「W K」と一致するもの

Phew - ele-king

 いきなりですが、エレキング年末号、特集「エレクトロニック・ミュージックの新局面」の表紙&カヴァーストーリーはPhewです。
 で、つい先月も、欧州でもっとも有名なエレクトロニック・ミュージックのフェスティヴァルのひとつ、〈Unsound〉への出演をふくむヨーロッパ・ライヴ・ツアーをこなしてきたPhew。ケルンのコニーズ・スタジオで制作された彼女のもうひとつのクラシック、1992年に〈Mute〉からリリースされた『Our Likeness』が来年2月に再発される。DAFのオリジナル・マンバーで、リエゾン・ダンジュルーズ(デトロイト・テクノに決定的な影響を与えた)の作品で知られるクリスロ・ハースがオーガナイズし、CANのヤキ・リーベツァイトとアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのアレクサンダー・ハッケが全面協力した同作は、おそらく『ゼロ・セット』と『Phew』の出会い——なんていう形容もできそうな躍動感に満ちたアルバムだ。長らく聴けなかっただけに、これは嬉しい再発でしょう。
 

Phew (Phew)
アワ・ライクネス (Our Likeness)

Mute/トラフィック
発売日:2023年2月17日(金)
定価:2,400円(税抜)


96 Back - ele-king

 唐突に徴兵された新参のロシア兵は指揮系統の混乱もあって味方同士で撃ち合ったりしているらしい。ロクな訓練も受けられないと、そういうこともある……というニュース解説を聞いて思い出したのが27年前に編集した『忌野清志郎画報 生卵』という本のこと。清志郎のデビュー25周年を祝って「電話帳みたいな分厚い本をつくって関係者に配りたい」と、当時の佐藤社長に言われ、すべての作業を自分たちだけで行うのは難しいと思った僕と水越さんはファンクラブで手伝ってくれる人を募集をして40人ほど面接をしてみたものの、人を選ぶ基準がわからず、イーロン・マスクとは逆に全員を採用してしまった。そして、編集作業を始めてから編集経験がない人ばかりだということに思い当たり、編集作業と並行してみんなにも編集業務を教えることになり、これはとんでもないことになったと頭を抱えてしまった。しかも、テープ起こしの作業などは慣れない人がやると1日に5分ぐらいしか進まず、このままでは1時間のインタヴュー起こしが完成するのに半月はかかってしまう。うわー、これは、もう無理かもと思って呻吟していたら、テープ起こしのスピードが前日の倍になり、次の日にはさらに倍とどんどん早くなっていく。清志郎さんにそうした経緯を話すと「そうだろー、素人の伸びってスゴいんだよー」と大喜びで、その当時、清志郎がやっていた2-3sもまったく同じくで、先週は弾けなかったのに今週はできるようになっていたとか、そういうことが面白いからやっているんだという話になった。清志郎という人は仕事に馴れてしまわないこと、素人のままでいることを本当に大事だと思っていて、初心に戻るのではなく、初心のままでいるために努力を重ねているところがあった。どれだけまわりから批判されても2-3sを続けた理由はそれで、RCサクセションで築き上げたものの上にのっかってはいけないと思っていたのである。それより少し前にRCとしてオールナイトフジに出演した際もライヴの収録が終わってから「こうやってどんどん馴れていってしまうんだ! オレは何を言ってるんだ!」と冗談めかして叫びながら、新作を出したらテレビに出るというルーティン化に全力で抵抗していたことはいまでも印象深い。「素人が伸びていく時の力をバカにしてはいけない」と清志郎は言い、それは「一生に何度も経験できることではない」と。これは本当に楽しそうに話していた。

 名を残すミュージシャンには2タイプある。デビュー作がとんでもない傑作で、そこからじょじょに時間をかけてゆっくりと降下していくタイプと、最初は大したことないのに時間をかけて少しずつ登りつめていくタイプ。昨年2枚のアルバムをリリースし、さらに今年、4thアルバム『Cute Melody, Window Down!』を完成させた96バックことイーヴァン・マジュムダール~スウィフトは後者に分類できる。方向性の違いによって〈ワープ〉初期に経営陣から身を引いたロバート・ゴードンによるプロデュースで18年に「Provisional Electronics」でデビューしたマジュムダール~スウィフトは早くからシェフィールドの宝などと呼ばれて期待され(現在はマンチェスター)、一貫してエレクトロにこだわってきた。その彼が2年前に〈ローカル・アクション〉に移籍してからはベース・ミュージックと、さらにはOPNの影響を強く受けた作品をリリースし始め、いま急に伸び始めている。昨年リリースした3thアルバム『Love Letters, Nine Through Six』はまだそれほどの作品だったとは思えなかったものの、彼と親交のあるアヤは昨年の年間ベストにまでしている。そして、1年ぶりとなる『Cute Melody, Window Down!』ではベース・ミュージックとの接点をもっと深いところで探るようなエレクトロに回帰し、独特の作風を編み出してきた感じ。レーベル・サイドも50曲以上のデモ・テープに新しい方向性を感じ取り、これを10曲にまとめあげることを促した結果だという。しかし、世の中の評価はいまのところOPNに寄せた『Love Letters, Nine Through Six』の方が高い。いやいやいや、パッと聴いた感じは新作の方が地味かもしれないけれど、作品の質は確実にアップしていますよ。

 どうせだから『Love Letters, Nine Through Six』から聞き返していこう。OPNといわず、全体的にハイパーポップと称される傾向のものにチャレンジしている。キラキラとした音を多用し、ベースを抜くか、入れたとしても軽めなのはやはりOPNの影響だろう。自身のヴォーカルも初めて披露。ハドソン・モーホークを真似たつもりか、細かいフレーズが次々と飛び出す“Don't Die”や、それこそOPNそのものといったシンセがドラマチックに舞う“Feel Hard”などソフィーがすでにやり尽くしたと思う曲が多い。優しいメロディが彼の特徴なので、それを生かすには確かにこういったフォームも間違いではない。“I Don't Want To Play Tonight”ではコクトー・ツインズをバブルガム化したようなシンセ・ポップがそれなりに未知の風家へ連れていってもくれる。『Cute Melody, Window Down!』にはこういったキャッチーさはない。オープニングはシングルで何度か試みていたビート・ダウン・ハウス。『Love Letters, Nine Through Six』とは打って変わってゆったりとした曲調で、ベースも太い。続いて荒々しく和音をブチ切りにした“Wrong Warp”。タイトルからしてシェフィールドを意識しているようで、ロバート・ゴードンゆかりのブリープにブレイクビーツを合わせた発想は新鮮だった。さらにハードなブレイクビーツを駆使した“When U Stop”へと続き、これには少しOPNの残り香が漂っている。タイトル曲は確かにキュートなメロディで、90年代中期のエイフェックス・ツインを思わせ、ほかにもエイフェックス・ツインがブリープをやっているような感触がそこはかとなく全体に染み込んでいる。それらがまたベース・ミュージックを通り抜けたエレクトロというのか、シェフィールドが発祥の地とされるベースライン(2ステップの発展形)との接続が図られている気もするし、そうやって考えていくと何か新しい音楽のように思えてくる。“Goth Stuff”はヒネくれた展開が楽しく、オリジナリティはダントツ。“Get Running”も“Flow Spam”もいい。“High & Tired”でちょっとダフト・パンクが入って、エンディングは前作に揺り戻す(諦めが悪いなーw)。

 ハーフタイムがドラムン・ベースとベース・ミュージックの壁を取り払ったことで様々な科学変化が起き、この流れにエレクトロも混ざりつつあるなか、さらにベースラインも巻き込んだというのが96バックの立ち位置を説明するガイドになるだろうか。エレクトロは現在、シンセ~ポップやインダストリアルと結びつく傾向を除けば、ジェイムズ・ブレイクにフック・アップされてフランク・オーシャンのトラック・メイカーに起用されたヴィーガン(Vegyn)ことジョーン・ソーンナリーが最もモダン・エレクトロを代表する存在であり、彼が今年の初めにリリースした75曲入りの5thアルバム『Don't Follow Me Because I'm Lost Too!!』でもベースラインが大幅に取り入れられていたことを思うと、いまはちょっとした流れの始まりにあるのではないかと思えてくる。しっとりとしたヴィーガン、カラフルな96バックという対比というか。『Cute Melody, Window Down!』は2022年に戦争も暗殺もなかったかのように感じるアルバム。現実感はなく、希望もないけど絶望もない。ただ、ちょっといい音楽を聴いただけ。“デイドリーム・ビリーバー”でも聴こうかな。

Brian Eno - ele-king

 狙いは明確だ。ほとんどの曲にヴォーカルがフィーチャーされている。歌手としてのブライアン・イーノがここにいる。なぜか。言いたいこと、言わねばならないことがあるからにほかならない。
 近年は自身が主導的な役割を担うわけではない共作やサウンドトラック、アーカイヴ音源集などのリリースが続いていたけれど、ライフワークたるジェネレイティヴ・ミュージックの到達点を示した『Reflection』(2017)以来、5年10か月ぶりとなるソロ・アルバムがついにお目見えとなった。
 2022年は国内外問わず、ことばに力のある音楽が多く送り出されている。イーノの新作『永遠にそしてもはやない(FOREVERANDEVERNOMORE)*』もまたその潮流に連なるものと言えるだろう。
 ここ数年の最大の関心事が気候危機にあることは、昨年の「EarthPercent」(音楽産業が、気候問題にとりくんでいる組織をサポートできるようにするための慈善団体)の設立を見てもわかる。新作のテーマもずばりそれだ。

 といってもイーノは、「地球にやさしく」のようなありがちな感傷に留まることはない。冒頭 “Who Gives a Thought” に耳を傾けてみよう。この曲でイーノは「だれがホタルについて考えるだろう」「だれが線虫について考えるだろう/いまや考える時間なんてない/顕微鏡でないと見えないような虫について/研究もされないような細菌について/商業的価値がないから」と小さきものたちへ眼差しを向けたあとに、「だれが労働者について考えるだろう」と続けている。無視される小さきものたちと市井の民を重ねることで、いわゆるSDGs的なものが金持ちたちの新しいおもちゃにすぎないことを暴露する、痛烈な一節だ。
 気候危機について考えをめぐらせるとき、彼は資本主義がもたらす格差を念頭に置いている。三田格+坂本麻里子による『CINRA』のインタヴューをぜひ参照していただきたいが、気候変動の標的が低所得者層だということをイーノはよくわかっている。想像してみてほしい。家が流されるほどの土砂崩れだろうと、地獄のような猛暑だろうと、金持ちならいくらでも対処できるのだから。

 一方で、世のなかにはテクノロジーが問題を解決すると信じている向きもある。そういったおためごかしにもイーノは与しない。“Icarus or Blériot” では、傲慢のため墜落したギリシア神話のイカロスと、じっさいに堅実にドーヴァー海峡横断を成功させた航空技師ルイ・ブレリオが対比され、人類の強欲、やりすぎに警鐘が鳴らされている。絶対に沈まないはずだったのに沈んでしまったタイタニック号をテーマとすることで科学技術への過信をいさめた、『The Ship』(2016)を継承するレトリックだ。IT技術が万事を解決すると思いこんでいるシリコンヴァレー派への挑戦だろう。
 だがイーノ当人もまた、テクノロジーの恩恵にあずかってきた者のひとりだったはずだ。ロキシー・ミュージック時代のVCS 3しかり、ロバート・フリップとの共作におけるテープ操作しかり、数々のヴィデオ・アートにアプリに……じっさい今回も、ほとんどの曲がジェネレイティヴな手法で制作されているという。
 ここで興味深いのがAI技術のひとつ、ディープフェイクの活用である。メロディ・メイカーとしての才能が発揮された “There Were Bells” では鳥の鳴き声のような、しかし電子音のようにも聞こえるサウンドが存在感を放っている。この曲がそうなのかどうかはわからないが、『WIRED』のインタヴューによれば、本作ではディープフェイクで作成されたニセの鳥の鳴き声も用いられているらしい。参照元をあいまいにするこのアイディアは──宣伝も兼ねて言えば、マーク・フィッシャーが『奇妙なものとぞっとするもの』で指摘していたように──『On Land』(1982)に通じる試みと言えよう。テクノロジーはむしろわれわれが普段気づいていない、「ぞっとするもの」を出現させるためにこそあるのだ、と。

 レオ・エイブラハムズ、ジョン・ホプキンス、ピーター・チルヴァースといったなじみの面々とともに練りあげられた暗くも美しい音響は、『The Ship』の続編と呼ぶべき陰影を醸成している。“We Let It In” などで聞かれる低い低いイーノのヴォーカルは、老いたがゆえに出せるようになった声を思うぞんぶん活用しており、とびきりの余韻に浸らせてくれる。“These Small Noises” なんかは民謡のようにもクラシック音楽のようにも聞こえる曲で、彼の新境地と言っていいだろう。
 全体的に、声はエレクトロニクスとの融和を優先している。“I'm Hardly Me” や最終曲における音声合成は『Kite Stories』(1999)や『music for 陰陽師』(2000)、『Another Day On Earth』(2005)のころ──すなわちオートチューンが注目されはじめた時期──によく試みられていたもので、いまこれを持ってくるのは、まだぎりぎりポジティヴな未来を想像することが可能だった00年前後を喚起するためなのかもしれない。

 本作はストレートなアンビエント作品ではないが、といってスターが高らかに歌いあげるアルバムでももちろんない。分類するならやはり「アンビエント」ということになるだろう。メッセージありきとはいえ、保守党をおちょくった “トーリーなら万事順調” のような、いかにもプロテスト・ソング然としたたたずまいは影を潜めている。グラミーを利用し戦争協力を呼びかけたゼレンスキーのごとく、音楽をプロパガンダにすることは、イーノのもっとも嫌うところだ。
 彼はライナーノーツを「皆さんと同じように」という一句ではじめている。そして「感情」の重要性を強調している。シンガロングの類からは慎重に距離をとった楽曲群から推すに、彼は歌をわれわれの周囲にあるもの、われわれをとりまくものとして扱おうとしているのではないか。たとえばコインランドリーで出会う、おそらくは大変な生活を送っているにもかかわらず、どこまでも気さくに振るまう年輩の労働者のように、わたしたちの「まわり」にいる隣人のひとりとして、社会にたいする不満の「感情」を声にしているのではないか。
 だからこれは、おなじくことばが力を持った2022年の作品のなかでも、スペシャル・インタレストウー・ルーのような燃え上がる反骨精神ではなく、まわりにいるはずの「小さきものたち」にフォーカスすることで現代社会の歪みを浮かび上がらせながら、あくまで未来を見据えようとする、七尾旅人のアプローチに近いんじゃないかと思う。人民に寄り添い、おなじ目線の隣人として、気候危機への「感情」を吐露すること。
 アンビエント・マスターであることとシンガーソングライターであることを両立させたイーノが、ここにいる。

* このタイトルは、イーノがよく引き合いに出すソ連の学者アレクセイ・ユルチャクの本『すべては永遠だった、なくなってしまうまでは(Everything Was Forever, Until It Was No More)』(邦訳『最後のソ連世代──ブレジネフからペレストロイカまで』半谷史郎訳、みすず書房、2017年)を想起させる。詳しくは『ele-king臨時増刊号 コロナが変えた世界』72頁参照。

Mansur Brown - ele-king

 4年前のW杯時に、ぼくはそのサウンドトラックをクルアンビンとした。で、今回はマンスール・ブラウンのアルバム(2枚のEPの合体盤)としよう。フラメンコと中東と催眠的なミニマル・ビートにダブが絡んでいる1曲目“No Way”の前半を聴いているだけで奇妙な気分になってくるわけだが、それがアンビエントへと展開するとなると意味がわからなくなってくる。
 今回のカタール開催は、海外では前々から多くの批判があった。たとえば英ガーディアンは10年前から移民労働者問題(スタジアムを建設した移民労働者の月収は4万円にも満たない)を継続して報じてきている。というか、スタジアム建設などのためにカタールにやって来たアジア系移民労働者の6500人以上の死亡が事実だとしたら、たしかに現代の奴隷制と言われても仕方がない。ほかにもマイノリティーへの差別(同性愛は犯罪とされる)も当たり前だが問題視されているし(英国ではカタール大使館への抗議活動にまで発展)、なんでも女性の海外旅行や留学には男性の許可が必要だとか。こうした事情が世界でもっとも人気のあるスポーツ大会というオブラートに包まれたときに隠蔽されてしまうことは、欧米の識者からはさんざん指摘されてきている……どころの騒ぎではない。ガーディアンによれば、英国では10人中6人がカタールのワールドカップ開催に反対しているというし、ブンデスリーガの試合ではファンが反対の横断幕を掲げ、日本よりフットボールの歴史があり人気もずっとずっと高いフランスやスペインでは、公共の場での試合中継を行わないことを宣言している自治体もあるそうだ。日本ではあまり報道されていないようだが、今回ほどフィールド外が騒がしく、ボイコット運動が熱を帯びている大会はなかった。じっさいぼくの何人かの友人は、今回はあまりにも茶番なので努力して無視するようにしていると言っている。また、予選の段階からデンマーク代表をはじめドイツ代表やノルウェー代表は、試合時のウェアなどで人権擁護の態度を表明しているし、オランダ代表監督の偉大なるルイス・ファンハールは、FIFAが説明したカタール開催の理論的根拠を「でたらめ」と一蹴した。そんなわけで、清水エスパルの降格ショックから立ち直れていなかった自分も努力して無視するようにしていたはずだった。
 
 マンスール・ブラウンは、フットボールに喩えるなら、並外れたテクニックを駆使するブラジル代表のようなギタリストである。現代UKジャズのシーンから登場したブラウンだが、彼はジャズというスタイルにこだわってはいない。この点においては、つねに慣習に囚われない斬新な戦術を実行するオランダ代表を彷彿させたりもする。
 先述したように、これは秋にリリースされた6曲入りEP「NAQI Vol.1」と最近出た「NAQI Vol.2」の合体盤で、前者にはビートがあり後者はビートレスと、それぞれ趣が異なっている(だからこの合体盤では前半と後半に分かれる)。まず「Vol.1」、つまり前半からいくと、先述した冒頭の“No Way”のほか、ゆったりとした、しかしブリアル風のダンス・ビートを擁する“Fever”や“Rise”といった曲にも注目したい。とくに、包み込むような温かいエレクトロニクスにはじまる“Rise”のベースとギターの対話によるグルーヴは白眉の出来だ。
 表題曲“Naqi”にはじまる「Vol.2」、つまり後半は、いわば本作のアンビエント面で、ギターの多重録音による楽曲が並んでいるのだが、これがまたぼくにはツボだったりする。クライマックスは最後の曲“Meikai”で、10分ほどのこの大作にはいろんな場面が用意されている。リスナーは、いつの間にか異世界に連れていかれるだろう。そこはエメラルド色に輝く桃源郷だが、いまの自分はまったりと陶酔に浸っているわけにはいかない。なにせ仕事が忙しいし、というかまだW杯は予選の最中で、この先どんな試合があるのか誰にもわからないのだ。
 だいたい初戦には波乱が起きるものだ。これは年のせいかもしれないが、各国のパススピードが上がっている(ように見える)。攻撃のための守備がより意識され、日本の2点目がそうだったが、手数をかけずショートまで持っていくのが、まあ、初戦だからとくにそうかもしれないが、目立っている。日本がドイツを撃破したことは心の底から喜んだし、権田修一のセーヴも高速カウンターも見事だったけれど、負けたドイツはウォームアップ時に、FIFAとカタールへの抗議の意を込めてだろう、レインボーのステッチの入ったウェアを着ていたのだ(ドイツ代表も、イングランドのハリー・ケインも、当初レインボーの腕章をして試合に出る予定だったが、それはFIFAによって阻止されている。ゆえにドイツ代表は、日本戦の前の写真撮影時にFIFAから口を封じられたことを示唆するため、手で口を覆うポーズを取り、試合の勝ち負けとは別のところで賞賛されている)。
 この先日本が世界でさらにリスペクトされるには、もうひと段階の努力も必要になるだろう。それは、今日の時代が激変しているさなかのヨーロッパを経験している現代表の世代を主軸に、いずれは変えていきそうな気がしないでもない。なにせ、多くの人が絶対に負けると思っていたドイツ戦に勝てたのだから、希望を持ってがんばれば、あり得ないと思っていたことも実現できるという、ちょっとだけそんな気持ちになれました。ちなみにアルバム・タイトルの“Naqi”とはアラビア語で「純粋」を意味するそうだ。純粋さを欠いているW杯への皮肉を込めてこんなタイトルにしたわけではない、はずである。
 
 最後に、UKジャズのギタリストといえば、ほかにオスカー・ジェロームもいるが、彼のソロ・アルバム『Spoon』も素晴らしかった(小川充がレヴューしてくれるはず)ことを追記しておく。また、今回のW杯は気温的なことからアフリカ勢が優勢なのではとぼくは思っていたのだが……、アフロビート全開のKokorokoの待望のアルバム(これもいいんだよなぁ)も、いまの自分はかなりハマっております。で、最後の最後に来年の話だけど、純粋に清水と藤枝の試合、名将大木武監督率いる熊本との試合を楽しむことにするよ。

TAAHLIAH and Loraine James - ele-king

 快進撃をつづけるロレイン・ジェイムズが、グラスゴーの新人DJ/プロデューサー、TAAHLIAHとのコラボ・シングルをリリースしている。“Fuck It!” と題されたそれは、〈Warp〉のオフィスでのスタジオ・セッションにて着想されたものだという。ワットエヴァー・ザ・ウェザー名義のアルバム、〈AD 93〉から出たTSVIとの共作、NYの不遇の前衛音楽家ジュリアス・イーストマンへのトリビュートと、すばらしい作品ばかりを送りだし、日本公演も成功させたジェイムズにとって、どうやらこの新曲が2022年の締めくくりになるようだ。

Soundwalk Collective with Patti Smith - ele-king

 音響アートを扱うプラットフォームである、NYの「サウンドウォーク・コレクティヴ」。彼らがパティ・スミスと組んだコラボ・プロジェクトは、ランボーやアルトー、ルネ・ドーマルというフランスの3人の詩人から触発されたシリーズを展開、「The Perfect Vision」と題しすでに3枚のアルバム──『The Peyote Dance』(19)『Mummer Love』(19)『 Peradam(20)──を送り出している。
 そして本日、そのシリーズのリミックス盤がリリースされているのだが、参加面子がなかなかユニークなのだ。ブライアン・イーノやララージといった大物のみならず、ルクレシア・ダルトケイトリン・オーレリア・スミスロティックといった現代エレクトロニック・ミュージックの重要アーティストたちが加わっている。これはチェックしておくべきでしょう。
 なお、それらリミックス曲を収録した『The Perfect Vision: Reworkings』は、シリーズ3作をまとめたボックスセットの一部としてリリースされる模様。

artist: Soundwalk Collective with Patti Smith
title: The Perfect Vision: Reworkings
label: Bella Union
release: November 25, 2022

tracklist:

1. Peradam (Brian Eno Remix)
2. Song Of The Highest Tower (Kaitlyn Aurelia Smith Rework)
3. Ivry (Laraaji Rework)
4. Bad Blood (Lotic Rework)
5. Indian Culture (Lucrecia Dalt Remix)
6. Song Of The Highest Tower (Atom™ Remix)
7. Eternity (Jim Jarmusch Remix)

Cholie Jo - ele-king

 石垣島出身、現在は沖縄本島を拠点に活動するラッパーの CHOUJI が、福岡の卓越したビートメイカー Olive Oil と組んでアルバムをリリースする。タイトルは『active camouflage』で、12月14日に〈OILWORKS〉よりリリース。ジャケからして最高だが、ラップもビートもかなり聴き応えのある1枚に仕上がっている模様。要チェックです。

プロデューサー/トラックメイカーのOlive Oilと、沖縄・石垣から多くのアーティストとも作品を残すCHOUJIが、Cholie Jo(チョリージョ)名義のアルバムをリリース!!

様々な化学反応を起こす2人による2022年を締め括る注目作品! 地球を舞台に活動するプロデューサー/トラックメイカーのOlive Oilと、沖縄・石垣から多くのアーティストとも作品を残すCHOUJIが、Cholie Jo(チョリージョ)名義でのアルバム『activecamouflage』をOILWORKS Rec.よりリリース!

本作では、CHOUJIならではの心揺さぶるワードと、耳に残るフロウに、Olive Oilの極上のビートが相まった素晴らしい仕上がり!アルバムを通して、2人の痕跡を感じさせる南の島へと導かれていき、温かく、縦にも横にも揺らされていく全16曲を収録。アートワークはPopy Oil、マスタリングは塩田浩氏が担当した、クオリティも間違いなしの1枚!

【アーティスト】Cholie Jo (CHOUJI & Olive Oil)
【タイトル】active camouflage
【品番】OILRECCD032
【販売価格】2,500yen (2,750yen tax in)
【フォーマット】CD
【レーベル】OILWORKS Rec.
【バーコード】4988044857186
【発売日】2022.12.14 (wed)

【トラックリスト】
01. south window
02. olololoLow
03. umaku
04. odorasete
05. kamasereba
06. katumadewa
07. hosomaki
08. musuko
09. sarani big
10. norowareteru
11. oli oli oil
12. mata detetta
13. kaeriwa madakana
14. amegafureba
15. choushi yosasou
16. peakwamotto atodeii

All Tracks Produced by Olive Oil
All Lyrics by CHOUJI
Album Mastered by Hiroshi Shiota
Designed by Popy Oil

■プロフィール

CHOUJI
沖縄県石垣島出身 現在沖縄本島を拠点に活動中
rapper,beatmaker,producer,mix&masteringEngineer,
C-TV(YouTube) studiOKItchin DGHstudio

Olive Oil
南の楽園設計を夢見る男。風は常に吹いている。人並外れた製作量と完全無欠のアイデアで世界を翻弄しつづける無比の個性。クリエイター集団OILWORKS プロデューサー/リミキサー/DJ。ワールドワイドでありながらアンダーグラウンドシーンと密接に結びつく感覚は唯一無二。国内外のレーベルから作品を発表し国内、海外ツアーを行うなど、全国、全世界へとOILWORKSの世界観を発信。これまで、FUTURA、Hennessy、Adidas Documentary、UNIQLO、Nike、STUSSY、X-LARGE、COLEMAN、Tokyo Jazz、Hp Slate7等のコラボレーションワークで国内外メディアから注目を集め、近年ではVOGUE JAPAN 20周年、REDBULL JAPAN等への楽曲提供を行う。さらに、ジョイント作品も高く評価され2021年にはKing Of Diggin ことMUROとプロジェクトM%O、韓国のピアニストCHANNY Dとの作品、2022年にはSNEEEZEとのアルバムも話題を集める。現在も多数のプロジェクトを進行中でPopy Oilと共に新たな世界を模索する。

김도언 Kim Doeon(キム・ドオン) - ele-king

 ソウル(Seoul)の新人電子音楽家、キム・ドオン(김도언、Kim Doeon)の名前はおそらく韓国の音楽ファンたちにもあまり知られていないと思う。私もいくつかの電子音楽またはヒップホップ・アルバムの制作クレジットで名前を目にしたくらいだ。そんな彼が発売したデビュー・アルバム『Damage』のトラックリストを見てまず驚かされたのは、あらゆるジャンルのインディー・シーンから訪れたゲスト陣である(*1)。他の国同様、韓国音楽市場においてもつねに非主流的位置に置かれている電子音楽シーンではなかなか出会いにくい大スケールの電子音楽音盤であることから、アーティストにとっても、本作を発売する新生レーベル〈SoundSupply_Service〉側にとっても、なかなかの野心を抱いてシーンに大きい一歩を踏み出したように感じた。その野心は成功的に花咲いて、今年の韓国発の音盤中、最も優れた作品のひとつとして紹介させてほしい。

 アルバムはまるでビデオ・ゲームのようだ。アンビエントなテクスチャーを媒介にハープ、ヴァイオリンなどの(仮想)楽器やグリッチなどのサンプルが随時交差する音はその背景音楽の雰囲気と似ている。“Portal”、“창 Window” という言葉からパソコン用語が連想されるように、それは明らかに仮想世界への接続を音に表している(ブライアン・イーノがWindows OS効果音の作曲者でもあることを思い出してみよう)。“SaGA” – “거울 Mirror” – “늪 Swamp” – “모습을 바꾸는 요정들 Fairy Transportation” と繋がるファンタジー文学のような題材のフェイズは特に注目で、優雅な、陰惨な、壮大な雰囲気がメロディックに絡み合っていく様子は、電子音楽という人工的な素材を使って土俗的・祭礼的な神秘さを経験する、対立的な認識の狭間から生じる劇的なハイライトだ。
 そのほか、モチーフをカットする仕方からはコーネリアス、ジャンルの融合に取り組む仕方からはフライング・ロータス、テクスチャーからはワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなど、いろんな先例が浮かんでくる。あと、メロディックなアルペジオなどの要素から垣間見るポップ性はドオンがインタヴューでユン・サン(윤상)(*2)のような歌謡音楽をルーツに示したのに納得がつく。しかし、絶えず変奏をもたらす展開を通して立体的な世界を形象化するところでアーティスト自身の世界が構築される。端的にゲストの用い方はまるでカニエ・ウェストがボン・イヴェールを起用するみたいに、リズムと展開に沿って加工を重ねることでしっかり自分の領域に引きずり込む様子は、新人とは信じ難いアウラを発する。そして後半~フィナーレの “Lizard Wizard” – “Stock Quartet” – “Green Screen” のメロディックでクラシック・器楽要素の入った演奏もドオンの幅広い表現領域を確かめられる。
 ドオンは本作業に関して、「清明──“청명 Crystalline”──な空の風景がグリーン・スクリーン──“Green Screen”──に変わる物語」であると告げる。このように、本作はあらゆる両面性を行き渡るアルバムである。清明な空はやがてグリーン・スクリーンへ、事実(reality)から写実(realism)へ、自然(nature)から自然らしさ(natural)へ……。ビデオ画面越しのキャラクターに自分を重ねる現象から、現実と幻想、自我と非自我の境界についても語れる。各々の要素は二項対立的に捉えられがちだが、我らは本当にそれらをぴったり区分できるのか? この青きモンタージュはひたすら質問する。
 大衆が両極端に引き裂かれていく時代だという。そのなか、音で楽しむこの一本の物語は、それこそジャンルの隔たりを超えてあらゆる概念の狭間を旅しながら、その間に秘められた壮大な美と可能性を引き出す。本作に込められた演奏と構成の巧みさはもちろんのこと、音楽から深い考えに聴者を導き出せるのは、単一作品として相当な成果と考えられる。インディペンデントな音楽ではなかなか見づらいスケールの、しかし、インディペンデントだからこそ作れる、際どい一作だ。

*1 フォークSSWのイ・ラン(이랑)、そしてソユン(So!YoON!)が所属するバンドのセソニョン(새소년/SE SO NEON)が日本でも知られているゲスト陣だと思う。皆それぞれフォーク、ロック、R&Bなどのシーンで重要な音盤を出したインディペンデント・ミュージシャンたちである。
*2 80年代から現在も活動を続けている大衆音楽作曲家。バラードなどのポップ音楽にクラシック、電子音楽、ボサノヴァなど幅広いジャンルを取り入れたり精密なサウンド・エンジニアリングなど韓国バラード・ポップの精度を高めた先駆的な存在として国民的にも有名。

Kukangendai - ele-king

 エクスペリメンタル・ロック・バンドの空間現代が、グラフィックデザイナー三重野龍とのコラボレーションによる、またしても特別なライヴを試みる。
 前作「ZOU」は、2020 年に開催され、入場規制も行うほどの注目を集めた。「ZOU」では、空間現代の1時間1曲の「象」に三重野が描きおろしたグラフィックを、ライヴの VJ で重ねるという形でだったが、第二弾となる本作は互いに協動し、一から創作する完全新作となる。バンドの生演奏とスクリーン投影される三重野のタイポグラフィ、そして舞台装置などあらゆる要素が融合されたもので、新たな舞台芸術作品をへと向かう。
 12月9日〜11日の3日間、ロームシアター京都にて開催。
 なお、この公演は、若手アーティストの発掘と育成を目的にもしている。ロームシアター京都と京都芸術センターが協働して行うU35創作支援プログラム“KIPPU”の2022年度に選抜され、上演されるものでもある。

 また本公演の上演にあわせ、ロームシアター京都の2020年度自主事業として上演された前作、KYOTO PARK STAGE 2022「ZOU」の記録映像を期間限定・無料で再配信。
https://rohmtheatrekyoto.jp/event/71183/

空間現代×三重野龍の初めてのコラボレーション「ZOU」の記録映像を期間限定・無料で再配信します!
配信日時:2022年11月15日10:00~12月11日24:00
配信場所:ロームシアター京都公式 YouTube チャンネル
https://www.youtube.com/@ROHMTheatreKyoto2016
https://youtu.be/PPD_Dwi_K-8


【公演概要】
ロームシアター京都×京都芸術センター U35 創造支援プログラム “KIPPU”
空間現代×三重野龍『汽』
日程:2022年12月9日(金)~ 12月11日(日)
   9日(金)19:00開演、10日(土)19:00開演、11日(日)15:00開演
会場:ロームシアター京都 ノースホール
音楽:空間現代
グラフィック:三重野龍
https://rohmtheatrekyoto.jp/event/71183/

Koshiro Hino (goat & KAKUHAN) - ele-king

 バンドgoatを率いる一方、YPY名義でも電子音楽作品を発表している日野浩志郎。昨年は鼓童とのコラボ・プロジェクトがあったが、来る12月26日、大阪の枚方関西医大小ホールにて、goatとしては5年ぶりとなる国内公演が開催される。結成10周年を迎える2023年に向け、新作も準備中とのこと。
 そしてもうひとつニュース。日野がチェリストの中川裕貴と組むユニット「KAKUHAN」の初のアルバムが数日前にリリースされている。これが素晴らしい内容なのであらためてレヴューで紹介する予定ですが、そのKAKUHAN初の単独公演が今月の19日と20日、こちらは京都芸術センター講堂にて開催。
 年の瀬も押し迫るなか、日野浩志郎の動きから目が離せない。

日野浩志郎率いるバンド「goat」、約5年ぶりの国内公演開催が決定

電子音楽ソロプロジェクト「YPY」をはじめ、舞台作品「GEIST」や、太鼓芸能集団 鼓童とコラボレートした音楽映画「戦慄せしめよ/Shiver」(2021年公開、豊田利晃監督)などで知られる音楽家・作曲家の日野浩志郎を中心に活動を行うバンド「goat」が、今年の12月26日に大阪の枚方にて約5年ぶりとなる国内公演を行うことが決定した。

オリジナルメンバーの日野、田上敦巳、安藤暁彦に加え、MANISDRON、The Noupのドラマー岡田高史と、元鼓童の篠笛・パーカッション奏者である立石雷の5人編成で活動中の「goat」は、来年2023年の結成10周年に向け、約8年ぶりとなる新作アルバムを制作中だ。

今回の公演は、アルバム収録予定の新作楽曲を交えたおよそ60分ほどの演奏となる予定。

会場となるのは、昨年開館したばかりの枚方市総合文化芸術センター内にある関西医大小ホール。客席は約300席、内装壁面にレンガを採用し、豊かな響きと遮音性にも優れたホールとなっている。

宣伝美術は画家の五木田智央、音響は新作のレコーディングエンジニアでもある西川文章が担当。

公演に合わせて会場限定物販の販売や、北加賀屋 club daphniaでのアフターパーティーも予定している。

[公演概要]

goat 枚方関西医大小ホール公演

日時 12月26日(月)18:30開場 / 19:00開演
会場 枚方市総合文化芸術センター 関西医大小ホール(大阪府枚方市新町2-1-60)
チケット 前売り 4,000円 / 当日 4,500円 / U25 3,000円(https://goat-hirakata.peatix.com/)

出演 goat(日野浩志郎、田上敦巳、岡田高史、立石雷、安藤暁彦)
音響 西川文章
照明 渡辺敬之
宣伝美術 五木田智央(アートワーク)、真壁昂士(デザイン)
主催 株式会社鳥友会
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業

[プロフィール]


goat

2013年に日野浩志郎を中心に結成したグループ。元はギター、サックス、ベース、ドラムの4人編成であるが、現在は楽曲によって楽器を持ち替えていく5人編成で活動している。極力楽器の持つ音階を無視し、発音させる際に生じるノイズ、ミュート音などから楽曲を制作。執拗な反復から生まれるトランスと疲労、12音階を外したハーモニクス音からなるメロディのようなものは都会(クラブ)的であると同時に民族的。
https://emrecords.bandcamp.com/album/new-games-rhythm-sound
https://goatjp.bandcamp.com/

《 goat after party 》
日時 12月26日(月)23:00開場
会場 club daphnia(大阪府大阪市住之江区北加賀屋5-5-1)
チケット 当日 2,500円+1drink *goat枚方公演参加者は1,500円+1drink

出演者:
YAMA
MITAYO



YukiNakagawa2022

KAKUHAN「musica s/tirring」

開催日時:
2022年11月19日(土)・20日(日)
開場 14:30
開演 15:00(17時終了予定)

会場:
京都芸術センター講堂/フリースペース

出演者・スタッフ・クレジット:
出演 KAKUHAN(日野浩志郎、中川裕貴)
音響 西川文章
音響プログラミング 古館健
照明 渡辺敬之
美術 OLEO
舞台監督 十河陽平
宣伝美術 白石晋一郎(写真)、清田優(デザイン)

主催 株式会社鳥友会、京都芸術センター、公益財団法人京都市芸術文化協会

チケット料金:
前売り 3,000円
当日 3,500円
U25 2,000円

予約:
peatix
https://musica-stirring.peatix.com

京都芸術センターウェブサイト
https://www.kac.or.jp/events/32818/

京都芸術センター 窓口 [10:00-20:00]
〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
*窓口販売のみ。電話・FAXによる予約は不可。

アクセス:
京都芸術センター
604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
Tel: 075-213-1000 Fax: 075-213-1004
E-mail: info@kac.or.jp URL: https://www.kac.or.jp/

地下鉄烏丸線「四条駅」、阪急京都線「烏丸駅」
22番・24番出口より徒歩5分。
駐車場はございません。公共交通機関をご利用ください。

日野浩志郎と中川裕貴によるユニット「KAKUHAN」初の単独公演「musica s/tirring」を開催します。
大阪と京都を拠点とし、国内外で活動する日野と中川はそれぞれ、ライブ演奏だけでなく、舞台や映画の音楽制作などの多様な活動を続けるなかで、既存の音楽の範疇を逸脱しながら、音楽がもつポテンシャルに対して深い思考/試行を巡らせてきました。そうした両者は、オーケストラ公演など、これまで様々な作品を共に制作して作ってきましたが、デュオという最小単位での制作は、本公演が初めての機会となります。
公演タイトルの「musica s/tirring」は、日野と中川の制作コンセプトから名づけられました。「撹拌」を意味する「stirring」。それにスラッシュが付されることで、「s/t」という「セルフタイトル」を意味する表記が形づくられています。そうした語を「musica(音楽)」と結び付けること。すなわち、日野と中川は、音楽を攪拌することと、音楽そのものであることを、時に重ね合わせ、時に両者の間を往還することで、制作を行ってきたのです。
本公演では、そのようにして両者が制作した楽曲を「負(OU)」と「角(KAK)」というふたつに分けて構成し、京都芸術センターの講堂とフリースペースにて演奏を行います。


KAKUHAN - Metal zone

KAKUHAN is
Koshiro Hino - electronics
Yuki Nakagawa - cello

A1. MT-DMZ
A2. MT-STM
A3. MT-ZN1
A4. MT-BZSR

B1. MT-SS1
B2. MT-AUTC
B3. MT-RWV
B4. MT-ZUC

NKD06
Mastered by Rashad Becker
Mixed by Bunsho Nishikawa
Lacquer Cut by Loop-O
Artwork by Shinichiro Shiraishi
Art coordination by Yusuke Nakano
Designed by Takashi Makabe
Published by Edition Golfen & Reiten / Freibank

Koshiro HinoとYuki NakagawaによるKAKUHANの1stアルバム「Metal Zone」は「電子音楽/弦楽」、「現代音楽/クラブミュージック」、「トラディショナル/コンテンポラリー」、「フィジカル/メタフィジカル」、「作曲/即興」など、様々な異なる要素がそのユニット名の通り「攪拌」されている。それは、チェロと電子音、ヒトとマシーン、アコースティックとエレクトロニクスによる別の「レフトフィールド」のかたちとも言えるのではないだろうか。
これまでEM records、Workshop、WhereToNow?、Nous、Acido、BLACK SMOKER RECORDSなどから作品をリリースしているKoshiro Hino。彼の主な作曲作品として、電子音楽とエレクトロニクスのハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」(2016)、Eli KeszlerやJoe Taliaなどをゲストに迎えて行ったシアターピース「GEIST」(2018-)、FUJI|||||||||||TAと共に作曲を行った「INTERDIFFUSION A tribute to Yoshi Wada」(2021-)がある。そしてそれら全ての作品にYuki Nakagawaはチェロプレイヤーとして参加してきた。
Yuki Nakagawaは京都を中心に活動するチェリスト、作曲家、演出家。彼は独学でチェロを学び、独自で生み出した様々な特殊奏法やチェロを使用したライブエレクトロニクス演奏に長年取り組んでいる。また近年では自作のチェロ弓を使用した演奏も行うなど、「チェロ」という楽器のもつポテンシャルを最大限に引き出すパフォーマンスを10年以上にわたり行ってきている。ただこれまで正式なリリース音源はほとんどなく、このKAKUHANの音源は彼の貴重な演奏記録ともなる。
このデュオ「KAKUHAN」の音楽制作が半ば偶発的にスタートした。「GEIST」の制作の為にスタジオに入った二人だったが、息抜き的に即興演奏をエレクトロニクスとチェロで録音したことが活動の始まりとなった。二人は単なるライブや音源作品だけでなく、舞台芸術やダンス、映画などの音楽制作など、それぞれにジャンルをまたぎ幅広く活動してきたが、特にコンセプトや目的等を設けず音楽制作を開始することから多くの発見や様々な音が生み出された。その後も2021年に複数回にわたりレコーディングセッションを行い、デュオでのライブ活動も開始。2022年にユニット名を「KAKUHAN」とし、この作品がデビューアルバムとなる。
今回のアルバムはアートワークとして、イギリスの映画監督、舞台デザイナー、作家、園芸家であるデレク・ジャーマンの庭を写真家Shinichiro Shiraishiが撮影したものが使用されている。このアートワークの中にみえる人工物/自然物、具象/抽象、動的/静的のイメージは、KAKUHANの音楽のかたちをビジュアルとして現すものだ。KAKUHANの音楽には、デレクジャーマンの庭がそうであったように、自然/人工の間にひそむ何か、また様々な音楽の「状態」が在る。
「Metal Zone」の奥から聴こえるストリングの音や声(チェロは人間の声に一番近い楽器である)、響くビートや電子音は、現代音楽/クラブミュージックがこれまで遂げてきた変貌の道の上にある。電子音とアコースティック楽器の融合、楽器の音を電子化する、電子化された音から聴覚を通じて何かを想像することは、これまでの実験音楽や現代音楽でも行われてきたものだが、KAKUHANのこのアルバムから聴こえるものは、それをさらに別のものへと転化させている。
音楽の中で無自覚に生み出され、放置された様々な「ゾーン」をKAKUHANは今、さらに攪拌する。

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