「P」と一致するもの

MYSTICS - ele-king

 スウェーデンのマーカス・ヘンリクソン、札幌の Kuniyuki Takahashi、そして昨年『ASTRAL DUB WORX』を発表したした東京の J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY) によるコラボ・プロジェクト、MYSTICS がアルバムをリリースする。
 なんでも、「共通する神秘主義的な思考、センスが音楽の中で爆発し、化学変化が起こ」ったそうで、ハウスを基礎にしつつ、尺八や箏、アラビック・ヴァイオリンなどをフィーチャーしたディープな一作に仕上がっているようだ。ダブミックスは内田直之。神秘的な音楽旅行を体験しよう。

Sons of Kemet - ele-king

 とき来れり。『Your Queen Is A Reptile』の衝撃から3年。UKジャズの最重要サックス奏者、シャバカ・ハッチングス率いるサンズ・オブ・ケメットのニュー・アルバムが登場する。タイトルは『Black To The Future』。メッセージは明白だ。
 今回のリリースに寄せられたエッセイのなかでシャバカ・ハッチングスは、新作について「力、記憶、癒しを呼び起こす音の詩」と表現している。いわく、「“フィールド・ニーガス” および “ブラック” という、詩人ジョシュア・アイデヘンのことば、その外へと開かれた眼差しにはじまって終わるこのアルバムは、ジョージ・フロイドの死とそれにつづくBLMの抗議から沸き上がってきた怒りや失望、ものの見方を表現している」。このように2020年の画期を受けてつくられた新作は、後ろ(過去)を振り返ることと前(未来)を視ること、その双方に意味を与える作品になっているようだ。
 ゲストも確認しておこう。くだんの詩人ジョシュア・アイデヘンのほかに、コジェイ・ラディカルやD・ダブル・EといったUKのラッパー、シカゴのクラリネット奏者にしてピアニストのエンジェル・バット・ダヴィド、そしてなんとムーア・マザーが参加している! メッセージは明白だ。発売は5日14日。心して待て。

聴く者を圧倒するダイナミックなブラック・パワー。
怒り、戸惑い、そして希望がUK ジャズのカリスマを突き動かす。彼が思い描く未来とは―─。

●サックス奏者、ソングライター、哲学者、作家として活躍するUKジャズの最高峰アーティスト、シャバカ・ ハッチングスがイギリスとアイルランドで最も優れた音楽作品に対して贈られるマーキュリー賞にノミネートされたユニット、サンズ・オブ・ケメットでインパルスから2枚目となるアルバム『ブラック・トゥ・ザ・フューチャー』をリリースする。

●前作『ユア・クイーン・イズ・ア・レプタイル』と同様、テナー・サックス~ベース~ツイン・ドラムという珍しい編成は変わらずだが、UKの次世代ラッパー、コジェイ・ラディカル、シカゴを拠点にするバンドリーダー兼ヴォーカリスト、エンジェル・バット・ダヴィド、アメリカの詩人、ムーア・マザー、彼らの前作にも参加したジョシュア・アイデヘン、イギリスの伝説的なグライムMC、D Double E などの著名なヴォーカリストを迎えたダイナミックな作品に仕上がった。

●昨年、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズとしてリリースした『ウィー・アー・セント・ヒア・バイ・ヒストリー』にも見られるように、ここ数年、シャバカがリリースする作品には、忘れられた神話を発掘し、過去の音を解き明かし、未来へのテーゼを提示する共通のテーマが内在していた。ジョージ・フロイドの死とそれに続くBLMの抗議活動を受けて、シャバカが感じた怒りとフラストレーションを外に向かって表現した政治的に痛烈なパワフルな歌詞と音楽で始まる本作もその例外ではない。メッセージを確かな音楽テクニックと豊かな音色が支え、アート作品として絶妙なバランスを保っている。歌詞までしっかり読みこみたい作品だ。

Sons of Kemet / Black To The Future
サンズ・オブ・ケメット『ブラック・トゥ・ザ・フューチャー』

リリース日:2021年5月14日
品番:UCCI-1049 (SHM CD)
価格:2,600円+TAX

[パーソネル]
シャバカ・ハッチングス(ts, woodwinds)
テオン・クロス(tuba)
トム・スキナー(ds)
エディ・ヒック(ds)

[収録曲]
01. フィールド・ニーガス / Field Negus
02. ピック・アップ・ユア・バーニング・クロス / Pick Up Your Burning Cross
03. シンク・オブ・ホーム / Think Of Home
04. ハッスル / Hustle
05. フォー・ザ・カルチャー / For The Culture
06. トゥ・ネヴァー・フォーゲット・ザ・ソース / To Never Forget The Source
07. イン・リメンブランス・オブ・ゾーズ・フォーレン / In Remembrance Of Those Fallen
08. レット・ザ・サ ークル・ビー・アンブロークン / Let The Circle Be Unbroken
09. エンヴィジョン・ユアセルフ・レヴィテーティング / Envision Yourself Levitating
10. スルーアウト・ザ・マッドネス、ステイ・ストロング / Throughout The Madness, Stay Strong
11. ブラック / Black

オフィシャルHP
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新代田FEVER × GOOD HOOK - ele-king

 これまで数々の公演を催し、東京の音楽シーンを支えてきたライヴハウスの新代田FEVERと、多くのミュージシャンのグッズを手がけてきたオンラインショップ GOOD HOOK がコラボレイト、アパレル4アイテムを期間限定で受注販売する。
 Tシャツ、ロングスリーヴTシャツ、アノラックジャケット、サコッシュの4種が発売され、いずれもデザイナー Face Oka による描き下ろしイラストが配される。
 詳しくは下記をチェック。

デザイナーFace Oka氏描き下ろしデザイン
ライブハウス新代田FEVER×GOOD HOOKアパレル4アイテム
期間限定受注販売開始!!

ライブハウス新代田FEVERと多くのミュージシャンのグッズ製作を手がけるPrinters内のGOOD HOOKとのコラボレーションアイテムが期間限定での受注販売を開始。
デザインは新代田や羽根木にゆかりのある人気のデザイナーFace Oka氏の描き下ろし。
アイテムはこれからの季節に重宝できるTシャツ、ロングスリーブTシャツ、と
アウトドアシーンでも活躍できるアノラックジャケット、サコッシュの4点。

Tシャツ、ロングスリーブTシャツは胸のワンポイントとFace Oka氏の世界観が凝縮されたバックデザインが目を魅く。同じくアノラックジャケットはバックデザインは同様ながら、胸のワンポイントロゴが刺繍になっており、高級感ある仕上がり。サコッシュは鮮やかなオレンジボディにモノクロのデザインが落とし込まれた可愛い仕上がりになっている。

写真のモデルはこちらも今シーンで注目を集めつつある、アーティストのA VIRGIN氏。
カメラマンは小野 由希子氏が担当。

・SHINDAITA FEVER × GOOD HOOK TEE Design by Face Oka
Price:4200円 Color:ホワイト SIZE:S~XL
S : 身丈:約63cm / 身幅:約47cm /肩幅:約42cm / 袖丈:約18cm
M : 身丈:約68cm / 身幅:約52cm / 肩幅:約46cm / 袖丈:約22cm
L : 身丈:約72cm / 身幅:約55cm / 肩幅:約50cm / 袖丈:約22cm
XL : 身丈:約75cm / 身幅:約60cm / 肩幅:約55cm / 袖丈:約23cm

・SHINDAITA FEVER × GOOD HOOK LONG SLEEVE TEE Design by Face Oka
Price:4500円 Color:サンドカーキ SIZE:S~XL
S : 身丈:約65cm / 身幅:約49cm /肩幅:約42cm / 袖丈:約60cm
M : 身丈:約69cm / 身幅:約52cm / 肩幅:約45cm / 袖丈:約62cm
L : 身丈:約73cm / 身幅:約55cm / 肩幅:約48cm / 袖丈:約63cm
XL : 身丈:約77cm / 身幅:約58cm / 肩幅:約52cm / 袖丈:約64cm

・SHINDAITA FEVER × GOOD HOOK ANORAK JACKET Design by Face Oka
Price:14000円 Color:ブラック SIZE:S~XL
S : 身丈:約74cm / 身幅:約57cm / 裄丈:約89cm
M : 身丈:約76cm / 身幅:約56cm / 裄丈:約92cm
L : 身丈:約79cm / 身幅:約62cm / 裄丈:約96cm
XL : 身丈:約81cm / 身幅:約66cm / 裄丈:約100cm

・SHINDAITA FEVER × GOOD HOOK SACOCHE Design by Face Oka
Price:3500円 Color:オレンジ SIZE:FREE
タテ16cm × ヨコ23.5cm(底マチ無し)
ショルダーストラップ 152cm(調節可能)
容量:約1.5L

✴受注期間
4月6日(火)20:00~4月16日(金)23:59まで
URL:https://www.goodhook.net/

FACE OKA
台湾人の父と日本人の母を持つ、東京生まれのアーティスト。
アパレル、広告、雑誌を中心に国内外問わずグローバルなアーティストとして活動の幅を広げている。
URL : www.faceoka.com
Instagram : @face_oka

A VIRGIN
2010年 バンドTADZIO結成
2011年 フジロック・ルーキーアゴーゴーにHair Stylistics(中原昌也)と出演
2016年 バンド解散
2018年 ハードコアバンドYALLA(@y_a_l_l_a_)結成
2019年 ソロ活動“A VIRGIN”開始
2020年 ファーストアルバム『“A VIRGIN”』デジタルと限定アナログ(book付き)発売
Instagram:@avirgin519

小野 由希子(Yukiko Ono)
1988年生まれ
埼玉県出身
大学在学中は写真部に所属。ライブ写真やアーティスト写真、CDジャケットなどを中心に手がける。
2017年 映画『GARAGE ROCKIN' CRAZE』撮影協力。
2019年 写真集『LEARNERS ADDICT』刊行。
Instagram:@yukiko_ono

susumu yokota - ele-king

 数が多ければいいというわけではないが、しかし、試しにスポティファイで彼の名を呼び出してみたまえ。横には250万、180万、150万といった大きな数字が並んでいる。彼の音楽は世界じゅうで聴かれ、愛されている。
 日本を代表する電子音楽家がベートーヴェンやチャイコフスキー、サン=サーンスなどのクラシック音楽をサンプリングしたエレクトロニカ作品、2004年に発表された横田進の後期代表作『symbol』がリマスターされ、CDとLPでリイシューされる。
 その大胆なカットアップとビートとの組み合わせ方はいま聴いても斬新で、モダン・クラシカルの観点から見ても特異な、類まれなる作品といえよう。CDは6月2日、LPは8月18日に発売。美しき音の世界へ。

孤高の電子音楽家、横田進が追い求めた美の世界! 自らが主宰したレーベル〈skintone〉名盤リイシューシリーズ第一弾として後期代表作『シンボル』最新リマスタリングCD再発&初LP化!

「楽しみながら作品を作ったことはない、ぶっ飛んで作るか、涙を流しながら作るかだ」と、1997年暮れの池尻での取材で横田はぼくに語っている。『symbol』が涙を流しながら作った作品であることは、何度か彼を取材した人間として言わせてもらえれば、間違いない。 ──野田努(ele-king) * ライナーノーツより

かつて海外メディアから、日本人はなぜレディオヘッドを評価してススム・ヨコタを評価しないのかと言われたように、海外ではロンドンで回顧展が開催されるほどに評価されている横田進。彼の短い人生のなかで作られた、美しい電子音楽の傑作がここにリイシューされる。通算30枚目のアルバム、彼のレーベル〈Skintone〉からは8枚目となる『symbol』は、2004年10月27日にリリースされている。「象徴主義ということを意識して作った」と当時の取材で彼は答えているが、ここには彼の美学が集約されていると言えるだろう。「思えば、僕がやってきたことは象徴主義的だった。精霊であったり、天使であったり、魂であったり、そういうものはつねの自分のなかのテーマとしてあった」、横田は当時こう語っている。クラシック音楽の断片をカットアップしながら、彼が追い求める美を描写した問題作──リマスタリングされて、いよいよその魅力が世界に放たれる!

[susumu yokota]

90年代初頭から音楽活動を開始、1993年にドイツのテクノレーベル〈Harthouse〉から発表した『Frankfurt Tokyo Connection』が国内外で話題となり注目を集めると翌94年には日本人として初めてベルリンのラヴ・パレードに出演、レイヴ・カルチャー黎明期の日本においてシーンを牽引するテクノ/ハウス/エレクトロニカのプロデューサーとして広く知られるようになる。90年代は主に〈Sublime Records〉、90年代末からは自身のレーベル〈skintone〉、さらにはロンドンの〈Lo Recordings〉などインディペンデント・レーベルを拠点に活動を続けていたが、2006年にはハリウッド映画『バベル』に楽曲を提供するなどメジャーなフィールドでも活躍している。長らく続いていた闘病生活の末2015年に永眠、約22年間の活動中に35枚以上のアルバムと30枚以上のシングルをリリースし2012年に発表した『Dreamer』が遺作となったが、没後もシーンの評価が揺らぐことはなく未発表音源のリリースやリイシューなどはコンスタントに行われ、2019年にはロンドンでメモリアル・イベントが開催されるなど今なお世界中のリスナーから愛されているアーティストである。

[アルバム情報]

アーティスト:susumu yokota
タイトル:symbol
レーベル:P-VINE
-CD-
品番:PCD-25324
定価:¥2,750(税抜¥2,500)
発売日:2021年6月2日(水)
-LP-
品番:PLP-7156
定価:¥3,850(税抜¥3,500)
発売日:2021年8月18日(水)

[収録曲]
01. long long silk bridge
02. purple rose minuet
03. traveler in the wonderland
04. song of the sleeping forest
05. the plateau which the zephyr of flora occupies
06. fairy dance of twinkle and shadow
07. flaming love and destiny
08. the dying black swan
09. blue sky and yellow sunflower
10. capriccio and the innovative composer
11. i close the door upon myself.
12. symbol of life, love, and aesthetics
13. music from the lake surface
* LP SIDE A: M1-M6 / SIDE B: M7-M13

Brijean - ele-king

 1970年代風のジャケットのアートワークや『フィーリングス』というタイトルを含め、ブリジャンはドリーミーでロマンティックなスタイルを追求するアーティストだ。カリフォルニアのオークランドを拠点に活動する彼らは、ダグ・スチュアートとブリジャン・マーフィーという男女ふたりからなるユニット。
 ベーシストのダグ・スチュアートは、エンジョイアーというジャズ・ロック・バンドに参加するほか、昨年は『ファミリア・フューチャー』というソロ・アルバムをリリースしている。セッション・ミュージシャンとしてもベルズ・アトラス、ルーク・テンプル、ジェイ・ストーン、メーナーなどの作品に関わってきた。
 パーカッション奏者兼ドラマーのブリジャン・マーフィーは、カリフォルニア大バークレー校の仲間で結成したジャム・ロック・バンドのウォータースライダーを経て、セッション・ミュージシャンとして活動してきた。エレクトロ・ポップ~ディスコ・ユニットのプールサイドはじめ、トロ・イ・モワU.S.ガールズのレコーディングやツアーなどをサポートしている。

 ブリジャン・マーフィーがいろいろなミュージシャンと仕事をしていくなか、ダグ・スチュアートと出会って意気投合し、2018年にふたりのコラボレーションとしてブリジャンがはじまった。ユニット名が表わすようにシンガーでもあるブリジャン・マーフィーをフロントに立て、それをベースからキーボード、プログラミング機材などをマルチに扱うダグ・スチュアートがプロデュースして支えるという格好だ。そして、2019年初夏にファースト・アルバムの『ウォーキー・トーキー』を地元オークランドの〈ネイティヴ・キャット・レコーディングス〉からリリース。プールサイドにも共通するトロピカルなテイストが特徴的で、ブリジャン・マーフィーのパーカッションがラテン的な哀愁を加えていく。
 一方、彼女のコケティッシュな歌声にはヨーロッパ的なアンニュイさがあり、そうしたUS西海岸ともラテンともヨーロッパともつかない無国籍感、キッチュさやいかがわしさがブリジャンの魅力だと言えよう。ハウスやディスコなどのエレクトリック・ビートを用いながらも、パーカッション使いに見られるようにオーガニックな質感を湛えており、サンセット・ビーチが似合うバレアリック・サウンドの一種と言えるものだった。

 それから約1年半ぶりのニュー・アルバムが『フィーリングス』である。今回は〈ゴーストリー・インターナショナル〉からのリリースで、2020年夏に先行シングルとして “ムーディー” が発表された。“デイ・ドリーミング” や “パラダイス” などのタイトルはまるでフェデリコ・フェリーニやミケランジェロ・アントニオーニなど昔のヨーロッパ映画的なネーミングで、ミュージック・ビデオもソフト・サイケな作りとなっている。こうした白日夢のような甘美な佇まいは、トロ・イ・モワのチルウェイヴ期の傑作アルバム『コウザーズ・オブ・ディス』(2010年)や『アンダーニース・ザ・パイン』(2011年)の世界を思い起こさせる。これらのアルバムにはビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』(1966年)にはじまって、モリコーネなどイタリア映画のサントラの影響も詰まっていたので、ブリジャンについてもその影響下にあると言えるかもしれない。

 トロピカル・ムードに包まれた “オーシャン”、スロー・テンポのボサノヴァ曲 “ラサード・イン・ゴールド” などはまさにサントラやライブラリー・ミュージックの世界。“デイ・ドリーミング” はカテゴライズすればハウスになるが、キーボードの音色は1970年代のムード音楽とかジャズ・ファンクのようで、アンドレア・トゥルー・コネクションのディスコ・クラシック “モア・モア・モア” (1975年)あたりが下敷きになっているのではと思わせる。
 ジャズ・ファンク調の “ワイファイ・ビーチ” に見られるように、演奏がしっかりしている点もブリジャンの特徴だ。スローモー・ディスコの “パラダイス” ではストリングスも交えた秀逸なアレンジを見せる。そして、“フィーリングス” に象徴されるように、ブリジャン・マーフィーの歌声はとことんフワフワとして掴みどころがない。歌声を楽器の一部として用いていて、ムード音楽やサントラなどにおけるスキャットと同じ効果をもたらしている。ロマンティクでドリーミーな “ヘイ・ボーイ”、ジャジーな夜の雰囲気に包まれた “ムーディー” などダンサブルなディスコとラウンジをうまく結びつけるところは、かつてのフレンチ・タッチのなかでもお洒落でサントラ的な音作りに長けていたディミトリ・フロム・パリスの『サクレ・ブリュ』(1996年)を思い起こさせる。

Bobby Gillespie & Jehnny Beth - ele-king

 昨年は BO NINGEN の新作に客演、今年の秋には自伝『Tenement Kid』の出版を控えるボビー・ギレスピー。彼とサヴェージズのジェニー・べスによる共作がリリースされる。タイトルは『Utopian Ashes』で、7月2日発売。
 2015年のスーサイドの公演で知り合ったというふたりだが、同作にはアンドリュー・イネスやマーティン・ダフィといったプライマル・スクリームの面々に加え、ベスの長年のコラボレイターであるジョニー・ホスタイルも参加しているとのこと。
 古典的なカントリー・ソウルのデュエットからインスパイアされたという同作について、ベスは「小説の登場人物を創造するように、キャラクターをつくったんだ」と発言している。「そしてそこに自分を置いてみる。人間の現状を理解するためにね。だから歌はオーセンティックじゃなきゃいけなかった」。他方ギレスピーは「曲を書くときは虚構の人物と結婚して、アートをつくるんだ」とつけ加えている。「音楽に痛みを取り戻したかったんだ」「最近のロックじゃ聴けないからね」とも。
 現在、同作より “愛し合っていたころを覚えてる(Remember We Were Lovers)” が公開中。うーん、しみます。


VIVA x Young Marble Giants - ele-king

 奥沢駅近くの線路沿いにある妖しいお店、〈VIVA Strange Boutique〉、少し前にテレヴィジョン・パーソナリティーズをデザインした服を紹介したばかりですが、今日(4/2)から新たにヤング・マーブル・ジャイアンツのラインが加わりました。
 これがまたマニアックというか、遊び心というか、デザインのネタがYMGのあまり有名ではない7インチ・シングル「Testcard E.P.」のアートワークとか、当時の日本盤『COLOSSAL YOUTH』の歌詞カードとか、80年にスチュアート・モックスハムと当時の恋人ウェンディが共作したジンとか、かなりの変化球で攻めています。今回もメンバー(スチュアート)と連絡を取りながらのバンド認定のデザインで、本人たちも企画にノリノリだったようです。
 また、お店のなかもだいぶ賑やかにいろんなグッズ(缶バッヂ、レコード、古雑誌、などなど)が揃ってきています。見ているだけでも面白いので、70年代末から80年代初頭のポストパンク系がお好きな方は一度は足を運んでみましょう。(いまなら『COLOSSAL YOUTH』のアナログ盤も売っています)


VIVA X Young Marble Giants


“Colossal Youth“ Logo Embroidered Jacket + Badge (税込25,300円)


“Colossal Youth(Japanese Edition)” Long-Sleeve(税込9,900円)


“Testcard E.P” Long-Sleeve(税込9,900円)


“Words and Pictures / Colossal Youth” T-shirt(税込7,480円)


“Words and Pictures / Colossal Youth” Tote Bag(税込3,520円)

ISSUGI - ele-king

 やはり彼はタダモノではない。バンド・サウンドを導入し新たなサウンドを展開した『GEMZ』、ビートメイカー 16FLIP として同作をリミックスした『16GEMZ』。ことばの紡ぎ手=ラッパーであると同時に、音にも徹底的にこだわる ISSUGI の音楽家としての側面がよくあらわれた両作だが、前者のインストゥルメンタル・ヴァージョンと後者をカップリングした2枚組CD『BEATS FOR GEMZ』が4月8日に発売される。完全限定プレスで、〈Pヴァイン〉のサイトのみでの販売。
 また、これを機に『GEMZ』と『GEMZ INSTRUMENTAL』のアナログ盤(完全限定プレス)も4月14日にリリースされる。同じく完全限定プレスだが、こちらは一般流通もされるとのこと。
 さらに、それらの2枚組CD『BEATS FOR GEMZ』と『GEMZ』『GEMZ INSTRUMENTAL』のアナログ盤をセットにした豪華な「GEMZ COMPLETE SET」も発売される(こちらは〈Pヴァイン〉のサイトのみでの販売)。
 音楽家 ISSUGI の探求を一気に知ることができるリリース、ぜひチェックを。

MONJU や SICK TEAM のメンバーとしても知られるラッパー ISSUGI の2019年作『GEMZ』のインストゥルメンタルと 16FLIP VS ISSUGI 名義での同作のリミックス『16GEMZ』のインストゥルメンタルをコンパイルした2枚組CD『BEATS FOR GEMZ』が完全限定プレスでリリース! また『GEMZ』とそのインストゥルメンタル・アルバムのアナログ盤のリリースも決定!

 〈DOGEAR RECORDS〉の中心的存在 MONJU、そして Budamunk、5lack と共に SICK
TEAM のメンバーであり、近年は BES & ISSUGI としても2作のアルバムをドロップする等、ソロ作は勿論繋がりがある仲間との共作に渡り自然体且つ揺るぎないセンスと自身が放つ共振力で常に音楽をアップデートし続ける感覚とスキルを持つラッパー ISSUGI。

 BUDAMUNK(PADS)、WONK の HIKARU ARATA(DRUM)、KAN INOUE(BASS)、CRO-MAGNON の TAKUMI KANEKO(KEYS)、MELRAW (SAX, FLUTE, TRUMPET, GUITAR)、DJ K FLASH(TURNTABLE)がバンド・メンバーとして集結し、Red Bull のサポートのもとバンド・サウンドを取り入れて制作された2019年リリースのアルバム『GEMZ』は、ヒップホップ・アーティストとしての ISSUGI のさらなる進化を感じさせる作品としてジャンルを超えて高く評価された。また昨年リリースされた ISSUGI 自身のビートメーカー/DJ名義である 16FLIP として同作収録曲をリミックスした作品『16GEMZ』も話題となった。その『GEMZ』のインストゥルメンタルと『16GEMZ』のインストゥルメンタルをコンパイルした2枚組のCD作品『BEATS FOR GEMZ』が完全限定プレスでリリース! 今作はDISC 1に『GEMZ』のインストゥルメンタルを、DISC 2に『16GEMZ』のインストゥルメンタルを収録。一般流通はなく P-VINE OFFICIAL SHOP のみでの販売となり、特典としてジャケット・デザインのステッカーが封入されています。
 また『GEMZ』とそのインストゥルメンタル・アルバム『GEMZ INSTRUMENTAL』がアナログ盤としてリリースも決定! 両タイトルとも2枚組仕様/完全限定プレスで一般流通もされ、4/14(水)に2作同時リリースとなります。

さらにその『BEATS FOR GEMZ』と『GEMZ』のアナログ盤、『GEMZ INSTRUMENTAL』のアナログ盤をセットにした「GEMZ COMPLETE SET」"2CD+2LP+2LP" (¥9,091円+税)も同じく P-VINE OFFICIAL SHOP のみ/限定セットで予約受付開始! こちらのセットにはその3作品の他にスペシャルな特典として


*『16GEMZ』A2ポスター

*『GEMZ』マグネット

*『Dogear Records』マグネット

の非売品3アイテムが付き、『GEMZ』と『GEMZ INSTRUMENTAL』を一般発売よりも一足早くゲット出来ます。
 『BEATS FOR GEMZ』と「GEMZ COMPLETE SET」の予約受付は本日18時よりスタートしていますのでご予約はお早めに!

*『BEATS FOR GEMZ』/「GEMZ COMPLETE SET」販売ページ
https://anywherestore.p-vine.jp/pages/issugi-beats-for-gemz

[BEATS FOR GEMZ 情報]
アーティスト: ISSUGI
タイトル: BEATS FOR GEMZ
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
仕様: 2枚組CD(完全限定生産 / P-VINE OFFICIAL SHOP 限定商品)
発売日: 2021年4月8日(木)
品番: PCDS-1/2
定価: 2,970円(税抜2,700円)
https://anywherestore.p-vine.jp/products/pcds-1_2

[トラックリスト]
- DISC 1 -
01. GEMZ INTRO Instrumental / prod BUDAMUNK
02. ONE RIDDIM Instrumental / prod BUDAMUNK
03. NEW DISH Instrumental / prod 16FLIP & BUDAMUNK
04. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 Instrumental / prod 16FLIP
05. DRUMLUDE Instrumental / prod BUDAMUNK
06. HERE ISS Instrumental / prod 16FLIP
07. LIL SUNSHINE REMIX Instrumental
08. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 Instrumental / prod BUDAMUNK
09. 踊狂REMIX ft. 5lack Instrumental / prod BUDAMUNK
10. OLD SONG ft DEVIN MORRISON Instrumental / prod BUDAMUNK
11. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG Instrumental / prod ENDRUN
12. LOUDER Instrumental / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
13. MISSION ft KOJOE Instrumental / prod HIKARU ARATA
14. 再生 Instrumental / prod BUDAMUNK
15. No.171 Instrumental / prod BUDAMUNK
16. GEMZ OUTRO Instrumental / prod BUDAMUNK

- DISC 2 -
01. GEMZ INTRO REMIX Instrumental
02. ONE RIDDIM REMIX Instrumental
03. NEW DISH REMIX Instrumental
04. FIVE ELEMENTS ft. OYG, Mr.PUG, 仙人掌 REMIX Instrumental
05. 再生 REMIX Instrumental
06. INTERLUDE Instrumental
07. 踊狂 ft. 5lack REMIX Instrumental
08. OLD SONG ft. DEVIN MORRISON REMIX Instrumental
09. MISSION ft. KOJOE REMIX Instrumental
10. GEMZ OUTRO REMIX Instrumental
*All Songs Remixed by 16FLIP

[GEMZ COMPLETE SET 情報]
アーティスト: ISSUGI
タイトル: GEMZ COMPLETE SET
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
仕様: 2枚組CD+2枚組LP+2枚組LP (完全限定生産 / P-VINE OFFICIAL SHOP 限定販売)
発売日: 2021年4月8日(木)
品番: PVST-1
定価: 10,000円(税抜9,091円)
セット内容:
*『BEATS FOR GEMZ』(2CD)、『GEMZ』(2LP)、『GEMZ INSTRUMENTAL』(2LP)のセット
*特典として『16GEMZ』A2ポスター、『GEMZ』マグネット、Dogear Recordsマグネットが付属
https://anywherestore.p-vine.jp/products/pvst-1

[GEMZ - LP 情報]
アーティスト: ISSUGI
タイトル: GEMZ
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
仕様: 2枚組LP (完全限定生産)
発売日: 2021年4月14日(水)
品番: PLP-6969/70
定価: 4,378 円(税抜3,980円)

[トラックリスト]
- SIDE A -
1. GEMZ INTRO / prod BUDAMUNK
2. ONE RIDDIM / prod BUDAMUNK
3. NEW DISH / prod 16FLIP & BUDAMUNK
4. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 / prod 16FLIP
- SIDE B -
1. DRUMLUDE / prod BUDAMUNK
2. HERE ISS / prod 16FLIP
3. LIL SUNSHINE REMIX
4. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 / prod BUDAMUNK
- SIDE C -
1. 踊狂REMIX ft. 5lack / prod BUDAMUNK
2. OLD SONG ft DEVIN MORRISON / prod BUDAMUNK
3. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG / prod ENDRUN
4. LOUDER / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
- SIDE D -
1. MISSION ft KOJOE / prod HIKARU ARATA
2. 再生 / prod BUDAMUNK
3. No.171 / prod BUDAMUNK
4. GEMZ OUTRO / prod BUDAMUNK


[GEMZ INSTRUMENTAL - LP 情報]
アーティスト: ISSUGI
タイトル: GEMZ INSTRUMENTAL
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
仕様: 2枚組LP (完全限定生産)
発売日: 2021年4月14日(水)
品番: PLP-6971/2
定価: 4,378 円(税抜3,980円)

[トラックリスト]
- SIDE A -
1. GEMZ INTRO Instrumental / prod BUDAMUNK
2. ONE RIDDIM Instrumental / prod BUDAMUNK
3. NEW DISH Instrumental / prod 16FLIP & BUDAMUNK
4. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 Instrumental / prod 16FLIP
- SIDE B -
1. DRUMLUDE Instrumental / prod BUDAMUNK
2. HERE ISS Instrumental / prod 16FLIP
3. LIL SUNSHINE REMIX Instrumental
4. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 Instrumental / prod BUDAMUNK
- SIDE C -
1. 踊狂REMIX ft. 5lack Instrumental / prod BUDAMUNK
2. OLD SONG ft DEVIN MORRISON Instrumental / prod BUDAMUNK
3. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG Instrumental / prod ENDRUN
4. LOUDER Instrumental / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
- SIDE D -
1. MISSION ft KOJOE Instrumental / prod HIKARU ARATA
2. 再生 Instrumental / prod BUDAMUNK
3. No.171 Instrumental / prod BUDAMUNK
4. GEMZ OUTRO Instrumental / prod BUDAMUNK

Ryoji Ikeda - ele-king

 日本のグリッチを代表するひとり、池田亮司。さまざまなアプローチでヴィジュアルとサウンドの可能性を探求してきた彼の新たな作品、『music for installations vol.1』が3月26日にリリースされている。
 同作はこれまでのオーディオ・ヴィジュアル・インスタレーション音源を集めたもので、不可視なデータを知覚化する「datamatics」シリーズや、あらゆるデータをバーコードと0と1のパターンに変換する「test pattern」シリーズからのものが収録されている。
 96ページに及ぶブックレットも付随するとのことで、これは手元に置いておきたい一品だ。限定999部とのことなので、お早めに。

Ryoji Ikeda
music for installations vol.1

池田亮司が世界各地で発表しているオーディオヴィジュアルインスタレーションの音源を集めた『music for installations vol.1』をcodex | editionから限定999部でリリース

音そして視覚的要素、物理や数学的なアプローチを用いて人間の知覚能力やテクノロジーの臨界点に挑むような作品を様々な形態で発表し続けている作曲家/アーティストの池田亮司。このたびcodex | editionから、オーディオヴィジュアルインスタレーションの音源を集めた『music for installations vol.1』を限定リリースする。池田が長期的に取り組んでいる不可視なデータを知覚化するプロジェクト「datamatics」シリーズから《data.tron》や《data.flux》、あらゆるデータをバーコードと0と1のバイナリパターンに変換して見る者を激しい明滅の渦に巻き込む「test pattern」シリーズよりニューヨーク・タイムズスクエアのビルボードをジャックした《test pattern [times square]》などを含む、これまで世界各地で発表してきた作品の中から貴重な音源を自ら厳選・編集して計7曲を収録。今回は「music for installations」シリーズの第一弾として発売され、今後vol.2とvol.3がリリース予定。

池田のインスタレーション作品では常にサウンドとイメージの同一性が保たれているが、それらがひとたび離れサウンドに焦点を当てることによって、本作では池田の音が生み出す精細で複雑な構造の美しさがより際立っている。順列と不規則性のバランスが織りなす、静謐かつ時に激しく展開される音の世界に感覚が研ぎ澄まされていく
また、CDとセットになった96ページのブックレットには収録曲の作品図版を多数掲載し、アーカイブとしても魅力的な一冊に仕上がっている。同レーベルから発売された前作『music for percussion』(2018)のジャケットデザインを継承しており、ぜひコレクションに加えたい一作。

* CDと96ページのブックレットのセット
* 限定999部、エディションナンバー入りカード付き 
* 3月16日(火)20時(JST)よりcodex | editionのオンラインショップにてプレオーダー開始

[商品情報]
アーティスト: Ryoji Ikeda
タイトル: music for installations vol.1
レーベル: codex | edition
品番: CD-002
税込価格: 4,950円
発売日: 2021年3月26日(金)
(デジタル音源は2021年4月リリース予定)

TRACK LIST
1. data.tron (2007‒14)
2. test pattern (2008‒17)
3. data.tecture (2012/2015)
4. data.path (2013)
5. test pattern [times square] (2014)
6. data.scape (2016)
7. data.flux (2017)
合計収録時間:66:43

Lost Girls - ele-king

 つい先日、ジェニー・ヴァルが地元オスロの音楽家ホーヴァル・ヴォルデンと組んだ新プロジェクト、ロスト・ガールズのアルバムが発表された。これが期待以上の出来で、ヴァルのこれまでの素晴らしいソロ作品とも違っている。
 アルバム・タイトルはノルウェー語で「人間の集団」、以前のreviewで書いたようにヴァルは言葉の表現者(実際に彼女は小説家)でもあるので、できれば歌詞をすべて知ったうえで紹介すべきなのだろうけれど、「何を歌っているのかまったくわからないけど素晴らしい」と感嘆している海外のフィシュマンズのリスナーを見習って、サウンドに集中しながら紹介しよう。なにせアルバムは次のような言葉からはじまっているのだから。「最初に言葉なし、私もなし/最初にサウンドあり(In the beginning, there was no word and no I / In the beginning, there is sound)」

 そう、最初にサウンドあり。「最初に私たちは私たちの口を作る。誰がどんな音を出すか知っていますか?」12分のタイトルトラックはこうしてはじまる。電子音はただ広がり、ヴァルの呟くような声は抑揚なく続く。
 「最初にサウンドあり/最初に声あり……」「最初に暗闇あり/最初にサウンドあり……」
 やがてゆったりとしたリズムが導入される。呟くような声はいつかしか歌声へと劇的に変わる。実験音楽家のロバート・アシュレーによる有名な『Automatic Writing』を彷彿させるとの海外評が散見されるが、ヴァルがアシュレーを知らないはずもないだろうから、少しは意識したのかもしれない。だとしても、後半の盛り上がりはアシュレーにはないし、うねりを上げる電子のファンクとヴァルの声はまさにひとつの「サウンド」と一体化している。ビートが入ってからは、テクノのダンストラックとしても充分に通用するだろう。

 ダビーなエレクトロにはじまる2曲目の“Losing Something”もずばぬけている。「鉄よりも、鉛よりも、ゴールドよりも、私には電気が必要」。ヴァルはここでも呟くように言葉を並べ、ゆらりゆらりと蛇行しながら、気がつくとまた歌っている。「私には電気が必要。ラム、ポーク、レタス、キュウリよりも必要、私の夢のために」
 ああ、なんてことだ、ヴァルはこのロボティックな空間で、ナンセンスを弄んでいる! いや、本当のところはRacterなる2人の科学者が80年代に開発したコンピュータ・プログラムによるシューレアリスティックな散文詩の一節ということだが、ヴァルが朗読するそれは、ベーシック・チャンネルとモデル500が異次元で結合したかのようなサウンドのなかにエーテル状に溶け込んでいる。
 で、この曲もまた後半になると異様に盛り上がっているわけだが、クライマックスでは次のように、ゴスペル調のアップリフティングなコーラスとの掛け合いが繰り返されている。「何かを失ってしまったのではないだろうか(Isn’t it that I’ve been losing something)」「わからない(I don't know)」
 わからない! その余韻を引き継いで、妖しいハウスのビートではじまる3曲目“Carried by Invisible Bodies”へとスムーズに展開する。シンセの洪水が押し寄せるこの容赦なくドリーミーな空間のなか、またしてもヴァルは半ば気まぐれな風を装って言葉を呟き続けているのであるが、ラテン・ハウスの金字塔スエーニョ・ラティーノをクラウトロックの音職人コニー・プランクがプロデュースしたらこうなるのではないかと。さもなければ、これはそびえ立つ大聖堂に響くアンビエント・ハウスである。

 ミニマルな電子のパーカッションからはじまる“Love, lovers”はアルバム中もっとも長い曲で15分もあるが、おそらくもっとも人気が出そうな曲だ。クラウトロックとデトロイトのディープ・ハウスとのあいだの溝を進むようなリズム──最初は淡々と進みながら途中で音の断片やギターがミックスされる。いつの間にか宇宙は膨張し、そして得も知れないところへとリスナーは連れていかれるという案配だ。この曲でもヴァルのパフォーマンスは効いていて、そのトランシーで妖艶な響きは、本当に近い将来ダンスフロアを支配するんじゃないだろうか。

 最後の曲“Real Life”は、まるでジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーとの中間の領域にあるサウンドだ。ここでは、ヴォルデンのときにはザ・ドルッティ・コラムめいた暗い光沢を見せ、ときには騒々しく音を鳴らすギターがメリハリの利いた見事な表現力を披露している。ローリー・アンダーソンの作品を楽しむのにあらかじめ歌詞を知る必要がないように、ロスト・ガールズの出色のデビュー・アルバムにこれ以上の説明はいらないだろう。夢中になって聴いてぶっ飛んで欲しい。ジャケットのアーワークも良い!
 
 

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