「Lea Lea」と一致するもの

Swans - ele-king

 これは驚きのニュースだ。オルタナティヴ~エクスペリメンタルの大御所バンド スワンズが、なんとインダストリアル~ドローンの俊英ベン・フロスト(ちなみに彼はかつてイアン・バンクスの小説『蜂工場』のサウンドトラックを手がけてもいる)を新たにメンバーに迎え、ニュー・アルバム『Leaving Meaning』を10月25日にリリースする。いやもちろん、彼らはすでに5年前に共演しているし、そもそもいまはレーベルメイトだし、00年代以降のドローンの動向を考えてもこの合流はなんら不思議なことではないのだけど、まさか同じバンド・メンバーになってしまうとは。現在、アルバムより“It's Coming It's Real”が先行公開中。

 今年はディー・テートリッヒェ・ドーリスの再発をした新潟の〈SUEZAN STUDIO〉レーベルが、今度はジャーマン・ニューウェイヴ(ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ)の伝説のレーベル〈ZickZack〉作品を再発する。
 〈ZickZack〉はポストパンクの影響を受けて1981年にハンブルグに設立されたレーベルで、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンをはじめ、地元のバンド、パレ・シャンブルク(そしてホルガー・ヒラーとトーマス・フェルマン)、ディー・クルップスやアンドレアス・ドーラウなどのリリースで広く知られている。ラジカルであり、ユーモラスであり、とにかく面白いレーベル。この夏8時間プレイをした石野卓球さんも大好きなレーベルです。
 再発計画の第一弾はアンディ・ジョルビーノ((Andy Giorbin)の2枚のアルバム。ハンブルグのアンディ・ジョルビーノの音楽は、ジャーマン・ニューウェイヴらしいコミカルさ、子供っぽさとアートへの情熱が籠もった面白いサウンドで、〈SUEZAN STUDIO〉らしくマニアックなはじまりです(笑)。そしてこれはかなり期待できる再発なのはじまりなので、注目しましょう。


アンディ・ジョルビーノ/歓喜の歌
(Andy Giorbino / Lied an die Freude)

1981年のファースト・アルバム。エイフェックス・ツインも顔負けの子供っぷり満載のプリミティヴ・エレクトロ・ミュージック。ボーナストラック付き。

アンディ・ジョルビーノ/優美と尊厳
(Andy Giorbino / Anmut und Würde)

1983年のセカンド・アルバムで、ホルガー・ヒラーも参加。80年代ドイツ・エレクトロのマスターピース。ボーナストラック付き。

https://suezan.com/newrelease.htm

KANDYTOWN - ele-king

 いよいよ本体が動き出す。2016年のファースト・アルバム『KANDYTOWN』以来、RyohuGottzBSCIO にと、メンバーそれぞれが精力的に活動を続けてきた KANDYTOWN だけれど、ついにクルーとしてのセカンド・アルバム『ADVISORY』が10月23日にリリースされる。3年ぶりに総勢16名が再集結した新作は、いったいどんなサウンドを聴かせてくれるのか。まずは9月6日に先行配信される新曲“HND”を待とう。

KANDYTOWN
2019年10月23日(水)に2ndフル・アルバム『ADVISORY』リリース決定!
初回限定盤には O-EAST でのワンマンライヴ「LOCAL CONNECTION」の模様をおさめたDVDとスペシャルフォトブック!
そしてアルバムから新曲“HND”が9月6日(金)に先行配信決定。

ラッパー、DJ、トラックメイカー、アートディレクターなど総勢16名が所属する国内屈指のヒップホップ・クルー:KANDYTOWNが、メジャー1stフル・アルバム『KANDYTOWN』から3年振りとなる2ndフル・アルバム『ADVISORY』が10月23日(水)にリリースとなることが発表となった。クルーの活動と並行してそれぞれのソロ作品がリリースされる中、総勢16名が再び集結し制作されたアルバムは全15曲収録。前作同様、エンジニアは The Anticipation Illicit Tsuboi 氏が担当。なお、初回限定盤には5月3日(金祝)に O-EAST にて開催されたワンマンライヴ「LOCAL CONNECTION」の模様をおさめたDVDとスペシャルフォトブックが付属されている。

そして、数量限定の先着購入特典(通常盤・初回限定盤共通)として、TOWER RECORDS では“Harder”、Amazon では“Abstract”といった未発表楽曲1曲入のCDが決定したのでこの機会をお見逃しなく。

更に9月6日(金)にはアルバムから新曲“HND”が先行配信されることがアートワークとともに発表となった。
この楽曲は Neetz が手掛けたトラックに MUD、BSC、DIAN といった3人のMCが参加している。

そんな KANDYTOWN は東京・大阪での Zeppツアー開催を控えており、こちらの日程・チケット等詳細は後日発表予定とのことなので続報を待とう。

【Digital Single「HND」】
Title: HND
Words: MUD,BSC,DIAN
Music: Neetz
Release Date: 2019.09.06 (Fri)

【KANDYTOWN 2nd ALBUM「ADVISORY」】
Title: ADVISORY
Release Date: 2019.10.23 (Wed)

Track List
01. HND
 Rap: MUD, BSC, DIAN / Music: Neetz
02. Slide
 Rap: IO, Neetz, Gottz / Music: Neetz
03. Last Week
 Rap: IO, Gottz, MUD / Music: Neetz
04. Core
 Rap: KIKUMARU, Holly Q, DONY JOINT / Music: Neetz
05. Local Area
 Rap: Gottz, Neetz, KEIJU / Music: Neetz
06. Take It
 Rap: Gottz, KIKUMARU, MUD / Music: Neetz
07. Knot
 Rap: Ryohu, KEIJU / Music: Neetz
08. In Need
 Rap: KEIJU, Holly Q, KIKUMARU, Ryohu / Music: Ryohu
09. So Far
 Rap: Holly Q, Gottz, MASATO, BSC, DIAN / Music: Neetz
10. Legacy
 Rap: Holly Q, MUD, BSC, DIAN / Music: Neetz
11. Bustle
 Rap: Ryohu,Holly Q, Gottz, Neetz / Music: Neetz
12. Imperial
 Rap: Gottz, Neetz, Ryohu / Music: Ryohu
13. Winelight
 Rap: Ryohu, Gottz, IO / Music: Ryohu
14. Cruisin'
 Rap: Ryohu, MASATO, DONY JOINT / Music: Ryohu
15. Until The End Of Time
 Rap: DONY JOINT,Holly Q, IO / Music: Neetz

Produced by KANDYTOWN LIFE
Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi @ RDS Toritsudai

■TOWER RECORDS 限定 先着購入特典:「Harder」
■Amazon限定 先着購入特典:「Abstract」
■先着購入特典:オリジナルステッカー
※いずれも数量限定となります。
※ステッカーは TOWER RECORDS、Amazon 以外のチェーン/店舗が対象となります。
※一部店舗では対応していませんので事前に店舗へお問い合わせください。

【PROFILE】
東京出身の総勢16名のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape 『KOLD TAPE』
2015年 street album 『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 major 1st full album 『KANDYTOWN』
2017年 digital single 『Few Colors』
2018年 digital single 『1TIME4EVER』
2019年 e.p. 『LOCAL SERVICE』, major 2nd full album『ADVISORY』

Klein - ele-king

 2016年の『Only』で一気に頭角を現した、エレクトロニック・ミュージックの次世代を担うタレントのひとり、クラインが新たなアルバムを送り出す。2017年に〈Hyperdub〉からEP「Tommy」を、翌2018年には手ずから「CC」をリリースし、同年にはミュージカル『Care』のスコアも手がけていた彼女だけれど、今回の新作は18ヶ月かけて制作されたという。彼女自身が新たに起ち上げたレーベル〈ijn inc.〉からのリリースで、ゴスペル歌手のジェイムズ・クリーヴランドや作曲家のスペンサー・ウィリアムズ、18世紀の調性音楽などからインスパイアされたものになっているとのこと。注目すべきは収録曲“For What Worth”において、NYの前衛派サキソフォニスト、マタナ・ロバーツとコラボレイトしている点だろう。なお、発売とおなじ9月6日にクラインは、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーにてパフォーマンスをおこなうことも決定している。紙エレ22号には彼女のインタヴューが掲載されているので、そちらもチェック。

artist: Klein
title: Lifetime
label: ijn inc.
catalog #: IJNINC001
release date: September 6, 2019

Tracklist:
01. Lifetime
02. Claim It
03. Listen And See As They Take
04. Silent
05. For What Worth feat. Matana Roberts
06. Enough Is Enough
07. We Are Almost There
08. Never Will I Disobey
09. Honour
10. Camelot Is Coming
11. 99
12. Protect My Blood

https://klein1997.bandcamp.com/album/lifetime

Boomkat

Telefon Tel Aviv - ele-king

 2001年のファーストと2004年のセカンドでエレクトロニカの歴史に大きな足跡を残したシカゴのテレフォン・テル・アヴィヴ。片割れのチャールズ・クーパーの死により活動休止状態にあった同プロジェクトが、もうひとりのヨシュア・ユースティスによって再始動させられたのが2016年で、同年あらためて〈Ghostly〉から再発されたファーストは異例のヒットを飛ばし、ヴィジブル・クロークスなどが台頭する下地を用意したとも言える。そして活動20周年を迎える今年、ついにテレフォン・テル・アヴィヴの新たなアルバムがリリースされる運びとなった(ちなみにこの間、ヨシュアはセカンド・ウーマンとして2枚のアルバムを発表)。現在、新曲“a younger version of myself,”のMVが公開中。

Telefon Tel Aviv の 9/27 リリースの10年ぶりのニュー・アルバムから“a younger version of myself,”のMVが公開

Telefon Tel Aviv が活動20周年となる今年、実に10年ぶりにリリースする通算4作目にして Joshua Eustis 1人となってからは初のアルバム『Dreams Are Not Enough』からセカンド・シングルとなる「a younger version of myself,」のMVを公開致しました。

Telefon Tel Aviv – “a younger version of myself,” (Official Video)

Director – Lance Drake
Executive Producer – Austin Simons
Producer – David Ledwith
Cinematographer – Joshua Zucker-Pluda
AC – Nobuyoshi Sakurai
Gaffer – Drew Valenti
PA – David Stokes
Editor – Jeremiah Mayhew
AI Artist – Michail Rybakov (https://rybakov.com/)
Colorist – Bryan Smaller at Co3
Production Company – Wrong Creative

圧倒的なセンスでゼロ年代のエレクトロニカ・シーンを牽引し、今日においてもその評価を高め続け、2017年に行われた来日公演(東京公演はソールドアウト)ではそのアップデートしたサウンドで衝撃を走らせた Telefon Tel Aviv が、活動20周年となる2019年、実に10年ぶりとなる通算4作目にして Joshua Eustis 1人となってからは初のアルバムを完成!!

今は無き名門〈Hefty〉から『Fahrenheit Fair Enough』『Map Of What Is Effortless』をリリースして、USのエレクトロニカを代表する存在となり、2009年にベルリンのDJ/プロデューサー、Ellen Allien 主宰のレーベル、〈Bpitch Control〉から3作目『Immolate Yourself』をリリース。しかしその直後に Charles Cooper が突然他界。1人となった Josh Eustis は Telefon Tel Aviv としての活動を停止する。その後は Nine Inch Nails や Puscifer のライヴのサポート・メンバーとしての活動や、ソロ・プロジェクト、Sons of Magdalene、Belong の Turk Dietrich とのユニット、Second Woman、Vatican Shadow や Drab Majesty、Tropic Of Cancer などの作品への参加など、メジャーからアンダーグラウンドまで多岐に渡る活動をしてきた。

そういった活動を経て、2016年に遂に Joshua 1人で Telefon Telefon Aviv を再始動。廃盤となっていたファースト・アルバムを〈Ghostly〉から再発。2017年にはセカンドの再発に加え、およそ8年ぶりとなる新曲も披露し、同年9月にはおよそ11年ぶり2度目の来日にして、初の国内ヘッドライン公演を行い、東京公演はソールド・アウト。その漆黒の衝撃的なパフォーマンスでオーディスンスを震撼させた。

そして活動20周年となる2019年、遂に10年ぶりとなる4作目にして Joshua 1人となってからは初となるアルバム『Dreams Are Not Enough』を完成。もちろんこれまでの作品の延長線上であるが、10年間の経験を経て、よりアップグレードした作風をみせている。本作は損失、怒り、そして年齢についてのストーリーについて書かれており、Telefon Tel Aviv らしいハイパーモダンなサウンド・デザインとスモーキーで夜を想起させるエモーションは、より鮮やかになった印象。

ダークでメランコリックなムードが漂う中、アブストラクト且つ瞑想的な世界観にミステリアスなモダンポップ・テイスト~インダストリアルが融合し、蒸気のようなメロディとヴォーカル、そして複雑なリズムと反復を操りながら構築される、最新の Telefon Tel Aviv サウンドに固唾を呑むこと必至。
図太く重厚でありながら、無駄が削ぎ落とされたストイックで孤高のサウンド。その美しくエモーショナルな音像に否応なしに引き込まれる。

Artist: Telefon Tel Aviv
Title: Dreams Are Not Enough
Cat #: ARTPL-118
Format: CD / Digital
Release Date: 2019.09.27
Price (CD): 2,000 yen +税
解説: 小野島 大
※ 歌詞・対訳付き
※ 正方形紙ジャケット仕様
※ 特典〈Ghostly〉レーベル・ロゴ・ステッカー付き

TRACK LIST:
01. I dream of it often:
02. a younger version of myself,
03. standing at the bottom of the ocean;
04. arms aloft,
05. mouth agape,
06. eyes glaring,
07. not seeing,
08. not breathing,
09. still as stone in a watery fane.

Shapednoise - ele-king

 イタリア出身で現在はベルリンを拠点に活動しているシェイプドノイズことニーノ・ペドーネが、2015年以来となるフルレングス『Aesthesisis』をリリースする。レーベルはラスティソフィーなどの作品で知られるグラスゴーの〈Numbers〉で、マーク・フィッシャーの言う「ハードコア連続体」を意識した作品になっているようだ。〈NON〉のマイシャや、ここ数週間しょっちゅう名前を見かけるジャスティン・ブロードリック、ラビットや元コイルのドリュー・マクドウォールも参加している。
 なお、シェイプドノイズはこれまで〈Opal Tapes〉や〈Type〉といったレーベルから作品を発表してきており、マムダンスロゴス(彼も今年『TMT』のインタヴューで「ハードコア連続体」について語っている)、マイルズ・ウィテカーとのコラボ経験もある。他方で彼はエイフェックス・ツインのお気に入りアーティストでもあり、リチャードは最近の《Field Day Festival》などのフェスで彼の曲をかけている。さらに付け加えるなら、ニーノは〈Repitch〉というレーベルの運営にも関わっており、スリープアーカイヴやソートなどの12インチを送り出してもいる(そのサブレーベルの〈Cosmo Rhythmatic〉からは今度、シャックルトンの新プロジェクトがリリース)。
 とまあこのように、アンダーグラウンドで陰日向なく重要な活動を続けている彼だけに、今回の新作も要注目です。

artist: SHAPEDNOISE
title: AESTHESIS
label: Numbers
catalog #: NMBRS62
release date: 8 October 2019

Tracklist:
01. Intriguing In The End feat. Mhysa
02. Blaze feat. Justin K Broadrick
03. Elevation
04. Rayleigh Scattering
05. The Foolishness Of Human Endeavour
06. CRx Aureal
07. Blasting Super Melt
08. Unflinching
09. Moby Dick feat. Drew McDowall & Rabit

https://nmbrs.net/releases/shapednoise-aesthesis/

Boomkat / Bandcamp

Floating Points - ele-king

 これまた2019年の重要作となりそうなタイトルの登場だ。フローティング・ポインツが待望のニュー・アルバム『Crush』を10月18日にリリースする。4年前のファースト・アルバム『Elaenia』以降、「Kuiper」や『Reflections』ではバンドを結成し、ロック的なアプローチに取り組んできたフローティング・ポインツだけれど、この7月にリリースされたシングル「LesAlpx / Coorabell」で彼は一気にダンスへと回帰している。今回公開された新曲“Last Bloom”もエレクトロのビートが効いている。ベリアルやテンダーロニアスがそうであったように、UKのアンダーグラウンドはいまテクノへの傾斜を強めている感があるが、フローティング・ポインツのこの新作はその流れを決定づけるものになりそうだ。それに、トラックリストを眺めていると、何やら意味深な言葉が並んでいる。タイトルも「粉砕」だし、テーマも深く練られているにちがいない。この秋最大の注目作である。

interview with The Comet Is Coming - ele-king

ものをつくるプロセスって、宇宙ができあがったそもそもの経緯なんじゃないかなと思う。だから音楽をつくるということは、この宇宙という神聖なものにどこかつうじるところがある。 (マックス)

 今年もそろそろ、年間ベスト入り確実となるだろう候補作が出揃いはじめている。ザ・コメット・イズ・カミングの『Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery』もその最右翼の1枚だ。むべなるかな、フジでのパフォーマンスも圧巻だったそうだけれど、細やかなエレクトロニクスと重厚な低音とセクシーなシャバカの管が鮮やかなコントラストを織り成す“Birth Of Creation”や“Blood Of The Past”、ロックの躍動を最大限に活用した超絶クールな“Summon The Fire”に“Super Zodiac”、あるいは“Timewave Zero”のブロークンビーツや“Unity”のアフロ・パーカッションなど、縦横無尽にさまざまな音楽を食い散らかし、もはやジャズという言葉を用いるのもためらわれるほど独自の試行錯誤が繰り広げられる同作は、その宇宙的なモティーフによって不思議な統一感を与えられてもいる。
 興味深いことに彼らは、音にたいする想像と他人にたいする想像とをおなじ地平で捉えている。まさにそのような想像こそ政治に欠落しているものなわけで、楽曲制作のプロセスをそのまま世界情勢と重ねて考える彼らのあり方は、何もかもが悪化の一途をたどっているこの悲惨な惑星において、文字どおり希望と呼ぶべきものだろう。彼らの宇宙とは、実践なのである──とまあそのように、最上の実験と、最上の雑食と、最上のスピリチュアリティを同時に響かせるザ・コメット・イズ・カミング、苗場へと発つ直前の3人に話をうかがった。


言おうかなと思ったんだけど、(ボリス・ジョンソンの名を)口にするだけでも口が汚れると思ったから、言いたくなかったんだ。 (ダン)

私たちは1年前に、UKジャズの特集号を出したんですよ(『別冊ele-king』を差し出す)。

シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings、以下SH):(ぱらぱらめくりながら)ヘンリー(・ウー)とは友だちなんだ。あいつ、いつも写真が変なんだよ(笑)。

(笑)。まず、ザ・コメット・イズ・カミングというプロジェクトの成り立ちですが、ダン・リーヴァーズさんとマックスウェル・ホウレットさんのふたりがサッカー96をやっていて、そこにシャバカ・ハッチングスさんが加わるかたちではじまった、という認識でいいでしょうか?

マックスウェル・ホウレット(Max Hallett、以下MH):ダンと僕は16年くらい一緒にやっているんだけど、サッカー96は10年前からふたりでやっているね。そういう意味ではチームとして深い関係があるんだ。僕たちは基本的にベッドルームで、生楽器を使って、テープマシーンを使って、マイクも自分たちで置いて、すべてのレコーディング・プロセスを自分たちの手でやる、というのがはじまりだった。だから長い年月を重ねてやっていくことでプロセスじたいもできあがっていったんだ。だからシャバカが入ったときは、そのプロセスの上に、その瞬間瞬間に、いかにインプロヴィゼイションとかジャムとかを乗っけていくかという感じだった。もともとそれが好きだったしね。ものをつくるプロセスって、けっきょく、宇宙ができあがったそもそもの経緯なんじゃないかなと思う。だから音楽をつくるということは、広い意味で、この宇宙という神聖なものにどこかつうじるところがあると思うんだ。そういう、自分たちにとってのプロセスがあるんだよ。

曲づくりの際に、誰かが主導権のようなものを握ることはあるのですか?

ダン・リーヴァーズ(Dan Leavers、以下DL):このバンドかんしていえば、リーダーはいないね。スタジオで直感で生まれるものを実践しているからね。けっきょく、人間がいかに互いに協力しあって何かを想像していけるか、っていうのが大事だから、スタジオのなかではあえて会話もあまり交わさない。「レス・トーク、モア・リッスン」というか、聴きあうという感じだね。プレイヤー3人それぞれが演奏するときも、カオスになるようなことはしない。混沌と統制みたいなもののバランスを考えてる。それぞれがマックスの演奏をしつつ、互いを聴きあう。それを同時に実行しあってやっているんだ。いまそれが地球において人間にとっても必要なことじゃないかと思うよ。このままいくと、もしかしたら地球はなくなってしまうんじゃないかというくらい、いまは破壊的な状況にあると思う。そんな地球のなかでいま、男のリーダーたち、ブラジルの新しい大統領が熱帯雨林を切り刻んだり、トランプが人種差別的なことを言ったり。トップダウン式のリーダーがいることによって物事は崩壊していくから、みんながひとつになって何かを作るということのほうが、世界にとっても音楽にとっても良いと思うよ。

なるほど。

DL:でも、けっしてリーダーシップの資質を出してはいけないということではないよ。たとえばシャバカが「ここをこういうコードにしたらどうだろうか」とか、その瞬間においてリーダーシップを発揮することはあるし、マックスが「このビートはこうしたい」とかいうこともあるわけだから、その瞬間瞬間のそれぞれの意見をコレクティヴにしたのが僕たちなんだ。

ボルソナーロやトランプの話が出ましたけれど、まさにあなたたちの首相も……

DL:イグザクトリー。いま言おうかなと思ったんだけど、(ボリス・ジョンソンの名を)口にするだけでも口が汚れると思ったから、言いたくなかったんだ。

ははは。ブレグジットなど、いまのイギリスの状況についてはどうお考えですか?

MH:その話をしだすときりがなくなっちゃうから言わないけれども、いま物事をふたつにわけて、それぞれの宗派みたいなものがカルチャー的に互いを嫌いあっているような、そういう状況だと思う。アーティストとしての責任は、そこにひとつになる場を提供することじゃないかな。少なくとも自分たちの音楽はそういう音楽でありたい。互いを信じ、そこからユニティみたいなものをつくる。だから僕たちは、みんなのための音楽をつくっていると思っているよ。ボリス・ジョンソンさえ含めてね。分断のための音楽ではなく、みんなそれぞれ平等で、「他人だったらどう思うだろう?」と自分を他人の目に置き換えて考えるような想像力を使って、相手を理解しようとするような、そういう音楽をつくりたいと思っている。音楽を含めて、世界にたいしてそういうふうに感じているね。

ザ・コメット・イズ・カミングというグループ名は、BBCレディオフォニック・ワークショップの作品からとったそうですけれど、これにはどういう思いが込められているのでしょう?

DL:物事にはいろんな意味があるし、ザ・コメット・イズ・カミングにもいろんな意味があるんだけど、イメージとしては彗星(コメット)がやってくるということ。じっさいに彗星がやってくれば、地球は滅亡するわけだしね。彗星が来たからこそ恐竜たちは死に、マンモスは消え、いまこういう人類の時代になっているわけだよね。もしかしたら明日にも彗星が来るのかもしれないし、それはある意味毎日来ているのかもしれない。毎日、1日が終わるのは、彗星が来ているからかもしれない。人間が死んだらどうなるのかっていうのを考えるときに、地球が一度滅亡したらそこで人類すべてがなくなるわけだから、死ということにかんして人間は忘れてはいけないと思う。死を忘れないことによって、いま生きている人生の尊さ、いまというものの尊さがわかると思うんだ。ある意味警鐘を鳴らしているというか、彗星はやってきてしまうから、いまできることをやらないと、明日はもうないかもしれない。そういう意味も含めている。

グループ名もそうですし、前作にも今回の新作にも宇宙を想起させる曲名が多くあります。宇宙をモティーフにする理由は?

DL:(回答を促すようにシャバカを見る)。

MH:僕の父親が言っていたのは、コミュニケイトできるアーティストがいちばん素晴らしいアーティストだということ。たんに音だけではなくて、その音をどう自分たちが聴いてほしいように聴いてもらえるか、どうコミュニケイトできるかということで、それを考えたときに、宇宙は真っ白なキャンヴァスだと思うんだ。地球を離れた宇宙、いま自分が生きている社会や状況とはまったく異なるところに、一度でもいいから離れてみる。そこではいろんな想像力を発揮することができる。自分たちつくる側もそうだけど、聴く側もそれはおなじだと思う。そこにはいろんな色があり、いろんな新しいあり方があり、言葉がある。それぞれのイマジネイションを働かせて使うことができるし、そのなかにいることもできる。だから、音をただ聴かせるだけではなくて、そういったみんなの想像力が使える場を提供するということが、もっともコミュニケイトできる方法のひとつなんじゃないかなと思う。

DL:いまこの現代社会ではすごく個が尊ばれていて、その結果としてたとえば自殺する人の数がすごく増えたりしているよね。かつてはそこでキリスト教だったりほかの宗教だったり、いろんなものが人間たちをある種ひとつにまとめるコミュニティとして役立っていたわけだけど、いまのこの時代はそういうスピリチュアリティみたいなものがすごく欠落していて、どうしたらみんなひとつになれるかという、つながりがない。それは、そういう自殺の問題にも関連していると思うんだ。そんなときに宇宙という考え方は、僕たちの日常や自我をも超えたところで存在しているから、自分は宇宙のなかのたったいちパートにすぎないんだと思うことで、ヒーリング的な、心が癒されるような……自分を自分じゃないもの、宇宙のひとつと思えるんじゃないかな。

ザ・コメット・イズ・カミングの音楽にはテクノの要素もあり、デトロイトを思わせる瞬間もあるので、その影響もあって宇宙的なイメージをとりいれているのかなとも思ったのですが。

DL:(回答を促すようにシャバカを見る)。

MH:僕らはエレクトロニック・ミュージック全体からすごく影響を受けている。もちろん、テクニック的な部分でそれを使っているところもあるかもしれないけど、それ以上にエレクトロニック・ミュージックの何に自分たちが惹かれるのかといえば、意識のトランス的な状況に人をアクセスさせるところなんだ。そこに興味があるんだよ。

テクノロジーに恋をさせてしまえば、人間をコントロールすることができる。人間はすぐそういったものに中毒になって夢中になってしまうわけだから。 (マックス)

マックスさんとシャバカさんはほかのプロジェクト(サンズ・オブ・ケメット)でアフロフューチャリズムを扱っていますけれど、ザ・コメット・イズ・カミングにその要素はない?

SH:うーん。イエス・オア・ノーだね。アフロフューチャリズムの定義にもよると思う。アフリカを起源とする音楽をどのように人びとが見ているのか、それがどういうふうに定義されているかによるね。

たとえばサン・ラーやジョージ・クリントン、あるいはデトロイト・テクノの人たちはよく宇宙のイメージを用いますけど、そういうブラック・ミュージックにおけるSF的な想像力みたいなものが、ザ・コメット・イズ・カミングにも込められているのかなと。

SH:そういった意味でアフロフューチャリズムを定義しているのであれば、それはあると思うね。自分たちは互いのあり方、接し方において……さっきザ・コメット・イズ・カミングにはリーダーがいないという話が出たけれど、自分たちはグループとして、いかに互いのあり方をはかるかということにすごく想像力を使っている。そういう意味では、あるね。

ザ・コメット・イズ・カミングの音楽は、大枠としてはジャズに分類されることが多いと思いますが、とりわけ今回のアルバムはいわゆるふつうのジャズとはかけ離れていて、むしろパンクやテクノを思わせる瞬間も多いです。あなたたちにとってジャズとはなんでしょう?

DL:ジャンルって、レコード店で早く盤を見つけるためのグループ分けにすぎないと思う。そこに置いておけばいいという、ただそれだけのことで。だって、テリー・ライリーがミニマル・ミュージックだと言われたら、それだけじゃないって思うよね。そもそも音楽にはそういうジャンル分けみたいなものに抗うようなところがあるし、いまはさらに進んでいる世の中なんじゃないかな。いろんな音楽が……社会もそうだけど、ジェンダーにしろセクシュアリティにしろ、服だってすごく流動的だ。ひとつには決められない。人びとは日々学んでいるんだと思う。先入観をもつと、ちがいだけがあらわれるようになってしまう。他人と自分とのちがいだけが浮き彫りになる。でも、そういう目で見ないようにすれば、自分たちは一緒なんだということのほうが逆に見えてくると思う。だから、ブラックメタルとスカンディナヴィアの音楽がおなじなのかちがうのか、テクノとスピリチュアルがおなじなのかちがうのか、それは言葉の問題であって、ようはいかに自分たちのヴィジョンを音楽として表現したいかという欲求それだけじゃないかな。

テクノロジーについてはどう考えていますか? たとえば昨今はA.I.が話題ですけれど、そういうものは音楽にとってどういう意味をもつでしょう?

MH:テクノロジーはバイオロジーを超えたところにある自然だと思う。生物学を超えて生まれた木みたいなもの。僕は昔のほうがテクノロジーに適応できていたけど、もう年齢かな、テクノロジーは人間を操作しようとしている部分があると思うんだ。たとえばハンマーは有用な道具だけど、これも技術なわけだよね。このハンマーが中毒的に人間を支配していくようなものになってしまったら、それが怖い方向に使われていくわけで、どっちがどっちを使っているのかということをつねにチェックして、どちらがコントロール権をもっているのかということを自分自身で見直していく必要がある。ただ、テクノロジーがすごいのは、そうできないように、人間が100%テクノロジーに恋をするようにつくられているところだ。テクノロジーに恋をさせてしまえば、人間をコントロールすることができる。人間はすぐそういったものに中毒になって夢中になってしまうわけだから、テクノロジーの欲望の部分が増えてきて、それがとてもパワフルになっているような気がするよ。音楽面では、僕たちは音楽をつくるときコンピューターは基本的には使わないんだ。使わないというか、使い方をつねにリマインドしながら使っているね。

DL:コンピューターを使わないわけではなくて、最初はアナログテープでレコーディングするんだけど、最終的に現代のものであるコンピューターを使って、両方を合体させる。古代のテクノロジーであるアナログテープといまのテクノロジーの、両方を使っているんだ。古いものを捨てればいいというわけではないからね。捨てずに、新しいテクノロジーのなかで呼吸させればいいんだよ。呼吸って人間にとっての瞑想だから。古い時代、人間の先祖たちがマッシュルームを植えて、そこからある種の感覚を得ていたというようなことだね。そういう古いものから新しいものまで、その両方を持っているということが僕たちの音楽にかんしては正しいと思うんだ。

SH:テクノロジーはプリミティズムと相反するものだと考えがちだけれど、そうではない。ほんとうの意味でのテクノロジーは、すべての人間を反映させるものであって、滅亡させるものではあってはいけない。テクノロジーによってごく一部の人間だけが潤って、それ以外のものがなくなってしまうというのは正しくない。滅亡することなく、正しいかたちで人類が続いていくためには、プリミティズムを含んだうえでプログレッシヴなものでなければいけない。相反してはいけないんだ。


Ziúr - ele-king

 ベルリンを拠点に活動するプロデューサーの Ziúr (どう発音すればいいのかしら?)が、11月に新たなアルバムをリリースする。彼女は、2016年に発表した2枚のシングル「Deeform」と「Taiga」で注目を集め、翌年〈Planet Mu〉からアルバム『U Feel Anything?』を送り出しており(Aïsha Devi も参加)、今回の新作は同レーベルから2枚目のフルレングスとなる。本人の弁によれば「日々、自らの実存のために闘っている人びとのため」の作品だそうで、タイトルの『ATØ』は「世界征服同盟(THE ALLIANCE TO TAKE OVER THE WORLD)」を意味するらしい。フォーマットはLP、CD、ディジタルの3種類で、11月15日に発売。この暗く圧政的な時代に抗う力強い1作となっているようなので、しっかりチェックしておこう。

artist: Ziúr
title: ATØ
label: Planet Mu Records
catalog #: ZIQ415
release date: November 15th, 2019

Tracklist:
01. ATØ
02. It's Complicated
03. I Vanish
04. Fancy Handbag, Broken Zipper
05. F.O.E. (feat. Ash B)
06. Catch Me Never
07. Life Sick
08. All Lessons Unlearned (feat. Samantha Urbani)
09. Laniakea
10. Unclaim

https://planet.mu/releases/ato/

Boomkat / Bandcamp

Moor Mother - ele-king

 先日、JKフレッシュ&ザ・バグによる新プロジェクトへの参加がアナウンスされたばかりのムーア・マザーが、ついに自身のセカンド・アルバムをリリースする。アクティヴィストとしても活動している彼女らしく、やはりブラックや奴隷にまつわるあれこれがテーマになっているようで、バンドキャンプのタグには「アフロフューチャリズム」や「ブラック・アンビエント」といった語が並んでいる。ゲストとしてフィラデルフィアのラッパー、リーフ・ザ・ロスト・コーズや、ソウル・ウィリアムズ(!)が参加、プロダクションには件のジャスティン・ブロードリックやキング・ブリット(!)などが力添えしているとのこと。これは今年の最重要作になる予感がびんびんだわわ。発売日は11月8日。

artist: Moor Mother
title: Analog Fluids Of Sonic Black Holes
label: Don Giovanni Records
catalog #: DG-190
release date: November 8, 2019

Tracklist:
01. Repeater
02. Don't Die
03. After Images
04. Engineered Uncertainty
05. Master's Clock
06. Black Flight (feat. Saul Williams)
07. The Myth Hold Weight
08. Sonic Black Holes
09. LA92
10. Shadowgrams
11. Private Silence (feat. Reef The Lost Cauze)
12. Cold Case
13. Passing Of Time (feat. Jucara Marcal)

https://www.dongiovannirecords.com/products/649373-moor-mother-analog-fluids-of-sonic-black-holes

Rough Trade / Boomkat / Bandcamp

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