「K Á R Y Y N」と一致するもの

DMBQ - ele-king

 2020年のパンデミックにより一時ライヴを休止していたDMBQは2021年、ライヴ再開にあたり新企画「DMBQと○○」を始動。DMBQと他のバンドによる対バンのシリーズなのだけれど、今年もめでたく開催される運びとなった。9月19日から10月3日にかけ広島・名古屋・梅田・渋谷を巡回、それぞれEASTERN YOUTH、羊文学、ZAZEN BOYS、+後日発表の1組を加えた計4組が出演する。じつに強力なラインナップだ。さらに、このツアーの直前には札幌と岡山で単独公演も開催。これは楽しみだ。

DMBQ 渋・梅・名・広・クアトロ4箇所でシリーズライブ「DMBQと~」を今年も開催。
札幌、岡山でのライブも

昨年国内クアトロ全4箇所で開催されたDMBQ主催のシリーズライブ「DMBQと~」が、今年も豪華な対バンを迎えて開催される。

今回のラインナップは以下の通り:
広島クアトロ 9月19日(月祝) DMBQとEASTERN YOUTH
名古屋クアトロ 9月28日(水) DMBQと羊文学
梅田クアトロ 9月29日(木) DMBQとZAZEN BOYS
渋谷クアトロ 10月3日(月) DMBQとTBA(後日発表) 

また、9月2日(金)には札幌BESSIE HALL、9月18日(日)には岡山PEPPER LANDでもDMBQ単独公演を開催。
このツアーの後の10月半ばからは、DMBQでのイギリスのフェス&英国ツアーを予定している。

問い合わせは各会場まで。

interview with Superorganism - ele-king

 パンデミックの影響もあってか昨今はひとつの街に属さず離れて暮らすバンドも増えてきた。だがスーパーオーガニズムのように国境をも超えているバンドは多くはない。そもそもスーパーオーガニズムはそれ以前の世界から、それ以後の世界で当たり前になったような感覚を持って活動していたのだ。ロンドンに暮らすイギリス人のハリー、ニュージーランド出身のトゥーカン、ビー、オーストラリアに住む韓国人ソウル、日本人のオロノ、多国籍なスーパーオーガニズムにどこの国、あるいはどこの街のバンドなのかと尋ねたら果たしてどんな答えが返ってきたのだろう? 答えなんてなくとももうこの状態が物語っている。スーパーオーガニズムはどこからでもアクセス可能な世界の中に存在していて、その場所は手紙を送ろうなんて考えが浮かばないくらいに近くにある。そんな古くてありふれたインターネットの幻想がもう当たり前のものとしてここに存在している。2017年に “Something For Your M.I.N.D.” をひっさげて登場しインターネットの寵児として受け入れられた 1st アルバムからさらに進んでスーパーオーガニズムは気負うことなく拡張したその世界を見せつける。

 『World Wide Pop』と名付けられた 2nd アルバムは日本の星野源、CHAI、フランスのSSW ピ・ジャ・マ、イングランド・レッドカー出身のラッパー、ディラン・カートリッジ、アメリカ・ポートランドに暮らすペイヴメントスティーヴン・マルクマス、世界各国数多くのコラボレーターが参加しながらもそこに強い光が当たるようなことはなく、まるで皆がその場所にいるのが当たり前だというように溶け込んでいてなめらかだ。前作の延長線上にあるような “It’s Raining feat. Stephen Malkmus & Dylan Cartlidge” の憂いを帯びたカラフルなサウンドの上でラップするディラン・カートリッジ、スティーヴン・マルクマスはいつもと少し違った表情を見せて、その間にいるオロノは自然と世界を繋ぎ合わせる。何かの映画に使われるはずだったという “Flying” は遊び心と少しのいら立ちを併せ持った最高のインディ・ポップで(途中でニュー・オーダーの影さえ見える)アコースティック・ギターの音が鳴り響く “crushed.zip” はSSWが作った孤独な原曲を切り裂いてリミックスしたかのような不思議な感触でそれでいてこのアルバムの世界に見事に馴染んでいる。スーパーオーガニズムの持つこの感覚はベッドルームの扉を開けてそのまま世界を拡大したかのようで(それは音楽以外のものに対してもそうなのだろう。“Teenager” のビデオを思い浮かべて欲しい。上下左右、二次元方向にも三次元方向にも、興味は広がり拡大していく)、境界線が消えたみたいに薄くなりジャンルの枠はぼやけ、ついにはメインストリームとアンダーグラウンドの境目さえも見えなくなる。自由で複雑で繁雑、そんな状態になっているのがいまのスーパーオーガニズムの魅力だろう。世界はひとつだけで完結したりはしない、意識することのない当たり前の『World Wide Pop』がそこにあるのだ。
 複数の世界が繋がって世界が作られ拡張していく、スーパーオーガニズムのオロノとハリー、ふたりの話を聞いて頭に浮かんだのはそんな言葉だ。実際に触れあえるようなオンラインと仮想世界を通過したような現実、ひょっとしたら次の世界とはいつの間にかそこに存在しているものなのかもしれない。


Teenager

僕たちはふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。音楽はコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。(ハリー)

スーパーオーガニズムとして日本に来るのはどれくらいぶりになりますか?

ハリー:2019年の1月以来かな? たぶん、それくらいぶりだと思う。

フジロックの後にあった来日公演ぶりですか?

オロノ:そうですね。来日公演ぶりだから2019年以来です。

じゃあ3年ぶりくらいなんですね。いまはひとつの国じゃなくてメンバーがそれぞれバラバラに住んでいる感じなんですか?

ハリー:前はみんなで同じ場所に住んでいたときもあったんだけど……、1st アルバムを作り終わったくらいの時期にみんなで同じ家に引っ越して。でもなんていうか「トゥーマッチ」だったんだよね。だから4年くらい前かな? それでみんなバラバラに住むようになって。いまはソウルはオーストラリア、オロノは日本、残りのメンバーはロンドンに住んでる感じかな。

そうなんですね。でもそれだとメンバー同士でいまどんなモードになっているとかどんなものに興味を持っているとか把握しにくかったりしませんか?

ハリー:そうだね。そういうある種の難しさはあるよ。

オロノ:でももうその段階は通り過ぎたって感じする。

ハリー:そうだね、うん。僕らはもうお互いのことはだいたいわかっているから「いまのモード」はどんななのかっていうのは把握しやすいのかもね。ズームとかでも「いま何に興味を持ってる?」とかよく話すし。もちろん同じ家に住んでたときほどではないんだけど。でもだいたいのことはわかるよ。何かやるときにコンセプトとか素材とかそういうのを話すんだけど、その過程でもみんなが何に興味を持っているのかわかるから。

そんな感じなんですね。

ハリー:うん。たとえば、ミュージック・ビデオを作るときなんかがそうなんだけど。いまたくさんビデオを作っててさ、二週間くらい前にも新しいビデオに取り掛かったところで、電話で何に影響を受けただとかどう思ったとかたくさん話して。オロノが影響を受けた本の一節から組み立てたりもして。だから、僕たちはいろんなことを共有してアイデアや影響についてお互いに理解できるまでトコトン話すって感じなんだ。

今回取材に応じてくれたハリー(左)とオロノ(右)

ミュージック・ビデオの話が出たのでここでビデオの話を聞かせていただきたいです。今回は全てのビデオを同じ人が監督しているせいか一貫した雰囲気を感じて、ひょっとしたらアルバムの一部として制作したのかなとも思ったのですが、今回のビデオはどんな風に作られたのですか?

オロノ:そんな風に感じるのはそれが最初に出てきたコア・アイデアだったからかもしれないですね。言ってくれたみたいにビデオをアルバムの一部として作ったってのもあるし。あとはもちろんビデオとしても美しくなるようにって感じに。ダンは私たちのヴァイヴをよくわかってるし、凄くいい感じにリメッシュしてくれて。たぶんあの人こっちの望んでるもの完全にわかってんじゃないかな。私たちにはアイデアはあってもビデオを作る技術はないから。

ハリー:まぁだよね(笑)。

オロノ:うん。だから彼はプロセスの中で重要な役目を担っている。にしてもヴァイヴを理解してくれて細かいディテールを説明しなくていい人を見つけられたっていうのは超良かった。

ハリー:めっちゃ直感的だったよね。なんていうかな、普段は僕たちふたりでアイデア出し合ってときどき他のバンド・メンバーもって感じなんだけど、ビデオの全体のストーリーを描いて、参考になるいろんな写真を組み合わせたりして、ちょっとしたトリートメント・ドキュメントを作るんだ。で、それを今回彼がまとめあげてくれたっていう。だからそれで連続性とか近似性を持ったんじゃないかな。僕たちから生まれた最初のアイデアから全部ドライヴしていって、それを彼が上手く解釈というか翻訳するみたいな形で具現化してくれたわけだから。

今回はアニメーションが効果的に使われていたと思うんですけど、アニメに関してはどうですか?

ハリー:もちろんアニメは大好きなんだけど、現実的な問題として僕たちはいま同じ場所に住んでいなくて、どこかひとつの場所に集まってビデオを撮影するってことができないっていうのもあったかな。アニメだとみんな一緒にスタジオにいる必要もないし、僕たちが持ってたアイデアも実現しやすかったっていうのがまずあって。で、もうひとつの理由として、伝えたいストーリーをスタジオ撮影の限定的なショットだけで表現したくなかったっていうのもあった。だから自然とアニメを中心に作ろうって方に傾いていったんだ。たとえば “crushed.zip” のビデオは単細胞のアメーバが恋に落ちるってストーリーなんだけど、単なるミュージック・ビデオじゃなくて、ショート・フィルムみたいな感じにしてこの小さなストーリーを伝えたいってアイデアで……。なんていうかさピクサーの映画の前にはいつも短いアニメがあるよね、あれってある種の良さがあって心に残るから、そういう感じにできないかなって考えたんだ。


crushed.zip

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photo: Jack Bridgland

友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。(オロノ)

それで思ったのですが、将来的にもうちょっと長めの20分くらいの、音楽と映像を組み合わせた映像作品を作ってみようみたいなアイデアはあったりしませんか?

オロノ:それはマジでいいかも。

ハリー:それアリだね。うん、興味ある。

オロノ:どこかのタイミングでアニメと音楽を組み合わせられたら最高だなって思うんですけど、でもいますぐできるっていうのはなんだろ? ツアー・ドキュメンタリーとかかな。今年の後半にツアーあるし、そっちの方をいまはやりたいかも。

ハリー:僕はそうだな、長いのを作るとなると……僕はSF好きなんだけど、読むのもそうだしSF的なやつを考えるのも好きって感じで。で、そうだな将来的にやるっていうんならそういうSFっぽいやつに関わりたい。ショート・フィルムを作るのもそうだし設定を考えたりするのも凄くやってみたい。実際に “On and On” のビデオのアイデアはSF的なものに触発されて出てきたものなんだけど、予算があればまたそういうビデオが作れるし、そういうのを突き詰めていくのは楽しいって思うんだ。映画を作るだけの予算はないけど、クールなコンセプトとかクールなストーリーを追求していくことはできるから。僕たちはそういうタイプだしさ。うん、だからマジでそうだな。いろんなメディアの可能性はほんと追求していきたい。

オロノ:ビヨンセみたいな感じで映画をプロデュースしたりもしたい。

ハリー:うん。いいね。僕たち(オロノとハリー)はふたりとも複合的な分野のアーティストだってところが似ていると思うんだ。いま言ったみたいな感じのいろんなものに興味がある。音楽は僕たちのコアとしてあるけど、オロノはアルバムのアートワークを手がけたりもするわけだし、ビデオをみんなで一緒に作ったりもする。音楽を作ることはずっとやっていくけど他のことにも同じくらい興味があって、その探究はずっと続けていきたいな。


On & On

(ペイヴメントの曲を)聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。〔……〕それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。(ハリー)

音楽がコアとしてあってってそのイメージ凄くわかります。スーパーオーガニズムはベースがあってそこに興味がくっついてどんどん広がっていくみたいなそんなイメージがあったんですけどまさにでした。それは今回のコラボレーターの名前を見てもそうで。国もジャンルもバラバラで垣根がなくて、フラットに好きだという気持ちでみんな繋がっているみたいな。インターネット時代的というか、インディもメインストリームの音楽も次に再生される曲として同じ様に並んでいる曲でしかないというサブスク時代的な感覚というか。スーパーオーガニズムのそういう部分に自由さを感じていて。その辺りの話をもう少し詳しく聞いてみたいです。

オロノ:言ってくれた通りにめちゃくちゃフリーフォームですね。友だちに声をかけて「うん、出たい!」ってなって実際に出てもらったみたいな感じなんで。だからメジャーのアーティストの後にインディの曲がかかるみたいっていうのは特に意識してなかったですね。それはでも、私たちがその両方の音楽が好きで、どっちにも友だちがいてっていうのを表しているんじゃないかって気がします。友だちはいろんなところにいるし、音楽業界のいろんな場所にもいる、それこそ垣根がなくて……。

ハリー:うん。僕たちはそんなバンドと一緒にやることで違う世界に足を踏み入れているんだ。自分たちをインディのバンドだって特に意識をしているってわけでもないんだけど……

オロノ:あとメインストリームのバンドともね!

ハリー:そうそう。メインストリームのバンドでもない。僕らが目指しているのはポップ・ミュージックを作るってことだけで、でもまぁ自分たちのやりたいようにやっているだけだからちょっとヘンな感じになっちゃってるとも思うけど。でも違くて、インディとメインストリーム、どっちかになろうっていうんじゃなくて、ただ自分たちにとって馴染むっていうか自然な形でこうなっているって感じかな。で、それが僕らの好きなインディ・アーティストのテイストにフィットするんだ、荒削りでヘンテコでエッジが立ってる大好きなやつに。で、同時に即効性があってポップでキャッチーって感じなのも好きなわけで。だから、それこそまさに僕らのやっていることだって感じがするよ。そんなわけだから違う世界のアーティストと一緒にやるのは理にかなっているとも思う。それに「そもそも自分たちは何なのか?」っていうところに立ち返る良い機会にもなっているんじゃないかって思うんだ。

そういう垣根がないという意味で、アルバム・タイトルの『World Wide Pop』はスーパーオーガニズムの音楽性を表していてぴったりだなって感じました。これはある程度狙ってつけたところがあったんですか? それとも偶然にこうなったみたいな?

オロノ:(日本語で)何も狙ってないですよ。

ハリー:そうじゃないけど、でも面白い話でもあるよね。意図的に狙った場合とそうじゃなくて無意識的にやった結果が不思議と同じになるっていうのは。僕は意図的にやっているって思ってたけどでも実は事故だったってそういう話をよくしちゃうんだけど、でも何かを作っているときっていうのは必ずしも何かを意識してやっているわけじゃないと思うんだ。ただその瞬間にひらめいたものにしたがって突き動かされて作っているだけでさ。で、後から自分が作ったものを振り返ってみたときにそこにあるものの意味が全部見えたりして「マジかよ……俺のやりたかったこと実現してんじゃんとか。言いたかったのはマジでこれだよな」みたいな。
 それで、アルバム・タイトルだけど、最初はただタイトルが必要だったってことだけだったんだ、おかしな話だけど。で、この曲の名前は、アルバムのタイトルとして理にかなってるし合うんじゃないかってそんな感じでつけたんだよ。衝動的にこれがいいなって感じたからで、特に理由はなく創造性にまかせてつけたって感じで。でもいまこうやって振り返ってみると君の言っていることもよくわかるよ。確かに集約されているかも。テーマもそうだし作り方にゲスト参加している人を見てもそうだしさ。でもアルバム・タイトルを決めたときは全然意識していなかったっていうのもまたポイントだと思うんだ。そのときはそういうのは頭になかった。

オロノ:酷いタイトル案いっぱいあったから。

ハリー:うん、マジで。

オロノ:ほんとヒドいやつ。

ハリー:まったくもってそう。

でも、ここまでのお話を聞いていても『World Wide Pop』ってタイトルなのはしっくり来るというか、本当ぴったりなタイトルだと思います。

オロノ&ハリー:(日本語で)ありがとうございます。

毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリング。(オロノ)

最近は音楽のジャンルがますます混ざり合って複数の要素があるものも当たり前のようにあって、それこそスーパーオーガニズムみたいに「これはなんだろう?」ってなる音楽が増えてきていて、カテゴライズがどんどん難しくなっている気がしています。その一方でSNS映えするというか、「この音楽はこうだ」と限られた一言で言い切るようなこともより求められていて、ちょっと変な状況にもなっていると思うんですけど、そんな中で「スーパーオーガニズムの音楽はポップ・ミュージック」だっていうのは凄く納得がいきました。

ハリー:うん、ちょっとおかしな状況になっているよね。少し前にペイヴメントの曲が Spotify によって発掘されたって記事を読んだんだ。凄い再生されたんだけど、でもその曲は昔の B-Side の曲で、お店か何かで聞いたスティーヴン・マルクマスはそれを最初ローリング・ストーンズの曲だと思ったとかそんな話で。アルゴリズムがその音をクラシック・ロックのサウンドだって認識して~みたいな感じのやつ。で、ストーンズの曲を聞いてその後にランダム再生でペイヴメントの曲がかかるんだ。それって僕たちみたいなバンドにとってちょっと面白いなって。僕はスーパーオーガニズムはどんな感じのプレイリストにもちょっとフィットしないなって思ってて。それはできる限りユニークな音楽をやろうと思っているからなんだけど。で、その音楽はインディ・ロックと言っていいのか、まぁロックじゃなくても全然いいんだけど。インディ・ロックとかエレクトリック・ミュージックとか、エレクトリックって言うにはちょっとラフ過ぎるか。まぁそんな感じで考えていくと、自分たちはカルチャー的にどの箱にもフィットしない、奇妙な場所に行き着くことになるんじゃないかって、そんな風に僕は考えているんだ。アメリカ・ツアーに行ったときなんか実際にそんな感じだったし。アメリカのロック・ミュージックがかかるラジオ局で僕らの曲もかかって、僕らの曲はこのラインナップの中でもOKなくらいロックなんだって思ったんだけど、でも僕たちは伝統的な意味でのロック・バンドじゃないからその中で落ち着かないというか居場所がなかったんだよね。いろんな場所に溶け込めるけど、どの場所にもフィットしないみたいな、そんな変なバンドだったんだよ。

オロノ:それってほんといつも感じてることだよね。

ハリー:うん。マジで。本当にそうなんだよ。


It's Raining

ライヴの話もお伺いしたいのですが、最近ライヴってやってます?

オロノ:全然やってないです。

最後にライヴをやったのはいつ以来になるんですか?

オロノ:2019年の夏の終わり頃だったかな。

ハリー:うんそうだね。2019年9月のジャカルタ公演が最後だったはず。

かなり間が空いているんですね。その間にライヴに関して何か考え方が変わったみたいなところはありますか?

オロノ:ときどき他のミュージシャンの人と話すんですけど、パンデミックとかそれに関して、早くライヴやりたいねとか。でも私は、全然待ちます、むしろもっと待ってたいですみたいな感じで。

ハリー:うん。

オロノ:毎日、家で絵を描いてるみたいな感じで。それってチルで、それだけでも全然良くて。でも YouTube とかそういうのでバンドがプレイしてるのをたまに気が向いたときに見てたりもして。だからいろいろ入り交じったミックス・フィーリングなんですけど。でも実際に、こないだの夜、ハリーと一緒に父親の部屋に行って、自分たちが出たフジロックの映像とか日本でやった他のライヴの映像とかを見たりして、なんか凄く変な感じになって。そのときからほんとに時間が経ったんだなって。

ハリー:そういう部分に関していうと、僕にとってライヴでプレイするのは好きだってことだな。観客の前に立ってもう一回プレイできると思うと本当興奮するし、新しい曲に対してみんながどんな反応を見せてくれるのかって思うと楽しみで仕方がない。でもさ、それとは別にツアーっていうか旅行に関してストレスを感じるわずらわしさみたいなものもあるんだよ。家から離れてる期間がずっと続くのはストレスで。だからその部分に関してはどうしてもナーヴァスになっちゃうな。だけどステージに立つってことに関しては楽しみで仕方がないっていうのも本当だよ。だから、うん、これもミックス・フィーリングだな、こんなに長い時間が経ったんだから。本当変な感じだよ。前みたいなリズムに戻ってどうなるかっていうのはさ。

今度のフジロックは本当に久しぶりにやるライヴってことになるんですね。

ハリー:そうだね。フジロックの前にUKのレコードストアを回るアコースティックのインストア・イベントはあるんだけど、フルでやるっていうのはフジロックが最初だよ。だからフジロックは今回のアルバム・サイクルの中で最初のショーってことになると思うんだ。ジャカルタ以来の最初のフル・ショー。復帰戦として最初にやるショーとしては大きすぎるってくらい大きい舞台だからうまくできるかやっぱり緊張はするんだけど、でもどうなるか凄く楽しみだよ!


Into The Sun

HASE-T - ele-king

 日本のレゲエ・シーンを支えてきたディージェイ/プロデューサー、HASE-T(ハセ・ティー)が、プロデューサーとして活動20周年を迎える。記念すべきこのタイミングに、新作アルバムがリリースされることになった。タイトルはストレートに『TWENTY』、8月3日にCDとデジタルで発売。
 すでにMVが公開済みのスチャダラパー&PUSHIMを迎えた “夕暮れサマー” に加え、新曲 “Born To Be Free” のリリック・ビデオも公開。歌詞にも注目したい1曲です。

“ジャパレゲ” シーンを黎明期よりリードしてきた “HASE-T” プロデュース活動20周年を記念して、スチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎とジャンルやスタイル、そして世代を越えたアーティストをフィーチャリングした最新アルバムがリリース決定! 参加アーティストからのコメントも到着!

[順不同・敬称略]

30年前以上前に観た時から変わらない、クリアで聞き取りやすい声と、長いキャリアで磨き上げたサウンド。一般の人たちとは少し離れた世界を生き続けてきた大人としてのメッセージが、素直な言葉で刺さってくる。プロデュース業20周年おめでとう。誘ってくれてありがとう。──Bose(スチャダラパー)
HASE-Tのアルバム『TWENTY』はとてもいいアルバムだなと思った。ゲストが参加してる曲もいいけど、HASE-T本人が歌ってる曲がとにかくいい。その昔、HASE-Tと知り合った頃は、HASE-Tもプロデューサーというより、レゲエ歌手という感じで、その頃からHASE-Tの唄うスタイルのファンだったので、時を経ても、好きだったHASE-Tのあの感じが曲に出ててよかったです。こんなアルバムに参加できて光栄です。 ──ANI(スチャダラパー)
アルバムを通じて感じられる腰の座った(ポジィティブな)HASE-Tヴァイブスにベテランの凄みを感じました。 ──SHINCO(スチャダラパー)
HASE-T先輩、リリースおめでとうございます。 この度、スチャダラパーの皆さんとの共演の機会を頂き感謝しております。 HASE-T氏とレゲエミュージックで繋がり25年程。 昔も今もこれからも、ずっと私たちの音楽のTeacherでいて下さい。 ──PUSHIM
HASE先生、20周年おめでとうございます。自分がレゲエをやり出したころにすでに若きベテランとしてマイクを握り、楽曲プロデュースをおこなっていた先生と一緒に曲を作るとは、その頃は想像もしていませんでした。その後自分の代表曲とも言える “IKO-IKO” をはじめ、何度かご一緒させていただきましたが、今回何年かぶりに制作した “BLACK SWAN” は、新たな2022年の扉を開くフレッシュな一作になったと思います。自分もまだまだがんばります。今後ともよろしくお願い致します。 ──RYO the SKYWALKER
HASEさん、20周年おめでとうございます。 常に新しい音や物事に真摯に向き合う探究心と歴史を忘れない姿勢に毎度勉強させて頂いております。 近くで作業をさせてもらっている自分は幸運だなと、感謝しております。 いつかまた、一緒Thailandに行ける日を楽しみにしてます。 ──前嶋貫太郎

80年代後半から東京のクラブ・シーンに関わり、レゲエ Deejay やトラック・メーカーとして自身のアーティスト活動はもちろんのこと、レゲエ・コンピレーションシリーズの監修、さらにはレゲエ以外のアーティストへの楽曲提供やRemixワークまでこなしてきたHASE-T。HASE-Tの “T” はTeacher(=センセイ)の略で、その膨大な音楽知識や固定概念にとらわれないスタイルで、レゲエのみならず幅広いシーンに影響を与えてきたまさに伝道師ともいうべき彼の集大成がついに完成! 本場ジャマイカで100曲を越えるミックスダウンをこなし、そして多岐に渡るプロデュース・ワークで培ったサウンドは、本格的でありながらも決してリスナーを拒まないエンターテイメント性も備え、また歌い手としてのスキルも健在で日常的な言葉に込めた社会的、普遍的なメッセージはレゲエ Deejay としての真骨頂が伺えるだろう。さらに本作にはスチャダラパー、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、前嶋貫太郎といったジャンルやスタイル、世代を越えたアーティストがゲスト参加! 各アーティストの特性がHASE-Tによるトラック・メイキングと絶妙にクロスオーヴァーしたサウンドに仕上がっている。CD盤のみ、J-REXXXや釈迦楽などこれまでにHASE-Tが手がけてきた楽曲の最新MIX/REMIXを追加収録したスペシャル限定仕様でリリース!

HASE-T “Born To Be Free”(Official Lyric Video)
https://youtu.be/x5RS498UF_A

HASE-T “夕暮れサマーfeat. スチャダラパー&PUSHIM” (Official Music Video)
https://youtu.be/VxsN8U7Vd0I


アーティスト:HASE-T
タイトル:TWENTY
フォーマット:CD/Digital
発売日:2022.8.3
品番:PCD-25348
価格:¥2,750(税抜¥2,500)
レーベル:P-VINE

-Track List-
01. 夕暮れサマー(45 Disco Mix) feat.スチャダラパー&PUSHIM
02. Born To Be Free
03. Tokyo
04. いいわけないよ
05. Black Swan feat. RYO the SKYWALKER
06. Balance feat.前嶋貫太郎
07. 深海魚
08. Get Over (Album Version)
09. Walk On By
10. Go Around (Album Version)
11. Sunrise Again/J-REXXX (2022 Mix)
12. Dance Hall Anthem/釈迦楽 (2022 Remix)
13. 幸せの日々/Domino Kat (2022 Remix)
14. My Friends/Micky Rich (2022 mix)
15. Road Creator/貫太郎(2022 Drum'n'bass Remix)
■M11-15(CD限定ボーナストラック)

Cover Art by : Bass (Tweeter Art / TAXI Hi-Fi)
@taxi_bass


[HASE-T(ハセ・ティー)]
日本を代表するレゲエ・プロデューサー、トラックメーカー。 80年代後半、東京クラブミュージックの夜明けと共に音楽活動を開始し、レゲエDJ(歌い手)としてCLUBを中心に活躍。次第に自身の作品をリリースするようになる。2001年からプロデュース活動を本格化。レゲエのDJの登竜門的コンピシリーズ、「Dance Hall Premier / VA」シリーズをスタートさせ、トラックメーカーのみならず、プロデューサーとしても認知されるようになる。その後現在に至るまで通算10枚以上のコンピシリーズをリリース。その他に、レゲエ内、レゲエ外、プロデュースワークス、Remixもやっており、和田アキ子、吉川晃司、JUJU、加藤ミリヤ、Lisa、遊助(上地雄輔)、MOOMIN、RYO the SKYWALKER、PAPA Bなど幅広く作品を提供中。

-HASE-T Official-
Official HP : https://www.rhythmslounge.net/
Twitter : https://twitter.com/HASE_T
instagram : https://www.instagram.com/hase_t_original
TiKToK : https://www.tiktok.com/@hase_t_original

Mykki Blanco - ele-king

 LAのラッパー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバム『Stay Close To Music』が10月14日にリリースされる。プロデューサーは昨年のミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』同様、フォルティDLが務めており、さまざまなジャンルからの影響を落とし込んだ1枚に仕上がっているようだ。ソウル・ウィリアムズ、アノーニケルシー・ルー、デヴェンドラ・バンハートにシガー・ロスのヨンシーなど、客演陣にも注目。

ラッパー/詩人/トレイルブレイザー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバムが完成。
2021年のミニ・アルバム『ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ』に続く自身2枚目のフル・アルバム『ステイ・クロース・トゥ・ミュージック』、トランスグレッシヴよりリリース。

●プロデュース:フォルティDL
●ゲスト:マイケル・スタイプ(R.E.M.)、ソウル・ウィリアムズ、アノーニ、ダイアナ・ゴードン、デヴェンドラ・バンハート、エメニケ、ヨンシー(シガー・ロス)他
アルバムより、「French Lessons」のビデオを公開。

★Mykki Blanco - French Lessons (Official Video) ft. Kelsey Lu
https://youtu.be/xTBlghQ7eJM

2022.10.14 ON SALE[世界同時発売]


■アーティスト:MYKKI BLANCO(ミッキー・ブランコ)
■タイトル:STAY CLOSE TO MUSIC(ステイ・クロース・トゥ・ミュージック)
■品番:TRANS580CDJ[CD/国内流通仕様]
■定価:未定
■その他:世界同時発売、解説付
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
01. Pink Diamond Bezel
02. Steps (feat. Saul Williams and MNEK)
03. French Lessons (feat. ANOHNI and Kelsey Lu)
04. Ketamine (feat. Slug Christ)
05. Your Love Was A Gift (feat. Diana Gordon)
06. Family Ties (feat. Michael Stipe)
07. Your Feminism Is Not My Feminism (feat. Ah-Mer-Ah-Su)
08. Lucky
09. Interlude
10. Trust A Little Bit
11. You Will Find It (feat. Devendra Banhart)
12. Carry On (feat. Jónsi)

Your Love Was A Gift
https://youtu.be/yhEW4ViE_MQ?

Mykki Blanco - Family Ties (Official Video) ft. Michael Stipe
https://youtu.be/_KIFN6T-Xvg

●Mykki Blancoのニュー・アルバム『Stay Close To Music』は、これまでMykkiがリリースしてきた作品とは一線を画す。これは、Mykkiの芸術性に関してこれまで抱いていた思い込みを打ち砕き、Mykkiが自由に自らのサウンドを定義できるようにするアルバムだ。詩人、アーティスト、ミュージシャンのMykki Blancoは、その進化を通して、ジャンルを常に曖昧にしてきた。レイブ、トラップ、グランジ、パンクからの影響を、クィア/トランスとしての経験を称える実験的なヒップホップの渦の中に引き込んできたのである。今回、Mykkiは、自分たちの音の世界を一から創り上げたい、という結論に達し、プロデューサーでマルチインストゥルメンタリストのFaltyDLとコラボレート。豊かな生楽器による新しいサウンドスケープを思い描くことを可能にした。曲作りはリスボン、パリ、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスで行われ、数々のジャムセッションを通じて曲が作られていった。2019年までに、Mykkiは2つの異なるレコードを同時に制作していることに気付いた。1枚目は2021年の賞賛されたミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』、2枚目は『Stay Close To Music』となった。『Stay Close To Music』には、Michael Stipe、Saul Williams、ANOHNI、Diana Gordon、Devendra Banhart、MNEK、Jónsi等がフィーチャリングされている。

●Mykki Blancoはアメリカのラッパー、詩人、パフォーマー、活動家だ。2012年にEP『Mykki Blanco & the Mutant Angels』でデビュー。『Betty Rubble: The Initiation』(2013年)、『Spring/Summer 2014』(2014年)と2枚のEPを経て、2016年9月にデビュー・アルバム『Mykki』をリリース。クィア・ラップ・シーンのパイオニアとして知られ、Kanye WestやTeyana Taylor等とコラボレート。MadonnaのMVへ出演し、Björkとツアーを行なったりもしている。2021年には5年振りとなるオフィシャル作品である9曲入りのミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』をTransgressive Recordsよりリリース。スペシャル・ゲストとしてBlood Orange(Dev Hynes)、Big Freedia、Kari Faux、Jamila Woods、Jay Cue、Bruno Ribeiro等がフィーチャーされたこの新作は高い評価を博した。

■More info: https://bignothing.net/mykkiblanco.html

Matmos - ele-king

 マトモスの親しみやすさはどこから来るのだろう。多くの場合それは突飛なコンセプトであり、外科手術(『A Chance to Cut Is a Chance to Cure』)だったりテレパシー(『The Marriage of True Minds』)だったり洗濯機(『Ultimate Care II』)だったりが音楽になることの驚きと興奮によるものだ。自分の場合、ときとしてクィア・カルチャーの重層性や奇妙さを示すこと(『The Rose Has Teeth in the Mouth of a Beast』)が直截的なメッセージよりも強力なものになる、と素っ頓狂なやり方で教えてくれたのがマトモスだった。ユーモアとアイデア。それらはつねに、彼らの「実験音楽」を愉快なものにしている。
 だからこそ、マトモスの音楽それ自体の面白さは忘れがちだ。ふたりが生み出すエレクトロニック・ミュージックではヘンな音がヘンな方法で鳴っているのだが、それはあくまで強烈なコンセプト由来であると捉えられがちなのだ。そういう意味では、外部から来た「企画もの」である本作こそが、マトモスの音楽そのもののチャーミングなエキセントリシティをストレートに伝えていると言えるかもしれない。

『Regards / Ukłony dla Bogusław Schaeffer』は、第二次大戦後から1960年代のポーランド・アヴァンギャルド・シーンをひとつのピークとし、亡くなる2019年の直前まで活躍した先鋭的な音楽家で、同国ではじめて電子音楽を制作したひとりとされるボグスワフ・シェッフェルの録音音源を自由に使用し、再構築したアルバムである。ポーランド文化を海外に紹介するための公的機関〈Instytutu Adama Mickiewicza〉が持ちこんだアイデアだったそうで、マトモスはシェッフェルのことを詳しくは知らなかったという。シェッフェルは作曲家・演奏家でありつつ、劇作家、画家、教師、学者でもあったということなので、いつものマトモスなら彼の特異な経歴や人生をコンセプトに取りこみそうなものだが、ここではあくまで残した音源にフォーカスしているようだ。そしてそれが、おそらく本作では功を奏している。
 神経質な電子音が行き交うなかで不穏なメロディが立ち上がるオープニングの “Resemblage / Parasamblaż” からマトモスらしいめくるめくエレクトロニカが展開されるし、続く “Cobra Wages Shuffle / Off! Schable w gurę!” は妙にファンキーなリズムが繰り広げられつつグリッチやジャズの断片が聞こえてくるおかしなトラックだ(曲名にはポーランド語の対訳がついている)。アナログのA面にあたる頭5曲はリズミックでポップなトラックが並べられていて、1曲のなかの展開も多い。残り3曲はやや長尺となり、ダーク・アンビエント的なムードも取り込みながら、おどろおどろしさとエレガントさを同時に立ち上げてみせる。音色の多さ、要素の多さはマトモスならではだが、それにしてもせわしない。40分少しのアルバムからこれだけたくさんのものが聞こえてくるというのは、シェッフェルの音楽の多様な要素に由来するものだろうか。本作では題材とマトモスの音楽的なボキャブラリーの豊富さとが合致し、奇怪でユーモラスなサウンド・コラージュが繰り広げられるのだ。サウンドのとめどない動きと変容を楽しむアルバムである。

 ニコラス・ジャーが20世紀後半の前衛音楽/実験音楽をまとめたコンピレーションをリリースしたニュース(https://www.ele-king.net/news/008676/)もあったが、いま、東ヨーロッパのエッジーな表現に対する注目度が高まっているのは国際情勢の影響もあるのかもしれない。〈連帯〉のレフ・ヴァウェンサが登場する以前の独裁政権下のポーランドでアヴァンギャルドな音楽に取り組んでいたボグスワフ・シェッフェルは、なるほど現代にも何かヒントを与えうる存在として再訪されているのだろう。それを小難しいものとしてではなく、風変りだが親しみやすく、彼らならではの「知的なダンス・ミュージック」──トラックによってはダンサブルなのだ──へと調理するマトモスは、実験の面白さそのものを体現する伝道師であり続けている。

Cosey Fanni Tutti - ele-king

 コージー・ファニ・トゥッティが新作をリリースする。2020年の短篇ドキュメンタリー映画『Delia Derbyshire: The Myths And The Legendary Tapes(デリア・ダービーシャー──神話と伝説のテープ)』(監督:キャロライン・キャッツ)のサウンドトラックだ。トゥッティ本人の主宰するレーベル〈Conspiracy International〉から、9月16日に発売。
 デリア・ダービーシャーとは60年代にBBCレディオフォニック・ワークショップの一員として活躍した先駆的な電子音楽家で、SFドラマ『ドクター・フー』のテーマ曲で知られている。〈Rephlex〉が2003年に編んだBBCレディオフォニック・ワークショップのコンピでも、彼女は大きくフィーチャーされていた。
 トゥッティは今回、ダービシャーの死後に発見されたテープをサンプルしサウンドトラックを制作。声明によれば、残されたダービシャーの音源や作曲ノートなどを研究し、尊敬と愛を注入することで、ダービシャーのスタイルとトゥッティ自身のアプローチを総合したものになっているとのこと(大意)。

 なおトゥッティは、2017年の自伝『アート セックス ミュージック』につづく著書として、8月18日にフェイバー&フェイバー社より『Re-Sisters: The Lives and Recordings Of Delia Derbyshire, Margery Kempe & Cosey Fanni Tutti(リ・シスターズ──デリア・ダービーシャー、マージェリー・ケンプ、コージー・ファニ・トゥッティの人生と録音物)』なる本を上梓する予定。ダービシャーと15世紀の神秘家マージェリー・ケンプ(英語で初めて自伝を書いた人物とされる)、そしてトゥッティ自身の関係を探る1冊になっているようだ。あわせてチェックしておきたい。

Dry Cleaning - ele-king

 昨年の『New Long Leg』が高い評価を得たロンドンのバンド、ドライ・クリーニング。エレキングでも年間ベストの4位に選出しましたが、先日セカンド・アルバムのリリースがアナウンスされています。発売はCD・ヴァイナルともに10月21日、現在 “Don't Press Me” が公開中です。

Dry Cleaning
大注目の新世代バンド、ドライ・クリーニング
最新アルバム『Stumpwork』を10月21日に発売!

ロンドンを拠点に活動するバンド、ドライ・クリーニングが、10月21日にセカンド・アルバム『Stumpwork』を発売することを発表した。合わせてリード・シングル「Don't Press Me」のMVを公開した。デビュー・アルバム『New Long Leg』は、全英アルバム・チャートで4位を獲得、2021年のベスト・アルバムの一つとしても選定され高い評価を得ている。(The New York Times、Pitchfork、SPIN、The Atlantic、The Ringerが、その年のトップ10アルバムに選出)ここ日本でも音楽専門誌からファション誌まで幅広いメディアに取り上げられ、絶賛された。

公開された「Don't Press Me」は、ゲームをする快感と、強烈だが短命な、罪悪感のない体験の楽しさについて歌っている。ヴォーカルのフローレンス・ショウは、次のように語っている。「コーラスの言葉は、自分の脳みそに向かって歌う曲を書こうとして生まれたの。『あなたはいつも私と敵対している/あなたはいつも私にストレスを与えている』ってね。」アニメーションによるオフィシャル・ビデオは、ピーター・ミラードが手がけたもので、ナイーブに描かれたバンドの姿が、曲のフックとリフに完璧にマッチしている。

Dry Cleaning - Don't Press Me
https://www.youtube.com/watch?v=gjVc8lYIaUM

アルバム『Stumpwork』は、2021年末にウェールズの田園地帯に戻り、再びジョン・パリッシュとエンジニアのジョー・ジョーンズとタッグを組み製作された。同じスタジオで、同じチームと信頼関係を築いたことで、インポスター症候群(*自分の能力や実績を認められない状態)と不安感は、自由へと変換され、すでに豊かだった彼らの音のパレットをさらに探求し、自分たちのクリエイティブなビジョンにさらなる自信をつけることができた。新作は様々な出来事や概念、政治的混乱からインスピレーションを受けている。今回もシュールな歌詞が前面に押し出されているが、家族や、金、政治、自虐、官能といったテーマに対する感受性も新作では高まっている。作品全体に渡り、激しいオルタナ・ロックのアンセムがジャングル・ポップやアンビエント・ノイズと融合し、バンドが受けてきた影響の豊かさと彼らの音楽に対する深い造詣として表れている。

アルバムとシングルのアートワークは、他分野で活躍するアーティスト・デュオであるロッティングディーン・バザール(Rottingdean Bazaar)と写真家のアニー・コリンジ(Annie Collinge)によって考案・制作された。本作の日本盤CDには解説および歌詞対訳が封入され、ボーナス・トラックを追加収録される。なお、限定ブラック・ヴァイナルには購入者先着特典としてシングル「Don't Press Me」とアルバム未収録曲をカップリングした特典7インチ(レッド・ヴァイナル)をプレゼント。通常アナログ盤はホワイト・ヴァイナル仕様でのリリースとなる。6月15日より各店にて随時予約がスタートする。

label: 4AD / Beat Records
artist: Dry Cleaning
title: Stumpwork
release: 2022.10.21 FRI ON SALE

国内盤CD:4AD0504CDJP ¥2,200+税
解説+歌詞対訳冊子/ボーナストラック追加収録

CD 輸入盤:4AD0504CD
¥1,850+税

LP 限定盤:4AD0504LPE(限定ブラック/先着特典7インチ)
¥3,850+税

LP 輸入盤:4AD0504LP(通常ホワイト)
¥3,850+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12859

TRACKLISTING
01. Anna Calls From The Arctic
02. Kwenchy Kups
03. Gary Ashby
04. Driver's Story
05. Hot Penny Day
06. Stumpwork
07. No Decent Shoes For Rain
08. Don't Press Me
09. Conservative Hell
10. Liberty Log
11. Icebergs
12. Sombre Two *Bonus Track for Japan
13. Swampy *Bonus Track for Japan

Technics SL-1200 - ele-king

 DJカルチャーに憧れた誰もが欲しいと思い、そしていつしか家に2台を設置するターンテーブル、「Technics SL-1200」。世界中から愛されてきたこの歴史的名機を祝うイベントが8月5日から3日にわたって開催される。まずは5日、DJカルチャーの未来を検証する特別番組をDOMMUNEから配信。その翌日からは、渋谷PARCOのルーフトップComMunEにて、レコード愛好家たちの信頼も厚い店舗が集結するレコードマーケットを開催。東京のみならず地方の名店も並び、新旧様々な名盤からレアな蔵出し品を放出。さらにレ コードを愛するDJや選曲家たち総勢14組による音楽や、記念モデルとして限定リリースされた7色のSL-1200に 歴代の貴重なターンテーブルの展示など、Technicsならではの祝祭をどうぞ!

Technics SL-1200 50th Anniversary
STORY of TURNTABLE

2022.8.5 FRI 19:00 - 24:00
at SUPER DOMMUNE (渋谷PARCO 9F)
https://www.dommune.com

<第一部> SL-1200 の軌跡と未来
司会 : 野田 努 (ele-king)
出演 : 上松 泰直 (Technics)、志波 正之 (Technics)、ようすけ管理人 (OTAIRECORD)

<第二部> マスターピースとしての SL-1200
司会 : 宇川 直宏 (DOMMUNE)
出演 : DJ NORI、MURO、Mizuhara Yuka、Kamome

<第三部> DJ for ALL VINYL
DJ : CAPTAIN VINYL (DJ NORI & MURO)、Vinyl Youth


2022.8.6 SAT & 8.7 SUN 11:00 - 21:00
at ComMunE (渋谷PARCO 10F)
https://shibuya.parco.jp

<RECORD SHOP>
〔 8.6 SAT 〕
diskunion
everyday records
FACE RECORDS
Organic Music
RECORD STATION

〔 8.7 SUN 〕
Ciruelo Records
GENERAL RECORD STORE
HMV record shop
RECORD SHOP rare groove
Vinyl Delivery Service

<DJ>
〔 8.6 SAT 〕
珍盤亭娯楽師匠
DJ JIN
Kaoru Inoue
DJ KAWASAKI
Mayu Kakihata
MURO
ピーター・バラカン

〔 8.7 SUN 〕
川西卓
Mizuhara Yuka
ナツ・サマー
DJ NORI
須永辰緒
Vinyl Youth
Yoshinori Hayashi

Produced by PRIMITIVE INC.
https://www.primitive-inc.com

Charles Stepney - ele-king

 ロータリー・コネクションやマリーナ・ショウ、マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、テリー・キャリアーにアース・ウインド・アンド・ファイアにと、そうそうたるアーティストを手がけてきたことで知られるプロデューサー、チャールズ・ステップニー。その幻のアルバム『Step on Step』がついに日の目をみることになった。ひとりで自宅の地下室で多重録音をこなした作品である。9月9日、日本限定盤のCDが発売。これは入手しておきたい。

Charles Stepney『Step on Step』
2022.09.09 CD Release!!

チャールズ・ステップニー1970年近辺の一人多重録音作。当時の普通の宅録は、いま皆が必死になって作ろうとしているサウンドでもある。本作は手本にすべき質感で溢れかえっている。(冨田ラボ・冨田恵一)

チャールズ・ステップニー幻のデビュー・アルバムが遂に日の目を見る。1人で楽器を演奏して4トラックのテープで録音された愛すべきホーム・レコーディング作品であり、ステップニーの後の名曲の原型も聴くことができる。大規模なスタジオ制作に至る前の録音ゆえのピュアな輝きを放っているサウンドは、ステップニーが残した音楽を愛するリスナーを魅了すると共に、クリエーターにとっても多くのインスピレーションを与えるはずだ。(原 雅明 ringsプロデューサー)

アース・ウィンド&ファイアー、ミニー・リパートン、マリーナ・ショウ、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、 テリー・キャリア……、数々の重要な録音に携わり、1976年に早すぎる死を迎えた伝説のプロデューサー、アレンジャー、作曲家であるチャールズ・ステップニー。事実上のデビュー・アルバムとなる、貴重なホームレコーディング作品のリリースが遂に実現!!

4トラックのテープ録音のコレクションとして残された音源は、ほとんどがステップニーのオリジナル曲であり、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、シカゴのサウスサイドにある自宅の地下室でステップニー一人によって創り出されたものである。彼や他のアーティストによって二度と録音されることはなかった。

カニエ・ウェスト、ア・トライブ・コールド・クエスト、ザ・フージーズ、MFドゥーム、マッドリブをはじめ、ステップニーのサウンドはヒップホップの世界でも愛されてきた。『Step on Step』は、現在のトラックメイキングの先駆けともいえる貴重な音源であり、ステップニーの業績を改めて知らしめる原石のような全23曲を収録。

アーティスト : Charles Stepney (チャールズ・ステップニー)
タイトル : Step on Step (ステップ・オン・ステップ)
発売日 : 2022/09/09
価格 : 2,600円+税
レーベル/品番 : rings / International Anthem (RINC92)
フォーマット : CD (日本限定盤)
解説 : 冨田ラボ・冨田恵一
BARCODE : 4988044078666
rings OFFICIAL PAGE : https://www.ringstokyo.com/items/Charles-Stepney
rings STORE : https://bit.ly/3uz1iqX

Takuro Okada - ele-king

 岡田拓郎の2年振りとなるソロ・アルバムが8月31日、〈Newwhere〉からリリースされる。ジョン・コルトレーンの“A Love Supreme”からはじまるその作品『Betsu No Jilkan』は、すでに「岡田の最高作」「今年の目玉」ともっぱらの評判となっている。岡田拓郎がドラマーの石若駿との即興を編集した音の素材をジム・オルーク、ネルス・クライン、サム・ゲンデル、カルロス・ニーニョ、細野晴臣らに手を加えてもらい、さらにそれを編集して仕上げていったそうだが、彼のポップ志向とアヴァンギャルド志向とがみごとにスパークしたものなんじゃかと言われている。
 なにはともあれ、これは本当に注目作です。

岡田拓郎
『Betsu No Jilkan』

Newwhere
8月31日発売予定

曲目
1. A Love Supreme
2. Moons
3. Sand
4. If Sea Could Sing
5. Reflections / Entering #3
6. Deep Rive

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