「CE」と一致するもの

Undefined - ele-king

 いま日本の地下ではダブがおもしろい動きを見せている。そのひとつが〈newdubhall〉だ。同レーベルを主宰する Undefined は、The Heavymanners に参加していた Sahara と、Soul Dimension のドラマーも務める Ohkuma によって結成されたダブ・ユニットで、2017年に初のシングルを発表、その後こだま和文との共作などを送り出している。そんな彼らの最新作がポートランドの7インチ専門ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉からリリースされることとなった。タイトルは「Three」で、ヤング・エコーのライダー・シャフィークをフィーチャー。600枚限定で再プレスはなし、配信もなしとのことなので、なくなる前に急ごう。

先進的ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉から
ダブ・ユニット Undefined が日本人初となる7インチをリリース

キーボード/プログラミングの Sahara とドラムの ohkuma によるユニット、Undefined の3 作目となるレコードが、アメリカはポートランドの先進的ダブ・レーベル〈ZamZam Sounds〉から8 月下旬にリリースされる。世界各地で繰り広げられているダブの冒険を70 枚以上の7インチで紹介しているレーベルではあるが、日本人では初のリリースとなる。前作ではこだま和文と共作、宇宙とブルーズを深い音響の中に描き上げた彼ら。今作「Three」では、ブリストルを中心に活動し、参加した Swindle の楽曲“What We Do”がアップルUKのキャンペーンに使用され注目を集める詩人/ラッパー Rider Shafique を迎え、覚醒した浮遊感を我々に知覚させる。
通常のダブ・レコードでは、ヴォーカル入りの楽曲がA面に、それを素材にダブ・ミックスを施したものがB面に収録される。しかし今作「Three」は、最初に完成したインスト曲(今作B面収録)のダブ・ヴァージョン(未発表)に Rider Shafique がヴォーカルを乗せたトラックを制作。そのヴォーカルをエディットし、元のインスト曲に乗せ直したものが今作のA面に収録されている。そうした結果、ドラムとヴォーカルのリズムが、録音時には想像していなかった別のグルーヴを創り出している。Can のドラマー Jaki Liebezeit のプレイを連想させるドラミングと、“ヴォイス・オブ・サンダー” Prince Far I の影響が伺えるヴォーカル、そしてその言葉に呼応するように飛び交う音の断片が描く“来るべき変革の前の静けさ”──緊張と希望の波動。機会があれば、ぜひサウンドシステムで感じてほしい。
これまでのリリース「after effect」(7"/2017 年)、「new culture days」(10"/2018 年)、dBridge×Kabuki×itti とのコラボ企画「Chatter」(12"/2019 年)は全て完売。寡作ながら確固とした音空間を残している Undefined は、国内外を問わず現在最も注目すべき才能のひとつだ。
7インチは、デジタル・リリースおよび再プレスなしの限定600枚リリース。〈ZamZam〉のアイデンティティとも言えるシルク・スクリーン・プリントが施されたスリーヴに収められている。

麻芝 拓 (ライター)

type:7inch
Undefined feat. Rider Shafique
a. Three / b. Three - dub -
released from ZamZam Sounds (U.S) / 価格: 未定

Kali Malone - ele-king

 なんという天国的な音楽だろうか。なんという崇高さを希求する音響だろうか。なんという透明な霧のごときパイプオルガンの響きとミニマムな旋律だろうか。持続と反復。俗世と重力からの解放。思わず「バロック・ドローン」などという言葉が脳裏をよぎった。
 
 カリ・マローンの新作アルバム『The Sacrificial Code』のことである。「犠牲的な、生贄のコード」? じじつカリ・マローンは音楽の「神」に身を捧げている。いや、正確には「音響と音楽が交錯し、持続し、やがて消失する、そのもっとも神聖で、もっとも美しい瞬間に身を捧げている」というべきか。この音楽はそれほどにまでに特別な美しさを放っている。
 だからといって派手で、大袈裟で、装飾的で、豪華な美ではない。パイプオルガンの持続の線がひとつ、そしてふたつと折り重なる簡素なものだ。しかし、そのミニマムな持続の生成には、音楽の持っている崇高な美がたしかに折り畳まれている。

 スウェーデンのストックホルムを拠点とするカリ・マローン(1994年生まれ)。彼女は新世代のサウンド・アーティストであり、ポスト・ミニマル音楽の作曲家である。そして西洋音楽を歴史を継承する現代音楽家であり、2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック・パフォーマーでもある。
 カリ・マローンは弦楽器、管楽器、聖歌隊、パイプオルガンなどのオーセンティックな西洋音楽の楽器を用いつつ、デジタル処理された電子音、シンセサイザーなどをミックスし、独創的で現代的な音響空間を生成する。さらにそのライヴでは電子音のみの演奏も披露する。カリ・マローンのサウンドは優雅にして深遠。持続音(ドローン)に融解したロマン派のような響きを放つ。

 カリ・マローンは2016年にカテリーナ・バルビエリ(Caterina Barbieri)、エレン・アークブロ(Ellen Arkbro)ら現代有数のエクスペリメンタル・アーティストらとのコラボレーションEP「XKatedral Volume III」をストックホルムのレーベル〈XKatedral〉からリリースした。バルビエリとアークブロは、ともに優れたエクスペリメンタル・ミュージック・アーティストであり、バルビエリの最新作『Ecstatic Computation』(2019)、アークブロの最新作『Chords』(2019)は、タイプは違えども電子音の反復と持続の問題を追及した重要なアルバムである。
 翌2017年、カリ・マローンはエレクトロニクスに16世紀末に登場しバロック末期まで主に通奏低音楽器として用いられたテオルボ、ゴング、ヴィオラ、ヴァイオリンなどの弦楽器をミックスするファースト・アルバム『Velocity of Sleep』を〈XKatedral〉からリリースした(アメリカの〈Bleak Environment〉からも配給)。
 続く2018年、アルトサックス、バスクラリネット、ファゴットにカリ・マローンのシンセサイザーを加えたセカンド・アルバム『Cast Of Mind』を、スイスの〈Hallow Ground〉より送り出す。同年、〈Ascetic House〉より、パイプオルガンを用いたドローン作品を収録したEP「Organ Dirges 2016 - 2017」もリリースし、優美さと恍惚さを併せ持ったサウンドは大いに話題を呼んだ。
 2019年は、今回取り上げるサード・アルバム『The Sacrificial Code』をヨアキム・ノルドウォール(Joachim Nordwall)が主宰するスウェーデンの名門エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈iDEAL Recordings〉からリリースし、Acronym とのコラボレーションEP「The Torrid Eye」をストックホルムの〈Stilla Ton〉から送り出す。このEPではエクスペリメンタルなディープ・テクノを展開した。
 カリ・マローンは、エレン・アークブロ、サラ・ダヴァチー(Sarah Davachi)、エミリー・A・スプレイグ(Emily A. Sprague)らと同じく新世代のドローン/ミニマル音楽作曲家である。さらに電子音楽家カテリーナ・バルビエリやフェリシア・アトキンソン(Felicia Atkinson)、ノイズ・アーティスト、ピュース・マリー(Puce Mary)らとの同時代性を共有する2010年代を代表するエクスペリメンタル・アーティストでもある。断言するが彼女たちの音楽/サウンドを聴くことは、音響、作曲技法、録音、繊細なサウンド・ノイズの導入の結晶である現代の先端音楽のエッセンスを知る最大の手掛かりとなる。

 本年にリリースされた新作『The Sacrificial Code』は、2018年の「Organ Dirges 2016 - 2017」を継承するオルガン・ドローン作品だ。ミニマムな音階もあり、ドローンとメロディのあいだでわれわれの聴取環境を生成する見事な現代音楽作品でもある。その簡素な音階の変化に耳を傾け、ミニマルにして複雑なサウンド・テクスチャーを聴き込むことで、単一の音の中に多様な音の蠢きをリスニングすることが可能になる。
 アルバムにはLP版は2枚組で全8曲、CD盤は3枚組で23分もの長尺の追加曲を含めた全10曲、データ版も全10曲が収録されている。アルバム前半、CD盤だとディスク1に当たる「Canons For Kirnberger III」はストックホルム音楽大学で2018年3月におこなわれた。アルバム中盤、CD盤ディスク2にあたる「Norrlands Orgel」のライヴ録音はスウェーデンのピーテオーで2018年9月におこなわれた。アルバム後半、CD盤ディスク3の「Live In Hagakyrka」パートは、イェーテボリにある教会で2018年4月に演奏・録音された。この「Live In Hagakyrka」にはエレン・アークブロも参加している。これらのすべての演奏の記録はラシャド・ベッカーによって丁寧なマスタリングを施され、見事な録音芸術作品となった。

 どの曲も優美にして繊細、大胆にして深遠。極上にして天国的。パイプオルガンという西洋音楽における伝統的な楽器を用いつつも、本作のサウンドのテクスチャーは極めてモダンである。まるで電子音響やフィールドレコーディング作品を聴取するようにパイプオルガンの音を聴くことができるのだ。
 ミニマルな音階と、その音の芯のまわりに鳴るノイズの蠢きを聴き込むことで、聴き手の聴覚はゆったりと拡張するだろう。リスナーは「聴くということの意識化」と「聴くことで得られる恍惚」のふたつを得ることになるはず。
 この『The Sacrificial Code』は、そのような「聴く」という意識と、聴取のむこうにある「音響の結晶」を確実に捉えている。音楽と音響は相反するものではない。旋律や和音・和声が鳴り続けていったその先に、音楽と音響は融解・消失する。その消失地点こそ音楽/音響の結晶体なのだ。
 CD3枚、LP2枚に渡って収録された楽曲(CD・データ版は2曲追加収録されており、うち“Glory Canon III (Live In Hagakyrka)”は23分もの長尺)たちは、そのような音楽と音響の結晶地点を示す「新しいドローンおよびミニマル・ミュージック」である。全曲を通して聴くことでパイプオルガンの単一でありながら、複数の響きの蠢きを聴取することができるようになるだろう。それこそが「音響と音楽が緻密に、複雑に融解」していった「2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック」の姿でもある。

 旋律を超えて反復へ。反復が融解し持続へ。持続が解体され複数の層へ。消失から結晶へ。本作は、そんな音楽/音響の現代的な聴取のレイヤーを内包した新しいポスト・ミニマル・ミュージックだ。それは新しい時代の教会音楽/宗教音楽への模索と接近に思えた。反復と持続が融解し、消失した瞬間に表出する「崇高な美」。この「美」を「神」とすれば、本作のサクリファイス・コードが何を開くためのものかも分かるというものだ。

Battles - ele-king

 10月11日に待望のフォース・アルバム『Juice B Crypts』のリリースを控えるバトルスが、同作を引っさげ来日公演をおこなう。11月の4日から6日にかけて、東京・大阪・名古屋の3都市を巡回。イアン・ウィリアムスとジョン・ステニアーの2人組になった彼らは、いったいどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? ロンドンでのプレミア公演は随分と盛り上がったようなので、期待大です。チケットは明日のお昼から主催者WEB先行が発売開始、売り切れる前に急ごう!

NEWアルバム『Juice B Crypts』をひっさげ
3都市を巡る来日ツアー開催大決定!
主催者WEB先行は明日正午スタート!

その独創的なアイデアとサウンドで、ロックの常識を更新し続け、音楽ファン達に強烈な衝撃を与えてきた BATTLES が帰ってくる! 11月に東京、大阪、名古屋の3都市を巡る超待望の来日ツアーが決定! そのキャリアを再び更新する型破りな最新アルバム『Juice B Crypts』は10月11日に日本先行リリース! 各公演の主催者WEB先行は明日正午スタート!

キーボード、ギター、エレクトロニクスを操るイアン・ウィリアムスと、ドラムのジョン・ステニアーの織り成すリズムとメロディーは、よりタイトに研ぎ澄まされ、この上ないほど痛快かつ刺激的な領域へと到達! 果たしてどんなライブになるのか? その緻密かつダイナミックなアンサンブルをライブで目撃せよ! これは見逃せない!

先週ロンドンで行われた超プレミアライブでは、パンパンとなった会場が熱気で包まれ爆発寸前に!
https://www.instagram.com/p/B1Ol1-vAXc2/

初めて彼らを見たときに覚えた巨大なスリルがついに戻ってきた。体と心と魂を揺さぶる並外れた音楽は、とんでもないレベルの演奏能力があってこそもたらされるが、今夜見た新生バトルスは、まさにそれを証明するものだった。 ──Quietus

BATTLES
SUPPORT ACT: TBC

前売¥6,800(税込/別途1ドリンク代/スタンディング)
※未就学児童入場不可

明日正午より主催者WEB先行スタート!

東京公演:2019年11月4日(月・祝日)
GARDEN HALL

OPEN 17:00 / START 18:00
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFR:Rx:f4b65

大阪公演:2019年11月5日(火)
UMEDA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFS:Rx:558d4

名古屋公演:2019年11月6日(水)
NAGOYA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK 03-5768-1277

BEATINK主催者WEB先行: https://beatink.zaiko.io/_buy/1kFT:Rx:9c3fa

チケット詳細
先行発売:
8/21 (水) 正午12時〜:BEATINK主催者WEB先行
8/24 (土) 正午12時〜:イープラス最速先行販売 *8/28 (水)18:00まで
8/30 (金) 正午12時〜:ローチケ・プレリクエスト *9/3 (水) 23:00まで
9/2 (月) 正午12時〜:イープラス・プレ(先着) *9/4 (水) 18:00まで

一般発売:9月7日(土)~

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: BATTLES
title: Juice B Crypts
バトルス / ジュース・B・クリプツ

日本先行リリース!
release date: 2019.10.11 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-613 ¥2,200+tax
国内盤CD+Tシャツ BRC-613T ¥5,500+tax
ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

輸入盤CD WARPCD301 ¥OPEN
輸入盤2LP カラー盤 WARPLP301X ¥OPEN
輸入盤2LP WARPLP301 ¥OPEN

CD Tracklist
01. Ambulance
02. A Loop So Nice...
03. They Played It Twice feat. Xenia Rubinos
04. Sugar Foot feat. Jon Anderson and Prairie WWWW
05. Fort Greene Park
06. Titanium 2 Step feat. Sal Principato
07. Hiro 3
08. Izm feat. Shabazz Palaces
09. Juice B Crypts
10. The Last Supper On Shasta feat. Tune-Yards
11. Yurt feat. Yuta Sumiyoshi (Kodo) *Bonus Track for Japan

Vinyl Tracklist [2LP]
A1. Ambulance
A2. A Loop So Nice...
A3. They Played It Twice feat. Xenia Rubinos
B1. Sugar Foot feat. Jon Anderson and Prairie WWWW
B2. Fort Greene Park
C1. Titanium 2 Step feat. Sal Principato
C2. Hiro 3
C3. Izm feat. Shabazz Palaces
D1. Juice B Crypts
D2. The Last Supper On Shasta feat. Tune-Yards

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!
バトルスも所属するレーベル〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが先日公開され、これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。アイテムによって、販売数に制限があるため、この機会をぜひお見逃しなく!
https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

Tunes Of Negation - ele-king

 沢井陽子さんのコラムを読んでいると、もはや新しいものを生み出せなくなったNYのインディ・ロック・シーンが日本のシティ・ポップに慰めを求めているようで(というのは言い過ぎ?)、なんとも複雑な気持ちになる。ストップ・ターニング・ジャパニーズ、世界が日本化しちゃまずいんだって。それに、音楽は停滞しているように見えて、まだ未開の領域があると言わんばかりの作品も出ているのだ。

 シャックルトンの新プロジェクト、 Tunes Of Negation(Shackleton、Heather Leigh、Takumi Motokawa)、「否定の音」を意味する名前のこのプロジェクトのアルバムがヤバい。得体の知れない際どい感覚、ある種の恐ろしさ、そうしたものがここにはまだ生きているような気がする。まだサイケデリックと呼びうる音響があったのかという感じ。ベルリンのレーベル〈Cosmo Rhythmatic〉(キング・ミダス・サウンドの新作を出しているレーベル)から10月18日に現地ではリリースされる

Jeff Mills - ele-king

 近年はオーケストラのための作品映画『光』のサウンドトラックトニー・アレン御大とのコラボスパイラル・デラックスなどなど、多方面で活動を続けているジェフ・ミルズだけれど、その次なる一手はどうやらコンピレイションのようだ。といってもたんなるベスト盤ではない。これまで発表されてきた膨大な作品のなかから、「視覚(Sight)」「聴覚(Sound)」「空間(Space)」という3つのテーマに合致する曲をセレクトし、50ページもの解説と考察を加えたものになっているという。きっとジェフの思想ががっつり込められた、特別な作品に仕上がっているにちがいない。9月25日、日本先行発売。

Jeff Mills(ジェフ・ミルズ)の心と頭を覗く。「視覚」「聴覚」「空間」がテーマの新『感覚』コンピレーションをリリース決定。

エレクトロニック・ミュージック、テクノ・シーンのパイオニアとして知られるDJ/プロデューサー、ジェフ・ミルズ。

近年ではオーケストラの為に作品を書き下ろした作品『Planets』を発表、また自身のルーツであるジャズ・フュージョンのプロジェクトとして、大野由美子(Buffalo Daughter)、日野賢二、ジェラルド・ミッチェル(UR、Los Hermanos)らとのグループ“SPIRAL DELUXE”としてライブやリリースを行うなど、その活動は多岐にわたります。

また音楽活動だけにとどまらず、近代アートとのコラボレーションも積極的に行っており、2017年にはその功績が認められ、フランス政府より日本の文化勲章にあたる芸術文化勲章、Officier de la Légion d'honneur Ordre des Arts et des Lettres を授与されました。

今年、長いキャリアの中で発表してきた数々の名作を、日々、進化を続ける音楽とリスナーに対して、ジェフ・ミルズ本人が向き合い、再編集をしてアナログ・レコードでリリースしていく、「ディレクターズ・カット・シリーズ」をスタートしていますが、このシリーズのCDコンピレーション版としてジェフ・ミルズ自らが編纂する作品『SIGHT SOUND AND SPACE』をリリースすることが決定しました。海外ではジェフ・ミルズ主宰の音楽レーベル〈Axis Records〉より10月4日に、日本では〈U/M/A/A〉より9月25日に先行リリースします。

『SIGHT SOUND AND SPACE』では、これまでリリースされた膨大な作品の中から、人間が持つ感覚、Sight『視覚』、Sound『聴覚』、Space『空間』という3つのテーマごとに楽曲をセレクション。さらに、ジェフ・ミルズによるこの3つのテーマについての解説と考察。そして、どの様な契機、思考、制作プロセスを経て作品となったのか、すべての収録曲について語った貴重なテキストが収録される約50Pのブックレットが、特別なハードカバーブックケースに収録。

ジェフ・ミルズが何にどのようなに影響され、どのような意図を持って作曲活動をしているのかをジェフの解説によって知ることが出来る。まるでジェフの心と頭の中を覗き見るかような作品となっています。

エレクトロニック・ミュージック・シーンのリヴィング・レジェンドとして尊敬を集め、音楽作品だけでなくその発言にも注目の集まるジェフ・ミルズが、人間の感覚をテーマに編纂するコンピレーション・アルバム。ジェフ・ミルズの新作『SIGHT SOUND AND SPACE』は、〈U/M/A/A〉より9月25日にリリースされます。

【商品情報】

Jeff Mills『SIGHT SOUND AND SPACE』
2019年9月25日リリース

仕様:CD3枚組、解説ブックレット(和訳入り)+ハードカバーブックケース
品番:UMA-1127~1129
定価:¥4,300+税
発売元:U/M/A/A Inc.

[CD 1] Sight

1.Perfecture – taken from “Metropolis” CD
2.Deckard – taken from “Blade Runner” EP
3.Le Mer Et C’est Un Caractere - taken from “Sequence” CD
4.Homing Device – taken from “2087” CD album
5.The Never Ending Study – taken from “Etudes Sur Paris” album
6.The Drive Home - taken from “Woman In The Moon”
7.Parallelism In Fate - taken from “And Then There Was Light” film soundtrack
8.Devices taken from “At First Sight “ CD
9.Transformation B (Rotwang’s Revenge) – taken from “Metropolis” CD album
10.Sleepy Time – taken from “Trip To The Moon” CD album
11.Multi-Dimensional – taken from “Man From Tomorrow” film soundtrack
12.Descending Eiffel Stairs – taken from “The Crazy Ray” film soundtrack

[CD 2] Sound

1.The Hunter - taken from “Free Fall Galaxy” Album.
2.The Bells
3.4Art
4.The 25th Hour - unreleased
5.Growth
6.Spiral Galaxy
7.Microbe - taken from “The Power” CD
8.Jade - taken from “Every Dog Has Its Day Vol. 2”
9.Where The Shadows Have Motives – taken from the Rembrandt Experience soundtrack.
10.Flying Machines - taken from “Sequence” CD compilation
11.Compression-Release – taken from “Emerging Crystal Universe”
12.Into The Body – taken from “Fantastic Voyage” Soundtrack
13.The Resolution - taken from “Actual” 12” EP (2)
14.Spiral Therapy – taken from “The Power” CD

[Booket] And

ジェフ・ミルズ本人による書き下ろし各曲解説。CD収録曲にまつわる解説やストーリーを収録。

[CD 3] Space

1.Introduction – Phase 1-3 taken from “Fantastic Voyage” soundtrack
2.Mercury (Residue Mix) - Unreleased – taken from “Planets” CD
3.Unreleased002
4.The Believers
5.The Industry Of Dreams – taken from “The Messenger” CD
6.Stabilizing The Spin – taken from “Moon: The Area Of Influence” CD
7.G-Star
8.Planet X – taken from “Lost In Space” 12” EP
9.The Worker’s Party – taken from Gamma Player Compilation “Niteroi’ collaboration project
10.Daphnis (Keeler’s Gap) – taken from “X-102 Re-discovers The Rings Of Saturn”
11.Outer Space – Unreleased
12.Unreleased005
13.Self-Portrait taken from “One Man Spaceship” CD
14.Aitken Basin – taken from “The Messenger” CD
15.Deadly Rays (Of A Hot White Sun) – taken from “Where Light Ends” CD
16.Medians – taken from “Free Fall Galaxy” album

R.I.P. Ras G - ele-king

 LAのビート・シーンを代表するアーティストのひとり、Ras G こと Gregory Shorter Jr. が7月29日に亡くなった。直接の死因は発表されていないが、昨年12月、呼吸に異常を感じて救急搬送され、肺炎、高血圧、糖尿病、甲状腺機能低下、心不全と診断されたことを自らの Instagram で公表している。体の不安を抱えながらも、今年に入ってからは2月にハウス・アルバム『Dance Of The Cosmos』をリリースし、続いてビート集『Down 2 Earth, Vol.3』、『Down 2 Earth, Vol.4』を相次いでリリース。またLAローカルのイベントにもいままで通りに出演し続け、さらに今年6月に長野・こだまの森で開催されたフェス『FFKT』への出演も開催の約1ヶ月前に発表されていたが、しかし、健康上の理由で来日はキャンセルとなっていた。
 突然の訃報に際し、Ras G の盟友である Flying Lotus を筆頭に、LAビート・シーンの関係者はもちろんのこと、世界中から様々なアーティストが SNS にて追悼のメッセージを発表。そして、Ras G の遺族が彼の作品を未来へと遺すために基金を設立すると、それに呼応して、亡くなった6日後にはLAにてドネーション(寄付)を目的とした追悼イベント《Ohhh Rasss!》が開催され、入場が制限されるほどの大盛況になったという。また、《Low End Theory Japan》への出演や単独ツアーも含めて、幾度も日本を訪れていた Ras G であるが、この原稿を書いている翌日の8月10日には中目黒 solfa にて追悼イベント《In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN》が開催される予定で、一晩で40組ほどのDJの出演が予定されている。音楽性はもちろんこと、彼の暖かい人間性なども含めて、Ras G がこの日本でもどれだけ愛されていたかが伝わってくる。

 Flying Lotus と共に〈Brainfeeder〉の設立にも携わったという Ras G だが、彼のアーティストとしてのキャリアはまさにLAのヒップホップの歴史と密接に繋がってきた。アフリカ系アメリカ人が多く住むサウスセントラルの中でも、特にアフリカン・カルチャーの濃いエリアとして知られるレイマート・パークが彼の出身地であるのだが、そのレイマート・パークからほど近いところにあった Good Life Café でのオープンマイク・イベントや、さらにそこから派生した『Project Blowed』の現場に彼は十代の頃から足を運んでいたという。つまり Freestyle Fellowship や Jurassic 5 らを輩出した、90年代から2000年前半にかけてのLAアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンが彼のルーツとなっているわけだが、ラップよりもその後ろで鳴り響くビートに強い魅力を感じて、彼はビートメーカー/プロデューサーとしての道を選ぶことになる。
 2004年には、彼自身が店員として働いていたパサデナのレコード・ショップ、〈Poo-Bah Records〉にて自ら設立にも関わったレーベルより、同じくビートメーカーの Black Monk とのスプリットEP「Day & Night」をリリースし、これが彼のデビュー作となる。まだビートを作り始めたばかりの、荒削りな状態であった彼の才能に素早く気付いた Carlos Niño は、Dwight Trible & The Life Force Trio のアルバム『Love Is The Answer』にてプロデューサーのひとりとして起用。この作品をきっかけに Ras G はビートメーカー/プロデューサーとして本格的な活動を開始することになる。そして、現在はUKを拠点としているDJの Kutmah がオーガナイズしていた伝説的なイベント《Sketchbook》に Flying Lotus、Dibiase、DaedelusGeorgia Anne Muldrow らと共にレギュラー・メンバーとして出演し、彼らが中心となってLAビート・シーンの基盤が形成される。さらに Daddy Kev、D-Styles らが立ち上げた《Low End Theory》や〈Brainfeeder〉の成功によってシーンは一気に爆発することになる。
 そんなLAビート・シーンの創生期に、Ras G はEPのリリースやコンピへの参加を経て、〈Poo-Bah Records〉から Ras G & The Afrikan Space Program 名義で2008年にファースト・アルバム『Ghetto Sci-Fi』をリリースする。ヒップホップ、ダブステップ、スピリチャル・ジャズ、レゲエなど様々な音楽的要素がミックスされ、さらに彼のメンターである Sun Ra からも多大な影響を受けた、アフリカン・カルチャーと宇宙が融合したアフロフューチャリズムも大きなバックボーンとなったこの作品によって、彼はLAビート・シーンの最重要アーティストのひとりとしてLAローカル以外からも認識されるようになり、アルバム・タイトルである “Ghetto Sci-Fi” は彼のサウンドの代名詞にもなっていく。以降は〈Poo-Bah Records〉だけでなく、〈Brainfeeder〉や〈Leaving Records〉などからシングル、EP、アルバム、ビート・テープ、ミックスCDなど次々と作品をリリース。さらにラッパーの The Koreatown Oddity とのプロジェクトである 5 Chukles を含む、様々なアーティストのプロデュースやリミックスなども多数手がけ、自らのスタイルと地位を確立することになる。

 そんな文字通りのLAビート・シーンを代表する Ras G であるが、良い意味でアーティストらしからぬキャラクターも、彼の大きな魅力であった。筆者もLAに住んでいた頃に、様々な現場で彼と遭遇したが、自ら出演するイベントであっても、常にメローな雰囲気は崩さず、しかし、一旦、ステージ上で彼の愛機である SP-404 を叩き始めれば、スピーカーから爆音で流れてくるファットなビートとのギャップにいつも驚かされた。ちなみに最も彼と遭遇した場所は、おそらく《Low End Theory》だと思うが、出演しない週であっても、かなりの頻度で遊びに来ていて、あの場は彼にとっての本当の意味でのホームであった。そういえば、あるとき、レコードを掘りに〈Poo-Bah Records〉へ行った際にたまたま彼がお店にいて、その日がちょうど《Low End Theory》が開催されている水曜日だったので、車を持っていない彼を自分の車に乗せて、一緒に《Low End Theory》まで行ったことがある。いつもは挨拶程度の関係であった彼と一緒にLAの街をドライブしてるのが少し不思議で、そして嬉しくもあった。
 最後に Ras G と会ったのが、一昨年(2017年)の3月に来日したときで、会場となった Club Asia の楽屋で喋った彼は、LAで会っていたときと何ひとつ変わらないメローな雰囲気を纏っていたのを記憶している。結果的には最後の来日となった同年8月のイベントには行けなかったが、しかし、LAの《Low End Theory》に行けば、いつでも彼の姿があったように、またいつかすぐに会えるだろうと漠然と思っていた。だからこそ、彼の訃報を聞いてからずっと、心の中にぽっかりと穴が空いたような感覚がずっと続いている。その感覚の意味を確かめるためにも、明日は中目黒 solfa のイベント《In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN》へ行こうと思う。

In Loving Memory of Ras_G . . . Fund Raising TYO JPN

 90年代後半は、アメリカのカレッジタウンによくショーを見に行っていた。とくにジョージア州のアセンスでは、エレファント6のバンド仲間と仲良くなり、みんなで音楽を紹介しあったりしていた。その中で、日本の音楽に詳しい人がいて、アフターディナーや梶芽衣子、マライアなどを教えてもらった。
 2年前の2017年、Oya festivalにために、初めてオスロに行った。日本の居酒屋があるというので入ってみると、懐かしい日本の音楽がかかっていた。友だちに聞くと「いま流行ってるんだよ、シティ・ポップ」。聴いたことのある曲もあったが、私はほとんど知らない、でもたしかに日本の80年代の音だった。日本の音楽がオスロで流行ってるのかと枝豆や芋餅、しいたけバターポン酢を食べながら思った。ビールは定番サッポロ、アサヒ、キリン他、常陸、よなよな、青鬼IPA、水曜日の猫などがあった。

 ブルックリンに帰ると、日本のレコード店のフェイス・レコードが、ウィリアムスバーグにオープンしていた。日本の懐かしいポップスが壁全面に並んでいて、昭和の日本に来たようだった。マック・デマルコが細野晴臣の“honeymoon”をカヴァーしたら、〈light in the attic〉が細野晴臣の作品を再発して、アメリカでショーをした


 とにかく、アメリカ、ヨーロッパで、シティ・ポップ流行りなこの頃だが、最近、日本の音楽がますます大衆化していると思ったのは、レッドウィング・ヘリテージで金延幸子の定番『み空』のリスニング・パーティがあったからだ。

 レッドウィング・ヘリテージは、NYのトライベッカにある洋服と靴を扱うアメリカの良き伝統を引き継ぐお店で。アメリカっぽいカウボーイハットを被った店員がソファーに座ってアコースティックギターを弾いていたり、犬と戯れていたりする、良質なアメリカ産のパンツと靴がたくさん並んでいるブティック。そんなお店が〈Light in the Attic〉と手を組んで、金延幸子のリスニング・パーティを開いた。どこがどう転がってこうなったのか──。

 簡単な経緯はこうだ。レッドウィングのマネージャーが音楽好きで、個人的によく〈Light in the Attic〉のレコードを買っている。レーベルにお店でもよくプレイすることを伝えると、じゃあプレイしてと、レコードが送られて来るようになった。こうして関係性が築かれていったようだが、聞くところによると、彼もフェイス・レコードに通って日本盤をよく物色しているらしい。フェイス・レコードはアメリカの音楽シーンにかなり貢献している。
 見たこと聴いたことのないリスナーにとって、そういった古い音楽は新ししい音楽になる。新しいものばかりを追っていた時代は過ぎて、時代を越えて良いものが再評価されている、これが2019年スタイルなのだろう。古い音楽にも簡単にアクセスできるし、再発レーベルも増えている。すでに良い音楽があるなら、それを発見して楽しもうという姿勢だ。こうしていろんなジャンルの音楽、時代をミックスした音楽が生まれる。
 金延幸子を知っていた人はまだあまりいなかったが、このパーティや再発で知って、またディグしたり、友だちに教えたりする人が出てくるはず。新しいものにオープンだからこそ古い音楽も新しい音楽として受け止める。わざわざその音楽を聴くために足を運ぶ。音楽はこういうスモール・パーティで受け継がれていく。レッドウィングでの笑顔を見ながらそう思った。

interview with Yutaka Hirose - ele-king

1980年代の日本の環境音楽が国際舞台で再評価されていること自体はポジティヴな出来事に違いないが、その代表のひとつを芦川聡のサウンド・プロセス一派とするなら、やはり、ニュー・エイジと一緒くたにするべきではないだろう。というのも、彼らは環境音楽をジョン・ケージ以降の音楽として捉えていたからだ(つまり、感情や感覚ではなく、妄想や幻覚でもなく、極めて論理的に考察されている)。
しかしながら、海外メディアが80年代における日本のアンビエントの急速な展開を高度経済成長がもたらしたさまざまな害悪(都市生活のストレス、モルタルとコンクリートが引き起こす閉所恐怖症、自然破壊などなど)への反応と分析するとき、まあそれはたしかに遠因としてあるのだろうと認めざるえない側面に気が付く。細野晴臣のアンビエントはYMO以降における心の癒しでもあったし、実際、疲れ切った都会人の心に吉村弘の透き通ったアンビエント・サウンドが染みていくのも、自分も疲れ切った都会人のひとりとしてわからなくはない。
とはいえ、80年代日本のアンビエントにおける重要な起点となったサウンド・プロセスが、“風景としての音楽”、“音楽が風景となること”を感情や感覚、あるいは幻覚ではなく、極めて論理的に考察していったという史実は知っておいてもいいだろう。
1980年代、ジョン・ケージに強く影響を受けた組織〈サウンド・プロセス・デザイン〉を拠点に、吉村弘、芦川聡といったメンバーを中心としながらリリースされていったアンビエント作品は、最初は超マニアックなコレクターたちが火を付け、現在ではさらにもっと広く聴かれはじめている。そんな折りに廣瀬豊が1986年に残したアルバム『Nova』が再発された。しかも2枚組で、環境音楽の“その後”を知るうえでも興味深い未発表音源が収録されているという、世界中が待っていた待望のリイシューである。
以下、現在は山梨で暮らしている廣瀬さんが東京に来るというので、新宿の喫茶店で2時間ほどお時間をいただいた。はからずとも、その数時間後にはれいわ新撰組が最後の街頭演説をすることになる、そのすぐ近くの喫茶店だった。

じつをいうと、『Nova』という作品の存在をほとんど忘れていたんです。言われてみればそんなこともやったなと、しかしそれが何でいまなんだろう? という感じです。

ご自身が1986年に発表した作品が何十年というときを経てこのように評価されている現状に対して、どのような感想をお持ちですか?

廣瀬豊(以下、廣瀬):まずは驚いているという感じです。変な話なんですけど、(J・アンビエント再評価など)いろんな話が出てくる前は、個人的にはちょうどフェイスブックをはじめたころで、そのとき作っている作品をアップしていました。どんな反応が来るのかと。そうしたら、「『Nova』という作品はもしかしてあなたですか?」という質問がいろんなところから来たんです。

それは何年ですか?

廣瀬:2012年~2013年あたりでしょうか。台湾から来たり、アメリカから来たり、フランスから来たり。最初は何のことかわかりませんでしたね。じつをいうと、そのときの自分は『Nova』という作品の存在をほとんど忘れていたんです。言われてみればそんなこともやったなと、しかしそれが何でいまなんだろう? という感じです。
しかし、いったん『Nova』のことを思い出すと、やり残したことが多かったことも思い出して。じっさい、もっとできただろうという少し悶々とした気持ちもあったんです。当時はプロデュースされる側だったし、20代前半で若かったので。

『Nova』を作られたときはおいくつですか?

廣瀬:『Nova』が1986年、私は1961年生まれなので、この話をもらったのが24歳のなかばから25歳に入るくらいでした。血気盛んな頃というか(笑)。

そもそも廣瀬さんは、どのような歴史をお持ちなのでしょうか? どんな音楽を聴いていて、どうしてアンビエント・ミュージックにアプローチしたのでしょう? プロフィール的なことを教えて下さい。

廣瀬:生まれは山梨県甲府市です。中学生のときにロックを聴きはじめるんですけど、プログレから入っちゃったんですよ。最初はUKのプログレを聴いて、そのあとすぐに〈ヴァージン〉からマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』が出て、これこそ聴きたかった音楽だと思いました。それをきっかけにヴァージン系の音ばかり聴いて、そのあとジャーマン系のプログレも聴いて、あとはなしくずしでいろいろな方向の音を聴きはじめました。

電子音楽というか、シンセサイザーという要素は大きかったんですか?

廣瀬:シンセサイザーの音もそうなんですけど、ミニマル的なものとか音楽的ではない感覚、コードがあって歌があって盛り上がってという感じではない、空間的、空気的なことをイメージする、その当時からアンビエント思考みたいなものがあったのかもしれません。なのでそういった音楽を中心に探していきました。ゴングやファウストのシンセの使い方と他の楽器による反復、そしタンジェリンドリームのシンセだけの反復は自分の体感に合っていた感じています。
音を作りはじめたのは……、いろいろな音を聴いていくうちになぜかだんだん聴くものがなくなっていって、だったら自分で作っちゃえというのがことの発端です。家にあったカセットのテープレコーダーと鍵盤楽器を使ってテリー・ライリーみたいなことをはじめたり、フィリップ・グラスみたいなことをはじめたりしました。大学に入ってからマルチのカセットを買って、多重録音みたいなこともはじめました。アンビエントに関してもっとも影響を受けたのは、アンビエント・シリーズよりも〈オブスキュア〉シリーズです。こっちのほうが自分の感覚に合っていた。環境音楽なんだけど、どこか尖っている、デイヴィッド・トゥープとかに興味を感じましたね。

ギャヴィン・ブライアーズとかジョン・ケージとか?

廣瀬:まさにそうです。ジョン・ケージもジャン・スティールと一緒にあのシリーズから出ていましたね。そういったぎすぎすな音(反復みたいなもの)が好きだでした。

イーノがアンビエントを定義しますよね。注意して聴かなくてもいい音楽であると。それはエリック・サティに遡ることができると。ああいうイーノのコンセプトというよりも〈オブスキュア〉で彼がやっていたちょっと実験的なことのほうがお好きだったということですか?

廣瀬:〈オブスキュア〉の方が自分に合ってました。もちろん『Music for Airports』も好きで聴きますし、ハロルド・バッドも好きなんですけど、しかし自分のなかでもっとも大きかったのは〈オブスキュア〉シリーズでした。ギャヴィン・ブライアーズの「タイタニック号の沈没 / イエスの血は決して私を見捨てたことはない」とか。ジョン・ホワイトとギャヴィン・ブライアーズがやったマシーン・ミュージックなんかもすごく好きでしたね。イーノに関しては、(アンビエントというよりも)ソロになってからの4枚、『Here Come the Warm Jets』、『Taking Tiger Mountain』、『Another Green World』、『Before And After Science』といった作品が強烈なイメージとしてまずあったんです。
イーノを語るうえでもおもしろいのはロバート・ワイアットです。ロバート・フリップとの共作についてはあとで話しますが、ロバート・ワイアットの『Ruth Is Stranger Than Richard 』のA面の4曲目、“Team Spirit”という長い曲があるんですけど、ワイアットがイーノと一緒にやっているその曲がほんとうに素晴らしいんです。ワイアットはその後、『Music For Airports』でもピアノを弾いています。それも素晴らしい音色だと思います。
イーノとロバート・フィリップに関して言うと、『 No Pussyfooting』と『Evening Star』の2枚は私にとって宝物みたいなものです。こんなに歌っちゃっていいのかというくらいギターが歌っているというか、アンビエントなんですけど歌っているんですよ。あの2枚にはロバート・フィリップのベスト・プレイが随所に現れて気持ちが良いです、そして、その後のフリッパートロニクスのざらついたテープエコーの音は自分にとって肌の一部みたいな感じです。

リスナーとして、いろいろな音楽をかなり貪欲に聴かれていたんですね。

廣瀬:それが土台になっています。大学最後の年の1983年にハロルド・バッドが来日するんですけど、そのイベントを通して芦川(聡)さんとお会いしました。遊びにいってもいいですか? という話になって、芦川さんのサウンド・プロセス・デザインの事務所に自分のテープをこっそりもっていったんですね、こうして芦川さんに自分の作品を聴いてもらったんです。芦川さんは良いところも悪いもところも言ってくれて、こうしたほうがもっとおもしろくなるよ、というようなアドヴァイスまでくれました。それ以来、週に2日くらいのペースで夕方になると事務所に行って、いろんなことを話しました。

芦川聡さんはどういう方だったんですか?

廣瀬:芦川さんは最初はアール・ヴィヴァンというもと西武にあった現代音楽を専門に扱っていたお店で働かれていました。その当時はまだ芦川さんとは知り合ってないんですけど、とにかく私は通いまくっていましたね。レコードだけではなく、譜面もごそっとあったんですよ。ジョン・ケージの楽譜、シュトックハウゼンの楽譜その他もろもろの楽譜とか。なけなしの小遣いでとにかく買い集めていました。
あるときアール・ヴィヴァンで、今度ナム・ジュン・パイクとケージが来るという話を聞いたんですね。それでケージをはじめて体験したのが軽井沢の公演でした。これがまたすごいパフォーマンスで、会場はひとつの部屋なんですけど、その部屋を出て、いろんなところで演奏をやられていました。どこから音が出ているかわからない状態でした(笑)。

サウンド・プロセス・デザインはどんな組織だったんですか?

廣瀬:当初はアール・ヴィヴァン関係の方を中心にひとが集まって、イベントをやったりというような感じのところでした。じつは私は、大学を出たらサウンド・プロセスに入りたかったんです。しかしまだ設立されたばかりで、ひとを雇用するという感じではなかった。だから仕方なくほかに就職しましたね、3ヶ月で辞めちゃうんですけど(笑)。その頃に吉村さんにもお会いしました。サウンド・プロセス・デザインの事務所で、吉村さん、私と、あと何名かで飲んだり……。そういう時期でした。
サウンド・プロセスは、芦川さんが不慮の事故でお亡くなりになってからは田中さんという方が引き継がれて、博物館とか科学館とか、当時流行っていたカフェバーとかに音空間の概念を提案しサウンドデザインを行うということを具体的に仕事として成立させてましたね。また、公共施設、公園にさまざまな音具やサウンド・スカルプチャーを用いた音環境の提案もはじめられていました。
私自身はアスキーという会社に入って、Z80というチップでどんな音ができるかということをやってみないかと誘われました。当時その部署には使えるお金があったので、とにかく最新の音楽の機材がバンバン入ってくる。日々使い放題でした(笑)。この機械にはこういう可能性がある、ローランドのこれにはこういう可能性があるとか、いろいろ試しながら自分の新しい音楽を探していったんです。その間も様々なデモ音源の制作は続けていました。
その後しばらくして、ミサワホームからサウンド・プロセス・デザインに住宅環境における環境音楽を作って欲しいという話がきました。そこでまずは吉村さんが1枚制作されました。あともう1枚作って欲しいというときに、私に話が来たんです。自然音を取り入れたものにして欲しいと、それが『Nova』になるわけです。

影響を受けたのは、アンビエント・シリーズよりも〈オブスキュア〉シリーズです。こっちのほうが自分の感覚に合っていた。環境音楽なんだけど、どこか尖っている、デイヴィッド・トゥープとかに興味を感じましたね。ジョン・ケージもジャン・スティールと一緒にあのシリーズから出ていましたね。そういったぎすぎすな音が好きだでした。

自然音についてや風景としての音楽に関する考察は、『波の記譜法』のなかで芦川さんがけっこう書かれていますよね。弁証法的な書き方で。サティはまず音楽そのものの在り方を疑った。ジョン・ケージがさらにまたそこに疑問符を投げかけた。音が風景になることや環境音楽に向かうプロセスについての考察がなされていたと思いますが、じっさい当時はそのような議論が活発にあったわけですよね?

廣瀬:無音の曲と言われている“4分33秒”という曲があって、でも実際はまわりの音自体がサウンドになっていくというひとつの考え方もあるけど、別の側面では“4分33秒”は休符のみでされた休符の音楽という意味もあり、まわりの音(自然音)を音楽として捉えることのできる可能性と、音楽がまわりの音(自然音)の一部になる可能性についていろいろと思考していました。そんななかテーマとして要求される自然音を取り入れた音楽は何なのかと、自然音はあくまで自然音でありその自然音で音楽を構築するのかと、当時私自身はすごく悩んだのを覚えています。
たとえば吉村さんの『Surround』にしても、あれを聴いて思うのはあれ自体でもう自然音だと。自分の想像のなかで、波の音がそこにあったり、水滴のがそこにあったり、音楽から自然音というものは聴こえてくるような素晴らしい作品だと思う。僕に与えられた命題は、自然音を取り込んだ環境音楽を作りましょうということだったので、テーマとしてはものすごく難しかったんです。じゃあ果たしてどうやればいいのかというところからはじまったと思います。

そういうふうに命題を投げられるんですね。

廣瀬:投げられました。吉村さんには吉村さんとしてのすごい名盤がある。芦川さんは芦川さんとしての名盤がある。それを模倣するだけではダメだし、命題から外れてしまう。じゃあどうするかというところで、とにかくすべてをサンプリングしていこうと。それをフェアライトに全部押し込んでいった。それを全部プログラミングしながら音を作っていくという作業、ものすごく細かい作業をはじめました。

サンプリングって当時どういうふうな?

廣瀬:フィールド・レコーディングしたサンプリングだったり、映画とかラジオドラマとかでSEを作られている会社から頂いた音を入れ込んでいったんです。そうして作ったのが“Epilogue” です。“Epilogue”では水滴の音と、氷のような音など、鍾乳洞のなかの音環境はもしかしたらこういう感じかなと思いながら作りましたね。それが一番最初に作った曲なんですけど、あまりにも時間と労力がかかりすぎました。たった7分半くらいを作るのに神経がズタズタになるような感じでしたね。プログラムしていって、結局スコアを書かなければいけないことになるんですよ。

スコアと言っても普通のスコアではないですよね。

廣瀬:そうです。当時は音の持つパラメータすべてを数字で入力してましたから、普段でインプロで弾いた内容に対してあれこれと手を加えて形にするの違い、ミスも許されずに、全部入れ込まなければならく大変でした。

当時プログラミングしていくのは、いまとはまたやり方が違いますもんね。

廣瀬:違いますね。いまみたいに楽譜での入力やループの素材をコピペするのと違い、先ほどもお話しましたが音のパラメータを数字を打ち込んでいくのですが、いろいろな打ち込み方があり、それを試していると時間もかかるし、お金もかかるし、そして僕自身も辛くなるなと思いましたね。それで方向転換しなくてはいけないなということになったんです。そこからはじまったのが、残りの曲です。“Nova”という曲はまた新たに作りました。それ以外の曲は以前に作っていた曲でした。『Nova』のために作ったわけではないんだけど、『Nova』のために編曲し、『Nova』のひとつひとつの個性として形を変えました。

元の曲があったんですね。

廣瀬:自分が持っていたものに対して、どういう考え方に変わったかということなんです。だったらミニマルもそうですけど、自然音に対して逆に音楽的なものをぶつけたらどうだろうと。『Nova』は1曲目の“Nova”と最後“Epilogue”を除いて、わりと音楽的なんですよ。逆に言うとアンビエントになっていないのかもしれない。しかし、アンビエント・ミュージックを考えるのであれば、吉村さんの『Surround』がすでにある。それとの違いを出すためにはどうしたらいいかというと、あえて自然音に対して音楽をぶつけていくことによって新たな空間ができるんじゃないかなと私は考えました。
映画のサウンドトラックはおおいにヒントになりましたね。映画って、音楽が入っていてそのうえに自然音を被せている。たとえば、黒澤明の雨のシーンで、太鼓が鳴りながら雨が降っているみたいなものがありますよね。つまり、それもまた自然かなと。そういう結論になったんです。
1曲目の“Nova”では水滴、川の流れにはじまって、鳴りものが入って、ピアノが入ってストリングスが入っていくという音風景を作っています。この曲を最初にしたのは、アルバムの最後で鍾乳洞に行き着くというプロセスを表現しようと思っていたからです。2曲目は朝の感じをもった曲を想定して、それに合ったを音を自分のライブラリーのなかから探しました。そのなかに鳥の鳴き声なんかもあって、風景の音像を作っていく。そうして完成したのが“Slow Sky”ですね。その次はじゃあ昼だとしたら、ノスタルジックな昼がいいと思って、虫の鳴き声が入っている“In The Afternoon”ができた。あの曲ではミニ・ムーグを手で弾いているんですよ。

制作はたいへんでしたか?

廣瀬:苦労して泣きそうになりました(笑)。

どのくらい時間がかかったんですか?

廣瀬:かなりかかったと思います。ある程度自宅でデータを作ってきました。ただ、データを作って音にした後も、どうしてもニュアンスが違うところは手で弾きました。

当時作ったデータを保存するというと、オープンリールですか?

廣瀬:16トラックのオープンリールでした。それと5インチのフロッピーディスク。

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吉村さんには吉村さんとしてのすごい名盤がある。芦川さんは芦川さんとしての名盤がある。それを模倣するだけではダメだし、命題から外れてしまう。じゃあどうするかというところで、とにかくすべてをサンプリングしていこうと。それをフェアライトに全部押し込んでいった。

海外で日本の80年代のアンビエントが非常に評価されるなかで、アンビエントではなくて、環境音楽というのが英語化してKankyo Ongakuなんて呼ばれたりしていますが、廣瀬さんご自身はEnvironmental Musicという言葉をどう思っていますか? 自分達がやってきた、吉村さんや芦川さんと一緒にやられてきたことというのは、やはりEnvironmental Musicみたいなものでしょうか?

廣瀬:イメージとしてはEnvironmental Musicからアンビエントまでという感じだと思います。だから決してニューエイジにはなっていないと思います。そもそも『Nova』をやっていたときは、アンビエントのこともあんまり意識していなかったんです。サウンドスケープというコンセプトのほうを意識していました。『Nova』は当時のアンビエントからはずれているんじゃないかと思います。だから逆に(近年になって)みなさんに興味を持っていただいたのかなと思ってます。

しかし日本には独自のアンビエント的なフィーリングがあるとよく海外のひとが言いますよね。空間とか、間とか。

廣瀬:とくに“間”についてはかなり意識しました。『Nova』の最終的なミックスのときに、たとえば水滴からほかの音に移り変わるときのどこか、ピアノの移り変わるときの音の幅。どれだけその幅をとって、緊張感を持たせるのかというところはかなり意識しています。他の曲に対してもなんであんなにテンポが遅いのかという話になるんですけど、それはそういうテンポが必要だったんです。とても遅いテンポ感とギリギリまで間延びさせた音の作り方。“Slow Sky”なんかすごく間延びしたような感じがするんですけど、それがないと自然音が落とし込めない。

『Nova』に関する当時の反応はどんなものでしたか?

廣瀬:『Nova』が出て半年くらいしてからアメリカに行って、帰国してサウンドプロセスに入りました。いまはSNSで反響がわかるけど、当時はまったくで……どれだけ売れたのか、どういう評価が得られたのか、まったくフィードバックがなかった。これってもしかして世のなかから無視されているのかなと思いましたね(笑)。『Nova』がなぜそれほど自分のなかに残らなかったのかというと、当時フィードバックが何もなかったからなんです。

雑誌のレヴューもなかったんですか?

廣瀬:まったく見ていなかったです。そう言えば吉村さんの作品レビューも見たことが無かったと思います。

話が逸れますけど、吉村弘さんはどういう方だったんですか?

廣瀬:吉村さんは1940年生まれで、早稲田を卒業されてタージマハルにちょっといて、そのあとは芦川さんと一緒に制作をされていました。『Music For Nine Post Cards』という外国の方とフレーズを送りあいながら作った作品が最初ですね。82年だったと思います。『Music For Nine Post Cards』が出て、吉村さんという方がブライアン・イーノみたいな作品を作っているという評判があって、それで私も聴いてました。吉村さんはすごくおしゃれなんですよね。ごっついんですけど、おしゃれで温和で優しい方だったんですよ。何に対しても怒った感じは示さない方でした。
尾島(由郎)さんや吉村さんはファッションショーか何かのカセットも出されていたんです。吉村さんの『Pier & Loft』なんかそうですね。おしゃれだな、うらやましいなと思っていました(笑)。
私のほうは、サウンド・プロセスでいろいろなことを試みていました。三上靖子さんのサイバーパンク・アートにちょっとインダストリアル風の音を付けたこともありした。ほかにも少し毛色の変わったアンビエントを出したりしていたんですが、CDの2枚目にはその頃の未発表曲が入っています。イノヤマランドさんと仲良くなったのはその頃でしたね。井上(誠)、山下(康)さんにはお世話になりました。
イノヤマランドさんとは一緒にパビリオンの仕事をしていました。場所ごとに担当が分かれていて、たとえば、イノヤマランドさんがここを受け持ったら、私は別の場所を受け持って、吉村さんはさらにまた別のところ受け持つといった感じです。私とイノヤマランドさんと吉村さん、だいたいこの3人がどこかをやるという感じでした。
そういえば、川崎市市民ミュージアムに地下の断層、東京都の地下を断面だけ切り取ったブースがあったんですけど、そこの音も作りました。そういうアプローチでしたから自分的にはアンビエントというよりかは、どうしてもサウンドスケープとして自分の音を認識していました。

音の風景。

廣瀬:音の風景をどういったふうに作るか、いかに音の彫刻を作るのかというイメージです。だからノイズであろうと、心地よい音であろうと、もう使い方次第なんです。未発表音源ではコンピュータは一切使っていません。ちょうど『Nova』のカセットテープ・ヴァージョンの一番最後の曲が、今回発表する未発表曲のはじまりです。オープンリールを前にして、とにかくあるトラック数に入れ込むだけ自分の想像するものを入れ込んでしまう。あとから引いていけばいいし、また足していけばしい。最終的にイメージするサウンドスケープの姿を想像しながら音を構成する、そういう作り方でした。それがCDの2枚目にある未発表曲集です。

未発表音源はいつぐらいの制作なんですか?

廣瀬:『Nova』のほぼあと、『Nova』と同時期に作っていたものもあります。ミックスダウンしたのは少しあとになります。

今回ここに収録された曲以外にもたくさんあるんですね。

廣瀬:実はあります。いま1983年から1992年まで制作した音源だけで手元にCD24~25枚あると思います(笑)。選りすぐればたぶんCD2~3枚は作れるんじゃないかな。

出しましょう(笑)。

廣瀬:少しずつ(笑)。サイバーパンク系統からはじまった地下の断面とかは自分としても面白いですし。それ以前にやっていたもっとインダストリアルというか、ジャーマン・ロックに影響された音も興味深い内容だと思います。いま、自分のフェイスブックで毎月ふたつずつくらい昔の曲をあげているんですよ。

いまはSNSで反響がわかるけど、当時はまったくで……どれだけ売れたのか、どういう評価が得られたのか、まったくフィードバックがなかった。これってもしかして世のなかから無視されているのかなと思いましたね(笑)。『Nova』がなぜそれほど自分のなかに残らなかったのかというと、当時フィードバックが何もなかったからなんです。

いまアンビエントが環境音楽として再評価されていくなかで、ぼくなんかが思うのは日本はすごくアンビエント・ミュージックが得意というか。

廣瀬:私もそう思います。雅楽におけるあの間とか、そういったものが心のなかに沁みついている部分が日本のもつ空気感ですね。

ジョン・ケージは松尾芭蕉が好きだったし、俳句は風景を、音を描写するようなものが多いですし。

廣瀬:ジョン・ケージにもメシアンにも“七つの俳句”という曲もがあります。それは行間を読むみ、音の間を読むという感じに聞こえます。その音に込められたのは日本の俳句による音の描写への敬意だと思います。そういう意味で日本のおとの感覚から生まれた日本のアンビエントが世界中の人の注目を集めているということはよく分かります。
私自身が高校生くらいのとき、とくに好きだった日本人の作家は富樫雅彦さんの『Spiritual Nature』、『Guild For Human Music』、『Essence』は70年代半ばからジャズから離れて、アンビエントに近いようなことをすごくやられているんです。パーカッションがぽこぽこなりながら雅楽の様なサウンドが入り込んでくる、まさにいま和モノと言われているサウンドの先駆けと感じます。僕のなかの和モノは何だろうなと考えると、武満さんは当然として、やっぱり富樫雅彦さんのこの時期の作品は捨てがたく再評価されて、ボックスでも出ないかなと思っています(笑)。

曲を作っていてはいたけれど、『Nova』のようにアルバムとして発表しなかったのは、音楽がその場のためにあるみたいな作られ方をしていたからでしょうか?

廣瀬:そうです。当時は建物の基本設計の段階から、どこにスピーカーを置いて、じゃあどういった音場にするかを検討していました。そこに作られる音場は音楽というよりは音の空間構成みたいな手法で、ほとんどがマルチで音を構成するようにしていました。1のユニットとして音(曲)を作っているんですけど、それをトラック単位で分割し曲の長さを変えランダムに流して行くという感じです。たとえばAという音源が10分という尺にしてあったらBは9分にする。それをループにすることで、流しながら自動的にミックスされるので同じ構成には絶対にならない。だからどうしても最初の段階で音楽的な音作りではなくサウンドスケープを意識した音作りに特化していったのです。
そういった意味から既存LPやCDの概念では収めることはできないと思っていました。だから『Nova』がわりと固定化されている音楽に対して、ディスク2は自由度が高い音の作り方をしたサウンドスケープ(アンビエント)が意識できると思います。

芦川聡さんが『波の記譜法』で書いていますが、吉村さんの作品にはちょっとオルゴールのような、ある種メルヘン的な魅力がある。そこへいくと、廣瀬さんの音楽はアブストラクトですね。メロディになるかならないかのギリギリみたいな響きがある。

廣瀬:メロディが出てきてしまうと音の空間構成ができなくなってしまう。メロディがあると、メロディに空間がとられちゃうんですような意識があったと思います。

廣瀬さんは、しかし東京から甲府に帰られてしまいます。

廣瀬:花博のパビリオンをやっているころから体調を悪くして、その仕事が終了したあと身体を壊し甲府に帰りました。その後、北巨摩(現在北杜市)の清里にあるヨゼフ・ボイス、ジョン・ケージ、フルクサス系統の作品を中心展示していた清里現代美術館で、1992年にジョン・ケージの追悼展覧会があり、そこで音のことをやらせて頂いたのが音の仕事としては最後でした。 (了)

Battles - ele-king

 00年代半ばに登場し、いわゆるマスロックの文脈に大きな衝撃を与え、10年代以降も革新的な試みを続けてきたNYの実験的ロック・バンド=バトルスが、通算4枚目となるオリジナル・アルバム『Juice B Crypts』をリリースする。前作『La Di Da Di』が2015年だから、4年ぶりのスタジオ盤だ。いつの間にかデイヴ・コノプカが脱退し、イアン・ウィリアムスとジョン・ステニアーのデュオになってしまった彼らだけれど、ゆえにもしかしたら方法論も変化しているかもしれない。イエスのヴォーカリストや台湾の落差草原 WWWW、シャバズ・パレセズにチューン・ヤーズから鼓童のメンバーまで、相変わらず独特のゲストたちが参加している模様。アナウンスとともに新曲“Titanium 2 Step”が公開されている。いまバトルスが打ち鳴らそうとする音楽とは、はたしてどのようなものなのか? リリースは10月11日(日本先行発売)。うーん、秋まで待ちきれないぞ。

[9月27日追記]
 2週間後に待望の新作『Juice B Crypts』の発売を控えるバトルスが、同アルバムより新たに“A Loop So Nice…”とセニア・ルビーノスをフィーチャーした“They Played it Twice”の2曲を公開。相変わらずかっこいいわー。11月の来日情報はこちらから。

[10月31日追記]
 まもなく来日公演を迎えるバトルズが、最新作『Juice B Crypts』より新たに“Fort Greene Park”のMVを公開した。ディレクターを務めたのは、スケートボード・ヴィデオの制作で知られる映像作家のコリン・リード。なお29日には彼らのボイラー・ルームでのパフォーマンス映像も公開されており、“Ice Cream”や“Atlas”などトリオ~クァルテット期の代表曲も演奏されている。いやー、ライヴが楽しみです。

interview with South Penguin - ele-king

 South Penguin の名をはじめて耳にしたのは、おそらく2015年頃、Taiko Super Kicks のメンバーからだったと思う。そのときの会話は才能豊かな若者の登場を私に強く印象付けるものだったと記憶している。後に人を介して邂逅することのできたリーダーのアカツカ氏は、当時大学生だったにもかかわらず、懐の大きさと人懐こさを抱えた好人物であった。その際に、岡田拓郎氏をプロデューサーに迎えデビューEP(「alaska」)を制作している旨も聞いていたのだが、果たして仕上がった作品を聴いてみて、非常に繊細な美意識に貫かれた高クオリティのインディー・ポップぶりに、その磊落(そうにみえる)な人柄とのギャップに少し驚きを覚えたりもしたのだった。
 以来 South Penguin というバンド並びにアカツカ氏は、私の音楽地図の中で不思議な存在感を占めている。2017年には、メンバーの大量脱退という決して慶賀すべきでないエポックを経ることで、一時期は音楽活動に膿み沈潜する期間もあったと言うが、見事な出来栄えのセカンドEP「house」が届けられると、やはりその妙味溢れるインディー・ポップに魅せられもした(また、活動の本格再開を陰ながら願ったりもした)。その後再びアカツカ氏に会うことになるのが確か昨年の秋ころで、プロデューサーの岡田拓郎氏とともに筆者が駐在する某スタジオへレコーディングに現れたのだった。そのとき、いよいよファースト・フル・アルバムを制作中であること、充実のサポート・メンバーを得てライヴ活動も順風におこなっていること、そしてアジア各国でにわかに人気者になっている、というようなことを聞いたのだった。冗談なのか本気なのかわからない皮肉を小気味よく繰り出す様に、かえってその活動の充実を感じ、ささやかながらのいちファンとして安堵するとともに、アルバムへの期待感を高めることにもなった。

 果たしてここに完成したアルバム『Y』は、これまでの South Penguin の堂々たる集大成にして、新たなスタートの門出を飾るに相応しい素晴らしい内容になっている。これまでの作品に聴かれたような内外のインディー・ロック~ポップの前線との共振や様々な音楽遺産への確かなパースペクティヴは更にその深度を増し、作曲、作詞、アレンジ、演奏、歌唱のあらゆる面で格段の音楽的伸長が認められる。
 繊細と磊落、緊張感とリラクゼーション、妙なる機微と豪放なダイナミズムが不思議にバランスするような本作はどのようにして制作されたのか。また今回再び音楽と対峙するに至るまで、アカツカ氏がどのような彷徨を経てきたのか、単なる「サポート」の仕事を超えて取材にまで参加してくれたサポート・メンバーたちを交えながら、じっくりと話を聞いた。

日本ってなんだかんだ集団意識がすごく強くある気がしていて。音楽をいわゆる「シーン」みたいなものとして捉えがちというか。大づかみのふわっとした空気感が支配力をもって、気づくとみんながそっちに引き寄せられていく。いま日本は、音だけで勝負していくのは難しい環境にあると思います。

まずは新作に至るまでのお話を訊きたいんですが、2017年に一旦アカツカさん以外の全メンバー脱退という転機を経ていますよね。辛い思い出だったら話さなくてもいいんですけど、なぜそういったことが起きたんでしょう……?

アカツカ:ア~、思い出すのも辛い……話すのやめておこうかな……っていうのは嘘で、単純にそのときのメンバーが仕事を始めたりして忙しくなってしまったっていうのだけですね。

Twitterでアカツカさんが、このアルバム作る以前、一時は音楽活動をやめようかと思っていた、と投稿していたのを見ました。

アカツカ:そのときの一斉脱退があって、思うようにバンド活動ができない状態が続いたので、「このまま普通に仕事して社会の歯車として経済を回していこうかな」とか考えていた時期があったんです。

そこから今回のリリースに至るまでになったわけですけど、やっぱり現在のサポート・メンバーと出会って再びライヴをできるようになったっていうのが大きかったんでしょうか?

アカツカ:そうですね。以前もサポート・メンバーに何人か入ってもらってその都度その都度流動的なメンツで活動したりもしたんですけど、みんな急遽集まって演奏を合わせるには僕の楽理的な知識や技量が足りなくて。だから、サポート・メンバーとはいえどもパーマネントな布陣で続ける方が自分にあっているかなって思っていたんです。そんな中でいまのメンバーと出会って、それからはずっとこのメンツですね。

確かに、アルバムからも「サポート・メンバー」というより更にコミット度合の深いアンサンブルを感じました。どういう出会いだったんでしょうか?

額賀涼太(bass):僕は学生時代からアカツカくんの友達で、South Penguin の発足から一緒にやっていて。

ニカホヨシオ(keyboard):僕はさっきアカツカの話にあった、うまく活動できていなかったっていうタイミングからの付き合いですね。前作EPの「house」のレコーディングに参加したのがきっかけでズルズルと……

アカツカ:まさに終わりの始まり……(笑)。元々みんな知り合いだったわけじゃなくて、音楽活動の中で出会った人が多いですね。

メンバーの中で誰々がバンマスとかありますか?

アカツカ:さっきも言った通り僕があまり譜面とか楽理的なことがわからないので、主にニカホくんにそういう面をクリアにしてもらっている感じです。自分が弾いているギターのコードが何なのかも良くわかってないし、そもそも一小節がどれくらいの長さなのかわからないというプチ問題をかかえていて……。

ニカホ:プチではないね(笑)。僕だけじゃなくて、それぞれアレンジもできるし、みんなバンマス感のあるメンバーですね。

このところ、いま South Penguin は中国とかアジア各地ですごく人気になっているって聞いたんですが。それこそ向こうだと tofubeats と同じくらいの集客力がという噂も……。

アカツカ:いやいや!(笑)。それは大きな間違いですね。

そうなんですか? 前お会いしたとき、「中国だったら300人お客さん来てくれるけど、東京だったら3人」って言ってませんでしたっけ?(笑)

アカツカ:あ~、そんなこと言った気がするなあ(笑)。完全に中国での集客数は盛ってますね。なんなら東京での集客も盛ってます……。

(笑)。

アカツカ:でもまあ、これまでアジアで度々ライヴをさせてもらっているし、ありがたいことに熱心に聴いてくれるお客さんがいることは事実ですね。

アジアと日本国内のシーンってやはり雰囲気が違う?

アカツカ:うーん、どうだろう。日本で僕らの活動を知ってくれている人ってまだまだかなり少ないっていう感覚があるんですけど、中国とか台湾に行くと、向こうのお客さんは僕らのことを僕らが思っている以上にちゃんと知ってくれた上で足を運んでくれているし、熱心に音楽聞いているということをアピールしてくれる人が多い気がします。日本でライヴをやるときよりも、向こうのお客さんと話したり、ライヴへのレスポンスを観ているときのほうが、みんな僕らのことを好きでいてくれているんだという実感はありますね。

なぜそういった違いがあるんだと思いますか?

アカツカ:そうですねえ~。僕らって基本的に捻くれた人間なんですけど、海外に行くとその要素に言語のフィルターがかかってあまり伝わらないから、とかかな(笑)。日本だとつい言動や挙動でにじみ出ちゃうというか……(笑)。

ニカホ:いやいや(笑)。単純に中国や台湾のお客さんはホットな人が多いよね。

アカツカ:日本ってなんだかんだ集団意識がすごく強くある気がしていて。「こういう人たちと一緒によくライヴしているこういう人たち」みたいに、音楽をいわゆる「シーン」みたいなものとして捉えがちというか。もちろん音楽自体も聴いているとは思うんですけど、「こういう感じでいま盛り上がっているよね」っていう、大づかみのふわっとした空気感が支配力をもって、気づくとみんながそっちに引き寄せられていくっていうのがよくある気がしていて。でも海外の人たちは、遠く海を隔ててそういう「シーン」みたいな空気感から離れているし、自然ときちんと音で判断してくれる環境になっているっていうのはある気がしますね。まあ、本来こういう話はあまり音楽をやってる側が言うべきことじゃないとは思うんですけど……いま日本は、「あのバンドいまグイグイ来ているよ」みたいな感じがないと、音だけで勝負していくのは難しい環境にあると思います。色々なカルチャーの中で特にいまポップ・ミュージックっていうのがそういう傾向にあるなあと思っていて。

昔から普通に美しいものに惹かれるところがあって。箱根駅伝とか、スポーツのキラキラした素直な感動のドラマみたいなのも好きで、それをよくある感じに斜に構えて見たりもしないし。普通にめちゃくちゃ美しいなって思う。

以前SNSで「日本の音楽業界には失望している」って言ってましたよね? 具体的にはどんな部分が……?

アカツカ:よく読んでますね(笑)。実はそう思ってしまう結構具体的な経験があって……。僕らが大好きで交流もある海外アーティストの来日公演に僕らが呼んでもらえなかったっていうのがあって。ああ、こういう規模感のところでもやっぱり政治的な部分で動いていくんだなあっていうガッカリ感。もちろん興行なわけでビジネスとしての側面も大切だと思うんですけど、僕らが信じてきた「インディーズ」っていう世界は、そういう政治的な部分じゃなくて、もう少し夢と希望を与えるものであってほしかったなあというのがあって。あと、仲良いと思ってた人からSNSのフォロー外されてたり……「ああ、こういうのも日本の音楽業界のクソな部分だな」って……。

いや、それは関係ないでしょ(笑)。まあ、ある文化圏の中では一種のサンクチュアリであったはずの「インディー」っていう概念自体が産業構造に組み入れられて資本主義の中で洗練されてきてしまった感じはここ数年ありますよね……。

アカツカ:そうなんですよ。実はそういうのに疲れてしまったのもあって、個人的にバンドをやることが億劫になっちゃってたっていうのもあります。まだ若いし(注:アカツカ氏は現在25歳)もう一度固定メンバーを揃えてバンドとしてガッツリやるってのも全然できると思ってたんですけど、一方で、そこまでしてこの日本でバンドをやることって何か意味あるのかな? って考えちゃったり。

そこを経て、いま一度音楽に立ち向かっていった上で完成されたのがこのアルバムですよね。それにあたって強く刺激を受けた人達として、コナン・モカシン、トーキング・ヘッズ、松任谷由実、吉岡里帆、霜降り明星ってツイートされているのを読んだんですが、コナン・モカシンやトーキング・ヘッズは音楽的な要素としてわかるんだけど、吉岡里帆と霜降り明星? って思って。すごいラインナップだなと。

アカツカ:昔から、実は音楽以外のカルチャーへの興味のほうが大きいところがあって。バンドをやる意欲が完全に失われていたときにその二組に大きな刺激をもらったんです。吉岡里帆さんも霜降り明星も僕と歳が近いっていうのがまず大きいかな。今回のアルバムのテーマに「美しさ」っていうのがあるんですけど、昔から普通に美しいものに惹かれるところがあって。箱根駅伝とか、スポーツのキラキラした素直な感動のドラマみたいなのも好きで、それをよくある感じに斜に構えて見たりもしないし。普通にめちゃくちゃ美しいなって思う。だから、同世代ですごく頑張っている人が普通に好き。吉岡里帆さんや霜降り明星は単純に彼らのやっていることに興味をもったのが入り口ですけど、インタヴューを読んだりしてその人たちを深く知っていくことで、同世代でこんなに頑張っていて自分で美しいと思える活動をしている人がいるっていうのにすごく勇気をもらって。

ひねくれていないものに美しさを感じるというのは、これまでのアカツカさんの発言からするとちょっと意外な気も。彼らの魅力って、いわゆる「セルフ・プロデュースに長けている」的なこととも違う?

アカツカ:そう。策略立てて自分を巧いこと見せている、とかとも違う。吉岡里帆さんがテレビでとある詩を朗読していて、その詩の世界に入り込んで泣いてしまっているところを観たんですけど、「この涙はめちゃくちゃ美しい!」と感動しまして。そういえば、(霜降り明星の)粗品さんもめちゃくちゃ泣きますしね。

松任谷由実、コナン・モカシン、トーキング・ヘッズは?

アカツカ:ユーミンとトーキング・ヘッズは単純に自分の音楽的なルーツなので。コナン・モカシンはバンドを始めて色んな音楽をディグっていく中で知った僕にとっての最新のヒーローです。

今回のアルバム制作に関してもそれらの音楽から焚き付けられることも多かった?

アカツカ:超あります。コナンとかトーキング・ヘッズに関しては相当オマージュをささげてます。過去の音楽含め、そういう元ネタみたいなのもめちゃくちゃあるから、どうか皆さんにはうっすらと聴いて欲しい(笑)。

(笑)。そういうルーツ探しも聴く者にとっての大きな楽しみだと思います。曲作りはどんなプロセスでおこなわれているんでしょうか?

ニカホ:アカツカくんがビートとメロディーの乗った簡単なデモを作ってきて、それをひたすらみんなでスタジオで練るっていう比較的オーセンティックなやり方です。

宮田泰輔(guitar):曲によってはデモの段階で相当作り込まれていたり、みんなでアレンジしたり、色々なパターンがありますね。

そうすると、日常的に相当頻繁にスタジオに入っている感じですね。

アカツカ:そうですね。サポート・メンバーとはいえども、ライヴの前に一回合わせてとかではないですね。曲作りの段階から全ての制作の過程に参加してもらっています。具体的なアレンジにもメンバーの意見がかなり入っています。

ニカホ:なんなんだろうね、この関係性って。一般的な「サポート」っていう言い方もしっくり来ない関係だよね。

アカツカ:かといって「ひとつのバンドのメンバー」っていうような一枚岩感があるわけでもなく……(笑)。

ヒップホップでいう「クルー」的な……?

アカツカ:ああ、それが一番近いのかもしれない。

これまで同様、今作にも岡田拓郎くんがプロデューサーとしてガッツリ関わっていますね。盤石の信頼関係なんだろうな、と感じます。

アカツカ:そうですね。やっぱり僕はバンドをやっていく上で、マーケティング的な理由で何かに音楽自体を寄せていくってことをしたくなくて。もちろん売れたいとかバンドの規模を大きくしていきたいっていう気持ちはあるから色々音以外の面で考えることもあるけど、そのために音の方を変えるってのは決してしたくないので、音の面に関しては絶対の信頼を置いている人たちとしかやりたくなくて。

岡田くんも最もそういうマーケティング的発想の音楽作りを嫌う人ですもんね。

アカツカ:そう。「早く売れてよ」とはいつも言ってくれますけどね(笑)。

制作において彼の役割はどんな感じだったんでしょうか?

アカツカ:音を録るときのマイキングとか、エンジニアリング的な舵取りもほとんどやってもらいました。それと、ミックス等のポスト・プロダクションの部分がとても大きいですね。ギターをあえてラインで録って岡田さんの思う音にしてもらったり、レコーディングのときもエフェクターの設定を岡田さんにセッティングしてもらったりとか。僕に関しては岡田さんのギターとエフェクターを全部借りて手ぶらでレコーディングに行くスタイル(笑)。

今回、ドラム・セットでタムを使わないという制限があったとききました。

アカツカ:あ、それは単純に僕がリハーサルのスタジオを狭い所ばっかり取ってて、6人もメンバーがいるんで省スペース化を図らなきゃいけないって思って、じゃあフロア・タムをどかすか、という……(笑)。

本当に?(笑)

ニカホ:荷物の多いメンバーが多いからなあ(笑)。

礒部拓見(drums):一番年下の僕が割を食って。本当は他の人が減らしてほしい……タム使いたい……。

(笑)。

アカツカ:やっぱ年下には先輩っぽいところ出さなきゃなって思ったときに、よし、先輩といえば理不尽なパワハラだろう、と。厳しい上下関係を築くためにまずナメられちゃけないなと。最初のリハのときに「おいお前! 何生意気にタム叩いてんだよ」っていって。俺がタムを蹴破ったんですよね。まあ、というのは冗談で、僕らにはパーカッション・プレイヤー(宮坂遼太郎)もいるので、そこと音域的にもぶつかってしまうのでなくしているというのが大きいですね。

その効果なのか、パーカッションに加えて、ドラム・セットにおいてもスネアとシンバルのサウンドの存在感がぐいっと全面に出てきている気がします。

アカツカ:そうですね。やっぱりあえて何か制限を課すことによって色々アイデアを考えるし、それによって個々人の演奏のポテンシャルを引き出したいっていうのはありますね。ドラム・セットに秘められた潜在能力を……。

ニカホ:アカツカくんがいないところで、礒部くんが「それでもタム叩きたい」と言っているのを聞いたことがあるけど……(笑)。

特に日本に顕著だと思うんですけど、昔ながらのライヴ・ハウス的ロック文化やリハスタ的な文化って、ドラム・セットはドラム・セットとして自明のものとして認識されていたり、ギターだったらJCかマーシャルでキュイーンみたいな、そういう固定化した常識ってありますよね。でも、それを South Penguin は意識的に脱構築しているのかなって。

アカツカ:他の人と違うことをしたいとか、自分たちならではの音を出したいとか、正直ぼくはあんまりないですけど、彼ら(サポート・メンバー)にはあるみたいなんで……(笑)。

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家の中でずっとアイドルの動画を観ているみたいな、一般的にはどろどろしてて気持ち悪いみたいに思われているような人の切なくて儚い感じ。そういう人の心の中にも美しさってあるよなっていう。僕はガチ恋おじさん大賛成。

各曲について話を聞かせて下さい。M1の“air”はネオ・ソウル風なベース・ラインが印象的ですが、一方でコナン・モカシンや、アンノウン・モータル・オーケストラとか、10年代後半以降のメロウなフォーク・ロック~サイケデリック・ロックに通じる美学を感じました。

アカツカ:ベースはスライ&ザ・ファミリー・ストーンの“Thank You For Talking To Me Africa”をオマージュしているんです。全体的にはあまりソウル的なものはイメージしていないけど、メンバーの通ってきた音楽のフィルターを通すことによってこういったテイストになっているんだと思います。僕がデモ作りでよく使う GarageBand の Rock Kit さんていうAIのドラマーがいるんですけど、のっぺりしたロックっぽいフレーズが礒部のフィルターを通すとブラック・ミュージックっぽいドラミングに変換される、みたいな。彼と宮田くんと宮坂くんは学生時代にブラック・ミュージック系のサークルに所属していたってのもあるし、今回の録音ではメンバーそれぞれの個性が出てきているのかなって気がしますね。

Dos Monos の荘子it さんのラップをフィーチャーしようと思ったのは?

アカツカ:サポート・メンバーのみんなともそうだし、僕は基本的に誰かと一緒に何かをやるっていうのが好きなんです。今回のアルバムは自分達的にリスタートの気持ちが強かったから、より一層外的な刺激っていうのを求めてて。僕は偏った音楽しか聞かないからヒップホップやブラック・ミュージック自体もそんなにちゃんと知らないんですが、いま日本で面白いことやっている人がいるんだったらそういう人を交えてなにがしかの化学反応が起きたら嬉しいなっていう気持ちだったんです。Dos Monos は元々知り合いではなくて、彼らの音源を聴いたときに、これはすごいかっこいいって思って。そこから声をかけた感じですね。

Dos Monos も同世代ですよね?

アカツカ:そうですね。デザインや映像など含めて、今回のアルバムに関わってくれている人って同世代が多いんですよね。ことさら意識したわけじゃないんですけど、やっぱり自分は同世代でやっているかっこいい人達に惹かれるってのがあるんだと思います。

M2“head”。

アカツカ:この曲は初めて Rock Kit 以外のドラマーでデモを作ったものです(笑)。プリンスの“All the Critics Love U in New York”という曲のドラムをサンプリングしてループさせただけのオケを僕が作って。それがめちゃくちゃかっこよかったんで「あー、このまま出したいな」と思ってたんですけど、それはさすがに難しいんで(笑)、礒部に頑張ってもらいました。

山田光さんによるフリーキーなサックスが印象的です。

アカツカ:激烈ですよね。ジェイムズ・チャンスとか、ファラオ・サンダースのような……。

宮坂:スタジオで「サウンドのイメージとして昇り龍みたいな感じ」とか言ってましたよね(笑)。

この強烈な反復ビートからはダンス・ミュージック的な肉体性も強く感じます。一方でポスト・パンク的というかNYノーウェーヴ的なアヴァンギャルドさもある。

アカツカ:僕は元々ニューウェーヴ大好きっ子なんです。ふつふつとミニマルに盛り上げいくこういう曲に関しては、やっぱりトーキング・ヘッズの影響が大きいですね。そういうアヴァンな一面とかいろんな側面を再始動のアルバムとして出したいなっていう気持ちがあったんで、こういう飛び道具的な曲を収録しました。

M3“alaska”は過去曲のリメイクですね。冒頭のドラム・マシン? の音が印象的です。

ニカホ:岡田くんと ACE TONE とかの昔のリズム・ボックスっぽい音を入れたいねって話をしてて。でも昔のリズム・ボックスってテンポも揺れたりするから実際にレコーディングで使うのって割と難しいんですよ。なので、岡田くんにプロツールスでループを作ってもらって。元々は“Space Commercial”っていうエディ・ハリスの曲から発想を得て。

制作にあたってのそういうリファレンスみたいなものについても日々みんなでコミュニケーションする?

ニカホ:いや、アカツカくんとはあんまりしないです(笑)。サポート・メンバー内や岡田くんとは結構話すかも。これはエディ・ハリスに加えてもう一個リファレンスがあって、Mild High Club の“Skiptracing”も意識しましたね。

M4“ame”。これも過去曲のリメイクですね。あえてリメイクを収録するのはどんな意図があるんでしょう?

アカツカ:単純にファーストEPの時点では音楽的に未熟だったし、いまのメンバーでこの曲をやったらもっと良くなるだろうっていうのが大きいですね。繰り返しになりますが、今回のファースト・フル・アルバムで再スタートを切りたいっていうのがあったので、現時点の自分たちのベスト的な内容にしたいというのもあって。

M5“idol”。曲名が印象的ですが、いわゆる日本のアイドル文化も視野に入っている感じなんでしょうか……?

アカツカ:はい、あやや(松浦亜弥)とかを賛美するつもりで作りました。

ニカホ:本当に?(笑)

MVが不思議ですよね。曲名から連想させるように実際に女の子が出てくるんだけど、そこへ銃火器の映像が挿入されたりと、支離滅裂な感じに批評性を感じて。最近よくある「可愛い女の子出しときゃいいでしょ」的なMVへのアンチテーゼなのかなと思いました(笑)。

アカツカ:そうですね……でもまあMVに関しては監督の Pennacky くんに任せちゃった部分もあるのでなんともいえないのですが。この曲は曲名通り偶像崇拝的なことをテーマにしている曲なんですけど、歌詞も他の曲よりは分かり易く書けたかなと思っていて。アイドル自体についての歌というより、そういう偶像に本気ですがっている人の歌。

ガチ恋おじさん。

アカツカ:あ、まさに。曲名「ガチ恋おじさん」にすればよかったな。

宮田:身も蓋もないな(笑)。

どことなく切なさと美しさを感じます。

アカツカ:そうなんですよ。アルバムのテーマとして考えていた「美しさ」がこの曲にも強く反映されていると思います。家の中でずっとアイドルの動画を観ているみたいな、一般的にはどろどろしてて気持ち悪いみたいに思われているような人の切なくて儚い感じ。そういう人の心の中にも美しさってあるよなっていう。もちろん馬鹿にしたりしているわけじゃなくて、むしろ僕はガチ恋おじさん大賛成。そういう刹那的な美しさみたいなものがこの曲におけるキーになっていると思います。

この曲を聴いて泣いちゃう人もいるかも。

アカツカ:ああ~、その涙が一番美しいですねえ。

日本のオタク文化いじりってどうしても愚弄的だったり自己憐憫的なものが多いけど、そこにある儚さをすくい取ろうとしている感じが素晴らしいですね。トッド・ソロンズの映画に通じる美しさというか。

アカツカ:そういうアイドルオタクの人たちが「避けるべき存在」みたいになってしまうのがすごく嫌で。女性アイドルや男性アイドルだけじゃなくて、みんなすごく好きなミュージシャンとか、いろんな趣味とか、そういうものに過剰に入れ込んで自分の生活の全てになっているような人ってたくさんいると思うんですけど、それって普通の恋愛と変わらないと僕は思うんです。

しかしMVに出ている雪見みとさん、可愛いですねー。ついフルでリピートしてしまいました(笑)。

アカツカ:いや~、本当ですよね。例えば、このMVをきっかけにあの子のことを本気で好きになってくれる人が出てきたら、曲の世界が全うされるなって(笑)。彼女、京都の子なんですけど、先日京都にライヴしに行くってことになったとき「せっかくだからライヴへ遊びにきなよ」って誘ったんですけど、そのときは残念ながら予定があわなくて。メンバーに「みとちゃん来れないっぽいよ」って言ったら、宮田くんが「じゃあ僕京都行かないです」って(笑)。

宮田:だってそんなの行く必要ない……。

アカツカ:そういうところで、「あ、バンドじゃなくてサポート・メンバーなんだなあ」って(笑)。

すごく好きなミュージシャンとか、いろんな趣味とか、そういうものに過剰に入れ込んで自分の生活の全てになっているような人ってたくさんいると思うんですけど、それって普通の恋愛と変わらないと僕は思うんです。

M6“alpaca”。アフロとブラジルの中間を行くようなリズムがカッコいい。

アカツカ:このリズム・パターンを作ったのも Rock Kit さん(笑)。かなりいじった記憶があります。でも僕はドラマーの足や手の動きっていうのを全然理解してないんで、それを礒部になんとかやってくれって頼んで。

礒部:必死にコピーしましたよ。かなり難しかったですね。

でもそれをたんとプレイできるのがスゴイですよね。いわゆるインディー・ポップ的な範疇からはみ出すダイナミズムを感じました。

ニカホ:彼は元々中南米音楽、特にレゲエに思い入れがあるプレイヤーですしね。

アカツカ:これはベース・ラインも僕が作りました。アルバム全ての中で一番僕が主導権を握った曲かもしれないですね。だから手柄は僕のものです。褒めて下さい。

(笑)。M7“spk”は打って変わってマイナー調。メロウだけどヘヴィーという。アルバム後半にかけて割とダウナーな展開になっていきますよね。

ニカホ:あ、いま気づいた。本当だ(笑)。

アカツカ:曲名にもしているんですけど、SPK という精神病患者とその看護師がやっていたオーストラリアのグループからインスピレーションを受けていて。後にその元患者は自殺しちゃうんですけど……SPK って元々はノイズとかインダストリアル系なんですけど、なぜかその死の前にめちゃくちゃポップになってエレ・ポップ路線になったり、相当不思議な魅力のあるバンドで。自分のルーツ的な音楽ですね。ここでは SPK の曲調とかは意識していないんですけど、そういうやるせなさや切なさは意識していますね。

確かに歌詞も鬱々としていますね……。

アカツカ:そうですね。「病葉」って言葉が出てくるんですけど、ユーミンの曲で知った言葉なんです。病床で木から病葉が落ちていくのを見るっていうかなり切ない描写の曲があって、そのイメージが精神病患者が抱いているかもしれない心理と一致して。

M8“aztec”。これもメロウだけどどこか苦い味わいもある。曲順についてはどのように決めていったんですか?

アカツカ:曲順については……あまり正直に話したくないんですけど実は今回曲名の頭文字が「a」の曲が多すぎて。それを固めるんじゃなくてバラけさせたかったというのがあります(笑)。それと、やっぱり全体にちょっと暗い感じの曲が多いなって印象があったんで、このあたりにビートは重めだけどポップな曲をちょっとクッション的に入れておこう、と。

実に美メロだな、と。メロディーメイカーとして個人的に好きなアーティストって誰かいますか?

アカツカ:やっぱりユーミンはメロディーメイカーとしても大好きですね……。他の曲は海外のアーティストの曲を参照して作っているんですが、この曲はわりと日本のポップスを意識しているかもしないですね。

なるほど。いわゆる「ニュー・ミュージック」的なテイストも感じました。

アカツカ:そうですね。そういう日本のポップスに加えて、MGMT の『Congratulations』のタイトル曲も結構意識しましたね。そのふたつの要素を融合したイメージですね。元々この曲はバンド結成の頃一番最初に作った曲なんです。今回そのときのリズムも大きく変更して。

宮田:元々は倍のビートだったんですよね。

アカツカ:この曲は当初上手くアレンジがまとまらなくて、最後まで入れるかどうか迷ってて。そこで MGMT を僕がひっぱりだしてきて、こういう感じでやったらどうかなって提案したんですけど、それがいい感じにハマって。最初にこのアレンジが形になったときは嬉しかったですね。

M9“happy”。終盤にかけてのドラムの音が凶暴で、それこそドゥーム・メタルみたいな……。

アカツカ:(笑)。この曲は他に比べてかなりヘヴィーで凶暴な音の処理になってますね。“aztec”が South Penguin として一番最初に作った曲で、これが一番最後に作った曲なんですが、“aztec”でいままでの僕らを終わりにして、一番新しく作った曲で最後締めることで、これからこのバンドを再びやっていくぞっていう気持ちを込めています。かなり暗い感じだからこれで終わらせるのはどうかなあと思って。だからせめて曲名だけでも“happy”にしました(笑)。ハッピーエンドですね。

そういうことだったんですね(笑)。曲調的に全然ハッピーじゃないよなと思っていました。これまでアカツカさんと話していて面白いなと思ったのが、いろいろ細かいところまで詰めていくのと、他人に任せてしまってあえてタッチしないということ、もっというならテキトーな感じとの不思議なバランス感です。没入して作り込むみたいなところから距離を取りたいという心理があるんでしょうか?

アカツカ:うーん、結構その心理はある気がしますね。それこそ岡田さんとかを見てて思うんですけど、自分の作品も凄く作り込むし、人の作品でももちろん手を抜かないし、すごいプロフェッショナルな仕事をしてくれる人だな、と。そういうのって本当にすごい体力だなって思うんですけど、僕は全然そういうのができない。まあ、それは生まれ持ったものなんで、諦めている部分もあるんですけど。

でも、そういうおおらかさみたいなものって、それこそアカツカさんが尊敬するコナン・モカシンにも通じる気もします。

アカツカ:そうですね、彼の活動にはそれを感じますね。ガチガチじゃないちょっとゆるい雰囲気というか。そっちの方が自分にあっていると思うし、無理のない形でやらないとかえって良いものはできないって常に思っているんで。

だからといって、パーティートライブ的に「ウェーイ!」って感じでもない。

アカツカ:まあ僕は夜な夜なクラブで遊び倒してますけどね。それはもう大変。夜はアヴィーチーしか聴きませんから。

ニカホ:なんでそんな嘘つくんだ(笑)。

ギークやナードな感じへも美しさ見出しつつ、おおらかな美意識を表現していくって稀有なことだと思います。なんだろう、今日のインタヴューではアカツカさんの器の大きさみたいなものを強く感じました(笑)。

アカツカ:いや~、常日頃みんなにそう言われますよ。

ニカホ:そんな場面見たことないけどな(笑)。

South Penguin
ライヴinfo.

・8/12 (mon) @江ノ島東海岸
TENGA PARK 2019
w/ Helsinki Lambda Club / and more...
start:11:00 close:16:00
Charge Free!!!

・8/31 (sat) @渋谷7th FLOOR
ARAM presents 『リスニング・ルーム』
出演:ARAM / 安楽 / South Penguin
open:18:00 start:18:30
adv:¥2,200 door:¥2,500 (各+1drink)

・9/16 (mon) @下北沢basementbar
Group2 presents『的(TEKI) Vol.3』
出演:Group2 / South Penguin / No Buses
DJ:鳥居正道 (トリプルファイヤー)
open:18:00 start:18:30
adv:¥2,500 door:¥3,000 (各+1drink)

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