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LOW END THEORY JAPAN

LOW END THEORY JAPAN

feat. DADDY KEV / NOBODY / RAS G etc.

@ 渋谷 WWW | 2012 Jun 30

倉本 諒  
写真:GIN [dzin] Yoshimura   Jul 04,2012 UP

 気候のせいなのか、クオリティの高過ぎるメディカル・ウィードのせいなのか、L.A.にいると、いい意味でいろんな細かいことがどうでもよくなってくる。連中は「Just Chill」と日常のなかで連呼するが、この言葉こそとてもL.A.的だ。
 既存のスタイルやシステム、マーケットに回収されない表現、〈ノット・ノット・ファン〉周辺の連中や、本誌6号にてインタヴューを強行したマシュー・デイヴィッドの〈リーヴィング〉周辺はそれこそ「細かいことはどーでもいいじゃない、Just Chillよ」と語っているようなサウンドは、僕にとってL.A.ならではの存在に思えるのだ。
 エル・エー・リアンを自称するRAS GもまさしくL.A.からしか生まれえないアーティストのひとりだ。え? RAS G来るの? 行くしかないでしょ。......というワケで僕はライヴ・レポにかこつけて〈ロー・エンド・セオリー・ジャパン〉に行ってきました。
 結論から言うと最高でしたよ、野田編集長。何で来なかったんですか? ......ってこれじゃレポになってませんね。では気を取り直して真面目に。

 小生、恥ずかしながらRAS Gをちゃんと聴いたのは昨年、マシューから〈リーヴィング〉から出ている「EL-AYLIEN」のテープを奪い取ったあとで、そのあまりのビート云々じゃないコズミックっぷりに完全にブッ飛ばされた。その後、マシューやサン・アローのキャメロンたちとのパーティ三昧の日々のなか、本家ロー・エンドでのパフォーマンスに腰を抜かし、ダブラブのフロスティー監修の「Secondhand Sureshots」をこれまた恥ずかしながらいまさら見て、その深淵なパーソナリティに魅了された次第である。
 昨年僕が体験したL.A.のビート・シーン、それは率直にその寛大な懐の広さだ。御存知の通り〈ストーンズ・スロー〉はまったく聴いたこともないような若手のアーティストもガンガンリリースし(それこそ何じゃこりゃと思わせるようなバンドも含めて)、ダディ・ケヴ率いるロー・エンドもサン・アローがプレイしたことが表すように垣根がない。僕が勝手に思っていたロー・エンド=硬派なビートメイカー、それこそ漢なら808、SP-1200、DRUM-TRAKSオア・ダイだぜ的なイメージは完全なる偏見であったし(それはそれでカッコイイけどね)、その柔軟な耳といい意味でのこだわりのなさはこの日初めに見たダディ・ケヴのプレイにも如実に表れていたようにも感じた。残念ながらこの日僕はバイト上がりで自宅にて弛緩しきった後で向かったため、中原昌也氏のヘアスタを見逃してしまった。異色のラインナップとの言えるヘアスタの出演はそれこそ本家のロー・エンドの懐の広さにしっかりと共鳴する部分であったとも言えるので残念。
 ノー・バディのプレイ時くらいからこれまた恥ずかしながら非常に酒の弱い僕はだいぶいい感じとなり、気がつけばラウンジで、久々に足を運んだクラブ・イヴェントにおける女子率の高さ、おっぱいとおしりによって自分が何故エクスペリメンタルやノイズという非モテ音楽に身を投じていることを呪っていた。いや、関係ないんだ! この日何故かチケットもぎりの手伝いをしていた僕のバンドのサポート・メンバーであるK氏のように必死でビートを作り、夜はスケート・パークを攻めてるのに良い歳こいて童貞(追記、先日卒業しました。おめでとう!)、中原氏はあんなにエクストリームなサウンドを奏でているのに女子のファンもしっかりいる......だいぶ話が反れた。
 そして大本命RAS Gの登場。控えめに言っても神懸かっていた。彼の内宇宙の律動とシンクするベースとビート、サン・ラさながらの土星まで届く飛ばしっぷり。何だかご利益がありそうな風貌のラスのズシリとした動きもイイ。時折彼が指差す明後日の方向は故郷の土星の方角に違いあるまい。大大大満足であった。近々ドロップされる〈disques corde〉からの『Raw Fruit』、〈リーヴィング〉からの「El-Aylien pt. II」と「C.razy A.lien 7' + CS」も楽しみでしょうがない。

 その後再びダディ・ケヴへと一巡するなか、僕は明日への労働のため残念ながら帰途へついた。余談だが、僕のなかでは本家ロー・エンドのエントランスは最悪である。屈強なセキュリティが毎度しっかりと入場規制をかけ、長蛇の列が続く。かと思えばいわゆるハリウッド的なセレビッチ風の姉ちゃんがハァイ久々! なんつってスルっと入れちゃったりする。それも含めると今回の〈ロー・エンド・ジャパン〉はある意味本家より遥かに快適で素晴らしいものであったし、確実にオーディエンスにはこのイヴェントを通じて「細かいことはどーでもいいじゃない、Just Chillよ」といったL.A.のリアルなシーンからの空気は届いていたことを確信した。

倉本 諒