみに、79年の『ロック・マガジン』26号では、「Vanity Records は無名だが才能をもったアーティストにレコード製作という機会を活用し、このレーベルを足場により広範囲に活動できることを目的として発足された」という文言があり、続いて、レーベルの制作方針として以下の4項目を挙げつつ、カセットテープでの応募も呼びかけている。
①エレクトロニクス・ミュージック
②“家具としての音楽”シリーズ(現代音楽)
③歌謡曲業界への進出
④実験的な新しいヴィジョンを持つ音楽(パンク、ニューウェイヴ、フリー・ミュージック、現代音楽等)
 ダダのデビュー作は、この中の特に①②に該当していたと言える。実は私は、本作のリリース直後(78年10月)に彼らのライヴを観たことがある。その時点ではまだアルバムをは聴いてなかったが、プログレ・マニアの間では「〈ヴァニティ〉が送り出した関西の新しいシンセ・バンド」としてけっこう話題になっていた。ライヴの印象は“稚拙なタンジェリン・ドリーム”といった感じで、正直退屈したのだが、その後にLPを聴いた時は、かなり楽しめた。78年の時点では、アルバムのコンセプトをライヴで十分に表現できるまでにはなっていなかったということだろう。彼らはその後メジャーからもアルバムを出し、バンド解散後も個別に活動を続けてきたこと(小西はP-MODEL他で、泉はゲーム音楽作曲家として活躍)は言うまでもない。

SAB『Crystallization』

 私はYoutubeが登場するまでSABの音を一切聴いたことがなかったし、どういう人物なのかも知らなかった。いや、今でも「〈ヴァニティ〉初期に、レーベルの専属エンジニア的役割を担っていた若者」ということぐらいしか知らない。今回の『Vanity Box』リリースに際して、発売元の〈きょうレコーズ〉は各ミュージシャンに再発許可及び版権返却の連絡をとったが、結局 SABとトレランス(後述)だけは連絡がつかなかった(行方不明)という。昔も今も謎の人物だ。一部でシタールやフルートなどのゲストも参加しているが、基本的には、当時19才だったという SABがシンセサイザー、ピアノ、ギターなど様々な楽器を多重録音したワンマン・ワーク。水音など自然音を混ぜるなどニューエイジ感覚を先取りしたエレクトロニク・サウンドはオール・レーベルのコズミック・セッションや70年代後半のクラスターにも通じるし、全体のバロッキーな迷宮感と瞑想性はちょっとマジカル・パワー・マコを思い出させたりもする。SABは本作発表後、インドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシに傾倒し、間もなく音楽の世界から消えたというが、本作の世界は現在のヤソスやアリエル・カルマ、ララージなどとも確実につながっている。

アーント・サリー『アーント・サリー』

 本作に関しては、ここで改めて言及する必要もないと思う。シンガーのフューやギタリストの Bikke 等を擁した神話的バンドによる唯一のスタジオ録音アルバム。これこそは〈ヴァニティ〉の象徴であり、唯一、広く聴き継がれてきた〈ヴァニティ〉作品だろう。サラヴァ・レーベルにおけるブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』みたいなものか。本作を初めて聴いた時の衝撃は今も忘れがたい。当時19才だったフューはアンチ・ロック、アンチ・ヒッピーを身上としていたとかつて私に語ったが、確かに長髪ナマステ野郎もゲバ棒全共闘も一瞬に火炎放射器で焼き尽くしてしまうような凍りつくニヒリズムに満ちている。ジョン・ライドンがジュリエット・グレコに憑依したようなフュー(彼女は神戸のカトリック系超名門女子校出身)の歌声がカトリック的原罪意識と反カトリック的逸脱熱の間で揺れ動く様はなんともエロティックだ。
 以下の発言は、20年ほど前におこなったフューへのインタヴューからの抜粋。「突然ロック・マガジンのオフィスに行って、阿木さんにカセットを聴かせた。何の根拠もなく、なぜか〈ヴァニティ〉から絶対にアルバムを出せると思ってたんですよ。録音は一日でやりました。阿木さんは自分が元々歌手だったせいもあるんだろうけど、スタジオに入ってきて、お手本を示す感じで歌い出してね。勘弁してほしかったですよ、ほんと」。阿木譲の歌う怨念と自己愛いっぱいの“醒めた火事場で”も聴いてみたいけど。

トレランス『Anonym』

 ジャケ裏に書かれた文言「dedicated to the quiet men from a tiny girl」を元にナース・ウィズ・ウーンドが80年の2ndアルバムに『To The Quiet Men From A Tiny Girl』なるタイトルを付け、更に、かの《Nurse With Wound List》でも本作がリストアップされていた。といった事情もあって、海外のマニアの間では昔から人気が高い。日本では昔も今も知名度は低いけど、〈ヴァニティ〉から2枚のフル・アルバムを出した唯一のバンドだった。つまり、阿木譲は高く評価していたということだろう。トレランスは関西ではなく東京で活動していた丹下順子のソロ・プロジェクトで、2枚とも吉川マサミがギター他でサポートしている。シンセサイザー他によるノイジーな電子音とピアノ、語り風ヴォイスなどを駆使してモノトーンのキャンヴァス上に描かれた抽象画といった感じ。その手法と冷ややかなエロティシズムは、まさにナース・ウィズ・ウーンドやSPKなど当時の海外のノイズ・コラージュ・ワーク勢とも地続きだ。

あがた森魚『乗物図鑑』

 〈ヴァニティ〉のLP群中で最大の異色作ではあるが、前述したレーベル方針の③「歌謡曲業界への進出」を念頭に置きつつ①「エレクトロニクス・ミュージック」、④「実験的な新しいヴィジョンを持つ音楽」も取り込んでいるという点で、〈ヴァニティ〉ならではの作品だとも言える。“赤色エレジー”等のレトロ・フォークで知られたあがたと阿木は以前からの知り合いだったようで、制作に際し阿木は「コンセプトはテクノ・ポップで、泣きの曲はなし」と注文をつけたという(音楽史的には一応、この「テクノ・ポップ」なる新タームは阿木が考案したということになっている)。録音は、シンセサイザーやギターなど様々な演奏とアレンジを手掛けた前述のSABと、後述するノーマル・ブレインの藤本由紀夫が中心になっておこなわれ、向井千恵、INU の北田昌宏、コンチネンタル・キッズのしのやん(篠田純)、ウルトラ・ビデのTaiqui などがサポート。また、ジョイ・ディヴィジョン風の名曲“サブマリン”ではコーラスでフューが参加し、“エアプレイン”ではあがたが敬愛する稲垣足穂の肉声(ラジオでの対談音源)をコラージュ使用している。多士済々のサポート陣による音作りは、〈ヴァニティ〉のカタログ中、いやあがたの全作品中でも際立って多彩かつ実験的であり、また、翌81年から始動するあがた版テクノ・ポップ・ユニット、ヴァージンVSヘの助走となったという点でも非常に重要な作品だ。しかし、当時まだフォノグラムとのアーティスト契約が切れてない時期だったため、発売後間もなく回収され市場から姿を消したのだった。


R.N.A. Organism『R.N.A.O Meets P.O.P.O』

 80年代J-ニューウェイヴ・シーンで異彩を放った佐藤薫のEP-4の前身プロジェクト。ロンドンからの海外郵便を偽装して〈ヴァニティ〉に送られてきたカセット音源を元に制作されたという。シンセやリズム・マシーン等によるビートフルなエレクトロニク・サウンドとコラージュ・ワークはキャバレー・ヴォルテールに対する大阪からの返答といった感じか。メンバー(3人)クレジットの匿名性やジャケット・デザインのミニマリズム等々、高度にデザインされた総合的戦略性も佐藤薫ならでは。

Sympathy Nervous『Sympathy Nervous』

 90年代以降、ベルギー〈KKレコーズ〉傘下の〈Nova Zembla〉や米〈Minimal Wave〉等から多くのテクノ系作品を発表し、晩年にはテルミン制作工房も運営していた新沼好文(2014年逝去)によるソロ・プロジェクト。このデビュー・アルバムも2018年に〈Minimal Wave〉からLP再発されている。「U.C.G.」と名づけられた自作のコンピュータ・システムとコルグのシンセサイザーを駆使した手作り感満載のエレクトロニク・サウンドに、サポートの千崎達也がノイジーなエレキ・ギターを加えるというスタイル。諧謔性と珍味溢れるノイズ・インダストリアル指向の分裂症的テクノ・ポップは、後のマックス・ツンドラやスクエアプッシャーなどにもつながっているように見える。

BGM『Back Ground Music』

 電子音楽家/プロデューサー/DJとして現在も第一線で活躍している白石隆之が初めて世に問うた作品。シンセサイザー/ギター/ヴォーカル担当の白石(当時17才の高校生)を中心とする4人組(白石以外はベイス、キーボード、ドラム)。無機質な電子ノイズをやたらとふりまく荒削りでファンキーなガレージ・ロック・サウンドは、彼らがア・サーテン・レイシオやP.I.L、あるいはキャバレー・ヴォルテールといった当時のポスト・パンク〜インダストリアル・シーンから強く影響されていたことを物語っている。演奏力はないし完成度も高くないが、日本におけるロック受容史の記録としては貴重な1枚だと思う。今回の『Vanity Box』リリースと同時期に〈Mule Musiq〉からも単品でLP再発されたが、それまでオリジナル盤は数万円で取り引きされるほどの人気盤だったようだ。

Normal Brain『Lady Maid』

 サウンド・アートのパフォーマーとして現在も世界的に活躍している藤本由紀夫のソロ・プロジェクトによる唯一のアルバム。タイトルのネタはもちろんマルセル・デュシャンの「レディメイド」。デュシャンやジョン・ケイジへの傾倒/研究を通し、オブジェとしての音/音響にこだわり続けてきた藤本の視点と姿勢は、既にこの作品でも明確に示されている。クラフトワークをパクった感じのオープニング・ナンバーからコンラート・シュニッツラー流「ディスクリート・ミュージック」風のラスト曲(B面全体を占める)まで様々なタイプのエレクトロニク・サウンドが聴けるが、いずれもドライ&ストレインジな感覚が横溢しており、デイヴィッド・カニンガム(フライング・リザーズ)の日本の兄弟といった趣。なお本作も、『Vanity Box』に先駆けてスイスのレーベル〈We Release Whatever The Fuck We Want Records〉から単品再発されている。

Tolerance『Divin』

 トレランスは前述どおり、〈ヴァニティ〉から2枚のLPを発表した唯一のユニットであり、これはその2作目にして〈ヴァニティ〉の掉尾を飾ったアルバムでもある。今回もまたほとんどメロディのない抽象的エレクトロニク・サウンドだが、溢れ出るイメージに沿って暗闇でやみくもにデッサンしていたような1作目に対し、音作りのアイデアがかなり絞られており、その分聴きやすい。多くの曲でドラム・マシーンを多用してリズミックなアプロウチをとり、テクノ・ポップの時代性を実感させる(けっしてポップじゃない)が、一方でテープの逆回転とパンニングによるファウスト〜スロッビング・グリッスルのような凶悪チューンもあったり。この孤絶し荒涼とした風景ゆえか、阿木譲は〈ヴァニティ〉のカタログ中で本作を最も気に入っていたという。

『7インチ・シングル集』

 同じ80年にアルバムも出したシンパシー・ナーヴァスの他、マッド・ティー・パーティ、パーフェクト・マザーの計3バンドによるシングル盤3枚(計9曲)を収録。マッド・ティー・パーティとパーフェクト・マザーは、当時メルツバウの初期音源など実験的カセット作品をたくさんリリースしていた東京のインディ・レーベル/総合アート集団《イーレム》の関係グループだ。シンパシー・ナーヴァスはアルバム同様、自作コンピューター制御されたエレクトロニク・サウンドだが、アルバムに先駆けてリリースされたこのシングル盤の音作りは、よりプリミティヴ。吉祥寺マイナーなどにも出ていたというガールズ・トリオのマッド・ティー・パーティは、ちょっとフリクションを想起させるA面の表題曲以下、全体的にダブ処理された音響実験が面白い。パーフェクト・マザーは《イーレム》の中心人物だった上田雅寛によるソロ・プロジェクトで、計4人で制作されたこのシングル盤には、後にTACOにも参加する“新人類”野々村文宏もテープ・エフェクトで参加している。リズム・ボックスとシーケンサーによる不気味な律動、ノイジーな楽器音と言葉/声のコラージュ、初期ゲーム音楽風のチープな電子音など様々なアイデアがランダムに詰め込まれた若さいっぱいの強欲宅録集。

 『Musik』(限定400セット)と『Vanity Tapes』(限定300セット)は前述どおり、〈ヴァニティ〉に全国から送られてきたカセット音源からの選集。
 2枚組CDセット『Musik』(オリジナルは2LP『Music』)に収録されたのは、Pessimist、Un Able Mirror、Mr、Adode/Cathode、Kiiro Radical、Tokyo、Daily Expression、Plazma Music、Nose、New York、Arbeit、Isolation、Necter Low の13組による計19曲。
 『Vanity Tapes』は、カセットでリリースされた6作品のCD6枚組セットで、収録アーティストと作品名は前述どおり。

 『Musik』と『Vanity Tapes』を全部聴いて、個人的に耳を惹かれたのは、電子ノイズの新たな可能性を探ったKiiro Radical、BCレモンズ(後にCDも出すサイケ・ポップ・女子バンド)の前身であるPlazma Musicによる和製スーサイド・ポップ、ピアノとメトロノームとラジオ・ノイズだけを用いた Wireless Sight によるノイズ・アンビエント・ワークス、ギターのドローン・ノイズとドイツ語の語りをコラージュしたArbeit(これだけは日本人ではなくドイツ人画家アヒム・デュホウ。彼は、ラ・デュッセルドルフのロゴ・デザインや『シンパシー・ナーヴァス』のジャケット写真も手掛けていた)といったところだろうか。また、Tokyo は数年後にハイ・ライズ等で有名になるギタリスト成田宗弘のバンド、New York「1976」は阿木譲本人によるニューヨークでのフィールド録音である。当然ながら玉石混交だが、機材の低価格化によって誰でも手軽に宅録できるようになったDIY時代ならではの奔放さと音楽的アイデアの多様性は間違いなく堪能できる貴重な記録だ。音質の悪さ(今回の再発に際し、すべてデジタル・リマスタリングされているが、元が元だし)も、ここでは逆にあの時代の空気感とリアリティを呼び起こしてくれる。


 以上、今回リリースされた三つのCDセットを駆け足で紹介してみた。それぞれが限定発売であり、しかもスイスのレーベル〈We Release Whatever The Fuck We Want Records〉が大量に予約購入したこともあり、実は10月のリリース時点で既にほとんど売り切れ状態だったという。つまり、ここで紹介しても、なかなか入手困難であることは最初から了解ずみだったのだが、本文中でも随時触れたとおり、今回各アーティストに版権が戻されたため、個別に他レーベルから単品発売されている(もしくはこれから発売される)作品も少なくないし、ネットでもある程度は聴けるので、ご了承いただきたい。
 ちなみに、〈ヴァニティ〉では当時、ヒカシューやノイズ(工藤冬里+大村礼子)、ウルトラ・ビデなどのリリース計画もあったようだ。

 最後に阿木譲の言葉を紹介しておきたい。篠原章氏の著書『日本ロック雑誌クロニクル』(初出は『クイック・ジャパン』Vol.34、34)から。『ロック・マガジン』での活動に関する発言だが、〈ヴァニティ〉に関してもそのまま当てはまると思うので。

「関心のあるのは先のことだけですね。留まるのがイヤなんですね。商売のことを考えるとどこかで留まったほうがいいんだけど、僕はやはり音楽の先端というかエッジに一番興味があって。もうそればっかり」
 「メジャーになってくると、もう僕別のところにいるんです。僕の役割は先端のもの、運動中のわけのわからない、まだ意味も判明していないものを、形にしていくことなんですね。音楽に普遍的なものなんかないっていう考えだから。──(略)──先端のことは、だいたい最初は僕がやったんじゃないかと自負していますが、評論家として確立したかっていうと、ちょっと疑問ですけどね」

日本語ラップ最前線 - ele-king

 端的に、いま日本のヒップホップはどうなっているのか? ヴァイナルやカセットテープ、CDといったフィジカルな形態はもちろんのこと、配信での販売や YouTube のような動画共有サイトまで含めると、とてつもない数の音楽たちが日々リリースされつづけている。去る2019年は舐達麻や釈迦坊主、Tohji らの名をいろんな人の口から頻繁に聞かされたけれど、若手だけでなくヴェテランたちもまた精力的に活動を繰り広げている。さまざまなラップがあり、さまざまなビートがある。進化と細分化を重ねる現在の日本のヒップホップの状況について、吉田雅史と二木信のふたりに語りあってもらった。

王道なき時代

トラップやマンブル・ラップのグローバルな普及で、歌詞の意味内容の理解は別として、単純に音楽としてラップ楽曲を楽しむ流れに拍車がかかっている感がありますよね。(吉田)

いまヒップホップは海外でも日本でも、フィジカルでもストリーミングでも、次々と新しいものが出てきていますが、初心者はいったい何から聴いたらいいのでしょう?

二木:いきなりかなり難しい質問ですねぇ……、では、すこし長くなりますが、まず国内のヒップホップについて大掴みで大局的な話をしますね。例えば、PUNPEE が星野源の “さらしもの” に客演参加、さらにNHKの『おげんさんといっしょに』に出演して日本のポップスの “ど真ん中” に現代のラップとブレイクビーツを持ち込んだ。それは画期的というよりも、2人のキャラクターもありますが、ナチュラルに実現しているように見えるのが、いまの時代の日本のラップとポップの成熟を示す出来事だなと感じました。一方でストリート系の DOBERMAN INFINITY や AK-69 らも作品を発表して変わらず存在感を示している。Creepy Nuts は作品の発表と並行してラジオ・パーソナリティとしても大活躍で、お笑いやアイドルの世界と接点をもって独自の立ち位置を確立している。R‐指定は般若から引き継いで、『フリースタイルダンジョン』の二代目ラスボスにもなった。他方で、2019年は自分のまとまった作品は発表しませんでしたけど、全国各地をライヴで回りつづける沖縄・那覇の唾奇のようなラッパーがいる。唾奇は新しい世代のインディ・シーンの象徴的存在だと思います。テレビやラジオで目立たっていなくても、全国各地のライヴハウスやクラブでのステージで腕を磨いて着実にファンを増やしていますね。彼のライヴは本当に素晴らしいのでぜひ観てほしいです。
 視点をすこしうつせば、鎮座DOPENESS と環ROY が U-zhaan、そして坂本龍一と “エナジー風呂 (Energy Flo)” を発表しました。あの教授と、です。曲名から察することができるように、“energy flow” を U-zhaan がタブラでアレンジしたラップ・ミュージック。シンプルに良い曲ですし、日本のヒップホップ史という観点でみると、ラップしているのは細野晴臣ですが、1981年にこの国の初期のラップである “RAP PHENOMENA/ラップ現象” を発表したYMOの教授と後続の世代との共作でもある。RHYMESTER は岡村靖幸と「岡村靖幸さらにライムスター」として “マクガフィン” を共作した。RHYMESTER が岡村靖幸とコラボすることそのものが彼らの日本のファンクの先駆者へのリスペクトの表明としてうつる。それら2曲は、そういう “ヒップホップ史” のような視点で見ても興味深い。それでもこれらは氷山の一角ですね。サブスクの浸透も大きいですし、単純にリリース量も尋常ではない。仮に『フリースタイルダンジョン』放送開始(2015年9月)をひとつの起点とすると、そこからのここ約4年ちょっとは、日本のヒップホップ史においても急激な変化の時代として記憶されるはずです。いろんな出来事が同時多発的に起きている。そういった数多くのアーティストの注目に値する楽曲や現象や動向を念頭に置いた上で、僕と吉田さんが2019年を振り返り、2020年に突入したいま、国内のヒップホップ、ラップについて語るといったときに、何に着眼するかということになりますね。どうでしょうか?

星野源 “さらしもの (feat. PUNPEE)”

吉田:そこでひとつの着眼点として、やはりサウンド面が挙げられると思うんですよね。ちょっとこれも長くなりそうですが(笑)、2019年の日本のヒップホップもUSと同様にざっくり、ブーム・バップ的なものとトラップ的なものの違いがまずは目に入ってきますよね。見立てとしては、前者については90年代からどうやって日本語で韻を踏むかという格闘の歴史があって、いまもその延長線上に括弧付きの「日本語ラップの歴史」的なものが続いていると。そのフィールドにトラップ的なものが新たに加わってきたとする。2019年の日本語のトラップ的な表現においては、もはやかつてのように日本語がフィットするのかしないのか、というような議論が出てくる段階にはないですよね。これはひとつには今日ラップ・ミュージックがいかにグローバルな言語となっているかということを示しているし、トラップの BPM70 にオンビートで言葉を置いていくスタイルが日本語ともいかに相性が良いかということも示していると思います。例えば LEX の『!!!』にしても、OZworld の『OZWOLRD』にしても、英語にちゃんぽんされている日本語含め、海外の人が聞いても、この曲って英語も聞こえてくるけど別の言語も少し入ってるよね、くらいの感覚で聞けるというか。トラップやマンブル・ラップのグローバルな普及で、歌詞の意味内容の理解は別として、単純に音楽としてラップ楽曲を楽しむ流れに拍車がかかっている感がありますよね。そもそも日本は90年代以前から必ずしも英語リリックの意味を理解することなしにUSヒップホップを楽しんできたという意味でも、ヒップホップ/ラップ・ミュージック先進国と言えると思いますが。

二木:ビートに関してはどうですか?

吉田:ビート面で言えば、先ほど挙げた LEX や OZworld がUSメインストリーム的な音で勝負する一方、トラップと一概にいっても、サウンドには相当の多様性があるわけですよね。USメインストリームのビートといったときに思い出すのが、2000年前後のティンバランドやネプチューンズの当時日本では「チキチキ」と呼ばれることもあったサウスのサウンド。それらがチャートを席巻したとき違和感を覚えた人たちがいた理由のひとつは、そのビートが非常にキャッチーで商業的な楽曲やアーティストと結びついていた点だと思うんです。当時のそういった新しいビートのモードを伴う商業化への反発を最近のトラップへの違和感と重ねる見方があるのはすごく理解できる。でもトラップというプラットフォームが面白いのは、かつてのホラーコアをルーツとするようなフロリダ勢のダークで激しく歪んだ表現や、トラップコアやトラップメタルと呼ばれるエクストリームなサウンドも同時に生み出していることです。例えば Tohji 『Angel』では MURASAKI BEATZ がアルバムのゴシックなムードと違わずダークで叙情的かつ歪んだビートをぶつけているし、Jin Dogg の『MAD JAKE』ではキラーチューン “黙(SHUT UP)” に象徴的なようにタイプビートを活用しながらトラップコアを展開しているし、MonyHorse の『TBOA Journey』の3chのビートも、メロウ寄りもダーク寄りもシンプルながら耳に残る異形のループを追求しているように聞こえる。

Jin Dogg “黙(SHUT UP)”

商業化への反発を最近のトラップへの違和感と重ねる見方があるのはすごく理解できる。でもトラップというプラットフォームが面白いのは、ダークで激しく歪んだ表現やエクストリームなサウンドも同時に生み出していることです。(吉田)

二木:MonyHorse といえば、MONYPETZJNKMN の “Gimme Da Dope” はやたら気持ち良い曲でした。これぞ快楽至上主義といった感じです。

吉田:一方でトラップ的なもの以外ではどうだったかというと、全編ビートを担当する Illmore がブーム・バップを再解釈する Buppon の『I’ll』、シングルですけど相変わらずぶっ飛んだ Ramza と Campanella の “Douglas fir”、全編アトモスフェリックなテクノ・サウンドの Hiyadam の『Antwerp Juggle』、田我流の『Ride On Time』も自身のビート・メイキングが満を持してすごく面白いところに到達したし、かと思えば釈迦坊主の『HEISEI』もそれこそカテゴライズを拒絶するようなサウンドで、少し前ならエレクトロニカと呼ばれたかもしれない。そういう状況だから MEGA-G のブーム・バップが超目立つわけですよね。そこには英語を内面化するトラップとは違って、これまでの日本語におけるライミングの格闘の蓄積をベースにさらにそれを突き詰めようとする、いわば良い意味でガラパゴス的な日本語ラップが追求してきた日本語のライムが乗る。例えば THA BLUE HERB、ZORN、田我流、舐達麻らが、それぞれブーム・バップを基軸にしたビートで、それぞれの日本語表現を追求する作品をリリースした。こうやってみると、王道と言われるようなサウンドは存在しないといっても過言じゃない。というか、日本のヒップホップが王道なき時代に突入していることを確認させられた2019年ですよね。

Campanella “Douglas fir (Prod by Ramza)”

二木:王道なき時代だからこそ、Campanella と Ramza の曲とかはもっと騒がれてほしい。2019年のこの国で、あえて言えば、菊地成孔の言う “ヒップホップはジャズの孫” をもっとも先鋭的に提示した曲のひとつではないでしょうか。ちなみにこの曲のMVを撮っている土屋貴史は、先日公開され話題となっている SEEDA の伝記映画『花と雨』を撮った監督でもあります。ところで、吉田さんがおっしゃった “ガラパゴス的な日本語ラップ” の追求で忘れてならないのは、Creepy Nuts ですよね。R‐指定がライターの高木 “JET” 晋一郎を聞き手にして日本語ラップについて語りまくった『Rの異常な愛情──或る男の日本語ラップについての妄想──』(白夜書房)がとても面白い。この本の Mummy‐D との対談を読むと、R‐指定の “日本人のヒップホップ” へのこだわりが内包するアンビヴァレントな感情が彼のラップのアプローチや方法論に直結しているのがわかる。『よふかしのうた』収録の表題曲は、「オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー」のテーマソングということもあると思いますが、フックのメロディには “ラップ歌謡” 的な側面がある。一方 “生業” ではトラップでセルフ・ボースティングを展開するわけですが、吉田さんの言葉を借りれば、これぞ “日本語におけるライミングの格闘の蓄積” の賜物。2019年時点でその最高峰のひとつと言って間違いないと思います。彼の、まさに異常ともいえる日本語ラップの知識量を考えれば、いろんな引用やオマージュが散りばめられていると推測できますが、ひとつ、イントロの「アカペラでも聴けるラップだぜ」というリリックは Maccho の「アカペラで聴けねえラップじゃねえぜ」(“24 Bars To Kill”)のオマージュだと思われます。
 そして、“日本人のヒップホップ” という課題にたいして、R‐指定とはまた異なる角度からアプローチをしていたのが、2018年2月に惜しくもこの世を去った FEBB ではないでしょうか。去年、GRADIS NICE & YOUNG MAS (FEBB)名義の『SUPREME SEASON 1.5』が出ています。この作品は、『L.O.C -Talkin' About Money-』(2017)に連なる作品です。『L.O.C』に収録された “THE FIRST” で FEBB は日本語を英語の発音に近づけたり、英語を日本語の発音に近づけるようにするのではなく、ふたつの言語を同居させて、おのおのの発音の特性を素直に活かして明瞭にフロウしている。言い換えると、ガラパゴス的な日本語ラップと英語を内面化したラップを1曲のなかで共存させている。彼がこの曲で歌う「引けを取らない日本人のヒップホップ」を体現したクラシックだと思います。

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ブーム・バップとトラップ

いまでもブーム・バップとトラップはどこかで対立するものとして語られたり、捉えられがちだけど、そういう二元論で思考していると聴き逃してしまうものがあまりに多くてもったいない。(二木)

吉田:USでは、ミーゴスやフューチャーのマンブル的な楽曲に加えて、毎年新人の注目ラッパーを紹介する XXL のフレッシュマンのサイファーの2016年版に、21サヴェージ、コダック・ブラック、リル・ウーズィ・バートらが登場してそのスキルが疑問視されたりした。5人もいてまともなのはデンゼル・カリーしかいないじゃないか!って(笑)。それでどうしても「マンブル・ラップ対インテリジェント・ラップ」のような図式が生まれて、ベテランのスキルフルなラッパーがマンブルを否定するというような対立構造になっていますよね。日本でも、両者が完全に異質なもの、相容れないもののように見えている感がある。でも、USでも、そもそもクリエイティヴな表現を追求しているアーティストは、いろんなスタイルでラップしたいと思っているはずですよね。エミネムの『Kamikaze』(2018)のように、トラップという文法に対して自分ならどうアンサーするかっていうのかっていうのがモチベーションになる。例えばケンドリックもリッチ・ザ・キッドとの “New Freezer” (2018)で俺だったらこう乗りこなすぜって感じの圧巻のフロウを披露しているし、フレディ・ギブスなんかも『Shadow of a Doubt』(2015)の頃から一枚のアルバムのなかにマーダ・ビーツとの曲もありつつ、ボブ・ジェームスネタのブーンバップでブラック・ソートと一緒にラップしちゃう(笑)。J・コールにしても、あからさまなトラップらしいビートはなくても、BPMがトラップ並みに遅い曲を挿入してブーム・バップ曲とのメリハリをつけている。BPM 90や100のブーム・バップでフロウするのと、60や70のトラップビートで三連符や32分音符でやるのはルールの違うゲームみたいなものだから、アーティストとしては自分でも試したくなるだろうと。

二木:そのようなルールの違いを認識していたからこそ、GRADIS NICE は “THE FIRST” について「トラップについていけない人たちのためだったりもする」とCDジャーナルの小野田雄のインタヴューで発言したのだと思います。FEBB とも共有されていたその目的意識のもとに作られたのが、『L.O.C』、そして『SUPREME SEASON 1.5』だったと考えられます。つまり、ブーム・バップとトラップというある種の “分断” をこえる、あるいはビートにしてもラップにしても両者の良さを融合してオリジナルのヒップホップを作る、そういった明確な目的のもとに作られているのではないか。後者では “THE FIRST” とは異なり、たとえば “skinny” という曲では日本語と英語の切り替えを短い尺のなかでより頻繁にくり返して、ガラパゴス的な日本語ラップと英語を内面化したラップを融合させようとするような高度なフロウを披露してもいる。そのように FEBB はとても短い期間のなかでいろんな試みを凄まじいスピードでやっていた。この連作からは、FEBB と GRADIS NICE の高い志が強く感じ取れます。

吉田:ブルックリンのアンダーアチーヴァーズやフラットブッシュ・ゾンビーズなんかも、特に初期の音源はトラップと同様の遅いBPMでブーム・バップを再解釈して、マンブル・ラップではないスキルを見せることがひとつの特徴になっている。プロ・エラとも組んでいる彼らは、ブーム・バップ・ルネッサンスを単に原点回帰だけではなくて、トラップとのハイブリッドという方法論で表現しようとしているところがあると思います。だから、FEBB が志向していたことと、共通する部分もあるんじゃないですかね。

二木:たしかに。僕もそう思います。たとえば、それこそプロ・エラのジョーイ・バッドアスも参加したスモーク・DZAの『Not for Sale』(2018)というアルバムもそういう文脈で聴くとより楽しめる作品ですね。また、さきほど名前が出た MEGA-G は素晴らしいソロ・アルバム『Re:BOOT』収録の “808 is coming” で彼なりのユニークなトラップ解釈を披露している。ビートは I-DeA です。タイトルが暗示していますが、オールドスクール・ヒップホップとトラップを直結させる試みですね。ぜひ聴いてほしいです。だから、これは自戒も込めて語りますが、いまでもブーム・バップとトラップはどこかで対立するものとして語られたり、捉えられがちだけど、そういう二元論で思考していると聴き逃してしまうものがあまりに多くてもったいない。さらに、それによって世代間対立みたいなものまで不必要に煽られてしまうのはネガティヴですよね。そういう定着してしまったジャンル分けや言語を使うことで耳の自由が奪われるときがある。そういう分節化はとても便利だし、もちろんこの対談でもそういう分節化に頼って語らざるを得ない側面はあります。ただ、ときにそれによって失うものがあったり、分断させられてしまう現実の関係があるというのは常に注意しておきたいなと。

吉田:日本でもそういう表面的な二元論とは別に、現場では様々な面でクロスオーヴァーが見られるのかなと。たとえば Red Bull の「RASEN」のフリースタイル。1回目は LEX、SANTAWORLDVIEW、荘子it (Dos Monos)、 Taeyoung Boy で、2回目は Daichi Yamamoto、釈迦坊主、dodo、Tohji。両方とも素晴らしいクオリティとセッションの緊張感で無限に繰り返し見ていられるんですが(笑)、この中だと荘子it や Daichi Yamamoto、dodo が日本語ラップ的なフロウをしているように聞こえる。確かに荘子it はエイサップ・ロッキーではなくて元〈デフ・ジャックス〉のエイサップ・ロックが好きだそうで、彼のインテレクチュアルなスタイルに照らすと頷けるけれど、SANTA はいわゆるトラップよりもフラットブッシュ・ゾンビーズとか、スキー・マスク・ザ・スランプ・ゴッド、レイダー・クランへのシンパシーを口にしていたり、釈迦坊主は志人から影響を受けたそうなんです。彼らのようにオリジナリティが際立っているアーティストたちは、一見全然別のことをやっているように見えるけど、結局はそんな風にエッジィな表現に惹かれていて、互いにコネクトするんだなと。だから、分断して考えたくなるのは外側だけなんだと改めて感じました。こういう風なメディアでの語りにしても、ある程度ジャンル分けしないと整理できないし、大きな潮流も取り出せないけれど、自分の好みはどのジャンルなのか線を引きやすくなってしまう弊害もありますね。あるサブジャンルを代表するいくつかのアーティストが肌に合わなかったときに、そのサブジャンル全体を否定的に見てしまうことのもったいなさがある。

LEX/ SANTAWORLDVIEW/ 荘子it/ Taeyoung Boy – RASEN

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ラップ~ビート~音響、それぞれの変質

マンブル・ラップの多様性もそうですし、そうやって自分のスタイルやイメージを規定せず、自分のなかに多様なスタイルを持つのもいまのラッパーのあり方だと思うんです。(二木)

二木:今年の1月に入ってから SANTAWORLDVIEW が出した『Sinterklass』も良かったですね。YamieZimmer のビートのヴァリエーションも面白かった。

吉田:それから SANTA や Leon、あと Moment Joon も “ImmiGang” で披露しているトラップビート上の32分音符基調の早口フロウにしても、Miyachi の『Wakarimasen』収録の “Anoyo” や JP The Wavy らが乗りこなす三連フロウにしても、近年のトラップとの格闘を通じて再発見された、日本語のラップ表現にとって大きな財産だと思います。オンビートの早口は子音と母音がセットになるいわゆる開音節言語の日本語とすごく親和性が高いし、Leon はサウンド重視と自分でも言っているけど、例えば『Chimaira』収録の “Unstoppable” なんかは早口であっても非常にメッセージが伝わってくる楽曲になっている。これは90年代の終わりにチキチキビートが世を席巻したときに、日本語でどうやって倍速の譜割でラップを乗せるか格闘した時期にもダブるものがありますね。

二木:わかります。TwiGy が『FORWARD ON TO HIP HOP SEVEN DIMENSIONS』(2000)というアルバムでいち早くサウス・ヒップホップにアプローチしたのとも被りますね。“七日間”、“GO! NIPPON”、“BIG PARTY”、“もういいかい2000”、特にこの4曲は TwiGy の先駆性を如実に示している。彼は日本のトラップ・ラッパーのパイオニアですね。スリー・6・マフィアなどのサウスのラップだけではなく、倍速/早口ラップの参考にしたのは、『リズム+フロー』にも登場していたシカゴのトゥイスタやUKのダンスホールのディージェー、ダディ・フレディだったという主旨の話も ele-king のインタヴューでしてくれました。もうひとつ、Leon Fanourakis の『Chimaria』から、自分のような世代の人間が個人的に連想するのは、DABO の『PLATINUM TONGUE』(2001年)でした。それは Leon が DABO を意識しているとかそういう意味ではなくて、セルフ・ボースティングの手数の多さで猪突猛進するスタイルという点において、ですね。DABO の “レクサスグッチ” を久々に聴きましたけど、この曲が20年前に切り拓いたものってでかいなとあらためて痛感しました。

吉田:当時 DABO のバウンスビートへのアプローチは早かったし、地声ベースの低音ヴォイス中心のアプローチも共通するところはありますよね。

二木:SANTAWORLDVIEW、Leon とともに、YamieZimmer がプロデュースを手掛ける Bank.Somsaart も素晴らしいラッパーですよね。さっき GRADIS NICE & YOUNG MAS “THE FIRST” について日本語と英語の発音のそれぞれの特性を活かして同居させていると話しましたけど、『Who ride wit us』の Bank はむしろ日本語と英語それぞれの発音やアクセントの境界線を消滅させて、ウィスパー・ヴォイスで呪文のようなフロウをくり出していく。さらに彼のルーツのひとつであるタイ語も含まれるということなのですが、正直に告白すれば、タイ語の部分がどこなのかまだ自信をもって聴き取れていない側面もあります。ただ、こんなにささやくようにラップしてリズミカルなのがすごいな、と。

吉田:Bank もまさにそういう境界を曖昧にするスタイルですよね。彼のラップがマンブル的かどうかという問題は別としても、マンブル・ラップの解釈もすごく多様になってきている。「日本語」ラップといっても、例えばブッダ・ブランドの頃から英語をミックスするラッパーたちは、もともとマンブル性というか、何を言っているかわからないところがあった。バイリンガル・ラップの系譜に Bank のようなラッパーもいるとして、日本語を徹底的に崩すという点では、釈迦坊主もそうですよね。最初は脱構築された日本語の発音に阻まれて、全然言っていることが分からないんだけど、歌詞を見ると間違いなく日本語だし、意味が途端に入ってくるという。かつて LOW HIGH WHO? 時代の Jinmenusagi や Kuroyagi がやっていたことにも近くて、曖昧母音を多用したり、あるいは開音節から母音を引いて閉音節にしてしまったりと、子音や母音のレヴェルで発音を英語的なものに近づけているわけですよね。5lack や冒頭で触れた LEX もそのような系譜にあると思います。でも釈迦坊主がとてもユニークなのは、日本語のアクセントや子音母音の仕組みを壊しているけど、だからといって個々の語の発音自体を英語に近づけているわけではないところです。日本語には聞こえないけど英語に空耳するわけではないという、まるで架空の言語を創造しているような。Tohji が “Hi-Chew” で聞かせるようなマンブル的発語なんかとも合わせて、これまでの日本語と英語の対立軸を超えているし、それは釈迦坊主が時々見せるインドへの目配りやエスニックなサウンドやスケールの導入ともリンクしている。最新EP「Nagomi」でも独特のメロディセンスが突き抜けてるのは勿論、ラップの声が持つパーカッシヴな側面をそれこそミーゴス並みに引き出してると思います。

釈迦坊主「NAGOMI」

二木:僕は釈迦坊主の「NAGOMI」のなかで、UKブレイクス×ラップ・シンギン×ニューエイジと言いたくなるような “Alpha” がとても好きでした。でも全曲良いですよね。ここですこし補足しますね。マンブル・ラップをざっくり定義すれば、歌詞の意味よりもリズムやノリを重視するラップとなります。それゆえに、マンブル・ラップは一部では否定的な意味合いを込めて使われる。これは FNMNL の記事で知りましたが、チーフ・キーフが自分がマンブルを発明したと主張する一方、ブラック・ソートのようなベテランまで自分が元祖だと主張したりもしているという。ただここで僕と吉田さんはマンブルだから良いとか悪いとかそういう価値判断をしたいわけじゃない、そういうことですよね。Bank が去年の11月にサンクラにアップした “you're not alone” という曲はこれまでとガラリとスタイルが異なり、前向きなメッセージを日本語の発音を明瞭にすることで伝えようとしていた。マンブル・ラップの多様性もそうですし、そうやって自分のスタイルやイメージを規定せず、自分のなかに多様なスタイルを持つのもいまのラッパーのあり方だと思うんです。

吉田:じゃあそういうマンブル的な状況でラッパーがどう表現していくかというと、やっぱりフレージングが重要になりますよね。先ほどの「RASEN」のサイファーでいえば Tohji や LEX が顕著ですが、フリースタイルでいかに2小節や4小節の印象的なフレーズを次々と繰り出すかということを競っている。従来のフリースタイルは2小節ごとに踏む韻を変えながらひとつの物語を作っていった。でもいまは2小節ごとに異なったリズムやメロディのフレーズを切り替えて、それでいかに耳をひけるかを追求する。韻ではなくてフレーズが牽引するという。USのトラップ以降のラップ・ミュージックは、いかにこのフックでリスナーを掴めるかの戦いですよね。かつてのヒップホップ・ソウルの時代はフィーチャーしたR&Bシンガーがコーラスを歌ったけど、ドレイク以降はラッパーが自分で歌う。より音楽的になったとも言えるし、メロディだけじゃなくてリズムの解像度も高くて、トラップのような隙間の多いビートを彩る新しい解釈が求められる。

従来のフリースタイルは2小節ごとに踏む韻を変えながらひとつの物語を作っていった。でもいまは2小節ごとに異なったリズムやメロディのフレーズを切り替えて、それでいかに耳をひけるかを追求する。韻ではなくてフレーズが牽引する。(吉田)

二木:“USのトラップ以降のラップ・ミュージック” というラインが出ましたが、Leon、SANTAWORLDVIEW、Bank.Somsaart、そして YamieZimmer にふたたび話を戻すと、彼らは FNMNL の磯部涼のインタヴューで特に YamieZimmer がサウス・フロリダのヒップホップを熱心に聴いていると語っていましたね。ただ、その発言ももう2年前ぐらいのことですから、そのあいだに本人たちのなかにもいろんな変化があったとも推測できます。それはそれとして、僕が最初に彼らの音楽に惹かれたのは、ダーティ・サウスのファンクネスを継承する音楽に通じるものを感じたからなんです。彼らの音楽を聴いて2000年前後の TwiGy や DABO を連想したのもそういうことかもしれない。ちなみに、スモークパープが昨年出した『Dead Star 2』というアルバムに入っていたデンゼル・カリーとの “What I Please” のMVが今年に入って公開されましたね。

吉田:スモークパープがようやくアングラから浮上してまるで新人のように扱われていることに複雑な思いもありつつ(笑)、フロリダはアトランタと比較しても洗練されていなくて、歪んでいて、ときに不穏で、ときにユーモラスという、ダーティ・サウスになぜ「ダーティ」という形容詞がついていたかを体現しているようなサウンドですよね。スキー・マスクやデンゼル・カリーは、トラップコア的な冷たい暴力性や、ウィアードな音を多用するところに作家性を感じます。Leon のアルバムはロニー・J 的というか、BPMもトラップ以降の遅さで統一されてるけど、一方で Bank のアルバムはドレやマスタードのファンクをもっとダーティでロウなサウンドで更新するようなBPM速めのビートも多くて、YamieZimmer の懐の深さを感じますよね。

二木:実際に、Leon の『Chimaria』に収録された “Keep That Vibe” はサウス・フロリダのベース・サンタナのビートです。ここから語るのは多少強引な極私的解釈ですが、スヌープ・ドッグとファレルの大名曲 “Drop It Like It's Hot” をサンプリングしたスキー・マスクの『STOKELEY』(2018)収録の “Foot Fungus” は、少ない音数と音色でファンクを捻り出すいわば “ミニマル・ファンク” です。そして、そういうファンクの源流にはスライ&ザ・ファミリー・ストーン『暴動』(1971)があるのではないかと。YamieZimmer が作り出すファンクの律動とグルーヴはその最先端を行っているのではないか。そんなことを考えたりしました。ちなみに彼は Bank の “Who ride wit us” という曲では、80年代後半のマーリー・マールを彷彿させる原始的なブレイクビーツ、それこそブーム・バップと言ってもいいようなビートを作っています。そういう柔軟性も YamieZimmer の魅力だと思います。彼が前述したインタヴューで Budamunk について言及していたのがまた印象的でした。「今の日本語ラップは全く聴かない」と前置きした上で、Budamunk のビートを称賛している。そういう日本のヒップホップの聴き方もある。例えば、Budamunk が90年代、00年代のヒップホップやR&Bのインストをミックスする『Training Wax』というミックス・シリーズが昨年2枚出ましたよね。

吉田:あれめっちゃいいよね! 完全に音響の世界に行ってて、元のハイファイ寄りの音源をいかにかっこよくローファイに汚せるかということをやっている。「あの曲がこういうふうに聞こえるのか!」という驚きがある。

二木:まさにそう! 吉田さんがあのミックスを聴いているのが、めちゃうれしいですし、信頼できます(笑)。フィジカルでこっそり流通していただけですもんね。あまりにもあの音響が衝撃的で、Budamunk 本人に「あの音響はいったい何なんですか?」って訊いたんですよ。これは、僕の記憶が間違っていたら謝るしかないんですけど、「EQをいじっているだけですよ」って答えてくれたと記憶しています。EQいじるだけでこんなにも独創的な作品を作れるのかとさらに驚いた。

吉田:当時多かった「ヒップホップ・ソウル」とも呼ばれていたような、ヒップホップマナーのサンプリングループでビートが作られたR&B曲を、単にDJミキサーのEQでモコモコにフィルタリングするだけで彼の色にしてしまうという。ヒップホップ的な価値転倒が全編で表現されていて最高です。

二木:そう。ヒップホップ・ソウル色が強かった『Training Wax VOL.1』も素晴らしかった。たとえば、セオ・パリッシュのDJが好きな人にはぜひ聴いてもらいたいし、絶対気に入ると思う。それと、これは、僕のいささかロマンチックな歴史認識のバイアス込みで語りますが、『Training Wax』は Budamunk のオリジナルのビートではないものの、DJ KRUSH の『Strictly Turntablized』のリリースから25年つまり四半世紀のときを経た2019年のビート・ミュージックのひとつの成果を示している、それぐらい重要な作品だと感じています。

吉田:Budamunk は基本サンプルを使うんだけど、ミニマルで音数が少ないから、空間が多くて、リズムと同じく一音一音のテクスチャーというか、音質にも凄く耳がいきますよね。2019年は仙人掌の『Boy Meets World』の傑作リミックス盤が出たけど、そのなかの “Show Off” の Budamunk リミックスは音響的にかなりこだわっていて、中央で鳴るサブベースにリヴァーブの効いたコードのスタブに、ざらついたスネアが少し右のほうで鳴っている。このスネアは中央で鳴るハットと位相がズレていて、さらにそのスネアの残響音は左の方から聞こえるという確信犯的な立体感。終盤ではさきほど話した得意のEQフィルタリングも聞こえてきます。ミニマル・テクノやアンビエントを聴く耳で、細かい音の肌理やテクスチャーを追うと全然違う楽しみ方ができると思います。ひとつひとつの音の追い込み方と、その結果生まれている快楽がずば抜けている。

仙人掌 “Show Off - Budamunk Remix”

日本という地域のローカルな言語で表現されるラップ。その2019年の代表格である舐達麻が、グローバルに耳を刺激するビートメイカーと組む。こういうことがいま起きている。(二木)

二木:『Boy Meets World』のリミックス盤の制作の相談役が Budamunk でしたからね。彼はLA、ニューヨーク、中国のヘッズにも知られていると聞きます。SoundCloud や Bandcamp を通したビート・ミュージックの世界的なネットワークのなかにいる、日本のビートメイカーの先駆的存在じゃないでしょうか。

吉田:Bugseed にしても GREEN ASSASSIN DOLLAR (以下、GAD)にしても海外のオーディエンスがたくさんついてますよね。Bugseed は『Bohemian Beatnik』の衝撃からもう10年なのか……ウィズ・カリファにビートを使われた事件で脚光を浴びたりしましたが、SoundCloud でワールドワイドに認知度を上げて Bandcamp で作品を販売する日本のビートメイカーの先駆けとなった感がありますよね。

二木:いま GAD の名前も出ましたが、彼が2019年に大躍進した埼玉・熊谷のグループ、舐達麻の作品における主要ビートメイカーである事実は忘れてはならないですよね。彼はドイツのレーベルから作品を発表していますね。対談の冒頭で吉田さんから、ガラパゴス的な日本語ラップという言葉が出ました。つまり日本という地域のローカルな言語で表現されるラップということですね。その2019年の代表格である舐達麻が、グローバルに耳を刺激するビートメイカーと組む。こういうことがいま起きている。この話の流れで付け加えておくと、冒頭で触れた星野源が PUNPEE を客演にむかえた “さらしもの” のトラックを作ったのは、チャンス・ザ・ラッパー “Juke Jam” (『Coloring Book』収録)のビートを手掛けたり、『ブラック・パンサー』のサントラに収録された “I AM” という曲にもクレジットされているドイツ人のプロデューサー、ラスカルでした。ということで、次は舐達麻の話からはじめましょうか。

(後編へ続く)

ISSUGI - ele-king

 MONJU や Sick Team といったグループとしての活動に加えて、BudaMunkGradis Nice、Scratch NiceBES といったアーティストとのジョイント・プロジェクト、そして、ソロ名義でのリリースはもちろんのこと、様々なアーティストの作品へのゲスト参加、さらに 16FLIP 名義でプロデューサーとしても活躍するなど、実に幅広い活動を繰り広げながらも、その軸は全くブレることはない孤高のラッパー、ISSUGI。以前よりバンドを従えてのライヴを行なっていた彼が、WONK のメンバーや盟友である BudaMunk を含む6名のミュージシャンをバックバンドに従えて制作を行なったのが本作『GEMZ』だ。

 全16曲のうち10曲が今回のアルバムのために作られた新曲で、残り6曲が ISSUGI の関連している既存の曲のバンド・アレンジによるセルフ・リメイク(リミックス)という構成になっており、そのサウンドの軸になっているのは当然、楽器を使用しての生音だ。しかし、単純に “バンド・サウンドによるヒップホップ・アルバム” という前提で本作を聴くと、良い意味で本作はこちらの思いを裏切ってくれる。“BLACK DEEP” (MONJU)、“LIL SUNSHINE REMIX”、“踊狂REMIX” (Sick Team)といったリメイク曲を中心に、ライヴ感というかセッション感が強く出ている曲もあるが、逆にアルバム冒頭の “GEMZ INTRO” や “ONE RIDDIM” のようにひとつひとつの音は生であるのに、打ち込みの感覚が強く出ている曲も多数存在している。それは実際に生音をサンプラーに通して BudaMunk がパッドにて演奏していたり、あるいは手練れのミュージシャン達があえてグルーヴをそちらの方向へ寄せているというものもあるだろうが、その結果、本作はこれまでの ISSUGI が作り上げてきた数々の作品の流れの上にしっかりと存在している。大半の曲で BudaMunk あるいは ISSUGI 自身(=16FLIP)がプロデュースを手がけており、彼らのグルーヴ感が貫かれているというのは当然なのかもしれないが、それぞれのミュージシャンのヒップホップへの理解度の深さも、作品のクオリティにもしっかりと直結しているように思う。特にヒップホップ・バンドにありがちな、オーガニックな質感というのが極力削ぎ落とされており、バンド・スタイルに抵抗のあるヒップホップ・ヘッズにもこのサウンドは受け入れられやすいに違いない。

 本作中、聴きどころは多数あるが、ISSUGI ファンであればまずは “BLACK DEEP” を聴いて欲しい。MONJU のクラシック・チューンを忠実に再現しつつ、一方で生音によって厚みを加えて、バンド・アレンジとしてひとつの完成形と言えるだろう。一方で “LIL SUNSHINE REMIX” ではサンプリング・ネタとしてはド定番である Roy Ayers “Everybody Loves The Sunshine” をぶち込むことで、原曲とはまた異なる方向性のテイストを加えており、こちらもヒップホップならではの再構築の手法を見事に示している。ヒップホップならではの面白さという意味では、KOJOE をフィーチャーした新曲 “MISSION” も同様で、Jay-Z “Roc Boys” の引用の仕方が実に巧みで、バンドのヒップホップ的な優れたセンスとスキルの高さもダイレクトに伝わってくる。ちなみに個人的には生音と打ち込みのバランス感覚が絶妙な “HERE ISS” や Devin Morrison が参加した “OLD SONG” などが最も好きなラインであるが、このテイストでアルバム1枚作ったとしても素晴らしい作品が生まれるに違いない。今後、バンド・スタイルが ISSUGI の主軸になっていく、なんてことはおそらくないであろうが、本作で得たものが彼の大きな武器にもなって、今後の作品にもプラスに作用していくことを期待したい。

Caribou - ele-king

 カリブーといえば、フォー・テットとほぼ同じ時期に登場したエレクトロニック・ミュージシャンで、カナダ出身の数学者でもある。カリブーの音楽にはつねに参照されるモノ(アーサー・ラッセルからセオ・パリッシュまで)があるように思われるが、しかし彼のずば抜けたアレンジ能力と咀嚼力が彼にしかできないエレクトロ・ポップへと押し上げる。『Swim』(2010)もそうだったし、『Our Love』(2014)もそうだった。
 ダフニ名義ではダンス・トラックをコンスタントに発表しているダン・スナイスが、カリブー名義で久しぶりにアルバムを出す。タイトルは『Suddenly』。2020年2月28日発売。まずは先行シングル曲 “Never Come Back” をどうぞ。

CARIBOU - Never Come Back

Artist: Caribou
Title: Suddenly
Label: PLANCHA / City Slang
Cat#: ARTPL-128
Format: CD / Digital
※解説・歌詞・対訳付き予定
※紙ジャケット仕様
Release Date: February 28, 2020
Price(CD): 2,200yen + 税

TRACK LIST:
01. Sister
02. You and I
03. Sunny’s Time
04. New Jade
05. Home
06. Lime
07. Never Come Back
08. Filtered Grand Piano
09. Like I Loved You
10. Magpie
11. Ravi
12. Cloud Song

―――――

Caribou
カナダ出身ロンドン在住、ダン・スナイスのソロ・プロジェクト。元々はマニトバ名義で活動をスタートし、名門Leafから『Start Breaking My Heart』(2001年)『Up in Flames』(2003年)にリリースした後、現在のCaribouに名義に変更する。そして2005年にサード・アルバム『The Milk of Human Kindness』を発表し、初来日を果たす(共演はフォー・テット、ムーギーソン)。その後City Slang / Mergeへと移籍し4作目『Andorra』をリリースし、カナダの”マーキュリー・プライズ” にあたる国民的音楽賞、ポラリス・ミュージック・プライズを受賞した。2010年にリリースした『Swim』も高い評価を経て、ポラリス・ミュージック・プライズにノミネートされる。2012年にはフジロックに初出演し、ホワイト・ステージでパフォーマンスを行った。2014年にリリースした『Our Love』はさらに高い評価を得て、その年の様々な媒体の年間ベストの上位に名を連ねた。リリースするたびにその評価を高め続ける中、ついに約5年ぶりのアルバムを完成させた。

Tribe Of Colin - ele-king

 正体を不明にしておくこと。それは一見、ネット上に氾濫する膨大な匿名の投稿たちとひじょうに親和性が高いようにも思われる。しかし彼はねらーでもなければクソリプラーでもなく、表現を発信する側の人間だ。であれば通常は、ころあいを見計らってバズを生成し、しかるべきタイミングで大きな花火を打ち上げる、本人のキャラは立っていればいるほどいい──となるわけだけれど、彼のやり方はそのような SNS を意識した昨今の戦略とは真逆の発想といえる。

 トライブ・オブ・コリンなるこの特異なプロデューサーは、ほとんど素性を明らかにしていない。おそらくは男性であり、どうやらロンドンを拠点にしているらしいことは推測できるが、それ以外はこれまでのリリース履歴を辿ることができるのみ。ジョン・T・ガストの〈5 Gate Temple〉からデビュー作を発表していること、そのガストと一緒にドーサイルというユニットを組み、〈The Trilogy Tapes〉からシングルを送り出していること、ほかにいくつかの12インチやCDで高い評価を得ていること、NTS に幾度もミックスを提供していること、そして今回の新作が〈Honest Jon’s〉からリリースされていること。わかるのはそれくらいである。あるいは『FACT』誌での貴重な発言によれば、父親がナイジェリア出身でレコード蒐集家であること、その父からの影響が大きいこと、ローランドの SP-404 を使用していること。あとは音を聴いて判断するしかない。

 一言でいえばテクノでありダブだが、この『Age Of Aquarius』では、その枠組みじたいを押し広げるような果敢な試みが数多くなされている。音響的にはアクトレスやディーン・ブラント以降を強く感じさせ、低音はよりフロアを意識したつくりになっている。くぐもったキックとハットとアシッドの反復がベースラインを際立たせる “Creator God” は、情報ではなくサウンドの強度でもって彼の特異性を世に知らしめる、ある種の宣言のようなトラックといえる。“Woman Of Amazon” のアフロ・ミニマリズム、“Paradise Lost” におけるトラップを崩したビートとスペイシーな音空間との両立、“Frequency Interference” の擬似ダンスホールなども興味深いが、よりひきこまれるのはデトロイトからの影響を独自に昇華した部分だ。

 最後の “Cradle To The Sunset” なんかはまさに「マシン・ソウル」と呼ぶべきトラックだし、ジャジーにしてインダストリアルな “Self / Distance” はセオ・パリッシュとドレクシアの両方を同時に想起させる。中盤に差しはさまれる旋律が不思議な違和効果をもたらす “Eye Of Ra” も、ありえたかもしれないドレクシアのべつの可能性を探っているかのようだ。“Alan” 冒頭のフィールド・レコーディングによくあらわれているように、アルバム全体をとおして水中を意識したような音響処理が施されているのも、かの不世出のデュオのコンセプトが念頭に置かれているからにちがいない(曲名も神話的だし)。その点で本作はトゥ・ローン・スウォーズメンの『Stay Down』を彷彿させもする。ホープ・ウィ・ネヴァー・サーフィス。なるほど、正体を明かさないわけだ。バズとかキャラじゃねえんだよと、つまりはそういうことだろう。ここには矜持がある。アンダーグラウンドの底力を再確認させてくれる、想像性に満ちたアルバムである。

Roger & Brian Eno - ele-king

 ロジャー・イーノとブライアン・イーノによるコラボレイション・アルバム『Mixing Colours』が、クラシカルの老舗〈Deutsche Grammophon〉より3月20日にリリースされる。フォーマットはLP、CD、デジタルの3種類。両者のコラボじたいはこれまで何度もおこなわれてきたが(たとえば昨年リイシューされたダニエル・ラノワとの『Apollo』や『Thursday Afternoon』など)、ふたりが共同名義でアルバムを発表するのは今回が初めて。発売に先がけ収録曲 “Celeste” がスポティファイアップル・ミュージックで先行配信中。なおブライアンのほうは年末にも新曲を公開したばかり。

ブライアン&ロジャー兄弟による初のデュオ・アルバムリリース決定!
先行トラックも配信スタート!

ミキシング・カラーズ
ロジャー・イーノ & ブライアン・イーノ

MIXING COLOURS
ROGER ENO and BRIAN ENO

発売日:2020年3月20日(金)
CD品番:483 7771
LP品番:483 7772
オープン・プライス(輸入盤)

▼『Celeste』(セレステ)先行配信中
https://classic.lnk.to/RE_CelestePR

■収録曲
01. Spring Frost
02. Burnt Umber
03. Celeste
04. Wintergreen
05. Obsidian
06. Blonde
07. Dark Sienna
08. Verdigris
09. Snow
10. Rose Quartz
11. Quicksilver
12. Ultramarine
13. Iris
14. Cinnabar
15. Desert Sand
16. Deep Saffron
17. Cerulean Blue
18. Slow Movement: Sand

[海外プレスリリース]

ロジャーとブライアンのイーノ兄弟は、初のデュオ・アルバム『ミキシング・カラーズ』でサウンドの方向性を追求した。この2人のドイツ・グラモフォン・デビュー盤は、デジタル、LP、デジパックCDの3形態で2020年3月20日に世界リリースが予定されており、今後の活動へつながる大きな第一歩となる。アルバムに収められた18曲のサウンドスケープは、聴き手を曲の奥底に漂う永遠の空間へといざなう。

『ミキシング・カラーズ』の内容は何年もかけて磨きあげられたもので、作曲家、プレイヤー、プロデューサーとしての長年にわたる2人の経験が活かされている。アルバムづくりは、ロジャー・イーノがまず1曲ずつMIDIキーボードを使って録音するところから始まった。こうして収録されたデジタルのMIDIファイルを、ロジャーが兄に送り、兄は曲の内容に手を加えたり処理したりして、1曲ごとに独自のサウンド世界を作り上げた。この共同作業の結果、最終的にはきわめて自然なダイナミズムが生みだされた。

『ミキシング・カラーズ』には、2005年頃に書かれ、大作に組み込まれることは想定されていなかった初期の曲も収められている。

「ぼくらは当時、こういう結果になることは想定していなかった──これは15年以上にわたる、ぼくらの会話のやりとりのようなものだね」とロジャーは語る。
「ぼくは朝起きて、そのまますぐに2階へ行き、楽器の準備をして即興で曲をつくり、ブライアンが喜びそうなフレーズを彼に送った。フルアルバムにするというアイディアは、曲がいくつかまとまったとき、頭に浮かんだのさ。そして実際やってみたら、わるくないと思えた。ぼくにしてもブライアンにしても、1人じゃ到底実現できなかった内容になったからね」

『ミキシング・カラーズ』は、音楽の過去と未来のあいだに橋をかけている。
ロジャーの曲にはシューベルト後期の憧れにみちたメロディがあり、ブライアンのサウンドデザインには革新的なエレクトロニック・ミュージックを使ったコンセプチュアル・アートが取り入れられており、新しいメディアがもつ創造的可能性を追求し続ける彼の、変わらぬ姿勢が反映されている。この半世紀のあいだ、ポップス界はエレクトロニック・ミュージックがもつ巨大な可能性を追求し続け、かつては想像できなかったサウンドの色彩やインストルメンタルの響きを作りあげてきた。

収録された18曲には、1曲をのぞいてすべて色と関連したタイトルがついている。〈暗い琥珀色〉〈黒曜石〉〈緑青〉などだ──抽象画で使われる色彩と共通するところがある。そしてすべての曲が一体となり、音色や音のコントラストに対する深い瞑想が生みだされている。最後の魅惑的な〈緩徐楽章:砂〉は、音楽を音色、響き、リズムという基本に立ち返らせる作品である。

ブライアンはこう語っている。「これまで従来の楽器の世界では、クラリネットが小さな島をつくり、ヴィオラが別の島を、グランド・ピアノがまた別の島を、といったぐあいに楽器が使われてきた。どの楽器も音の可能性の面では限界があって、音の可能性という無限の海の中に浮かぶ孤島として存在していたった。だけどエレクトロニクスの世界では、こうした孤島と孤島のあいだの部分に目が向けられて、これまで存在していなかった、まったく新しいサウンドが生まれたのさ。そんな海を、ロジャーのたぐいまれな曲と一緒に渡っていけたのは、ほんとうにうれしかったね」

ロジャーは、「この作品は、ぼくらが共有するアート、音楽、文学への興味から出発し、まさにコラボレーションそのものとして実ったものだ」とつけ加えた。「このアルバムを聴けば聴くほど、とりわけブライアンが作り出したすばらしい世界に触れれば触れるほど、聴き手は巨大な風景の中に入り込み、その中で無限の時間を過ごせるようになる」と語っている。

アルバム・ジャケットに使われている絵は、ドム・セオバルドの作品で、とりわけショッキングな1枚は、ロジャーからブライアンにプレゼントされたものである。

https://www.universal-music.co.jp/brian-eno/news/2020-01-24-release/

JME - ele-king

 ラップ・ミュージックの面白さのひとつは、それが「お金を稼ぐこと」に関する方法論と不可分に結びついていることである。Jay-Z の「俺はビジネスマンじゃない、俺がビジネス、man (“I’m not a businessman, I’m a business, man”)」というリリックは、彼らが単なる「ラッパー」ではなく、レーベル・オーナーであり投資家であり、ビジネスに長けた一面が凝縮されていることがわかる。あるいは Tohji の「俺の残像を金に換えてそれで乗れるベンツ」というリリックを思い出せば、彼のMVや Instagram での配信が目に浮かぶ。「ビジネスの哲学」を表現するラッパーはその最前線で常にそのバランス感を身肌に感じつつ、そのビジネス=生き様を表現している。

 音楽はテクノロジーとともにあり、ビジネスもまさにその変化の中にある。近年では2000年代後半から2010年代初頭にかけてMP3の普及を背景に、インディペンデントなアーティストが世界的に台頭してきた。USでは Tyler, the Creator 率いる〈OFWGKTA〉が原盤権を持ちながらメジャー契約を結ぶなど、インディペンデントな音楽のあり方を模索していたが、UKグライム・シーンでも2000年代から海賊ラジオ・カセット・DVDなどいち早くさまざまなテクノロジーを駆使して、メジャー・レーベルとは異なる方法で独自の音楽を流通させてきた。イギリスのトップ・グライムMC JME (ジェー・エム・イー)は「ファック・レーベル」と言い続けてメジャー・レーベルとの契約を拒み、クルーの「Boy Better Know」でのインディペンデントなビジネスを10年以上回し続けている。最新アルバム『Grime MC』では、彼流のある種「オールドスクールな」ビジネスや、その裏にある彼のユニークな視点を伝えてくれるアルバムである。

 前作『Integrity>』以降の4年間はリリースが少なかった中で、待望の4作目のアルバムは当初「CDとヴァイナル・オンリー」でリリースされた。自身のレーベル・サイト〈Boy Better Know〉とレコード・ショップのみで販売され、このストリーミング全盛の時代にとっては少し古臭い感じもする。しかし、これまでレコード、Tシャツ、キャップ、CD、カセットなど、様々なアイテムを率先してオンラインで発売してきた JME の活動を考えれば、それは単なる「時代遅れ」ではなく、流行を意識した上での確かなメッセージである。

 幼少期のストリートでの生活や海賊ラジオでの日々を歌った 1. “96 of My Life” で幕を開ける。海外のプレス工場に赴いてCDを作り、それを自分の足でレコードショップを回り売り捌き、メジャー・レーベルに頼ることなくツアーをおこなったことなど、彼独自の音楽活動のやり方についてラップしている。

 音楽ビジネスにとって無視するべきクソ野郎を挙げていく 2. “Pricks” では「ファック、(音楽)産業の野郎、あいつらの仕事はお前をハイにさせることだ」とアドヴァイスし、Stormzy を迎えた 9. “You Know” では「時計に何百万使ったとしてもお前は時間すらわからない」と冷や水を浴びせるが、それはラグジュアリーなものを見せびらかさない彼ならではの説得力がある。Wiley とともに「ベストになるために周りのイエスマンを排除しろ」と歌う 12. “Yes Man” や、Facebook や Instagram といった中毒性の高いSNSを「人を孤独にさせる anti-social」と呼ぶ 16. “Here” など、ユニークな視点が光る。JME の言葉は鋭く「ハイ」を求めるリスナーを諫める。

 ビジネスの話だけでなく 7. “Watch Me”での皮肉めいたリリックはお手の物だし、8. “Badman Walking Through” では客演の Shakka のキャッチーな歌が耳を惹く。トラックにはある種の暗くメランコリックなサウンドが通底していて、Blay Vision や Tre Mission といったグライム・プロデューサーが参加している。

 JME の「シリアス」な音楽は口コミで広まり、オンライン・サイトのCDは即完売となった。「インディペンデント」にこだわり、ビジネスの流れやプラットフォームのトレンドに流されず言葉を伝える。CDリリースという方法が Spotify・Apple Music 等のプラットフォームでのリリースと同じくらいいまだに通用する方法論であることは、このアルバムがリリース初週でナショナル・チャートの26位にランクインしたことにも示されている。JME の真摯な言葉が18曲の大作に詰め込まれている。

Jagatara2020 - ele-king

 まもなく、ほんとうにまもなく復活を遂げる JAGATARA 改め Jagatara2020 ですけれども、1月27日のライヴ会場にて、新作CD『虹色のファンファーレ』および新刊書籍『別冊ele-king じゃがたら──おまえはおまえの踊りをおどれ』が先行発売されます。また1月28日からはタワレコ6店舗と代官山蔦屋書店にて、松原研二による秘蔵写真を掲示するパネル展も開催。詳細は下記をご覧ください。ちなみに1月28日のトーク・イヴェントには弊誌編集長も出演しますよ~。

日本のロック史における最重要バンドのひとつ、JAGATARA 改め Jagatara2020 がいよいよ奇跡の復活目前!!
ライブ会場先行販売ほか店舗限定特典&パネル展の開催も決定!

日本のロック史における最重要バンドのひとつ、JAGATARA 改め Jagatara2020 が奇跡の復活目前...

1/29 (水) にリリースする新作『虹色のファンファーレ』と、書籍『別冊ele-king じゃがたら──おまえはおまえの踊りをおどれ』を、1/27 (月) のライブ開場で先行販売致します!

また、1/28 (火)~、タワーレコード6店舗と代官山 蔦屋書店では、JAGATARA を長年に渡り撮り続けてきたカメラマン・松原研二氏の秘蔵写真を掲示するパネル展の開催が決定!
そして、店舗限定の購入特典情報も公開されました!
是非この機会に、お店にも足をお運びください。

《パネル展 詳細》
1/28 (火)~ 下記店舗にて開催致します。
※ パネル展開催期間は1~2週間を予定しております。詳細は各店舗へお問い合わせ下さい。

【開催店舗】
タワーレコード新宿店8F 左エスカレーターショーウィンドウ
タワーレコード渋谷店3F
タワーレコード吉祥寺店
タワーレコード名古屋パルコ店
タワーレコード梅田大阪マルビル店
タワーレコード福岡パルコ店
代官山 蔦屋書店

《店舗限定特典》
下記店舗にて、新作『虹色のファンファーレ』をお買い上げごとに対1で限定特典をお付けいたします。
※ 特典満了次第終了となります。詳細は各店舗へお問い合わせ下さい。

【タワーレコードオリジナル特典:ジャケット絵柄ステッカー】
広島店 / 仙台パルコ店 / 京都店 / 八王子店 / 名古屋パルコ店 / 池袋店 / 川崎店 / 吉祥寺店 / 名古屋近鉄パッセ店 / 福岡パルコ店 / 神戸店 / 梅田大阪マルビル店 / 金沢フォーラス店 / 札幌PIVOT店 / 郡山店 / 新宿店 / 盛岡店 / 久留米店 / 難波店 / 津田沼店 / 渋谷店 / 梅田NU茶屋町店 / 秋葉原店 / 静岡店 / 浦和店 / 新潟店 / 町田店 / アミュプラザ博多 / あべのHOOP店 / 横浜ビブレ店 / 那覇リウボウ店 / 高崎オーパ店 / 東浦店 / レイクタウン店 / イオンモール倉敷店 / 鈴鹿店 / 若松店 / 上田店 / 北花田店 / アリオモール蘇我店 / アリオ亀有店 / モレラ岐阜店 / mini 汐留店 / 高松丸亀町店 / グランツリー武蔵小杉店 / 秋田オーパ店 / 藤沢オーパ店 / 錦糸町パルコ店 / 水戸オーパ店 / オンライン

【ディスクユニオンオリジナル特典:キーホルダー】
オンライン / 新宿日本のロック・インディーズ館(BF) / 渋谷中古センター / お茶の水駅前店 / 神保町店 / 下北沢店 / 吉祥寺店 / 池袋店 / 高田馬場店 / 中野店 / 立川店 / 町田店 / 横浜関内店 / 横浜西口店 / 柏店 / 北浦和店 / 大宮店 / 大阪店

《ライヴ/イベント情報》
Jagatara2020「虹色のファンファーレ」
公演日:2020年1月27日(月)
会場:渋谷 CLUB QUATTRO
www.club-quattro.com/shibuya
出演:
Jagatara2020
Oto(G) / EBBY(G) / 中村ていゆう(Dr) / 南流石(うた)
ヤヒロトモヒロ(Per) / エマーソン北村(Key) / 吉田哲治(Tp) / 村田陽一(Tb) / 宮田岳(B) / 関根真理(Per) / ko2rock(Sax) / 桜井芳樹(G)

ゲスト・アーティスト
鮎川誠 / 近田春夫 / こだま和文 / 田口トモロヲ / 不破大輔 / いとうせいこう / 町田康 / Nobutaka Kuwabara(DEEPCOUNT) / 高田エージ(SUPER BAD) / 吹越満 / 大槻ケンヂ / 向井秀徳 / 永山愛樹(TURTLE ISLAND、ALKDO) / 七尾旅人 / 折坂悠太
※ ゲスト表記順は年功序列とさせて頂いております。

時間:18:00開場 / 19:00開演
料金:前売6,000円 / 当日6,500円(ともにドリンク代別)
チケット:SOLD OUT

Jagatara2020「Jagatara2020ナンのこっちゃい生サロン」
開催日:2020年1月28日(火)
会場:渋谷 LOFT9 Shibuya
www.loft-prj.co.jp/loft9
司会:Oto&サミー前田
EBBY / 中村ていゆう / 南流石 / 宮田岳
ゲスト:山本政志 / 金平茂紀 / 宮台真司 / 安冨歩 / 野田努(ele-king編集長) / 児玉雄大(ヒビノクラシ出版) / 加藤梅造
・心に残るこの言葉
・Jagatara as media
・レア映像
・安冨歩 meets JAGATARA
・Jagatara2020の「それから」
・Co Jaga Live&生カラオケ
などを予定

時間:18:00開場 / 19:00開演 ※ 物販の販売は17:00より
料金:前売4,000円 / 当日4,500円(ともにドリンク代別)
チケット:
・Jagatara2020 Official Site jagatara2020.com
※ チケットはオリジナルチケットとなります。

★ライヴ/イベントの詳細につきましては、以下からもご覧いただけます。
https://www.jagatara2020.com/live

《商品情報》

アーティスト:Jagatara2020
タイトル:虹色のファンファーレ
レーベル:Pヴァイン
商品番号:PCD-20420
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,000+税
発売日:2020年1月29日(水)

収録曲
1. みんなたちのファンファーレ(新曲)
2. れいわナンのこっちゃい音頭(新曲)
3. LOVE RAP(1988年/未発表ライヴ録音)
4. プッシー・ドクター(1989年/未発表ライヴ録音)
5. へいせいナンのこっちゃい音頭(1989年/ライヴ録音)
6. みんなたちのファンファーレ(カラオケ)
7. れいわナンのこっちゃい音頭(カラオケ)

\同時発売!/

書籍 『別冊ele-king じゃがたら──おまえはおまえの踊りをおどれ
ISBN:978-4-909483-49-2
価格:1,800円+税
発売日:2020年1月29日(水)
https://www.ele-king.net/books/007360/

★商品詳細につきましては、以下のページをご覧ください。
https://p-vine.jp/jagatara2020

Jagatara2020
江戸アケミを中心とする日本のファンク・ロック・バンド、JAGATARA (じゃがたら)。1979年3月に江戸&じゃがたらとして活動を開始。1982年5月、暗黒大陸じゃがたら名義で今や日本のロックの金字塔となったデビュー・アルバム『南蛮渡来』を発表。各方面で高い評価を得る。1983年、バンド名をじゃがたらに改称。1983年末から1985年夏にかけて、江戸の精神的不調により活動休止。1986年頃から JAGATARA という表記を使用しはじめる。1989年4月、アルバム『それから』でメジャー・デビュー。そのわずか7ヵ月後の1990年1月27日、江戸の急死により解散。2019年3月、約30年ぶりに開催された伝説的ライヴ・イベント、TOKYO SOY SOURCE 2019 にて、残ったメンバーにより Jagatara2020 として復活。江戸アケミの志を受け継ぎ、活動を再開。
www.jagatara2020.com

Oli XL - ele-king

 どうも2017年の『Mono No Aware』がひとつの起点になっているような気がしてならない。カニエケレラを触発したカリーム・ロトフィをはじめ、マリブーやフローラ・イン=ウォンなど、同盤に参加していた面々が、以降、より注目を集めるようになってきているのだ。なかでも重要なのはイヴ・トゥモアの動きで、彼が〈Warp〉に籍を移すと同時にコペンハーゲンの〈Posh Isolation〉勢とも接触したことは、近年北欧がエレクトロニック・ミュージックの新たな震源地となっていることをほのめかしている。
 おなじく〈PAN〉の『Mono No Aware』に名を連ねた翌年、まさにその〈Posh Isolation〉のコンピ『I Could Go Anywhere But Again I Go With You』に参加することになったストックホルムのオリ・エクセル、彼もまたそのような昨今の動きを象徴する存在といえるだろう(おなじくストックホルムを拠点に活動し、おなじく〈Posh Isolation〉の一員であるヴァリ(Varg)とも共演済みだし)。

 新たにみずからの手で起ちあげたレーベル〈Bloom〉からのリリースとなったオリ・エクセルのファースト・アルバムは、絶妙なバランス感覚でポップとアヴァンギャルドのあいだを駆け抜けていく。全体的に、ある時期のハーバートやアクフェンあたりを想起させる音響に包まれているが、ドラムはより今日的で重く、たとえば日本語のサンプルからはじまる “Mimetic” によくあらわれているように、UKガラージ~グライムからの影響が色濃くにじみでている。2014年のデビューEP「005 / Wish We Could Zone」では深い深いダブの霧のなかにジャングルをぶちこんで遊んでいた彼だけれど、今回のアルバムは「Tracer Wanz」(2016)や「Stress Junkie / Mimetic」(2018)で試みられていたベース・ミュージック由来のリズムの解体作業を、よりテッキーな音響のなかで実践したものといえるだろう。

 ときにダブだったりインダストリアルだったりと、細部も丁寧につくりこまれている。具体音の聞かせ方もおもしろく、ウェイトレスなシンセの波に覆われた “DnL” では、チョークで何かを書く/描くような音が最高の快楽をもたらしてくれる。ちなみに同曲では「退屈、ダルい」ということばが何度も繰り返されているが、加工された音声も本作の聴きどころのひとつだ。
 とりわけ注目すべきは、リード・トラックの “Clumsy” だろう。「ぼくは負け犬、殺しちまえよ」。ベックである。高ピッチの音声によって読み上げられるこの “Loser” のフレーズは、ハイテックかつダンサブルな曲調ともあいまって、自己憐憫的な感傷を極限まで抑え込んでいる。ユーモアがあるという点においてはオリジナルを踏襲しているわけだが、ゆえにこの引用は、資本や国家がけっして弱者を殺すことはせず、むしろ生殺しの状態のまま「負け犬」としてえんえんこきつかうさまを、「頼むから殺してくれ」と、陽気に諷刺しているように聞こえる(『クワイータス』はインセルやマスキュリニティの文脈から捉えようとしていたけど)。

 エレクトロニカの音響とベース・ミュージックのリズムを実験的に融合させつつ、かろやかにユーモアで包みこむこと。それはEPの時点ではまだ試みられていなかったアイディアであり、どうしても暗くなってしまいがちな当世にあって、このオリ・エクセルのやり方はなかなか有効な手段といえるのではないだろうか。今後の成長が楽しみな若手の登場である。

φonon - ele-king

 この1月で設立2周年を迎える佐藤薫主宰の〈φonon (フォノン)〉。じょじょにタイトル数も増えている同レーベルだけれど、きたる2月、新たに2作品がカタログに加わることとなった。ひとつは、宇川直宏と森田潤によるユニット=グレイヴスタイルやギャルシッドなどを収めたオムニバスの『Mutually Exclusive Music 2』。もうひとつは、ドイツ出身のトランペット奏者=アクセル・ドナーのソロ第2作。どちらもただならぬ匂いがぷんぷんなので、しっかりチェックしておこう。

「φonon(フォノン)」のニュー・リリース2タイトル 2020年2月21日(金)発売

新レーベル〈φonon (フォノン)〉は、EP-4 の佐藤薫が80年代に立ち上げたインディー・レーベル〈SKATING PEARS〉のサブレーベルとして2018年に始動。SKATING PEARS は当初カセットテープ・メディアを中心に多彩な作品をリリースしてきたが、〈φonon〉は佐藤薫のディレクションによって主にエレクトリック/ノイズ系の作品を中心にリリースする尖鋭的なレーベルだ。これまでに13タイトルを発表、2020年2月発売の2タイトルを合わせて15作品にのぼる。

レーベルサイト
https://www.slogan.co.jp/skatingpears/

2020年2月21日(金)
2タイトル同時発売!!

アーティスト:Various Artists
アルバム・タイトル:『Mutually Exclusive Music 2』(ミューチュアリー・エクスクルーシヴ・ミュージック 2)

発売日:2020年2月21日(金)
定価:¥2,000(税別)
品番:SPF-014
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS

「你墜入騒音地獄──森田潤・法外監修!」
昨年〈φonon〉からリリースし驚愕の注目を集めた70歳を超えるというソプラノ女性歌手、Madam Anonimo (アノニモ夫人)のアルバム『il salone di Anonimo (サロン・アノニモ)』の音楽プロデュースを担当した森田潤。その森田が2018年に発表したオムニバス・アルバム『Mutually Exclusive Music』に続くシリーズ第二弾が登場する。副題の『Cohesion and Coupling of Modules (モジュールの凝集度と結合度について)』とは、電子楽器のプログラミング/パッチングの相互排他的な抽象度による関係反転原理が、操作する者とその音楽作品としての効果/結果に及ぼすある種の仕掛け/ギミックのことだ。それは、前作のシニカルなエレクトロ・ビートの概念から、アンビエントやハーシュ・ノイズなどを包摂していく本作の編纂過程でもある。

参加アーティストは、貪欲騒音機械を操るグレイヴスタイル(宇川直宏+森田潤)、ギャルシッド、フューエルフォニック、デイヴ・スキッパー、ハタケンという5組。これこそモジュラーのダイバーシティだ。


GRAVESTYLE/グレイヴスタイル
DOMMUNE 代表の「宇川直宏」とモジュラー楽士「森田潤」の二人によるユニット。1989年に結成され、VJの概念が未確立の時代に、芝浦 GOLD などで行ったオーディオ・ビジュアル・パフォーマンスが伝説的な評価を得る。30年ぶりの再編で「沖縄電子少女彩」に楽曲を提供。GRAVESTYLE 名義では今回が初の作品リリースとなる。


galcid/ギャルシッド
モジュラーシンセと TB-303 リズムマシーンを駆使した “完全即興ライヴ” が話題の「Lena」によるソロユニット。 2016年の 1st. アルバム『hertz』が賞賛を得た後、18年には坂本龍一による Spotify の『SKMT Picks』にも選ばれ、電子音楽に特化した国内外イベントへの出演を重ねる。19年秋以降、4つのレーベルより作品をリリース予定。


fuelphonic/フューエルフォニック
趣味が高じてバイクのエキゾーストノートだけでプレイするようになったというDJの「坂田律子」と、シンセ/コンピュータ好きが高じた果ての演奏を披露する「野本直輝」による、2018年末結成のデュオユニット。奇妙なエレクトロニクスサウンドと疾走感満点のバイクノイズが織り成す、ドラッグレースのような摩訶不思議音響ワールドが魅力だ。


Dave Skipper/デイヴ・スキッパー
英国出身の現役キリスト教宣教師。2010年より東京で活動を始める。アナログモジュラー機材を中心としたライヴ・パフォーマンスを様々なクラブにて展開。サイケデリック~ノイズ~アブストラクト~日射しで脳が溶解──聖書とノイズの関係性を求め研究に邁進中。“Tokyo Festival of Modular” や “Heavier Than Jupiter” などのイベントを主催。


HATAKEN/ハタケン
発信する新たな音響世界が国内外から注目を集めるモジュラーシンセ・パフォーマー/プロデューサー。“Tokyo Festival of Modular” を主催するほか、欧州から、北米、アジア各地でのフェス出演やワークショップを敢行。また「Greg Hunter」とのプロジェクトやギタリスト「SUGIZO」との共演、「Coppe’」のプロデュースなど、精力的に活動する。


Jun Morita/森田潤
DJとしてワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトリック・サウンドに幅広くコミット。同時に、モジュラー・シンセの自動演奏に即興を組み合わせたパフォーマンスでライブ活動中。2018年、ソロ作品『LʼARTE DEI RUMORI DI MORTE』発売。レア・ヴァイナル復刻のマスタリング・エンジニアとしても評価される。

ライナーノーツ・毛利嘉孝
ジャケットデザイン・福永和三郎

トラックリスト:
01. Introduction to Modular Synthesizer with _Kaiwa_
02. GRAVESTYLE - Thee Temple OV Ocarina Youth
03. galcid - Metal Processing
04. galcid - Rubber Snake
05. fuelphonic - sunabokori
06. Dave Skipper - Alienoid
07. Dave Skipper - Lab Panic
08. Dave Skipper - Incursion
09. Dave Skipper - Excision
10. Dave Skipper - Nightfade
11. HATAKEN - expansion phase

アーティスト:Axel Dörner (アクセル・ドナー)
アルバム・タイトル:『inversich』(インファージッヒ)
発売日: 2020年2月21日(金)
定価:¥2,000(税別)
品番:SPF-015
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS

「トランペットの《零度》もっと深く……」
ヨーロッパや日本をはじめ世界を駆け巡り多彩な演奏活動を続けるドイツ出身のトランペット奏者「アクセル・ドナー」のソロ第2作。2018年に第1作として発表した『unversicht/ウンフェルジヒト (SPF-007)』は、ポストデジタル時代の指標としてその存在の特異点を示した作品となっていたが、本作でも電子的に拡張/メタモルフォーゼさせたトランペット音による孤独な実験の成果を、一連の新世紀音響ガイドとして聴く者に提供する。タイトルの『inversich』とはドナーによる造語で存在しない単語だが、ドイツ語的には、反転/自己/逆の/私の/逆しま/自分自身──などの意味的交わりを想起させながら、前作『unversicht』と共鳴している。多様なプレイヤーとのセッション作品が多いドナーながら、ここでは続編として一貫した圧倒的ソロ・アンサンブルを構成。トランペット音とエレクトロニクスを加工編集した実験的な音像が、前作からの流れを継承しながら新たな展開を迎える!

ライナーノーツ・渡邊未帆
ジャケットデザイン・日下聡

トラックリスト
01. 1
02. 2
03. 3
04. 4
05. 5

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