「S」と一致するもの

Factory Floor - ele-king

 ファクトリー・フロアがどうして不機嫌なのかは知らない。応援しているフットボール・チームの調子が良くないのだろう。とにかく機嫌が悪そうだ。連中が応用するのはジョルジオ・モロダー流の、くらくらするような16分音符のシーケンスだが、そのサウンドはいわば「I feel hate」、ひときわイラついている。「どこまで我慢強いんだ」と人間のマゾヒズムをあざ笑うかのように、ときにサディスティックで、残忍でもある。アンソニー・バージェスが描いた15歳の少年アレックスは喜ぶに違いない。
 名前も良い。ファクトリー・フロア......「デス・ファクトリー」とも似た胸くそ悪い響きがある。いま我々が生きている場所こそ強制収容所みたいなものであると言ったのは二木信でも――もうすぐ「水星」のレヴューを書いてくれるであろう磯部涼でもなく、自らのスタジオを「デス・ファクトリー」と命名したスロッビング・グリッスル(TG)だが、ロンドンで結成されたファクトリー・フロアもまた冷たい反復による一種のデス・ディスコを展開している。私的な夢を転覆する社会への復讐心を巧妙に刺激するかのようだ。

 とはいえ、これはパンクというよりもトランス・ミュージックである。ポスト・パンクにおけるインダストリアル・サウンド(TGやナース・ウィズ・ウーンド、キャバレ・ヴォルテール等々)が実際のところ"サイケデリック・ミュージック"の延長線上にあったように(60年代末にピンク・フロイドでトリップしている世代)、ファクトリー・フロアにもその気がある。2010年の『Untitled』に封入されたDVDの、1時間以上にわたって展開されるアブストラクト・ノイズを見れば一目瞭然だ。そうした観点で言えば、このバンドは、実はコーヘイ・マツナガのNHKyxとも決して遠くはないように思う。
 NHKyxとの大きな違いはダンスだ。ファクトリー・フロアは、レイヴ・カルチャーの現場が廃屋や工場であった時代を思い出させる。人気のない醜悪な場所を我々の桃源郷へと転換したところにあの文化の本質があったわけだが、ファクトリー・フロアはその頃の記憶をフラッシュバックさせる。敢えてみすぼらしい場所を見つけては、踊りながら、ポスト・パンクのインダストリアル・サウンドと初期のジェフ・ミルズのハード・ミニマルないしはドップラーエフェクトの病んだエレクトロとの溝を埋めている......そんな感じである。

 本作『JPN』は、2010年の『Untitled』をはじめ、アナログ盤でのみ作品をリリースしてきた彼らの主要シングルを編集した日本企画盤だが、これがけっこう売れているらしい。まあ、たしかにいまの日本にはない"音"である。
 『JPN』には〈DFA〉からの「Two Different Ways」のみが収録されていないが、この2年で発表してた曲やリミックス・ヴァージョンはほぼ網羅できる。〈DFA〉以外では、〈ミュート〉傘下の〈ブラスト・ファースト〉や〈オプティモ・ミュージック〉といったレーベル、スティーブン・モリス(ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー)やクリス・カーター(TG/クリス&コージー)といったリミキサーの名前からも彼らへの期待度の高さやその音のにおいをうかがい知ることができるだろうが、むしろこの手の固有名詞を知らない若い世代にこそ聴いて欲しい1枚。本作には収録されてはいないけれど、まずはこれを聴いてみましょう。


 
 ファクトリー・フロアのオリジナル・アルバムは年内には聴けるという話だが、今年の3月、メンバーのひとり、紅一点のニッキ・コーク・ヴォイドがクリス&コージーといっしょに1枚のアルバムを発表している。この盤に関しては、正直に言えば、目の錯覚を利用したアートワークに「おっ」と思ってのジャケ買いである。アナログ盤にはCDも封入されているでのお買い得と言えばお買い得だ。
 『トランスヴァース』は、世代を越えた共作としても本国では注目されている。モロダー的というよりもメトロノームで、ファクトリー・フロアよりもさらにまたマシナリーで、クローネンバーグ的で、J.G.バラード的で、温かみなぞいっさいない。単調きわまりない音が続いている。こちらはライヴ映像のリンクを貼っておきましょうね。

LOW END THEORY JAPAN - ele-king

 気候のせいなのか、クオリティの高過ぎるメディカル・ウィードのせいなのか、L.A.にいると、いい意味でいろんな細かいことがどうでもよくなってくる。連中は「Just Chill」と日常のなかで連呼するが、この言葉こそとてもL.A.的だ。
 既存のスタイルやシステム、マーケットに回収されない表現、〈ノット・ノット・ファン〉周辺の連中や、本誌6号にてインタヴューを強行したマシュー・デイヴィッドの〈リーヴィング〉周辺はそれこそ「細かいことはどーでもいいじゃない、Just Chillよ」と語っているようなサウンドは、僕にとってL.A.ならではの存在に思えるのだ。
 エル・エー・リアンを自称するRAS GもまさしくL.A.からしか生まれえないアーティストのひとりだ。え? RAS G来るの? 行くしかないでしょ。......というワケで僕はライヴ・レポにかこつけて〈ロー・エンド・セオリー・ジャパン〉に行ってきました。
 結論から言うと最高でしたよ、野田編集長。何で来なかったんですか? ......ってこれじゃレポになってませんね。では気を取り直して真面目に。

 小生、恥ずかしながらRAS Gをちゃんと聴いたのは昨年、マシューから〈リーヴィング〉から出ている「EL-AYLIEN」のテープを奪い取ったあとで、そのあまりのビート云々じゃないコズミックっぷりに完全にブッ飛ばされた。その後、マシューやサン・アローのキャメロンたちとのパーティ三昧の日々のなか、本家ロー・エンドでのパフォーマンスに腰を抜かし、ダブラブのフロスティー監修の「Secondhand Sureshots」をこれまた恥ずかしながらいまさら見て、その深淵なパーソナリティに魅了された次第である。
 昨年僕が体験したL.A.のビート・シーン、それは率直にその寛大な懐の広さだ。御存知の通り〈ストーンズ・スロー〉はまったく聴いたこともないような若手のアーティストもガンガンリリースし(それこそ何じゃこりゃと思わせるようなバンドも含めて)、ダディ・ケヴ率いるロー・エンドもサン・アローがプレイしたことが表すように垣根がない。僕が勝手に思っていたロー・エンド=硬派なビートメイカー、それこそ漢なら808、SP-1200、DRUM-TRAKSオア・ダイだぜ的なイメージは完全なる偏見であったし(それはそれでカッコイイけどね)、その柔軟な耳といい意味でのこだわりのなさはこの日初めに見たダディ・ケヴのプレイにも如実に表れていたようにも感じた。残念ながらこの日僕はバイト上がりで自宅にて弛緩しきった後で向かったため、中原昌也氏のヘアスタを見逃してしまった。異色のラインナップとの言えるヘアスタの出演はそれこそ本家のロー・エンドの懐の広さにしっかりと共鳴する部分であったとも言えるので残念。
 ノー・バディのプレイ時くらいからこれまた恥ずかしながら非常に酒の弱い僕はだいぶいい感じとなり、気がつけばラウンジで、久々に足を運んだクラブ・イヴェントにおける女子率の高さ、おっぱいとおしりによって自分が何故エクスペリメンタルやノイズという非モテ音楽に身を投じていることを呪っていた。いや、関係ないんだ! この日何故かチケットもぎりの手伝いをしていた僕のバンドのサポート・メンバーであるK氏のように必死でビートを作り、夜はスケート・パークを攻めてるのに良い歳こいて童貞(追記、先日卒業しました。おめでとう!)、中原氏はあんなにエクストリームなサウンドを奏でているのに女子のファンもしっかりいる......だいぶ話が反れた。
 そして大本命RAS Gの登場。控えめに言っても神懸かっていた。彼の内宇宙の律動とシンクするベースとビート、サン・ラさながらの土星まで届く飛ばしっぷり。何だかご利益がありそうな風貌のラスのズシリとした動きもイイ。時折彼が指差す明後日の方向は故郷の土星の方角に違いあるまい。大大大満足であった。近々ドロップされる〈disques corde〉からの『Raw Fruit』、〈リーヴィング〉からの「El-Aylien pt. II」と「C.razy A.lien 7' + CS」も楽しみでしょうがない。

 その後再びダディ・ケヴへと一巡するなか、僕は明日への労働のため残念ながら帰途へついた。余談だが、僕のなかでは本家ロー・エンドのエントランスは最悪である。屈強なセキュリティが毎度しっかりと入場規制をかけ、長蛇の列が続く。かと思えばいわゆるハリウッド的なセレビッチ風の姉ちゃんがハァイ久々! なんつってスルっと入れちゃったりする。それも含めると今回の〈ロー・エンド・ジャパン〉はある意味本家より遥かに快適で素晴らしいものであったし、確実にオーディエンスにはこのイヴェントを通じて「細かいことはどーでもいいじゃない、Just Chillよ」といったL.A.のリアルなシーンからの空気は届いていたことを確信した。

一十三十一 - ele-king

 パーティは続いていたの
 銀のカブリオレ走らせて
"DIVE"

 パーティは続いていた......一十三十一の新作『CITY DIVE』は、そのファンタジックな享楽性(ないし空虚性)によって、もうひとつの2012年を立ち上げる。国の経済成長は継続し、富は景気よく再分配され、溢れかえるミドル・クラスは果てることのないショッピングで資本主義の恩恵を謳歌している。男も女も、ドレスアップして街へと繰り出していく。あるいは、煌びやかなダンス音楽を聴いてもいい。ダンスフロア、でなければ車のなかで、助手席に意中の相手を乗せながら。ふたりはこれから、夜の海を見に行くところだ。会話の隙間を、甘いメロディが埋める。やがて恋人たちの時間がはじまる。多くの人が、こんな毎日が永遠に続けばいいのに、と思っている。そこでは誰もが、(少なくともその外見上は)幸せそうに生きている。たとえばそう、虚ろな目で終わらない夢でも見ているかのように......。

 おそらくはDORIANと組んだ"Summer Rich"(2011)が好評だったのだろう。ミドルなディスコ・ビートに、ピアノ、ストリングス、ホーン、そしてニュアンス程度の心地よいギター・リフとメロディアスなシンセサイザーで贅沢におめかし。80年代を打ち抜いた(とされる)ある種の空虚を、そこで完全にリヴァイヴァルする。山下達郎で言えば『FOR YOU』(1982)あたりの手触りが継承されているとも言えるか。とにかく序盤の"DIVE"と"恋は思いのまま"で完全にノックアウト。最初、UAのフォロワーに位置づけられ、いわゆるJ-R&Bのアーティストとして扱われることの多い彼女だが、これまでのキャリアの評価軸をなしてきたのが、ASA-CHANGらのアヴァン・ビートをエレガントに乗りこなすオルタナティブ・ポップスだったことを考えると、本作の突き抜け方はちょっとすごい。これまでセーヴしていたチャンネルがあったとすれば、そのすべてのスイッチを目盛りの限界まで引き上げてオンにし、舵を思いっきりアーバン・ポップのど真ん中なかへと切っている。シンセサイザーはもう一度、華美な俗世を親密に照らし、ドラムマシンは夜を踊っている。

 クニモンド瀧口(from 流線形)がコンセプチュアルな指揮監督を行ったとはいえ、DORIAN、そしてPan Pacific PlayaのKashif(a.k.a STRINGSBURN)と、三人の異なるアレンジャーが並走しながらも、2012年にエイティーズ・カラーをまとった実質上のコンセプト・アルバムが成立しているというのは、あの時代に注がれる類似した視線というものが、何かしら存在しているからなのだろう。それがいったい何なのか、この1週間、ぼんやりと考えている。プロデューサーによる具体的な「ネタバレ」はHMVのウェブ・ページに詳しいが、当然、1986年に新潟で生まれた筆者に、あの時代を批評するに足る記憶も実感もなく、様々なクリシェで便宜的に「豊かな時代」だったと認識づけるしかないし、当時は、もしかしたら本当に都会のオシャレな人たちが聴いていたのかもしれないが、あの時代のポップスは、後追いで好意的に接触しつつもどこか本心では受け入れられなかったのが本音である。シティ・ポップは、私にとってはTSUTAYAのニュー・ミュージック・コーナーで学んだものでしかなかった。特権的な都会はすでに失われ、地方都市に陳列されていたのだ。

 そう、都市伝説的な大都会の週末、海岸沿いに引くそのロマンティックな逃走線に、地方市民が遠くで憧れるということ。アーバン・ポップとは、つまり、都会に憧れながら(ありもしないロマンスに夢を馳せながら)、田舎住まいの人間が聴くものであり、私にとってのアーバン/シティなる概念は、むしろサバービアでの閉塞として記憶されている。もちろん、いまでも多くの人が、消費文化を謳歌して、ドラマティックなロマンスを求めているのだろう。実際、赤文字系の女性誌などをたまに読むとそこに提示される価値観に絶句することがあるが、しかし、いまやバブル世代が編集するファッション誌のなかにしかないような広告業的な豊かさに、「持っていない人たち」が素朴に憧れることはないのではないか(若者の○○離れなんて好きなだけ言わせておけばいまは2012年なのだ。そんな物語はとっくに失われている。ヘリコプター・デートやカブリオレどころの話ではない。身も蓋もないことを言えば、そもそもドライヴに出掛ける車がないのだから......。

 そんないま、それでもこの都市伝説的な音楽が――過去、豪華に光を放った記憶を宿すフェイク・ポップが――フラットに供給され、なぜ(筆者含めて)20代のリスナーからも支持を集めることができるのか。緩やかな下り坂で見る贅沢な時代の後ろ姿、その勾配のきいた場所で聴く、時代錯誤のゴージャス・ミュージックを通して立ち上がるものとは何なのか......。

 少なくともそれは、経験したことがない過去への盲目的なノスタルジアでも、アッパーさを望めない未来に対する不安の裏返しでもないハズだと、私は思う。社会が希望的な空気やアッパーな雰囲気を準備してくれる時代が終わったのだとすれば、私たちはどうやってパーティを続けていくことができるのか。端的には、パーティを続けたいから続ける、というところまで来ていると思うが、しかしだからこそ、(((さらうんど)))なんかとも同期して、「メッセージ性」という渦の中でいつしかポップ・ミュージックがはぐれてしまった「空虚性」を、本作は強く再評価しているように思える。お前たちは空虚を無目的に愛せるか、それを試すためのアイロニカルな批評として提出されている、というのはやや言い過ぎにしても、「楽しむことを楽しむために楽しむ」という、快楽が原理的に抱える絶望的な空虚さと、もう一度向き合うべき時なのかもしれない。そう、失われた空っぽとしての都市に、もういちど頭から飛び込んでしまおう。『CITY DIVE』、その空虚は艶やかで、エレガントでさえある。実質的な価値の追求、という抑圧からこんな風に離れて、私たちは意味のないことをもっともっと素直に楽しめるだろうか?

 波間を漂う月の光は
 闇に紛れて泡に変わるの
 ダイヤモンドより輝いてみえるわ
"人魚になりたい"

ERA - ele-king

 僕がエラの音楽にハマったきっかけは"Feel"のミュージック・ヴィデオだったのだ。たった......そう、たった3分弱のこの映像と音にすべてが詰まっている気がした。淡い恋心、一晩のアヴァンチュール、仲間との連帯、未来への不安と期待、都市生活者の憂鬱と倦怠、ストリート・カルチャーや音楽、グラフィティへの愛情、東京への愛憎、町を吹き抜ける風、反抗心と内省......それらがデトロイトのプロデューサー、アンドレスの甘いブラック・ソウルを思わせるヒップホップ・トラックのなかに溶け込んでいた。

 不思議なことに、この映像を観た僕は、梁石日のハードボイルド小説『タクシードライバー日誌』で描かれなかった、彼の目には映らなかった東京の深い夜の表情や情念を浮き彫りにしていると感じた。まあ、それはいい。僕はくり返しミュージック・ヴィデオをYouTubeで再生して、その心地良さに浸り、そしてリリックに耳を傾けた。「あの娘が俺にKISSしたような気分/上がるメモリーたどりまあ充分/スタイル変化させたい気分/どこまで遠く行っても自分/1人街灯のした光/光ばかり伴う度々」。何も主張していないって? いやいや、ストリートの哲学というには曖昧で緩い、エラと彼の仲間の態度や振る舞い、さりげない感覚が素晴らしいのだ。

 "Feel"が収録された、今東京のアンダーグラウンドを騒がせるラッパー、エラのファースト・アルバム『3 WORDS MY WORLD』(2011年)は、ハードコア・パンクのインディ・レーベル〈WDsounds〉からリリースされる初のヒップホップ・アルバムとして、巷で随分と話題を呼んだ。実はエラは20代前半から中盤までWOBというハードコア・パンクのバンドで活動し、そのシーンで知る人ぞ知る存在として人気を獲得したという。そのいっぽうで、ヒップホップ・グループ、ペイパー・ソルジャー(PAPER SOLIDER$)のラッパーとしても活動している。そのときのMCネームは、ヤング エラズ(YOUNG ERAS)。なんというか、そのMCネームからしてハードコアとヒップホップの幸福な出会いを感じさせるではないか。エラがラップをはじめたのは10年ほどの前のことである。いまは、ラッパーのO.I.と組んだD.U.Oというグループの一員でもある。と、僕はこの辺りのプロフィールのいくつかは、文芸誌『新潮』で都築響一が連載している「夜露死苦現代詩2.0」を読んで知った。彼のプロフィールがさらに知りたければ、読むことをお勧めする。

 『3 Words My World』を特徴付けるのは、ウィズ・カリファやカレンシー、ケンドリック・ラマーといったUSのストーナー・ラップとの親和性である。ブッシュマインドやトノ・サピエンス、DJハイスクールといったエラの仲間のDJ/トラックメイカーはそこに、荒々しいレイヴ・サウンドや80年代ディスコの煌き、洗練されたアシッド・ジャズやスウィート・ソウルのメロウネスといった要素を彼ら流のやり方で調合することで、煙くて、洒落た東京産のオリジナル・シットを創造した。そして、エラが次の一手と言わんばかりに、インターネット・レーベル〈rev3.11(revision three-one-one)〉から発表した8曲入り(+ボーナス・トラック1曲)のセカンド・アルバム『Jewels』はさらにその"先"へ向かおうとしている(8月15日に未発表曲なども加わりCDで発売される)。つまり、クラウド・ラップ/トリルウェイヴに接近している。いや、接近という言葉は的確ではない。この作品は、クラウド・ラップ/トリルウェイヴのこの国における独自の展開でもある。

 嘘だと思うならば、アルバムの最後にドカ~ンと用意された7分近くに及ぶ"Get A"を聴いてみて欲しい。前作に引き続き、凶暴なミキシングで本作に多大な貢献をしているイリシット・ツボイがプロデュースしたこの曲は、オールドスクール・マナーのプリミティヴなビートやチョップト&スクリューの手法、70年代フュージョンめいたシンセ・サウンドやシューゲーザー的なエフェクトが混在した、プログレッシヴなクラウド・ラップである。ちなみに、同じくイリシット・ツボイが手がけたECD『Don't Worry Be Daddy』の最後に用意された"Sight Seeing"に至っては、クラウド・ラップとビートルズ"レボリューション9"の融合だった。最近リリースされたキエるマキュウの新作のナスティ・ファンクの暴走といい、最近のツボイ氏は凄いことになっている。

 少し話が逸れた。他には80年代初期のニューヨーク・ディスコのピッチをダウンさせてエディットしたかのような"Money&Dream"があり、コズミックなクラウド・ラップ"Planet Life"をプロデュースするのはリル・Bにもトラックを提供しているリック・フレイムだ。ロッカセンのラッパー、トナンをフィーチャーし、ブッシュマインドがトラックを作った"Sesami"は、酒の力をかりて女の子をナンパして「あちゃ~」と失敗して、煙いクラブの楽屋で咳き込んで、踊るというナイトライフの甘酸っぱいムードを見事に音楽化している。ラッパーのOS3やO.I.も参加しているし、トノ・サピエンスはますますそのグルーヴに磨きをかけたファンク・サウンドを披露している。

 だがしかし! 当然のことながら、主役はエラなのである。そのあっけらかんとしたフロウと声、達観と倦怠、憂鬱や不安、未来への淡い期待をさらりと表現するリリック、それらはとにかく心地良く、中毒性がある。そのリズム感や間合いは俳句のようでもあるし、エラのこのフワフワした感覚を表現するのにクラウド・ラップ/トリルウェイヴほどしっくりする音もないのではないだろうか。

 拳を振り上げて声高に何かを主張するでもなく、すべてに諦め絶望するでもなく、社会から完全にドロップアウトするでもなく、ここではないどこかだけを夢想するでもなく、エラの音楽は現実逃避とニヒリズムとデカダンス、そしてエヴリデイ・ストラグルな毎日のなかで鳴っている。「アッアッッ~」というエラの間の抜けた、脱力したお決まりの発声は、言葉のない、ストリートからの核心を突いた声明に僕には聴こえる。もう、この感じが最高に気持ち良い。ということで、最後に、"Money&Dream"、つまり「カネと夢」のなかからエラの厭世の一句を。

 まだここにいて/また適当やってて/そのままじゃ変わんないEveryday/目をあければ現実/瞳閉じちまうか/そのまま眠るか/そんな毎日嫌気がさしてるのさ

 6月はフェスティヴァルの季節のはじまりである。
 第3週目の木曜日はニューヨーク中の路上でいっせいに音楽がプレイされる、メイク・ミュージック・ニューヨーク、ブルックリンのDIY(do-it-yourself)ミュージック・フェスティヴァルのヒル・ストック、もともとL.A.ではじまったDIT(do-it-together)フェスティヴァルのファミリー・フェストが、ブルックリンのブシュウィックのさまざまな会場、家で同時開催され、次の週末は、ウィリアムスバーグのアート好きにいち目おかれるアート・ハード・ウエア・センターのクレストが主催するクレスト・フェスティヴァルなど、まだまだあるが、6月のブルックリンで重要なフェスティヴァルといえば、今回4年目を迎える『L・マガジン』主宰のノースサイド・フェスティヴァル
 これは、「CMJのブルックリン・ヴァージョン」とも言える、音楽、アート、映画、起業家パネルで包まれる8日間だ。350のバンド、30の会場、3つのシアター、45の映画、100のアーティスト、1500の起業家パネル、8万人の参加者を見込むブルックリンのノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)を拠点にする大きなフェスティヴァルである。
 ウィリアムスバーグの一角の壁を乗っ取ってしまうほどのパワーがある、まさにお祭り(フェス)だ。
http://www.brooklynvegan.com/archives/2012/06/northside_festi_5.html

 ブルックリンでバンドをやっているならノースサイドへの出演はひとつのステイタスでもある。理由は、以下の通り。
 
1 『L・マガジン』というブルックリンを拠点とし、さまざまなイヴェントを企画、運営しているマガジン主催のフェスティヴァル。
2 ノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)のローカルはもちろん、アメリカ、世界中の面白いバンドたちをノースサイドがピックアップしているので、新しいバンドをいち早く発見できる。
3 パネルやショーに行って、さまざまな情報も交換ができる。
4 ノースサイド時期に合わせてバンドやプレスがニューヨークにやってくるので、両方にとても都合が良い。



町中がノースサイドのポスターだらけ。

 私は参加できなかったのだが、起業家パネルでは、インディ音楽、映画業界などを引っ張るメンバーが、ビジネス・トピックについて論議を広げる。
http://www.northsidefestival.com/entrepreneurship/panelists
 パネルは朝から夕方までノースサイド・ウエアハウス(ノースサイド・サインのある壁の場所)でおこなわれた。「バンドや会場のためのソーシャル・メディアを使った次世代のマーケティング」、「ブッキングとツアーリングの新しい技術」、「ロイヤルな顧客のつかみかた」、「ラジオとオンライン・ストリーミングをチューンしよう」、「スポンサーとブランドと彼らの新しい場所」、「GZAが語る混乱とブルックリンの精神」などなど興味深いトピックが並んでいる。パネルのあとで観談できるようにバースペースも設置されている。

 出演バンドは、GZA、クール・キース、オブ・モントリオール、オリヴィア・トレマー・コントロール、ジェンズ・レックマン、ビーチ・フォシル、ツイン・シスター、サーマルズなど。
http://www.northsidefestival.com/music/artists
http://www.thelmagazine.com/newyork/the-portraits-of-northside/Content?oid=2240398

 このフェスについて説明を加えるため、ノースサイド・フェスティヴァルのディレクター、ダナ・キースにインタヴューをした。


取材に答えてくれたダナ・キースさん。

2012年ノースサイド・フェスティヴァル、お疲れさまでした。今回のハイライトのエピソードを教えてください。個人的にはどのショーを見たのでしょうか?

ダナ:どうもありがとうございます。カテゴリーごとに答えますね。音楽週間最初の日(6/14)はニッキ・アンド・ザ・ドーヴをグラスランズで見ました。彼らのエネルギーや演奏には度肝を抜かれました。起業家パネルではMTVのネクスト・ムーヴィーのブルーク・ターノフ、トライベッカ・フィルムのマット・スパングラー、ハフィングトン・ポストのクリストファー・ローゼンの「映画批評、キュレーションとソーシャル・メディア時代の発見」が面白かったです。ノースサイド・フィルムではジョー・スワンバーグの「ザ・ゾーン」とレナ・ダンハムの大学映画の「クリエィティヴ・ノンフィクション」はどちらも素晴らしく、映画を作るプロセスについての面白いメタフィルムでした。土曜日の「ウィリアムスバーグ・ウォーク」のアートも美しかったです。

今年で4回目を迎えるノースサイド・フェスティヴァルですが、過去3年と比べて、今回変わった部分はありますか? 

ダナ:今年は、初めて起業家パネルとトレード・ショーを立ち上げました。120人のパネリストが演説をし、25のヴェンダーがトレード・ショーに出店しました。このカンファレンスのために、N5ストリートとケント・アヴェニューにある古いカーペット工場の倉庫を借り、フェスティヴァルの本部にしました。

ノースサイドはブルックリンのノースサイド(ウィリアムスバーグ、グリーンポイント)で開かれます。4年前にはじまったときと現在では、この地域を比べるとかなりの変化を感じます。この地域の変化をどう思いますか? またこれからも、ここノースサイドを拠点としていくのでしょうか?

ダナ:一般的にブルックリンはアートや文化の「次の何か」の中心地と定義されます。とくにノース・ブルックリンはそれが続くと思います。

私は起業家パネルを見ることはできなかったのですが、リストに興味深いトピックがたくさんありました。ハイライトでもあるGZAはパネルにも音楽にも出演していますが、どんな話をしたのでしょうか? また、印象に残ったパネルなどを教えてください。

ダナ:私たちは2011年のノースサイドのアイディア→ブルックリン・ブリュワリーでの6パネルで起業家パネルのアイディアを開拓しました。コミュニティの興奮と固い結びつきをそこで見て、今年のフェスティヴァルにこの要素を成長させようと努力しました。これがノースサイドの起業家パネルになり、来年も続ける予定です。GZAはミュージック・ホールで2回もプレイし、「バンド対ビジネス-アーティスト/起業家として実現する」というAT&Tのミュージック・ナウ・サミットのパネルでスピーチしてくれました。

私は、オリヴィア・トレマ・コントロール、エターナル・サマー、M.A.K.Uサウンドシステム、ケーキショップ・ショーケーなどを見たのですが、かなりの数なので時間のオーガナイズが難しかったです(笑)。ノースサイドは、どのようにバンドを選んでいるのでしょうか? また、ジャンル別にハッシュタグがついていましたが(http://www.thelmagazine.com/newyork/the-hashtags-of-northside/Content?oid=2236679)、どのように区別しているのでしょうか?

ダナ:ノースサイドは40以上のショーケースのキュレーターとパートナーシップを取り、その年の彼らの好きなバンドをブックし、ウィリアムスバーグやグリーンポイントの会場とこれらのバンドとをマッチさせます。これが私たちがここまで広い音楽ジャンルが作れる理由です。私たちはノースサイドのすべてに関して発見する過程、テイストを作るいち部をショーケース・パートナーに頼っています。

私はノースサイド・フィルムでは『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』、『アバウト・チェリー』、『スチューデント・ショート・フィルム』を見たのですが、映画週間のハイライトは何でしたか? 

ダナ:映画はどれもこれも素晴らしく、ほとんどが売り切れになるほどで、これは、ノースサイドフィルムとして、別枠の4日間を持った最初の年、別のイヴェントと重らないようにした事は、私達にとって大きな達成でした。「ブルックリン・ブラザーズ」はとても好評で、後にかなり面白かったライヴ演奏もありましたね。

6月はニューヨークでは、FMLYフェスト、ヒルストック、クレスト・フェストなどたくさんのフェスティヴァルがあちこちで起こっています。ノースサイドは、どのように他のフェスティヴァルと特徴を分けているのでしょうか?

ダナ:私たちのパートナー、ショーケースのプレゼンター、映画のキュレーター、起業家パネルのパネリスト、ユニークで多様なティストのアーティスト達でしょう。音楽、アート、映画、起業家精神パネルにおいて、「次に来る何か」の本質を捉えるように、それらは共生していて、それがノースサイドの実体を作っています。また、フェスティヴァルをプロデュースしたり、3ローカル雑誌(『L・マガジン』、『ブルックリン・マガジン』、BAMの文化団体信奉者のプログラム・ガイド)、ふたつのローカル・ウェブサイト(thelmagazine.combkmag.com)を運営している、ノースサイドのメディアグループはコミュニティと強いつながりがあり、それが1年に1回ノースサイド・フェスティヴァルとして生にショーケースされるのでしょう。

ノースサイド・フェスティヴァルは「CMJ のブルックリン版」ともいえると思うのですが、ノースサイド・フェスティヴァルはこれからどうなっていくのでしょうか?

ダナ:起業家精神パネルは続け、成長させていきたいです。また、音楽についてはたくさんの野外のショーを増やしていきたいし、アートはアートフェアなどに形を変えていきたい。たくさんの音楽ショーを思いもよらない場所で開催したり、映画はブルックリンのプレミアの数を増やしていきたいです。

 多種多様な音楽と映画が集まっていて、いまのニューヨークの生々しい空気が感じられる。今回のフェスのハイライトは、オブ・モントリオールやジェンズ・レックマンが出演したマカレン・パークのショーやウータン・クランの設立メンバーのGZAだったが、個人的なハイライトはオブ・モントリオールと同胞の、エレファント6集団代表のオリヴィア・トレマー・コントロール(OTC)。
 2011年の再結成以来、ショーを見るたびに、変わらない彼らにさまざまな思いがよぎる。1997年ぐらいに彼らを知り、2000年あたりのピーク時に活動を停止した彼らはソロや別名義での活動はあったが、バンドの存在もすでに過去のことになり、そのまま忘れさられていくのかと思っていた。オブ・モントリオールは、ダンス・ミュージックなど新しい挑戦を果たし、新たなファンを獲得していくなか、オリヴィア・トレマ・コントロールやニュートラル・ミルク・ホテルのコアなファンは陰ながら応援していた。
 使い捨ての時代だ。2010年に彼らが再び活動をはじめたのはどういう意図があったのだろう。時代の流れに逆らうがごとく、ニュートラル・ミルク・ホテルはボックス・セットをリリースしている。ライヴでプレイするのは曲は昔の曲ばかり、さらに彼が「オール・トゥモローズ・パーティ」をキュレートしたり、大きなフェスティヴァル参加してはソールドアウトになっている。


熱気のなかのオリヴィア・トレマ・コントロールの演奏。
Olivia Tremor Control photos by Kristine Potter

 今回のオリヴィア・トレマ・コントロール、新しいギタープレイヤー以外は,昔からのアセンス・メンバーで、ホーン・セクションもいれると全部で8人の大所帯。昔からのメンバーだ。
 プレイしているのは昔の曲ばかりだが、いま聴いても新しいし、観客から曲のリクエストまで飛ぶ。彼らの再活動は、使い捨てに慣れた現在の音楽ファンに、何か忘れていた物を思い出させてくれるような存在なのだ。例えば、機械でなく人間の生々しいライヴ演奏を見て、涙が出るほど感情を揺さぶられるとか。そろそろ日本でもこのサーカス集団が大暴れしても良い頃だろう。

http://www.brooklynvegan.com/archives/2012/06/the_olivia_trem_1.html
 
 個々のプレゼンターが映画を紹介している。ルーフ・トップ・フィルム推薦の『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』、ユニオンドックス推薦の『ハウ・トゥ・アクト・バッド』(アダム・グリーンのロックンロール・ライフのオンとオフ)、インディ・ワマグノリア・ピクチャー推薦の『テイク・ディス・ワルツ』(マリリン・モンロー役も記憶に新しいミシェル・ウィリアムスが主演)。http://www.northsidefestival.com/film/films
 私が、ele-king読者に紹介したいのが『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』(http://www.oscilloscope.net/films/film/77/Brooklyn-Brothers-Beat-The-Best)。ライアン・オーナンが監督、脚本、俳優をこなす、ブルックリン、メリーランドなどで撮影された映画。内容はガールフレンド、仕事、バンドなど、すべてがうまくいかないアレックスがひょんな出会いの、新しいバンドメイトと一緒にツアーに出て、ショーを重ね、自分のなかの子供部分に向き合っていく。
 映画上映の後には、映画のなかで演じた(実際のバンドでもある)ブルックリン・ブラザーズの演奏があり、漫才の様なQ&Aがあり、会場はフレンドリーな雰囲気に包まれた。ユーモアのセンスや監督のキャラクターが映画に表されているのがわかる。最後に、監督のライアンにインタヴューした。


映画を制作しながら音楽も作るライアン・オーナン

自己紹介と、映画について紹介してください。何があなたをインスパイアさせ、映画を作らせたのでしょう?

ライアン:こんにちは、僕は『ブルックリン・ブラザーズ・ビート・ザ・ベスト』の監督、脚本家です。これは僕の初監督映画です。僕はいつも音楽について、とくにアーティストの旅や夢を追う人、何か時代から外れている人などの映画を作りたかったので、とても興奮しています。

あなたが映画で演じていたブルックリン・ブラザーズは、実在のバンドなのですか? ライノからアルバムを出すと言っていましたが、これについてもう少し説明していただけますか? あなたのパートナー、マイケルについて、彼が集めていた子供のおもちゃの楽器についてもお願いします。

ライアン:かなりクレイジーなのですが、僕とバンド・パートナーで俳優のマイケル・ウエストンは、ワーナー・ブラザーズとライノ・レコーズにサインし、来月(7月)に最近スタジオでレコーディングしたアルバムが出ます。10曲入っていて、とても良くできたと思っていますので、みんなに気に入ってもらえると嬉しいです。マイケルは小さなカシオ・キーボード、フィッシャー・プライス・ピアノ、ベイビー・アコーディオンなどの80年代のたくさんの子供のオモチャの楽器を演奏しました。その中なかの1曲にはとても楽しい、メタルのトイ・ドラムマシンを使ったり、カズーも使いました。

映画を作る(アイディアを集める所から編集まで)のにかかった時間はどれぐらいですか? インスピレーションを集めるのに、参考にした映画はありますか?

ライアン:映画はトータルで1年ぐらいかかりました。脚本を書いて、資金を調達し、3週間(!)で撮影しました。この映画の僕の大きな影響は、たぶんジョン・ヒュースの作品集です。『16本のロウソク』、「ブレックファースト・クラブ」、「フェリス・ブエラーズ・ディ・オフ」、「飛行機、電車、自動車」などは僕の大好きな映画で、これらを見て育ちました。

これはノースサイド・フェスティヴァルの一部で、映画週間に上映されたのですが、今回のフェスティヴァルで、面白かった映画やバンドを見ましたか?

ライアン:残念な事ことに今回は時間がなくて、映画もバンドも見れなかったのです。バンドはいまは「ドーター」(ohdaughter.bandcamp.com)に夢中です。とても美しいです。

あなたの音楽は、ポップで、スイートなのですが、どこか、もの悲しい感じがします。ナダ・サーフ、シンズ辺り思い出しましたが、どういった音楽に影響されたのでしょうか?

ライアン:映画のために書いた曲はキュアー、ニュー・オーダー、シンディー・ローパー、メン・アット・ワーク、ポリスなどの僕が小さいころから聴いてきた、素晴らしいポップ・ソング・ライターに影響されました。

次の目標は何ですか? この映画をイギリスでも上映すると言っていましたが、ニューヨークや日本ではどうなのでしょうか? 日本についてもお聞きしたいのですが、例えば日本の映画やバンドで好きな物はありますか?

ライアン:映画イギリスで7月20日に、8月にフランス、9月21日にアメリカで公開されます。是非日本でも上映したいです。日本のディストリビューターは興味ないでしょうか(笑)。小さい頃は日本のアニメを見て育ち、「バトル・エンジェル」が好きでした。ジェームス・キャメロンがこの権利を持っていると聞きましたが、だから、空想的な映画を作るのでしょうね。

最後に、日本の読者にメッセージをお願いします。

ライアン:もっとたくさんの日本の映画やバンドをアメリカで見てみたいです。ブルックリンは素晴らしい場所ですが、僕はいつも日本に行って、そこにあるアートを全部見たいと思っていました。何年か前に、ハルキ・ムラカミのシアター・プロダクションの『象の消滅(The Elephant Vanishes)』をニューヨークで見たのですが、完璧にやられましたね。

Laurel Halo - ele-king

 ポスト・ヒプナゴジックの平野を垂直に駆ける才女、閃光のローレル・ヘイロー。方法といいセンスといい、じつに鮮やかで凛々しい。ベース・ミュージックの知性やストイシズムがぶつかりあう〈ハイパーダブ〉のようなレーベルにおいて、まったく鮮烈な戦果をおさめている。

 デモを送ったところ〈ヒッポス・イン・タンクス〉よりも〈ハイパーダブ〉のほうが反応がよかったのだそうだが(『ele-king vol.6』竹内正太郎のインタヴュー記事参照)、どちらかといえば彼女の音は、ゲームスやジェイムス・フェラーロを擁し、チルウェイヴをへて瞑想化するインディ・ダンスの先端を掘削している前者に順接するから、この点〈ハイパーダブ〉は慧眼であった。ハイプ・ウィリアムスも両者にまたがる存在である。もちろん、ローレルも〈ヒッポス・イン・タンクス〉からは先に2枚のシングルをリリースしている。要するに、クラウド・ラップやトリルウェイヴのような、ビートを追求するシーンでさえも、多かれ少なかれチルウェイヴやヒプナゴジックという引力との綱引きのなかでスタイルを模索しているということだ。そして絶え間なく引き直されているその境界線上からこそ、刺激的な才能の輩出がつづいている。

 ローレル・ヘイローのおもしろさもこうした混淆にある。おもいきってメディテーショナルでミニマルなトラック、ドローニングな音世界からゆっくりとビートをもちあげていくトラック、あるいはその逆の展開。"イヤーズ"などを指して「ビートがないですね」などと本人に言おうものなら、「ビートはそこにあるわ」と果てしないビート問答に陥ってしまうだろう。アンビエントな音響構築とビート感覚との間にはそのくらいの緊張関係がある。おそらくはここが彼女の音楽のコアだ。つめたく硬質に、理知的に、ローレルは両者の間合いを詰める。それでいて理という馬脚をほとんどあらわさないように、ひと刷毛、エモーションによる彩色をほどこす。"ライト+スペース"のラヴェルを思わせるようなコーラス・ワーク、"ホロデイ"など、グリッチーなノイズや引き伸ばされたような環境音を背景に鋭く挿入されるヴォーカル・パート、"エアシック"や"ザウ"などミニマルなピアニズムの異化作用、いずれも得がたいが、彼女の声を使ったアウトプットに、そのもっとも強い発色がある。

 ポイントは歌がけっしてうまくないところだ。これはローレル・ヘイロー最大の萌えポイントでもあるが、同時に彼女の音が理知的であることの根本的な理由でもあるように思われる。はげしく加工され、断片がリフレインされ、それが巧妙に配置され、長いフレージングを歌いきるというようなことはない。ヘタというか、歌心というものから疎外されているというか、散文的な感性による韻文、運動が苦手な人間の運動......そうした不自由さとともに、それを客観して補うように、彼女の音楽は論理的なビルドアップをとげてきたのではないか。クラシックの教養や修養さえあるアーティストだが、この1点の可憐な欠如のために、より高い音楽性が引き寄せられているような印象があり、筆者にはそこもまた魅力に思われる。

 ファースト・アルバムのジャケットが会田誠とは豪華だが、ピッチフォークによるインタヴューを読むかぎり、この『切腹女子高生』(数パターンある彩色のうち2002年のものと思われる)が、血しぶきや内蔵のイメージでしか、あるいは殺人や少女という意味でしかとらえれられていないことをやや残念に思った。「殺人」ではなく「切腹」、「少女」ではなく「女子高生」なのだ。血しぶきの浮世絵のようなタッチや、若仲を思わせる格子のパターンの援用には、海外の人間とて日本へのエキゾチックなまなざしを向けるだろう。しかし制服やルーズソックスのニュアンス、彼女たちの笑みについてまでは伝わらなかったようだ。それには援交やまったり革命(宮台真司)といった概念までをカヴァーする必要があるだろうから。殺しによっていきいきとしているのではない。そんなことで生の意味やよろこびをえられると考えることが難しくなったから笑っているのだ。彼女らの背景にある成熟社会、日本。さらには戦後という時間を歪みとして意識し、引きずってきた国の両義的な果実としてのマンガ・アニメ的表象。浮世絵や若仲もそこではとても批評的な意味をおびている。ローレルには、これが作者が意図的に断片化してつなぎあわせた、ふるいコミックのようにみえたそうだ。そして、それはサンプリング・ミュージックが、対象のなかにもともと隠されていたかがやきを見つけ出す作業であることと似ている、とも述べている。よってこの作品の使用について深く考える必要はなさそうである。なんてクールなライオット・ガールたちなのかしら、といった程度なのかもしれない。

大駱駝艦+Jeff Mills - ele-king

 麿赤児率いる大駱駝艦の音楽をジェフ・ミルズが担当する。そういえば、数年前にアントニー・アンド・ザ・ジョンソンが大野一雄の写真をアートワークに使用していたが、まさかジェフ・ミルズが日本の前衛舞踏の音楽を手がけることになるとは......。
 麿赤児といえば、土方巽に端を発する暗黒舞踏と呼ばれる前衛舞踊の第一世代を代表するアーティストのひとりで、欧米においてこの表現を広めた第一人者でもある。唐十郎との状況劇場を経て、1972年に大駱駝艦を結成しているが、その活動領域は舞台のみならず数多くの映画出演などにも広がっている。少々強引だが、土方巽がシュトックハウゼンなら、麿赤児とは暗黒舞踏史におけるクラフトワークにたとえられよう。実際、1980年代までは暗黒舞踏というジャンルそのものが日本の若い世代にとっていまよりずっと身近で、音楽や写真や漫画や映画や文学などと並ぶ、大きなインスピレーションのひとつだった。
 これは実に大胆な文化的交流、ミクシングである。世代も時代背景も異なるなかで生まれたふたつの強烈な存在が交わるということは、まったくもって興味深い!! 大駱駝艦、創立40周年公演の新たな実験。

 


大駱駝艦・天賦典式創立40周年公演「ウイルス」

[振鋳・演出・鋳態] 麿赤兒
[音楽] 土井啓輔/ジェフ・ミルズ
[鋳態] 村松卓矢/向雲太郎/田村一行/我妻恵美子/高桑晶子/鉾久奈緒美/ほか

会場:世田谷パブリックシアター
日程:
7月5日(木)19:30〜
7月6日(金)19:30〜
7月7日(土)15:00〜 19:30〜
7月8日(日)15:00〜

チケット状況:以下公演のみ、前売り発売中
7月6日(金)19:30〜
7月7日(土)19:30〜

世田谷パブリックシアター
チケットセンター
03-5432-1515(10時〜19時)
https://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/07/post_286.html

大駱駝艦
0422-21-4984
https://www.dairakudakan.com/

YUBIWA - ele-king

 日本語の音楽を聴いていると、とにかく内省と反省、とにかく道徳と爽やかさ、とにかくイノセントな感性が「これでもか」と繰り替えされているように感じるのは自分だけでしょうか......。そういうなかにあってメランコリックでヒプナゴジックでユーフォリックな音に分があるとは思えませんけれど、がんばって欲しいと思います。彼らはこの国の音楽シーンでは、少数派で、アウトサイダーかもしれません。しかし、海外のさまざまなシーンに開いていくという点では、むしろ彼らこそ未来的な大衆派かもしれないのです。

 今年、アルバムを出したばかりの〈コズ・ミー・ペイン〉のジェシー・ルインズ、〈ノット・ノット・ファン〉のサファイア・スロウズ、最近〈ダブル・デニム〉からシングルを発表したホテル・メキシコの3組――まあ、敢えてわかりやすくジャンル分けすると、国際的な活動を展開する日本のチルウェイヴ代表――による共同企画、『YUBIWA』がカセットテープでリリースされました!
 計4曲、A面収録の"YUBIWA"は3組による共作で、B面には3組によるリミックス・ヴァージョンが3つ収録されています。"YUBIWA"は綺麗なメロディを持った疾走感のある曲ですが、ジェシー・ルインズはさらにピッチを上げてメトロノーミックに展開すれば、サファイア・スロウズは彼女のダブ・センスでアンビエント風に揉みほぐし、ホテル・メキシコはギターを強調しながらドラマティックに仕上げています。ケースは文庫本サイズの大きさの凝った作りで、アートワークも格好良いです。最近のインディならではの手作り感があります(値段は、CS + DLで1000円)。
 もともとは東日本震災のチャリティー企画としてはじまったと言います。今回のプロジェクトのためのBANDCAMPを作り共作"YUBIWA"のみデジタルで販売をしていますよ。https://yubiwa.bandcamp.com/

Peaking Lights - ele-king

 飲み過ぎてしまった翌日の落ち方が年々酷くなっているような気がする。そして、心地よい夢から覚めたときの爽やかな朝というモノを体感できなくなっている。悲しい話である。
 「ルシファー」とは、「魔王」という意味もあるが「明けの明星」という意味もある。本作のタイトルの『ルシファー』は明らかに後者だ。催眠状態にかけられながら、ぎーぎーと揺れているデッキチェアに身体をもたれている。幸福な夢想のなかにいる......目が覚めると明星が見える。美しい1日がはじまる。『ルシファー』は、そうした幸福な愛とサイケデリックの見事な調和だ。

 インドラとアーロンによるこの夫婦ユニットの新作が至福へと導かれた大きな理由は出産だ。ふたりのあいだにはいま赤ちゃんがいる。『ルシファー』は植物の香り漂う催眠的な子守歌のようである。「私たちにとってこの作品は、遊びと陽気さ、無償の愛、リズムと脈、創造と振動についての記録です」と彼らは述べている。

 2~3年前のポカホーンティッドやサン・アロウが試みていたような、一風変わったダブ・サイケデリックは、いまピーキング・ライツを通して成熟に向かっている。2011年、ロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉からリリースされた彼らの前作『936』は、UKで人気盤となり、半年後には〈ドミノ〉傘下の〈ワイアード・ワールド〉から正式なライセンス盤がリリースされた。〈NNF〉としては異例のヒットというか、『936』は、ヨーロッパの連中をも催眠状態にしたのである。

 ピーキング・ライツは、〈NNF〉系の輪郭のぼやけたローファイ・テイストを活かしつつ、異国情緒を感じる歌の節回しとレゲエのフレイヴァー、ときにクラウトロックとをミックスしている。ポカホーンティッドやサン・アロウほどやり過ぎていないところも良かったのだろう。『ガーディアン』にも取り上げられ、その年末には〈ワイアード・ワールド〉からリミックス・シングル「Remixes」も発表されている。エイドリアン・シャーウッドというUKダブの御大から中堅どころのデム・ファンク、クラウド・ラップのメイン・アトラキオンズといった新世代まで参加した。それに負けじと、今年に入ってから〈100%シルク〉はハウス流儀のリミックス・シングル「936 Remixed」を切っている。

 『ルシファー』は、前作ほどレゲエっぽくはない。喩えるならビーチ・ハウスのダブ・ヴァージョンのようなアルバムだ。ヴィブラフォンの音色が印象的な"ムーンライズ"は彼らの新境地と言うべき、ローファイ・サイケデリック・ミニマル・ダブが展開されている。その曲は、生まれた息子に捧げる"ビューティフル・サン"と同様に、(本人たちの言うように)無償の愛の輝きを持っている。リズムマシンの音色を活かした"リヴ・ラヴ"の軽快さもそうだが、これらの愛の表現は、さしずめケミカルの力を借りない『スクリーマデリカ』である。サイケデリックな感覚――それはミキシングにおいて明白に出ている――は相変わらずだが、ドラッグ・ミュージックの陥りがちな独りよがりな過剰さがない。その代わり、ハルモニアのアンビエントにも似た微笑みがある。
 "コズミック・タイズ"や"ミッドナイト"は彼ららしいルーツ・レゲエの流用で、ポカホーンティッドの後期のサウンドをそのまま受け継いでいるかのようだ。また、こうした曲を聴いていると何故UKサイドがエイドリアン・シャーウッドにリミックスを依頼したのかがわかる。このサウンドは、ニュー・エイジ・ステッパーズの現代的ローファイ版とも言えるからだ。
 "LO HI"のぼんやりした音像からはダブステップの影響が聴ける。ロウソクが震えているような感じから、ざわつきはじょじょに大きくなる。そして、アルバムにおいてもっともダンス・ビートを強調する"ドリーム・ビート"へと繋がる。100BPMほどのゆっくりな曲で、ギターはときに歪むが、全体として『ルシファー』の優雅さを損なわない。クローザー・トラックの"モーニング・スター"は瞳孔を開いている人以外にも届くであろう明星だ。

 2度目の来日を果たしたアリエル・ピンクに話を聞いたとき、デヴィッド・アレンの話題で盛り上がったが、ピーキング・ライツのこの愛のアルバムにもいまどき珍しい楽天性がある。彼らは夫婦で屋台を引きながら手作りのおでん......ではない、電子音を発信しているようなものだが、それが今日コズミック・サウンドを生み出しているコミューンなのだ。気持ちよく1日を迎えるためにも深酒は止めよう(とくに二木信と出会ったら用心せねば......)。それよりも赤ちゃんといっしょに、家族といっしょに楽しい夜を過ごしてください、『ルシファー』はそう言っている。

Palais Schaumburg Japan Tour 2012 - ele-king

 いっそうのことモーリッツ・フォン・オズワルドとデヴィッド・カニンガムも来て欲しかったですね。パレ・シャンブルグ、奇跡の初来日です!
 このバンドがノイエ・ドイチェ・ヴェレにおいて、DAFと並んでいかに重要だったのかは、その後のホルガー・ヒラー、トーマス・フェルマン、そしてモーリッツ・フォン・オズワルドの3人のそれぞれ活動を追えば一目瞭然ですね。自分のまわりで言えば、1980年代初頭、当然輸入盤でしか手に入らなかったパレ・シャンブルグ(当時はまだ値段も高かった)に鋭く反応していたのが石野卓球と三田格でしたね。1980年代後半は「チュートニック・ビーツ」なんていうサブジャンルもありましたが、まさかそれが後にジ・オーブになったり、ベーシック・チャンネルになったり、MVOTになったり......いま思い返しても恐ろしいです。
 いったいどんな選曲でやるんでしょうね。デビュー・アルバム(1981)のようなファンク・パンク路線か、あるいは3枚目(1984)のようなシンセ・ポップ路線か......、まあ、何しても楽しみですよ、これは。"イージー・ゴー"とかみんなで合唱するのかな......。石野卓球やトーマス・フェルマンやケンセイたちがDJをしてくれます。しかし、この写真、良いですね~。みなさん良い感じで老けてます(笑)。

 なお、これは代官山ユニットの8周年記念イヴェントのひとつで、ユニットではなんとその前日の7月6日、UKのテクノ番長、アンドリュー・ウェザオールのロング・セットをぶちこんでいます。こっちはこっちで日本人DJもすごいですよ。どっちに行けばいいのか......これはけっこう悩みますよね!


■Palais Schaumburg Japan Tour 2012

7.6 fri 大阪 東心斎橋 CONPASS
Live: Palais Schaumburg
Open 18:00 Start 19:00
¥5,000 (Advance), ¥5,500 (Door) 共に別途1ドリンク代
Tickets: PIA (P: 167-266), LAWSON (L: 58692), e+ (eplus.jp)
Information: 06-6535-5569 (SMASH WEST), 06-6243-1666 (CONPASS)
https://smash-jpn.com https://conpass.jp/814.html

7.7 sat 東京 代官山 UNIT - UNIT 8TH ANNIVERSARY PARTY
Live: Palais Schaumburg
DJs: TAKKYU ISHINO, THOMAS FEHLMANN, KEITA MAGARA (dance rodriquez), DJ KENSEI, KENTARO IWAKI, TEN (ERR), Jah-Light, SISI (pan records, SECO), WALKERS (Kon, Sin, Kiccio) and MORE
Open/ Start 22:00
¥4,000 (Advance), ¥4,500 (Door)
Tickets: PIA (P: 167-332), LAWSON (L: 74586), e+ (eplus.jp), clubberia (https://www.clubberia.com/store/), disk union CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿、下北沢), disk union (吉祥寺, 池袋, 町田, 千葉), TECHNIQUE, Lighthouse Records, JET SET TOKYO, UNIT
Information: 03-5459-8630 (UNIT)
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Tour Coordinated by Root & Branch

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