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Daichi Yamamoto

Hip Hop

Daichi Yamamoto

Andless

Jazzy Sport

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大前至   Nov 06,2019 UP

 今年3月にリリースされた“上海バンド”が業界内でも大きな話題を呼び、さらに日本のヒップホップ・シーンでいま、注目を浴びている若手のアーティストにスポットを当てた Red Bull の映像シリーズ「RASEN」の第2弾に釈迦坊主、dodo、Tohji らと共に出演した際には、“上海バンド”のイメージとはまた異なる、アグレッシヴな一面も披露した Daichi Yamamoto。京都の老舗クラブ、METRO のオーナーである父とジャマイカ人の母を持ち、アートを学ぶために留学したロンドンの大学在学中に SoundCloud で発表した音源が国内のアーティストの間でも話題となり、日本への帰国後すぐに〈Jazzy Sport〉と契約を結ぶなど、彼自身のバックグランドから様々な動きを含めて全てがフレッシュだ。昨年にはピアニスト/ビートメイカーの Aaron Chulai とのコラボレーションによるアルバム『WINDOW』をリリースし、そして待望のファースト・ソロ・アルバムとして発表されたのが本作『Andless』である。

 サウダージ感すら漂う“上海バンド” (SHIMI がプロデュースを手がけたトラックも最高!)を前提にこのアルバムを聴くと、良い意味で裏切られるだろう。Daichi Yamamoto 本人が自らトラックも手がけるトラックに加えて、渡英中からすでに交流のあった jjj や Kojoe、さらに VaVa、KM、grooveman Spot、Taquwami、okadada など最先端かつヴァラエティに富んだメンツがプロデューサーとして参加し、アルバム一枚の中での各曲の振れ幅は実にワイドだ。聴き心地の良いラップ・チューンからハードなトラップまで余裕で乗りこなしたかと思えば、突然、ディアンジェロ“Brown Sugar”のフレーズが飛び出してきたり、さらにダブステップなどの4つ打ちからエレクトロニカなども自由自在に操り、そして当然のようにラップも歌もボーダーレスにビートやメロディに見事にハメていく。ソロでのファースト・アルバムということもあり、自身のショウケース的な意図もあるのであろうが、幅広い見せ方をしている一方で、しっかりとひとつの線が作品全体に貫かれていて、喜怒哀楽を豊かに表現するひとつひとつの言葉も含めて、常に一定の温度が保たれている。この全体の統一された空気感には、Daichi Yamamoto 個人のパーソナリティがダイレクトに反映されているのはもちろんだろうが、さらに彼が現在も住む京都という街からの影響であったり、または現在のホームである〈Jazzy Sport〉という場が作り出している部分もあるに違いない。

 才能溢れる若いアーティストが多数出てきている現在の日本のヒップホップ・シーンであるが、そんな中でも音楽性も含めて、Daichi Yamamoto の持つ独特の雰囲気は他に類がないように思う。もしかしたら、彼のようなアーティストが日本代表として世界で活躍したりするのでは? と、そんな未来を想像させてくれるようなアルバムだ。


大前至